(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035600
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】ロールレベラ及びその清掃方法
(51)【国際特許分類】
B08B 1/02 20060101AFI20230306BHJP
B21D 1/05 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B08B1/02
B21D1/05 T
B21D1/05 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142593
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】592103327
【氏名又は名称】伊達 興代
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊達 興代
【テーマコード(参考)】
3B116
4E003
【Fターム(参考)】
3B116AA08
3B116AB13
3B116AB37
3B116BA08
3B116BA14
3B116BA23
3B116CD43
4E003BA35
(57)【要約】
【課題】上下のワークロールから異物を綺麗に拭き取る。
【解決手段】上ワークロール32の列と下ワークロール33の列との間に帯状の清掃部材201を挟み込んだ状態で、上ワークロール32及び下ワークロール33の順方向の回転角を上ワークロール32及び下ワークロール33の逆方向の回転角よりも大きくして上ワークロール32及び下ワークロール33を順方向及び逆方向に交互に繰り返し回転駆動する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行となるよう前後に配列される複数の上ワークロールと、
前記上ワークロールに対して平行であり、前記上ワークロールの列と平行な列を成すように前後に配列され、前記上ワークロールのそれぞれから列方向にずれて配置される複数の下ワークロールと、を備えるロールレベラを清掃する方法であって、
前記上ワークロールの列と前記下ワークロールの列との間に帯状の清掃部材を挟み込んだ状態で、前記上ワークロール及び前記下ワークロールの順方向の回転角を前記上ワークロール及び前記下ワークロールの逆方向の回転角よりも大きく又は小さくして、前記上ワークロール及び前記下ワークロールを順方向及び逆方向に交互に繰り返し回転駆動する
ロールレベラの清掃方法。
【請求項2】
前記上ワークロール及び前記下ワークロールの列よりも後ろの位置において前記清掃部材を第1のクランプ機構により挟み込むとともに、前記上ワークロール及び前記下ワークロールの列よりも前の位置で前記清掃部材を第2のクランプ機構により挟み込む
請求項1に記載のロールレベラの清掃方法。
【請求項3】
前記上ワークロール及び前記下ワークロールの回転の向きを切り換える際に前記上ワークロール及び前記下ワークロールを一時停止する
請求項1又は2に記載のロールレベラの清掃方法。
【請求項4】
互いに平行となるよう前後に配列される複数の上ワークロールと、
前記上ワークロールに対して平行であり、前記上ワークロールの列と平行な列を成すように前後に配列され、前記第1ロールのそれぞれから列方向にずれて配置される複数の下ワークロールと、を備え、前記上ワークロールの列と前記下ワークロールの列との間に挟み込まれたワークを矯正するロールレベラにおいて、
前記ワークに代えて清掃部材が前記上ワークロールの列と前記下ワークロールの列との間に挟まれた状態で、前記上ワークロール及び前記下ワークロールの順方向の回転角を前記上ワークロール及び前記下ワークロールの逆方向の回転角よりも大きく又は小さくして、前記上ワークロール及び前記下ワークロールを順方向及び逆方向に交互に繰り返し回転駆動する駆動部と、
を備えるロールレベラ。
【請求項5】
前記上ワークロール及び前記下ワークロールの列よりも後ろ位置に設けられ、前記清掃部材を挟み込む第1のクランプ機構と、
前記上ワークロール及び前記下ワークロールの列よりも前の位置に設けられ、前記清掃部材を挟み込む第2のクランプ機構と、
を更に備える請求項4に記載のロールレベラ。
【請求項6】
