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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035521
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】ボッチャランプ装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 67/00 20060101AFI20230306BHJP
   A63B 69/40 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
A63B67/00 A
A63B69/40 501
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142429
(22)【出願日】2021-09-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】516388425
【氏名又は名称】株式会社ユニコーン
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(74)【代理人】
【識別番号】100062328
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 剛啓
(72)【発明者】
【氏名】中島 勝幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】小川 忍
(72)【発明者】
【氏名】三浦 靖一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤本 浩
(72)【発明者】
【氏名】久野 翔一
(72)【発明者】
【氏名】中村 征志郎
(57)【要約】
【課題】ベッドに寝たきりの重度障害者であっても遠隔操作などにより、自分の意思でボールを選択し、そのボールのころがる方向や転がす距離を微調整できるボッチャランプ装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ボールを転がすために傾斜した樋状のスロープを形成するボール発射路と、ボール発射路の前方側を左右方向に回転させる左右方向回転手段とを備え、左右方向回転手段がボール発射路の前端部に、平面視で前方側を開放させた略コ字状の形態の揺動アーム部材を配設し、揺動アーム部材の略コ字状の左右の腕部の前端部をボール発射路の前端部の両側壁に上下方向回転自在に軸支し、揺動アーム部材の略コ字状の横架部に正転逆転可能な第一回転用駆動手段と該第一回転用駆動手段に連結した駆動車輪を配設した前端部駆動形態、あるいは、ボール発射路の支持部を左右方向に回転可能とする支持部駆動形態であるボッチャランプ装置により課題解決ができた。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールを転がす支援をするボッチャランプ装置であって、
傾斜したスロープを形成しボールを案内するボール発射路と、
前記ボール発射路を少なくとも上下方向回転自在の連結部を介して下方から支持する支持体と、
前記連結部を左右方向の回転中心として、左右方向に転がり移動可能な固定車輪を先端部に配設した、前記ボール発射路の先端側を左右方向に回転させる左右方向回転手段と、を備え、
前記左右方向回転手段が、
前記支持体に対して前記ボール発射路を上下左右方向に回転自在を可能とする回転自在連結部で連結し、
平面視で前方側を開放させた略コ字状の形態の揺動アーム部材の略コ字状の左右の腕部の前端部を前記ボール発射路の先端部であって前記固定車輪の後方の両側壁に上下方向回転自在に軸支し、前記揺動アーム部材の略コ字状の横架部に正転逆転可能な車輪回転用駆動手段と該車輪回転用駆動手段に連結した駆動車輪を配設し、前記車輪回転用駆動手段により前記駆動車輪を左右方向に移動させて前記ボール発射路の先端部を左右方向に回転させる先端部駆動形態、あるいは、
前記支持体に対して前記ボール発射路を上下方向のみ回転自在を可能とする左右規制連結部で連結し、
前記左右規制連結部を前記支持体に配設された連結部回転用駆動手段と連結させて前記左右規制連結部を左右方向に回転させて、前記ボール発射路の先端部を左右方向に回転させる連結部駆動形態であることを特徴とするボッチャランプ装置。
【請求項2】
前記ボール発射路のスロープに沿って上下方向に昇降可能な昇降手段と、
該昇降手段に設置された、ボールを発射させるボール発射手段と、
前記ボール発射手段の上方で前記昇降手段に、又は、前記ボール発射手段の上方で前記昇降手段とは分離されて設置され、収納した複数のボールを1個ずつ分離収納可能で選択した1個のボールを前記ボール発射手段に向けて転がり出せるボール選択手段と、が設けられ、
