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特開2023-35526食材処理装置およびそれを用いた食材製造装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035526
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】食材処理装置およびそれを用いた食材製造装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20230306BHJP
【FI】
A23L7/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142438
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】中沢 和樹
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LE11
4B023LE16
4B023LT30
4B023LT34
(57)【要約】
【課題】部品を交換することなく、食材の厚さおよび奥行長さの両方を調整可能にする。
【解決手段】米飯を成形する縦コンベア2bの米飯成形部20は、一対のローラR1,R2と、これに直交して設置された一対のパネルP1,P2とを備えている。ローラR1の軸方向一端の回転軸SrはパネルP1に形成された長孔LH1に挿入され、ローラR1の軸方向他端側はパネルP2に形成された貫通孔H2に挿入されている。一方、ローラR2の軸方向一端は、パネルP1に形成された貫通孔H1に挿入され、ローラR2の軸方向他端の回転軸SrはパネルP2に形成された長孔LH2に挿入されている。これにより、一対のローラR1,R2の対向間隔と一対のパネルP1,P2の対向間隔とを変えることができるので、面倒な部品交換をすることなく、米飯の厚さと奥行長さとの両方を変えることができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して設置された第1のローラおよび第2のローラと、
前記第1のローラおよび前記第2のローラの軸方向に対して交差した状態で互いに対向して設置された第1のパネルおよび第2のパネルと、
前記第1のローラおよび前記第2のローラを回転するローラ回転手段と、
前記第1のローラと前記第2のローラとの間に供給された食材の厚さを規定するために、前記第1のローラと前記第2のローラとを接近または離間させるように前記第1のローラおよび前記第2のローラの両方または一方を移動させるローラ移動手段と、
前記第1のローラと前記第2のローラとの間に供給された前記食材の奥行長さを規定するために、前記第1のパネルと前記第2のパネルとを接近または離間させるように前記第1のパネルおよび前記第2のパネルの両方または一方を移動させるパネル移動手段と、
を備え、
前記第1のパネルにおいて、前記第1のローラの軸方向一端面に対向する位置には横方向の径が縦方向の径より長い第1の長孔が設けられ、前記第2のローラの軸方向一端面に対向する位置には第1の孔が設けられており、
前記第2のパネルにおいて、前記第1のローラの軸方向他端面に対向する位置には第2の孔が設けられ、前記第2のローラの軸方向他端面に対向する位置には横方向の径が縦方向の径より長い第2の長孔が設けられており、
前記第1のローラは、当該第1のローラの軸方向一端側の回転軸が前記第1の長孔に挿入され、前記第1のローラの軸方向他端側が前記第2の孔に挿入された状態で前記第1のパネルおよび前記第2のパネルに回転可能に支持されており、
前記第2のローラは、当該第2のローラの軸方向一端側が前記第1の孔に挿入され、前記第2のローラの軸方向他端側の回転軸が前記第2の長孔に挿入された状態で前記第1のパネルおよび前記第2のパネルに回転可能に支持されている、
ことを特徴とする食材処理装置。
【請求項2】
前記第1の孔は、前記第1のパネルを貫通して形成され、
前記第2のローラの軸方向一端側は、前記第1の孔を通じて前記第1のパネルを貫通しており、
前記第2の孔は、前記第2のパネルを貫通して形成され、
前記第1のローラの軸方向他端側は、前記第2の孔を通じて前記第2のパネルを貫通している、
ことを特徴とする請求項1記載の食材処理装置。
【請求項3】
前記第1のローラおよび前記第2のローラの対が、前記食材の搬送方向に沿って多段に設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の食材処理装置。
【請求項4】
前記第1のローラと前記第2のローラとの両方を移動させることで前記第1のローラと前記第2のローラとを互いに接近または離間させる場合に、前記第1のローラの移動量と、前記第2のローラの移動量とが同じである、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の食材処理装置。
【請求項5】
前記第1のローラと前記第2のローラとの両方を移動させることで前記第1のローラと前記第2のローラとを互いに接近または離間させる場合に、前記第1のローラの移動量と、前記第2のローラの移動量とが異なる、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の食材処理装置。
【請求項6】
前記第1のローラと前記第2のローラとを互いに接近または離間させる場合に、前記第1のローラと前記第2のローラとの何れか一方を固定し、他方を移動させる、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の食材処理装置。
【請求項7】
前記第1のパネルと前記第2のパネルとの両方を移動させることで前記第1のパネルと前記第2のパネルとを互いに接近または離間させる場合に、前記第1のパネルの移動量と、前記第2のパネルの移動量とが同じである、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の食材処理装置。
【請求項8】
前記第1のパネルと前記第2のパネルとの両方を移動させることで前記第1のパネルと前記第2のパネルとを互いに接近または離間させる場合に、前記第1のパネルの移動量と、前記第2のパネルの移動量とが異なる、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の食材処理装置。
【請求項9】
前記第1のパネルと前記第2のパネルとを互いに接近または離間させる場合に、前記第1のパネルと前記第2のパネルとの何れか一方を固定し、他方を移動させる、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の食材処理装置。
【請求項10】