前記駆動部が、前記上ワークロール及び前記下ワークロールの回転の向きを切り換える際に前記上ワークロール及び前記下ワークロールを一時停止する
請求項4又は5に記載のロールレベラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールレベラ及びその清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロールレベラは、例えばアンコイラに装着されたコイルから繰り出される鋼材およびアルミニウム等の金属の帯状体の巻き癖や内部歪みの除去等に用いられる。一般的なロールレベラは千鳥状に配列された複数の上ワークロールと複数の下ワークロールを備え、コイルから繰り出される帯状体が上ワークロールの列と下ワークロールの列との間を下流へ通過するようにフィーダによって搬送される。帯状体が上ワークロールによる曲げと下ワークロールによる曲げ戻しとを交互に受けるので、帯状体はその巻き癖が除去されるように矯正される。
【0003】
ロールレベラに挿通する帯状体の表面には異物(例えば、金属粉など)が付着していることがあり、この場合、ワークロールの外周表面に転移して付着してしまう。また、外部から侵入した異物がワークロールの外周表面に付着することもある。異物が付着したワークロールを用いると、帯状体の表面に傷がついてしまい不良品が発生する。そのため、帯状体の傷の有無を常にチェックする必要がある。そして、帯状体に傷が発生する都度、ロールレベラを停止し、ワークロールを清掃する。
【0004】
特許文献1には、ステンレス薄板の両面に不織布を接着したロール清掃用具が開示されている。ロール清掃用具はロールレベラの入口の上流側に固定されているとともに、その固定箇所からロールレベラの上ワークロールと下ワークロールとの間へ挿通された状態となっている。従って、上ワークロールと下ワークロールが回転すると、上ワークロール及び下ワークロールの外周表面がロール清掃用具によって拭かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、前記特許文献1に記載の技術では、上下のワークロールが一方向にしか回転しないため、ロール清掃用具によって異物を綺麗に拭き取れないこともある。
また、清掃中、何かしらのものが上ワークロールと下ワークロールの間に咥え込まれると、そのものがこれらロールの間に一気に引き込まれてしまう。そのため、これらロールの清掃は危険を伴う作業となる。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、上下のワークロールから異物を綺麗に拭き取れるようにすることを目的とする。併せて、本発明は、上ワークロールと下ワークロールの間への急速な引き込みを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、互いに平行となるよう前後に配列される複数の上ワークロールと、前記上ワークロールに対して平行であり、前記上ワークロールの列と平行な列を成すように前後に配列され、前記上ワークロールのそれぞれから列方向にずれて配置される複数の下ワークロールと、を備えるロールレベラを清掃する方法であって、前記上ワークロールの列と前記下ワークロールの列との間に帯状の清掃部材を挟み込んだ状態で、前記上ワークロール及び前記下ワークロールの順方向の回転角を前記上ワークロール及び前記下ワークロールの逆方向の回転角よりも大きく又は小さくして、前記上ワークロール及び前記下ワークロールを順方向及び逆方向に交互に繰り返し回転駆動するロールレベラの清掃方法が提供される。
【0009】
また、以上の課題を解決するため、互いに平行となるよう前後に配列される複数の上ワークロールと、前記上ワークロールに対して平行であり、前記上ワークロールの列と平行な列を成すように前後に配列され、前記上ワークロールのそれぞれから列方向にずれて配置される複数の下ワークロールと、を備え、前記上ワークロールの列と前記下ワークロールの列との間に挟み込まれたワークを矯正するロールレベラにおいて、前記ワークに代えて清掃部材が前記上ワークロールの列と前記下ワークロールの列との間に挟まれた状態で、前記上ワークロール及び前記下ワークロールの順方向の回転角を前記上ワークロール及び前記下ワークロールの逆方向の回転角よりも大きく又は小さくして、前記上ワークロール及び前記下ワークロールを順方向及び逆方向に交互に繰り返し回転駆動する駆動部と、を備えるロールレベラが提供される。
