(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035683
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】タイヤセンサ及びタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 23/04 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
B60C23/04 110A
B60C23/04 110E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142712
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】山口 滋
(57)【要約】
【課題】耐久性を向上させたタイヤセンサ、及び、タイヤ、を提供する。
【解決手段】本開示に係るタイヤセンサは、タイヤ内面に取り付け可能なタイヤセンサであって、タイヤ情報を検出可能な検出部を含む電子回路を備えるセンサ本体と、前記センサ本体の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆体と、を備え、前記被覆体は、前記タイヤ内面に取り付け可能な取り付け面と、前記取り付け面の外縁から立ち上がる側面と、を備え、前記被覆体の前記側面には、前記取り付け面と直交するセンサ高さ方向で、前記取り付け面からセンサ最大高さの1/4の高さ位置までの間に、凹部が形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ内面に取り付け可能なタイヤセンサであって、
タイヤ情報を検出可能な検出部を含む電子回路を備えるセンサ本体と、
前記センサ本体の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆体と、を備え、
前記被覆体は、
前記タイヤ内面に取り付け可能な取り付け面と、
前記取り付け面の外縁から立ち上がる側面と、を備え、
前記被覆体の前記側面には、前記取り付け面と直交するセンサ高さ方向で、前記取り付け面からセンサ最大高さの1/4の高さ位置までの間に、凹部が形成されている、タイヤセンサ。
【請求項2】
前記センサ本体は回路基板を備え、
前記被覆体の前記側面の前記凹部は、前記センサ高さ方向において、前記取り付け面と、前記センサ本体の前記回路基板と、の間に位置する、請求項1に記載のタイヤセンサ。
【請求項3】
前記センサ高さ方向に沿って見た平面視で、前記被覆体の前記側面の前記凹部の位置は、前記回路基板の外縁より外側である、請求項2に記載のタイヤセンサ。
【請求項4】
前記センサ本体は、
前記電子回路を構成する回路部材と、
前記回路部材を支持する筐体と、を備え、
前記回路部材は、前記回路基板を備え、
前記筐体は、前記平面視で前記回路基板の周囲を取り囲む筒部を備え、
前記平面視で、前記被覆体の前記側面の前記凹部の位置は、前記筐体の前記筒部の外側と内側とに跨っている、請求項3に記載のタイヤセンサ。
【請求項5】
前記センサ高さ方向において前記凹部に対して前記取り付け面側での、前記側面の最大幅は、前記センサ高さ方向において前記凹部に対して前記回路基板側での、前記側面の最大幅に対して、0.8倍~1.2倍である、請求項2から4のいずれか1つに記載のタイヤセンサ。
【請求項6】
前記被覆体の前記側面の前記凹部は、前記側面の周方向全域に亘って延在する環状溝である、請求項1から5のいずれか1つに記載のタイヤセンサ。
【請求項7】
前記被覆体は、前記センサ高さ方向に沿って見た平面視で、前記センサ本体の周囲を覆う、エラストマー製の環状被覆部を備え、
前記被覆体の前記側面は、前記環状被覆部の外面により構成されている、請求項1から6のいずれか1つに記載のタイヤセンサ。
【請求項8】
前記被覆体は、前記センサ本体の前記センサ高さ方向の一方側を覆う、エラストマー製の台座部を備え、
前記台座部は、前記センサ本体と対向する対向面と、前記対向面と反対側に位置する前記取り付け面と、を備え、
前記センサ本体の前記検出部は、前記被覆体の前記台座部を介して、前記タイヤ情報としてのタイヤのひずみ情報を検出する、ひずみ検出部である、請求項1から7のいずれか1つに記載のタイヤセンサ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載のタイヤセンサを備えるタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はタイヤセンサ及びタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タイヤ内の温度や圧力を検出する目的で、タイヤ内面にタイヤセンサを取り付ける技術が知られている。特許文献1には、この種のタイヤセンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タイヤは、走行時に路面との接触によって変形を繰り返す。そのため、タイヤ内面に取り付けられるタイヤセンサは、上述のタイヤの繰り返し変形によっても離脱しない耐久性(以下、「タイヤセンサの耐久性」と記載する。)が求められる。特許文献1に記載のタイヤセンサでは、ゴム台座に設けられた溝により、タイヤセンサの耐久性が高められている。しかしながら、特許文献1に記載のタイヤセンサにおいても、タイヤセンサの耐久性に関して、依然として改善の余地がある。
【0005】
本開示は、耐久性を向上させたタイヤセンサ、及び、タイヤ、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様としてのタイヤセンサは、タイヤ内面に取り付け可能なタイヤセンサであって、タイヤ情報を検出可能な検出部を含む電子回路を備えるセンサ本体と、前記センサ本体の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆体と、を備え、前記被覆体は、前記タイヤ内面に取り付け可能な取り付け面と、前記取り付け面の外縁から立ち上がる側面と、を備え、前記被覆体の前記側面には、前記取り付け面と直交するセンサ高さ方向で、前記取り付け面からセンサ最大高さの1/4の高さ位置までの間に、凹部が形成されている。
