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特開2023-35637情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび移動体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035637
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび移動体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20230306BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20230306BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142645
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 亜梨花
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勝宜
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】移動体が消費する消費電力量を、精度良く予測する。
【解決手段】情報処理装置は、取得部と、予測値算出部と、出力部と、を備える。取得部は、移動体の予測対象の移動に対する、消費電力量に影響する1または複数の要因を表す1または複数の要因値を取得する。予測値算出部は、1または複数の要因値を入力変数群とし、消費電力量を目的変数とする予測モデルと、前記移動体の予測対象の移動に対する1または複数の要因値と、前記予測モデルによる予測値と実測値との誤差とに基づき、予測対象の移動における消費電力量の予測値を算出する。出力部は、予測値を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の消費電力量を目的変数とする予測モデルと、前記移動体の予測対象の移動に対する前記消費電力量に影響する1または複数の要因値と、前記予測モデルによる予測値と実測値との誤差とに基づき、前記予測対象の移動における前記消費電力量の予測値を算出する予測値算出部を備える
情報処理装置。
【請求項2】
前記移動体の予測対象の移動に対する前記1または複数の要因値を取得する取得部と、
前記予測値を出力する出力部と、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記予測値算出部は、前記移動体における過去の移動に対する消費電力量を前記予測モデルを用いて予測した過去予測値と、前記過去の移動において消費された前記消費電力量の実測値との誤差と、取得した前記1または複数の要因値と、前記予測モデルと、を用いて、前記予測対象の移動に対する前記予測値を算出する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記予測値算出部は、
前記過去の移動に対する前記誤差が存在しない場合、前記1または複数の要因値を入力変数群とし、前記消費電力量を目的変数とする第1予測モデルを用いて、前記予測対象の移動に対する前記予測値を算出し、
前記過去の移動に対する前記誤差が存在する場合、前記第1予測モデルを用いて予測される値に、前記誤差を加算することにより前記予測値を算出する第2予測モデルを用いて、前記予測対象の移動に対する前記予測値を算出する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記予測値算出部は、
前記過去の移動に対する前記誤差が存在しない場合、前記1または複数の要因値を入力変数群とし、前記消費電力量を目的変数とする第1予測モデルを用いて、前記予測対象の移動に対する前記予測値を算出し、
前記過去の移動に対する前記誤差が存在する場合、前記誤差ならびに前記1または複数の要因値を入力変数群とし、前記消費電力量を目的変数とする第2予測モデルを用いて、前記予測対象の移動に対する前記予測値を算出する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記予測値算出部は、前記移動体における過去の複数の移動のうちの前記予測対象の移動の直近の移動に対する前記誤差と、前記予測モデルとを用いて、前記予測対象の移動に対する前記予測値を算出する
請求項3から5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記予測値算出部は、前記移動体における過去の1または複数の移動に対する1または複数の前記誤差における統計的な代表値と、前記予測モデルとを用いて、前記予測対象の移動に対する前記予測値を算出する
請求項3から5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記予測値算出部は、操縦者が同一である前記過去の移動に対する前記誤差が存在する場合、前記操縦者が同一である前記過去の移動に対する前記誤差と、前記予測モデルとを用いて、前記予測対象の移動に対する前記予測値を算出する
請求項6または7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記予測値算出部は、前記移動体が同一である前記過去の移動に対する前記誤差が存在する場合、前記移動体が同一である前記過去の移動に対する前記誤差と、前記予測モデルとを用いて、前記予測対象の移動に対する前記予測値を算出する
請求項6または7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記予測値算出部は、前記移動体が移動するルートが同一である前記過去の移動に対する前記誤差が存在する場合、前記ルートが同一である前記過去の移動に対する前記誤差と、前記予測モデルとを用いて、前記予測対象の移動に対する前記予測値を算出する
請求項6または7に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記予測値算出部は、操縦者、前記移動体、および、前記移動体が移動するルートのうちの予め定められた何れか2以上の情報を含むセットが同一である前記過去の移動に対する前記誤差が存在する場合、前記セットが同一である前記過去の移動に対する前記誤差と、前記予測モデルとを用いて、前記予測対象の移動に対する前記予測値を算出する
請求項6または7に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記移動体の移動距離に対する前記実測値の割合を表す移動効率と、前記誤差との関係を表す近似曲線に基づき、前記誤差をカテゴリ化するための1または複数の閾値を算出し、前記過去の移動に対する前記誤差が、前記1または複数の閾値で分類した複数のカテゴリのうち何れに含まれるかを表すカテゴリ値を算出するカテゴリ算出部をさらに備え、
前記予測値算出部は、前記過去の移動に対する前記誤差が存在する場合、前記誤差として前記カテゴリ値に対応するモデル入力値を用いて、前記予測対象の移動に対する前記予測値を算出する
請求項3から11の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記カテゴリ算出部は、前記移動体における過去の複数の移動のうちの前記予測対象の移動の直近の移動に対する前記誤差が含まれるカテゴリを表す前記カテゴリ値を算出する
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記カテゴリ算出部は、前記移動体における過去の複数の移動に対する複数の前記誤差が最も含まれるカテゴリを表す前記カテゴリ値、または、前記移動体における過去の複数の移動に対する複数の前記誤差における統計的な代表値が含まれるカテゴリを表す前記カテゴリ値を算出する
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記出力部は、前記誤差と前記予測モデルとを用いて算出した場合の前記誤差と、前記誤差を用いずに算出した場合の前記予測値と前記実測値との前記誤差とを表示させる
請求項3から14の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
情報処理装置により移動体の消費電力量を予測する情報処理方法であって、
前記情報処理装置により、前記移動体の消費電力量を目的変数とする予測モデルと、前記移動体の予測対象の移動に対する前記消費電力量に影響する1または複数の要因値と、前記予測モデルによる予測値と実測値との誤差とに基づき、前記予測対象の移動における前記消費電力量の予測値を算出する
情報処理方法。
【請求項17】
情報処理装置を移動体の消費電力量を予測する予測装置として機能させるためのプログラムであって、
前記情報処理装置を、
移動体の消費電力量を目的変数とする予測モデルと、前記移動体の予測対象の移動に対する前記消費電力量に影響する1または複数の要因値と、前記予測モデルによる予測値と実測値との誤差とに基づき、前記予測対象の移動における前記消費電力量の予測値を算出する予測値算出部
として機能させるプログラム。
【請求項18】
請求項1から15の何れか1項に記載の情報処理装置を備える移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車では、走行中に充電が無くなることを防止するために、走行により消費される電力量の予測値を予め算出し、予測値以上の電力量を走行前に充電する必要がある。電気自動車の消費電力量の予測値は、走行距離、速度および気温等を観測し、これらの観測値を入力変数とする数理モデルにより算出される。しかし、入力変数に含まれない要因、および、ドライバの運転技術等の数値化が困難な要因も存在し、これらの要因については数理モデルに反映することが困難であった。従って、数理モデルに反映することが困難な要因が消費電力量に大きく影響してしまう状況においては、従来の数理モデルでは、予測値を精度良く算出することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6232258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、移動体が消費する消費電力量を、精度良く予測する情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび移動体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る情報処理装置は、予測値算出部を備える。前記予測値算出部は、移動体の消費電力量を目的変数とする予測モデルと、前記移動体の予測対象の移動に対する前記消費電力量に影響する1または複数の要因値と、前記予測モデルによる予測値と実測値との誤差とに基づき、前記予測対象の移動における前記消費電力量の予測値を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る予測装置の構成を移動体とともに示す図。