【0010】
以上のように、清掃部材が上ワークロールの列と下ワークロールの列との間に挟まれた状態で、上ワークロール及び下ワークロールが順方向及び逆方向に交互に繰り返し回転するため、傷の発生要因となる異物が上ワークロール及び下ワークロールの表面から綺麗に拭き取られる。
また、何かしらのものが順方向の回転時に上ワークロールと下ワークロールの間に誤って咥え込まれても、そのものがその後の逆方向の回転時に排出される。一方、何かしらのものが逆方向の回転時に上ワークロールと下ワークロールの間に誤って咥え込まれても、そのものがその後の順方向の回転時に排出される。よって、従来の方法と比して、上ワークロール及び下ワークロールの清掃をより安全に行える。
また、上ワークロール及び下ワークロールの順方向の回転角が上ワークロール及び下ワークロールの逆方向の回転角よりも大きく又は小さいため、上ワークロール及び下ワークロールの外周面全体を清掃することができる。
【0011】
好ましくは、前記清掃方法において、前記上ワークロール及び前記下ワークロールの列よりも後ろの位置において前記清掃部材を第1のクランプ機構により挟み込むとともに、前記上ワークロール及び前記下ワークロールの列よりも前の位置で前記清掃部材を第2のクランプ機構により挟み込む。
【0012】
好ましくは、前記ロールレベラが、前記上ワークロール及び前記下ワークロールの列よりも後ろ位置に設けられ、前記清掃部材を挟み込む第1のクランプ機構と、前記上ワークロール及び前記下ワークロールの列よりも前の位置に設けられ、前記清掃部材を挟み込む第2のクランプ機構と、を更に備える。
【0013】
以上のように、第1のクランプ機構及び第2のクランプ機構が清掃部材を挟み込むことによって清掃部材が拘束されるため、回転する上ワークロール及び下ワークロールの外周面が清掃部材に対して滑る。そのため、上ワークロール及び下ワークロールの外周面が清掃部材によって綺麗に拭かれ、傷の発生要因となる異物が上ワークロール及び下ワークロールの外周面から除去される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上ワークロール及び下ワークロールの外周面から異物を除去することができる。
何かしらのものが上ワークロールと下ワークロールの間に咥え込まれても、上ワークロール及び下ワークロールの回転の向きが変わることによって、咥え込まれたものが上ワークロール及び下ワークロールの間から排出される方向に上ワークロール及び下ワークロールが回転する。よって、ロールの清掃を安全に行える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】矯正時における第1実施形態のロールレベラの側面図である。
【
図2】清掃時における第1実施形態のロールレベラの側面図である。
【
図3】矯正時における変形例のロールレベラの側面図である。
【
図4】清掃時における変形例のロールレベラの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0017】
<<第1の実施の形態>>
〔ロールレベラの構成の説明〕
図1は、ロールレベラ2の側面図である。
鋼製等の帯板状のワーク102が、このロールレベラ2の後方からロールレベラ2に連続的又は間欠的に供給されて、ロールレベラ2を後方から前方に通過する。ロールレベラ2は、ワーク102の歪みを矯正して、ワーク102を連続的又はオン・オフ的に送出する。なお、ワーク102の供給源は、例えば、ワーク102が巻回されたコイルからワーク102を繰り出すアンコイラである。
【0018】
ワーク102が後ろから前に搬送されるため、後方が上流方向であり、前方が下流方向である。ワーク102が前方に搬送されることを順送りといい、ワーク102が後方に搬送されることを逆送りという。また、前方を順送り方向ということもあり、後方を逆送り方向ということもある。
図1の紙面に垂直な方向がロールレベラ2の幅方向である。幅方向を左右方向ということもある。
【0019】