前記ボール選択手段は、円筒状の円周壁と、略円形状の底壁と、円周方向に等分割で回転軸から半径方向に延設された所定の数の仕切り板とを有するボール収納部と、さらに少なくとも該仕切り板を正転逆転回転させる駆動手段とを備え、前記ボール発射路の垂直方向で上方に位置する前記底壁又は前記円周壁に、ボール1個のみが転がり出られる大きさの開口部と、前記開口部を開閉する遮断板の開閉手段とを設けて、少なくとも前記仕切り板を正転逆転回転させることにより、選択したボールを前記開口部の位置に移動させて停止し、前記遮断板を開にすることにより停止させたボールを前記ボール発射路上に落下させることができ、
前記ボール発射手段は、前記昇降手段の両側壁に、ボールの係止又は発射を可能とする係止板の回転軸を軸支し、前記係止板を開にしてボールの発射を可能とする係止板形態、又は、前記昇降手段の両側壁に、ボールを嵌入可能な間隔で複数の羽根を半径方向に突設させた回転軸を回転自在に軸支し、前記回転軸を回転軸回転駆動手段により回転させてボール発射が可能な羽根車形態であることを特徴とする請求項1に記載のボッチャランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボッチャに使用するランプから発射するボールを選択し、そのボールの転がり方向や転がす距離を、駆動手段による駆動で可変できるボッチャランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボッチャはパラリンピックの正式種目で男女の区別なく障害の程度でクラス分けして順位を競うスポーツである。そして、障害の程度が重いクラスでは、ボールの投球や足蹴りが不可の障害者は勾配のあるランプを使用してボールを転がすことができ、自分の手でボールを押し出すことができない重度障害者は長さ50cm以内のリリーサーを頭部又は口に装着して投球を行うことができる。
【0003】
特許文献1には、可撓性材料にて流体収納室を形成し、同流体収納室には、流体を内外に出し入れするための栓部を設け、表面の長手方向にボール転がり部を延設した勾配具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2001-137414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ベッドに寝たきりの重度障害者は、ボッチャ競技会場に行くことが困難であり、ボッチャ競技会場に行ったとしてもリリーサーを装着できず、又は、自分の意思を競技アシスタントに伝えることができないので、ベッドに寝たきりの重度障害者はボッチャ競技に参加できないという問題があった。重度障害者が自分の意思でボールを選択し、そのボールの転がり方向やボールを転がす距離を微調整できるようにするランプが実在しないという問題があった。
【0006】
特許文献1の発明は、簡単に持ち運びができるランプの技術であり、寝たきりのボッチャ競技希望者にとって、自分の意思でボールを選択し、そのボールの転がり方向やボールを転がす距離を微調整することはできないという問題があった。
【0007】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、ベッドに寝たきりの重度障害者であっても遠隔操作などにより、自分の意思でボールを選択し、そのボールのころがる方向や転がす距離を微調整できるボッチャランプ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明において、前方はボッチャ競技のコート側の方向でありランプの下端側であって先端側の方向を意味し、後方はランプの上端側を意味する。
【0009】
請求項1に記載のボッチャランプ装置は、ボールを転がす支援をするボッチャランプ装置であって、傾斜したスロープを形成しボールを案内するボール発射路と、前記ボール発射路を少なくとも上下方向回転自在の連結部を介して下方から支持する支持体と、前記連結部を左右方向の回転中心として、左右方向に転がり移動可能な固定車輪を先端部に配設した、前記ボール発射路の先端側を左右方向に回転させる左右方向回転手段と、を備え、前記左右方向回転手段が、前記支持体に対して前記ボール発射路を上下左右方向に回転自在を可能とする回転自在連結部で連結し、平面視で前方側を開放させた略コ字状の形態の揺動アーム部材の略コ字状の左右の腕部の前端部を前記ボール発射路の先端部であって前記固定車輪の後方の両側壁に上下方向回転自在に軸支し、前記揺動アーム部材の略コ字状の横架部に正転逆転可能な車輪回転用駆動手段と該車輪回転用駆動手段に連結した駆動車輪を配設し、前記車輪回転用駆動手段により前記駆動車輪を左右方向に移動させて前記ボール発射路の先端部を左右方向に回転させる先端部駆動形態、あるいは、前記支持体に対