(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035602
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】送り装置
(51)【国際特許分類】
B21D 43/00 20060101AFI20230306BHJP
B08B 1/02 20060101ALI20230306BHJP
B21D 43/02 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B21D43/00 J
B08B1/02
B21D43/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142595
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】592103327
【氏名又は名称】伊達 興代
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊達 興代
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA41
3B116AB53
3B116BA03
(57)【要約】
【課題】シンプルな構造でロールを清掃することができる送り装置を提供する。
【解決手段】送り装置10Aは、開口14aを有するフレーム12と、フレーム12内に設けられる一対のロール21,22と、開口14aからロール21,22に向けて設けられ、その先端が開口し、その先端にむけて内寸が漸減するようテーパー状に設けられた筒状の保持具31Aと、開口14aから保持具31Aに挿入され、保持具31Aの先端の開口から突出し、先端がロール21,22の外周に突き当てられる拭き取り具39Aと、拭き取り具39Aに重ねられ、拭き取り具39Aとともに開口14aから保持具31Aに嵌め込まれる挿入部材37Aと、を備え、挿入部材37Aは厚さが開口14aから保持具31Aの先端の開口に向かって漸減するよう楔形に設けられ、その楔形によって挿入部材37A及び拭き取り具39Aが保持具31Aに保持される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込口を有するフレームと、
前記フレーム内に設けられ、ウェブを挟み込んで搬送する一対のロールと、
前記差込口から前記ロールに向けて設けられ、その先端が開口し、前記差込口から先端にむけて内寸が漸減するようテーパー状に設けられた筒状の保持具と、
前記差込口から前記保持具に挿入され、前記保持具の先端の開口から突出し、先端が前記ロールに突き当てられる拭き取り具と、
前記拭き取り具に重ねられ、前記拭き取り具とともに前記差込口から前記保持具に嵌め込まれる挿入部材と、を備え、
前記挿入部材又は前記拭き取り具は厚さが前記差込口から前記保持具の先端の開口に向かって漸減するよう楔形に設けられ、その楔形によって前記挿入部材及び前記拭き取り具が前記保持具に保持される送り装置。
【請求項2】
差込口を有するフレームと、
前記フレーム内に設けられ、ウェブを挟み込んで搬送する一対のロールと、
前記差込口から前記ロールに向けて設けられ、その先端が開口し、前記差込口から先端にむけて内寸が漸減するようテーパー状に設けられた筒状の保持具と、
前記差込口から前記保持具に嵌め込まれ、前記保持具の先端の開口から突出し、先端が前記ロールに突き当てられる拭き取り具と、を備え、
前記拭き取り具は厚さが前記差込口から前記保持具の先端の開口に向かって漸減するよう楔形に設けられ、その楔形によって前記拭き取り具が前記保持具に保持される送り装置。
【請求項3】
前記拭き取り具の先端が、前記保持具の先端の開口から、一対の前記ロールの間の位置に向かって突き出て、一対の前記ロールの両方に突き当てられる
請求項1又は2に記載の送り装置。
【請求項4】
前記ロールを間欠的に回転させるドライブモータを更に備える
請求項1から3の何れか1項に記載の送り装置。
【請求項5】
前記ロールを順方向及び逆方向に交互に繰り返し回転させるドライブモータを更に備える
請求項1から3の何れか一項に記載の送り装置。
【請求項6】
前記ドライブモータが、前記ロールの順方向の回転角と逆方向の回転角のどちら一方が他方よりも大きくするよう、前記ロールを順方向及び逆方向に交互に繰り返し回転させる
請求項5に記載の送り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブを搬送する送り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロールレベラは、コイルから繰り出される帯状金属板の巻き癖や内部歪みの除去等に用いられる。ロールレベラに帯状金属板を供給するために、一対のロールからなる送り装置がロールレベラの入口或いは出口に設けられている。
【0003】
帯状金属板の表面には異物(例えば、金属粉など)が付着していることがあり、この場合、送り装置のロールの外周表面に転移して付着してしまう。また、外部から侵入した異物が送り装置のロールの外周表面に付着することもある。異物が付着したロールを用いると、帯状金属板の表面に傷がついてしまい不良品となる。そのため、ロールを清掃することが必要となる。
【0004】
