(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035589
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】生体モニタリング装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/24 20060101AFI20230306BHJP
H01Q 9/30 20060101ALI20230306BHJP
H01Q 23/00 20060101ALI20230306BHJP
A61C 19/04 20060101ALI20230306BHJP
A61C 7/00 20060101ALI20230306BHJP
A61C 8/00 20060101ALI20230306BHJP
A61C 13/00 20060101ALI20230306BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H01Q9/30
H01Q23/00
A61C19/04 Z
A61C7/00
A61C8/00 Z
A61C13/00 Z
A61B5/11 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142568
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005038
【氏名又は名称】セイコーグループ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592019213
【氏名又は名称】学校法人昭和大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 亮介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 宜史
(72)【発明者】
【氏名】槇 宏太郎
【テーマコード(参考)】
4C038
4C052
4C159
5J021
5J047
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB05
4C038VC01
4C038VC09
4C038VC20
4C052JJ01
4C052NN01
4C052NN16
4C159AA51
5J021AA01
5J021AB02
5J021CA06
5J021FA13
5J021FA30
5J021GA03
5J021GA08
5J021JA08
5J021JA09
5J047AA04
5J047AA12
5J047AB06
5J047FD00
(57)【要約】
【課題】口腔内に配置された生体モニタリング装置から口腔外に電波を効率良く放射することができる生体モニタリング装置を提供する。
【解決手段】生体モニタリング装置は、回路基板を有する電子機器と、前記電子機器を固定もしくは封止する生体装着器具とを備え、前記回路基板には、制御部と、電池と、アンテナとが搭載されており、前記回路基板は、長手方向寸法と短手方向寸法とを有すると共に、1層以上の銅箔パターン層を備え、前記アンテナは、前記回路基板の長手方向の一方の端部に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を有する電子機器と、前記電子機器を固定もしくは封止する生体装着器具とを備える生体モニタリング装置であって、
前記回路基板には、制御部と、電池と、アンテナとが搭載されており、
前記回路基板は、
長手方向寸法と短手方向寸法とを有すると共に、
1層以上の銅箔パターン層を備え、
前記アンテナは、前記回路基板の長手方向の一方の端部に配置される、
生体モニタリング装置。
【請求項2】
前記回路基板には、センサが搭載されており、
前記生体装着器具が、口腔内器具であり、
前記回路基板の長手方向が歯列に沿うように、前記生体モニタリング装置は口腔内に配置される、
請求項1に記載の生体モニタリング装置。
【請求項3】
前記口腔内器具が、矯正装置、義歯またはインプラントである、
請求項2に記載の生体モニタリング装置。
【請求項4】
前記口腔内器具が、1つ以上の歯の歯冠に装着され、かつ、前記1つ以上の歯の歯茎の一部を覆うマウスピース型矯正装置である、
請求項2に記載の生体モニタリング装置。
【請求項5】
前記アンテナが、モノポールアンテナであり、
前記回路基板は、前記アンテナが配置されている領域である第1領域と、前記第1領域以外の領域である第2領域とを備え、
前記第2領域に配置されている前記1層以上の銅箔パターン層のうちの少なくとも1層以上の銅箔パターン層がグランドに接続されている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の生体モニタリング装置。
【請求項6】
前記モノポールアンテナは、前記回路基板に形成された配線アンテナである、
請求項5に記載の生体モニタリング装置。
【請求項7】
前記モノポールアンテナは、高誘電率材料を含むチップアンテナである、
請求項5に記載の生体モニタリング装置。
【請求項8】
前記モノポールアンテナは、前記回路基板に形成された配線アンテナと、高誘電率材料を含むチップアンテナとを複合することによって構成されている、
請求項5に記載の生体モニタリング装置。
【請求項9】
前記電池は、前記制御部を隔てて前記アンテナの反対側に配置されている、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の生体モニタリング装置。
【請求項10】
前記回路基板は、長辺と短辺とを備え、
前記長辺と前記短辺との比が2以上である、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の生体モニタリング装置。
【請求項11】
前記短辺が15mm以内である、
請求項10に記載の生体モニタリング装置。
【請求項12】
前記長辺が30mm以内である、
請求項11に記載の生体モニタリング装置。
【請求項13】
前記長辺と前記短辺との比が3.5以上7以下である、
請求項12に記載の生体モニタリング装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記生体モニタリング装置が口腔内に配置されているときに前記アンテナから放射される電波の強度である第1放射電波強度と、前記生体モニタリング装置が口腔外に配置されているときに前記アンテナから放射される電波の強度である第2放射電波強度とを異ならせ、
前記第1放射電波強度に対する前記第2放射電波強度の比率が、0.1以上0.2以下である、
請求項2に記載の生体モニタリング装置。
【請求項15】
前記生体モニタリング装置が口腔内に配置されているときに、前記アンテナが口腔内の口唇側に位置する、
請求項2または請求項14に記載の生体モニタリング装置。
【請求項16】
前記生体モニタリング装置が口腔内に配置されているときに、前記アンテナの放射パターンのメインローブが口唇を介して口腔外に向いている、
請求項2、請求項14および請求項15のいずれか一項に記載の生体モニタリング装置。
【請求項17】
前記生体モニタリング装置が口腔内のうちの口蓋側に配置されて使用される、
請求項1に記載の生体モニタリング装置。
【請求項18】
前記回路基板には、センサが搭載されており、
前記生体装着器具が、口腔内器具であり、
