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特開2023-35577UV-C検出センサ、UV-C検出方法、及び、UV-C検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035577
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】UV-C検出センサ、UV-C検出方法、及び、UV-C検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/02 20060101AFI20230306BHJP
   G01J 1/42 20060101ALI20230306BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
G01J1/02 G
G01J1/42 A
G01N27/416 300U
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142540
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】302069930
【氏名又は名称】メイコーエンベデッドプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】松田 智美
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 隆
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB05
2G065AB28
2G065BA01
2G065BA02
2G065BC35
2G065BE08
2G065DA06
(57)【要約】
【課題】選択的、かつ、高感度にUV-Cを検出するUV-C検出センサ、UV-C検出方法、及び、UV-C検出装置を提供する。
【解決手段】主電極11と、主電極11を被覆する酸化タンタル膜12と、対電極13と、酸化タンタル膜12及び対電極13に接触して設けられた電解質14と、主電極11及び対電極13の間の、電位差の変化を計測する計測手段15と、を備える、UV-C検出センサ1。主電極11がタンタルであることが好ましい。酸化タンタル膜12の厚さが160~190nmであることが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電極と、
前記主電極を被覆する酸化タンタル膜と、
対電極と、
前記酸化タンタル膜及び前記対電極に接触して設けられた電解質と、
前記主電極及び前記対電極の間の、電位差の変化を計測する計測手段と、
を備える、UV-C検出センサ。
【請求項2】
前記主電極がタンタルである、請求項1に記載のUV-C検出センサ。
【請求項3】
前記酸化タンタル膜の厚さが160~190nmである、請求項1又は2に記載のUV-C検出センサ。
【請求項4】
前記主電極が長細い形状であって、前記対電極の廻りに螺旋状に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のUV-C検出センサ。
【請求項5】
前記主電極の厚さが、前記酸化タンタル膜の厚さの1600~3000倍である、請求項1~4のいずれか一項に記載のUV-C検出センサ。
【請求項6】
前記主電極、前記対電極及び前記電解質を収容する容器を備え、前記容器に、液体を通さず気体のみを通過させる通気機構が設けられている、請求項1~5のいずれか一項に記載のUV-C検出センサ。
【請求項7】
前記通気機構が逆浸透膜を有する、請求項6に記載のUV-C検出センサ。
【請求項8】
主電極と、前記主電極を被覆する酸化タンタル膜と、対電極と、前記酸化タンタル膜及び前記対電極に接触して設けられた電解質と、前記主電極及び前記対電極の間の、電位差の変化を計測する計測手段と、を備えるUV-C検出センサを用いて、UV-Cを検出する、UV-C検出方法。
【請求項9】
UV-C検出センサと、前記UV-C検出センサから電位差の変化データを受け取るマイコンと、前記UV-C検出センサを駆動する電池と、前記電位差の変化を通知する通知機構を備え、前記UV-C検出センサは、主電極と、前記主電極を被覆する酸化タンタル膜と、対電極と、前記酸化タンタル膜及び前記対電極に接触して設けられた電解質と、前記主電極及び前記対電極の間の、電位差の変化を計測する計測手段と、を備える、UV-C検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UV-C検出センサ、UV-C検出方法、及び、UV-C検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
深紫外線(以下、「UV-C」という。)は、可視光線よりも波長が短い紫外線のうち最もエネルギーが高い、100~280nmの光である。太陽光の近紫外線(UV-A(400~315nm)及びUV-B(315~280nm))がオゾン層を通過し、地表に到達するのに対して、太陽光のUV-Cはオゾン層に吸収され、地表には到達しない。しかし、炎が燃える際、空気中の酸素との化学反応で微量のUV-Cが発生する。