図2】第1実施形態に係る移動テーブルの一例を示す図。
図3】移動データを作成する移動の単位の一例を示す図。
図4】予測モデルの一例を示す図。
図5】誤差テーブルの一例を示す図。
図6】移動データの作成処理の流れを示すフローチャート。
図7】評価データの作成処理の流れを示すフローチャート。
図8】評価データの一例を示す図。
図9】結果データの作成処理の流れを示すフローチャート。
図10】結果データの一例を示す図。
図11】予測値の算出処理の流れを示すフローチャート。
図12】第2実施形態に係る予測装置の構成を移動体とともに示す図。
図13】第2実施形態の予測装置の処理の流れを示すフローチャート。
図14】第3実施形態に係る予測装置の構成を移動体とともに示す図。
図15】第3実施形態に係る移動テーブルの一例を示す図。
図16】操縦者テーブルの誤差を更新する処理の流れを示すフローチャート。
図17】操縦者テーブルの一例を示す図。
図18】第4実施形態に係る予測装置の構成を移動体とともに示す図。
図19】第5実施形態に係る予測装置の構成を移動体とともに示す図。
図20】第6実施形態に係る予測装置の構成を移動体とともに示す図。
図21】第7実施形態に係る予測装置の構成を移動体とともに示す図。
図22】近似曲線の一例を示す図。
図23】カテゴリ値を更新する処理の流れを示すフローチャート。
図24】設定ファイルの一例を示す図。
図25】閾値の一例を示す図。
図26】カテゴリ値の算出処理の第1例を示す図。
図27】カテゴリ値の算出処理の第2例を示す図。
図28】カテゴリ値と、モデル入力値との対応関係を示す図。
図29】出力画像の一例を示す図。
図30】予測装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら複数の実施形態に係る予測装置20について説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る予測装置20の構成を移動体22とともに示す図である。
【0009】
予測装置20は、移動体22が消費する消費電力量を予測する。移動体22は、二次電池を備え、二次電池に蓄積された電力により移動する。本実施形態において、移動体22は、同一のルートを繰り返して移動する路線バスである。移動体22は、路線バスに代えて、例えば、電気自動車、線路上を移動する電車、他の種類の車両であってもよい。また、移動体22は、船舶、飛行機またはドローン等であってもよい。また、移動体22は、同一のルートを繰り返して移動しない車両等であってもよい。
【0010】
予測装置20は、コンピュータ等の情報処理装置により実現される。予測装置20は、単独動作する情報処理装置であってもよいし、ネットワーク等のサーバまたはクラウド等により実現される1または複数の情報処理装置が連携した装置であってもよい。また、予測装置20は、移動体22に搭載されてもよいし、移動体22に対して電力を充電する充電システムに搭載されてもよい。
【0011】
予測装置20は、このような移動体22における、移動において消費される電力量の予測値を算出する。そして、予測装置20は、算出した予測値を例えば移動体22の操縦者等に出力する。
【0012】
予測装置20は、収集部32と、移動データ作成部34と、移動履歴記憶部36と、評価データ作成部38と、モデル記憶部40と、誤差算出部42と、誤差記憶部44と、取得部46と、予測値算出部48と、出力部50とを備える。
【0013】
収集部32は、移動体22が1単位の移動をする場合に、移動体22の移動に対する消費電力量に影響する1または複数の要因を表す1または複数の要因値を取得する。1または複数の要因値については、さらなる詳細を、図2を参照して後述する。
【0014】
移動体22の1単位の移動は、例えば、移動体22が消費した電力量の実測値を取得可能な移動の単位である。移動体22の1単位の移動については、さらなる詳細を、図3を参照して後述する。
【0015】
収集部32は、1または複数の要因値の一部または全部を、サーバ等により実現される外部システムからネットワークを介して取得してもよい。また、収集部32は、1または複数の要因値の一部または全部を、移動体22に設けられた測定器、端末装置または記憶装置から取得してもよい。収集部32は、収集した1または複数の要因値を移動データ作成部34に送る。
【0016】
移動データ作成部34は、移動体22が1単位の移動をする毎に、1単位の移動を識別するための移動識別情報を生成する。移動データ作成部34は、生成した移動識別情報と、収集部32から取得した1または複数の要因値と含む1つの移動データを作成する。移動データ作成部34は、作成した移動データを、移動履歴記憶部36に記憶される移動テーブルに格納する。
【0017】
移動履歴記憶部36は、複数の移動データを格納することが可能な移動テーブルを記憶する。移動テーブルは、1つのレコードに1つの移動データを格納する。移動履歴記憶部36は、移動データ作成部34から移動データを取得する毎に、移動テーブルに新規のレコードを作成し、作成した新規のレコードに移動データを格納する。
【0018】
評価データ作成部38は、移動体22が1単位の移動を終了した場合、対応する1単位の移動により移動体22が実際に消費した電力量の実測値を取得する。評価データ作成部38は、例えば実測値を移動体22から取得する。評価データ作成部38は、移動体22が1単位の移動を終了した場合、取得した実測値と、対応する1単位の移動における移動データとを含む評価データを作成する。そして、評価データ作成部38は、作成した評価データを誤差算出部42に送る。
【0019】
モデル記憶部40は、1または複数の要因値を入力変数群とし、消費電力量を目的変数とする予測モデルを記憶する。本実施形態においては、モデル記憶部40は、第1予測モデルと、第2予測モデルとを記憶する。第1予測モデルは、予測値と実測値との誤差を用いず、1または複数の要因値を用いて消費電力量を予測するモデルである。第2予測モデルは、予測値と実測値との誤差と、1または複数の要因値とを用いて消費電力量を予測するモデルである。
【0020】
第1予測モデルおよび第2予測モデルは、予め学習されている。本実施形態においては、第2予測モデルは、誤差を0とした場合、第1予測モデルと同一の結果が得られるモデルである。例えば、第2予測モデルは、第1予測モデルを用いて予測される値に誤差を加算することにより予測値を算出するモデルである。なお、予測モデルについては、さらなる詳細を図4を参照して後述する。
【0021】
誤差算出部42は、移動体22が1単位の移動を終了した場合、対応する1単位の移動についての評価データを評価データ作成部38から取得する。また、誤差算出部42は、モデル記憶部40から第1予測モデルを取得する。さらに、誤差算出部42は、取得した評価データにおける移動データの部分に含まれる1または複数の要因値を抽出する。そして、誤差算出部42は、移動が終了した1単位の移動について、評価データから抽出した1または複数の要因値と、第1予測モデルとを用いて、消費電力量の過去予測値を算出する。
【0022】
さらに、誤差算出部42は、算出した消費電力量の過去予測値と、対応する1単位の移動についての評価データに含まれる実測値との誤差を算出する。誤差算出部42は、算出した誤差と、評価データ作成部38から取得した評価データと含む1つの結果データを作成する。誤差算出部42は、作成した結果データを、誤差記憶部44に記憶される誤差テーブルに格納する。
【0023】
誤差記憶部44は、複数の結果データを格納することが可能な誤差テーブルを記憶する。誤差テーブルは、1つの誤差データを1つのレコードに格納する。誤差記憶部44は、誤差算出部42から結果データを取得する毎に、誤差テーブルに新規のレコードを作成し、作成した新規のレコードに結果データを格納する。
【0024】
取得部46は、移動体22の予測対象の移動に対する消費電力量を予測する場合に、移動体22の予測対象の移動に対する、消費電力量に影響する1または複数の要因を表す1または複数の要因値を取得する。取得部46が取得する1または複数の要因値の項目は、収集部32が収集する1または複数の要因値の項目と同一である。予測装置20は、収集部32と取得部46とを共通のモジュールにより実現してもよい。
【0025】
取得部46は、例えば、操縦者等から入力された予測指示を受け取り、予測指示を受け取った場合、1または複数の要因値を取得する。また、取得部46は、移動体22が移動を開始する場合、移動の開始に先だって、その移動を予測対象として、1または複数の要因値を取得してもよい。この場合、収集部32が移動データを作成するために収集する1または複数の要因値と、取得部46が予測対象の移動について取得する1または複数の要因値とは、同一となる。取得部46は、取得した予測対象の移動に対する1または複数の要因値を、予測値算出部48に送る。
【0026】
予測値算出部48は、取得部46から1または複数の要因値を受け取るとともに、モデル記憶部40から予測モデルを取得する。予測値算出部48は、1または複数の要因値を入力変数群とし、消費電力量を目的変数とする予測モデルを用いて、取得部46が取得した1または複数の要因値に基づき、予測対象の移動における消費電力量の予測値を算出する。
【0027】
ここで、予測値算出部48は、移動体22における過去の移動に対する予測モデルを用いた消費電力量の過去予測値と、過去の移動において実際に消費された消費電力量の実測値との誤差と、予測モデルと、を用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。本実施形態においては、予測値算出部48は、誤差記憶部44内の誤差テーブルに過去の移動に対する誤差が存在する場合、すなわち、誤差テーブルに少なくとも1つの結果データが格納されている場合、モデル記憶部40に記憶された第2予測モデルを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。また、予測値算出部48は、誤差記憶部44内の誤差テーブルに過去の移動に対する誤差が存在しない場合、すなわち、誤差テーブルに結果データが格納されていない場合、モデル記憶部40に記憶された第1予測モデルを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。
【0028】