この構成によれば、タイヤセンサの耐久性を向上させることができる。
【0007】
本開示の1つの実施形態として、前記センサ本体は回路基板を備え、前記被覆体の前記側面の前記凹部は、前記センサ高さ方向において、前記取り付け面と、前記センサ本体の前記回路基板と、の間に位置する。
この構成によれば、タイヤセンサの耐久性を向上させることができる。
【0008】
本開示の1つの実施形態として、前記センサ高さ方向に沿って見た平面視で、前記被覆体の前記側面の前記凹部の位置は、前記回路基板の外縁より外側である。
この構成によれば、タイヤセンサの耐久性を向上させることができる。
【0009】
本開示の1つの実施形態として、前記センサ本体は、前記電子回路を構成する回路部材と、前記回路部材を支持する筐体と、を備え、前記回路部材は、前記回路基板を備え、前記筐体は、前記平面視で前記回路基板の周囲を取り囲む筒部を備え、前記平面視で、前記被覆体の前記側面の前記凹部の位置は、前記筐体の前記筒部の外側と内側とに跨っている。
この構成によれば、タイヤセンサの耐久性を向上させることができる。
【0010】
本開示の1つの実施形態として、前記センサ高さ方向において前記凹部に対して前記取り付け面側での、前記側面の最大幅は、前記センサ高さ方向において前記凹部に対して前記回路基板側での、前記側面の最大幅に対して、0.8倍~1.2倍である。
この構成によれば、タイヤセンサの耐久性を、より向上させつつ、タイヤセンサの重量増加を抑制できる。
【0011】
本開示の1つの実施形態として、前記被覆体の前記側面の前記凹部は、前記側面の周方向全域に亘って延在する環状溝である。
この構成によれば、タイヤセンサの周方向での異方性を無くし、かつ、被覆体の凹部によるストレス吸収能力を高めることができる。
【0012】
本開示の1つの実施形態として、前記被覆体は、前記センサ高さ方向に沿って見た平面視で、前記センサ本体の周囲を覆う、エラストマー製の環状被覆部を備え、前記被覆体の前記側面は、前記環状被覆部の外面により構成されている。
この構成によれば、凹部による被覆体のストレス吸収能力を、より高めることができる。
【0013】
本開示の1つの実施形態として、前記被覆体は、前記センサ本体の前記センサ高さ方向の一方側を覆う、エラストマー製の台座部を備え、前記台座部は、前記センサ本体と対向する対向面と、前記対向面と反対側に位置する前記取り付け面と、を備え、前記センサ本体の前記検出部は、前記被覆体の前記台座部を介して、前記タイヤ情報としてのタイヤのひずみ情報を検出する、ひずみ検出部である。
この構成によれば、タイヤセンサのタイヤ内面への接着作業に起因して、タイヤセンサによるタイヤのひずみ検出精度に個体差が生じることを、抑制できる。
【0014】
本開示の第2の態様としてのタイヤは、上記タイヤセンサを備える。
この構成によれば、タイヤセンサの耐久性を向上させたタイヤを実現できる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、耐久性を向上させたタイヤセンサ、及び、タイヤ、を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の一実施形態としてのタイヤセンサを備える、本開示の一実施形態としてのタイヤ、のタイヤ幅方向断面図である。
【
図2】
図1に示すタイヤセンサを、タイヤの内側空間側から見た図である。
【
図3】タイヤセンサのセンサ高さ方向に沿う断面での断面図である。
【
図4】
図3の一部を拡大して示す拡大断面図である。
【
図5】
図1に示すタイヤの変形に伴う、
図1に示すタイヤセンサの変形を示す図である。
【
図6】
図4に示すひずみ検出部の検出本体部の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示に係るタイヤセンサ及びタイヤの実施形態について図面を参照して例示説明する。各図において同一の構成には同一の符号を付している。
【0018】
図1は、本開示に係るタイヤの一実施形態としての空気入りタイヤ10(以下、「タイヤ10」と記載する。)についてのタイヤ幅方向断面図である。
図1では、タイヤ10がリム15に組み付けられている状態を示している。タイヤ10の内側空間10aには、空気などの気体が充填されている。
図1に示すように、タイヤ10は、本開示に係るタイヤセンサの一実施形態としてのタイヤセンサ1を備える。
図2は、
図1に示すタイヤセンサ1を、タイヤ10の内側空間10a側から見た図である。ここで、「タイヤ幅方向断面」とは、タイヤ10の中心軸線を含む位置でのタイヤ幅方向Aに平行な断面を意味する。
図1は、タイヤ周方向Bにおいてタイヤセンサ1が配置されている位置を通過する、タイヤ10のタイヤ幅方向断面図である。
【0019】
本明細書において、「リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyreand Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association, Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指すが、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。「リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含まれる。「将来的に記載されるサイズ」の例として、ETRTOのSTANDARDS MANUAL 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズが挙げられる。