ロールレベラ2は、複数の上ワークロール32及び下ワークロール33から構成されるワークロール群31と、上ロールフレーム43と、角度調整板44と、下ロールフレーム45と、アッパーフレーム46と、左右一対のサイドフレーム47と、吊り上げロッド51と、吊り上げスプリング52と、4組の圧下調整ボルト53と、第1のクランプ機構70と、第2のクランプ機構80と、ドライブモータ61と、制御部62とを備える。
【0020】
サイドフレーム47は、左右に対となって、設置面に立てた状態に設けられている。
下ロールフレーム45は、一対のサイドフレーム47の下部に取り付けられている。
アッパーフレーム46は、一対のサイドフレーム47の上端部間に架設されている。
吊り上げロッド51は、アッパーフレーム46の中央部を上下に貫通する。吊り上げロッド51の下端は、左右方向に延びたシャフト51aを介して角度調整板44に取り付けられている。
角度調整板44の下面は上ロールフレーム43の上端に取り付けられている。
上ロールフレーム43は、下ロールフレーム45の上方に配置されている。
角度調整板44及び上ロールフレーム43は、シャフト51aを中心に傾動可能である。これにより、角度調整板44の角度が調整される。
【0021】
吊り上げスプリング52は、吊り上げロッド51の周囲に巻かれている。この吊り上げスプリング52は、吊り上げロッド51の頭部のナット52aとアッパーフレーム46との間に挟まれて、圧縮された状態でプリセットされている。ナット52aの回転によりナット52aが吊り上げロッド51の軸方向に変位し、これにより吊り上げスプリング52の弾性力が調整される。吊り上げスプリング52は、その弾性力によって上ロールフレーム43、角度調整板44及び吊り上げロッド51をアッパーフレーム46に支持する。
【0022】
4組の圧下調整ボルト53は、それぞれ吊り上げロッド51の右前、左前、右後ろ及び左後ろの位置において、アッパーフレーム46を上下に貫通するようにしてアッパーフレーム46に螺合する。これら圧下調整ボルト53の下端が角度調整板44の上面に突き当てられている。圧下調整ボルト53をねじ回しすることによって、角度調整板44及び上ロールフレーム43の姿勢、角度及び上下方向の位置を調整することができる。圧下調整ボルト53の回転はサーボモータ及び手動のどちらによっても行える。
【0023】
ワークロール群31は、複数の上ワークロール32及び複数の下ワークロール33から構成されている。各々の上ワークロール32は、軸受等を介して上ロールフレーム43に取り付けられている。これら上ワークロール32は、互いに平行に設けられているとともに、前後方向に配列されている。上ワークロール32の列の下方において、各々の下ワークロール33は、軸受等を介して下ロールフレーム45に取り付けられている。これら下ワークロール33は、互いに平行に設けられているとともに、上ワークロール32の列と平行となるように前後方向に配列されている。上ワークロール32と下ワークロール33がジグザグ状又は千鳥状に配置されている。つまり、下ワークロール33がそれぞれ上ワークロール32から列方向(つまり、前後方向)にずれて配置されている。上ワークロール32から下ワークロール33の列方向のずれは、隣り合う下ワークロール33又は隣り合う上ワークロール32の中心軸間の距離未満であり、好ましくはその距離の2分の1に等しい。各々の上ワークロール32と各々の下ワークロール33は伝導機構を介してドライブモータ61に連結されている。
【0024】
第1のクランプ機構70は、上ワークロール32及び下ワークロール33の後方に設けられている。第1のクランプ機構70は、後述の清掃部材201(
図2参照)を挟持する。
【0025】
第1のクランプ機構70は、押えパッド71、支持部72及びアクチュエータ73を有する。
押えパッド71は、上ワークロール32の後方においてガイド等によって昇降可能となって、サイドフレーム47又はアッパーフレーム46に設けられている。押えパッド71の下面が平坦又は凸凹に設けられている。
支持部72は、下ワークロール33の後方においてサイドフレーム47間に架設されるようにして、サイドフレーム47に取り付けられている。支持部72は、その上面が平坦なテーブルである。支持部72は、押えパッド71の下方に配置されている。
