(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035527
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】定量米飯製造装置
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20230306BHJP
【FI】
A23L7/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142439
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】小池 真二
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LE11
4B023LT43
4B023LT44
(57)【要約】
【課題】主米飯に対して補充された補充米飯の視覚的な違和感を緩和する。
【解決手段】米飯Rを搬送する搬送コンベア5と、最終目標重量値よりも少ない重量に設定された設定重量値を目標とした米飯Rである主米飯R1を生成して搬送コンベア5に落下搭載する主米飯生成部3と、主米飯R1の重量と最終目標重量値との重量差である補充重量値を目標とした米飯Rである補充米飯R2を生成して搬送コンベア5に搬送される主米飯R1に補充する補充米飯生成部4とを有する。補充米飯生成部4は、補充米飯R2を解す解しローラ4cを備えており、搬送実行中にある搬送コンベア5上の主米飯R1に対して解された補充米飯R2が主米飯R1の上面全体に分散落下するように補充する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯を搬送する搬送手段と、
最終目標重量値よりも少ない重量に設定された設定重量値を目標とした米飯である主米飯を生成して前記搬送手段に落下搭載する第1の生成手段と、
主米飯の重量と前記最終目標重量値との重量差である補充重量値を目標とした米飯である補充米飯を生成して当該補充米飯を前記搬送手段に搬送される主米飯に補充する第2の生成手段とを有し、
前記第2の生成手段は、補充米飯を解す解し部を備え、当該解し部で解された補充米飯が主米飯の上面全体に分散落下するように補充する、
ことを特徴とする定量米飯製造装置。
【請求項2】
前記第2の生成手段は、
搬送動作が実行状態にある前記搬送手段上の主米飯に対して補充米飯を補充する、
ことを特徴とする請求項1記載の定量米飯製造装置。
【請求項3】
前記第2の生成手段は、
前記搬送手段の搬送方向に沿ってまたは搬送方向とは逆方向に沿って移動可能とされ、
搬送動作が停止状態にある前記搬送手段上の主米飯に対して移動しながら補充米飯を補充する、
ことを特徴とする請求項1記載の定量米飯製造装置。
【請求項4】
前記第2の生成手段は、
前記解し部で解された補充米飯を異なる落下位置に振り分ける振分手段をさらに備え、
搬送動作が停止状態にある前記搬送手段上の主米飯に対して補充米飯を前記振分手段で振り分けながら補充する、
ことを特徴とする請求項1記載の定量米飯製造装置。
【請求項5】
前記第1の生成手段は、
長辺が前記搬送手段の搬送方向に沿った矩形の主米飯を当該搬送手段に搭載する、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の定量米飯製造装置。
【請求項6】
前記第1の生成手段は、
米飯を分割し主米飯を生成する一対のシャッタが開口した下端に設けられ、主米飯を下方へ供給する供給部と、
前記供給部の下方に位置して上下に開口した枠体で構成され、一対の上部ゲートが下端に設けられた厚み調整手段と、
前記一対の上部ゲートを閉鎖位置にしておいて前記供給部から送り出された米飯を前記厚み調整手段に載せた状態で前記一対のシャッタで米飯を分割して主米飯を生成する、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の定量米飯製造装置。
【請求項7】
前記厚み調整手段は、上下方向に移動可能に設けられている、
ことを特徴とする請求項6記載の定量米飯製造装置。
【請求項8】
前記一対のシャッタおよび前記一対の上部ゲートの開閉方向は、前記搬送手段の搬送方向と直交する水平方向である、