前記食材が米飯である、
ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の食材処理装置。
【請求項11】
帯状海苔を供給する海苔供給手段と、
前記海苔供給手段から供給された帯状海苔を載せて搬送する無端ベルト状の搬送コンベアと、
前記搬送コンベア上に供給された前記帯状海苔上に、板状に成形した米飯を供給する請求項10記載の食材処理装置と、
前記食材処理装置よりも搬送下流に設けられ、前記帯状海苔上の前記板状の米飯上に具材を載置する具材載置部と、
前記具材載置部よりも搬送下流に設けられ、前記搬送コンベアの搬送動作に伴って、前記帯状海苔、前記板状の米飯および前記具材を有する積層物を巻き締める巻締手段と、
前記巻締手段よりも搬送下流に設けられ、前記巻締手段によって巻き締められた前記積層物を所定の長さに切断する切断手段と、
を備えたことを特徴とする食材処理装置を用いた食材製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材処理装置およびそれを用いた食材製造装置に関し、例えば、一対のローラにより食材を成形する食材成形部を有する食材処理装置およびそれを用いた食材製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食材処理装置においては、食材成形部(縦計量部)に配置された一対のローラの間に食材を流し込むとともに、その一対のローラを回転駆動することにより、食材を板状に成形して送り出すようになっている。
【0003】
ところで、食材処理装置においては、生産する製品のレシピ等に応じて食材成形部で送り出す食材の厚さ(一対のローラの対向間の寸法)や奥行長さ(ローラの長手方向の寸法)を変えたいという要望がある。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1においては、米飯(食材)の成形部の入口(一対のローラの上段であって米飯を一対のローラの間に流し込む箇所)に、米飯の奥行長さを規制する一対の規制プレートをローラの長手方向に沿って移動可能な状態で設置する技術が開示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献2には、成形部の一対のローラ間の相対的距離(米飯の厚さに相当)を変動させるリンク機構を設ける技術が開示されている。
【0006】
さらに、例えば、特許文献3には、成形部の一対のローラ間において、ローラの長手方向に沿って予め決められた間隔毎に仕切り板を設けることにより、所定形状に成形された所定寸法の米飯塊を送り出す技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-137448号公報
【特許文献2】特開2014-110819号公報
【特許文献3】特開2015-29446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前述した食材処理装置においては、食材の厚さまたは奥行長さの何れか一方のみを調整することができるが、食材の厚さおよび奥行長さの両方を調整するには、部品の交換が必要である。
【0009】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、部品を交換することなく、食材の厚さおよび奥行長さの両方を調整することができる食材処理装置およびそれを用いた食材製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の食材処理装置は、互いに対向して設置された第1のローラおよび第2のローラと、前記第1のローラおよび前記第2のローラの軸方向に対して交差した状態で互いに対向して設置された第1のパネルおよび第2のパネルと、前記第1のローラおよび前記第2のローラを回転するローラ回転手段と、前記第1のローラと前記第2のローラとの間に供給された食材の厚さを規定するために、前記第1のローラと前記第2のローラとを接近または離間させるように前記第1のローラおよび前記第2のローラの両方または一方を移動させるローラ移動手段と、前記第1のローラと前記第2のローラとの間に供給された前記食材の奥行長さを規定するために、前記第1のパネルと前記第2のパネルとを接近または離間させるように前記第1のパネルおよび前記第2のパネルの両方または一方を移動させるパネル移動手段と、を備え、前記第1のパネルにおいて、前記第1のローラの軸方向一端面に対向する位置には横方向の径が縦方向の径より長い第1の長孔が設けられ、前記第2のローラの軸方向一端面に対向する位置には第1の孔が設けられており、前記第2のパネルにおいて、前記第1のローラの軸方向他端面に対向する位置には第2の孔が設けられ、前記第2のローラの軸方向他端面に対向する位置には横方向の径が縦方向の径より長い第2の長孔が設けられており、前記第1のローラは、当該第1のローラの軸方向一端側の回転軸が前記第1の長孔に挿入され、前記第1のローラの軸方向他端側が前記第2の孔に挿入された状態で前記第1のパネルおよび前記第2のパネルに回転可能に支持されており、前記第2のローラは、当該第2のローラの軸方向一端側が前記第1の孔に挿入され、前記第2のローラの軸方向他端側の回転軸が前記第2の長孔に挿入された状態で前記第1のパネルおよび前記第2のパネルに回転可能に支持されている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の本発明の食材処理装置は、請求項1記載の発明において、前記第1の孔は、前記第1のパネルを貫通して形成され、前記第2のローラの軸方向一端側は、前記第1の孔を通じて前記第1のパネルを貫通しており、前記第2の孔は、前記第2のパネルを貫通して形成され、前記第1のローラの軸方向他端側は、前記第2の孔を通じて前記第2のパネルを貫通している、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の本発明の食材処理装置は、請求項1または2記載の発明において、前記第1のローラおよび前記第2のローラの対が、前記食材の搬送方向に沿って多段に設けられている、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の本発明の食材処理装置は、請求項1~3の何れか一項に記載の発明において、前記第1のローラと前記第2のローラとの両方を移動させることで前記第1のローラと前記第2のローラとを互いに接近または離間させる場合に、前記第1のローラの移動量と、前記第2のローラの移動量とが同じである、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の本発明の食材処理装置は、請求項1~3の何れか一項に記載の発明において、