して前記ボール発射路を上下方向のみ回転自在を可能とする左右規制連結部で連結し、前記左右規制連結部を前記支持体に配設された連結部回転用駆動手段と連結させて前記左右規制連結部を左右方向に回転させて、前記ボール発射路の先端部を左右方向に回転させる連結部駆動形態であることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載のボッチャランプ装置は、請求項1において、前記ボール発射路のスロープに沿って上下方向に昇降可能な昇降手段と、該昇降手段に設置された、ボールを発射させるボール発射手段と、前記ボール発射手段の上方で前記昇降手段に、又は、前記ボール発射手段の上方で前記昇降手段とは分離されて設置され、収納した複数のボールを1個ずつ分離収納可能で選択した1個のボールを前記ボール発射手段に向けて転がり出せるボール選択手段と、が設けられ、前記ボール選択手段は、円筒状の円周壁と、略円形状の底壁と、円周方向に等分割で回転軸から半径方向に延設された所定の数の仕切り板とを有するボール収納部と、さらに少なくとも該仕切り板を正転逆転回転させる駆動手段とを備え、前記ボール発射路の垂直方向で上方に位置する前記底壁又は前記円周壁に、ボール1個のみが転がり出られる大きさの開口部と、前記開口部を開閉する遮断板の開閉手段とを設けて、少なくとも前記仕切り板を正転逆転回転させることにより、選択したボールを前記開口部の位置に移動させて停止し、前記遮断板を開にすることにより停止させたボールを前記ボール発射路上に落下させることができ、前記ボール発射手段は、前記昇降手段の両側壁に、ボールの係止又は発射を可能とする係止板の回転軸を軸支し、前記係止板を開にしてボールの発射を可能とする係止板形態、又は、前記昇降手段の両側壁に、ボールを嵌入可能な間隔で複数の羽根を半径方向に突設させた回転軸を回転自在に軸支し、前記回転軸を回転軸回転駆動手段により回転させてボール発射が可能な羽根車形態であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のボッチャランプ装置は、ボールを手で転がしたり足で蹴ることが困難な重度障害者などの中でボッチャを楽しみたい人が、自分の意思でランプの左右方向の向きを変えられるように支援することができる。
【0012】
また、ランプを左右方向に回転させるときに、ボッチャ競技会場の床面に凹凸があるときであっても、先端部駆動形態の場合は、上下左右方向に回転自在な回転自在連結部と上下方向に回転自在な揺動アーム部材により駆動車輪と固定車輪は床面の凹凸に追従し、連結部駆動形態の場合は上下方向に回転自在な左右規制連結部により固定車輪は床面の凹凸に追従する。前記駆動車輪が床面の凹凸に追従して上下方向に搖動できるのでランプの先端側をしっかりと左右方向に回転できるという効果を奏する。
【0013】
請求項2に記載のボッチャランプ装置は、ボッチャ競技では1ゲームにおける、転がせるボールの数が決められているので、その決められた所定の数を踏まえて、例えば7個のボールを予め収納しておき、競技者が発射させたいボールを選択してボール発射手段に移動させることができ、ボールを競技者のタイミングで発射させることが、競技者がランプやボールに身体の一部が触れなくても一人で操作できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の昇降手段を中ほどの高さに移動させた状態の左側面視におけるランプの構成の説明図である。
図2】平面視におけるランプの回転方向の説明図で、(a)は支点部を中心にまっすぐな向きの説明図で、(b)は支点部を中心に正面視で右方向に回転させた状態の説明図で、(c)は支点部を中心に正面視で左方向に回転させた状態の説明図である。
図3】前端部駆動形態の左右方向回転手段の説明図で、(a)は左側面視の構成の説明図で、(b)は平面視の構成の説明図で、(c)は底面視の構成の説明図である。
図4】支持部駆動形態の左右方向回転手段の左側面視における概要説明図である。
図5】平面視におけるランプの構成の1例の構成説明図である。
図6】昇降手段を上方の高さに移動させた状態の左側面視におけるランプの構成の説明図である。
図7】昇降手段を下方の高さに移動させた状態の左側面視におけるランプの構成の説明図である。
図8】ボール発射手段が係止板形態の作動の左側面視の説明図で、(a)はボール発射路の側壁を透明にしてボール係止状態の作動説明図で、(b)はボール発射路の側壁を透明にしてボールをころがし始めたときの説明図である。
図9】ボール発射手段が羽根車形態の作動の右側面視の説明図で、(a)は左側面視の外観説明図で、(b)はボール発射路の側壁を透明にしてボール係止状態の作動説明図で、(c)はボール発射路の側壁を透明にしてボールをころがそうとするときの作動説明図で、(d)はボール発射路の側壁を透明にしてボールをころがし始めたときの説明図である。