ことを特徴とする請求項6または7記載の定量米飯製造装置。
【請求項9】
前記厚み調整手段の下方に設けられ、上下が開放されて前記供給部からの主米飯の落下を案内するとともに米飯計量装置が取り付けられた枠体部と、
前記枠体部の下端に設けられ、米飯計量時に閉鎖位置となる一対の下部ゲートとをさらに備え、
前記一対の下部ゲートの開閉方向は、前記搬送手段の搬送方向と直交する水平方向である、
ことを特徴とする請求項6~8の何れか一項に記載の定量米飯製造装置。
【請求項10】
前記第1の生成手段は、
米飯の搬送空間を挟んで互いに対向する位置に回転可能な状態で設けられ、米飯の搬送方向に沿って複数段に設けられるとともに回転軸が前記搬送手段の搬送方向と直交する方向となったローラ対と、
最下段の前記ローラ対の下方に設置されて米飯を分割して主米飯を生成するシャッタとを備えた、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の定量米飯製造装置。
【請求項11】
前記ローラ対の回転軸は、前記搬送手段の搬送方向と直交する方向とされ、
前記シャッタは、最下段の前記ローラ対を通過する米飯の幅よりも通過長さの方が長くなる位置で米飯を分割する、
ことを特徴とする請求項10記載の定量米飯製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量米飯製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弁当などに盛り付けられる米飯を目標重量に生成する定量米飯製造装置では、目標とした重量に対してある一定の割合の誤差が不可避的に生じてしまう。具体的には、計量誤差を例えば±10%とすると、200gの飯を1回の計量で出す場合、200gの±10%で±20g程度の誤差が生じる。
【0003】
そこで、米飯を重量精度よく生成する技術として、例えば特許文献1(特開2001-037432号公報)や特許文献2(特開2019-174400号公報)に記載のように、主計量と補助計量の2段階に分けて米飯を計量する装置が知られている。
【0004】
この装置では、主計量で目標とする重量の例えば90%程度を狙って米飯(主計量飯:主米飯)を出して計量し、補助計量で目標重量に対しての不足分の米飯(補充計量飯:補充米飯)を出し、これを搬送コンベア上を搬送されてきた主計量飯に補充する。
【0005】
例えば200gの米飯を目標とする場合、先ず、主計量で200gの90%である180gを狙って米飯を出す。このとき、装置の計量誤差を±10%とすると、主計量で出された米飯は、誤差が180gの10%で±18g、つまり162g~198gとなる。次に補助計量で不足分の米飯を出すが、そのとき補助計量で出す米飯は最大で約40gとなり、補助計量で出される米飯の最大誤差は40gの10%で±4gになる。
【0006】
結果として、目標の200gに対して誤差が最大でも±4gとなることから、主計量、補助計量の2段階に分けて米飯を出した方が、1回の計量の誤差である±20gよりも精度が良くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-037432号公報
【特許文献2】特開2019-174400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、最初に主米飯が搬送コンベアに供給され、その下流で補充米飯が搬送コンベアの主米飯の上に供給されることになっている。したがって、主米飯の上に少量の補充米飯が載ることになり、平らな米飯(主米飯)の上に小さな山になった飯(補充米飯)が載り違和感を与える見た目になってしまう。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術では、補充米飯の上に主米飯を載せる別途の機構を追加しなければならないために、装置が大型化するのみならずコスト高にもなる。