前記センサは、前記生体モニタリング装置の装着者の口唇の開閉状態を検出し、
前記制御部は、前記センサによって検出された前記生体モニタリング装置の装着者の口唇の開閉状態に応じて通信の状態を切り替える、
請求項1に記載の生体モニタリング装置。
【請求項19】
前記回路基板には、センサが搭載されており、
前記生体装着器具が、口腔内器具であり、
前記センサは、前記生体モニタリング装置の装着者の口唇の開閉状態を検出し、
前記制御部は、前記センサによって前記生体モニタリング装置の装着者の口唇の開状態が検出されている時に、前記アンテナから電波を放射する、
請求項1に記載の生体モニタリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体モニタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、口腔内設置型生体モニター・治療装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、口腔内設置型生体モニターの実施例として、床義歯組込み型生体モニターが記載されている。
ところで、特許文献1には、データを無線方式で医療センター等管理センターに送信する旨が記載されているものの、特許文献1に記載された技術では、口腔内から口腔外に電波を効率良く放射するための対策が施されていないため、体組織による電波吸収などの大きな無線伝搬損失が生じてしまうおそれがある。つまり、特許文献1に記載された技術によっては、口腔内設置型生体モニターが口腔内に配置された場合に、口腔内から口腔外に電波を効率良く放射することができない。
【0003】
また、従来から、歯科矯正監視装置からハンドヘルドプロセッサに監視データを中継するための近距離無線通信信号カプラデバイスが知られている(特許文献2参照)。特許文献2には、患者の口に装着される口腔内器具、監視装置(モニタリング装置)およびセンサデータを遠隔装置に送信する通信ユニットについて記載されている。
ところで、特許文献2には、通信ユニットのアンテナについて記載されているものの、アンテナの配置について記載されていない。アンテナの配置によっては、患者が口腔内生体モニタリング装置を装着したまま測定データをリアルタイムに得るために、リーダーを口腔内に挿入しなければならず、現実的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-167120号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/0000563号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した点に鑑み、本発明は、口腔内に配置された生体モニタリング装置から口腔外に電波を効率良く放射することができる生体モニタリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、回路基板を有する電子機器と、前記電子機器を固定もしくは封止する生体装着器具とを備える生体モニタリング装置であって、前記回路基板には、制御部と、電池と、アンテナとが搭載されており、前記回路基板は、長手方向寸法と短手方向寸法とを有すると共に、1層以上の銅箔パターン層を備え、前記アンテナは、前記回路基板の長手方向の一方の端部に配置される、生体モニタリング装置である。
本発明の一態様の生体モニタリング装置によれば、回路基板が長手方向寸法と短手方向寸法とを有し、アンテナが回路基板の長手方向の一方の端部に配置されるため、口腔内に配置された生体モニタリング装置のアンテナから口腔外に電波を効率良く放射することができる。
【0007】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記回路基板には、センサが搭載されており、前記生体装着器具が、口腔内器具であり、前記回路基板の長手方向が歯列に沿うように、前記生体モニタリング装置は口腔内に配置されてもよい。
その場合、生体モニタリング装置が装着者によって装着されたときに回路基板が装着者の歯列に沿うため、装着者が違和感なく生体モニタリング装置を装着することができ、生体モニタリング装置の装着感を向上させることができる。つまり、生体モニタリング装置の装着感を向上させつつ、口腔内に配置された生体モニタリング装置のアンテナから口腔外に電波を効率良く放射することができる。
【0008】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記口腔内器具が、矯正装置、義歯またはインプラントであってもよい。
その場合、つまり、口腔内器具が、矯正装置、義歯またはインプラントである場合には、生体モニタリング装置の回路基板に搭載されたセンサによって検出された歯科の治療状態に関する生体情報を、治療や治療計画にフィードバックすることができる。
【0009】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記口腔内器具が、1つ以上の歯の歯冠に装着され、かつ、前記1つ以上の歯の歯茎の一部を覆うマウスピース型矯正装置であってもよい。
その場合、つまり、口腔内器具がマウスピース型矯正装置である場合には、生体モニタリング装置が装着者によって装着されたときに回路基板が装着者の歯列に沿うため、装着者は、一般的なマウスピース型矯正装置を装着するときと同様に、違和感なく生体モニタリング装置を装着することができ、生体モニタリング装置の装着違和感を最小限に抑えることができる
【0010】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記アンテナが、モノポールアンテナであり、前記回路基板は、前記アンテナが配置されている領域である第1領域と、前記第1領域以外の領域である第2領域とを備え、前記第2領域に配置されている前記1層以上の銅箔パターン層のうちの少なくとも1層以上の銅箔パターン層がグランドに接続されていてもよい。
その場合、つまり、第2領域がグランドに接続されている場合には、モノポールアンテナの鏡像が形成されるため、アンテナの放射効率を増加させることができる。また、この場合には、回路基板の長手方向の他方の端部に位置する第2領域がグランドに接続されるため、接地領域を長くすることができ、回路基板の全体の面積に対する鏡像生成に寄与する部分の面積の割合を大きくすることができ、小サイズの回路基板で放射効率を最大化することができる。
【0011】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記モノポールアンテナは、前記回路基板に形成された配線アンテナであってもよい。
その場合、つまり、回路基板に形成された配線アンテナから電波が放射される場合には、生体モニタリング装置を小型化しつつ、電波の放射効率を向上させることができる。
【0012】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記モノポールアンテナは、高誘電率材料を含むチップアンテナであってもよい。
その場合、つまり、モノポールアンテナが高誘電率材料を含むチップアンテナである場合には、生体モニタリング装置を小型化することができる。