前記第1のローラと前記第2のローラとの両方を移動させることで前記第1のローラと前記第2のローラとを互いに接近または離間させる場合に、前記第1のローラの移動量と、前記第2のローラの移動量とが異なる、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の本発明の食材処理装置は、請求項1~3の何れか一項に記載の発明において、前記第1のローラと前記第2のローラとを互いに接近または離間させる場合に、前記第1のローラと前記第2のローラとの何れか一方を固定し、他方を移動させる、ことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の本発明の食材処理装置は、請求項1~6の何れか一項に記載の発明において、前記第1のパネルと前記第2のパネルとの両方を移動させることで前記第1のパネルと前記第2のパネルとを互いに接近または離間させる場合に、前記第1のパネルの移動量と、前記第2のパネルの移動量とが同じである、ことを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の本発明の食材処理装置は、請求項1~6の何れか一項に記載の発明において、前記第1のパネルと前記第2のパネルとの両方を移動させることで前記第1のパネルと前記第2のパネルとを互いに接近または離間させる場合に、前記第1のパネルの移動量と、前記第2のパネルの移動量とが異なる、ことを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の本発明の食材処理装置は、請求項1~6の何れか一項に記載の発明において、前記第1のパネルと前記第2のパネルとを互いに接近または離間させる場合に、前記第1のパネルと前記第2のパネルとの何れか一方を固定し、他方を移動させる、ことを特徴とする。
【0019】
請求項10に記載の本発明の食材処理装置は、請求項1~9の何れか一項に記載の発明において、前記食材が米飯である、ことを特徴とする。
【0020】
請求項11に記載の本発明の食材処理装置を用いた食材製造装置は、帯状海苔を供給する海苔供給手段と、前記海苔供給手段から供給された帯状海苔を載せて搬送する無端ベルト状の搬送コンベアと、前記搬送コンベア上に供給された前記帯状海苔上に、板状に成形した米飯を供給する請求項10記載の食材処理装置と、前記食材処理装置よりも搬送下流に設けられ、前記帯状海苔上の前記板状の米飯上に具材を載置する具材載置部と、前記具材載置部よりも搬送下流に設けられ、前記搬送コンベアの搬送動作に伴って、前記帯状海苔、前記板状の米飯および前記具材を有する積層物を巻き締める巻締手段と、前記巻締手段よりも搬送下流に設けられ、前記巻締手段によって巻き締められた前記積層物を所定の長さに切断する切断手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、部品を交換することなく、食材の厚さおよび奥行長さの両方を調整することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施の形態に係る食材製造装置の全体側面図である。
図2図1の食材製造装置の全体平面図である。
図3図1の米飯供給部の縦コンベアを構成する一対のローラの一例の拡大斜視図である。
図4】一方向から見た縦コンベアの要部斜視図である。
図5図4とは正反対の方向から見た縦コンベアの要部斜視図である。
図6】(a)は縦コンベアの米飯成形部の要部斜視図、(b)は(a)とは正反対の方向から見た縦コンベアの米飯成形部の要部斜視図である。
図7図5の左側から見た縦コンベアの要部斜視図である。
図8図7の破線で囲んだ領域の拡大斜視図である。
図9図4のカバー部を取り外して示した縦コンベアの要部斜視図である。
図10図9の縦コンベアを左側から見た要部斜視図である。
図11図9の米飯供給部を取り外して示した縦コンベアの要部斜視図である。
図12図9の米飯供給部を取り外して示した縦コンベアの要部斜視図である。
図13図9の米飯供給部を取り外して示した縦コンベアの要部斜視図である。
図14図9の米飯供給部を取り外して示した縦コンベアの要部斜視図である。
図15図9の米飯供給部を取り外して示した縦コンベアの要部斜視図である。
図16図9の米飯供給部を取り外して示した縦コンベアの要部斜視図である。
図17】(a)は一対のローラが最も接近したときの米飯供給部の斜視図、(b)は米飯供給部において一対のローラが離間したときの斜視図である。
図18】(a)は図17(a)の米飯供給部の平面図、(b)は図17(b)の米飯供給部の平面図である。
図19】米飯供給部において一対のパネルが最も接近したときの縦コンベアの斜視図である。
図20図19の縦コンベアの平面図である。
図21】米飯供給部において一対のパネルが最も離間したときの縦コンベアの斜視図である。
図22図21の縦コンベアの平面図である。
図23】一対のローラの移動量が同じ場合における図4の縦コンベアを構成する米飯成形部の一例の要部平面図である。
図24】一対のローラの移動量が異なる場合における図4の縦コンベアを構成する米飯成形部の一例の要部平面図である。
図25】一対のローラの一方を固定し、他方を移動させる場合における図4の縦コンベアを構成する米飯成形部の一例の要部平面図である。
図26】一対のパネルの移動量が同じ場合における図4の縦コンベアを構成する米飯成形部の一例の平要部面図である。
図27】一対のパネルの移動量が異なる場合における図4の縦コンベアを構成する米飯成形部の一例の要部平面図である。
図28】一対のパネルの一方を固定し、他方を移動させる場合における図4の縦コンベアを構成する米飯成形部の一例の要部平面図である。
図29】(a),(b)は図4の縦コンベアを構成する米飯成形部の変形例の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
まず、本実施の形態の食材製造装置の一例について図1および図2を参照して説明する。図1は本実施の形態に係る食材製造装置の全体側面図、図2図1の食材製造装置の全体平面図である。
【0025】
本実施の形態の食材製造装置(巻寿司連続製造装置)M1は、例えば巻寿司を自動的に製造するための巻寿司連続製造装置であり、海苔供給部1と、米飯供給部(食材処理装置)2と、搬送コンベア3(3a,3b)と、圧縮ローラ4と、カッタ部5とを備えている。
【0026】
海苔供給部1は、巻寿司に使う帯状海苔を搬送コンベア3a上に供給するための海苔供給手段の一例である。
【0027】
米飯供給部2は、巻寿司に使う寿司飯等のような米飯を板状に成形するとともに、米飯の分量を間接的に計量して帯状海苔上に供給する食材処理装置の一例であり、ホッパ2aと、その下流に設けられた解し部(図示せず)と、その下流に設けられた縦コンベア2bとを備えている。