特許文献1には、ステンレス薄板の両面に不織布を接着したロール清掃用具が開示されている。ロール清掃用具はロールレベラの入口の上流側に固定されているとともに、その固定箇所から送り用の上ロールと下ロールとの間へ挿通された状態となっている。従って、上ロールと下ロールが回転すると、上ロール及び下ロールの外周表面がロール清掃用具によって拭かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、前記特許文献1に記載の技術では、ロール清掃用具を固定するための機構が複雑な構造となっている。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、シンプルな構造でロールを清掃することができる送り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、差込口を有するフレームと、前記フレーム内に設けられ、ウェブを挟み込んで搬送する一対のロールと、前記差込口から前記ロールに向けて設けられ、その先端が開口し、前記差込口から先端にむけて内寸が漸減するようテーパー状に設けられた筒状の保持具と、前記差込口から前記保持具に挿入され、前記保持具の先端の開口から突出し、先端が前記ロールに突き当てられる拭き取り具と、前記拭き取り具に重ねられ、前記拭き取り具とともに前記差込口から前記保持具に嵌め込まれる挿入部材と、を備え、前記挿入部材又は前記拭き取り具は厚さが前記差込口から前記保持具の先端の開口に向かって漸減するよう楔形に設けられ、その楔形によって前記挿入部材及び前記拭き取り具が前記保持具に保持される送り装置が提供される。
【0009】
以上によれば、挿入部材又は拭き取り具が楔形であり、挿入部材及び拭き取り具がテーパー状の保持具に嵌め込まれているというシンプルな構造でも、拭き取り具の先端をロールに突き当てた状態に保持することができ、ロールの清掃を行える。
【0010】
以上の課題を解決するために、差込口を有するフレームと、前記フレーム内に設けられ、ウェブを挟み込んで搬送する一対のロールと、前記差込口から前記ロールに向けて設けられ、その先端が開口し、前記差込口から先端にむけて内寸が漸減するようテーパー状に設けられた筒状の保持具と、前記差込口から前記保持具に嵌め込まれ、前記保持具の先端の開口から突出し、先端が前記ロールに突き当てられる拭き取り具と、を備え、前記拭き取り具は厚さが前記差込口から前記保持具の先端の開口に向かって漸減するよう楔形に設けられ、その楔形によって前記拭き取り具が前記保持具に保持される送り装置が提供される。
【0011】
以上によれば、楔型の拭き取り具がテーパー状の保持具に嵌め込まれているというシンプルな構造でも、拭き取り具の先端をロールに突き当てた状態に保持することができ、ロールの清掃を行える。
【0012】
好ましくは、前記拭き取り具の先端が、前記保持具の先端の開口から、一対の前記ロールの間の位置に向かって突き出て、一対の前記ロールの両方に突き当てられる。
【0013】
以上によれば、拭き取り具の先端が一対のロールの間の位置に向かって突き出てこれらロールに当てられているため、清掃中に異物が一対のロールの間に引き込まれることがない。よって、ロールの清掃作業を安全に行える。
【0014】
好ましくは、前記送り装置が、前記ロールを間欠的に回転させるドライブモータを更に備える。
【0015】
以上によれば、何かしらの異物が一対のロールの間に浸入しようとしても、その異物が一対のロールの間に急速に引き込まれることがない。よって、ロールの清掃作業を安全に行える。
【0016】
好ましくは、前記送り装置が、前記ロールを順方向及び逆方向に交互に繰り返し回転させるドライブモータを更に備える。
【0017】
以上によれば、何かしらの異物が一対のロールの間に浸入しようとしても、その異物が一対のロールの間に急速に引き込まれることがない。つまり、何かしらのものが一対のロールの間に咥え込まれても、一対のロールの回転の向きが変わることによって、咥え込まれたものが一対のロールの間から排出される方向に一対のロールが回転する。よって、ロールの清掃作業を安全に行える。
また、ロールが順方向及び逆方向に交互に繰り返し回転するため、ロールの外周面が清掃部材によって効率的に拭かれる。
【0018】
好ましくは、前記ドライブモータが、前記ロールの順方向の回転角と逆方向の回転角のどちら一方が他方よりも大きくするよう、前記ロールを順方向及び逆方向に交互に繰り返し回転させる。
【0019】
以上によれば、ロールの順方向の回転角と逆方向の回転角のどちらか一方が他方よりも大きいため、ロールの外周面が周方向に段階的に少しずつ順方向又は逆方向に変位する。そのため、ロールの外周面の全体を清掃することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、拭き取り具と挿入部材の両方又は拭き取り具がテーパー状の保持具に嵌め込まれているというシンプルな構造で、拭き取り具の先端をロールに突き当てた状態に保持して、ロールの清掃を行える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】第1実施形態の送り装置の要部の拡大断面図である。
【
図3】第1実施形態の変形例の送り装置の要部の拡大断面図である。
【
図5】第2実施形態の送り装置の要部の拡大断面図である。
【
図6】第2実施形態の変形例の送り装置の要部の拡大断面図である。
【
図8】第3実施形態の送り装置の要部の拡大断面図である。
【
図9】第3実施形態の変形例の送り装置の要部の拡大断面図である。
【
図11】第4実施形態の送り装置の要部の拡大断面図である。
【
図12】第4実施形態の変形例の送り装置の要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0023】
〔第1の実施の形態〕
1.送り装置の構成
図1は、送り装置10の断面図である。
図2は、図の一部を拡大した図である。
この送り装置10は、帯状のウェブ9をプレス加工装置、レベラー等の加工装置に供給するものである。送り装置10は、加工装置の上流側に設けられるインフィードタイプであってもよいし、加工装置の下流側に設けられるアウトフィードタイプであってもよい。ウェブ9は、鉄又はそれを主成分とした合金(つまり、鋼)からなるか、アルミニウム又は銅のような非鉄金属からなる。なお、ウェブ9は樹脂製であってもよい。