【0013】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記モノポールアンテナは、前記回路基板に形成された配線アンテナと、高誘電率材料を含むチップアンテナとを複合することによって構成されていてもよい。
【0014】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記電池は、前記制御部を隔てて前記アンテナの反対側に配置されていてもよい。
その場合、生体モニタリング装置の装着感を損なうことなく、回路基板の短手方向寸法を抑制しつつ、アンテナから電波の放射効率を向上させることができる。
【0015】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記回路基板は、長辺と短辺とを備え、前記長辺と前記短辺との比が2以上であってもよい。
その場合、アンテナからの電波の送出効率を最大効率の20%以上とすることができる。
【0016】
装着者が回路基板を歯列に沿わせて生体モニタリング装置を装着した際に、回路基板の短辺が、一般成人の「歯肉頬移行部から咬頭頂まで」(歯茎の一番下から歯の最上点まで)の長さである約15mmを超えると、生体モニタリング装置の装着時に装着者が違和感を有するおそれがあることが、本発明者等の鋭意研究において見い出された。
そこで、本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記短辺が15mm以内であってもよい。
その場合、生体モニタリング装置の装着時に装着者が違和感を有するおそれを抑制することができる。
【0017】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記長辺が30mm以内であってもよい。
その場合、生体モニタリング装置の装着時に装着者が違和感を有するおそれを抑制することができる。
【0018】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記長辺と前記短辺との比が3.5以上7以下であってもよい。
その場合、アンテナからの電波の送出効率を最大効率の60%以上確保することができる。
【0019】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記制御部は、前記生体モニタリング装置が口腔内に配置されているときに前記アンテナから放射される電波の強度である第1放射電波強度と、前記生体モニタリング装置が口腔外に配置されているときに前記アンテナから放射される電波の強度である第2放射電波強度とを異ならせ、前記第1放射電波強度に対する前記第2放射電波強度の比率が、0.1以上0.2以下であってもよい。
その場合、生体モニタリング装置が口腔内に配置されているときにアンテナから放射される電波の受信信号強度と、生体モニタリング装置が口腔外に配置されているときにアンテナから放射される電波の受信信号強度とを概略等しくすることができる。
つまり、この場合には、口腔内に配置された生体モニタリング装置のアンテナから口腔外へ電波が送出されたときの損失(約-8dB)が考慮され、生体モニタリング装置が口腔内に配置されるときの電波強度に比重が置かれて設計が行われる。
【0020】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記生体モニタリング装置が口腔内に配置されているときに、前記アンテナが口腔内の口唇側に位置してもよい。
その場合、アンテナから外界(口腔外)までの距離を小さくすることができ、人体(生体モニタリング装置の装着者)による電波吸収を抑えて口腔外に電波を送出することができる。これにより、電池の消耗を抑えることができ、また人体への電波吸収を最小限に防ぐことができる。
【0021】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記生体モニタリング装置が口腔内に配置されているときに、前記アンテナの放射パターンのメインローブが口唇を介して口腔外に向いていてもよい。
その場合、適切な放射指向性をもたせることができ、口腔内に配置された生体モニタリング装置のアンテナから口腔外に向けて効率的に電波を送出することができる。
【0022】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記生体モニタリング装置が口腔内のうちの口蓋側に配置されて使用されてもよい。
その場合、生体モニタリング装置の装着者の頬肉での電波吸収を避けることができ、口腔内に配置された生体モニタリング装置のアンテナから口腔外に向けて効率的に電波を送出することができる。
【0023】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記回路基板には、センサが搭載されており、前記生体装着器具が、口腔内器具であり、前記センサは、前記生体モニタリング装置の装着者の口唇の開閉状態を検出し、前記制御部は、前記センサによって検出された前記生体モニタリング装置の装着者の口唇の開閉状態に応じて通信の状態を切り替えてもよい。
その場合、つまり、生体モニタリング装置の装着者の口唇の開閉状態に応じて通信の状態が切り替えられる場合(例えば通信の間隔、電力、情報の種類等が切り替えられる場合)には、例えば、通信が容易な装着者の口唇が開状態の時に主にデータの送信が行われ、損失が大きい装着者の口唇が閉状態の時に通信が抑制されることによって、データ送信を効率的に行うことができる。
【0024】
本発明の一態様の生体モニタリング装置では、前記回路基板には、センサが搭載されており、前記生体装着器具が、口腔内器具であり、前記センサは、前記生体モニタリング装置の装着者の口唇の開閉状態を検出し、前記制御部は、前記センサによって前記生体モニタリング装置の装着者の口唇の開状態が検出されている時に、前記アンテナから電波を放射してもよい。
その場合、つまり、生体モニタリング装置の装着者の口唇が開状態の時に、装着者の口腔内に配置された生体モニタリング装置のアンテナから電波が放射される場合には、無駄な電波送出(すなわち、装着者の口唇が閉状態の時に装着者の口腔内に配置された生体モニタリング装置のアンテナから電波が送出されること)を抑制することができ、口腔内に配置された生体モニタリング装置のアンテナから口腔外に向けて効率的に電波を送出することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、口腔内に配置された生体モニタリング装置から口腔外に電波を効率良く放射することができる生体モニタリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態の生体モニタリング装置の一例を示す図である。
【
図2】生体モニタリング装置の一部を構成する電子機器の一例を示す図である。
【
図3】電子機器に形成される電子機器のアンテナの鏡像の一例を説明するための図である。
【
図4】回路基板の長辺と短辺との比と、回路基板からの電波の放射効率との関係の一例を示す図である。
【
図5】生体モニタリング装置と無線通信を行う外部機器と、生体モニタリング装置との関係の一例を示す図である。
【
図6】装着者の口腔内に装着された生体モニタリング装置のアンテナからの電波の放射方向の一例を示す図である。
【
図7】生体モニタリング装置のアンテナの放射パターンの一例を示す図である。
【