【0010】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、装置が大型化したりコスト高となることなく、主米飯に対して補充された補充米飯の視覚的な違和感を緩和することのできる定量米飯製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の定量米飯製造装置は、米飯を搬送する搬送手段と、最終目標重量値よりも少ない重量に設定された設定重量値を目標とした米飯である主米飯を生成して前記搬送手段に落下搭載する第1の生成手段と、主米飯の重量と前記最終目標重量値との重量差である補充重量値を目標とした米飯である補充米飯を生成して当該補充米飯を前記搬送手段に搬送される主米飯に補充する第2の生成手段とを有し、前記第2の生成手段は、補充米飯を解す解し部を備え、当該解し部で解された補充米飯が主米飯の上面全体に分散落下するように補充する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の本発明の定量米飯製造装置は、上記請求項1記載の発明において、前記第2の生成手段は、搬送動作が実行状態にある前記搬送手段上の主米飯に対して補充米飯を補充する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の本発明の定量米飯製造装置は、上記請求項1記載の発明において、前記第2の生成手段は、前記搬送手段の搬送方向に沿ってまたは搬送方向とは逆方向に沿って移動可能とされ、搬送動作が停止状態にある前記搬送手段上の主米飯に対して移動しながら補充米飯を補充する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の本発明の定量米飯製造装置は、上記請求項1記載の発明において、前記第2の生成手段は、前記解し部で解された補充米飯を異なる落下位置に振り分ける振分手段をさらに備え、搬送動作が停止状態にある前記搬送手段上の主米飯に対して補充米飯を前記振分手段で振り分けながら補充する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の本発明の定量米飯製造装置は、上記請求項1~4の何れか一項に記載の発明において、前記第1の生成手段は、長辺が前記搬送手段の搬送方向に沿った矩形の主米飯を当該搬送手段に搭載する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の本発明の定量米飯製造装置は、上記請求項1~5の何れか一項に記載の発明において、前記第1の生成手段は、米飯を分割し主米飯を生成する一対のシャッタが開口した下端に設けられ、主米飯を下方へ供給する供給部と、前記供給部の下方に位置して上下に開口した枠体で構成され、一対の上部ゲートが下端に設けられた厚み調整手段と、前記一対の上部ゲートを閉鎖位置にしておいて前記供給部から送り出された米飯を前記厚み調整手段に載せた状態で前記一対のシャッタで米飯を分割して主米飯を生成する、ことを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の本発明の定量米飯製造装置は、上記請求項6記載の発明において、前記厚み調整手段は、上下方向に移動可能に設けられている、ことを特徴とする。
【0018】
請求項8に記載の本発明の定量米飯製造装置は、上記請求項6または7記載の発明において、前記一対のシャッタおよび前記一対の上部ゲートの開閉方向は、前記搬送手段の搬送方向と直交する水平方向である、ことを特徴とする。
【0019】
請求項9に記載の本発明の定量米飯製造装置は、上記請求項6~8の何れか一項に記載の発明において、前記厚み調整手段の下方に設けられ、上下が開放されて前記供給部からの主米飯の落下を案内するとともに米飯計量装置が取り付けられた枠体部と、前記枠体部の下端に設けられ、米飯計量時に閉鎖位置となる一対の下部ゲートとをさらに備え、前記一対の下部ゲートの開閉方向は、前記搬送手段の搬送方向と直交する水平方向である、ことを特徴とする。
【0020】
請求項10に記載の本発明の定量米飯製造装置は、上記請求項1~5の何れか一項に記載の発明において、前記第1の生成手段は、米飯の搬送空間を挟んで互いに対向する位置に回転可能な状態で設けられ、米飯の搬送方向に沿って複数段に設けられるとともに回転軸が前記搬送手段の搬送方向と直交する方向となったローラ対と、最下段の前記ローラ対の下方に設置されて米飯を分割して主米飯を生成するシャッタとを備えた、ことを特徴とする。
【0021】