アクチュエータ73は、上ワークロール32の後方においてアッパーフレーム46から垂下するよう、アッパーフレーム46に取り付けられている。アクチュエータ73は、例えばエアシリンダー、油圧シリンダー又はソレノイドである。アクチュエータ73は、プランジャー又はロッド73bを本体部73aから下方へ進出させ、プランジャー又はロッド73bを上方へ本体部73aに引き込ませる。アクチュエータ73の下端、つまりプランジャー又はロッド73bの先端が押えパッド71に連結されている。アクチュエータ73は、押さえパッド71を昇降させるよう押さえパッド71を駆動する。
【0026】
第2のクランプ機構80は、上ワークロール32及び下ワークロール33の前方に設けられている。第2のクランプ機構80は、後述の清掃部材201(
図2参照)を挟持する。
【0027】
第2のクランプ機構80は、押えパッド81、支持部82及びアクチュエータ83を有する。
押えパッド81は、上ワークロール32の前方においてガイド等によって昇降可能となって、サイドフレーム47又はアッパーフレーム46に設けられている。押えパッド81の下面が平坦又は凸凹に設けられている。
支持部82は、下ワークロール33の後方においてサイドフレーム47間に架設されるようにして、サイドフレーム47に取り付けられている。支持部82は、その上面が平坦なテーブルである。支持部82は、押えパッド81の下方に配置されている。
アクチュエータ83は、上ワークロール32の前方においてアッパーフレーム46から垂下するよう、アッパーフレーム46に取り付けられている。アクチュエータ83は、エアシリンダー、油圧シリンダー又はソレノイドである。アクチュエータ83は、プランジャー又はロッド83bを本体部83aから下方へ進出させ、プランジャー又はロッド83bを上方へ本体部83aに引き込ませるである。アクチュエータ83の下端、つまりプランジャー又はロッド83bの先端が押えパッド71に連結されている。アクチュエータ83は、押さえパッド81を昇降させるよう駆動する。
【0028】
〔ロールレベラの動作の説明〕
次に、ロールレベラ2を用いてワーク102を矯正する方法について説明する。併せて、ワーク102の矯正時のロールレベラ2の動作について説明する。
【0029】
まず、アクチュエータ73,83を作動させて、押えパッド71,81を支持部72,82から上方に離間させる。
次に、コイルから繰り出されるワーク102を上ワークロール32の列と下ワークロール33の列との間に挿通する。次に、圧下調整ボルト53を手動又はサーボモータにより回転させることによって、上ワークロール32を下降させて、ワーク102を上ワークロール32の列と下ワークロール33の列との間に挟み込む。この際、ワーク102の厚さ及び材料特性を考慮して、上下方向における上ワークロール32の位置を調整することによって上ワークロール32と下ワークロール33の間の間隔を調整する。
【0030】
その後、送り装置によってワーク102を順送り方向に連続的又は間欠的に搬送しつつ、ドライブモータ61によって上ワークロール32及び下ワークロール33を連続的又は間欠的に駆動する。そのため、ワーク102が上ワークロール32の列と下ワークロール33の列との間を順送り方向に通過する際に、ワーク102が上ワークロール32と下ワークロール33によって矯正される。上ワークロール32の列と下ワークロール33の列との間から搬出されるワーク102はその後、別の工程、例えばプレス機へと搬送される。
【0031】
〔清掃方法の説明〕
続いて、
図2を用いてロールレベラ2の清掃方法について説明する。併せて、清掃時のロールレベラ2の動作について説明する。
【0032】
まず、アクチュエータ73,83を作動させて、押えパッド71,81を支持部72,82から上方に離間させる。
次に、圧下調整ボルト53を手動又はサーボモータにより回転させることによって、上下方向における上ワークロール32の位置を調整することによって、上ワークロール32と下ワークロール33の間の間隔を調整する。なお、
図1のようにワーク102が上ワークロール32と下ワークロール33との間にある場合、ワーク102を取り出す。
【0033】
次に、清掃部材201を押えパッド71と支持部72との間に挿入する。清掃部材201は、例えば布、紙、粘着テープ又は複合シートである。布は不織布と織布のどちらでもよい。粘着テープは片面粘着テープと両面粘着テープのどちらでもよい。複合シートとは、薄い帯状の可撓性材料(例えば、鋼板、ステンレス鋼板)の両面又は片面に布又は粘着剤が貼着されたものをいう。また、オイルといった潤滑液又は洗浄液が清掃部材201に含浸し、又は塗布されていてもよい。