【0020】
図1、
図2に示すように、タイヤセンサ1は、タイヤ内面に、接着剤により、固定されている。本実施形態のタイヤセンサ1は、タイヤ10の路面200(
図5参照)と接するトレッド11の裏側である、タイヤ内面としてのタイヤ内周面11a、に取り付けられている。また、タイヤセンサ1は、タイヤ内周面11aのタイヤ幅方向Aの中央部に取り付けられている。より具体的に、タイヤセンサ1は、タイヤ内周面11aのうち、タイヤ赤道面CLと交差する位置に取り付けられている。
【0021】
本明細書において、「トレッド内周面」とは、リムに組み付けるとともに規定内圧を充填したタイヤを、最大負荷荷重を負荷した状態(以下、「最大負荷状態」ともいう。)で転動させた際に、路面と接触することになる、タイヤの全周に亘るタイヤ外周面に対して、裏側に位置する内面を意味する。
【0022】
本明細書において、上述の「規定内圧」とは、上記のJATMA YEAR BOOK等の産業規格に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいい、上記の産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。また、本明細書において、「最大負荷荷重」とは、上記の産業規格に記載されている適用サイズのタイヤにおける最大負荷能力に対応する荷重をいい、上記の産業規格に記載のないサイズの場合には、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する荷重をいうものとする。
【0023】
タイヤセンサ1が取り付けられるタイヤ10の種類は、特に限定されない。タイヤ10は、例えば、主に通常の舗装路(一般道及び高速道)を走行する乗用自動車、トラック、バスなどの自動車、航空機等のタイヤが挙げられる。
【0024】
また、タイヤセンサ1の種類は特に限定されない。タイヤセンサ1は、例えば、タイヤ情報としてのタイヤ10のひずみを検出可能なひずみセンサであってよい。また、タイヤセンサ1は、例えば、タイヤ情報としての、タイヤ10の内側空間10aの温度、を検出可能な温度センサであってよい。更に、タイヤセンサ1は、例えば、タイヤ情報としての、タイヤ10の内側空間10aの圧力、を検出可能な圧力センサであってよい。また、タイヤセンサ1は、例えば、タイヤ10のひずみ、タイヤ10の内側空間10aの温度、及び、タイヤ10の内側空間10aの圧力、の2つ以上を検出可能な複合センサであってよい。また、タイヤセンサ1は、例えば加速度など、上記例示するタイヤ情報以外のタイヤ情報を検出可能な構成であってもよい。
【0025】
タイヤセンサ1は、検出したタイヤ情報を、例えば車両に設けられた車載装置などの外部装置に送信可能に構成されている。タイヤセンサ1から無線により送信された各種のタイヤ情報の信号は、例えば、車載装置の無線回路により受信されてよい。受信されたタイヤ情報、このタイヤ情報に基づき得られるタイヤの状態を示す情報などは、車内に設けられた表示器に表示されてよい。但し、タイヤセンサ1が検出したタイヤ情報の使用用途、表示方法等は特に限定されない。
【0026】
図3は、タイヤセンサ1の断面図である。
図4は、
図3の一部を拡大して示す拡大断面図である。
図3、
図4に示すように、タイヤセンサ1は、センサ本体2と、被覆体3と、を備える。
【0027】
センサ本体2は、タイヤ情報を検出可能な検出部61を含む電子回路を備える。より具体的に、本実施形態のセンサ本体2は、回路部材21と、筐体22と、電源23と、を備える。
【0028】
回路部材21は、検出部61を含む電子回路を構成している。回路部材21は、例えば、センサモジュールであってよい。つまり、回路部材21は、検出部61を含む電子回路を構成する複数の電子部品を備える。詳細は後述するが、本実施形態の回路部材21は、電子部品としての回路基板60、80を備えている。
【0029】
筐体22は、回路部材21を支持している。筐体22は絶縁体から構成されている。筐体22は、樹脂材料から構成されることが好ましい。筐体22を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリフタルアミドなどのナイロン系の樹脂材料が挙げられる。
【0030】
電源23は、回路部材21が構成する電子回路に電力を供給する。電源23は、例えば電池である。
【0031】
被覆体3は、センサ本体2の周囲の少なくとも一部を被覆する。また、被覆体3は、タイヤ内面に取り付け可能な取り付け面3aと、この取り付け面3aの外縁から立ち上がる側面3bと、を備える。
【0032】
図1及び
図3に示すように、被覆体3の側面3bには、凹部3b1が形成されている。
図5は、タイヤ10の変形に伴うタイヤセンサ1の変形を示す図である。
図5に示すように、被覆体3の側面3bに凹部3b1が形成されていることにより、走行時に路面200との接触によって繰り返されるタイヤ変形によってタイヤセンサ1に作用するストレスを、凹部3b1により吸収することができる。そのため、上述のタイヤ変形によって、取り付け面3aがタイヤ内面から剥離してタイヤセンサ1全体がタイヤ内面から離脱すること、及び、被覆体3が破損することによりタイヤセンサ1の一部が遊離してタイヤ内面から離脱すること、を抑制できる。つまり、被覆体3の側面3bに凹部3b1を設けることで、走行時に繰り返されるタイヤ変形によってもタイヤ内面から離脱し難いタイヤセンサ1を実現できる。
【0033】
