(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035690
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】霧噴射装置及びそれを備える超音波洗浄機
(51)【国際特許分類】
D06F 43/00 20060101AFI20230306BHJP
B08B 3/12 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
D06F43/00 A
B08B3/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142727
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(74)【代理人】
【識別番号】100129377
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 耕司
(72)【発明者】
【氏名】永井 孝之
(72)【発明者】
【氏名】谷越 修
【テーマコード(参考)】
3B168
3B201
【Fターム(参考)】
3B168AB04
3B168AC03
3B168AE01
3B168AE02
3B168AE12
3B168BA48
3B168BA83
3B168FA01
3B168FA12
3B168JM01
3B168JM02
3B168JM03
3B201AA46
3B201AB52
3B201BB32
3B201BB62
3B201BB83
3B201BB92
3B201BB94
(57)【要約】
【課題】衣類を洗浄するための水などを別途用意しなくても洗浄時に衣類に水分を含ませることを可能にする。
【解決手段】本発明の超音波洗浄機1は、超音波振動子に連結されたホーン31を有する超音波振動部30と、超音波振動部30を制御する制御装置40と、制御装置40に電力を供給するバッテリー52と、水または洗剤を収容するためのタンク60と、タンク60から超音波振動部30に水または洗剤を供給するためのポンプ部70とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子に連結されたホーンを有する超音波振動部と、前記超音波振動部を制御する制御装置と、前記制御装置に電力を供給するバッテリーと、液体を収容するためのタンクと、前記タンクから前記超音波振動部に液体を供給するためのポンプとを備えることを特徴とする霧噴射装置。
【請求項2】
前記バッテリーと前記タンクを収容する筐体を有し、
前記筐体内において、前記タンクは、前記バッテリーの少なくとも一部の上方を跨ぐ形で配置されることを特徴とする請求項1に記載の霧噴射装置。
【請求項3】
前記タンクは、少なくとも2以上の独立した複数の空間を有しており、
各空間に対してそれぞれ設けられた複数のポンプを備え、
前記超音波振動部に対して前記タンクの各空間から別々の液体を供給可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の霧噴射装置。
【請求項4】
前記複数のポンプは、前記ホーンと前記タンクとの間において前記筐体の長手方向に対して垂直方向に沿って配置されることを特徴とする請求項3に記載の霧噴射装置。
【請求項5】
前記複数のポンプは、それぞれ異なるスイッチに接続され、各スイッチにより前記複数のポンプに何れかを駆動することにより、前記超音波振動部に対して前記複数の空間にそれぞれ貯留された液体の何れかを供給可能であることを特徴とする請求項3または4に記載の霧噴射装置。
【請求項6】
前記タンクは、水を貯留する水貯留空間及び洗剤を貯留する洗剤貯留空間を含んでおり、
前記水貯留空間が、前記洗剤貯留空間よりも大きいとともに、
前記タンクの各空間に貯留される液体残量を前記筐体の外部から確認できるように構成されることを特徴とする請求項3~5の何れかに記載の霧噴射装置。
【請求項7】
前記筐体は、前記超音波振動子に連結されたホーンの基部を覆うとともに、前記ホーンの先端部近傍が挿通される挿通口を有する先端カバーを含んでおり、
前記タンクの各空間から前記超音波振動部に供給される水及び洗剤は、前記先端カバー内においてそれぞれ吐出されるように構成され、
前記先端カバー内での水吐出位置が洗剤吐出位置よりも前記挿通口から離れていることを特徴とする請求項3~6の何れかに記載の霧噴射装置。
【請求項8】
前記先端カバーを覆うように前記筐体に対して着脱可能なキャップと、
前記キャップ内に収容可能であり、前記タンクに液体を供給するために使用されるピペットを備えており、