なお、誤差記憶部44内の誤差テーブルに過去の複数の移動に対する複数の誤差が存在する場合、すなわち、誤差テーブルに複数の結果データが格納されている場合、予測値算出部48は、何れか1つの誤差を選択し、選択した誤差と予測モデルとを用いて予測対象の移動に対する予測値を算出する。本実施形態においては、予測値算出部48は、移動体22における過去の複数の移動のうちの予測対象の移動の直近の移動に対する誤差と、予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。ここで、直近の移動とは、予測対象の移動に対して、時間的に最も近い過去の移動をいう。予測値算出部48は、予測対象の移動に時間的に近い移動に対する誤差を用いることにより、精度良く予測値を算出することができる。
【0029】
出力部50は、予測値算出部48が予測値を算出した場合、算出した予測値を出力する。出力部50は、例えば移動体22内の表示デバイスに予測値を表示させてもよいし、例えば移動体22に対して電力を充電する充電システムに設けられた表示デバイスに予測値を表示させてもよい。
【0030】
図2は、第1実施形態に係る移動テーブルの一例を示す図である。
【0031】
移動テーブルは、複数の移動データを格納可能である。移動テータは、固有の移動識別情報を含む。例えば、移動識別情報は、時系列に値を1ずつインクリメントすることにより生成される。
【0032】
1または複数の要因値は、一例として、開始位置、終了位置、移動距離、上り勾配の累積値、下り勾配の累積値、開始時刻、終了時刻、移動時間、速度、重量、内気温、および、外気温の何れか1または複数を含む。
【0033】
開始位置は、移動体22が1単位の移動を開始する位置であり、例えば緯度および経度等により表される。終了位置は、移動体22が1単位の移動を終了する位置であり、例えば、緯度および経度等により表される。移動距離は、移動体22が移動をするルートの距離を表す。
【0034】
上り勾配の累積値は、ルートにおける開始位置から終了位置までの、合計の上り勾配である。地図サーバ等は、例えば約1mなどの等間隔で、ルート上の標高値を提供する。例えば、収集部32は、地図サーバ等からルート上の標高値群を収集し、上り勾配の累積値を算出する。例えば、収集部32は、ルートの進行方向における標高値における次点の標高値との差であって、正の数になる値の集合を、全て加算することにより、上り勾配の累積値を算出する。
【0035】
下り勾配の累積値は、ルートにおける開始位置から終了位置までの、合計の下り勾配である。例えば、収集部32は、地図サーバ等からルート上の標高値群を収集し、下り勾配の累積値を算出する。例えば、収集部32は、ルートの進行方向における標高値における次点の標高値との差であって、負の数になる値の絶対値の集合を、全て加算することにより、下り勾配の累積値を算出する。
【0036】
開始時刻は、移動体22が1単位の移動を開始する時刻であり、例えば、“年/月/日 時間:分:秒”等の形式により表される。終了時刻は、移動体22が1単位の移動を終了する時刻であり、例えば、“年/月/日 時間:分:秒”等の形式により表される。移動時間は、移動体22が実質的に移動していた時間であり、例えば、開始時刻から終了時刻までの間のうち、信号待ちまたは休憩等の停止時間を含まない時間である。
【0037】
速度は、移動体22の速度である。速度は、移動中における信号待ちまたは休憩等の停止時間を含まない速度の平均値であってよい。
【0038】
重量は、移動体22の重量である。例えば、重量は、移動中において変化する場合には、移動中において一定時間毎の重量の平均値であってもよい。
【0039】
内気温は、移動体22の内部の気温である。内気温は、例えば、移動中において変化する場合には、移動中において一定時間毎の内気温の平均値であってもよい。
【0040】
外気温は、移動体22の周囲の気温である。外気温は、例えば、移動中において変化する場合には、移動中において一定時間毎の外気温の平均値であってもよい。
【0041】
なお、1または複数の要因値は、このような情報のみに限られない。1または複数の要因値は、例えば、移動体22の加速度、モータ温度、および、エアーコンディショナの温度等の他の情報を含んでもよい。
【0042】
図3は、移動データを作成する移動の単位の一例を示す図である。
【0043】
移動データを作成する移動の単位は、例えば、移動体22の速度が0とならない連続した区間である。また、移動データを作成する移動の単位は、例えば、図3に示すように、移動体22が移動の途中において信号待ちをした場合および休憩等の停止をした場合、これらの停止区間を除く複数の区間をまとめた区間であってもよい。このように、移動の単位が停止区間を除く複数の区間をまとめた区間である場合、移動距離、上り勾配累積値、下り勾配累積値および移動時間は、次のように表される。
【0044】
例えば、信号待ちおよび休憩等を含まない複数の区間の距離の集合を、d1、d2、…、dMとした場合、1単位の移動における移動距離(x_dis)は、次式のように表される。
x_dis=d1+d2+…+dM
【0045】
例えば、信号待ちおよび休憩を含まない複数の区間の上り勾配の累積値の集合をu1、u2、…uMとした場合、1単位の移動における上り勾配累積値(x_up)は、次式のように表される。
x_up=u1+u2+…+uM
【0046】
例えば、信号待ちおよび休憩を含まない複数の区間の下り勾配の累積値の集合をf1、f2、…fMとした場合、1単位の移動における下り勾配累積値(x_fall)は、次式のように表される。
x_fall=f1+f2+…+fM
【0047】
例えば、信号待ちおよび休憩を含まない複数の区間の移動時間の集合をt1、t2、…tMとした場合、1単位の移動における移動時間(x_time)は、次式のように表される。
x_time=t1+T2+…+tM
【0048】
図4は、予測モデルの一例を示す図である。本実施形態においては、モデル記憶部40は、第1予測モデルと、第2予測モデルとを記憶する。例えば、モデル記憶部40は、モデル識別情報(m1、m2)に対応させて、第1予測モデルおよび第2予測モデルを記憶する。
【0049】
本実施形態において、第1予測モデルは、下式のように表される。
m1:y_i=f(x_dis,x_up,x_fall,…)
【0050】
f()は、予測モデルを表す関数である。f()は、重回帰モデル、ニューラルネットワーク、深層学習または物理モデル等の一般的なモデルの形式であれば、どのようなモデルであってもよい。
【0051】
本実施形態において、第2予測モデルは、下式のように表される。
m2:y_i=f(x_dis,x_up,x_fall,…)+e
【0052】
eは、誤差を表す。誤差は、誤差記憶部44に記憶されている誤差テーブルに格納されている値が用いられる。すなわち、第2予測モデルは、第1予測モデルにより予測される値に、誤差を加算した形式により表される。
【0053】
なお、図4に示すように、第1予測モデルおよび第2予測モデルは、重回帰モデルであってもよい。この場合、f()は、{β_dis,β_up,…,β_intercept}と表される。回帰係数{β_dis,β_up,…,β_intercept}は、誤差記憶部44に記憶されている誤差テーブルに格納されている複数の結果データを元に、消費電力量に影響する要因群と消費電力量の実測値とを用いて推定される。回帰係数を推定するためのパラメータチューニングの方法は、例えば最小二乗法等の一般的な手法であってよい。
【0054】
図5は、誤差テーブルの一例を示す図である。誤差テーブルは、過去の1または複数の移動のそれぞれについて、移動識別情報に対応させて、移動テーブルと同様の項目に加えて、消費電力量の実測値、予測値および誤差を格納する。
【0055】
図6は、予測装置20による移動データの作成処理の流れを示すフローチャートである。移動体22が移動をする場合、予測装置20は、図6に示す流れで移動データの作成処理を実行する。
【0056】
まず、S101において、収集部32は、移動体22の移動に対する、消費電力量に影響する1または複数の要因を表す1または複数の要因値を収集する。例えば、収集部32は、移動体22から、1または複数の要因値の一部として、開始位置、終了位置、終了時刻、移動時間、速度、重量および内気温を取得する。なお、収集部32は、移動開始時に不確定な情報、例えば終了時刻、移動時間、速度および重量については、予定または予想される値であってもよい。
【0057】
さらに、収集部32は、開始位置、終了位置およびルートに基づき、例えば、外部システムである地図サーバ等からネットワークを介して、移動距離、上り勾配の累積値および下り勾配の累積値を取得する。さらに、収集部32は、開始位置、終了位置およびルートに基づき、例えば、外部システムである気象サーバ等から、外気温を取得する。例えば、収集部32は、開始時刻から終了時刻までの一定時間毎に、予測される通過位置における外気温を気象サーバ等から取得する。また、例えば、収集部32は、気象サーバから外気温を取得することに代えて、移動体22に設けられた温度計から現時点の外気温を取得してもよい。また、収集部32は、気象サーバから外気温を取得した場合、内気温を取得した外気温により補正してもよい。
【0058】
続いて、S102において、移動データ作成部34は、移動識別情報を生成する。移動データ作成部34は、例えば直前の移動についての移動識別情報をインクリメントすることにより、移動識別情報を生成してもよい。続いて、S103において、移動データ作成部34は、生成した移動識別情報と、収集した1または複数の要因値とを含む移動データを作成する。
【0059】
続いて、S104において、移動データ作成部34は、今回の移動体22の移動を予測対象の移動として予測値を算出する場合、生成した移動データを予測値算出部48に送る。この場合、予測値算出部48は、移動データ作成部34から取得した移動データに基づき、今回の移動体の移動に対する消費電力量の予測値を算出する。
【0060】
続いて、S105において、移動データ作成部34は、移動体22による移動が終了したか否かを判断する。移動が終了しない場合(S105のNo)、移動データ作成部34は、処理をS105で待機する。移動が終了した場合(S105のYes)、移動データ作成部34は、処理をS106に進める。
【0061】
S106において、移動データ作成部34は、移動データに含まれる1または複数の要因値のうち、実際に計測した値に置き換え可能な要因については、要因値を更新する。移動データ作成部34は、移動時間を、例えば、信号待ちおよび休憩により停止した時間を除く実際の移動時間に更新してもよい。また、移動データ作成部34は、終了時刻を、実際に移動を終了した時刻に更新してもよい。また、例えば、移動データ作成部34は、速度、重量、内気温および外気温を、実際に測定した値に更新してもよい。この場合、移動データ作成部34は、速度、重量、内気温および外気温について、移動体22が移動している期間中において一定時間毎にサンプリングして測定値を取得している場合には、測定値の平均値等にしてもよい。なお、移動データ作成部34は、移動データに含まれる1または複数の要因値の何れの値も、実際に計測した値に更新しなくてもよい。