【0024】
送り装置10はウェブ9を後ろから前へ搬送する。ウェブ9が後ろから前に搬送されるため、後方が上流方向であり、前方が下流方向である。ウェブ9が前方に搬送されることを順送りといい、ウェブ9が後方に搬送されることを逆送りという。また、前方を順送り方向ということもあり、後方を逆送り方向ということもある。
図1の紙面に垂直な方向が送り装置10及びウェブ9の幅方向である。幅方向を左右方向ということもある。
【0025】
図1に示すように、送り装置10は、ベッド11、フレーム12、サポートテーブル18,19、下ロール21、上ロール22、昇降体23、アクチュエータ24、ドライブモータ28、制御部29、下保持具31、上保持具32、下押当部材33、下挿入部材37、上挿入部材38、下拭き取り具39及び上拭き取り具40を備える。
【0026】
ベッド11は、設置面上に据え置かれた状態に設置されている。
【0027】
フレーム12は、ベッド11上に設置されている。フレーム12は、直方体箱型に設けられている。フレーム12は、一対のサイドフレーム13、リアフレーム14、フロントフレーム15及びアッパーフレーム16を有する。サイドフレーム13は、これらの間に間隔を置いて左右方向に互いに対向して、ベッド11の上面の左右の縁に立てられた状態に設けられている。リアフレーム14は、ベッド11の上面の後ろの縁に立てられた状態に設けられている。フロントフレーム15は、ベッド11の上面の前の縁に立てられた状態に設けられている。リアフレーム14とフロントフレーム15は、これらの間に間隔を置いて前後方向に互いに対向している。サイドフレーム13、リアフレーム14及びフロントフレーム15は、角筒状に組み立てられている。アッパーフレーム16は、サイドフレーム13、リアフレーム14及びフロントフレーム15の上端に取り付けられている。アッパーフレーム16は、サイドフレーム13、リアフレーム14及びフロントフレーム15によって囲われた領域をその上から閉塞する。
【0028】
フレーム12の後面、つまりリアフレーム14には、開口14aが形成されている。フレーム12の前面、つまりフロントフレーム15には、開口15aが形成されている。開口15aは、開口14aに相対する位置にある。開口14aは、ウェブ9が搬入される搬入口であり、開口15aは、ウェブ9が搬出される搬出口である。ウェブ9は、開口14a,15aに通される。
【0029】
サポートテーブル18は、開口14aに挿入された状態で、開口14aの下縁に固定されている。サポートテーブル18は、部分的にフレーム12内に配置されているとともに、部分的に開口14aから後方に張り出している。サポートテーブル18は、ウェブ9をその下から支持する。
【0030】
サポートテーブル19は、開口15aに挿入された状態で、開口15aの下縁に固定されている。サポートテーブル19は、部分的にフレーム12内に配置されているとともに、部分的に開口15aから前方に張り出している。サポートテーブル19は、サポートテーブル18から前方に離間している。サポートテーブル19は、ウェブ9をその下から支持する。
【0031】
下ロール21は、その軸がフレーム12内において幅方向に延びるようにして、ベアリング等を介してフレーム12に取り付けられている。下ロール21は、その軸の回りに回転可能に設けられている。下ロール21は、サポートテーブル18とサポートテーブル19の間の間隙に配置されている。下ロール21の周面の上部が、サポートテーブル18とサポートテーブル19の間の間隙から上に突出する。
【0032】
上ロール22は、その軸がフレーム12内において幅方向に延びるようにして、下ロール21の上において昇降可能に設けられている。具体的には、上ロール22がベアリング等を介して昇降体23に回転可能に取り付けられ、その昇降体23がガイド等を介してフレーム12に昇降可能に取り付けられている。上ロール22が下ロール21の方へ下降すると、ウェブ9が上ロール22と下ロール21の間に挟まれる。
【0033】
下ロール21及び上ロール22は、伝導機構を介してドライブモータ28に連結されている。ドライブモータ28は下ロール21及び上ロール22を回転駆動し、これにより、下ロール21と上ロール22の間に挟まれたウェブ9が搬送される。ドライブモータ28は例えばサーボモータからなる。ドライブモータ28は制御部29によって制御される。制御部29は例えばサーボ装置からなる。
【0034】
昇降体23は、昇降体23及び上ロール22を昇降させるアクチュエータ24に連結されている。このアクチュエータ24はアッパーフレーム16に取り付けられている。アクチュエータ24は、例えばエアシリンダー、油圧シリンダー又はソレノイドである。アクチュエータ24は、プランジャー又はロッド24bを本体部24aから下方へ進出させ、プランジャー又はロッド24bを上方へ本体部24aに引き込ませる。また、アクチュエータ24は、下降した上ロール22を下ロール21に押し付ける押圧力を昇降体23及び上ロール22に付与する。
【0035】
フレーム12の後面、つまりリアフレーム14には、差込口14b,14cが形成されている。差込口14bは、開口14aの下且つ下ロール21の後方に位置する。差込口14cは、開口14aの上且つ上ロール22の後方に位置する。
【0036】
続いて、下保持具31、下挿入部材37及び下拭き取り具39について説明する。
下保持具31は角筒状に成している。下保持具31はリアフレーム14の内面に取り付けられている。下保持具31が差込口14bから下ロール21に向けて設けられ、下保持具31の先端が下ロール21の近くの後ろにおいて開口している。下保持具31は、その上下方向の内寸が差込口14bから下ロール21に向かって漸減するよう、テーパー状に設けられている。