【0034】
次に、清掃部材201の先端を最後尾の上ワークロール32と下ワークロール33との間にセッティングする。
【0035】
次に、ドライブモータ61によって上ワークロール32及び下ワークロール33を駆動し、上ワークロール32及び下ワークロール33によって清掃部材201を順送り方向に搬送する。これにより清掃部材201が上ワークロール32の列と下ワークロール33の列との間に挿入される。清掃部材201の先端が押えパッド81と支持部82との間を前方へ通過したら、ドライブモータ61を停止させる。
なお、手作業で清掃部材201を上ワークロール32の列と下ワークロール33の列との間に挿入してもよい。
【0036】
次に、アクチュエータ73を作動させて、押えパッド71を支持部72の方へ下降させる。これにより、清掃部材201を押えパッド71と支持部72との間に挟み込む。この際、アクチュエータ73を調整することによって、清掃部材201を挟み込む荷重を調整する。アクチュエータ73がエアシリンダーである場合、比例電磁弁によってアクチェータ73の空気圧を調整することによって、清掃部材201を挟み込む荷重を調整することができる。
【0037】
次に、第2のクランプ機構80の前方から清掃部材201を前方に引っ張る。そして、清掃部材201を張った状態で、アクチュエータ83を作動させて、押えパッド81を支持部82の方へ下降させる。これにより、清掃部材201を押えパッド81と支持部82との間に挟み込む。この際、アクチュエータ83を調整することによって、清掃部材201を挟み込む荷重を調整する。アクチュエータ78がエアシリンダーである場合、比例電磁弁によってアクチェータ73の空気圧を調整することによって、清掃部材201を挟み込む荷重を調整することができる。
【0038】
次に、制御部62によってドライブモータ61を制御して、ドライブモータ61を順方向と逆方向に交互に短周期で繰り返し回転させる。そうすると、上ワークロール32及び下ワークロール33が順方向と逆方向に交互に繰り返し回転駆動される。この際、制御部62は、順方向のドライブモータ61の回転角を逆方向のドライブモータ61の回転角よりも大きく制御する。なお、制御部62がドライブモータ61を間欠的に駆動することで、ドライブモータ61の回転方向が順方向から逆方向に切り替わる際にドライブモータ61が一時的に停止してもよい。つまり、ドライブモータ61が順に順方向の回転、一時停止、逆方向の回転及び一時停止を繰り返すように動作してもよい。
【0039】
ここで、清掃部材201が順送り方向に搬送される向きのドライブモータ61、上ワークロール32及び下ワークロール33の回転方向が順方向である。一方、清掃部材201が逆送り方向に搬送される向きのドライブモータ61、上ワークロール32及び下ワークロール33の回転方向が逆方向である。具体的には、ドライブモータ61が順方向に回転すると、
図2の図示方向において上ワークロール32が反時計回りに回転するとともに、下ワークロール33が時計回りに回転する。一方、ドライブモータ61が逆方向に回転すると、
図2の図示方向において上ワークロール32が時計回りに回転するとともに、下ワークロール33が反時計回りに回転する。
【0040】
上ワークロール32及び下ワークロール33が順方向と逆方向に交互に繰り返し回転しても、上ワークロール32及び下ワークロール33の外周面が周方向に正転・逆転しながら清掃部材201に対して滑り、清掃部材201は搬送されない。具体的には、上ワークロール32及び下ワークロール33が順方向に回転する際には、上ワークロール32及び下ワークロール33が清掃部材201を前方に引っ張るが、第1のクランプ機構70がその引っ張りに抵抗するため、上ワークロール32及び下ワークロール33の外周面が清掃部材201に対して滑り、清掃部材201が順送り方向に搬送されない。一方、上ワークロール32及び下ワークロール33が逆方向に回転する際には、上ワークロール32及び下ワークロール33が清掃部材201を後方に引っ張るが、第2のクランプ機構80がその引っ張りに抵抗するため、上ワークロール32及び下ワークロール33の外周面が清掃部材201に対して滑り、清掃部材201が逆送り方向に搬送されない。