【0062】
そして、移動データ作成部34は、移動データを移動履歴記憶部36に記憶された移動テーブルに格納する。予測装置20は、S106の処理を終了すると、本フローを終了する。予測装置20は、以上の処理を実行することにより、移動体22が1単位の移動をする毎に、移動データを生成して、移動テーブルに格納することができる。
【0063】
図7は、予測装置20による評価データの作成処理の流れを示すフローチャートである。図8は、図7に示す処理により作成される評価データの一例を示す図である。移動体22が移動を終了し、移動データを移動テーブルに格納した後、予測装置20は、図7に示す流れで評価データの作成処理を実行する。
【0064】
まず、S111において、評価データ作成部38は、移動データ作成部34により作成された移動データに含まれる移動識別情報に対応する移動について、実際に消費された電力量の実測値を、移動体22から取得する。
【0065】
続いて、S112において、評価データ作成部38は、移動データ作成部34により作成された移動データに含まれる移動識別情報に対応する移動について、移動履歴記憶部36に記憶された移動テーブルに格納されている移動データを取得する。
【0066】
続いて、S113において、評価データ作成部38は、移動識別情報と、取得した移動データと、取得した電力量の実測値とを含む評価データを作成する。
【0067】
続いて、S114において、評価データ作成部38は、作成した評価データを誤差算出部42に送る。例えば、評価データ作成部38は、図8に示すような評価データを作成して、誤差算出部42に送る。
【0068】
図9は、予測装置20による結果データの作成処理の流れを示すフローチャートである。図10は、図9に示す処理により作成される結果データの一例を示す図である。評価データが作成された後、予測装置20は、図9に示す流れで結果データの作成処理を実行する。
【0069】
まず、S121において、誤差算出部42は、移動体22が1単位の移動を終了した場合、対応する1単位の移動についての評価データを評価データ作成部38から取得する。
【0070】
続いて、S122において、誤差算出部42は、モデル記憶部40から第1予測モデルを取得する。すなわち、誤差算出部42は、予測値と実測値との誤差を用いず、1または複数の要因値を用いて消費電力量を予測する予測モデルを取得する。
【0071】
続いて、S123において、誤差算出部42は、取得した評価データにおける移動データの部分に含まれる1または複数の要因値を抽出し、評価データから抽出した1または複数の要因値と、第1予測モデルとを用いて、過去の移動についての予測値を算出する。
【0072】
続いて、S124において、誤差算出部42は、算出した予測値と、取得した評価データに含まれる実測値との誤差を算出する。
【0073】
例えば、誤差算出部42は、次のような演算により誤差を算出する。なお、下式において、e_iは、誤差を表す。y^_iは、予測値を表す。y_iは、実測値を表す。
差分:e_i=y^_i-y_i
絶対誤差:e_i=|y^_i-y_i|
二乗誤差:e_i=(y^_i-y_i)^2
相対誤差:e_i=(y^_i-y_i)/y_i
絶対誤差率:/y_i|y^_i-y_i|/y_i
二乗誤差率:e_i=(y^_i-y_i)^2/y_i
【0074】
なお、誤差算出部42は、上述の式に限らず、他の一般的な誤差演算式により誤差を算出してもよい。
【0075】
続いて、S125において、誤差算出部42は、算出した誤差と、評価データ作成部38から取得した評価データと含む1つの結果データを作成する。
【0076】
続いて、S126において、誤差算出部42は、作成した結果データを誤差記憶部44に記憶される誤差テーブルに格納する。例えば、誤差算出部42は、図10に示すような結果データを作成して、誤差テーブルに格納する。予測装置20は、S126の処理を終了すると、本フローを終了する。予測装置20は、以上の処理を実行することにより、移動体22が1単位の移動をする毎に、結果データを生成して、誤差テーブルに格納することができる。
【0077】
図11は、予測装置20による予測値の算出処理の流れを示すフローチャートである。予測装置20は、移動体22の予測対象の移動に対する消費電力量を予測する場合、図11に示す流れで予測値の算出処理を実行する。
【0078】
まず、S131において、予測値算出部48は、予測対象の移動に対する消費電力量に影響する1または複数の要因を表す1または複数の要因値を取得する。例えば、予測値算出部48は、移動体22の移動に先だって、移動データ作成部34が移動データを作成した場合、移動データに含まれる1または複数の要因値を取得する。または、予測値算出部48は、取得部46が移動体22の移動に関わらず操縦者等から入力された予測指示を受け取った場合、取得部46から1または複数の要因値を取得する。
【0079】
続いて、S132において、予測値算出部48は、誤差記憶部44に記憶された誤差テーブルに、過去の移動に対する誤差が存在するか否かを判断する。すなわち、予測値算出部48は、誤差テーブルに、少なくとも1つの結果データが含まれているか否かを判断する。誤差テーブルに過去の移動に対する誤差が存在しない場合、予測値算出部48は、処理をS133に進める。誤差テーブルに過去の移動に対する誤差が少なくとも1つ存在する場合、予測値算出部48は、処理をS134に進める。
【0080】
S133において、予測値算出部48は、モデル記憶部40から第1予測モデルを取得する。すなわち、予測値算出部48は、予測値と実測値との誤差を用いず、1または複数の要因値を用いて消費電力量を予測する予測モデルを取得する。予測値算出部48は、S133の処理を終えると、処理をS136に進める。
【0081】
S134において、予測値算出部48は、モデル記憶部40から第2予測モデルを取得する。すなわち、予測値算出部48は、予測値と実測値との誤差を用いて、1または複数の要因値を用いて消費電力量を予測する予測モデルを取得する。予測値算出部48は、S134の処理を終えると、処理をS135に進める。
【0082】
S135において、予測値算出部48は、誤差記憶部44に記憶された誤差テーブルから、過去の移動に対する誤差を取得する。本実施形態においては、予測値算出部48は、移動体22における過去の複数の移動のうちの予測対象の移動の直近の移動に対する誤差を取得する。予測値算出部48は、S135の処理を終えると、処理をS136に進める。
【0083】
S136において、予測値算出部48は、取得した1または複数の要因値と、取得した予測モデルとに基づき、移動体22の予測対象の移動に対する消費電力量の予測値を算出する。より具体的には、過去の移動に対する誤差が存在しなかった場合、予測値算出部48は、取得した1または複数の要因値と、第1予測モデルとを用いて、予測値を算出する。過去の移動に対する誤差が存在した場合、予測値算出部48は、取得した誤差と、取得した1または複数の要因値と、第2予測モデルとを用いて、予測値を算出する。
【0084】
続いて、S137において、出力部50は、予測値算出部48が算出した予測値を出力する。例えば、出力部50は、予測値を移動体22に送る。この場合において、出力部50は、対応する移動データに含まれる移動識別情報も予測値とともに送ってもよい。なお、出力部50は、予測値を他の装置に出力してもよい。例えば、出力部50は、移動体22に対して電力を充電する充電システムに、算出した予測値を出力してもよい。
【0085】
以上のように、第1実施形態に係る予測装置20は、過去の移動による消費電力量の予測値と実測値との誤差と、予測モデルとを用いて、移動体22の予測対象の移動について消費電力量の予測値を算出する。このような予測装置20は、例えば、入力変数として予測モデルに反映することが困難な潜在的要因、例えば数値化が困難な操縦者の熟練度および測定が困難な値によって消費電力量が大きく変動するような場合であっても、誤差を反映して予測値を算出する。これにより、予測装置20は、移動体22が消費する消費電力量の予測値を、精度良く算出することができる。
【0086】
(第2実施形態)
つぎに、第2実施形態に係る予測装置20について説明する。第2実施形態に係る予測装置20は、第1実施形態と略同一の機能および構成を有するので、第2実施形態については、第1実施形態と略同一の機能および構成を有する要素に同一の符号を付けて、相違点を除き詳細な説明を省略する。第3実施形態以降の各実施形態も同様である。
【0087】
図12は、第2実施形態に係る予測装置20の構成を移動体22とともに示す図である。第2実施形態に係る予測装置20は、代表値算出部62と、代表値記憶部64とをさらに備える。
【0088】
代表値算出部62は、誤差記憶部44に記憶された誤差テーブルに、移動体22における過去の1または複数の移動に対する1または複数の誤差が格納されている場合、1または複数の誤差の統計的な代表値を算出する。例えば、代表値算出部62は、1または複数の誤差の平均値、最大値、最小値、中央値、最頻値、第一四分位、第三四分位、分散、標準偏差または標準誤差を、代表値として算出する。代表値算出部62は、平均平方二乗誤差、平均絶対誤差、平均二乗誤差、平均平方二乗誤差率または平均絶対誤差率を、代表値として算出してもよい。例えば、代表値算出部62は誤差算出部42が結果データを作成して誤差テーブルに格納する毎に、代表値を算出する。
【0089】
代表値記憶部64は、代表値算出部62により算出された代表値を記憶する。代表値記憶部64により記憶された代表値は、代表値算出部62により代表値が算出される毎に、新しい値に更新される。
【0090】
第2実施形態に係る予測値算出部48は、代表値記憶部64に代表値が記憶されている場合、すなわち、過去の移動に対する誤差が存在する場合、代表値記憶部64に記憶されている代表値を、誤差として取得する。そして、予測値算出部48は、誤差として取得した代表値と、予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。例えば、予測値算出部48は、1または複数の要因値と、代表値と、第2予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。
【0091】
一方、第2実施形態に係る予測値算出部48は、代表値記憶部64に代表値が記憶されていない場合、すなわち、過去の移動に対する誤差が存在しない場合、代表値を用いずに、予測モデルを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。例えば、予測値算出部48は、1または複数の要因値と、第1予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。
【0092】