また、凹部3b1は、取り付け面3aと直交するセンサ高さ方向Dで、取り付け面3aからセンサ最大高さHmaxの1/4の高さ位置までの間に、形成されている。つまり、凹部3b1は、センサ高さ方向Dにおいて、取り付け面3aの近くに形成されている。そのため、タイヤ変形によって取り付け面3a近傍に作用する、タイヤセンサ1をタイヤ内面から剥離させようとする力(以下、「剥離力」と記載する。)は、凹部3b1により吸収され易くなる。これにより、タイヤセンサ1のタイヤ内面からの離脱を、より抑制できる。凹部3b1は、取り付け面3aと直交するセンサ高さ方向Dで、取り付け面3aからセンサ最大高さHmaxの1/5の高さ位置までの間に、形成されていることがより好ましい。なお、本実施形態のセンサ高さ方向Dは、本実施形態のようにタイヤセンサ1がタイヤ内周面11aに取り付けられている状態では、タイヤ径方向Cと同じ方向である。
【0034】
このように、被覆体3の側面3bの上述の高さ位置に凹部3b1が設けられることにより、タイヤセンサ1の耐久性を高めることができる。
【0035】
以下、
図1~
図7を参照して、本実施形態のタイヤセンサ1の更なる詳細について説明する。
図6は、センサ本体2のひずみ検出部62の検出本体部62bの詳細を示す図である。
図7は、センサ本体2の筐体22単体の側面図である。
【0036】
<センサ本体2の筐体22>
図7等に示すように、本実施形態の筐体22は、円形の底部31と、この底部31の外周縁から立ち上がる円筒状の筒部32とを備える。換言すれば、本実施形態の筐体22は、一方側のみが開口する有底円筒状に構成されている。本実施形態の底部31と筒部32は、回路部材21の少なくとも一部を収容するための収容空間Sを区画している。本実施形態では、収容空間Sを区画する筒部32の内周面32aは、直径が一定の円筒面とされている。また、本実施形態では、底部31の内底面31aは、筒部32の内周面32aの中心軸Oと直交する平面とされている。底部31の内底面31a、及び、筒部32の内周面32a、には収容空間Sに回路部材21が収容されたときに、回路部材21を支持するための突起等の係止部が設けられてよい。筐体22は、例えば、タイヤセンサ1の軽量化及び強度の観点から、合成樹脂により構成されている。筐体22を構成する材料は、タイヤセンサ1の軽量化及び強度の観点から、適宜変更可能である。但し、本実施形態の筐体22は、少なくとも被覆体3より剛性が高い構成とされている。
【0037】
本実施形態の筐体22は、筒部32の中心軸Oに平行な軸方向がタイヤセンサ1のセンサ高さ方向Dに略一致するように、配置されている。したがって、本実施形態では、タイヤセンサ1のセンサ高さ方向Dに直交するセンサ幅方向Eは、筒部32の径方向である。また、本実施形態において、タイヤセンサ1をセンサ高さ方向Dに沿って見た平面視(
図2参照)において、タイヤセンサ1の外縁に沿うセンサ周方向Fは、筒部32の周方向である。
【0038】
筒部32の外周面32bには、筒部32の軸方向に沿って凹凸が連続する複数の環状凸部33が形成される。環状凸部33は、筒部32の底部31側に設けられ、軸方向に所定の間隔で複数(本実施形態では3本)形成されている。各環状凸部33は、筒部32の周方向全域に亘って無端状に連なっている。但し、環状凸部33は、筒部32の周方向に断続的に設けられていてもよい。
【0039】
図3、
図7に示すように、底部31の外底面31bは、この外底面31bの外周縁側よりも中央側が筒部32の軸方向で外側に向かって膨出する、凸面により構成されている。より具体的に、本実施形態の外底面31bは、球面状の湾曲面により構成されている。但し、外底面31bの形状は特に限定されない。外底面31bは、例えば、錐状、錐台状、他の曲面状など、であってもよい。また、外底面31bは、例えば、軸方向に直交する平面状であってもよい。
図1に示すように、底部31の外底面31bは、タイヤセンサ1がタイヤ10のタイヤ内周面11aに取り付けられている状態で、タイヤ10のタイヤ内周面11aと対向する面である。
【0040】
底部31の外底面31bは、回路部材21の検出部61としてのひずみ検出部62を取り付ける取付部34を備える。また、底部31には、外底面31bから内底面31aへと貫通する貫通孔35が形成されている。更に、底部31は、外底面31bから突出する複数の凸部36及び複数の支持部37を備える。
【0041】
取付部34は、外底面31bにおいて筒部32の中心軸Oが通る位置に設けられている凹部により構成されている。取付部34としての凹部の底面は、例えば、筒部32の軸方向に直交する平面とされている。
図4に示すように、取付部34には、検出部61としてのひずみ検出部62を取り付けるための土台となるベース部材38が配置されている。
【0042】
ベース部材38は、例えば、外底面31bの取付部34の形状に合致し、一部が埋設される平板部材により構成されている。ベース部材38は、例えば、取付部34に接着剤などにより固定される。ベース部材38が取付部34に固定された状態において、ベース部材38のひずみ検出部62が取り付けられる検出部取付面38aは、取付部34としての凹部の外側に露出している。これによりベース部材38の検出部取付面38aにひずみ検出部62を取り付けたときに、ひずみ検出部62が外底面31bから突出するように露出することになる。このようにすることで、タイヤ10の回転に伴うタイヤ10のひずみを、精度良く検出することができる。ベース部材38は、ゴムなどのエラストマーにより構成されている。本実施形態では、ショアA硬さが50程度のシリコンゴムを用いているが、ベース部材38の厚み、硬さ、材料などは、ひずみを精度よく検出できるように、適宜変更されてよい。
【0043】
図4に示すように、貫通孔35は、取付部34に連なるように配置されている。貫通孔35は、筐体22の内底面31aから外底面31bまで、筒部32の軸方向に沿って延在している。貫通孔35には、ひずみ検出部62と、電子回路を構成する他の電子部品と、を接続する配線88が挿通されている。
【0044】
図7に示すように、凸部36及び支持部37は、底部31の外底面31bにおいて、上述の取付部34及び貫通孔35の位置とは異なる位置に配置されている。凸部36が配置されている位置は、特に限定されない。
【0045】