【0003】
例えば、特許文献1~2には、火炎中のUV-Cを検出するセンサが開示されている。特許文献3には、静電容量検出回路を備える紫外線検知素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08-138152号公報
【特許文献2】特開2013-079866号公報
【特許文献3】特公昭61―28287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のUV-Cを検出するセンサは、振動に弱く駆動電圧が極めて高いことから、取り扱いや設置が難しい。加えて、今後水素エネルギーに置き換わる際には爆発を誘発するおそれがある。静電容量検出回路を備える紫外線検知素子は、感度が低く、温度の影響を大いに受けるので炎センサ市場をターゲットとした検出方法としては適さない。
【0006】
上述のような技術において、選択的、かつ、高感度にUV-Cを検出するセンサが求められている。
【0007】
そこでこの発明は、上述の課題を解決するUV-C検出センサ、UV-C検出方法、及び、UV-C検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、UV-C検出センサは、主電極と、前記主電極を被覆する酸化タンタル膜と、対電極と、前記酸化タンタル膜及び前記対電極に接触して設けられた電解質と、前記主電極及び前記対電極の間の、電位差の変化を計測する計測手段と、を備える。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、UV-C検出方法は、主電極と、前記主電極を被覆する酸化タンタル膜と、対電極と、前記酸化タンタル膜及び前記対電極に接触して設けられた電解質と、前記主電極及び前記対電極の間の、電位差の変化を計測する計測手段と、を備えるUV-C検出センサを用いて、UV-Cを検出する。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、UV-C検出装置は、UV-C検出センサと、前記UV-C検出センサから電位差の変化データを受け取るマイコンと、前記UV-C検出センサを駆動する電池と、前記電位差の変化を通知する通知機構を備え、前記UV-C検出センサは、主電極と、前記主電極を被覆する酸化タンタル膜と、対電極と、前記酸化タンタル膜及び前記対電極に接触して設けられた電解質と、前記主電極及び前記対電極の間の、電位差の変化を計測する計測手段と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、選択的、かつ、高感度にUV-Cを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態のUV-C検出センサ1の概略構成を示す図である。
図2】主電極となるタンタル(Ta)を陽極酸化処理することにより、板状のタンタル(Ta)の上に酸化タンタル膜(TaO)を形成する様子を示す概略図である。
図3】石英ガラス等の透明基板の上に、主電極となる板形状のタンタル(Ta)に、酸化タンタル膜(TaO)をスパッタリングして形成する様子、又は、板形状のタンタル(Ta)をスパッタ成膜した後、陽極酸化処理により酸化タンタル膜(TaO)を形成する様子を示す概略図である。
図4】UV-C検出装置の構成を示す概略ブロック図である。
図5】酸化タンタル膜の断面写真である。
図6】実施例1のUV-C検出センサ1を示す写真である。
図7】実施例1のUV-C検出センサ1に、50mm離れた位置から、LEDライトにより、254nmの波長のUV-Cを照射したとき、及び、365nmの波長のUV-Aを照射したときの電位差の変化を表すグラフである。
図8】実施例1のUV-C検出センサ1に、50mm離れた位置からライターの炎を当てたときの電位差の変化を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[UV-C検出センサ]
以下、本発明の一実施形態であるUV-C検出センサについて図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態のUV-C検出センサ1の概略構成を示す図である。
UV-C検出センサ1は、主電極11と、主電極11を被覆する酸化タンタル膜12と、対電極13と、酸化タンタル膜12及び対電極13に接触して設けられた電解質14と、主電極11及び対電極13の間の、電位差の変化を計測する計測手段15と、を備える。酸化タンタル膜12にUV-Cが当てられることで、主電極11及び対電極13の間に電位差が生じることから、炎などからのUV-Cを検出することができる。
【0015】
本実施形態のUV-C検出センサ1は、選択的、かつ、高感度にUV-Cを検出するので、半導体光センサなどのように光学的可視光カットフィルタを使用する必要がなく、選択的な波長領域のセンサを構成できる。
【0016】
本実施形態のUV-C検出センサ1は、主電極11及び対電極13の間の電位差の変化を計測するので、静電容量の変化を計測するタイプのセンサに比べて、温度の影響を受けにくく、振動による誤作動のおそれも少ない。
【0017】
主電極11は、陽極酸化処理により容易に酸化タンタル膜12を形成できることからタンタルであることが好ましい。