【0037】
下挿入部材37が下拭き取り具39に重ねられた状態で、下挿入部材37及び下拭き取り具39が差込口14bから下保持具31に嵌め入れられている。ここで、下拭き取り具39は平板状に設けられ、下挿入部材37はその厚さが先端に向かって漸減するよう、テーパー状(楔形)に設けられている。そのため、下拭き取り具39と下挿入部材37の積み重ね体もテーパー状に設けられている。そのようなテーパー状の積み重ね体がテーパー状の下保持具31に嵌合することによって、下挿入部材37及び下拭き取り具39が下保持具31から抜けないように下保持具31に保持される。下挿入部材37が下ロール21の方へ下保持具31に押し込まれる程、下挿入部材37及び下拭き取り具39が下保持具31に強く保持される。また、下挿入部材37のテーパー角は、下挿入部材37及び下拭き取り具39が抜けない程度の摩擦力を発生させるように設定されている。また、下挿入部材37が樹脂等のように弾性変形するものであれば、下挿入部材37及び下拭き取り具39が下保持具31に嵌合することによって、下挿入部材37が弾性変形するので、下挿入部材37及び下拭き取り具39が抜け難い。なお、下挿入部材37が平板状に設けられ、下拭き取り具39の厚さが先端に向かって漸減するよう下拭き取り具39がテーパー状に設けられていてもよい。
【0038】
下拭き取り具39の先端が、下保持具31の先端の開口から突き出て、下ロール21の外周面に突き当てられている。下拭き取り具39の少なくとも先端は、布等のように下ロール21の外周面を拭ける素材から構成されている。そのような素材は、例えば布、紙、ブラシ、発泡樹脂、粘着テープ又は複合シートである。布は編布と織布と不織布(例えばフェルト)の何れでもよく、布に使用される繊維は天然繊維と化学繊維(人造繊維)の何れでもよい。化学繊維としては、無機質繊維(例えば炭素繊維)又は有機質繊維(例えばポリエステル系合成繊維、ポリアミド系合成繊維)である。粘着テープは片面粘着テープと両面粘着テープのどちらでもよい。複合シートとは、薄い帯状の可撓性材料(例えば、鋼板、ステンレス鋼板)の両面又は片面に布又は粘着剤が貼着されたものをいう。以上に挙げた素材に、オイルといった潤滑液又は洗浄液が含浸し、又は塗布されていてもよい。
【0039】
続いて、下拭き取り具39の一例について説明する。
下拭き取り具39は、平板状の下押当部材33と、シート状の下清掃部材35とを有する。下清掃部材35は、下押当部材33の先端によって折り返されるようにして下押当部材33を覆う。下挿入部材37と下押当部材33は、これらの間に下清掃部材35を挟み込んで、積み重ねられている。下挿入部材37、下押当部材33及び下清掃部材35が差込口14bから下保持具31に嵌め入れられ、下清掃部材35が下押当て部材33と下保持具31の内面との間に挟まれる。下押当部材33の先端が下保持具31の先端の開口から突き出て、下清掃部材35が下押当部材33の先端によって下ロール21の外周面に押し当てられている。下押当部材33は例えば樹脂板又は発泡樹脂板である。下清掃部材35は、下ロール21の外周面を拭ける素材、例えば布、紙、発泡樹脂シート、粘着テープ又は複合シートである。
【0040】
続いて、上保持具32、上挿入部材38及び上拭き取り具40について説明する。
上保持具32は角筒状に成している。上保持具32はリアフレーム14の内面に取り付けられている。上保持具32が差込口14cから上ロール22に向けて設けられ、上保持具32の先端が上ロール22の近くの後ろにおいて開口している。上保持具32は、上下方向の内寸が差込口14bから上ロール22に向かって漸減するよう、テーパー状に設けられている。
【0041】
上挿入部材38が上拭き取り具40に重ねられた状態で、上挿入部材38及び上拭き取り具40が差込口14cから下保持具31に嵌め入れられている。ここで、上拭き取り具40は平板状に設けられ、上挿入部材38はその厚さが先端に向かって漸減するよう、テーパー状に設けられている。そのため、上拭き取り具40と上挿入部材38の積み重ね体もテーパー状に設けられている。そのようなテーパー状の積み重ね体がテーパー状の上保持具32に嵌合することによって、上挿入部材38及び上拭き取り具40が上保持具31から抜けないように上保持具32に保持されている。上挿入部材38が上ロール22の方へ上保持具32に押し込まれる程、上挿入部材38及び上拭き取り具40が上保持具32に強く保持される。また、上挿入部材38のテーパー角は、上挿入部材38及び上拭き取り具40が抜けない程度の摩擦力を発生させるように設定されている。また、上挿入部材38が樹脂等のように弾性変形するものであれば、上挿入部材38及び上拭き取り具40が上保持具32に嵌合することによって、上挿入部材38が弾性変形するので、上挿入部材38及び上拭き取り具40が抜け難い。なお、上挿入部材38が平板状に設けられ、上拭き取り具40の厚さが先端に向かって漸減するよう上拭き取り具40がテーパー状に設けられていてもよい。
【0042】
上拭き取り具40の先端が、上保持具32の先端の開口から突き出て、上ロール22の外周面に突き当てられている。上拭き取り具40の少なくとも先端は、下拭き取り具39の先端と同様に、上ロール22の外周面を拭ける素材から構成されている。上拭き取り具40の少なくとも先端には、オイルといった潤滑液又は洗浄液が含浸し、又は塗布されていてもよい。
【0043】
続いて、上拭き取り具40の一例について説明する。