本実施形態の凸部36は円柱状であるが、この形状に限定されない。凸部36は、例えば、多角柱状、錘状、錐台状などであってもよい。また、外底面31bには、凸部36に代えて又は加えて、例えば複数の凹部が形成されていてもよい。このような凸部36又は凹部を備えることで、被覆体3との固定強度を高めることができる。
【0046】
また、各支持部37は、筐体22にひずみ検出部62を取り付けたときに、ひずみ検出部62の表面よりも先端が突出するように延長する長さが設定される。これにより、例えばタイヤ10の遠心力等により、ひずみ検出部62とタイヤ内面との間のギャップが過度に狭くなることを抑制できる。
【0047】
<センサ本体2の回路部材21>
図3に示すように、本実施形態の回路部材21は、電子部品が実装、或いは接続された2つの回路基板60、80を備える。回路基板60、80は、上述の筐体22が区画する収容空間Sに収容されている。
図3に示すように、回路基板60、80は、検出部61としてのひずみ検出部62と共に、電子回路を構成している。
【0048】
また、本実施形態の回路部材21は、ひずみ検出部62以外に、複数の検出部61を備える。具体的に、本実施形態の回路部材21は、タイヤ10の内側空間10aの温度を検出する温度検出部81を備える。更に、本実施形態の回路部材21は、タイヤ10の内側空間10aの圧力を検出する圧力検出部82を備える。したがって、本実施形態の回路基板60、80は、ひずみ検出部62、温度検出部81及び圧力検出部82と共に電子回路を構成している。ひずみ検出部62、温度検出部81及び圧力検出部82それぞれは、回路基板60、80に実装又は接続される各種の電子部品により構成されてよい。なお、回路部材21は、上述の各種検出部61の一部のみを備える構成であってもよい。また、回路部材21は、上述の各種検出部61に加えて又は代えて、例えば加速度検出部など、別の検出部61を備えてもよい。
【0049】
本実施形態の2つの回路基板60、80は、センサ高さ方向Dで互いに対向するように配置されている。また、回路基板80は、センサ高さ方向Dにおいて、回路基板60より取り付け面3aから離れた位置に配置されている。以下、説明の便宜上、取り付け面3aに近い側に配置される回路基板60を「第1回路基板60」と記載し、取り付け面3aから遠い側に配置される回路基板80を「第2回路基板80」と記載する。本実施形態の第1回路基板60及び第2回路基板80は、例えば連結ピン等の接続部78により電気的に接続されており、一体の電子回路を構成している。
【0050】
本実施形態において、温度検出部81及び圧力検出部82は、第2回路基板80に実装されている。また、後述する制御部70及び通信部67についても、第2回路基板80に実装されている。通信部67が第2回路基板80に実装される構成とすることで、通信部67が第2回路基板80とタイヤ内面との間に配置される第1回路基板60に実装される構成と比較して、通信部67から送信される電波が阻害され難くなる。これにより、タイヤセンサ1の通信性を高めることができる。
【0051】
また、本実施形態において、ひずみ検出部62は、配線88を介して第1回路基板60に接続されている。本実施形態のように、ひずみ検出部62は、タイヤセンサ1がタイヤ内面に取り付けられている状態(
図1参照)で、第2回路基板80と比較してタイヤ内面に近い位置に配置される第1回路基板60に接続されることが好ましい。このようにすることで、配線88の距離を短くでき、回路構成を簡素化できる。
【0052】
上述したように、本実施形態において、温度検出部81及び圧力検出部82は、第2回路基板80に実装されているが、第2回路基板80に配線を介して接続されていてもよい。更に、温度検出部81及び圧力検出部82は、第1回路基板60に実装又は接続される構成であってもよい。つまり、第1回路基板60に実装又は接続される検出部61を「第1検出部」とし、第2回路基板80に実装又は接続される検出部61を「第2検出部」とした場合に、温度検出部81及び圧力検出部82は、第1検出部であってもよく、第2検出部であってもよい。
【0053】
また、本実施形態の回路部材21は、上述の各種検出部61が検出したタイヤ情報を処理する制御部70を備える。また、本実施形態の制御部70は、温度検出部81、圧力検出部82及びひずみ検出部62の動作を制御する。更に、本実施形態の制御部70は通信部67の動作を制御する。本実施形態の制御部70は、上述したように、第2回路基板80に実装されているが、第1回路基板60に実装されていてもよい。
【0054】
制御部70は、例えば、いわゆるコンピュータとして機能するワンチップIC等として構成される。具体的に、本実施形態の制御部70は、1つ以上のプロセッサ、メモリ等を備える。
【0055】
1つ以上のプロセッサは、各種検出部61による検出処理に特化した専用プロセッサにより実現されてよい。また、1つ以上のプロセッサは、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサにより実現されてもよい。
【0056】
メモリは、例えばRAM(Random Access Memory)又はROM(Read-Only Memory)により実現される。メモリには、例えば、第2回路基板80に設定される固有の識別番号や、温度検出部81、圧力検出部82及びひずみ検出部62の動作を制御するためのプログラム、通信部67を動作させるためのプログラム、通信部67が外部から信号を受信した際の処理を実行するためのプログラム、第1回路基板60を制御するためのプログラム、等が記憶される。また、メモリには、温度検出部81、圧力検出部82及びひずみ検出部62により検出されたタイヤ情報が記憶される。
【0057】