請求項11に記載の本発明の定量米飯製造装置は、上記請求項10記載の発明において、前記ローラ対の回転軸は、前記搬送手段の搬送方向と直交する方向とされ、前記シャッタは、最下段の前記ローラ対を通過する米飯の幅よりも通過長さの方が長くなる位置で米飯を分割する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、補充米飯が主米飯の上面全体に分散落下し、ほぼ平らになって主米飯上に補充されるので、補充米飯が主米飯の上に小さな山にならないように別途の機構を追加して装置が大型化したりコスト高となることなく、主米飯に対して補充された補充米飯の視覚的な違和感を緩和することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る定量米飯製造装置の概略を示す正面図である。
【
図4】
図1の定量米飯製造装置を構成する主米飯生成部を搬送コンベアとともに示す側面図である。
【
図5】
図1の定量米飯製造装置を構成する補充米飯生成部を搬送コンベアとともに示す正面図である。
【
図6】(a)~(d)は本発明の一実施の形態に係る定量米飯製造装置に設けられた補充米飯生成部による補充米飯の補充動作を連続的に示す説明図である。
【
図7】(a)~(c)は本発明の一実施の形態に係る定量米飯製造装置に設けられた補充米飯生成部による補充米飯の補充動作の変形例を連続的に示す説明図である。
【
図8】(a)~(d)は本発明の一実施の形態に係る定量米飯製造装置に設けられた補充米飯生成部による補充米飯の補充動作の他の変形例を連続的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
図1は本発明の一実施の形態に係る定量米飯製造装置の概略を示す正面図、
図2は
図1の定量米飯製造装置の平面図、
図3は
図1の定量米飯製造装置の側面図、
図4は
図1の定量米飯製造装置を構成する主米飯生成部を搬送コンベアとともに示す側面図、
図5は
図1の定量米飯製造装置を構成する補充米飯生成部を搬送コンベアとともに示す正面図である。
【0025】
図1~
図3に示すように、本実施の形態の定量米飯製造装置Mは、キャスタ1aによって移動可能とされるとともにネジで上下に伸縮するアジャスタ脚1bで固定可能となった台座2上に、主米飯生成部(第1の生成手段)3および補充米飯生成部(第2の生成手段)4が隣接配置され、主米飯生成部3と補充米飯生成部4との直下を通過するようにして搬送コンベア(搬送手段)5が設けられている。なお、搬送方向の上流側に主米飯生成部3が、下流側に補充米飯生成部4が配置されている。
【0026】
ここで、主米飯生成部3は、最終目標重量値よりも少ない重量に設定された設定重量値を目標とした主米飯R1(米飯R)を生成して搬送コンベア5に落下搭載する機能部である。具体的には、最終目標重量値を例えば200gとすると、主米飯生成部3では、設定重量値として例えば90%(180g)を狙って主米飯R1を生成する。
【0027】
また、補充米飯生成部4は、主米飯R1の重量と最終目標重量値との重量差である補充重量値を目標とした補充米飯R2(米飯R)を生成して搬送コンベア5に搬送される主米飯R1に補充する機能部である。具体的には、主米飯R1の重量(180g)と最終目標重量値(200g)との重量差である補充重量値(20g)を目標とする米飯Rである補充米飯R2を生成し、これを搬送コンベア5に搬送される主米飯R1に補充する。
【0028】
図示するように、主米飯生成部3と補充米飯生成部4とに供給する米飯Rが投入されるホッパ6が、主米飯生成部3の上方および補充米飯生成部4の上方には設けられている。
【0029】
台座2の側方(
図1において右側)には、上下方向に延びる一対の縦レール(図示せず)に沿って米飯Rの収容されたコンテナ7を昇降させるリフタ8が設けられている。このリフタ8によってコンテナ7は上部に設置されたホッパ6の位置まで持ち上げられ、リフタ8の上端に設けられた反転部9によってホッパ6に向けて上下反転されることにより、コンテナ7内の米飯Rがホッパ6に投入される。
【0030】
ホッパ6内には、投入された米飯Rを解すための解しローラ、解しローラで解された米飯Rを主米飯生成部3と補充米飯生成部4とに搬送するための搬送ローラなどが設けられている。また、主米飯生成部3と補充米飯生成部4との境界部分には、ホッパ6内の米飯Rを主米飯生成部3と補充米飯生成部4とに分岐する分岐板(図示せず)が設置されている。したがって、ホッパ6内の米飯Rは、分岐板によって前述した主米飯生成部3と補充米飯生成部4とに振り分けられる。