図8】第2実施形態の生体モニタリング装置において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】第3実施形態の生体モニタリング装置において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図10】第5実施形態の生体モニタリング装置の一部を構成する電子機器の一例を示す図である。
【
図11】第5実施形態の生体モニタリング装置の電子機器に形成される電子機器のアンテナの鏡像の一例を説明するための図である。
【
図12】第7実施形態の生体モニタリング装置の電子機器に形成される電子機器のアンテナの鏡像の一例を説明するための図である。
【
図13】第8実施形態の生体モニタリング装置の一部を構成する電子機器の一例を示す図である。
【
図14】第9実施形態の生体モニタリング装置の一部を構成する電子機器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照し、本発明の生体モニタリング装置の実施形態について説明する。
【0028】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の生体モニタリング装置1の一例を示す図である。詳細には、
図1は生体モニタリング装置1が生体モニタリング装置1の装着者に装着されている状態を示している。
図2は生体モニタリング装置1の一部を構成する電子機器11の一例を示す図である。詳細には、
図2(A)は電子機器11の平面図であり、
図2(B)は
図2(A)のA-A線に沿った断面図である。
図3は電子機器11に形成される電子機器11のアンテナ11Eの鏡像の一例を説明するための図である。
図1~
図3に示す例では、生体モニタリング装置1が、電子機器11と、生体装着器具12とを備えている。電子機器11は回路基板11Aを有する。回路基板11Aは、銅箔パターン層11A1を含む6層基板である(
図2(B)参照)。
他の例では、回路基板11Aが6層とは異なる数の層を有する基板であってもよい。
【0029】
図2(B)に示す例では、回路基板11Aが、1層の銅箔パターン層11A1を備えているが、他の例では、回路基板11Aが、複数の銅箔パターン層を備えていてもよい。
【0030】
図1~
図3に示す例では、センサ11Bと、制御部11Cと、電池11Dと、アンテナ11Eとが、回路基板11Aに搭載されている。
センサ11Bは、例えば特開2020-014773号報、特開2020-141789号公報などに記載された光センサ(例えば脈波センサ、パルスオキシメータ、グルコースセンサ等)、歪センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、温度センサなどの少なくともいずれかであり、生体情報(詳細には、生体モニタリング装置1の装着者の生体情報)を検出する。
制御部11Cは、センサ11Bによって検出された生体情報を高周波信号に変換する処理などを行う。制御部11Cは、無線通信部としての機能と、信号処理部としての機能とを有する。電池11Dは、センサ11B、制御部11Cなどに電力を供給する。電池11Dは、制御部11Cを隔ててアンテナ11Eの反対側に配置されている。アンテナ11Eから放射された電波が電池11Dの金属缶に吸収されることを防ぐためである。アンテナ11Eは、電波を放射する機能のみならず、外部機器2(
図5参照)から送信された電波を受信する機能も有する。
回路基板11Aは、長辺と、短辺とを備えている。つまり、回路基板11Aは、長手方向(
図2(A)の左右方向)寸法と短手方向(
図2(A)の上下方向)寸法とを有する。長辺と短辺との比は2以上である。詳細には、短辺が15mm以内であり、長辺が30mm以内である。また、長辺と短辺との比(長辺/短辺)が3.5以上7以下である。それにより、生体モニタリング装置1からの電波の送出効率を60%以上にすることができる。
回路基板11Aの短辺が、一般成人の「歯肉頬移行部から咬頭頂まで」(歯茎の一番下から歯の最上点まで)の長さである約15mmを超えると、生体モニタリング装置1の装着者が、生体モニタリング装置1を歯列に沿わせて装着した際に、違和感を有するおそれがあるため、上述したように回路基板11Aの短辺が15mm以内に設定されている。
【0031】
図4は回路基板11Aの長辺と短辺との比と、回路基板11Aからの電波の放射効率との関係の一例を示す図である。詳細には、
図4の横軸は回路基板11Aの長辺と短辺との比を示しており、
図4の縦軸は回路基板11Aからの電波の放射効率(最大効率を100%としたときの相対効率)を示している。
図4に示す例では、回路基板11Aから放射される電波の周波数が4.442GHzである。
電波の放射効率20%(-7dB)を許容する場合、比率が2以上でなければならない。電波の放射効率20%は、0dBmの送信電力を無線通信部(制御部11C)からアンテナ1Eに供給したときに、給電線およびアンテナ1Eの損失を無視したとしても-7dBmの電力しか電波放射に利用できないことを意味する。放射された電波はさらに体組織や自由伝搬損失によって減衰を受けるため、電波の放射効率20%は、外部機器2(
図5参照)により受信するために必要な最低効率である。
図1~
図3に示す例では、
図4に示す回路基板11Aの長辺と短辺との比と、回路基板11Aからの電波の放射効率との関係に基づいて、回路基板11Aの長辺と短辺との比が、3.5以上7以下に設定されている。
図1~
図3に示す例では、回路基板11Aが長方形であるが、他の例では、回路基板11Aが長方形以外の形状(例えば長方形の4つの角部を例えば円弧状に面取りした形状など)であってもよい。つまり、回路基板11Aが短辺(直線状の短い辺)を備えていなくてもよい。
【0032】
図1~
図3に示す例では、アンテナ11Eが、回路基板11Aの長手方向の一方の端部(
図2(A)の右端部)に配置されており、モノポールアンテナである。回路基板11Aに搭載された他の部品が、アンテナ11Eから放射される電波の伝搬経路上に存在しないようにするためである。アンテナ11Eが、回路基板11Aの長手方向の一方の端部に配置されることにより、回路基板11Aに搭載された他の部品が電波の放射に与える影響を最小限に抑えつつ、電波を回路基板11Aの端部から放射することができる。
回路基板11Aは、アンテナ11Eが配置されている領域である第1領域11A-1と、第1領域11A-1以外の領域である第2領域11A-2とを備えている。詳細には、
図2(B)に示すように、第2領域11A-2に配置されている銅箔パターン層11A1がグランドに接続されている。
他の例では、複数の銅箔パターンが第2領域11A-2に配置されると共に、第2領域11A-2に配置されている複数の銅箔パターンのうちの1層以上の銅箔パターン層がグランドに接続されていてもよい。
【0033】
図1~
図3に示す例では、モノポールアンテナ(アンテナ11E)が、回路基板11Aに形成された配線アンテナである。また、上述したように、第2領域11A-2に配置されている銅箔パターン層11A1がグランドに接続されているため、
図3に示すように、第2領域11A-2には、モノポールアンテナ(アンテナ11E)の鏡像(
図3に「イメージアンテナ」で示す)が形成される。その結果、仮想的にダイポールアンテナとしてふるまうことになり、アンテナ(つまり、アンテナ11Eおよびイメージアンテナの全体)の放射効率を増加させることができる。
更に、
図2(A)および