前記ピペットが収容された状態の前記キャップが前記筐体に対して取り付けられると、前記ピペットの一部が前記先端カバーに形成された収容穴内に配置されることを特徴とする請求項1~7の何れかに記載の霧噴射装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れかに記載の霧噴射装置を備える超音波洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば衣類に付着した汚れを洗浄することが可能な霧噴射装置及びそれを備える超音波洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、衣類に付着した汚れを超音波により除去する超音波洗浄器がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の超音波洗浄器は、主要部分が覆う本体カバーと、本体カバーの先端側において超音波ホーンの基部を保持する保持部を覆うホルダーカバーと、ホルダーカバーに固定される先細り形状のホーンキャップとを有している。
【0004】
その超音波洗浄器では、ホーンキャップの先端側に長穴が設けられており、超音波ホーンのホーン部の先端が長穴から突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の超音波洗浄器を使用して衣類に付着した汚れを除去する場合、衣類を洗浄するための水を別途用意して、その水を使用して衣類に水分を含ませる必要がある。そのため、衣類を洗浄するための水をすぐに得られない場合、その汚れをすぐに除去するのは困難である。
【0007】
また、本発明の目的は、衣類を洗浄するための水などを別途用意しなくても洗浄時に衣類に水分を含ませることが可能な霧噴射装置及びそれを備える超音波洗浄機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る霧噴射装置は、超音波振動子に連結されたホーンを有する超音波振動部と、前記超音波振動部を制御する制御装置と、前記制御装置に電力を供給するバッテリーと、液体を収容するためのタンクと、前記タンクから前記超音波振動部に液体を供給するためのポンプとを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る霧噴射装置において、前記バッテリーと前記タンクを収容する筐体を有し、前記筐体内において、前記タンクは、前記バッテリーの少なくとも一部の上方を跨ぐ形で配置されることが好適である。
【0010】
本発明に係る霧噴射装置において、前記タンクは、少なくとも2以上の独立した複数の空間を有しており、各空間に対してそれぞれ設けられた複数のポンプを備え、前記超音波振動部に対して前記タンクの各空間から別々の液体を供給可能であることが好適である。
【0011】
本発明に係る霧噴射装置において、前記複数のポンプは、前記ホーンと前記タンクとの間において前記筐体の長手方向に対して垂直方向に沿って配置されることが好適である。
【0012】
本発明に係る霧噴射装置において、前記複数のポンプは、それぞれ異なるスイッチに接続され、各スイッチにより前記複数のポンプに何れかを駆動することにより、前記超音波振動部に対して前記複数の空間にそれぞれ貯留された液体の何れかを供給可能であることが好適である。
【0013】
本発明に係る霧噴射装置において、前記タンクは、水を貯留する水貯留空間及び洗剤を貯留する洗剤貯留空間を含んでおり、前記水貯留空間が、前記洗剤貯留空間よりも大きいとともに、前記タンクの各空間に貯留される液体残量を前記筐体の外部から確認できるように構成されることが好適である。
【0014】
本発明に係る霧噴射装置において、前記筐体は、前記超音波振動子に連結されたホーンの基部を覆うとともに、前記ホーンの先端部近傍が挿通される挿通口を有する先端カバーを含んでおり、前記タンクの各空間から前記超音波振動部に供給される水及び洗剤は、前記先端カバー内においてそれぞれ吐出されるように構成され、前記先端カバー内での水吐出位置が洗剤吐出位置よりも前記挿通口から離れていることが好適である。
【0015】
本発明に係る霧噴射装置において、前記先端カバーを覆うように前記筐体に対して着脱可能なキャップと、前記キャップ内に収容可能であり、前記タンクに液体を供給するために使用されるピペットを備えており、前記ピペットが収容された状態の前記キャップが前記筐体に対して取り付けられると、前記ピペットの一部が前記先端カバーに形成された収容穴内に配置されることが好適である。
【0016】