【0031】
搬送コンベア5は、駆動ローラ5aaおよび従動ローラ5abと、これらのローラ5aa,5abに架け渡されて周回する無端状の搬送ベルト5bとで構成されている。なお、搬送コンベア5の搬送方向上流側の上方に主米飯生成部3が設けられ、主米飯生成部3よりも搬送方向下流側の上方に補充米飯生成部4が設けられており、両者は相互に隣接した位置に配置されている。
【0032】
なお、搬送コンベア5は、主米飯R1が搭載されるまでは停止しており、搭載後に搬送動作を開始して当該主米飯R1を補充米飯生成部4へ向けて搬送する。
【0033】
図4に詳しく示すように、主米飯生成部3は、ホッパ6からの米飯Rを下方へ供給する供給部3a、および供給部3aの下方に設けられて供給部3aから落下する米飯Rを案内する枠体の落下ガイド(枠体部)3bを備えている。
【0034】
供給部3aは下端が開口しており、米飯Rを分割する一対のシャッタ3cが当該下端を開閉可能に設けられている。また、供給部3aの内側には、米飯Rを下方に送るためのローラ3aaが備えられている。図示するように、ローラ3aaは上下方向に2段になって合計4個が備えられている。そして、ローラ3aaにより供給部3aから送り出される米飯Rの水平方向の断面積と、前述した一対のシャッタ3cによる米飯Rの分割位置とにより、主米飯R1の量目が調整されるようになっている。
【0035】
なお、供給部3aから下方の落下ガイド3bへと送り出される主米飯R1は、その水平方向の断面形状が搬送コンベア5の搬送方向に沿って長い矩形となっている。すなわち、主米飯R1の形状は矩形であり、その長辺が搬送方向に沿った方向となって搬送コンベア5に搭載されている(
図2参照)。これは、詳細は後述するが、主米飯R1を搬送方向に長く搭載することで補充米飯R2が供給しやすくなるからである。
【0036】
そして、このような主米飯R1の形状に合わせて、前述した一対のシャッタ3cの開閉方向は、搬送コンベア5の搬送方向と直交する水平方向(
図4において、矢印で示す方向)となっている。これは、開閉方向が搬送コンベア5の搬送方向に沿った方向であると、一対のシャッタ3cの開放時の移動長が長くなって主米飯R1が変形したり開放途中で主米飯R1の一部が先に落下してしまうからであり、解放時における隣接する補充米飯生成部4との干渉を回避するために、主米飯生成部3と補充米飯生成部4の間隔を狭めてコンパクトにすることができなくなるからである。
【0037】
落下ガイド3bは上下が開放されており、供給部3aと落下ガイド3bとの間には、上下方向に移動可能になった厚み調整板(厚み調整手段)3dが備えられている。この厚み調整板3dは枠体となって上下に開口しており、下端には、一対の上部ゲート3daが設けられている。また、落下ガイド3bの下端には、一対の下部ゲート3eが設けられている。
【0038】
なお、本実施の形態では、落下ガイド3bには米飯計量装置であるロードセル(図示せず)が取り付けられており、一対の下部ゲート3eが閉鎖状態のときに落下ガイド3bに落下した主米飯R1の重量が計測されるようになっている。重量計測後、一対の下部ゲート3eが開き、落下ガイド3b内の主米飯R1は搬送コンベア5上に落下搭載される。なお、ロードセルを搬送コンベア5に設置して、当該搬送コンベア5上で主米飯R1の重量を計測するようにしてもよい。この場合、落下ガイド3bは省略することができる。
【0039】
前述のように、厚み調整板3dは上下方向に移動可能になっており、前述の一対のシャッタ3cとの距離の調整ができる。したがって、一対の上部ゲート3daを閉鎖位置にして厚み調整板3dを上下の所定位置に設置しておいて供給部3aから送り出された米飯Rを載せ、その状態で一対のシャッタ3cで米飯Rを分割して主米飯R1を生成することで、量目の調整が可能となっている。但し、厚み調整板3dの上下方向への移動を不能として、量目の調整ができなくなっていてもよい。
【0040】
なお、一対の上部ゲート3daおよび一対の下部ゲート3eも、一対のシャッタ3cと同様に、搬送コンベア5の搬送方向と直交する水平方向(