図13は、第2実施形態の予測装置20の処理の流れを示すフローチャートである。第2実施形態において、移動体22が1単位の移動を終了して移動データが移動テーブルに格納された場合、予測装置20は、図13に示す処理を実行する。
【0093】
まず、S201において、評価データ作成部38は、対応する1単位の移動により移動体22が実際に消費した電力量の実測値、および、対応する1単位の移動における移動データを取得し、取得した実測値および移動データを含む評価データを作成する。
【0094】
続いて、S202において、誤差算出部42は、作成された評価データから抽出した1または複数の要因値と、第1予測モデルとを用いて、消費電力量の予測値を算出する。さらに、誤差算出部42は、算出した消費電力量の予測値と、実測値との誤差を算出する。そして、誤差算出部42は、算出した誤差と評価データと含む1つの結果データを作成する。誤差算出部42は、作成した結果データを誤差記憶部44に記憶される誤差テーブルに格納する。
【0095】
続いて、S203において、代表値算出部62は、誤差算出部42が結果データを作成して誤差テーブルに格納した場合、誤差テーブルに記憶されている1または複数の誤差の代表値を算出する。そして、代表値算出部62は、算出した代表値を代表値記憶部64に記憶させる。
【0096】
以上のように、第2実施形態に係る予測装置20は、過去の複数の移動に対する誤差と、予測モデルとを用いて、移動体22の予測対象の移動について消費電力量の予測値を算出する。このような予測装置20は、過去の複数の移動に対する誤差を反映して予測値を算出するので、移動体22が消費する消費電力量の予測値を精度良く算出することができる。
【0097】
(第3実施形態)
つぎに、第3実施形態に係る予測装置20について説明する。
【0098】
図14は、第3実施形態に係る予測装置20の構成を移動体22とともに示す図である。第3実施形態に係る予測装置20は、操縦者テーブル記憶部66と、操縦者別登録部68と、をさらに備える。
【0099】
第3実施形態において、収集部32および取得部46は、開始位置および開始時刻等を含む1または複数の要因値を取得する場合に、操縦者識別情報を取得する。操縦者識別情報は、移動体22の操縦者を識別する情報である。例えば、収集部32および取得部46は、操縦者が移動体22に入力した操縦者識別情報を、移動体22から取得する。また、第3実施形態において、移動データ作成部34は、操縦者識別情報をさらに含む移動データを作成する。
【0100】
操縦者テーブル記憶部66は、操縦者テーブルを記憶する。操縦者テーブルは、操縦者毎に誤差を格納する。操縦者テーブルは、例えば、操縦者識別情報に示された操縦者が直近において移動体22を操縦した移動に対する誤差を格納する。これに代えて、操縦者テーブルは、例えば、操縦者識別情報に示された操縦者が過去において移動体22を操縦した1または複数の移動に対する1または複数の誤差の統計的な代表値を、誤差として格納してもよい。
【0101】
操縦者別登録部68は、誤差算出部42が新たな結果データを作成して誤差テーブルに格納した場合、誤差テーブルから新たな結果データを取得する。操縦者別登録部68は、取得した新たな結果データに含まれる、操縦者識別情報および誤差を取得する。そして、操縦者別登録部68は、取得した誤差を、操縦者テーブル記憶部66に記憶された操縦者テーブルに、取得した操縦者識別情報に対応付けて格納する。
【0102】
これに代えて、操縦者別登録部68は、取得した新たな結果データに含まれる操縦者識別情報および1または誤差に基づき、統計的な代表値を算出してもよい。この場合、操縦者別登録部68は、誤差テーブルに格納された新たな結果データと、操縦者識別情報が一致する1または複数の結果データを特定し、特定した1または複数の結果データに含まれる1または複数の誤差を取得する。操縦者別登録部68は、取得した1または複数の誤差の平均値、最大値、最小値、中央値、最頻値、第一四分位、第三四分位、分散、標準偏差または標準誤差等を、代表値として算出する。そして、操縦者別登録部68は、算出した代表値を、誤差として操縦者テーブル記憶部66に記憶された操縦者テーブルに、取得した操縦者識別情報に対応付けて格納する。
【0103】
第3実施形態に係る予測値算出部48は、予測値を算出する場合、予測対象の移動についての操縦者識別情報を取得する。第3実施形態に係る予測値算出部48は、取得した操縦者識別情報に対応する誤差が操縦者テーブルに存在する場合、すなわち、操縦者が同一である過去の移動に対する誤差が存在する場合、操縦者テーブルから、操縦者が同一である過去の移動に対する誤差を取得する。そして、予測値算出部48は、取得した誤差と、予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。例えば、予測値算出部48は、1または複数の要因値と、取得した誤差と、第2予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。
【0104】
一方、第3実施形態に係る予測値算出部48は、操縦者識別情報に対応する誤差が操縦者テーブルに存在しない場合、すなわち、操縦者が同一である過去の移動に対する誤差が存在しない場合、誤差を用いずに、予測モデルを用いて予測対象の移動に対する予測値を算出する。例えば、予測値算出部48は、1または複数の要因値と、第1予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。
【0105】
図15は、第3実施形態に係る移動テーブルの一例を示す図である。第3実施形態に係る移動テーブルは、図15に示すように、第1実施形態に係る移動テーブルと比較して、操縦者識別情報を格納する項目をさらに含む。第3実施形態に係る移動テーブルの操縦者識別情報以外の項目は、図2に示す第1実施形態に係る移動テーブルと同様である。
【0106】
図16は、第3実施形態に係る予測装置20による操縦者テーブルの誤差を更新する処理の流れを示すフローチャートである。予測装置20は、移動体22の移動が終了して結果データが誤差テーブルに格納された場合、図16に示す流れで誤差の更新処理を実行する。
【0107】
まず、S301において、操縦者別登録部68は、誤差算出部42が新たな結果データを作成して誤差テーブルに格納した場合、誤差テーブルから新たな結果データを取得する。
【0108】
続いて、S302において、操縦者別登録部68は、取得した新たな結果データに含まれる、操縦者識別情報および誤差を取得する。なお、統計的な代表値を算出する場合には、操縦者別登録部68は、誤差テーブルに格納された、操縦者識別情報が新たな結果データと一致する1または複数の結果データを特定し、特定した1または複数の結果データに含まれる1または複数の誤差を取得する。そして、操縦者別登録部68は、取得した1または複数の誤差の平均値、最大値、最小値、中央値、最頻値、第一四分位、第三四分位、分散、標準偏差または標準誤差等を、代表値として算出する。
【0109】
続いて、S303において、操縦者別登録部68は、取得した誤差または算出した代表値を、操縦者テーブル記憶部66に記憶された操縦者テーブルに、取得した操縦者識別情報に対応付けて格納する。
【0110】
図17は、操縦者テーブルの一例を示す図である。操縦者テーブル記憶部66は、例えば、図17に示すように、操縦者識別情報毎に、誤差を格納する。これにより、予測値算出部48は、移動体22を操縦する操縦者に対応する誤差を操縦者テーブルから取得することができる。
【0111】
以上のように、第3実施形態に係る予測装置20は、過去の同一の操縦者による移動に対する誤差と、予測モデルとを用いて、消費電力量の予測値を算出する。このような予測装置20は、操縦者の違いを反映して予測値を算出するので、消費電力量の予測値をより精度良く算出することができる。
【0112】
(第4実施形態)
つぎに、第4実施形態に係る予測装置20について説明する。
【0113】
図18は、第4実施形態に係る予測装置20の構成を移動体22とともに示す図である。第4実施形態に係る予測装置20は、移動体テーブル記憶部70と、移動体別登録部72と、をさらに備える。
【0114】
第4実施形態において、収集部32および取得部46は、開始位置および開始時刻等を含む1または複数の要因値を取得する場合に、移動体識別情報を取得する。移動体識別情報は、移動体22を識別する情報である。例えば、収集部32および取得部46は、移動体22に対して予め登録された移動体識別情報を、移動体22から取得する。
【0115】
第4実施形態において、移動データ作成部34は、移動体識別情報をさらに含む移動データを作成する。第4実施形態に係る移動テーブルは、第1実施形態に係る移動テーブルと比較して、移動体識別情報を格納する項目をさらに含む。第4実施形態に係る移動テーブルの移動体識別情報以外の項目は、第1実施形態に係る移動テーブルと同様である。
【0116】
移動体テーブル記憶部70は、移動体テーブルを記憶する。移動体テーブルは、移動体22毎に誤差を格納する。移動体テーブルは、例えば、移動体識別情報に示された移動体22が直近において移動した移動に対する誤差を格納する。これに代えて、移動体テーブルは、例えば、移動体識別情報に示された移動体22による過去の1または複数の移動に対する1または複数の誤差の統計的な代表値を、誤差として格納してもよい。
【0117】
移動体別登録部72は、誤差算出部42が新たな結果データを作成して誤差テーブルに格納した場合、誤差テーブルから新たな結果データを取得する。移動体別登録部72は、取得した新たな結果データに含まれる、移動体識別情報および誤差を取得する。そして、移動体別登録部72は、取得した誤差を、移動体テーブル記憶部70に記憶された移動体テーブルに、取得した移動体識別情報に対応付けて格納する。
【0118】
これに代えて、移動体別登録部72は、取得した新たな結果データに含まれる移動体識別情報および誤差に基づき、統計的な代表値を算出してもよい。この場合、移動体別登録部72は、誤差テーブルに格納された新たな結果データと、移動体識別情報が一致する1または複数の結果データを特定し、特定した1または複数の結果データに含まれる1または複数の誤差を取得する。移動体別登録部72は、取得した1または複数の誤差の統計的な代表値を算出する。そして、移動体別登録部72は、算出した代表値を、誤差として移動体テーブル記憶部70に記憶された移動体テーブルに、取得した移動体識別情報に対応付けて格納する。
【0119】