図2(B)に示すように、グランドに接続される銅箔パターン層11A1は、アンテナ11Eが配置されていない第2領域11A-2に配置されている。そのため、接地領域(つまり、グランド電位の領域)の長手方向寸法(
図2(A)および
図2(B)の左右方向寸法)を大きくすることができる。その結果、回路基板11Aの全体の面積に対する鏡像生成に寄与する部分の面積の割合を大きくすることができ、小サイズの回路基板11Aで放射効率を最大化することができる。
【0034】
図1~
図3に示す例では、生体装着器具12が、電子機器11を封止する。つまり、電子機器11が、生体装着器具12に埋め込まれている。他の例では、生体装着器具12が、電子機器11を封止するのではなく、電子機器11を固定してもよい。
【0035】
生体モニタリング装置1は、生体モニタリング装置1の装着者の装着感を損なわないために、可能な限り小型で、装着時に違和感のない形状をとることが望ましい。咬合(かみ合わせ)に悪影響を与えないように歯冠部の嵌合面でない箇所(歯冠部の側面など)に装着する場合、歯牙の高さ方向に回路基板11Aが長いと、嵌合時に歯や歯茎、その他の体組織と生体モニタリング装置1とが接触・干渉し、嵌合に悪影響を与え、装着感を損ねるおそれがある。
一方で、咬合平面に平行な方向(歯列に沿う方法)においては、回路基板11Aの長さはある程度許容される。歯牙2、3本程度であれば特段の違和感はないし、それ以上にわたる場合であっても、回路基板11Aを湾曲可能なものにすれば、篏合の機能に悪影響を与えることは防ぐことができる。ここでいう回路基板11Aは、FR(Flame Retardant)-4などから成るリジッド基板、ポリイミドなどから成るフレキシブル基板、あるいはこれらの組み合わせのリジッドフレキシブル基板などでもよい。
【0036】
図1~
図3に示す例では、生体装着器具12が口腔内器具である。詳細には、
図1に示すように、回路基板11Aの長手方向(
図2(A)および
図2(B)の左右方向)が歯列に沿うように、生体モニタリング装置1は、生体装着器具12(口腔内器具)によって、口腔内に配置される。また、
図1に示すように、生体モニタリング装置1が口腔内に配置されているときに、アンテナ11Eが、生体モニタリング装置1の全体のうちの口腔内の口唇側(
図1の右下側)の部分に位置する。
図1~
図3に示す例では、生体装着器具12(口腔内器具)が、1つ以上の歯の歯冠に装着され、かつ、その1つ以上の歯の歯茎の一部を覆うマウスピース型矯正装置である。
他の例では、生体装着器具12(口腔内器具)が、矯正装置、義歯またはインプラントであってもよい。
【0037】
図5は生体モニタリング装置1と無線通信を行う外部機器2と、生体モニタリング装置1との関係の一例を示す図である。
図5に示す例では、装着者の口腔内に配置された生体モニタリング装置1が、装着者の口腔外に配置された外部機器2と無線通信を行う。
図5に示す生体モニタリング装置1の「無線通信部」、「CPU(Central Processing Unit)」、「RTC(Real-Time Clock)」、「RAM(Random Access Memory)」および「ROM(Read Only Memory)」は、
図1~
図3に示す制御部11Cに相当する。外部機器2は、アンテナ21と無線通信部22とCPU23とを備えている。
生体モニタリング装置1のセンサ11Bによって検出された生体モニタリング装置1の装着者の生体情報は、CPUおよび無線通信部を介して装着者の生体情報を示す高周波信号に変換される。生体モニタリング装置1のアンテナ11Eは、装着者の生体情報を示す電波を送信し、外部機器2のアンテナ21は、生体モニタリング装置1のアンテナ11Eから送信された電波を受信する。外部機器2の無線通信部22およびCPU23は、アンテナ21によって受信された電波に含まれる生体モニタリング装置1の装着者の生体情報を復調する。生体モニタリング装置1と外部機器2との無線通信方式には、例えばBluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy、WiFi、LPWA(Low Power Wide Area)などの公知の無線通信方式を適用可能である。
生体モニタリング装置1の装着者の口腔内に配置された生体モニタリング装置1のアンテナ11Eから装着者の口腔外に配置された外部機器2に向けて通信を行う際、アンテナ11Eからの放射電波の多くは、アンテナ11Eの近傍あるいは伝搬経路上にある体組織により吸収されることになる。そのため、生体モニタリング装置1は装着者の口腔外に向けて電波を効率的に放射するために、アンテナ11E等の配置を適切に行い、かつ十分な指向性をもたせることが重要となる。
【0038】
図6は装着者の口腔内に装着された生体モニタリング装置1のアンテナ11Eからの電波の放射方向の一例を示す図である。
図7は生体モニタリング装置1のアンテナ11Eの放射パターンの一例を示す図である。
図6および
図7に示す例では、生体モニタリング装置1が装着者の口腔内に配置されている時に、アンテナ11Eが、生体モニタリング装置1の全体のうちの口腔内の口唇側(
図6の右下側)の部分に位置し、アンテナ11Eの放射パターンのメインローブが口唇を介して口腔外に向いている。つまり、
図7に示すアンテナ11Eの放射パターンのメインローブが、
図6の「放射方向」を示す矢印上に配置されている。
口腔外にある外部機器2に向けて通信を行う際、このような配置とすることで伝搬経路が短くなるため、人体に吸収される電波の程度が低くなり、電波の減衰を抑えることができる。また、体組織への電波吸収も抑えられるため、健康被害が生じる可能性を低減することができる。また、アンテナ11Eに供給された電力の多くを電波の発射に寄与させることができる。
メインローブの放射方向は、アンテナ11Eの設置方向、回路基板11A上の実装部品、その他の生体モニタリング装置1の構成部品の形状・配置に影響を受ける。そのため、これらを調整することでメインローブを口腔外に向けるように設計することが望ましい。
【0039】
任意のタイミングで口腔内へ設置し、取り外すことができるような装置の場合、一般的には口腔内に設置した場合の最大伝搬距離と口腔外に設置した場合の最大伝搬距離は同等でよい。たとえば、装置からスマートフォンのような外部機器に対して通信をするような機器を例にとると、ユーザの口腔内に設置された装置から外部機器への距離と、口腔外に取り外された装置から外部機器への距離は一般的には大きく異なることはない(取り外したあとユーザのそばに置かれるものと仮定する)。したがって、口腔内から口腔外へ電波を送出するときの伝搬損失(約-8dB=0.15)を考慮し、口腔内に設置したときの放射電波強度に対する口腔外に設置したときの放射電波強度の比率を0.1倍から0.2倍の範囲にすることで、口腔内外のどちらに装置を置いた場合であっても、その電波放射特性を同等とすることができる。このためには、口腔内に設置された際の電波強度に比重を置いた設計をすることが望ましく、たとえばアンテナのマッチングを口腔内を模した環境下で行い、口腔内にてマッチングがとれた、すなわち口腔内にて電圧定在波比(VSWR)が低くなるような設計をするなどが考えられる。これにより、口腔外への最大伝搬距離が低下するものの、口腔内から送出した電波の最大伝搬距離が増大するため、総合的な最大伝搬距離(すなわち口腔内外両用時の最大伝搬距離)は改善する。