図10】ボール選択手段のボールを収納するボール収納部の説明図で、(a)は平面視の説明図で、(b)は底面視の説明図である。
図11】ボールを7つ収納状態のボール選択手段の作動の説明図で、(a)は平面視の説明図で、(b)は底面視の説明図である。
図12】ボールを1つ転がりだすときのボール選択手段の作動の説明図で、(a)は平面視の説明図で、(b)は底面視の説明図である。
図13】ボール選択手段からボール発射手段に向けボールを落下させるときの説明図で、(a)はボール選択手段に向けてボール発射手段が昇降手段により上昇する前の状態の説明図で、(b)はボール選択手段に向けてボール発射手段が昇降手段により上昇しボール落下位置まで到達した状態の説明図で、(c)はボール選択手段からボールをボール発射手段に落下させたときの説明図である。
図14】ボッチャランプ装置からボールをコート上に転がした状態の説明図である。
図15】ライブ映像を見ながら押釦操作をするイメージの説明図である。
図16】ライブ映像を見ながら視線検出手段によって操作をするイメージの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、脳性麻痺などにより運動能力に障害がある競技者向けに考案された障害者スポーツの一つであるボッチャ競技を、自分の意思をボッチャ競技会場の競技アシスタントに伝えることが困難な重度障害者80にも、ランプから発射するボール4の転がり方向や転がす距離を、自分の意思による遠隔操作などによって調整できるボッチャランプ装置1である。
【0016】
ボッチャ競技に参加する障害者が競技アシスタントに意志を伝えてサポートしてもらう動作としては、例えば、自分の意思で、ボッチャルールによって異なるが、例えば転がすボールをジャックボール又はカラーボールの計7個の中からボール4を選びランプ上に置く動作、自分の意志を伝えてボール4のころがる方向にランプの向きを変える動作、自分の意志を伝えてボール4を転がす高さにボールを置く動作、及び、自分の意志でボール4を発射できるようにリリーサーを装着してもらうなどがある。本発明は、図15又は図16に示すように、これらの動作を重度障害者80の手による押釦15の操作により、又は重度障害者80の視線を検出する視線検出手段16を介した指示によりランプを作動させる技術である。
【0017】
前記ボチャランプ装置1は、図1に示すように、ボール4を転がすために傾斜したスロープを形成するボール発射路2と、前記ボール発射路2の所定の位置を支点部Sとして前記ボール発射路2を少なくとも上下方向回転自在部材11により上下方向回転自在に下方から支持する支持体3と、前記支点部Sを左右方向の回転中心として前記ボール発射路2の前方F側を左右方向に回転させる左右方向回転手段30(30a、30b)と、ボール4を1つずつ発射可能なボール発射手段40(40a、40b)、前記ボール発射手段40を前記ボール発射路2のスロープに沿って上下方向に昇降可能な昇降手段50を備えている。前記スロープはボール4がまっすぐに転がりやすい形状として例えば側壁と底壁を有する樋状がある。さらに、複数のボール4の中から次に発射させるボール4を選択するボール選択手段20も備えている。
【0018】
前記ボッチャランプ装置1は、ボール4を転がす支援をするボッチャランプ装置1であって、図1又は図4に示すように、傾斜したスロープを形成しボール4を案内するボール発射路2と、前記ボール発射路2を少なくとも上下方向回転自在の連結部10(10a、10b)を介して下方から支持する支持体3と、前記連結部10を左右方向の回転中心として、左右方向に転がり移動可能な固定車輪34を先端部に配設した、前記ボール発射路2の先端側を左右方向に回転させる左右方向回転手段30(30a、30b)と、を備え、前記左右方向回転手段30aが、図1図3に示すように、前記支持体3に対して前記ボール発射路2を上下左右方向に回転自在を可能とする回転自在連結部10aで連結し、平面視で前方側を開放させた略コ字状の形態の揺動アーム部材31の略コ字状の左右の腕部31aの前端部を前記ボール発射路2の先端部であって前記固定車輪34の後方の両側壁に上下方向回転自在に軸支し、前記揺動アーム部材31の略コ字状の横架部31bに正転逆転可能な車輪回転用駆動手段32と該車輪回転用駆動手段32に連結した駆動車輪33を配設し、前記車輪回転用駆動手段32により前記駆動車輪33を左右方向に移動させて前記ボール発射路2の先端部を左右方向(方向A又はB)に回転させる先端部駆動形態、あるいは、前記左右方向回転手段30bが、図4に示すように、前記支持体3に対して前記ボール発射路2を上下方向のみ回転自在を可能とする左右規制連結部10bで連結し、前記左右規制連結部10bを前記支持体3に配設された連結部回転用駆動手段36と連結させて前記左右規制連結部10bを左右方向に回転させて、前記ボール発射路2の先端部を左右方向(方向A又はB)に回転させる連結部駆動形態である。