図4において、矢印で示す方向)に開閉するようになっている。但し、これらのシャッタ3c,3d,3eの開閉方向は、搬送コンベア5の搬送方向に沿った水平方向であってもよい。
【0041】
搬送コンベア5には、落下ガイド3bから当該搬送コンベア5上に落下搭載された主米飯R1が落下衝撃で拡散して形状が崩れないようにするための枠型であるガイドフレーム10が、当該搬送コンベア5の搬送面に対して僅かに隙間が形成されるように設置されている。ガイドフレーム10の内周は、生成された主米飯R1の大きさ(平面視での大きさ)に合わせた大きさの形状になっており、閉じた状態(つまり、枠型となった状態)から水平方向(より詳しくは、搬送コンベア5の搬送方向と直交する水平方向:
図4において、矢印で示す方向)に2つに分割するように相互に離間可能になっている。
【0042】
なお、本実施の形態では、前述のように、搬送コンベア5の搬送面との間に隙間を形成することで、ガイドフレーム10が離間移動するときに搬送コンベア5との間に摩擦が発生しないようにしているが、閉じた状態では搬送コンベア5の搬送面と接触した状態とし、離間移動するときに僅かに上昇して搬送コンベア5の搬送面と非接触となるようにしてもよい。
【0043】
このガイドフレーム10は、主米飯R1の落下時に閉じた枠型の状態で待機するようになっており、当該主米飯R1が搬送コンベア5に落下したならば(つまり、落下衝撃を受けた主米飯R1の形状維持ができたならば)、あるいは水平方向に2つに割れるように相互に離間して、搬送コンベア5による主米飯R1の搬送を阻害しないようになっている。
【0044】
なお、ガイドフレーム10は搬送コンベア5上に落下搭載されたときの主米飯R1の形状維持のためのものであるから、主米飯R1の大きさが変更された場合には、ガイドフレーム10もそれに合わせて交換される。また、ガイドフレーム10は、水平方向に相互に離間するように移動するのではなく、主米飯R1の搬送を阻害しない高さまで上方に移動するようになっていてもよい。
【0045】
図5に詳しく示すように、補充米飯生成部4には、左右で一対となって補充米飯R2を下方へと送る第1のローラ対4aが配置されている。この第1のローラ対4aの下方には、左右一対となって、同様に補充米飯R2を下方へと送る第2のローラ対4bが配置されている。そして、第1のローラ対4aの間隔よりも下方に位置する第2のローラ対4bの間隔の方が狭くなっている。したがって、補充米飯R2が第1のローラ対4aの間を通過することで圧縮され、続いて第2のローラ対4bへと送られることによってさらに圧縮される。
【0046】
第2のローラ対4bの下方には、当該第2のローラ対4bから送られた補充米飯R2を導入するための導入口4daが形成されたハウジング4dが位置している。また、導入口4daの直下には、導入された補充米飯R2を解すための突起4caが全周に渡って形成された解しローラ(解し部)4cが配置されている。ハウジング4dの下方は開口しており、解しローラ4cで解された補充米飯R2は搬送コンベア5に向かって落下する。
【0047】
定量米飯製造装置Mには、搬送コンベア5により補充米飯生成部4へと搬送された主米飯R1の先端位置を検出するセンサ(図示せず)が設置されている。そして、補充米飯生成部4は、センサに検出された主米飯R1の到達タイミングに合わせて、補充米飯R2が主米飯R1の上に落下するように動作する。なお、補充米飯生成部4の動作の詳細については後述する。
【0048】
ここで、本実施の形態では、第2のローラ対4bを通過する補充米飯R2の断面積と通過長とで(換言すれば、第2のローラ対4bを通過する補充米飯R2の断面積と第2のローラ対4bの回転量とで)ハウジング4dに導入される補充米飯R2の重量を推定的に計量している。したがって、補充米飯生成部4には、米飯計量装置であるロードセルは取り付けられていない。但し、補充米飯生成部4にロードセルを取り付けて実際に計量するようにしてもよいことはもちろんである。また、ロードセルを搬送コンベア5に設置して、主米飯R1に補充米飯R2が補充された重量を搬送コンベア5上で計測するようにしてもよい。
【0049】
なお、ホッパ6の側方(
図1において右側)には、生成される米飯Rの最終目標重量値や主米飯R1の設定重量値、主米飯R1や補充米飯R2の重量の許容値などの設定を行う操作パネル11、および定量米飯製造装置Mの駆動および停止などを行う操作スイッチ12が設けられている。したがって、作業者は操作パネル11および操作スイッチ12を適宜操作することにより、定量米飯製造装置Mによる米飯Rの計量を行う。