【0028】
解し部は、ホッパ2aから供給された米飯を解す機構部であり、例えば、回転自在の状態で設置された解し羽根で構成されている。ホッパ2aから解し部(解し羽根)に供給された米飯は、解し羽根の回転によって解されながら縦コンベア2bに搬送されるようになっている。
【0029】
縦コンベア2bは、解し部から供給された米飯を板状状に成形して搬送するとともに、米飯の分量を間接的に計量する機構部である。縦コンベア2bには、例えば、複数段の一対のローラR,Rが設置されている。
【0030】
解し部から縦コンベア2bに供給された米飯は、複数段の一対のローラR,Rの回転によって圧縮され、板状に成形された状態で下方に搬送されるようになっている。また、縦コンベア2bでは、複数段の一対のローラR,Rの回転角度、駆動時間または駆動速度を制御することにより米飯の分量を間接的に計量(調整)することができるようになっている。
【0031】
搬送コンベア3は、米飯の搬送方向に沿って直列に設置された2台の搬送コンベア3a,3bを備えている。搬送コンベア3a,3bは、それぞれ無端ベルトB1,B2を備えている。
【0032】
前段の搬送コンベア3aは、無端ベルトB1上に帯状海苔を介して載せられた板状の米飯の上に、蒲鉾や卵等のような具材を載置する具材載置部になっている。
【0033】
後段の搬送コンベア3bは、無端ベルトB2を円筒状に丸めることで、無端ベルトB2上の積層物(帯状海苔、板状の米飯および具材)を径方向の断面形状が略「の字形」になるように巻き締める巻締手段になっている。
【0034】
なお、後段の搬送コンベア3bでは、圧縮ローラ4によって圧縮された米飯の幅方向一端部が、米飯の幅方向他端部側にオーバーラップして外周面に到来するように、積層物を巻き締めるようになっている。
【0035】
圧縮ローラ4は、米飯供給部2によって供給された板状の米飯の幅方向一端部(搬送方向に直交する方向の一端部)を、外側に向けて薄くなるように圧縮する手段であり、搬送コンベア3a上に設置されている。
【0036】
カッタ部5は、搬送コンベア3bによって巻き締められて連続的に搬送される海苔巻等のような巻寿司を所定の長さにするために、巻寿司の所定位置を搬送方向に直角に切断する切断手段の一例である。
【0037】
次に、図1の米飯供給部2の縦コンベア2bを構成する一対のローラR,Rの一例について図3を参照して説明する。図3図1の米飯供給部の縦コンベアを構成する一対のローラの一例の拡大斜視図である。
【0038】
縦コンベア2bには、例えば、一対のローラR(第1のローラR1,第2のローラR2)が上流から下流に向かって3段設置されている。ただし、一対のローラR1,R2の段数は、3段に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、2段でもよい。
【0039】
各段の一対のローラR1,R2は、例えば、フッ素系の樹脂からなり、各々の外周面を互いに対向させた状態で所定の対向間隔を空けて設置されている。なお、各段の一対のローラR1,R2の対向間隔は、上流から下流に向かって徐々に狭まるようになっている。
【0040】
この各段の一対のローラR1,R2の対向間に米飯が供給されることで板状の米飯が成形されるようになっている。すなわち、米飯は、最上段の一対のローラR1,R2の間に供給された後、中段の一対のローラR1,R2の間および最下段の一対のローラR1,R2の間を順に経て成形されるようになっている。
【0041】
このため、一対のローラR1,R2の対向間隔によって板状の米飯の厚さが規定される。そして、本実施の形態においては、後述するように、一対のローラR1,R2の対向間隔を変えることで米飯の厚さを変えることが可能な構成になっている。
【0042】
また、一対のローラR1,R2の軸方向(長手方向)の米飯の長さを規定することによって板状の米飯の奥行長さが規定される。そして、本実施の形態においては、後述するように、米飯の奥行長さを変えることが可能な構成になっている。
【0043】
なお、各段の一対のローラR1,R2の外周面には、ローラR1,R2の軸方向に延びる複数の凸部Cと複数の凹部DとがローラR1,R2の外周に沿って交互に形成されている。複数の凸部Cは米飯を送り出すように作用し、複数の凹部Dは米飯の送り出しの際に米飯が潰れてしまうのを抑制するように作用している。
【0044】
次に、図1の米飯供給部2の縦コンベア2bにおいて、米飯の厚さおよび奥行長さを変える機構の一例について図4図22を参照して説明する。
【0045】
図4および図5に示すように、縦コンベア2bは、仕切部10と、米飯成形部20と、駆動機構部30とを備えている。ここで、図4は縦コンベアの要部斜視図、図5図4とは正反対の方向から見た縦コンベアの要部斜視図である。
【0046】
まず、仕切部10について説明する。仕切部10は、米飯成形部20と駆動機構部30とを仕切り隔てる部材であり、ベース板11と、カバー部12とを備えている。
【0047】
ベース板11は、例えば、アルミニウム等のような金属で形成された薄板からなり、米飯成形部20側の表面と、その裏側の裏面とを有している。ベース板11の表裏面内中央には、表裏面間を貫通する貫通孔11h1(図5参照)が形成されており、ベース板11は、例えば、平面視で枠状に形成されている。
【0048】
カバー部12は、例えば、ステンレス等のような金属で形成された箱体からなり、ベース板11の表面に設置された駆動機構部30の一部を覆うようにベース板11の表面に設置されている。
【0049】
次に、米飯成形部20について説明する。図4図10に示すように、米飯成形部20は、米飯を成形する部分であり、前述した複数段の一対のローラR1,R2と、一対のパネルP1,P2(第1のパネルP1,第2のパネルP2)とを備えている。ここで、図6(a)は縦コンベアの米飯成形部の要部斜視図、図6(b)は図6(a)とは正反対の方向から見た縦コンベアの米飯成形部の要部斜視図、図7図5の左側から見た縦コンベアの要部斜視図、図8図7の破線で囲んだ領域の拡大斜視図、図9図4のカバー部を取り外して示した縦コンベアの要部斜視図、図10図9の縦コンベアを左側から見た要部斜視図である。なお、図7および図8においては図面を見易くするため仕切部10のカバー部12を取り外して示している。
【0050】
一対のパネルP1,P2は、例えば、フッ素系の樹脂で形成された薄板からなり、米飯が接する表面と、その裏側の裏面とを有している。一対のパネルP1,P2は、例えば、平面視で長方形状に形成されている。
【0051】
この一対のパネルP1,P2は、一対のローラR1,R2の軸方向に直交した状態で設置されているとともに、互いに所定の間隔を空けて各々の表面を対向させた状態で設置されている。米飯は、一対のローラR1,R2と、一対のパネルP1,P2とで囲まれた空間に供給されて板状に成形される。そして、一対のパネルP1,P2の対向間隔によって板状の米飯の奥行長さが規定される。