【0040】
上述した点に鑑み、
図1~
図7に示す例では、センサ11Bは、生体モニタリング装置1が装着者の口腔内に配置されているか、あるいは、生体モニタリング装置1が装着者の口腔外に配置されているかを示す情報を検出する(例えば生体モニタリング装置1が装着者の脈波、温度などを検出する)。
制御部11Cは、生体モニタリング装置1が装着者の口腔内に配置されていることがセンサ11Bによって検出された時にアンテナ11Eから放射される電波の強度である第1放射電波強度と、生体モニタリング装置1が口腔外に配置されていることがセンサ11Bによって検出された時にアンテナ11Eから放射される電波の強度である第2放射電波強度とを異ならせる。詳細には、制御部11Cは、第1放射電波強度に対する第2放射電波強度の比率を0.1以上0.2以下に設定する。つまり、制御部11Cは、生体モニタリング装置1が装着者の口腔内に配置されている時にアンテナ11Eから放射される電波を、生体モニタリング装置1が装着者の口腔外に配置されている時にアンテナ11Eから放射される電波よりも強くする。
その結果、生体モニタリング装置1が装着者の口腔内に配置されている時に外部機器2のアンテナ21が受信する電波の強度と、生体モニタリング装置1が装着者の口腔外に配置されている時に外部機器2のアンテナ21が受信する電波の強度とを概略等しくすることができる。
【0041】
図1~
図7に示す例では、生体モニタリング装置1がセンサ11Bを備えているが、他の例では、生体モニタリング装置1がセンサ11Bを備えていなくてもよい。この例では、生体モニタリング装置1が生体情報を中継する中継装置として機能する。
【0042】
<第2実施形態>
以下、本発明の生体モニタリング装置の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の生体モニタリング装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の生体モニタリング装置1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の生体モニタリング装置1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の生体モニタリング装置1と同様の効果を奏することができる。
【0043】
上述したように、第1実施形態の生体モニタリング装置1では、センサ11Bが、生体モニタリング装置1の装着者の生体情報を検出する機能を有する。
第2実施形態の生体モニタリング装置1では、センサ11Bが、生体モニタリング装置1の装着者の生体情報を検出する機能を有すると共に、生体モニタリング装置1の装着者の口唇の開閉状態を検出する機能を有する。
更に、第2実施形態の生体モニタリング装置1では、制御部11Cが、センサ11Bによって検出された生体モニタリング装置1の装着者の口唇の開閉状態に応じて通信の状態を切り替える。口腔内から口腔外に向けて通信を行うにあたり、生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態の時には外部機器2への伝搬損失が小さく、閉状態の時には体組織による電波吸収が顕著であるため伝搬損失が大きくなるからである。
ここでいう通信の状態とは、通信を行う間隔、アンテナ11Eへの供給電力、情報量の大小である。すなわち、S/Nが高く損失の少ない生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態の時に短間隔・省電力・多情報量で通信を行い、S/Nが低く損失の大きい生体モニタリング装置1の装着者の口唇が閉状態の時に長間隔・大電力・少情報量の通信を行う。
このような構成とすることで、アンテナ11Eへの供給電力が多く必要である生体モニタリング装置1の装着者の口唇が閉状態の時の通信を抑え、生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態の時に主として低消費電力の通信を行うことができる。
生体モニタリング装置1の装着者の口唇の開閉状態を検出するためのセンサ11Bとしては、例えば光センサ(生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態の時の明かりを感知する)、熱センサ(生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態の時の空気流入を感知する)、圧力センサ(生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態の時に歯の篏合が弱まることを感知する)、加速度センサ(生体モニタリング装置1の装着者の口唇の開閉運動の加速度を感知する)、ジャイロセンサ(生体モニタリング装置1の装着者の口唇の開閉運動による顎の傾きを感知する)等を用いることができ、またこれらを組合せで用いてもよい。
【0044】
図8は第2実施形態の生体モニタリング装置1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図8に示す例では、ステップS10において、例えば制御部11Cが、センサ11Bによって検出された生体モニタリング装置1の装着者の口唇の開閉状態に基づいて、生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態であるか否かを判定する。生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態である場合にはステップS11に進み、生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態でない場合にはステップS13に進む。
【0045】
ステップS11では、例えば制御部11Cが、生体モニタリング装置1の通信条件を、高S/N伝搬経路に対する通信条件である第1通信条件に設定する。具体的には、例えば制御部11Cが、生体モニタリング装置1の通信頻度を上げ、生体モニタリング装置1の送信電力を下げ、生体モニタリング装置1によって送受信される情報量を多くする。
次いで、ステップS12では、制御部11Cが、第1通信条件下での通信を行う(つまり、アンテナ11Eが第1通信条件下での電波送出を行う)。
【0046】
ステップS13では、例えば制御部11Cが、生体モニタリング装置1の通信条件を、低S/N伝搬経路に対する通信条件である第2通信条件に設定する。具体的には、例えば制御部11Cが、生体モニタリング装置1の通信頻度を下げ、生体モニタリング装置1の送信電力を上げ、生体モニタリング装置1によって送受信される情報量を少なくする。
次いで、ステップS14では、制御部11Cが、第2通信条件下での通信を行う(つまり、アンテナ11Eが第2通信条件下での電波送出を行う)。
【0047】
<第3実施形態>
以下、本発明の生体モニタリング装置の第3実施形態について説明する。
第3実施形態の生体モニタリング装置1は、後述する点を除き、上述した第2実施形態の生体モニタリング装置1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の生体モニタリング装置1によれば、後述する点を除き、上述した第2実施形態の生体モニタリング装置1と同様の効果を奏することができる。
【0048】