【0019】
前記左右方向回転手段30(30a)によって、図2(a)に示すように前記ボール発射路2の向きを、例えばボール4を転がした後の向きとすると、次に転がすボールの転がす方向を変えるために、図2(b)に示すように支点部Sを回転中心として右方向Bに少し回転させたり、図2(c)に示すように支点部Sを回転中心として左方向Aに少し回転させることができる。
【0020】
まず、前記前端部駆動形態の前記左右方向回転手段30aについて説明する。前記前端部駆動形態の前記左右方向回転手段30aは、図1に示すように、前記支持体3と前記ボール発射路2との連結形態が、前記支持体3に対して前記ボール発射路2を上下左右方向に回転自在を可能とする回転自在連結部10aで連結した形態で、上下方向回転自在部材11と左右方向回転自在部材12を有している。前記上下方向回転自在部材11としては、例えば前記ボール発射路2から垂設させたブラケットの水平方向に設けた穴に貫通させた軸部とベアリングを介在させて軸支させる形態があり、左右方向回転自在部材12としては、例えば、支持体3側の穴に嵌入させたベアリングにボール発射路2側から上下方向に垂設させた軸部とを嵌入させて連結させる形態がある。
【0021】
前記前端部駆動形態の前記左右方向回転手段30aは、図3(a)~(c)に示すように、前記ボール発射路2の先端には左右に固定車輪34が設けられ、平面視で前方F側を開放させた略コ字状の形態の揺動アーム部材31の略コ字状の左右の腕部31aの前端部を前記ボール発射路2の先端部であって前記固定車輪34の後方Rの両側壁に上下方向回転自在に例えばベアリングを介在させて軸支し、前記揺動アーム部材31の略コ字状の横架部31bに正転逆転可能な、例えばモータ等の車輪回転用駆動手段32と該車輪回転用駆動手段32にカップリング等で連結した駆動車輪33を配設し、前記車輪回転用駆動手段32の回転により前記駆動車輪33を左右方向に移動させて前記ボール発射路2の先端部を左方向A又は右方向Bに回転させる。
【0022】
前記揺動アーム部材31は、図3(a)に示すように、前記横架部31bが前記ボール発射路2より下方になるように取り付ける。そして、上下方向に揺動する前記横架部31bには前記車輪回転用駆動手段32と前記駆動車輪33を取り付けているので、その重みで前記駆動車輪33は床面Gにしっかりと接地し前記ボール発射路2を左右方向に回転させるが、さらに床面Gへの押付力を高めたいときには前記横架部31bと前記ボール発射路2の底壁との間に伸長方向に付勢力を有するスプリングを介設させてもよい。
【0023】
自分の意志でボールを転がせたい方向に前記ボール発射路2の方向を向けるように、例えば、図15に示すように、手で押す左右方向の作動指示が表示された押釦15や、図16に示すように、表示画面16に表示された左右方向の作動指示が表示された釦画像を見た視線を検出する視線検出手段17によって、右方向Bの回転または左方向Aの回転の駆動指示を出すと、前記車輪回転用駆動手段32が右回転または左回転し、前記駆動指示が出されている間のみ前記車輪回転用駆動手段32が回転し駆動車輪33が左方向A又は右方向Bに移動することにより、前記ボール発射路2の左右方向の向きを変え、微妙な向きに調整することができる。
【0024】
次に、前記連結部駆動形態の前記左右方向回転手段30bについて説明する。前記左右方向回転手段30bは、図4に示すように、前記ボール発射路2の先端には左右に固定車輪34が設けられ、前記支持体3に対して前記ボール発射路2を上下方向のみ回転自在を可能とする上下方向回転自在部材11を有する左右規制連結部10bで連結し、前記左右規制連結部10bを前記支持体3に配設された、出力が直角方向になる直行軸ギアモータ等の連結部回転用駆動手段36と連結させて前記左右規制連結部10bを左右方向に回転させて、前記ボール発射路2の先端部を左右方向に回転させる。
【0025】
前記左右方向回転手段30bの構成の場合も、自分の意志であるボール4を転がせた方向に前記ボール発射路2の方向を向けるように、例えば、手で押す左右方向の作動指示が表示された押釦15や、表示画面16に表示された左右方向の作動指示が表示された釦画像を見た視線を検出する視線検出手段17によって、右方向Bの回転または左方向Aの回転の駆動指示を出すと、前記連結部回転用駆動手段36が前記左右規制連結部10bを右回転または左回転させ、前記駆動指示が出されている間のみ前記連結部回転用駆動手段36が回転し前記左右規制連結部10bが左方向A又は右方向Bに回転することにより、前記左右規制連結部10bと連結された前記ボール発射路2を左右方向に向きを変え、微妙な向きに調整することができる。
【0026】