【0041】
上ワークロール32及び下ワークロール33の外周面が清掃部材201に対して滑ると、上ワークロール32及び下ワークロール33の外周面に付着した異物が清掃部材201によって拭き取られる。特に、上ワークロール32及び下ワークロール33の外周面が周方向に正転・逆転するため、上ワークロール32及び下ワークロール33の外周面が清掃部材201によって効率的に拭かれる。
【0042】
ここで、上ワークロール32及び下ワークロール33の順方向の回転角が逆方向の回転角よりも大きいため、上ワークロール32及び下ワークロール33の外周面が段階的に少しずつ順方向に変位して、上ワークロール32及び下ワークロール33の外周面が清掃部材201に接触する部分が少しずつ移り変わっていく。そのため、上ワークロール32及び下ワークロール33の外周面の全体を清掃することができる。
【0043】
上ワークロール32及び下ワークロール33が順方向と逆方向に交互に繰り返し回転する際中に、何かしらのものが上ワークロール32と下ワークロール33の間に咥え込まれても、そのものは上ワークロール32及び下ワークロール33の回転の向きの切り替わりによって抜ける。例えば、何かしらのものが順方向の回転時に上ワークロール32と下ワークロール33の間に誤って咥え込まれても、そのものがその後の逆方向の回転時に排出される。一方、何かしらのものが逆方向の回転時に上ワークロール32と下ワークロール33の間に誤って咥え込まれても、そのものがその後の順方向の回転時に排出される。
よって、上ワークロール32及び下ワークロール33の清掃作業を安全に行える。
また、上ワークロール32及び下ワークロール33が順方向と逆方向に交互に繰り返し回転して、上ワークロール32及び下ワークロール33の順方向の回転角が逆方向の回転角よりも大きいため、結果として上ワークロール32及び下ワークロール33が見かけ順方向に低速回転することになる。そのため、何かしらのものが上ワークロール32と下ワークロール33の間に咥え込まれても、そのものが一気に引き込まれることがない。よって、上ワークロール32及び下ワークロール33の清掃作業を安全に行える。
【0044】
上ワークロール32及び下ワークロール33の外周面が周方向に正転・逆転するため、視覚的な恐怖心を周囲の者に与える。そのため、上ワークロール32及び下ワークロール33の回転中、その者が上ワークロール32及び下ワークロール33に近づかないようになる。
【0045】
清掃部材201が摩耗したら、ドライブモータ61を一時停止する。その後、クランプ機構70,80による清掃部材201の挟持を解除した上で、ドライブモータ61によって上ワークロール32及び下ワークロール33を駆動し、上ワークロール32及び下ワークロール33によって清掃部材201を順送り方向に搬送する。清掃部材201の損耗してない部分が上ワークロール32の列と下ワークロール33の列との間に位置したら、ドライブモータ61を停止させる。なお、作業者が手作業で清掃部材201を引くことによって、清掃部材201の損耗してない部分を上ワークロール32の列と下ワークロール33の列との間に位置させてもよい。
【0046】
次に、アクチュエータ73を作動させて、清掃部材201を押えパッド71と支持部72との間に挟み込む。次に、清掃部材201を張った状態で、アクチュエータ83を作動させて、清掃部材201を押えパッド81と支持部82との間に挟み込む。その後、再度、ドライブモータ61を順方向と逆方向に交互に短周期で繰り返し回転させる。これにより、清掃部材201の損耗してない部分によって上ワークロール32及び下ワークロール33を拭くことができる。
【0047】
上ワークロール32及び下ワークロール33の外周面の全体の清掃が完了したら、ドライブモータ61を停止する。その後、クランプ機構70,80による清掃部材201の挟持を解除した上で、ドライブモータ61によって上ワークロール32及び下ワークロール33が駆動される。これにより、上ワークロール32及び下ワークロール33によって清掃部材201を順送り方向又は逆送り方向に搬送して、ワークロール32,33の間から清掃部材201を取り出す。
【0048】
〔変形例〕
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下の(1)~(4)に示すような変更が可能である。