上述したように、第2実施形態の生体モニタリング装置1では、生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態でない場合(閉状態である場合)に、制御部11Cが、第2通信条件下での通信を行う(つまり、アンテナ11Eが、第2通信条件下での電波送出を行う)。
第3実施形態の生体モニタリング装置1では、生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態でない場合(閉状態である場合)に、制御部11Cが、外部機器2との通信を行わない。
更に、第3実施形態の生体モニタリング装置1では、生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態である場合(つまり、センサ11Bによって生体モニタリング装置1の装着者の口唇の開状態が検出されている時)に、制御部11Cが、アンテナ11Eから電波を放射する。
例えば生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態の時にBluetooth Low Energyのアドバタイズを行うことで、少量の情報を外部機器2に単発で送信するような使い方をすることができる。
生体モニタリング装置1の装着者の口唇の閉状態が長時間におよぶ場合などは、外部機器2への情報送信のために、アンテナ11Eへ大きな電力を供給し、必要に応じて通信させてもよい。
【0049】
図9は第3実施形態の生体モニタリング装置1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図9に示す例では、ステップS20において、例えば制御部11Cが、センサ11Bによって検出された生体モニタリング装置1の装着者の口唇の開閉状態に基づいて、生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態であるか否かを判定する。生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態である場合にはステップS21に進み、生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態でない場合にはステップS22に進む。
【0050】
ステップS21では、制御部11Cが、外部機器2との通信を行う(つまり、生体モニタリング装置1が、センサ11Bによって検出された生体モニタリング装置1の装着者の生体情報を外部機器2に送信する)。
一方、ステップS22では、制御部11Cが、外部機器2との通信を行わない(つまり、生体モニタリング装置1が、センサ11Bによって検出された生体モニタリング装置1の装着者の生体情報を外部機器2に送信しない)。
【0051】
<第4実施形態>
以下、本発明の生体モニタリング装置の第4実施形態について説明する。
第4実施形態の生体モニタリング装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の生体モニタリング装置1と同様に構成されている。従って、第4実施形態の生体モニタリング装置1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の生体モニタリング装置1と同様の効果を奏することができる。
【0052】
第1実施形態の生体モニタリング装置1は、
図1および
図6に示すように、生体モニタリング装置1の装着者の口腔内のうちの、装着者の奥歯と頬肉との間に位置に配置されて使用される。
一方、第4実施形態の生体モニタリング装置1は、生体モニタリング装置1の装着者の口腔内のうちの口蓋側(装着者の上前歯の裏側の位置)に配置されて使用される。そのため、生体モニタリング装置1のアンテナ11Eから放射された電波が装着者の頬肉で吸収されてしまうおそれを抑制することができ、生体モニタリング装置1のアンテナ11Eから口腔外に向けて効率的に電波を送出することができる。特に、生体モニタリング装置1の装着者の口唇が開状態の時には、口蓋側に配置された生体モニタリング装置1から口腔外への経路ができるため、電波損失が著しく小さくなる。
他の例では、生体モニタリング装置1が、生体モニタリング装置1の装着者の口腔内のうちの、装着者の奥歯と舌との間に位置に配置されて使用されてもよい。
【0053】
<第5実施形態>
以下、本発明の生体モニタリング装置の第5実施形態について説明する。
第5実施形態の生体モニタリング装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の生体モニタリング装置1と同様に構成されている。従って、第5実施形態の生体モニタリング装置1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の生体モニタリング装置1と同様の効果を奏することができる。
【0054】
図10は第5実施形態の生体モニタリング装置1の一部を構成する電子機器11の一例を示す図である。詳細には、
図10(A)は電子機器11の平面図であり、
図10(B)は
図10(A)のB-B線に沿った断面図である。
図11は第5実施形態の生体モニタリング装置1の電子機器11に形成される電子機器11のアンテナ11Eの鏡像の一例を説明するための図である。
図10および
図11に示す例では、電子機器11が回路基板11Aを有し、回路基板11Aは、銅箔パターン層11A1を含む6層基板である(
図10(B)参照)。
他の例では、回路基板11Aが6層とは異なる数の層を有する基板であってもよい。
【0055】
図10(B)に示す例では、回路基板11Aが、1層の銅箔パターン層11A1を備えているが、他の例では、回路基板11Aが、複数の銅箔パターン層を備えていてもよい。
【0056】
図10および
図11に示す例では、センサ11Bと、制御部11Cと、電池11Dと、アンテナ11Eとが、回路基板11Aに搭載されている。
アンテナ11Eは、回路基板11Aの長手方向の一方の端部(
図10(A)の右端部)に配置されており、モノポールアンテナである。
回路基板11Aは、アンテナ11Eが配置されている領域である第1領域11A-1と、第1領域11A-1以外の領域である第2領域11A-2とを備えている。詳細には、
図10(B)に示すように、第2領域11A-2に配置されている銅箔パターン層11A1がグランドに接続されている。
他の例では、複数の銅箔パターンが第2領域11A-2に配置されると共に、第2領域11A-2に配置されている複数の銅箔パターンのうちの1層以上の銅箔パターン層がグランドに接続されていてもよい。
【0057】
図10および
図11に示す例では、モノポールアンテナ(アンテナ11E)が、回路基板11Aに形成された配線アンテナ(金属配線)(
図10(A)参照)と、高誘電率材料(高誘電体)を含むチップアンテナとを複合することによって構成されている。詳細には、モノポールアンテナ(アンテナ11E)のチップアンテナは、配線アンテナ(金属配線)と給電線とを介して制御部11Cに接続されている。また、上述したように、第2領域11A-2に配置されている銅箔パターン層11A1がグランドに接続されている。そのため、
図11に示すように、第2領域11A-2には、モノポールアンテナ(配線アンテナおよびチップアンテナ)の鏡像が形成される。その結果、アンテナの放射効率を増加させることができる。
更に、
図10(A)および