本発明の超音波洗浄機は、上述した何れかの霧噴射装置を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、タンク内にあらかじめ水や洗剤などを貯留することができるため、衣類を洗浄する際に、わざわざ水や洗剤を別途準備する必要がない。
【0018】
本発明によれば、筐体内において、タンクがバッテリーの少なくとも一部の上方を跨ぐ形で配置されるため、例えばタンクがバッテリーの先端側または後端側に配置される場合と比べて、製品の長さを短くできる。このように、筐体内に収容される内部部品の配置構成を工夫することにより、超音波洗浄機の使用性を満足しながら製品サイズを極力小さくすることができる。
【0019】
本発明によれば、例えば水及び洗剤をタンクに貯留することにより、水と洗剤とを独立して超音波振動部に供給できるため、水量、水の出方、洗剤量を最適化して効率的に衣類を洗浄することができる。これにより、ユーザーの好みに合わせた洗浄を実施することができる。
【0020】
本発明によれば、複数のポンプがホーンとタンクとの間において筐体の長手方向に対して垂直方向に沿って配置されるため、例えばポンプ部がタンクよりも後端側に配置される場合や複数のポンプが筐体の長手方向に沿って配置される場合と比べて、製品の長さを短くできる。このように、筐体内に収容される内部部品の配置構成を工夫することにより、超音波洗浄機の使用性を満足しながら製品サイズを極力小さくすることができる。
【0021】
本発明によれば、水及び洗剤を供給するためのポンプのスイッチが独立しているので、ユーザーの好みに合わせて水量、洗剤量を調整し、洗浄することができる。
【0022】
本発明によれば、例えば洗浄に使用する水量の方が洗剤量よりも多い場合に、水貯留空間を洗剤貯留空間よりも大きくすることにより、各空間に貯留される液体量を最適化し補充する頻度を少なくすることができる。また、タンクの各空間に貯留される液体残量(例えばタンクの水残量や洗剤残量)を筐体の外部から容易に確認することができる。
【0023】
本発明によれば、先端カバー内での水吐出位置を洗剤吐出位置よりも後方にすることで、先端カバー内に付着した洗剤を水で洗い流すことができる。そのため、ホーンの先端面に供給される水に洗剤が含まれることで、ホーンの先端面から霧状の水が噴射されなくなるのを防止することができる。
【0024】
本発明によれば、タンクに液体を供給する際にピペットを使用することで、液体が手に付着することを防ぐことができるとともに、キャップ内のデッドスペースを有効に使うことにより製品サイズを極力小さくすることができる。
【0025】
本発明によれば、超音波洗浄機内にあらかじめ水や洗剤を貯留することができるため、衣類を洗浄する際に、わざわざ水や洗剤を別途準備する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る超音波洗浄機1の外観を示す斜視図であり、
図1(a)は、キャップ2aが取り付けられた状態を示し、
図1(b)は、キャップ2aが取り外された状態を示している。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、
図1(b)に示したキャップ2aが取り外された状態の超音波洗浄機1の上面図、側面図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、
図1(b)に示したキャップ2aが取り外された状態の超音波洗浄機1を先端側及び後端側から見た図である。
【
図4】上カバー11の図示を省略した筐体2の内部の構成を示した上面図である。
【
図5】上カバー11及び下カバー12の図示を省略した筐体2の内部の構成を示した斜視図である。
【
図6】上カバー11及び下カバー12の図示を省略した筐体2の内部の構成を示した側面図である。
【
図7】
図2(b)のa
1-a
1線における断面図である。
【
図8】
図2(b)のa
2-a
2線における断面図である。
【
図9】
図9(a)は、超音波洗浄機1の先端近傍の上面図であり、
図9(b)は、超音波洗浄機1の右側面図である。
【
図10】
図10(a)は、キャップ2aの内周面の構成を示す斜視図であり、
図10(b)は、ピペット81,82をキャップ2a内に収容した状態を示す斜視図である。
【
図11】
図1(a)の超音波洗浄機1の分解斜視図である。
【
図12】
図12(a)は、超音波洗浄機1の先端近傍の断面図であり、
図12(b)は、超音波洗浄機1を先端側から見た図である。
【
図13】
図13(a)~
図13(c)は、超音波振動するホーン31の先端面31aから霧が噴射される際の動作を説明する図である。