更に、本実施形態の回路部材21は通信部67を備える。通信部67は、各種検出部61が検出したタイヤ情報、又は、このタイヤ情報に基づき制御部70により処理された二次情報を、外部装置に送信可能である。より具体的に、本実施形態の通信部67は、制御部70から入力された情報を、車載装置などの外部装置に送信可能である。通信部67から無線により送信された各種のタイヤ情報又は二次情報温度の信号は、例えば、車載装置の無線回路により受信され、車内に設けられた表示器に、温度、圧力、タイヤ10の異常の有無など、タイヤ10の状態に関する情報が表示される。また、本実施形態の通信部67は、外部から情報を受信し、受信した情報を制御部70に出力可能である。
【0058】
通信部67は、例えば、送信回路、送信アンテナ、受信回路及び受信アンテナにより構成されてよい。
【0059】
なお、上述した、温度検出部81、圧力検出部82、制御部70の制御回路、及び、通信部67の送受信回路は、例えば、一つのチップに機能が集約されたセンサユニットとして一体化されてよい。かかる場合には、このセンサユニットが、第1回路基板60又は第2回路基板80に実装される。また、通信部67の送受信アンテナを、アンテナユニットとして、センサユニットとは別体として設けてもよい。かかる場合には、このアンテナユニットが、第1回路基板60又は第2回路基板80に実装される。
【0060】
また、上述したように、本実施形態のひずみ検出部62は、配線88を介して、第1回路基板60と接続されている。より具体的には、
図4に示すように、本実施形態のひずみ検出部62は、感応片62aと、検出本体部62bと、を備える。感応片62aは、例えば、弾性を有する金属製の薄板からなる。また、本実施形態の感応片62aは、ベース部材38の検出部取付面38a上に配置される。更に、本実施形態の感応片62aは、ベース部材38の検出部取付面38a上に配置される部分から貫通孔35内に延設されている。この延設されている部分は、収容空間S内まで延在しており、筐体22に係止されている。このようにして、本実施形態のひずみ検出部62は、筐体22に支持されている。
【0061】
検出本体部62bは、感応片62aのベース部材38側とは反対側の表面(
図4では感応片62aの下側の面)に取り付けられている。検出本体部62bは、タイヤ10の回転に伴う感応片62aの変形を介してタイヤ10の踏み込み時や蹴り出し時に生じるタイヤ10のひずみを検出する。検出本体部62bが、感応片62aのベース部材38側とは反対側の表面(
図4では感応片62aの下側の面)に取り付けられていることで、検出本体部62bが感応片62aのベース部材38側の表面(
図4では感応片62aの上側の面)に取り付けられる構成と比較して、検出本体部62bによる測定精度が向上する。但し、検出本体部62bは、感応片62aのベース部材38側の表面(
図4では感応片62aの上側の面)に取り付けられていてもよい。このような構成とすることで、検出本体部62bが感応片62aのベース部材38側とは反対側の表面(
図4では感応片62aの下側の面)に取り付けられる構成と比較して、検出本体部62bの耐久性を向上させることができる。
【0062】
図6に示すように、検出本体部62bは、例えば、ひずみゲージ63、ブリッジ回路64、ストレインアンプ65等を備える。ひずみゲージ63は、ブリッジ回路64の一部を構成する。ブリッジ回路64には、例えば、ストレインアンプ65から電圧が印加され、ひずみゲージ63がひずみを検出したときの抵抗値の変化に伴う電圧値の差分を信号としてストレインアンプ65に出力する。
【0063】
ストレインアンプ65は、信号増幅回路65a、A/D変換器65b、電力供給部65c等を備える。信号増幅回路65aは、ブリッジ回路64から入力される信号を増幅する。A/D変換器65bは、信号増幅回路65aにより増幅された信号をデジタル信号に変換して第1回路基板60に出力する。つまり、ストレインアンプ65によって、ひずみゲージ63により検出されたひずみ量に応じた電圧値が第1回路基板60にデジタル信号として出力される。
【0064】
ひずみ検出部62の検出本体部62bは、例えば、ひずみゲージ63、ブリッジ回路64及びストレインアンプ65の機能を一つのチップに集積し、矩形状の所謂ピエゾ抵抗式半導体として構成されたセンサチップを用いてよい。このセンサチップは、例えば、計測面が規定され、この計測面を感応片62aの表面に対向させて取り付ければよい。
【0065】
<センサ本体2の電源23>
本実施形態の電源23は電池である。より具体的に、本実施形態の電源23は、円盤状のボタン電池により構成される。但し、電源23の構成は特に限定されない。回路部材21の電子回路は、電源23からの電力供給を受けて動作する。より具体的に、本実施形態の電源23は、第1回路基板60に接続されている。本実施形形態の電源23は、第1回路基板60に直接的に給電する。第2回路基板80は、第1回路基板60を介して、電源23から間接的に給電される。但し、電源23としての電池は、第2回路基板80に接続されていてもよい。
【0066】
<被覆体3>
図3に示すように、被覆体3は、センサ本体2の周囲の少なくとも一部を被覆している。具体的に、本実施形態の被覆体3は、センサ本体2の周囲の略全域を覆っている。より具体的には、本実施形態の被覆体3には、温度検出部81及び圧力検出部82による温度検出及び圧力検出を実現するため、連通孔が形成されている。本実施形態の被覆体3は、この連通孔以外の位置で、センサ本体2の周囲全域を覆っている。
【0067】
本実施形態の被覆体3は、ポリエステル樹脂により構成されているが、被覆体3の材料は特に限定されない。被覆体3は、タイヤ10の変形への追従性を考慮して、エラストマー製とされることが好ましい。
【0068】
また、上述したように、被覆体3は、センサ高さ方向Dの所定位置に凹部3b1が形成されている側面3bを備える。