下拭き取り具39と同様に、上拭き取り具40は、平板状の上押当部材34と、シート状の上清掃部材36とを有する。上拭き取り具40の上押当部材34が下拭き取り具39の下押当部材33に相当し、上拭き取り具40の上清掃部材36が下拭き取り具39の下清掃部材35に相当する。上挿入部材38、上押当部材34及び上清掃部材36が差込口14cから上保持具32に嵌め入れられ、上押当部材34の先端が上保持具32の先端の開口から突き出て、上清掃部材36が上押当部材34の先端によって上ロール22の外周面に押し当てられている。
【0044】
2.送り装置の搬送動作
続いて、送り装置10の使用方法及び搬送動作について説明する。
まず、アクチュエータ24を作動させると、アクチュエータ24が昇降体23及び上ロール22を上昇させて、上ロール22が下ロール21から離間する。
【0045】
次に、コイルからウェブ9を引き出して、そのウェブ9の先端を開口14aからフレーム12内に挿入する。そして、ウェブ9の先端を下ロール21と上ロール22の間に通し、更に開口15aに通す。
【0046】
次に、アクチュエータ24を作動させると、アクチュエータ24が昇降体23及び上ロール22を下降させて、ウェブ9が下ロール21と上ロール22の間に挟まれる。
【0047】
また、下清掃部材35によって下押当部材33を包み込む。そして、下押当部材33、下清掃部材35及び下挿入部材37を差込口14bから下保持具31に嵌め込む。この際、下押当部材33、下清掃部材35及び下挿入部材37を同時に下保持具31に嵌め込んでもよいし、下押当部材33及び下清掃部材35の挿入後に下挿入部材37を下保持具31に差し込んでもよいし、下挿入部材37の挿入後に下押当部材33及び下清掃部材35を下保持具31に差し込んでもよい。
【0048】
下押当部材33、下清掃部材35及び下挿入部材37の嵌め込みの際、下押当部材33の先端を下保持具31の先端の開口から突き出して、下押当部材33の先端によって下清掃部材35を下ロール21に押し当てる。また、下挿入部材37を下保持具31に押し込むことによって、下挿入部材37及び下押当部材33を下保持具31に固定する。
【0049】
同様に、上押当部材34、上清掃部材36及び上挿入部材38を差込口14cから上保持具32に嵌め込む。これにより、上押当部材34の先端によって上清掃部材36を上ロール22に押し当てるとともに、上挿入部材38を上保持具32に押し込むことによって上挿入部材38及び上押当部材34を上保持具32に固定する。
【0050】
その後、制御部29がドライブモータ28を制御して、ドライブモータ28によって下ロール21及び上ロール22を連続的又は間欠的に回転駆動する。そうすると、ウェブ9が下ロール21及び上ロール22によって搬送される。また、下ロール21の外周面が下清掃部材35に対して滑り、下ロール21の外周面に付着した異物が下清掃部材35によって拭き取られる。同様に、上ロール22の外周面に付着した異物が上清掃部材36によって拭き取られる。
【0051】
以上のように、ウェブ9を搬送しながら、下ロール21及び上ロール22の清掃を行える。
【0052】
下清掃部材35が摩耗したら、下押当部材33及び下挿入部材37を引いて、下保持具31への下押当部材33及び下挿入部材37の嵌め合いを緩める。そして、下押当部材33に対して下清掃部材35を滑らせるよう下清掃部材35の位置を変える。その後、下押当部材33、下清掃部材35及び下挿入部材37を下保持具31に嵌め込む。これにより、下清掃部材35の摩耗していない部分が下ロール21に押し当てられる。上清掃部材36が摩耗した場合も、同様にする。なお、下清掃部材35又は上清掃部材36を新たな清掃部材に交換してもよい。
【0053】
3.送り装置の清掃動作
ウェブ9の搬送を行わない際、送り装置10の清掃動作について説明する。ウェブ9の搬送を行わない際とは、例えばウェブ9の交換の際、或いはロール21,22が互いに離間する際のことをいう。
【0054】
まず、下押当部材33、下清掃部材35及び下挿入部材37を差込口14bから下保持具31に嵌め込み、下押当部材33の先端によって下清掃部材35を下ロール21に押し当て、下挿入部材37の押し込みによって上挿入部材38及び上押当部材34を上保持具32に固定する。同様に、上押当部材34、上清掃部材36及び上挿入部材38を差込口14cから上保持具32に嵌め込む。
【0055】
その後、制御部29がドライブモータ28を制御して、ドライブモータ28によって下ロール21及び上ロール22を連続的又は間欠的に回転駆動する。下ロール21及び上ロール22の回転速度は、ウェブ9を搬送する際の下ロール21及び上ロール22の回転速度よりも低いことが好ましい。何かしらの異物が下ロール21と上ロール22の間に浸入しようとしても、その異物が下ロール21及び上ロール22の間に急速に引き込まれることがないためである。
また、下ロール21及び上ロール22が間欠的に回転すると、異物が下ロール21及び上ロール22の間に急速に引き込まれることがない。また、下ロール21及び上ロール22が間欠的に回転すると、下ロール21及び上ロール22の回転速度が変化するため、下清掃部材35又は上清掃部材36による清掃効率が高くなる。
なお、下ロール21及び上ロール22の回転の向きは、順送り方向となる向きであってもよいし、逆送り方向となる向きであってもよい。
【0056】
下ロール21が回転すると、下ロール21の外周面が下清掃部材35に対して滑り、下ロール21の外周面に付着した異物が下清掃部材35によって拭き取られる。同様に、上ロール22の外周面に付着した異物が上清掃部材36によって拭き取られる。
【0057】
下ロール21及び上ロール22が間欠的に回転する場合、何かしらの異物が下ロール21と上ロール22の間に浸入しようとしても、その異物が下ロール21及び上ロール22の間に急速に引き込まれることがない。つまり、何かしらのものが下ロール21と上ロール22の間に咥え込まれても、そのものは下ロール21及び上ロール22の回転の向きの切り替わりによって抜ける。よって、下ロール21及び上ロール22の清掃作業を安全に行える。