【0049】
(1)
図3及び
図4に示すように、ワーク102を搬送するピンチロール91,92が、第1のクランプ機構70とワークロール群31との間に設けられていてもよい。以下、ピンチロール91,92について説明する。
【0050】
上側のピンチロール91は、回転可能となって可動部93に取り付けられている。この可動部93は、昇降可能となってサイドフレーム47又はアッパーフレーム46に設けられている。可動部93は、アクチュエータ94によって昇降するよう駆動される。アクチュエータ94は、アッパーフレーム46に取り付けられている。アクチュエータ94は、エアシリンダー、油圧シリンダー又はソレノイドである。アクチュエータ94は、プランジャー又はロッド94bを本体部94aから下方へ進出させ、プランジャー又はロッド94bを上方へ本体部94aに引き込ませる。アクチュエータ94の下端、つまりプランジャー又はロッド94bの先端が可動部93に連結されている。下側のピンチロール92は、上側のピンチロール91の下方において、回転可能となってサイドフレーム47に取り付けられている。
【0051】
図3に示すように、ワーク102の矯正の際には、ワーク102がピンチロール91とピンチロール92との間に挟まれている。そして、ピンチロール91,92が上ワークロール32及び下ワークロール33と一緒にドライブモータ61によって回転駆動され、ワーク102がピンチロール91,92によって順送り方向に連続的又は間欠的に搬送される。
【0052】
図4に示すように、清掃の際には、清掃部材201がピンチロール91とピンチロール92との間に挟まれている。そして、ピンチロール91,92が上ワークロール32及び下ワークロール33と一緒に順方向と逆方向に交互に繰り返し回転する。ピンチロール91,92の外周面が清掃部材201に対して滑り、ピンチロール91,92の外周面に付着した異物が清掃部材201によって拭き取られる。
ピンチロール91,92の外周面が清掃部材201に対して滑るようにするためには、アクチュエータ94を調整して、清掃部材201を挟み込む荷重を調整する。アクチュエータ94がエアシリンダーである場合、比例電磁弁によってアクチェータ94の空気圧を調整することによって、清掃部材201を挟み込む荷重を調整することができる。清掃時のアクチュエータ94の空気圧を予め設定しておけば、作業性が向上する。
【0053】
(2) 上記実施形態では、清掃の際に、上ワークロール32及び下ワークロール33が順方向と逆方向に交互に繰り返し回転する。それに対して、清掃の際に、上ワークロール32及び下ワークロール33が順方向に連続的又は間欠的に回転してもよい。この場合、第2のクランプ機構80が清掃部材201を挟み込まなくても、第1のクランプ機構70が清掃部材201を挟み込んでいれば、上ワークロール32と下ワークロール33の外周面が清掃部材201に対して滑る。なお、第2のクランプ機構80が設けられていなくてもよい。
【0054】
(3) 上記実施形態では、清掃の際に、上ワークロール32及び下ワークロール33が順方向と逆方向に交互に繰り返し回転する。それに対して、清掃の際に、上ワークロール32及び下ワークロール33が逆方向に連続的又は間欠的に回転してもよい。この場合、第1のクランプ機構70が清掃部材201を挟み込まなくても、第2のクランプ機構80が清掃部材201を挟み込んでいれば、上ワークロール32と下ワークロール33の外周面が清掃部材201に対して滑る。なお、第1のクランプ機構70が設けられていなくてもよい。
【0055】
(4) 上記実施形態では、制御部62が順方向のドライブモータ61の回転角を逆方向のドライブモータ61の回転角よりも大きく制御する。それに対して、制御部62が順方向のドライブモータ61の回転角を逆方向のドライブモータ61の回転角よりも小さく制御してもよい。この場合、上ワークロール32及び下ワークロール33の逆方向の回転角が順方向の回転角より大きいため、結果として上ワークロール32及び下ワークロール33が見かけ逆方向に低速回転することになる。
【符号の説明】
【0056】
2…ロールレベラ
32…上ワークロール
33…下ワークロール
61…ドライブモータ(駆動部)
70…第1のクランプ機構
80…第2のクランプ機構
201…清掃部材