図3に示すように、本実施形態の凹部3b1は、センサ高さ方向Dにおいて、取り付け面3aと、第2回路基板80と、の間に位置する。更に、本実施形態の凹部3b1は、センサ高さ方向Dにおいて、取り付け面3aと、複数(本実施形態では2つ)の回路基板のうち取り付け面3aの最も近くに配置されている第1回路基板60と、の間に位置する。このようにすることで、凹部3b1は、センサ高さ方向Dにおいて、取り付け面3aの近くに配置され易い。そのため、被覆体3において、センサ高さ方向Dにおける取り付け面3aと凹部3b1との間の厚みが小さくなり易い。換言すれば、凹部3b1が、タイヤ内面の近くに配置され易くなる。凹部3b1がタイヤ内面の近くに配置されることで、タイヤ変形による被覆体3のストレスは、凹部3b1により吸収され易くなる。
【0069】
また、上述したように、本実施形態のセンサ本体2は、検出部61としてのひずみ検出部62を備える。ひずみ検出部62は、測定精度向上の観点で、タイヤ内面の近くに配置されることが好ましい。そのため、本実施形態では、ひずみ検出部62のうち被覆体3の取り付け面3a側の面の位置は、センサ高さ方向Dにおいて、被覆体3の凹部3b1よりも取り付け面3aに近い位置に配置されている。但し、耐久性向上の観点で、ひずみ検出部62のうち被覆体3の取り付け面3a側の面の位置は、センサ高さ方向Dにおいて、被覆体3の凹部3b1よりも取り付け面3aから遠い位置に配置されていてもよい。
【0070】
更に、本実施形態の筐体22の筒部32は、センサ高さ方向Dにおいて、被覆体3の凹部3b1よりも取り付け面3aから離れた位置に配置されている。このようにすることで、筐体22の筒部32がセンサ高さ方向Dにおいて凹部3b1の両側に跨って配置される構成と比較して、凹部3b1が変形し易くなる。つまり、凹部3b1が変形して被覆体3のストレスの吸収する際に、筐体22の筒部32に曲げ応力が発生し難くなる。そのため、凹部3b1による被覆体3のストレスの吸収能力を高めることができる。また、凹部3b1での被覆体3の変形に伴い筒部32に曲げ応力が発生し難い構成とすることで、筒部32内の回路部材21に対しても外力が作用し難くなり、電子回路を構成する電子部品の破損等を抑制できる。
【0071】
更に、
図2に示すように、タイヤセンサ1をセンサ高さ方向Dに沿って見た平面視で、本実施形態の凹部3b1の位置は、第1回路基板60の外縁より外側である。また、同平面視(
図2参照)で、本実施形態の凹部3b1の位置は、第2回路基板80の外縁より外側である。ここで、「タイヤセンサ1をセンサ高さ方向Dに沿って見た平面視」での「位置」とは、上記平面視で視認できる部位の位置のみならず、視認できない部位を紙面に投影した位置を含む意味である。
図2では、説明の便宜上、凹部3b1の位置を、他の部位から区別するため、色付けした領域(グレースケール)により表している。また、
図2では、第1回路基板60の外縁の位置、及び、第2回路基板80の外縁の位置を、破線により示している。なお、本実施形態の第1回路基板60の外縁の位置、及び、第2回路基板80の外縁の位置は、
図2に示す平面視において重なっているが、この構成に限られない。
【0072】
但し、タイヤセンサ1をセンサ高さ方向Dに沿って見た平面視(
図2参照)で、凹部3b1の位置は、第1回路基板60の外縁の外側と内側とを跨る位置、又は、第1回路基板60の外縁より内側、であってもよい。また、同平面視(
図2参照)で、凹部3b1の位置は、第2回路基板80の外縁の外側と内側とを跨る位置、又は、第2回路基板80の外縁より内側、であってもよい。
【0073】
図2に示すように、本実施形態の筐体22の筒部32は、タイヤセンサ1をセンサ高さ方向Dに沿って見た平面視で、第1回路基板60の周囲を取り囲んでいる。また、
図2に示すように、本実施形態の筐体22の筒部32は、タイヤセンサ1をセンサ高さ方向Dに沿って見た平面視で、第2回路基板80の周囲を取り囲んでいる。そして、同平面視(
図2参照)において、被覆体3の側面3bの凹部3b1の位置は、筐体22の筒部32の外側と内側とに跨っている。
図2において筒部32の外側とは、筒部32の外周面32bの外側を意味する。また、
図2において筒部32の内側とは、筒部32の内周面32aの内側を意味する。
【0074】
また、
図3に示すように、センサ高さ方向Dにおいて凹部3b1に対して取り付け面3a側での、側面3bの最大幅W1は、センサ高さ方向Dにおいて凹部3b1に対して第1回路基板60側及び第2回路基板80側での、側面3bの最大幅W2に対して、0.8倍~1.2倍であることが好ましい。なお、「側面3bの最大幅」とは、センサ幅方向Eの最大長さを意味する。
【0075】
最大幅W1が最大幅W2に対して0.8倍以上とすることで、センサ高さ方向Dの上側、すなわち、タイヤセンサ1がタイヤ内周面11a(
図1参照)に取り付けられた場合のタイヤ径方向Cの内側に、タイヤセンサ1の重心が偏ることを抑制できる。つまり、タイヤセンサ1のセンサ幅方向Eでの過度な振動を抑制できる。これにより、タイヤセンサ1の耐久性を、より向上させることができる。また、最大幅W1が最大幅W2に対して1.2倍以下とすることで、タイヤセンサ1自体の重量増加を抑制することができる。そのため、タイヤセンサ1が取り付けられることによるタイヤ10の重量増加についても、抑制することができる。なお、上述のタイヤセンサ1の耐久性の向上、及び、タイヤセンサ1の重量増加の抑制の両立の観点では、最大幅W1及びW2は、略等しいことが特に好ましい。
【0076】
また、
図2、
図3に示すように、本実施形態の凹部3b1は、側面3bの周方向(本実施形態ではセンサ周方向Fと同じ方向)全域に亘って延在する環状溝である。凹部3b1を環状溝により構成することで、タイヤセンサ1がタイヤ内面に取り付けられた状態で、センサ高さ方向Dと直交する任意のセンサ幅方向Eにおいて、被覆体3のストレスを吸収できる。
【0077】
なお、側面3bの凹部3b1は、本実施形態の環状溝に限られない。側面3bの凹部3b1は、側面3bの周方向(本実施形態ではセンサ周方向Fと同じ方向)において、少なくとも一部に形成されていればよい。かかる場合には、センサ周方向Fにおいて凹部3b1が形成されている位置を、タイヤ周方向Bに合わせるようにして、タイヤセンサ1の取り付け面3aをタイヤ内周面11aに取り付ければよい。但し、センサ周方向Fでの異方性を無くし、かつ、被覆体3の凹部3b1によるストレス吸収能力を高める観点では、本実施形態のように、側面3bの凹部3b1は、環状溝であることが好ましい。