【0018】
酸化タンタルは、化学式Taで表される無機化合物であり、3.9eV程度のバンドギャップを有する。次式より、318nmより短い波長のUV-Cを受光すれば光化学反応を生じる。
【0019】
【数1】
【0020】
酸化タンタル膜12は、電解質14に接触する部分の、主電極11を被覆している。酸化タンタル膜12の厚さは、UV-Cをより感度よく検出できることから、160~190nmが好ましく、170~180nmがより好ましい。
【0021】
主電極11の厚さは、酸化タンタル膜12の厚さの1600~3000倍であることが好ましい。
酸化タンタル膜12の厚さが、160~190nmであるとき、主電極11の厚さは、酸化タンタル膜12の厚さの1600~1900倍であることがより好ましく、1700~1800倍であることがさらに好ましい。
酸化タンタル膜12の厚さが、170~180nmであるとき、主電極11の厚さは、酸化タンタル膜12の厚さの2800~3000倍であることが好ましい。
主電極11が、例えば、細長い形状であって、断面が円の針状であれば、主電極11の厚さは、断面の円の直径を云い、断面が楕円の針状であれば、主電極11の厚さは、断面の楕円の短径を云う。主電極11が、例えば、細長い形状であって、断面が正方形であれば、主電極11の厚さは、断面の正方形の一辺の長さを云い、断面が長方形であれば、主電極11の厚さは、断面の長方形の短辺の長さを云う。
【0022】
酸化タンタル膜12の厚さを調整することで、UV-Cにより選択的に、より高感度で反応するセンサにすることができる。
【0023】
主電極11の形状は、板状であってもよく、長細い形状であってもよい。大きな表面積を確保し、感度を向上させ、外部からのUV-Cを受けやすいことから、主電極11は長細い形状であって、対電極13の廻りに螺旋状に配置されていることが好ましい。主電極11が長細い形状であって、主電極11を被覆する酸化タンタル膜12の表面積を大きくできることで、UV-Cの検出感度を向上させることができ、UV-Cを検出できる角度を拡大できる。
【0024】
UV-C検出センサ1において、主電極11、対電極13及び電解質14は、容器16に収容されている。容器16は主電極11が外部からのUV-Cを受光できるように、少なくとも一部が透明である。容器16は、例えば、石英ガラス製とすることができる。容器16により、主電極11、対電極13及び電解質14を収容して密封することができる。電解質14として、固体電解質を用いたときは、容器16を不要にすることもできる。電解質14として、水溶液の電解質を用いたときは、容器16には、液体を通さず気体のみを通過させる通気機構17が設けられていることが好ましい。通気機構17は逆浸透膜を有することがより好ましい。
【0025】
水の電気分解は1.229V以上の電圧をかけることで進行し、電極から気体が発生する。本実施形態のUV-C検出センサ1は、バイアス電圧を1V以下とすることで水溶液が分解しない仕様とすることができる。それにより、急激な膨張は発生しないので、破裂・爆発は起こらない。しかしながら、仮に、水の分解により微量な気体(酸素と水素)が発生しても、微量な気体を逃がす通気機構17が設けられていることにより、万が一の破裂・爆発・火災の危険を回避することができる。通気機構17は破損を回避するために用意する方が安心である。例えば、逆浸透膜(ナノフィルター)をセンサ上部へ設ける。逆浸透膜は液体を通さず、気体のみを通過させる材料であればよく、例えばセロハン紙やメンブレンフィルタが挙げられる。逆浸透膜は、通気機構17のうち、ごく小さい面積で有効である。
【0026】
対電極13としては、安定性のある材料が好ましく、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、炭素(C)などが挙げられる。
【0027】
電解質14としては、水溶液であってもよく、固体電解質であってもよい。抵抗の低い希硫酸ナトリウム水溶液などが適している。
【0028】
[UV-C検出センサの製造方法]
前述の実施形態のUV-C検出センサは、図2に示されるように、希硫酸中で、主電極となるタンタル(Ta)、及び、ステンレス鋼(SUS)の対電極に電圧を付加して金属のタンタル(Ta)を陽極酸化処理することにより、希硫酸に接触するタンタル(Ta)に酸化タンタル膜(TaO)を形成し、主電極及び対電極の間に、電位差の変化を計測する計測手段をつなぐことで、容易に作製することができる。
【0029】
陽極酸化処理の、電圧条件及び時間条件を調整することにより、酸化タンタル膜の厚さを適宜調整可能である。
【0030】
図3に示されるように、石英ガラス等の透明基板の上に、主電極となる板形状のタンタル(Ta)に、酸化タンタル膜(TaO)をスパッタリングして形成する、又は、板形状のタンタル(Ta)をスパッタ成膜した後、陽極酸化処理により酸化タンタル膜(TaO)を形成することもできる。微小電気機械システム(MEMS)による微細加工が可能であり、より小型化することも可能である。
【0031】
[UV-C検出方法]
本実施形態のUV-C検出方法は、主電極と、前記主電極を被覆する酸化タンタル膜と、対電極と、前記酸化タンタル膜及び前記対電極に接触して設けられた電解質と、前記主電極及び前記対電極の間の、電位差の変化を計測する計測手段と、を備えるUV-C検出センサを用いて、UV-Cを検出する。