第4実施形態に係る予測値算出部48は、予測値を算出する場合、予測対象の移動についての移動体識別情報を移動体22から取得する。第4実施形態に係る予測値算出部48は、取得した移動体識別情報に対応する誤差が移動体テーブルに存在する場合、すなわち、移動体22が同一である過去の移動に対する誤差が存在する場合、移動体テーブルから、移動体22が同一である過去の移動に対する誤差を取得する。そして、予測値算出部48は、取得した誤差と、予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。例えば、予測値算出部48は、1または複数の要因値と、取得した誤差と、第2予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。
【0120】
一方、第4実施形態に係る予測値算出部48は、取得した移動体識別情報に対応する誤差が移動体テーブルに存在しない場合、すなわち、移動体22が同一である過去の移動に対する誤差が存在しない場合、誤差を用いずに、予測モデルを用いて予測対象の移動に対する予測値を算出する。例えば、予測値算出部48は、1または複数の要因値と、第1予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。
【0121】
以上のように、第4実施形態に係る予測装置20は、過去の同一の移動体22による移動に対する誤差と、予測モデルとを用いて、消費電力量の予測値を算出する。このような予測装置20は、移動体22の違いを反映して予測値を算出するので、消費電力量の予測値をより精度良く算出することができる。
【0122】
(第5実施形態)
つぎに、第5実施形態に係る予測装置20について説明する。
【0123】
図19は、第5実施形態に係る予測装置20の構成を移動体22とともに示す図である。第5実施形態に係る予測装置20は、ルートテーブル記憶部74と、ルート別登録部76と、をさらに備える。
【0124】
第5実施形態において、収集部32および取得部46は、開始位置および開始時刻等を含む1または複数の要因値を取得する場合に、ルート識別情報を取得する。ルート識別情報は、移動体22が移動するルートを識別する情報である。例えば、移動体22が路線バスである場合、移動体22が異なる複数のルートを移動する可能性がある。ルート識別情報は、このような路線バス等の複数のルートのうちの何れのルートを移動体22が移動するかを識別する。例えば、収集部32および取得部46は、操縦者が移動体22に入力したルート識別情報を、移動体22から取得する。
【0125】
第5実施形態において、移動データ作成部34は、ルート識別情報をさらに含む移動データを作成する。第5実施形態に係る移動テーブルは、第1実施形態に係る移動テーブルと比較して、ルート識別情報を格納する項目をさらに含む。第5実施形態に係る移動テーブルのルート識別情報以外の項目は、第1実施形態に係る移動テーブルと同様である。
【0126】
ルートテーブル記憶部74は、ルートテーブルを記憶する。ルートテーブルは、ルート毎に誤差を格納する。ルートテーブルは、例えば、ルート識別情報に示されたルートの直近における移動についての誤差を格納する。これに代えて、ルートテーブルは、例えば、ルート識別情報に示されたルートの過去の1または複数の移動に対する1または複数の誤差の統計的な代表値を、誤差として格納してもよい。
【0127】
ルート別登録部76は、誤差算出部42が新たな結果データを作成して誤差テーブルに格納した場合、誤差テーブルから新たな結果データを取得する。ルート別登録部76は、取得した新たな結果データに含まれる、ルート識別情報および誤差を取得する。そして、ルート別登録部76は、取得した誤差を、ルートテーブル記憶部74に記憶されたルートテーブルに、取得したルート識別情報に対応付けて格納する。
【0128】
これに代えて、ルート別登録部76は、取得した新たな結果データに含まれるルート識別情報および誤差に基づき、統計的な代表値を算出してもよい。この場合、ルート別登録部76は、誤差テーブルに格納された新たな結果データと、ルート識別情報が一致する1または複数の結果データを特定し、特定した1または複数の結果データに含まれる1または複数の誤差を取得する。ルート別登録部76は、取得した1または複数の誤差の統計的な代表値を算出する。そして、ルート別登録部76は、算出した代表値を、誤差としてルートテーブル記憶部74に記憶されたルートテーブルに、取得したルート識別情報に対応付けて格納する。
【0129】
第5実施形態に係る予測値算出部48は、予測値を算出する場合、予測対象の移動についてのルート識別情報を移動体22から取得する。第5実施形態に係る予測値算出部48は、取得したルート識別情報に対応する誤差がルートテーブルに存在する場合、すなわち、ルートが同一である過去の移動に対する誤差が存在する場合、ルートテーブルから、ルートが同一である過去の移動に対する誤差を取得する。そして、予測値算出部48は、取得した誤差と、予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。例えば、予測値算出部48は、1または複数の要因値と、取得した誤差と、第2予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。
【0130】
一方、第5実施形態に係る予測値算出部48は、ルートテーブルにおける、取得したルート識別情報に対応する誤差がルートテーブルに存在しない場合、すなわち、ルートが同一である過去の移動に対する誤差が存在しない場合、誤差を用いずに、予測モデルを用いて予測対象の移動に対する予測値を算出する。例えば、予測値算出部48は、1または複数の要因値と、第1予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。
【0131】
以上のように、第5実施形態に係る予測装置20は、過去の同一のルートの移動に対する誤差と、予測モデルとを用いて消費電力量の予測値を算出する。このような予測装置20は、ルートの違いを反映して予測値を算出するので、消費電力量の予測値をより精度良く算出することができる。
【0132】
(第6実施形態)
つぎに、第6実施形態に係る予測装置20について説明する。
【0133】
図20は、第6実施形態に係る予測装置20の構成を移動体22とともに示す図である。第6実施形態に係る予測装置20は、セットテーブル記憶部78と、セット別登録部80と、をさらに備える。
【0134】
第6実施形態において、収集部32および取得部46は、開始位置および開始時刻等を含む1または複数の要因値を取得する場合に、操縦者識別情報、移動体識別情報およびルート識別情報のうち予め定められた2以上の情報を含むセットを取得する。操縦者識別情報は、第3実施形態と同一である。移動体識別情報は、第4実施形態と同一である。ルート識別情報は、第5実施形態と同一である。
【0135】
第6実施形態において、移動データ作成部34は、操縦者識別情報、移動体識別情報およびルート識別情報のうち予め定められた2以上の情報を含むセットをさらに含む移動データを作成する。第6実施形態に係る移動テーブルは、第1実施形態に係る移動テーブルと比較して、操縦者識別情報、移動体識別情報およびルート識別情報のうち予め定められた2以上を格納する項目をさらに含む。第6実施形態に係る移動テーブルの操縦者識別情報、移動体識別情報およびルート識別情報以外の項目は、第1実施形態に係る移動テーブルと同様である。
【0136】
移動体22がルート識別情報に示されたルートを過去の1または複数回移動をした場合において、これらの1または複数の移動に対する1または複数の誤差の統計的な代表値を、誤差として格納してもよい。
【0137】
セットテーブル記憶部78は、セットテーブルを記憶する。セットテーブルは、セット毎に誤差を格納する。セットテーブルは、例えば、直近において、セット識別情報に示された操縦者、移動体22およびルートの組み合わせの移動についての誤差を格納する。これに代えて、セットテーブルは、例えば、セット識別情報に示された操縦者、移動体22およびルートの組み合わせでの1または複数の移動に対する1または複数の誤差の統計的な代表値を、誤差として格納してもよい。
【0138】
セット別登録部80は、誤差算出部42が新たな結果データを作成して誤差テーブルに格納した場合、誤差テーブルから新たな結果データを取得する。セット別登録部80は、取得した新たな結果データに含まれる、操縦者識別情報、移動体識別情報およびルート識別情報のうち予め定められた2以上の情報を含むセットおよび誤差を取得する。そして、セット別登録部80は、取得した誤差を、セットテーブル記憶部78に記憶されたセットテーブルに、取得したセットに対応付けて格納する。
【0139】
これに代えて、セット別登録部80は、取得した新たな結果データに含まれる操縦者識別情報、移動体識別情報およびルート識別情報のうち予め定められた2以上の情報を含むセット、および、誤差に基づき、統計的な代表値を算出してもよい。この場合、セット別登録部80は、誤差テーブルに格納された新たな結果データと、操縦者識別情報、移動体識別情報およびルート識別情報のうち予め定められた2以上の情報を含むセットが一致する1または複数の結果データを特定し、特定した1または複数の結果データに含まれる1または複数の誤差を取得する。そして、セット別登録部80は、取得した1または複数の誤差の統計的な代表値を算出する。そして、セット別登録部80は、算出した代表値を、誤差としてセットテーブル記憶部78に記憶されたセットテーブルに、取得したセットに対応付けて格納する。
【0140】
第6実施形態に係る予測値算出部48は、予測値を算出する場合、予測対象の移動についての、操縦者識別情報、移動体識別情報およびルート識別情報のうち予め定められた2以上の情報を含むセットを移動体22から取得する。第6実施形態に係る予測値算出部48は、取得したセットに対応する誤差がセットテーブルに存在する場合、すなわち、操縦者、移動体22およびルートのうち予め定められた2以上の情報を含むセットが同一である過去の移動に対する誤差が存在する場合、セットテーブルから、セットが同一である過去の移動に対する誤差を取得する。そして、予測値算出部48は、取得した誤差と、予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。例えば、予測値算出部48は、1または複数の要因値と、取得した誤差と、第2予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。
【0141】
一方、第6実施形態に係る予測値算出部48は、取得したセットに対応する誤差がセットテーブルに存在しない場合、すなわち、操縦者、移動体22およびルートのうち予め定められた2以上の情報を含むセットが同一である過去の移動に対する誤差が存在しない場合、誤差を用いずに、予測モデルを用いて予測対象の移動に対する予測値を算出する。例えば、予測値算出部48は、1または複数の要因値と、第1予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。
【0142】