【0050】
次に、以上の構成を備えた本実施の形態の定量米飯製造装置Mにおける補充米飯生成部4による補充米飯R2の補充動作について、
図6を用いて説明する。ここで、
図6(a)~(d)は補充米飯生成部による補充米飯R2の補充動作を連続的に示す説明図である。
【0051】
前述した要領により主米飯生成部3で主米飯R1が生成されて搬送コンベア5上に落下搭載されると、当該主米飯R1は搬送コンベア5の搬送動作によって補充米飯生成部4の直下へ達する。すると、センサに検出された主米飯R1の到達タイミングに合わせて、
図6(a)に示すように、補充米飯生成部4で解された補充米飯R2が主米飯R1上面の先頭(つまり、搬送方向からみて下流端位置)に落下する。そして、
図6(b)から
図6(c)に示すように、搬送コンベア5により主米飯R1が搬送されるに伴って、補充米飯R2の落下位置が徐々に主米飯R1上面の中央から後方へと移動して行く。
【0052】
これにより、最終的に、
図6(d)に示すように、主米飯R1の上面全体に分散落下するように当該主米飯R1に補充米飯R2が補充される。
【0053】
これにより、補充米飯R2が、主米飯R1の上に小さな山になることなく、ほぼ平らになって主米飯R1上に補充されるので、別途の機構を追加して装置が大型化したりコスト高となることなく、主米飯R1に対して補充された補充米飯R2の視覚的な違和感を緩和することが可能になる。
【0054】
また、前述のように、矩形になった主米飯R1の長辺が搬送方向に沿った方向となって搬送コンベア5に搭載されているので、補充米飯R2を主米飯R1に補充するための距離を長くとることができ、補充米飯R2を一層平らに主米飯R1上に補充することができる。
【0055】
なお、このようにして製造された米飯Rは、搬送コンベア5から次工程を実行するための装置(例えば、米飯Rを容器に盛り付けるための装置やおにぎりに成形するための装置など)に送り込まれる。
【0056】
ここで、以上に説明した定量米飯製造装置Mでは、搬送動作が実行状態にある搬送コンベア5上の主米飯R1に対して、補充米飯生成部4から補充米飯R2を補充する構造となっているが、搬送動作が停止状態にある搬送コンベア5上の主米飯R1に対して、補充米飯生成部4を移動させながら補充米飯R2を補充する構造とすることもできる。
【0057】
具体的には、
図7に示すように、補充米飯生成部4を、搬送コンベア5の搬送方向とは逆方向に沿って移動可能な構成とし、搬送動作が停止状態にある搬送コンベア5上の主米飯R1に対して補充米飯生成部4を移動させながら補充米飯R2を補充するようにしてもよい。
【0058】
すなわち、主米飯R1が補充米飯生成部4の下に到達したならば搬送コンベア5の搬送動作を停止状態にしておき、
図7(a)に示すように、補充米飯生成部4で解された補充米飯R2を主米飯R1上面の先頭に落下させる。そして、
図7(b)から
図7(c)に示すように、補充米飯生成部4を搬送コンベア5の搬送方向とは逆方向に移動させながら補充米飯R2を主米飯R1の上面に落下させる。
【0059】
これにより、補充米飯R2の落下位置が徐々に主米飯R1上面の中央から後方へと移動し、最終的に、
図7(d)に示すように、主米飯R1の上面全体に分散落下するように当該主米飯R1に補充米飯R2が補充される。
【0060】
なお、
図7では、補充米飯生成部4は搬送コンベア5の搬送方向とは逆方向に沿って移動可能となっているが、搬送コンベア5の搬送方向に沿って移動可能となっていてもよい。
【0061】
また、搬送コンベア5で主米飯R1を搬送しながら当該主米飯R1に補充米飯R2を供給したり、補充米飯生成部4を移動させながら主米飯R1に補充米飯R2を供給するのではなく、搬送動作が停止状態にある搬送コンベア5上の主米飯R1に対して、補充米飯生成部4を移動させることなく補充米飯R2を補充する構造とすることもできる。
【0062】
具体的には、
図8に示すように、補充米飯生成部4に、解しローラ4cで解された補充米飯R2を異なる落下位置に振り分ける振分プレート(振分手段)4eを設置する。図示するように、この振分プレート4eは、補充米飯R2を案内してその落下位置を変更することができるように、上部を支点にして揺動可能な一対の板状体で構成されている。