【0078】
また、
図3に示すように、本実施形態の被覆体3は、センサ本体2の周囲のみならず、センサ本体2の回路部材21、筐体22及び電源23の相互間にも介在している。換言すれば、本実施形態のセンサ本体2及び被覆体3は一体的に形成されている。被覆体3は、例えば、モールド成型により収容空間S内に充填されつつ筐体22の外側全体を被覆するように成型される。
【0079】
本実施形態の被覆体3は、エラストマー製の台座部41を備える。台座部41は、センサ本体2のセンサ高さ方向Dの一方側を覆っている。具体的に、本実施形態の台座部41は、回路部材21におけるひずみ検出部62と、このひずみ検出部62が配置されている筐体22の外底面31bと、を覆っている。そして、本実施形態の台座部41は、センサ本体2と対向する対向面41aと、この対向面41aと反対側に位置する取り付け面3aと、を備える。本実施形態のひずみ検出部62のうちタイヤ内面と対向する面(本実施形態では検出本体部62bの感応片62a側とは反対側の面)は、対向面41aに接触している。つまり、被覆体3の台座部41は、タイヤセンサ1がタイヤ内面に取り付けられるときに、センサ本体2とタイヤ内面との間に介在する部分である。本実施形態のひずみ検出部62は、被覆体3の台座部41を介して、タイヤ情報としてのタイヤ10のひずみ情報を検出することができる。このようにすることで、ひずみ検出部62を、台座部41を介さずに、接着剤によりタイヤ内面に接着させる構成と比較して、ひずみ検出部62とタイヤ内面との間の距離を一定化できる。つまり、タイヤセンサ1のタイヤ内面への接着作業に起因して、タイヤセンサ1によるタイヤ10のひずみ検出精度に個体差が生じることを、抑制できる。
【0080】
なお、取り付け面3aは、例えば接着剤によりタイヤ内面に接着されることで、タイヤ内面に取り付けられてよい。より具体的に、本実施形態では、取り付け面3a全域に亘って接着剤が塗布され、取り付け面3a全域が、タイヤ内面に接着している。接着剤としては、例えば、瞬間接着剤等を利用することができる。接着剤としては、取り付け面3aとタイヤ内面との間に形成される接着層が薄いものを用いるとよい。
【0081】
また、本実施形態の被覆体3は、センサ高さ方向Dに沿って見た平面視(
図2参照)で、センサ本体2の周囲を覆う、エラストマー製の環状被覆部42を備える。本実施形態の環状被覆部42は、台座部41の外縁から一体的に連なっている。そして、本実施形態の被覆体3の側面3bは、環状被覆部42の外面42aにより構成されている。つまり、本実施形態では、環状被覆部42の外面42aに、凹部3b1が形成されている。このように、エラストマー製の環状被覆部42に凹部3b1が形成されることで、凹部3b1が柔軟に変形でき、凹部3b1による被覆体3のストレス吸収能力を、より高めることができる。
【0082】
このように被覆体3が、センサ本体2の周囲のみならず、センサ本体2内で回路部材21、筐体22及び電源23の相互間に介在するように、充填されることで、タイヤセンサ1の製造工程を簡略化することができる。また、本実施形態の筐体22は、筒部32の外側に複数の環状凸部33を備える。更に、本実施形態の筐体22は、底部31の外底面31bに複数の凸部36を備える。環状凸部33及び凸部36が設けられることで、被覆体3に対する筐体22の位置ずれが抑制される。つまり、タイヤ10の回転に伴ってタイヤセンサ1に外力が加わったときでも、筐体22と被覆体3との位置ずれを抑制でき、筐体22及び被覆体3が一体化した状態を、より維持できる。
【0083】
なお、被覆体3は、センサ本体2の少なくとも一部を覆い、上述の取り付け面3a及び側面3bを備えていればよい。つまり、被覆体3は、本実施形態のようにセンサ本体2の周囲全域を覆う構成に限られない。被覆体3は、例えば、筐体22の収容空間Sに充填されていなくてもよい。つまり、被覆体3は、センサ本体2の周囲の一部を覆っていなくてもよい。このような被覆体3の一例としては、例えば、上述の台座部41及び環状被覆部42のみからなる構成が挙げられる。
【0084】
本開示に係るタイヤセンサ及びタイヤは、上述した実施形態で示す具体的な構成に限られず、特許請求の範囲の記載を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本開示はタイヤセンサ及びタイヤに関する。
【符号の説明】
【0086】
1:タイヤセンサ、 2:センサ本体、 3:被覆体、 3a:取り付け面、 3b:側面、 3b1:凹部、 10:タイヤ、 10a:内側空間、 11:トレッド、 11a:タイヤ内周面(タイヤ内面)、 15:リム、 21:回路部材、 22:筐体、 23:電源、 31:底部、 31a:内底面、 31b:外底面、 32:筒部、 32a:内周面、 32b:外周面、 33:環状凸部、 34:取付部、 35:貫通孔、 36:凸部、 37:支持部、 38:ベース部材、 38a:検出部取付面、 41:台座部、 41a:対向面、 42:環状被覆部、 42a:外面、 60:第1回路基板、 61:検出部、 62:ひずみ検出部、 62a:感応片、 62b:検出本体部、 63:ひずみゲージ、 64:ブリッジ回路、 65:ストレインアンプ、 65a:信号増幅回路、 65b:A/D変換器、 65c:電力供給部、 67:通信部、 70:制御部、 78:接続部、 80:第2回路基板、 81:温度検出部、 82:圧力検出部、 88:配線、 200:路面、 A:タイヤ幅方向、 B:タイヤ周方向、 C:タイヤ径方向、 D:センサ高さ方向、 E:センサ幅方向、 F:センサ周方向、 S:収容空間、 Hmax:センサ最大高さ、 O:筐体の筒部の中心軸、 W1:凹部に対して取り付け面側での側面の最大幅、 W2:凹部に対して回路基板側での側面の最大幅