ボール4を転がせたい方向をボッチャ会場に参加困難な重度障害者にも把握可能とするために、図1又は図4に示すように、ボール発射路2の昇降手段50にライブ映像を撮影するカメラ5を設置し、ボール発射路2の先端部に目印6を設けている。そして、前記カメラ5が撮影するライブ映像は、発射手段40(40a、40b)の近傍に設置され、ランプ2の先端に立設した目印6と、その先のコートを撮影する。前記ボール発射路2上で前後方向で離隔して取り付けたカメラ5と目印6とを結ぶ直線はボール4のボール発射路2から転がり出る方向と一致するので、図15又は図16に示すように、ボール4の転がる方向をパソコンなどの情報端末の表示画面16で正確に把握することが容易にできる。
【0027】
さらに、前記ボッチャランプ装置1は、図1又は図4に示すように、前記ボール発射路2のスロープに沿って上下方向に昇降可能な昇降手段50と、該昇降手段50に設置された、ボール4を発射させるボール発射手段40(40a、40b)と、前記ボール発射手段40の上方で前記昇降手段50に、又は、前記ボール発射手段40の上方で前記昇降手段50とは分離されて設置され、収納した複数のボール4を1個ずつ分離収納可能で選択した1個のボール4を前記ボール発射手段40に向けて転がり出せるボール選択手段20と、が設けられ、前記ボール選択手段20は、図10図12に示すように、円筒状の円周壁22と、略円形状の底壁23と、円周方向に等分割で回転軸28から半径方向に延設された所定の数の仕切り板24とを有するボール収納部21と、図13に示すように、さらに少なくとも該仕切り板24を正転逆転回転させる駆動手段19とを備え、前記ボール発射路2の垂直方向で上方に位置する前記底壁23又は前記円周壁22に、ボール1個のみが転がり出られる大きさの開口部25と、前記開口部25を開閉する遮断板26の開閉手段27とを設けて、少なくとも前記仕切り板24を正転逆転回転させることにより、選択したボール4を前記開口部25の位置に移動させて停止し、前記遮断板26を開にすることにより停止させたボール4を前記ボール発射路2上に落下させることができ、前記ボール発射手段40は、図8に示すように、前記昇降手段50の両側壁に、ボール4の係止又は発射を可能とする係止板41の回転軸42を軸支し、前記係止板41を開にしてボールの発射を可能とする係止板形態、又は、図9に示すように、前記昇降手段50の両側壁に、ボール4を嵌入可能な間隔で複数の羽根45を半径方向に突設させた回転軸46を回転自在に軸支し、前記回転軸46を回転軸回転駆動手段(図示なし)により回転させてボール発射が可能な羽根車形態である。
【0028】
次に、自分の意志でのボール発射タイミングでボールを放つボール発射手段40について説明する。ボール発射手段40は、図5図8又は図9に示すように、前記ボール発射路2のスロープに沿って上下方向に昇降可能な、樋状の壁部を有する昇降手段50に配設される。
【0029】
前記ボール発射手段40は前記ボール発射路2内に載置したボール4を転がせる向きの調整やボールの転がる距離の調整をするときにボールを係止し、前記向きや距離を思うように調整できたと、例えば重度障害者80が判断したときに、前記載置していたボール4を発射させる手段であればよい。
【0030】
前記ボール発射手段40の1例としての係止板形態のボール発射手段40aについて説明する。前記係止板形態のボール発射手段40aは、図8に示すように、前記昇降手段50の両側壁に、ボール4の係止又は発射を可能とする係止板41の回転軸42を軸支し、前記係止板41を開にしてボールの発射をする。
【0031】
前記ボール発射手段40aは、図8(a)に示すように、ボール4を係止可能になるように錘を付けた係止板41aがボール4の発射を止めている。そして、ボール4を発射させるときは、図8(b)に示すように、例えばシリンダーなる駆動手段43がシリンダーロッドを押し出す方向に作動すると係止板41bを押すため係止板41aが回転軸42を中心に開方向C側に回転する。これにより、ボール4は発射される。そして、前記駆動手段43がリンダーロッドを引っ込める方向に作動すると係止板41bが自由になるため係止板41aが回転軸42を中心に閉方向側に回転する。これにより、ボール発射路2は閉鎖される。
【0032】
次に、羽根車形態のボール発射手段40bについて説明する。ボール発射手段40bは、図9に示すように、前記昇降手段50の両側壁に、ボール4を嵌入可能な間隔で複数の羽根45を半径方向に突設させた羽根の回転軸46を回転自在に軸支し、前記回転軸46を回転軸回転駆動手段(図示なし)によりボール1個分ずつ回転させボールを送り出してボール発射が可能である。前記回転軸回転駆動手段の回転軸(図示なし)と前記羽根45の回転軸46とはカップリングなどで回転可能に連結されている。
【0033】