【0063】
そして、主米飯R1が補充米飯生成部4の下に到達したならば搬送コンベア5の搬送動作を停止状態にしておき、
図8(a)に示すように、振分プレート4eを所定の位置にしておいて、補充米飯生成部4で解された補充米飯R2を主米飯R1上面の所定位置に落下させる。そして、
図8(b)から
図8(c)に示すように、振分プレート4eを揺動させながら補充米飯R2を主米飯R1の上面全体に落下させる。
【0064】
これにより、主米飯R1の上面全体に分散落下するように当該主米飯R1に補充米飯R2が補充される。
【0065】
なお、
図8では、主米飯R1の先頭から後方へ向けて補充米飯R2を供給しているが、逆に後方から先頭へ向けて供給するようにしてもよい。
【0066】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0067】
例えば、本実施の形態において、主米飯R1はその長辺が搬送方向に沿った方向となって搬送コンベア5に搭載されているが、短辺が搬送方向に沿った方向となって搬送コンベア5に搭載されるようになっていてもよい。さらには、主米飯R1の形状は矩形(長方形)に限定されるものではなく、正方形や楕円形など、様々な形状とすることができる。
【0068】
また、本実施の形態の主米飯生成部3は、供給部3aから送り出された米飯Rを厚み調整板3dの一対の上部ゲート3daに載せた状態で一対のシャッタ3cで米飯Rを分割して主米飯R1を生成する構成となっているが、最終目標重量値よりも少ない重量に設定された設定重量値を目標とした米飯Rである主米飯R1を生成することができれば足り、主米飯生成部3の構成は本実施の形態に示すものに限定されない。
【0069】
例えば、左右一対となってローラ対を上下方向に複数段設置してこれらのローラ対で米飯Rを搬送し、最下段のローラ対の下方で米飯Rを分割して主米飯R1を生成する構成を採用してもよい。具体的には、米飯Rの搬送空間を挟んで互いに対向する位置に回転可能な状態で設置された複数段のローラ対と、最下段のローラ対の下方に設置されて米飯Rを分割して主米飯R1を生成するシャッタとを備えた構成としてもよい。
【0070】
なお、この構成において、生成された矩形の主米飯R1の長辺が搬送コンベアの搬送方向に沿うように搭載されるようにするためには、ローラ対の回転軸は搬送コンベアの搬送方向と直交する方向とし、シャッタは、最下段のローラ対を通過する米飯Rの幅よりも通過長さの方が長くなる位置で米飯Rを分割するようにする。
【0071】
また、上段に位置するローラ対の間隔よりも下段に位置するローラ対の間隔の方を狭くして、米飯Rがシート状に圧縮されるようにするのがよい。さらに、最下段のローラ対を相互に接近離間可能とすれば、当該ローラ対の間隔に応じて米飯Rの厚み調整が可能になる。
【0072】
そして、補充米飯生成部4についても、主米飯R1の重量と最終目標重量値との重量差である補充重量値を目標とする米飯Rである補充米飯R2を生成して搬送コンベア5に搬送される主米飯R1に補充することができれば足り、補充米飯生成部4の構成は本実施の形態に示すものに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の定量米飯製造装置で生成された米飯は、そのままの形状であるいは形状を変更してトレイ状等の弁当容器に盛り付けたり、圧縮しておむすびを製造したり、様々な後工程処理が適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1a キャスタ
1b アジャスタ脚
2 台座
3 主米飯生成部(第1の生成手段)
3a 供給部
3aa ローラ
3b 落下ガイド(枠体部)
3c 一対のシャッタ
3d 厚み調整板(厚み調整手段)
3da 一対の上部ゲート
3e 一対の下部ゲート
4 補充米飯生成部(第2の生成手段)
4a 第1のローラ対
4b 第2のローラ対
4c 解しローラ(解し部)
4ca 突起
4d ハウジング
4da 導入口
4e 振分プレート(振分手段)
5 搬送コンベア(搬送手段)
5b 搬送ベルト
5aa 駆動ローラ
5ab 従動ローラ
6 ホッパ
M 定量米飯製造装置
R 米飯
R1 主米飯
R2 補充米飯