図10(B)に示すように、グランドに接続される銅箔パターン層11A1は、アンテナ11Eが配置されていない第2領域11A-2に配置されている。そのため、接地領域(つまり、グランド電位の領域)の長手方向寸法(
図10(A)および
図10(B)の左右方向寸法)を大きくすることができる。その結果、回路基板11Aの全体の面積に対する鏡像生成に寄与する部分の面積の割合を大きくすることができ、小サイズの回路基板11Aで放射効率を最大化することができる。
【0058】
<第6実施形態>
以下、本発明の生体モニタリング装置の第6実施形態について説明する。
第6実施形態の生体モニタリング装置1は、後述する点を除き、上述した第5実施形態の生体モニタリング装置1と同様に構成されている。従って、第6実施形態の生体モニタリング装置1によれば、後述する点を除き、上述した第5実施形態の生体モニタリング装置1と同様の効果を奏することができる。
【0059】
上述したように、第5実施形態の生体モニタリング装置1では、モノポールアンテナ(アンテナ11E)が、回路基板11Aに形成された配線アンテナ(金属配線)(
図10(A)参照)と、高誘電率材料(高誘電体)を含むチップアンテナとを複合することによって構成されている。
一方、第6実施形態の生体モニタリング装置1では、モノポールアンテナ(アンテナ11E)が、配線アンテナ(金属配線)を備えておらず、高誘電率材料(高誘電体)を含むチップアンテナである。
第6実施形態の生体モニタリング装置1においても、第5実施形態の生体モニタリング装置1と同様に、第2領域11A-2に配置されている銅箔パターン層11A1がグランドに接続されているため、第2領域11A-2には、モノポールアンテナ(チップアンテナ)の鏡像が形成される。その結果、アンテナの放射効率を増加させることができる。
更に、第6実施形態の生体モニタリング装置1においても、第5実施形態の生体モニタリング装置1と同様に、グランドに接続される銅箔パターン層11A1は、アンテナ11Eが配置されていない第2領域11A-2に配置されている。そのため、接地領域(つまり、グランド電位の領域)の長手方向寸法を大きくすることができる。その結果、回路基板11Aの全体の面積に対する鏡像生成に寄与する部分の面積の割合を大きくすることができ、小サイズの回路基板11Aで放射効率を最大化することができる。
【0060】
<第7実施形態>
以下、本発明の生体モニタリング装置の第7実施形態について説明する。
第7実施形態の生体モニタリング装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の生体モニタリング装置1と同様に構成されている。従って、第7実施形態の生体モニタリング装置1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の生体モニタリング装置1と同様の効果を奏することができる。
【0061】
図12は第7実施形態の生体モニタリング装置1の電子機器11に形成される電子機器11のアンテナ11Eの鏡像の一例を説明するための図である。
第1実施形態の生体モニタリング装置1では、
図3に示すように、直線状のモノポールアンテナ(アンテナ11E)の鏡像(
図3に「イメージアンテナ」で示す)が、第2領域11A-2に形成される。
一方、第7実施形態の生体モニタリング装置1では、
図12に示すように、メアンダ構造のモノポールアンテナ(アンテナ11E)の鏡像が、第2領域11A-2に形成される。
【0062】
<第8実施形態>
以下、本発明の生体モニタリング装置の第8実施形態について説明する。
第8実施形態の生体モニタリング装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の生体モニタリング装置1と同様に構成されている。従って、第8実施形態の生体モニタリング装置1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の生体モニタリング装置1と同様の効果を奏することができる。
【0063】
図13は第8実施形態の生体モニタリング装置1の一部を構成する電子機器11の一例を示す図である。詳細には、
図13(A)は第8実施形態の生体モニタリング装置1の電子機器11の平面図であり、
図13(B)は
図13(A)のC-C線に沿った断面図である。
図13に示す例では、電子機器11が回路基板11Aを有する。回路基板11Aは、銅箔パターン層11A1を含む6層基板である(
図13(B)参照)。
他の例では、回路基板11Aが6層とは異なる数の層を有する基板であってもよい。
【0064】
図13(B)に示す例では、回路基板11Aが、中間層(
図13(B)の上から3層目)に銅箔パターン層11A1を備えている。
回路基板11Aは、アンテナ11Eが配置されている領域である第1領域11A-1と、第1領域11A-1以外の領域である第2領域11A-2とを備えている。詳細には、
図13(B)に示すように、第2領域11A-2に配置されている銅箔パターン層11A1(
図13(B)の上から3層目の銅箔パターン層11A1)がグランドに接続されている。
【0065】
<第9実施形態>
以下、本発明の生体モニタリング装置の第9実施形態について説明する。
第9実施形態の生体モニタリング装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の生体モニタリング装置1と同様に構成されている。従って、第9実施形態の生体モニタリング装置1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の生体モニタリング装置1と同様の効果を奏することができる。
【0066】
図14は第9実施形態の生体モニタリング装置1の一部を構成する電子機器11の一例を示す図である。詳細には、
図14(A)は第9実施形態の生体モニタリング装置1の電子機器11の平面図であり、
図14(B)は
図14(A)のD-D線に沿った断面図である。
図14に示す例では、電子機器11が回路基板11Aを有する。回路基板11Aは銅箔パターン層11A1を有する。銅箔パターン層11A1はグランドに接続されている。回路基板11Aには、センサ11Bと、制御部11Cと、電池11Dと、アンテナ11Eと、金属カバー11Fとが搭載されている。金属カバー11Fは、回路基板11Aの一部を覆っており、グランドに接続されている。
【0067】
<変形例>
上述した第1から第9実施形態の生体モニタリング装置1では、アンテナ11Eがモノポールアンテナであるが、上述した実施形態の変形例では、アンテナが回路基板11A(プリント基板)上に銅箔パターンとして形成するものであってもよい。銅箔パターンとして形成する場合においては、逆Lアンテナでも、逆Fアンテナでも構わない。いずれの場合でも、鏡像が形成される方向が回路基板11Aの長手方向である必要がある。さらに、銅箔パターンとチップアンテナの複合アンテナとしてもよい。
【0068】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…生体モニタリング装置、11…電子機器、11A…回路基板、11A-1…第1領域、11A-2…第2領域、11A1…銅箔パターン層、11B…センサ、11C…制御部、11D…電池、11E…アンテナ、11F…金属カバー、12…生体装着器具、2…外部機器、21…アンテナ、22…無線通信部、23…CPU