【0052】
パネルP1において、ローラR2の軸方向一端面に対向する位置には、パネルP1の表裏面間を貫通する貫通孔(第1の孔)H1が形成されている。ローラR2の軸方向一端側はパネルP1の貫通孔H1を通じて貫通している。
【0053】
また、パネルP1において、ローラR1の軸方向一端面に対向する位置には、パネルP1を貫通する長孔(第1の長孔)LH1が形成されている。この長孔LH1には、ローラR1の軸方向一端面の回転軸Srが挿入されている。
【0054】
パネルP2において、ローラR1の軸方向他端面に対向する位置には、パネルP2を貫通する貫通孔(第2の孔)H2が形成されている。ローラR1の軸方向他端側はパネルP2の貫通孔H2を通じて貫通している。
【0055】
また、パネルP2において、ローラR2の軸方向他端面に対向する位置には、パネルP2を貫通する長孔(第2の長孔)LH2が形成されている。この長孔LH2には、図7および図8に示すように、ローラR2の軸方向他端面の回転軸Srが挿入されている。
【0056】
また、パネルP1,P2において、左右の縦辺の中央近傍には、パネルP1,P2の各々を貫通する長孔LH3,LH4が形成されている。図4図5図7および図8に示すように、この長孔LH3,LH4には、支持軸Ssが挿入されている。
【0057】
図11図16に示すように、ベース板11の横枠表面には、例えば、2本の支持軸Ssがベース板11の貫通孔11h1を挟み込むようにして当該ベース枠11に対して垂直に設けられている。ここで、図11図16図9の米飯供給部を取り外して示した縦コンベアの要部斜視図である。なお、図13においては、図面を見易くするために、支持軸Ssに網点を付した。
【0058】
この2本の支持軸Ssは、米飯成形部20(図9および図10等参照)を支持する部材であり、各支持軸Ssの軸方向一端面がベース板11の横枠表面に固定され、各支持軸Ssの軸方向他端側が米飯成形部20側に直線状に延びている。
【0059】
次に、駆動機構部30について説明する。図4図5図7図9図16に示すように、駆動機構部30は、米飯成形部20の各部を駆動する機構部であり、ローラ回転機構部(ローラ回転手段)31と、ローラ移動機構部(ローラ移動手段)32と、パネル移動機構部(パネル移動手段)33とを備えている。
【0060】
ローラ回転機構部31は、一対のローラR1,R2を回転させるためのローラ回転手段の一例であり、複数個のモータ31mと、複数本の回転軸Srとを備えている。なお、図14においては、図面を見易くするために、回転軸Srに網点を付した。
【0061】
各モータ31mは、例えば、正逆方向に回転自在で回転角度の制御が可能な電気式モータ(サーボモータ、ステッピングモータなど)からなり、ベース板11の裏面側に設置されている。この例においては、モータ31mがローラR1,R2毎に設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、1個のモータ31mで複数のローラR1,R2を回転させることもできる。
【0062】
回転軸Srは、モータ31mの回転動作をローラR1,R2に伝達するための部材であり、回転軸Srの軸方向一端側はモータ31mの回転軸と機械的に接続され、回転軸Srの軸方向他端側はベース板11の貫通孔11h1を通じて米飯成形部20側に直線状に延びて各ローラR1,R2と機械的に接続されている。
【0063】
次に、ローラ移動機構部32は、一対のローラR1,R2を互いに接近または離間させるように移動するためのローラ移動手段の一例であり、モータ32mと、一対のブロック32b1,32b2と、回転ネジ切軸32rsと、無端ベルト32vとを備えている。
【0064】
モータ32mは、例えば、正逆方向に回転自在で回転角度の制御が可能な電気式モータ(サーボモータ、ステッピングモータなど)からなり、モータ32mの回転軸を横に向けた状態でベース板11の上枠表面に固定されている。このモータ32mの回転軸には回転ローラ32r1が取り付けられている。この例においては、モータ32mが1個だけ設けられている。これにより、縦コンベア2bの小型軽量化を図ることができる。
【0065】
一対のブロック32b1,32b2は、例えば、金属または樹脂により形成された直方体状のブロックからなり、ブロック32b1,32b2の長手方向を縦方向に沿わせた状態でベース板11の上枠と下枠とを橋渡すようにベース板11の貫通孔11h1の位置に横方向に沿って並んで設置されている。
【0066】
一対のブロック32b1,32b2の各々の両側面の上部および下部の同じ位置には、各々のブロック32b1,32b2の両側面間を貫通する貫通孔が形成されている。この上下の貫通孔には、貫通リング32h1が挿入され、さらにその貫通リング32h1の孔内に支持軸32sが挿入されており、一対のブロック32b1,32b2は、支持軸32sに沿って横方向に移動自在の状態で支持されている。
【0067】
また、一対のブロック32b1,32b2の各々には、その表裏面(側面に直交する面)間を貫通する貫通孔32h2が縦方向に沿って3個形成されており、その各々の貫通孔32h2にはローラR1,R2の回転軸Srが回転可能な状態で挿入されている。すなわち、ブロック32b1と3本のローラR1とが係合され、ブロック32b2と3本のローラR2とが係合されている。
【0068】
また、一対のブロック32b1,32b2の各々の両側面中央には、各々のブロック32b1,32b2の両側面間を貫通するネジ孔32h3が形成されている。この各々のネジ孔32h3には、1本の回転ネジ切軸32rsが螺合されている。
【0069】
回転ネジ切軸32rsにおいてブロック32b1のネジ孔32h3に螺合された部分と、ブロック32b2のネジ孔32h3に螺合された部分とでは雄ネジの向きが逆になっている。例えば、回転ネジ切軸32rsにおいてブロック32b1のネジ孔32h3に螺合された部分には正ネジが形成され、ブロック32b2のネジ孔32h3に螺合された部分には逆ネジが形成されている。
【0070】
また、各ブロック32b1,32b2のネジ孔32h3,32h3の内壁面には、それぞれ回転ネジ切軸32rsの正ネジ部および逆ネジ部に対応した雌ネジが形成されている。なお、回転ネジ切軸32rsの各雄ネジ部およびそれに対応する雌ネジ部では、ネジの向きが逆なになっているだけでそれ以外の寸法(山と山との間隔や谷と谷との間隔等)は同じである。
【0071】
この回転ネジ切軸32rsの軸方向一端には、回転ローラ32r2が取り付けられている。そして、この回転ローラ32r2とモータ32mの回転軸に取り付けられた回転ローラ32r1とには、無端ベルト32vが周回可能に架け渡されている。