本実施形態のUV-C検出方法において、UV-C検出センサは、上述の実施形態のUV-C検出センサ1を適用することができる。
本実施形態のUV-C検出方法は、選択的、かつ、高感度にUV-Cを検出することができる。
【0032】
[UV-C検出装置]
図4は、UV-C検出装置の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態のUV-C検出装置は、UV-C検出センサと、前記UV-C検出センサから電位差の変化データを受け取るマイコンと、前記UV-C検出センサを駆動する電池と、前記電位差の変化を通知する通知機構を備え、前記UV-C検出センサは、主電極と、前記主電極を被覆する酸化タンタル膜と、対電極と、前記酸化タンタル膜及び前記対電極に接触して設けられた電解質と、前記主電極及び前記対電極の間の、電位差の変化を計測する計測手段と、を備える。
【0033】
本実施形態のUV-C検出装置において、UV-C検出センサは、上述の実施形態のUV-C検出センサ1を適用することができる。本実施形態のUV-C検出装置において、電池駆動のUV-C検出センサは、炎などからのUV-Cを受光すると電位差が変化し、マイコンがその数値によって通知機構を駆動させる。通知機構がブザーやスマホ等へ無線通知するUV-C検出装置を構成することができる。
【0034】
本実施形態のUV-C検出装置は、選択的、かつ、高感度にUV-Cを検出することができる。本実施形態のUV-C検出装置は、駆動電圧が低く、UV-C検出センサのほかに信号を増幅するアンプが不要なため、利便性やコストパフォーマンスが良好である。
【実施例0035】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0036】
[実施例1]
直径0.3mmのタンタルの針金を、ポリ乳酸製の治具18に螺旋状に巻き付けて主電極11を作製した。主電極11、希硫酸、及び、銀製の対電極13を、石英ガラス製の試験管(容器16)に挿入した。主電極11及び対電極13に電圧を付加してタンタルを陽極酸化処理した。
希硫酸を希硫酸ナトリウム水溶液(電解質14)に置換した。
陽極酸化処理した主電極11及び対電極13に電圧計(計測手段15)を接続して、実施例1のUV-C検出センサ1を作製した。
図5は、酸化タンタル膜12の断面写真である。酸化タンタル膜12の厚さは176nmであった。
図6は、電圧計を接続する前の実施例1のUV-C検出センサ1を示す写真である。希硫酸ナトリウム水溶液(電解質14)に接触するタンタルの表面には、酸化タンタル膜12の干渉色が観察された。
【0037】
(LEDライトによるUV-Cの照射実験)
図7は、実施例1のUV-C検出センサ1に、50mm離れた位置から、LEDライトにより、254nmの波長のUV-Cを断続的に照射したとき、及び、365nmの波長のUV-Aを断続的に照射したときの電位差の変化を表すグラフである。このとき、254nmの波長のUV-Cの照射による照度は、約1.2mW/cmであった。365nmの波長のUV-Aの照射による照度も、約1.2mW/cmであった。
365nmの波長のUV-Aの照射では、約-0.02Vの起電力であったのに対して、254nmの波長のUV-Cの照射では、約-0.4Vの起電力が発生した。ただし、UV-AのLEDライトの照射波長領域には、若干のUV-Cの領域を含む。
実施例1のUV-C検出センサ1は、365nmの波長のUV-Aには応答せず、254nmの波長のUV-Cに選択的に応答する、検出装置に応用が可能である。
【0038】
(ライターの炎によるUV-Cの照射実験)
図8は、実施例1のUV-C検出センサ1に、50mm離れた位置からライターの炎を断続的に当てたときの電位差の変化を表すグラフである。
UV-C検出センサ1の酸化タンタル膜12にライターの炎を当てたときに生じる光電気反応により、主電極11及び対電極13の間の電位差が変化する。電位差の変化を検出することで、炎の発生と炎の大きさを検知することができる。ライターの炎から発生する微弱なUV-Cであっても、mVオーダーで電位差が変化することから、検出回路の設計も容易であり、コストパフォーマンスの改善に貢献できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のUV-C検出センサは、選択的、かつ、高感度にUV-Cを検出するので、火災報知器、ガス給湯器、ガスレンジ、ロケットエンジン等における炎センサに応用が可能である。
【0040】
本発明のUV-C検出センサにおいて、酸化タンタル膜はUV-Cの波長に応答する。地表では炎や人工的光源にのみ応答するので、光電気反応は限定的であり、溶液減の状況は回避される。したがって、UV-C検出センサの電解質が水溶液であっても水が分解し尽くすおそれがなく、長期間、安定的な使用が可能となる。
【符号の説明】
【0041】
1…UV-C検出センサ
11…主電極
12…酸化タンタル膜
13…対電極
14…電解質
15…計測手段
16…容器
17…通気機構
18…治具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8