【0058】
なお、上述の説明では、制御部29がドライブモータ28を連続的又は間欠的に駆動するものとしたが、制御部29が以下のようにドライブモータ28を制御してもよい。
【0059】
制御部29がドライブモータ28を順方向と逆方向に交互に短周期で繰り返し回転させる。そうすると、下ロール21及び上ロール22が順方向と逆方向に交互に繰り返し回転する。ここで、仮に下ロール21と上ロール22の間にウェブ9が挟まれているとしたら、ウェブ9が順送り方向に搬送される向きのドライブモータ28、下ロール21及び上ロール22の回転方向が順方向である。一方、ウェブ9が逆送り方向に搬送される向きのドライブモータ28、下ロール21及び上ロール22の回転方向が逆方向である。具体的には、ドライブモータ28が順方向に回転すると、
図1の図示方向において下ロール21が時計回りに回転するとともに、上ロール22が反時計回りに回転する。一方、ドライブモータ28が逆方向に回転すると、
図1の図示方向において下ロール21が反時計回りに回転するとともに、上ロール22が反時計回りに回転する。
【0060】
下ロール21及び上ロール22の外周面が周方向に正転・逆転するため、ロール21,22の外周面が清掃部材35,36によって効率的に拭かれる。
【0061】
この際、制御部29は、順方向のドライブモータ28の回転角を逆方向のドライブモータ28の回転角よりも大きく制御する。下ロール21及び上ロール22の順方向の回転角が逆方向の回転角よりも大きいため、下ロール21及び上ロール22の外周面が周方向に正転・逆転しながら、段階的に少しずつ順方向に変位する。そのため、下ロール21及び上ロール22の外周面の全体を清掃することができる。
【0062】
下ロール21及び上ロール22が順方向と逆方向に交互に繰り返し回転する際中に、何かしらの異物が下ロール21と上ロール22の間に浸入しようとしても、その異物が下ロール21及び上ロール22の間に急速に引き込まれることがない。よって、下ロール21及び上ロール22の清掃作業を安全に行える。
【0063】
なお、制御部29は、逆方向のドライブモータ28の回転角を順方向のドライブモータ28の回転角よりも大きく制御してもよい。この場合、下ロール21及び上ロール22の外周面が周方向に正転・逆転しながら、段階的に少しずつ逆方向に変位する。
【0064】
なお、制御部29がドライブモータ28を間欠的に駆動することで、ドライブモータ28の回転方向が順方向から逆方向に切り替わる際にドライブモータ28が一時的に停止する。つまり、ドライブモータ28が順に順方向の回転、一時停止、逆方向の回転及び一時停止を繰り返すように動作する。
【0065】
4.有利な効果
本実施形態によれば、平板状の下拭き取り具39及び楔形の下挿入部材37がテーパー状の下保持具31に嵌め込まれているというシンプルな構造が実現されている。このようなシンプルな構造でも、下拭き取り具39の先端を下ロール21の外周面に押し付けた状態に保持することができ、下ロール21の清掃を行える。同様に、平板状の上拭き取り具40及び楔形の上挿入部材38が上清掃部材36とともにテーパー状の上保持具32に嵌め込まれているというシンプルな構造で、上ロール22の清掃を行える。
【0066】
また、この送り装置10では、ウェブ9の搬送と、下ロール21及び上ロール22の清掃とを同時に行える。
【0067】
また、ロール21,22が間欠的に駆動される場合、何かしらの異物がこれらロール21,22の間に浸入しようとしても、その異物がロール21,22の間に急速に引き込まれることがない。よって、ロール21,22の清掃作業を安全に行える。
【0068】
また、ロール21,22が順方向及び逆方向に交互に繰り返し回転する場合、何かしらの異物がロール21,22の間に浸入しようとしても、その異物がロール21,22の間に急速に引き込まれることがない。よって、ロール21,22の清掃作業を安全に行える。
【0069】
5.変形例
上述のように、下拭き取り具39は下清掃部材35と下押当部材33の組合せ体である。それに対して、
図3に示すように、下拭き取り具39が単一部品からなるものでもよい。
図3に示す下拭き取り具39は平板状の発泡樹脂板或いはフェルト板である。上拭き取り具40も、発泡樹脂製又はフェルト製の平板状単一物品からなるものとしてもよい。
【0070】
〔第2の実施の形態〕
図4は、第2実施形態の送り装置10Aの断面図である。
図5は、
図4の一部を拡大した図面である。第2実施形態の送り装置10Aと第1実施形態の送り装置10との間で互いに対応する構成要素には同一の符号を付す。
【0071】
第1実施形態の送り装置10と同様に、第2実施形態の送り装置10Aは、ベッド11、フレーム12、サポートテーブル18,19、下ロール21、上ロール22、昇降体23、アクチュエータ24、ドライブモータ28及び制御部29を備える。第2実施形態の送り装置10Aのこれらの構成要素は第1実施形態の送り装置10の構成要素と同様に設けられているので、第2実施形態の送り装置10Aのこれらの構成要素の説明は省略する。なお、第1実施形態の送り装置10では、差込口14b,14cがフレーム12の後面に形成されているのに対して、第2実施形態の送り装置10Aでは、差込口14b,14cが形成されていない。
【0072】
第2実施形態の送り装置10Aは更に保持具31A、挿入部材37A及び拭き取り具39Aを備える。
【0073】
保持具31Aは、サポートテーブル18と一体となって、角筒状を成している。保持具31Aは、開口14aから、下ロール21と上ロール22との間の領域に向けて設けられている。保持具31Aの先端が、下ロール21と上ロール22との間の位置の近くの後ろにおいて開口している。保持具31Aは、上下方向の内寸が開口14aから下ロール21と上ロール22との間の領域に向かって漸減するよう、テーパー状に設けられている。