【0072】
これにより、モータ32mが回転すると回転ネジ切軸32rsが回転するので、回転ネジ切軸32rsが螺合された一対のブロック32b1,32b2が互いに接近または離間するようになっている。この場合、回転ネジ切軸32rsの各雄ネジ部の寸法や対応する雌ネジ部の寸法は同じなので、ブロック32b1,32b2の移動量も同じである。
【0073】
したがって、モータ32mが回転すると、一対のブロック32b1,32b2に係合された一対のローラR1,R2が互いに接近または離間するようになっている。
【0074】
すなわち、モータ32mが一方向に回転すると、回転ネジ切軸32rsが一方向に回転することにより、一対のブロック32b1,32b2が互いに接近するようになっている。その結果、図17(a)および図18(a)に示すように、一対のブロック32b1,32b2に係合されたローラR1,R2が互いに接近するようになっている。ここで、図17(a)は一対のローラが最も接近したときの米飯供給部の斜視図、図18(a)は図17(a)の米飯供給部の平面図である。
【0075】
一方、モータ32mが一方向とは反対方向に回転すると回転ネジ切軸32rsが他方向に回転することにより、一対のブロック32b1,32b2が互いに離間するようになっている。その結果、図17(b)および図18(b)に示すように、一対のブロック32b1,32b2に係合された一対のローラR1,R2が互いに離間するようになっている。ここで、図17(b)は米飯供給部において一対のローラが離間したときの斜視図、図18(b)は図17(b)の米飯供給部の平面図である。
【0076】
このように本実施の形態においては、一対のローラR1,R2の対向間隔を変えることができるので、一対のローラR1,R2により成形される板状の米飯の厚さを変えることができる。
【0077】
なお、図4に示すように、カバー部12には、その表裏面を貫通する長孔LH5が形成されている。この長孔LH5には、ローラR1,R2の回転軸Srが貫通している。長孔LH5は、前述した回転軸Srの横方向(接近または離間)の移動を許容できるように、横方向の径がこれに直交する縦方向の径より長くなるように形成されている。
【0078】
また、前述の例では、モータ32mを1個設ける場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、モータ32mを2個設けるとともに、回転ネジ切軸32rsもブロック32b1,32b2毎に分けて設けることにより、各々のモータ32m,32mで各々のブロック32b1,32b2の移動動作を制御するようにしてもよい。これにより、ブロック32b1,32b2の移動量を容易に変えることができる。
【0079】
次に、図4図5図7図9図16に示すように、パネル移動機構部33は、一対のパネルP1,P2を互いに接近または離間させるように移動するためのパネル移動手段の一例であり、モータ33m1,33m2と、変換部33c1、33c2と、移動軸33s1,33s2と、移動板33p1~33p4とを備えている。
【0080】
各モータ33m1,33m2は、例えば、正逆方向に回転自在で回転角度の制御が可能な電気式モータ(サーボモータ、ステッピングモータなど)からなり、ベース板11の縦枠の裏面側に設けられている。各モータ33m1,33m2の回転軸は変換部33c1、33c2を介して移動軸33s1,33s2の軸方向一端側と機械的に接続されている。
【0081】
変換部33c1、33c2は、モータ33m1,33m2の回転運動を直線運動に変換する機構部であり、モータ33m1,33m2の回転軸に接続された雌ネジ部(図示せず)と、この雌ネジ部に螺合された雄ネジ軸(図示せず)とを有している。この雄ネジ軸の他端側は移動軸33s1,33s2と機械的に接続されている。
【0082】
したがって、モータ33m1,33m2が回転(すなわち、変換部33c1,33c2の雌ネジ部が回転)すると、変換部33c1,33c2の雄ネジ軸が軸方向に直線移動するので、移動軸33s1,33s2も軸方向に直線移動するようになっている。すなわち、モータ33m1,33m2が一方向に回転すると、移動軸33s1,33s2はモータ33m1,33m2から離間する方向に移動し、モータ33m1,33m2が一方向とは反対方向に回転すると移動軸33s1,33s2はモータ33m1,33m2に接近する方向に移動するようになっている。
【0083】
移動軸33s1,33s2は、ベース板11に形成された貫通孔11h2を通じてベース板11の裏面側からベース板11の表面側の米飯成形部20に直線状に延びている。
【0084】
一方の移動軸33s1には、2枚の移動板33p1,33p2が互いに対向し所定の間隔を空けた状態で固定されている。一方の移動板33p1は、移動軸33s1の軸方向他端面にネジN1で着脱自在の状態で固定されている。この移動板33p1は、例えば、パネルP1の外周を縁取るように平面視で枠状に形成されており、パネルP1の裏面に接した状態で固定されている。
【0085】
移動軸33s1の他方の移動板33p2は、移動軸33s1の軸方向途中の位置に取り付けられている。この移動板33p2は、例えば、平面視で櫛歯状に形成されている。また、移動板33p2は、その櫛歯の凹凸部を他方の移動軸33s2に向けた状態で取り付けられているとともに、パネルP2の裏面側においてローラR1の軸方向他端面に接した状態で取り付けられている。
【0086】
図15等に示すように、櫛歯状の移動板33p2の凹部には、ローラR1の回転軸Srが嵌り込んでいる。なお、図15においては、図面を見易くするために移動軸33s1および移動板33p2に網点を付した。
【0087】
他方の移動軸33s2には、2枚の移動板33p3,33p4が互いに対向し所定の間隔を空けた状態で固定されている。一方の移動板33p3は、移動軸33s2の軸方向他端面にネジN2で着脱自在の状態で固定されている。この移動板33p3は、例えば、平面視で四角形状に形成されており、パネルP1の裏側においてローラR2の軸方向一端面に接した状態で固定されている。
【0088】
移動軸33s2の他方の移動板33p4は、移動軸33s2の軸方向途中の位置に取り付けられている。移動板33p4は、例えば、パネルP2の外周を縁取るように平面視で枠状に形成されており、パネルP2の裏面に接した状態で固定されている。
【0089】
図16等に示すように、枠状の移動板33p4の枠内には、ローラR1,R2の回転軸Srおよび支持軸Ssが通過している。なお、図16においては、図面を見易くするために移動軸33s2および移動板33p4に網点を付した。
【0090】