以上のように、第5実施形態に係る予測装置20は、過去の同一の、操縦者、移動体22およびルートのうちの2以上の情報を含むセットについての移動に対する誤差と、予測モデルとを用いて消費電力量の予測値を算出する。このような予測装置20は、このようなセットの違いを反映して予測値を算出するので、消費電力量の予測値をより精度良く算出することができる。
【0143】
なお、第3~第6実施形態において、操縦者、移動体22またはルートが同一である場合、または、操縦者、移動体22およびルートのうちの何れか2以上の情報を含むセットが同一である場合において、操縦者、移動体22、ルートまたはセットが同一である過去の移動に対する誤差または代表値を用いて、消費電力量を予測する例について説明した。予測装置20は、これらに限らず、他の情報が同一である過去の移動に対する誤差または代表値を用いて、同様の処理を実行してもよい。例えば、予測装置20は、移動の開始時間、終了時間または移動している時間帯が同一である過去の移動に対する誤差または代表値を用いて、同様の処理を実行してもよい。
【0144】
(第7実施形態)
つぎに、第7実施形態に係る予測装置20について説明する。
【0145】
図21は、第7実施形態に係る予測装置20の構成を移動体22とともに示す図である。第7実施形態に係る予測装置20は、カテゴリテーブル記憶部82と、カテゴリ算出部84と、をさらに備える。
【0146】
カテゴリテーブル記憶部82は、カテゴリテーブルを記憶する。カテゴリテーブルは、カテゴリ値、および、カテゴリ値に対応するモデル入力値を格納する。カテゴリ値は、誤差が何れのカテゴリに属するかを表す値である。カテゴリ値に対応するモデル入力値は、誤差として、予測モデルに入力する値である。カテゴリ値と、モデル入力値は、同一の値であってもよい。
【0147】
カテゴリ算出部84は、誤差算出部42が新たな結果データを作成して誤差テーブルに格納した場合、誤差記憶部44から誤差テーブルを取得する。カテゴリ算出部84は、取得した誤差テーブルに含まれる複数の結果データのそれぞれについて、実測値に対する移動距離を表す移動効率を算出する。移動効率は、例えば、電費と呼ばれれ、km/kWh等の単位で表される。
【0148】
カテゴリ算出部84は、複数の結果データのそれぞれについての移動効率と誤差との関係に基づき、複数の結果データの移動効率と誤差との関係を表す近似曲線を生成する。近似曲線は、直線であってもよい。例えば、カテゴリ算出部84は、複数の結果データのそれぞれについて、移動効率をx、誤差をyとして対応点を生成する。そして、カテゴリ算出部84は、生成した複数の対応点に最も近似するように近似曲線を生成する。カテゴリ算出部84は、例えば、関数y=h(x)により表される近似曲線を生成する。
【0149】
また、カテゴリ算出部84は、移動効率をカテゴリに分類するための効率設定値を設定ファイルから読み出す。カテゴリ算出部84は、読み出した効率設定値を近似曲線に入力して、閾値θを算出する。例えば、カテゴリ算出部84は、近似曲線を表す関数y=h(x)のxに効率設定値を入力して、閾値θを算出する。
【0150】
また、カテゴリ算出部84は、誤差テーブルに含まれる過去の複数の移動のうちの直近の移動に対する誤差を取得し、算出した閾値θと、取得した誤差とを比較して、直近の移動に対する誤差が何れのカテゴリに含まれるかを判断する。そして、カテゴリ算出部84は、判断したカテゴリを表すカテゴリ値を算出する。これに代えて、カテゴリ算出部84は、誤差テーブルに含まれる過去の複数の移動に対する複数の誤差を取得し、複数の誤差が最も含まれるカテゴリを表すカテゴリ値、または、複数の誤差における統計的な代表値が含まれるカテゴリを表すカテゴリ値を算出してもよい。
【0151】
カテゴリ算出部84は、算出したカテゴリ値をカテゴリテーブルに格納する。
【0152】
第7実施形態に係る予測値算出部48は、予測値を算出する場合、カテゴリテーブル記憶部82からカテゴリテーブルを取得する。第7実施形態に係る予測値算出部48は、カテゴリテーブルにカテゴリ値が存在する場合、すなわち、過去の移動に対する誤差が存在する場合、カテゴリテーブルから、カテゴリ値に対応するモデル入力値を、誤差として取得する。そして、予測値算出部48は、取得したモデル入力値と、予測モデルとを用いて、予測対象の移動に対する予測値を算出する。
【0153】
一方、第7実施形態に係る予測値算出部48は、カテゴリテーブルにカテゴリ値が存在しない場合、すなわち、過去の移動に対する誤差が存在しない場合、モデル入力値を用いずに、予測モデルを用いて予測対象の移動に対する予測値を算出する。
【0154】
なお、カテゴリ算出部84は、第3~第6実施形態と同様に、操縦者、移動体22またはルート毎、または、操縦者、移動体22およびルートのうちの何れか2以上の情報を含むセット毎に、カテゴリ値を算出してもよい。そして、この場合、予測値算出部48は、第3~第6実施形態と同様に、操縦者、移動体22またはルートが同一である場合、または、操縦者、移動体22およびルートのうちの何れか2以上の情報を含むセットが同一である場合、操縦者、移動体22、ルートまたはセットが同一である過去の移動に対するカテゴリ値に対応するモデル入力値を用いて、予測値を算出する。また、予測装置20は、これらに限らず、他の情報が同一である過去の移動に対するカテゴリ値を用いて、同様の処理を実行してもよい。例えば、予測装置20は、移動の開始時間、終了時間または移動している時間帯が同一である過去の移動に対するカテゴリ値を用いて、同様の処理を実行してもよい。
【0155】
図22は、近似曲線の一例を示す図である。誤差は、移動効率と密接に関連する場合がある。例えば、図22に示すように、移動効率をx、誤差をyとした関数y=h(x)により近似できる場合がある。関数y=h(x)は、例えば、一次関数、二次関数、指数関数、対数関数および三角関数等の一般的な関数であってよい。予測装置20は、このような関数y=h(x)を用いて、移動効率の各カテゴリの範囲に対する、閾値の範囲を一義的に決定することができる。
【0156】
図23は、第7実施形態に係る予測装置20によるカテゴリ値を更新する処理の流れを示すフローチャートである。図24は、図23のS704において読み込まれる設定ファイルの一例を示す図である。図25は、図23のS705において決定される閾値θの一例を示す図である。
【0157】
予測装置20は、移動体22の移動が終了して結果データが誤差テーブルに格納された場合、図23に示す流れで誤差の更新処理を実行する。
【0158】
まず、S701において、カテゴリ算出部84は、誤差算出部42が新たな結果データを作成して誤差テーブルに格納した場合、誤差記憶部44から誤差テーブルを取得する。
【0159】
続いて、S702において、カテゴリ算出部84は、取得した誤差テーブルに含まれる複数の結果データのそれぞれについて、実測値に対する移動距離を表す移動効率を算出する。例えば、i番目(iは以上の整数)の結果データに含まれる実測値をy_i、移動距離をx_dis^(i)とした場合、カテゴリ算出部84は、下式により移動効率をγ_iを算出する。
γ_i=y_i/x_dis^(i)
【0160】
続いて、S703において、カテゴリ算出部84は、複数の結果データのそれぞれについての移動効率と誤差との関係に基づき、複数の結果データの移動効率と誤差との関係を表す近似曲線を生成する。例えば、カテゴリ算出部84は、複数の結果データのそれぞれについて、移動効率をx、誤差をyとして対応点を生成する。そして、カテゴリ算出部84は、生成した複数の対応点に最も近似するように、予め定められた関数の係数等をフィッティングして、近似曲線を表す関数y=h(x)を生成する。
【0161】
続いて、S704において、カテゴリ算出部84は、移動効率をカテゴリに分類するための効率設定値を、予め作成された設定ファイルから読み出す。設定ファイルは、例えば、設計者等により予め作成されている。例えば、設定ファイルは、図24に示すように、列に効率設定値およびカテゴリ値を格納した表データであってもよい。例えば、設定ファイルは、移動効率を、効率が悪い第1カテゴリと、効率が良い第2カテゴリとに分類する場合には、例えば、第1カテゴリの最大移動効率を、効率設定値として記憶する。なお、さらに多くのカテゴリに分類する場合には、設定ファイルは、各カテゴリの最大移動効率を表す2以上の効率設定値を記憶してもよい。
【0162】
続いて、S705において、カテゴリ算出部84は、読み出した効率設定値を近似曲線に入力して、閾値θを算出する。例えば、カテゴリ算出部84は、近似曲線を表す関数y=h(x)のxに効率設定値を入力して、閾値θを算出する。例えば、カテゴリ算出部84は、図25に示すような、列に閾値θおよびカテゴリ値を格納する表データにより閾値θを管理してもよい。なお、設定ファイルから複数の効率設定値を読み出した場合には、カテゴリ算出部84は、複数の効率設定値のそれぞれに対応する閾値θを算出する。
【0163】
続いて、S706において、カテゴリ算出部84は、算出した閾値θと、誤差テーブルに格納された1または複数の誤差とに基づき、カテゴリ値を算出する。なお、カテゴリ値の算出方法についは、図26および図27を参照して後述する。
【0164】
そして、S707において、カテゴリ算出部84は、算出したカテゴリ値をカテゴリテーブルに格納する。
【0165】
図26は、S706におけるカテゴリ値の算出処理の第1例を示す図である。
【0166】
誤差テーブルに過去の複数の移動についての複数の結果データが格納されている場合、カテゴリ算出部84は、例えば、過去の複数の移動のうち直近の移動に対する結果データに含まれる誤差を取得する。そして、カテゴリ算出部84は、算出した1または複数の閾値と、取得した誤差とを比較して、直近の移動に対する誤差が何れのカテゴリに含まれるかを判断してもよい。例えば、図26に示すように、第1カテゴリ、第2カテゴリおよび第3カテゴリの何れかに分類する場合であって、第1カテゴリと第2カテゴリとの境界を表す閾値θが、θ1であり、第2カテゴリと第3カテゴリとの境界を表す閾値が、θ2であるとする。この場合、カテゴリ算出部84は、誤差が、θ1とθ2との間であれば、第2カテゴリに含まれると判断する。
【0167】
図27は、S706におけるカテゴリ値の算出処理の第2例を示す図である。
【0168】
誤差テーブルに過去の複数の移動についての複数の結果データが格納されている場合、カテゴリ算出部84は、例えば、過去の複数の移動に対する複数の結果データに含まれる複数の誤差を取得する。そして、カテゴリ算出部84は、取得した複数の誤差のうち最も多くの誤差が含まれるカテゴリを表すカテゴリ値を算出してもよい。例えば、図27に示すように、第1カテゴリ、第2カテゴリおよび第3カテゴリの何れかに分類する場合であって、第1カテゴリに3個の誤差が含まれ、第2カテゴリに2個の誤差が含まれ、第1カテゴリに1個の誤差が含まれるとする。このような場合、カテゴリ算出部84は、誤差の個数の多数決を取り、誤差が第1カテゴリに含まれると判断する。