【0074】
挿入部材37Aが拭き取り具39Aに重ねられた状態で、挿入部材37A及び拭き取り具39Aが開口14aから保持具31Aに嵌め入れられている。ここで、拭き取り具39Aは平板状に設けられ、挿入部材37Aはその厚さが先端に向かって漸減するよう、テーパー状に設けられている。そのため、拭き取り具39Aと挿入部材37Aの積み重ね体もテーパー状に設けられている。そのようなテーパー状の積み重ね体がテーパー状の保持具31Aに嵌合することによって、挿入部材37A及び拭き取り具39Aが保持具31Aから抜けないように保持具31Aに保持される。挿入部材37Aが下ロール21及び上ロール22の方へ保持具31Aに押し込まれる程、挿入部材37A及び拭き取り具39Aが保持具31Aに強く保持される。また、挿入部材37Aのテーパー角は、挿入部材37A及び拭き取り具39Aが抜けない程度の摩擦力を発生させるように設定されている。また、挿入部材37Aが樹脂等のように弾性変形するものであれば、挿入部材37A及び拭き取り具39Aが保持具31Aに嵌合することによって、下挿入部材37が弾性変形するので、下挿入部材37及び下拭き取り具39が抜け難い。なお、挿入部材37Aが平板状に設けられ、拭き取り具39Aの厚さが先端に向かって漸減するよう拭き取り具39Aがテーパー状に設けられていてもよい。
【0075】
拭き取り具39Aの先端は、保持具31Aの先端の開口から、下ロール21と上ロール22との間の位置に向かって突き出ている。拭き取り具39Aの先端は、下ロール21及び上ロール22の外周面に突き当てられている。拭き取り具39Aの少なくとも先端は、第1実施形態の下拭き取り具39及び上拭き取り具40の先端と同様に、下ロール21及び上ロール22の外周面を拭ける素材から構成されている。
【0076】
図5に示す例では、拭き取り具39Aは、平板状の押当部材33Aと、シート状の清掃部材35Aとを有する。
清掃部材35Aは、押当部材33Aの先端によって折り返されるようにして押当部材33Aに覆う。挿入部材37Aと押当部材33Aは、これらの間に清掃部材35Aを挟み込んで、積み重ねられている。挿入部材37A、押当部材33A及び清掃部材35Aが開口14aから保持具31Aに嵌め入れられ、清掃部材35Aが押当て部材33Aと上保持具32の内面との間に挟まれる。押当部材33Aの先端が保持具31Aの先端の開口から突き出て、清掃部材35Aが押当部材34Aの先端によって下ロール21及び上ロール22の外周面に押し当てられている。押当部材34Aは例えば樹脂板又は発泡樹脂板である。清掃部材35Aは、例えば布、紙、発泡樹脂シート、粘着テープ又は複合シートである。
【0077】
この送り装置10Aは、ウェブ9の搬送と、下ロール21及び上ロール22の清掃とを同時に行えない。しかしながら、1組の押当部材33A及び拭き取り具39Aによって両方のロール21,22を清掃することができる。下ロール21及び上ロール22の清掃の際には、押当部材33A及び拭き取り具39Aを開口14aから保持具31Aに嵌め込み、拭き取り具39Aの先端を下ロール21及び上ロール22に突き当てるとともに、挿入部材37Aを保持具31Aに押し込むことによって挿入部材37A及び拭き取り具39Aを保持具31Aに固定する。
【0078】
下ロール21及び上ロール22の清掃の際には、制御部29がドライブモータ28を連続的又は間欠的に回転させるか、ドライブモータ28を順方向と逆方向に交互に短周期で繰り返し回転させる。そうすると、下ロール21及び上ロール22の外周面が拭き取り具39Aの先端に対して滑り、下ロール21及び上ロール22の外周面に付着した異物が拭き取り具39Aの先端によって拭き取られる。
【0079】
本実施形態においては、開口14aが挿入部材37A及び拭き取り具39Aによって塞がれている上、拭き取り具39Aの先端が下ロール21と上ロール22の間の位置に向かって突き出てロール21,22に当てられているため、清掃中に異物が下ロール21と上ロール22の間に引き込まれることがない。よって、下ロール21及び上ロール22の清掃作業を安全に行える。
【0080】
なお、
図6に示す例のように、拭き取り具39Aが発泡樹脂製又はフェルト製の平板状単一物品からなるものとしてもよい。
【0081】
〔第3の実施の形態〕
図7は、第3実施形態の送り装置10Cの断面図である。
図7は、
図6の一部を拡大した図面である。第3実施形態の送り装置10Cと第1実施形態の送り装置10との間で互いに対応する構成要素には同一の符号を付す。
【0082】
第1実施形態の送り装置10と同様に、第3実施形態の送り装置10Cは、ベッド11、フレーム12、サポートテーブル18,19、下ロール21、上ロール22、昇降体23、アクチュエータ24、ドライブモータ28及び制御部29を備える。第3実施形態の送り装置10Cのこれらの構成要素は第1実施形態の送り装置10の構成要素と同様に設けられているので、第3実施形態の送り装置10Cのこれらの構成要素の説明は省略する。
【0083】
また、第1実施形態の送り装置10が下保持具31、上保持具32、下押当部材33、上押当部材34、下清掃部材35、上清掃部材36、下挿入部材37及び上挿入部材38を備えるのに対して、第3実施形態の送り装置10Cは下保持具31、上保持具32、下拭き取り具39及び上拭き取り具40を備えるが、挿入部材37,38に相当するものを備えない。第3実施形態の送り装置10Cの下保持具31及び上保持具32は、第1実施形態の送り装置10Cの下保持具31及び上保持具32とそれぞれ同様に設けられている。
【0084】