このような構成においては、モータ33m1,33m2の回転方向および回転量を制御することにより、移動軸33s1,33s2および移動板33p1~33p4の移動方向および移動量を制御することができるので、一対のパネルP1,P2を互いに接近または離間させるように移動させることができるようになっている。
【0091】
すなわち、モータ33m1を一方向に回転させて移動軸33s1および移動板33p1,33p2をベース板11に接近する方向に移動させるとともに、モータ33m2を一方向とは反対方向に回転させて移動軸33s2および移動板33p3,33p4をベース板11から離間する方向に移動させると、図19および図20に示すように、一対のパネルP1,P2が互いに接近するようになっている。ここで、図19は米飯供給部において一対のパネルが最も接近したときの縦コンベアの斜視図、図20図19の縦コンベアの平面図である。
【0092】
一方、モータ33m1を他方向に回転させて移動軸33s1および移動板33p1,33p2をベース板11から離間する方向に移動させるとともに、モータ33m2を一方向に回転させて移動軸33s2および移動板33p3,33p4をベース板11に接近する方向に移動させると、図21および図22に示すように、一対のパネルP1,P2が互いに離間するようになっている。ここで、図21は米飯供給部において一対のパネルが最も離間したときの縦コンベアの斜視図、図22図21の縦コンベアの平面図である。
【0093】
このように、本実施の形態においては、一対のパネルP1,P2の対向間隔を変えることができるので、一対のパネルP1,P2により成形される板状の米飯の奥行長さを変えることができる。すなわち、本実施の形態においては、面倒な部品交換をすることなく、板状の米飯の厚さおよび奥行長さの両方を調整することができる。また、縦コンベア2bから送り出される米飯の送り長さは、一対のローラR1,R2の送り量で調整することができるので、米飯の送り長さも調整することができる。したがって、生産する製品のレシピに応じて、板状の米飯の厚さ、奥行長さおよび送り長さの3辺の寸法を自在に調整することができる。
【0094】
次に、一対のローラR1,R2の対向間隔を調整するときの動作例について図23図25を参照して説明する。
【0095】
図23は一対のローラR1,R2の移動量が同じ場合における図4の縦コンベアを構成する米飯成形部の一例の要部平面図である。なお、図23では図面を見易くするため一緒に移動する部品に同じハッチングおよび網点を付した。また、符号X1は、一対のローラR1,R2と一対のパネルP1,P2とで囲まれる空間の中心点を示している。また、矢印A1は、ローラR1,R2の移動方向を示している。また、矢印A1の長さは、移動量が同じであることを模式的に示している。
【0096】
図23に示すように、一対のローラR1,R2の対向間隔を変えるには、ローラR1とパネルP2とが一体になるとともに、ローラR2とパネルP1とが一体となって、パネルP1,P2の長孔LH1,LH2の範囲で移動する。これにより、一対のローラR1,R2が接近(図23の下図)または離間(図23の上図)する。一対のローラR1,R2が接近すると米飯の厚さが薄くなり、一対のローラR1,R2が離間すると米飯の厚さが厚くなる。
【0097】
ここで、図23においては、一対のローラR1,R2の移動量が同じ場合が示されている。すなわち、一対のローラR1,R2が互いに接近するときの各ローラR1,R2の移動量が同じであり、一対のローラR1,R2が互いに離間するときの各ローラR1,R2の移動量が同じになっている。この場合、一対のローラR1,R2が互いに接近しているときと、互いに離間したときとで中心点X1の位置が一致しており、米飯の厚さ中心位置が一致している。
【0098】
ただし、図24に示すように、一対のローラR1,R2の移動量を変えることもできる。図24は一対のローラR1,R2の移動量が異なる場合における図4の縦コンベアを構成する米飯成形部の一例の要部平面図である。なお、図24においても図面を見易くするため一緒に移動する部品に同じハッチングおよび網点を付した。また、符号X2は、一対のローラR1,R2と一対のパネルP1,P2とで囲まれる空間の中心点を示している。また、矢印A2,A3は、ローラR1,R2の移動方向を示している。また、矢印A2,A3の長さは、移動量が異なることを模式的に示している。
【0099】
図24においては、一対のローラR1,R2が互いに接近するときの各ローラR1,R2の移動量が異なっており、一対のローラR1,R2が互いに離間するときの各ローラR1,R2の移動量が異なっている。この場合、一対のローラR1,R2が互いに接近したときと、互いに離間したときとで中心点X1,X2の位置が一致しておらず、米飯の厚さ方向の中心位置が異なっている。
【0100】
また、図25に示すように、一対のローラR1,R2のうち一方を固定し、他方だけを移動させることもできる。図25は一対のローラR1,R2の一方を固定し、他方を移動させる場合における図4の縦コンベアを構成する米飯成形部の一例の要部平面図である。なお、図25においても図面を見易くするため一緒に移動する部品に同じハッチングおよび網点を付した。また、符号X3は、一対のローラR1,R2と一対のパネルP1,P2とで囲まれる空間の中心点を示している。また、矢印A4は、ローラR1の移動方向を示している。
【0101】
図25においては、一方のローラR2および一方のパネルP1を固定し、他方のローラR1および他方のパネルP2だけを移動させるようにする場合が例示されている。この場合も一対のローラR1,R2が互いに接近したときと、互いに離間したときとで中心点X1,X3の位置が一致しておらず、米飯の厚さ方向の中心位置が異なっている。なお、前述の場合とは逆に、ローラR1およびパネルP2を固定し、ローラR2およびパネルP1を移動させることもできる。
【0102】
次に、一対のパネルP1,P2の対向間隔を調整するときの動作例について図26図28を参照して説明する。
【0103】
図26は一対のパネルP1,P2の移動量が同じ場合における図4の縦コンベアを構成する米飯成形部の一例の要部平面図である。なお、図26では図面を見易くするため一緒に移動する部品に同じハッチングおよび網点を付した。また、符号X4は、一対のローラR1,R2と一対のパネルP1,P2とで囲まれる空間の中心点を示している。また、矢印A5は、パネルP1,P2の移動方向を示している。また、矢印A5の長さは、移動量が同じであることを模式的に示している。
【0104】
図26に示すように、一対のパネルP1,P2の対向間隔を変えるには、前述の場合とは一体となるものが異なり、パネルP1とローラR1とが一体になるとともに、パネルP2とローラR2とが一体となって移動する。これにより、一対のパネルP1,P2が接近(図26の上図)または離間(図26の下図)する。一対のパネルP1,P2が接近すると米飯の奥行長さが短くなり、一対のパネルP1,P2が離間すると米飯の奥行長さが長くなる。