図9(b)に示すように、ボール4を載置した状態で、モータ等の回転軸回転駆動手段を作動させ羽根45をボールを押し出す方向であるE方向に回転させる。すると、羽根45に囲われたボール4が、図9(c)に示すように送られ、図9(d)に示すように、前方向Fに放たれ転がり発射される。
【0034】
自分の意志のタイミングでボールを発射させるために、例えば、手で押す発射の作動指示が表示された押釦15や、表示画面16に表示された発射の作動指示が表示された釦画像を見た視線を検出する視線検出手段17によって、ボール発射の駆動指示を出すと、前記ボール発射手段40(40a、40b)により、ボール4が発射され、図14に示すように、コート上の狙った方向かつ狙った距離にボール4を転がすことができる。
【0035】
他のボール発射手段40としては、例えば、上下方向に上げ下げする、鉄道の踏切に使用されているような遮断板の形態(図示なし)でもよい。下降しているときはボール4を係止でき上昇によりボールを放ち発射できる、一端側を支点に他端側が上下方向に回転する回転形態(図示なし)もある。ボール発射手段40は、ボール発射路2上でボール4を一端係止させ、開放させて発射可能な構成であれば、いずれの構成でもよい。
【0036】
次に、自分の意志でボール4の発射高さへボール4を置く前記昇降手段50について説明する。前記昇降手段50は、例えば、図5に示すように、前記ボール発射路2の樋状のスロープ内に傾斜方向に沿って昇降可能に嵌設され、前記ボール発射手段40(40a、40b)を設置した昇降箱体52を、モータ等の昇降用駆動手段53でカップリングなどを介して連結した、表面が摩擦抵抗を有する回転体51を前記ボール発射路2の両側壁に当接させながら回転方向を変えることによって昇降する構成である。これにより、前記ボール発射手段40を前記ボール発射路2のスロープに沿って上下方向に昇降させることができる。
【0037】
前記昇降手段50は、前記ボール発射手段40を前記ボール発射路2のスロープに沿って上下方向に昇降させることができる構成であればいずれの構成でもよく、例えば滑車と錘を使用した形態(図示なし)などがある。前記昇降手段50を図6に示すように前記ボール発射路2の後方R側である上端部まで上昇させるとボール4を発射させたときの転がり速度が速くなりボール4の転がる距離を長くすることができ、図7に示すように前記ボール発射路2の前方F側である下方まで下降させるとボール4を発射させたときの転がり速度が遅くなりボール4の転がる距離を短くすることができる。
【0038】
ボール4の転がり速度を早くしたり遅くしたりすることはボール4の転がる距離を調整することになるので、ボール4を置く高さを自分の意志の高さにするために、例えば、昇降の作動指示が表示された手で押す押釦15や、表示画面16に表示された昇降の作動指示が表示された釦画像を見た視線を検出する視線検出手段17によって、昇降手段50の上昇又は下降の駆動指示を出すと、前記昇降用駆動手段53を正転又は逆転し、昇降箱体52をボール発射路2のスロープに沿って上昇又は下降させることができる。
【0039】
次に、前記ボール選択手段20について説明する。前記ボール選択手段20は、図1に示すように、前記ボール発射手段40の上方で前記昇降手段50に設置され、又は、図示していないが、前記ボール発射手段40の上方で前記昇降手段50とは分離されて設置される。前記ボール選択手段20は、ボッチャ競技のルールで使用するボール数を収納可能にし、その収納した複数のボール4を1個ずつ分離収納可能で選択した1個のボール4を前記ボール発射手段40と前記昇降手段50の間に落下させることができる。
【0040】
前記ボール選択手段20は、図10図12に示すように、円筒状の円周壁22と、略円形状の底壁23と、円周方向に等分割で回転軸28から半径方向に延設された所定の数の仕切り板24とを有するボール収納部21と、さらに図13に示すように、少なくとも該仕切り板24を正転逆転回転させる駆動手段19とを備えている。そして、図10図13に示すように、前記ボール発射路2の垂直方向で上方に位置する前記底壁23又は前記円周壁22(図示なし)に、ボール1個のみが転がり出られる大きさの開口部25と、前記開口部25を開閉する遮断板26の開閉手段27とを設けて、少なくとも前記仕切り板24を正転逆転回転させることにより、選択したボール4を前記開口部25の位置に移動させて停止し、前記遮断板26を開にすることにより前記開口部25上に停止させたボール4を前記ボール発射路2上に落下させて転がり出すことができる。
【0041】