第3実施形態の送り装置10Cでは、下拭き取り具39及び上拭き取り具40は、厚さが先端に向かって漸減するよう、テーパー状に設けられている。下拭き取り具39は、差込口14bから下保持具31に嵌め込まれている。これにより、下拭き取り具39が下保持具31に保持されている。下拭き取り具39の先端は、下保持具31の先端の開口から突き出て、下ロール21の外周面に突き当てられている。上拭き取り具40は、差込口14cから上保持具32に嵌め込まれている。これにより、上拭き取り具40が上保持具32に保持されている。上拭き取り具40の先端は、上保持具32の先端の開口から突き出て、上ロール22の外周面に突き当てられている。
【0085】
下拭き取り具39の少なくとも先端が下ロール21の外周面を拭ける素材から構成されている。
図8に示す例では、下拭き取り具39は、テーパー状の下押当部材33と、シート状の下清掃部材35とを有する。下押当部材33の厚さは先端に向かって漸減する。下清掃部材35は、下押当部材33の先端によって折り返されるようにして下押当部材33を覆う。下押当部材33及び下清掃部材35が差込口14bから下保持具31に嵌め入れられ、下清掃部材35が下押当部材33の先端によって下ロール21の外周面に押し当てられている。
【0086】
上拭き取り具40の少なくとも先端が上ロール22の外周面を拭ける素材から構成されている。
図9に示す例では、上拭き取り具40は、テーパー状の上押当部材34と、シート状の上清掃部材36とを有する。上押当部材34の厚さは先端に向かって漸減する。上清掃部材36は、上押当部材34の先端によって折り返されるようにして上押当部材34を覆う。上押当部材34及び上清掃部材36が差込口14cから上保持具32に嵌め入れられ、上清掃部材36が上押当部材34の先端によって上ロール22の外周面に押し当てられている。
【0087】
下ロール21及び上ロール22の清掃の際には、制御部29がドライブモータ28を連続的又は間欠的に回転させるか、ドライブモータ28を順方向と逆方向に交互に短周期で繰り返し回転させる。そうすると、下ロール21及び上ロール22の外周面が拭き取り具39,40の先端に対して滑り、下ロール21及び上ロール22の外周面に付着した異物が拭き取り具39,40によって拭き取られる。ここで、ウェブ9の搬送を行う場合でも、そうでない場合でも、下ロール21及び上ロール22の清掃を行える。
【0088】
なお、
図9に示す例のように、拭き取り具39,40が発泡樹脂製又はフェルト製の楔形単一物品からなるものとしてもよい。
【0089】
〔第4の実施の形態〕
図10は、第4実施形態の送り装置10Dの断面図である。
図11は、
図10の一部を拡大した図面である。第4実施形態の送り装置10Cと第2実施形態の送り装置10Aとの間で互いに対応する構成要素には同一の符号を付す。
【0090】
第2実施形態の送り装置10Aと同様に、第4実施形態の送り装置10Dは、ベッド11、フレーム12、サポートテーブル18,19、下ロール21、上ロール22、昇降体23、アクチュエータ24、ドライブモータ28及び制御部29を備える。第3実施形態の送り装置10Dのこれらの構成要素は第2実施形態の送り装置10Aの構成要素と同様に設けられているので、第4実施形態の送り装置10Dのこれらの構成要素の説明は省略する。
【0091】
また、第2実施形態の送り装置10Aが保持具31A、押当部材33A及び拭き取り具39Aを備えるのに対して、第4実施形態の送り装置10Dは保持具31A及び拭き取り具39Aを備えるが、挿入部材37Aに相当するものを備えない。第4実施形態の送り装置10Dの保持具31Aは、第2実施形態の送り装置10Aの保持具31Aと同様に設けられている。
【0092】
第4実施形態の送り装置10Dでは、拭き取り具39Aは、その厚さが先端に向かって漸減するよう、テーパー状に設けられている。拭き取り具39Aは、開口41aから保持具31Aに嵌め込まれている。これにより、拭き取り具39Aが保持具31Aに保持されている。拭き取り具39Aの先端が保持具31Aの先端の開口から突き出て、拭き取り具39Aの先端が下ロール21及び上ロール22の外周面に押し当てられている。
【0093】
拭き取り具39Aの少なくとも先端が下ロール21及び上ロール22の外周面を拭ける素材から構成されている。
図11に示す例では、拭き取り具39Aは、テーパー状の押当部材33Aと、シート状の清掃部材35Aとを有する。押当部材33Aの厚さは先端に向かって漸減する。清掃部材35Aは、押当部材33Aの先端によって折り返されるようにして押当部材33Aを覆う。押当部材33A及び清掃部材35Aが開口14aから保持具31Aに嵌め入れられ、清掃部材35Aが下押当部材33Aの先端によって下ロール21及び上ロール22の外周面に押し当てられている。
【0094】
下ロール21及び上ロール22の清掃の際には、制御部29がドライブモータ28を連続的又は間欠的に回転させるか、ドライブモータ28を順方向と逆方向に交互に短周期で繰り返し回転させる。そうすると、下ロール21及び上ロール22の外周面が拭き取り具39Aに対して滑り、下ロール21及び上ロール22の外周面に付着した異物が拭き取り具39Aによって拭き取られる。
【0095】
なお、
図12に示す例のように、拭き取り具39Aが発泡樹脂製又はフェルト製の楔型第一物品からなるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0096】
9…ウェブ
10,10A,10C,10D…送り装置
12…フレーム
14a…開口
14b,14c…差込口
21…下ロール
22…上ロール
31…下保持具
32…上保持具
33…下押当部材
34…上押当部材
35…下清掃部材
36…上清掃部材
31A…保持具
33A…押当部材
35A…清掃部材
39…下拭き取り具
40…上拭き取り具
39A…拭き取り具