【0169】
また、カテゴリ算出部84は、取得した複数の誤差における統計的な代表値を算出し、算出した代表値が含まれるカテゴリを表すカテゴリ値を算出してもよい。例えば、カテゴリ算出部84は、複数の誤差の平均値、中央値、最大値、最小値、第一四分位、第三四分位または最頻値を代表値として算出してもよい。
【0170】
図28は、カテゴリ値と、モデル入力値との対応関係を示す図である。
【0171】
カテゴリテーブル記憶部82は、カテゴリ値、および、カテゴリ値に対応するモデル入力値を格納するカテゴリテーブルを記憶する。モデル入力値は、カテゴリ値を予測モデルに入力可能な数値に変換した値である。なお、モデル入力値は、例えば、複数のカテゴリに対応する個数のダミー変数を有してもよい。この場合、複数のダミー変数のそれぞれは、対応するカテゴリに属しているか否かを表す。例えば、複数のダミー変数は、誤差が属するカテゴリに対応するダミー変数が1とされ、他のダミー変数が0とされる。
【0172】
以上のように、第7実施形態に係る予測装置20は、過去の移動に対する誤差が1または複数の閾値で分類した複数のカテゴリのうち何れに含まれるかを表すカテゴリ値を算出する。そして、第7実施形態に係る予測装置20は、カテゴリ値と、予測モデルとを用いて、移動体22の予測対象の移動について消費電力量の予測値を算出する。このような予測装置20は、誤差が移動効率と密接に関連する場合において、誤差を反映した予測値を、簡易に精度良くすることができる。
【0173】
(第8実施形態)
つぎに、第8実施形態に係る予測装置20について説明する。
【0174】
第8実施形態に係る予測装置20は、第1実施形態と同一の構成を有する。ただし、第8実施形態に係る予測装置20は、第2予測モデルとして、下式に表されるような、誤差ならびに1または複数の要因値を入力変数群とし、消費電力量を目的変数とするモデルを記憶する。
m2:y_i=f(e,x_dis,x_up,x_fall,…)
【0175】
f()は、予測モデルを表す関数である。f()は、重回帰モデル、ニューラルネットワーク、深層学習または物理モデル等の一般的なモデルの形式であれば、どのようなモデルであってもよい。eは、誤差を表す。このような第2予測モデルにおける回帰係数等のパラメータは、例えば、誤差テーブルに格納される過去の複数の移動に対する結果データに含まれる、誤差、複数の要因値と、実測値とを学習データとして、最小二乗法等の一般的な学習手法により算出される。
【0176】
第8実施形態に係る予測装置20は、誤差ならびに1または複数の要因値を入力変数群とし、消費電力量を目的変数とする予測モデルを用いることにより、誤差を反映した予測値を精度良くすることができる。
【0177】
(第9実施形態)
つぎに、第9実施形態に係る予測装置20について説明する。
【0178】
図29は、予測装置20が表示デバイスに表示させる出力画像90の一例を示す図である。
【0179】
第9実施形態に係る予測装置20の出力部50は、図29に示すような出力画像90を表示デバイスにさせる。出力画像90は、誤差ログ画像92と、移動データログ画像94と、誤差画像96と、比較画像98とを含む。
【0180】
誤差ログ画像92は、誤差テーブルに格納されている複数の結果データに含まれる誤差をプロットしたグラフである。例えば、誤差ログ画像92は、横軸に日時、縦軸に誤差を示すグラフである。なお、誤差ログ画像92は、このようなグラフに限らず、例えば、横軸に、移動時間または移動距離等の他の要因を示すグラフであってもよい。予測装置20は、このような誤差ログ画像92を表示することにより、各要因に対する誤差の傾向を管理者または操縦者等に示すことができる。
【0181】
移動データログ画像94は、移動テーブルに格納されている例えば指定された移動における移動データを示す。例えば、移動データログ画像94は、指定された日時における移動データを示す。
【0182】
誤差画像96は、予測モデルに入力される誤差を表す画像である。複数の誤差の代表値を予測モデルに入力する場合には、誤差画像96は、代表値を表す画像であってもよい。
【0183】
比較画像98は、誤差と予測モデルとを用いて算出した場合の予測値と実測値との誤差と、誤差を用いずに算出した場合の予測値と実測値との誤差を示す画像である。予測装置20は、このような比較画像98を表示することにより、誤差を予測モデルに入力することにより、どの程度、予測値が改善されたのかを管理者または操縦者等に示すことができる。
【0184】
なお、第2実施形態から第8実施形態に係る予測装置20に備えられる出力部50も、同様の出力画像90を表示デバイスに表示させてもよい。また、第3実施形態から第6実施形態に係る出力部50は、操縦者、移動体22もしくはルート、または、これらのうちの2以上を含むセット毎の誤差について、出力画像90を表示させてもよい。また、第6実施形態に係る出力部50は、誤差にカテゴリ値を含む出力画像90を表示させてもよい。
【0185】
以上のような第9実施形態に係る予測装置20は、予測値の改善の度合いまたは傾向を管理者または操縦者等に示すことができる。
【0186】
(ハードウェア構成)
図30は、各実施形態に係る予測装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。予測装置20は、例えば図30に示すようなハードウェア構成のコンピュータにより実現される。予測装置20は、CPU(Central Processing Unit)301と、RAM(Random Access Memory)302と、ROM(Read Only Memory)303と、操作入力装置304と、表示装置305と、記憶装置306と、通信装置307とを備える。そして、これらの各部は、バスにより接続される。
【0187】
CPU301は、プログラムに従って演算処理および制御処理等を実行するプロセッサである。CPU301は、RAM302の所定領域を作業領域として、ROM303および記憶装置306等に記憶されたプログラムとの協働により各種処理を実行する。
【0188】
RAM302は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のメモリである。RAM302は、CPU301の作業領域として機能する。ROM303は、プログラムおよび各種情報を書き換え不可能に記憶するメモリである。
【0189】
操作入力装置304は、マウスおよびキーボード等の入力デバイスである。操作入力装置304は、ユーザから操作入力された情報を指示信号として受け付け、指示信号をCPU301に出力する。
【0190】
表示装置305は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスである。表示装置305は、CPU301からの表示信号に基づいて、各種情報を表示する。
【0191】
記憶装置306は、フラッシュメモリ等の半導体による記憶媒体、または、磁気的若しくは光学的に記録可能な記憶媒体等にデータを書き込みおよび読み出しをする装置である。記憶装置306は、CPU301からの制御に応じて、記憶媒体にデータの書き込みおよび読み出しをする。通信装置307は、CPU301からの制御に応じて外部の機器とネットワークを介して通信する。
【0192】
コンピュータで実行されるプログラムは、収集モジュールと、移動データ作成モジュールと、評価データ作成モジュールと、誤差算出モジュールと、取得モジュールと、予測値算出モジュールと、出力モジュールとを含むモジュール構成となっている。さらに、プログラムは、代表値算出モジュール、操縦者別登録モジュール、移動体別登録モジュール、ルート別登録モジュール、ルート別登録モジュールおよびカテゴリ算出モジュールの少なくとも1つをさらに含む構成であってもよい。
【0193】
このプログラムは、CPU301(プロセッサ)によりRAM302上に展開して実行されることにより、コンピュータを収集部32、移動データ作成部34、評価データ作成部38、誤差算出部42、取得部46、予測値算出部48、出力部50として機能させる。また、このプログラムは、代表値算出部62、操縦者別登録部68、移動体別登録部72、ルート別登録部76、セット別登録部80およびカテゴリ算出部84の少なくとも1つとして、さらに機能させてもよい。なお、収集部32、移動データ作成部34、評価データ作成部38、誤差算出部42、取得部46、予測値算出部48、出力部50、代表値算出部62、操縦者別登録部68、移動体別登録部72、ルート別登録部76、セット別登録部80およびカテゴリ算出部84の一部または全部がハードウェア回路で実現されてもよい。また、RAM302および記憶装置306は、移動履歴記憶部36、モデル記憶部40および誤差記憶部44として機能する。また、RAM302および記憶装置306は、代表値記憶部64、操縦者テーブル記憶部66、移動体テーブル記憶部70、ルートテーブル記憶部74、セットテーブル記憶部78およびカテゴリテーブル記憶部82の少なくとも1つとしてさらに機能してもよい。
【0194】
また、コンピュータで実行されるプログラムは、コンピュータにインストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、CD-ROM、フレキシブルディスク、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0195】
また、このプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、このプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、予測装置20で実行されるプログラムを、ROM303等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0196】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0197】
20 予測装置
22 移動体
32 収集部
34 移動データ作成部
36 移動履歴記憶部
38 評価データ作成部
40 モデル記憶部
42 誤差算出部
44 誤差記憶部
46 取得部
48 予測値算出部
50 出力部
62 代表値算出部
64 代表値記憶部
66 操縦者テーブル記憶部
68 操縦者別登録部
70 移動体テーブル記憶部
72 移動体別登録部
74 ルートテーブル記憶部
76 ルート別登録部
78 セットテーブル記憶部
80 セット別登録部
82 カテゴリテーブル記憶部
84 カテゴリ算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
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図30