【0105】
ここで、図26においては、一対のパネルP1,P2の移動量が同じ場合が示されている。すなわち、一対のパネルP1,P2が互いに接近するときの各パネルP1,P2の移動量が同じであり、一対のパネルP1,P2が互いに離間するときの各パネルP1,P2の移動量が同じになっている。この場合、一対のパネルP1,P2が互いに接近したときと、互いに離間したときとで中心点X4の位置が一致しており、米飯の奥行長さの中心位置が一致している。
【0106】
ただし、図27に示すように、一対のパネルP1,P2の移動量を変えることもできる。図27は一対のパネルP1,P2の移動量が異なる場合における図4の縦コンベアを構成する米飯成形部の一例の要部平面図である。なお、図27においても図面を見易くするため一緒に移動する部品に同じハッチングおよび網点を付した。また、符号X5は、一対のローラR1,R2と一対のパネルP1,P2とで囲まれる空間の中心点を示している。また、矢印A6,A7は、パネルP1,P2の移動方向を示している。また、矢印A6,A7の長さは、移動量が異なることを模式的に示している。
【0107】
図27においては、一対のパネルP1,P2が互いに接近するときの各パネルP1,P2の移動量が異なっており、一対のパネルP1,P2が互いに離間するときの各パネルP1,P2の移動量が異なっている。この場合、一対のパネルP1,P2が互いに接近したときと、互いに離間したときとで中心点X4,X5の位置が一致しておらず、米飯の奥行長さ方向の中心位置が異なっている。
【0108】
また、この例では、図27の下段のパネルP1,P2の位置が図26の下段のパネルP1,P2の位置に比べて若干右にずれている。すなわち、図27では図26の場合に比べて米飯の奥行方向の両端を右にずらすことができる。
【0109】
また、図28に示すように、一対のパネルP1,P2のうち一方を固定し、他方だけを移動させることもできる。図28は一対のパネルP1,P2の一方を固定し、他方を移動させる場合における図4の縦コンベアを構成する米飯成形部の一例の要部平面図である。なお、図28においても図面を見易くするため一緒に移動する部品に同じハッチングおよび網点を付した。また、符号X6は、一対のローラR1,R2と一対のパネルP1,P2とで囲まれる空間の中心点を示している。また、矢印A8は、パネルP2の移動方向を示している。
【0110】
図28においては、一方のパネルP1および一方のローラR1を固定し、他方のパネルP2および他方のローラR2だけを移動させるようにする場合が例示されている。この場合も一対のパネルP1,P2が互いに接近したときと、互いに離間したときとで中心点X4,X6の位置が一致しておらず、米飯の奥行長さ方向の中心位置が異なっている。
【0111】
また、この例では、図28の下段のパネルP2の位置が図26の下段のパネルP2の位置に比べて若干右にずれている。すなわち、図28では図26の場合に比べて米飯の奥行方向の両端を右にずらすことができる。なお、前述の場合とは逆に、パネルP2およびローラR2を固定し、パネルP1およびローラR1を移動させることもできる。
【0112】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0113】
例えば、前述した実施の形態においては、一対のパネルに一対のローラを通す貫通孔を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、貫通孔に代えて有底の孔(貫通していない孔)を設けてもよい。
【0114】
図29(a),(b)は図4の縦コンベアを構成する米飯成形部の要部断面図である。パネルP1には、パネルP1の表裏面間を貫通していない有底の孔(第1の孔)H3が形成されており、その孔H3の中にローラR2の軸方向一端部が挿入されている。一方、パネルP2には、パネルP2の表裏面間を貫通していない有底の孔(第2の孔)H4が形成されており、その孔H4の中にローラR1の軸方向他端部が挿入されている。ローラR1,R2は、孔H3,H4を通じてパネルP1,P2を貫通することなく、これらの孔H3,H4の深さの範囲で移動できる。これにより、パネルP1,P2は孔H3,H4の深さの範囲で移動することにより、一対のパネルP1,P2が互いに接近または離間できるようになっている。これ以外の構成は、前述した実施の形態と同じである。
【0115】
また、前述した実施の形態においては、本発明の食材処理装置を食材製造装置としての巻寿司連続製造装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく種々適用可能であり、例えば、おにぎり製造装置、弁当容器に板状の米飯を盛り付ける米飯盛付機またはシャリ玉成形機になど、一対のローラR(第1のローラR1,第2のローラR2)が上流から下流に向かって設置された様々な食材製造装置に適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明による食材処理装置およびそれを用いた食材製造装置は、例えば、餅類、麺類または菓子類等のような他の食材を板状に成形する食材処理装置およびそれを用いた食材製造装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0117】
1 海苔供給部
2 米飯供給部(食材処理装置)
2a ホッパ
2b 縦コンベア
3,3a,3b 搬送コンベア
4 圧縮ローラ
5 カッタ部
10 仕切部
11 ベース板
11h1 貫通孔
12 カバー部
20 米飯成形部
30 駆動機構部
31 ローラ回転機構部(ローラ回転手段)
31m モータ
32 ローラ移動機構部(ローラ移動手段)
32b1,32b2 ブロック
32h1 貫通リング
32h2 貫通孔
32h3 ネジ孔
32m モータ
32rs 回転ネジ切軸
32r1,32r2 回転ローラ
32s 支持軸
32v 無端ベルト
33 パネル移動機構部(パネル移動手段)
33c1、33c2 変換部
33m1,33m2 モータ
33p1~33p4 移動板
33s1,33s2 移動軸
B1,B2 無端ベルト
H1 貫通孔(第1の孔)
H2 貫通孔(第2の孔)
H3 孔(第1の孔)
H4 孔(第2の孔)
LH1 長孔(第1の長孔)
LH2 長孔(第2の長孔)
LH3 長孔
LH4 長孔
LH5 長孔
M1 食材製造装置(巻寿司連続製造装置)
N1,N2 ネジ
R ローラ
R1 ローラ(第1のローラ)
R2 ローラ(第2のローラ)
P1 パネル(第1のパネル)
P2 パネル(第2のパネル)
Sr 回転軸
Ss 支持軸
図1
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