前記ボール収納部21は、図10(a)に示すように、収納するボール数が例えば7個の場合は、仕切り板24を7枚立設し、それぞれ仕切り板24でボール4を1個ずつ分離して収納する。そして、図10(b)に示すように、底壁23の前記ボール発射路2の垂直方向で上方に位置する部位であって、かつ隣り合わせの2つの仕切り板24間の底壁24の部分を開口部25とする。前記仕切り板24は駆動手段19の左右方向Mの回転によって回転するが、前記底壁23は回転しない。また、前記円周壁22は、前記仕切り板24と固定され一体となって回転する構成でも、前記底壁24と固定され回転しない構成でもよい。図13に示すように、例えばモータの駆動手段19によって回転軸28が左右方向Mに回転すると仕切り板24も一体となって回転する。これにより、選択したボール4を前記開口部25の位置に移動させることができる。
【0042】
収納している複数のボール4から転がしたいボール4を選ぶために、図13に示すように、前記ボール選択手段20の上方にカメラ29を設置している。これにより、ボッチャ会場に参加困難な重度障害者はカメラ29が撮影するライブ映像を図15又は図16に示す表示画面16で視認できるので、前記ボール選択手段20を、例えば、手で押す左右方向の作動指示が表示された押釦15や、表示画面16に表示された左右方向の作動指示が表示された釦画像を見た視線を検出する視線検出手段17などの遠隔操作で作動させることにより、ボール4を選択して、その選択したボール4を開口部25の真上に移動させ停止させることができる。
【0043】
図11図13に示すように、前記開口部25の下方で前記ボール発射路2の垂直方向の上方には前記開口部25からボール4の落下を防止する遮断板26が設けられ、該遮断板26は、例えばシリンダーなる開閉手段27によって、図11(a)、(b)に示すように閉方向H2側に移動したときは前記開口部25を閉となりボール4は落下しないが、図12(a)、(b)に示すように開方向H1側に移動したときは前記開口部25が開となりボール4は前記ボール発射路2上でかつ前記ボール発射手段40と前記昇降手段50の間に落下するようにする。これは、前記昇降手段50よりも後方R側に落下させると、前記昇降手段50によってボール4がころがり下るのを止められるため、前記ボール発射手段40までボール4が転がり到達しないからである。
【0044】
前記ボール選択手段20から前記ボール発射手段40へのボール4の受け渡し作動について説明する。図13(a)に示すように、前記ボール発射手段40は、ボール4を転がす距離によって、図1に示すように昇降手段50を作動させてボール発射路2の略中間高さに移動させたり、図6に示すように昇降手段50を作動させてボール発射路2の高い方に移動させたり、図7に示すように昇降手段50を作動させてボール発射路2の低い方に移動させることから、前記ボール選択手段20とは離隔した状態である。
【0045】
そのため、図13(b)に示すように、前記ボール選択手段20の底壁24の開口部25の垂直方向で真下に、前記昇降手段50と前記ボール発射手段40との間の範囲が位置するように、昇降手段50を作動させてボール発射手段40をボール発射路2に沿って上昇させる。
【0046】
そして、図13(c)に示すように、前記ボール選択手段20のシリンダーなどの開閉手段27によって前記遮断板26を開方向H1に移動させると、開口部25上に位置しているボール4は前記ボール発射手段40の手前に落下する。この後は、前記ボール発射手段40を昇降手段50によって、ボール4を転がす距離、すなわち転がり速度が狙いのレベルになる、前記ボール発射路2における高さまで移動し、前記ボール発射手段40によりボール4を発射する。
【0047】
以上より、本発明のボッチャランプ装置1によって、重度障害者80が、自分の意思で複数のボール4の中から1つのボール4を選んでボール発射路2上に置くことができ、自分の意志でボール4を転がせたい方向にボール発射路2の向きを前記左右方向回転手段30により実現でき、自分の意志でボール4の発射高さへボール4を置くことを前記昇降手段50により実現でき、及び、自分の意志でボール発射タイミングでのボール4の発射を前記ボール発射手段40により実現できる。
【符号の説明】
【0048】
1 ボッチャランプ装置
2 ボール発射路
3 支持体
4 ボール
5 カメラ
6 目印
10 連結部
11 上下方向回転自在部材
12 左右方向回転自在部材
15 押釦
16 表示画面
17 視線検出手段
19 駆動手段
20 ボール選択手段
21 ボール収納部
22 円周壁
23 底壁
24 仕切り版
25 開口部
26 遮断板
27 開閉手段
28 回転軸
29 カメラ
30 左右方向回転手段
31 揺動アーム部材
31a 腕部
31b 横架部
32 車輪回転用駆動手段
33 駆動車輪
34 固定車輪
36 連結部回転用駆動手段
40 ボール発射手段
41 係止板
42 回転軸
43 駆動手段
45 羽根
46 回転軸
50 昇降手段
51 回転体
52 昇降箱体
53 昇降用駆動手段
80 重度障害者
F 前方
G 床面
S 支点部
R 後方
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16