【
図14】先端カバー13の挿通口16から水滴が落下する状態を示す図である。
【
図15】評価試験に使用した5種類の先端カバー13が取り付けられた超音波洗浄機1を先端側から見た図である。
【
図16】先端カバー13の挿通口16とホーン31との隙間Tが変化したときに噴射動作がどのように変化するかの評価試験結果である。
【
図17】超音波洗浄機1の使用例を示すタイムチャートである。
【
図18】
図18(a)は、本発明の第2実施形態に係る超音波洗浄機101の先端近傍の断面図であり、
図18(b)は、超音波洗浄機101を先端側から見た図である。
【
図19】
図19(a)~
図19(c)は、超音波振動するホーン31の先端面31aから霧が噴射される際の動作を説明する図である。
【
図20】
図20(a)は、本発明の第3実施形態に係る超音波洗浄機301の先端近傍の断面図であり、
図20(b)は、超音波洗浄機301を先端側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態の霧噴射装置を備える超音波洗浄機1について、図に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る超音波洗浄機1の外観を示す斜視図であり、
図1(a)は、キャップ2aが取り付けられた状態を示し、
図1(b)は、キャップ2aが取り外された状態を示している。
図2(a)及び
図2(b)は、
図1(b)に示したキャップ2aが取り外された状態の超音波洗浄機1の上面図、側面図である。
図3(a)及び
図3(b)は、
図1(b)に示したキャップ2aが取り外された状態の超音波洗浄機1を先端側及び後端側から見た図である。
【0028】
(第1実施形態)
本実施形態の超音波洗浄機1は、略矩形断面を有する筐体2を有している。筐体2は、略直方体形状であり、その先端部は、キャップ2aが着脱可能に構成される。筐体2の上面には、超音波洗浄機1から水を噴射する際に押下する水供給スイッチ3aと、超音波洗浄機1から洗剤を流出する際に押下する洗剤供給スイッチ3bと、筐体2の内部に水を供給する際に開放される水供給用蓋部5aと、筐体2の内部に洗剤を供給する際に開放される洗剤供給用蓋部5bとが設けられる。
【0029】
筐体2は、
図1及び
図2に示すように、上カバー11と、下カバー12と、先端カバー13と、底カバー14とを有している。なお、以下の説明では、
図1(a)において、上カバー11側を上方とし、下カバー12側を下方とし、キャップ2a側から見たときに左側及び右側を左方及び右方とし、キャップ2aが着脱される側を先端、その反対側を後端として説明する。
【0030】
上カバー11は、略長方形状の上面11aの長辺に沿った端部からそれぞれ下方に延びる2つの上壁部11bを有し、下カバー12は、略長方形状の下面12aの長辺に沿った端部からそれぞれ上方に延びる2つの下壁部12bを有している。上カバー11と下カバー12とは、2つの上壁部11bの先端と2つの下壁部12bの先端とがそれぞれ接続されて、筒状に形成される。
【0031】
上カバー11と下カバー12とが接続された状態において、その先端側に、先端カバー13が取り付けられ、その後端側に、底カバー14が取り付けられる。これにより、上カバー11と下カバー12とが接続された状態において、その長手方向両端が先端カバー13及び底カバー14により塞がれることで、その内部が中空に形成される。
【0032】
先端カバー13は、上カバー11及び下カバー12の先端側に取り付けられる略平坦形状の取り付け部13aと、取り付け部13aから先端側に向かって先細り形状に突出する突出部13bとを有している。先端カバー13は、その全体が略筒状に形成されており、後述するホーン31の基端部の周囲に配置される。先端カバー13の突出部13bの先端には、挿通口16が形成されており、その挿通口16からホーン31の先端部が突出する。
【0033】
底カバー14には、
図3(b)に示すように、超音波洗浄機1の超音波発振スイッチ6と、充電用端子6aとが設けられる。超音波発振スイッチ6を長押し(約1秒)することにより、超音波洗浄機1を、電源オフ状態から電源オン状態に切り替え可能であり、また、電源オン状態から電源オフ状態に切り替え可能である。超音波発振スイッチ6には、LEDが設けられており、超音波洗浄機1が電源オン状態である場合に超音波発振スイッチ6自体が点灯し、電源オフ状態である場合に超音波発振スイッチ6が消灯する。充電用端子6aには、超音波洗浄機1の充電を行う際に充電ケーブルが接続される。
【0034】
図4~
図6は、筐体2の内部の構成を示した上面図、斜視図、側面図である。なお、
図4では、上カバー11の図示を省略し、
図5及び
図6では、上カバー11及び下カバー12の図示を省略している。筐体2の内部には、
図4~
図6に示すように、超音波振動部30と、超音波洗浄機1を制御する制御装置40と、制御装置40に電力を供給するバッテリー50と、水及び洗剤を収容するためのタンク60と、タンク60から超音波振動部30に水及び洗剤を供給するためのポンプ部70とが収容される。
【0035】
超音波振動部30は、略円柱形状の先端部を有するホーン31を有している。ホーン31の先端面31aは、円形状である。ホーン31の先端部は、先端カバー13の挿通口16から外部に向かって突出する。ホーン31の基端部には、2つの超音波振動子32(
図12参照)が連結される。超音波振動子32は、後述する制御基板41に接続されており、38kHz~51kHzで振動するように制御される。このように、超音波振動子32が振動するように制御されることにより、ホーン31の先端面31aが超音波振動する。
【0036】
制御装置40は、制御基板41を有しており、その制御基板41は、下カバー12の内側面上に配置される。
【0037】
バッテリー50は、筐体2の長手方向に延びるバッテリー支持台51と、バッテリー支持台51に収容される電池52と、バッテリカバー53とを有している。バッテリー支持台51は、電池52を収容するための部材であり、制御基板41の上方に配置される。バッテリカバー53は、バッテリー支持台51に収容された電池52を上方から覆った状態で、バッテリー支持台51に係止するための部材である。
【0038】
タンク60は、超音波洗浄に使用する水及び洗剤を貯留するための部材である。タンク60は、制御基板41及びバッテリー50の上方に配置され、タンク60の長手方向長さは、バッテリー支持台51の長手方向長さより短い。タンク60は、バッテリー支持台51の後端側に配置される。
【0039】
タンク60の下端部には、
図7に示すように、その長手方向に延びる凹部61が形成されており、凹部61の左右両側には、下方に向かって延びる突出支持部62がそれぞれ形成される。筐体2内において、電池52及びバッテリカバー53がタンク60の凹部内61に配置される。そのため、左右両側の突出支持部62は、電池52及びバッテリカバー53の外側に配置される。このように、タンク60は、電池52及びバッテリカバー53の上方を跨ぐ形で配置される。
【0040】
タンク60の内部は、中空に形成されており、
図7に示すように、筐体2内において左右方向(筐体2の長手方向に垂直方向)に隣接する2つの独立した空間63a,63bを有している。なお、
図7の断面図では、超音波洗浄機1を後端側から先端側を見ているため、左右が反転している。筐体2の左側に配置される空間63aが、水を貯留する水貯留空間63aとなり、筐体2の右側に配置される空間63bが、洗剤を貯留する洗剤貯留空間63bとなる。
【0041】
タンク60の内部において空間63aと空間63bとを仕切る仕切り壁64の上端部は、タンク60の左右方向中央部に配置されるが、仕切り壁64の下端部は、左右方向中央部よりも右側に偏って配置されており、水貯留空間63aは、洗剤貯留空間63bよりも大きい。このように、超音波洗浄機1において超音波洗浄する場合、水の使用量の方が洗剤の使用量よりも多いため、タンク60の水の貯留可能量は、洗剤の貯留可能量より多くなっている。なお、本実施形態において、タンク60の水の貯留可能量は、例えば約8mlである。
【0042】
タンク60の上面には、
図11に示すように、水貯留空間63aと連通する開口である水供給部65aと、洗剤貯留空間63bと連通する開口である洗剤供給部65bとが形成される。水供給部65aは、水供給用蓋部5aにより開閉可能に構成され、洗剤供給部65bは、洗剤供給用蓋部5bにより開閉可能に構成される。
【0043】
タンク60の左面には、タンク60の水貯留空間63a内の水の貯留量を筐体2の外部から確認するための確認用透明部66aが形成され、タンク60の右面には、タンク60の洗剤貯留空間63b内の洗剤の貯留量を筐体2の外部から確認するための確認用透明部66bが形成される。なお、筐体2の左側面及び右側面には、筐体2内に収容されたタンク60の確認用透明部66a及び確認用透明部66bとそれぞれ対向する2つの開口8が形成されており、確認用透明部66a及び確認用透明部66bは、開口8内にそれぞれ配置される。
【0044】
ポンプ部70は、タンク60に貯留される水及び洗剤を超音波振動部30に供給するためのものである。ポンプ部70は、水を貯留する水貯留空間63aの流出部67aに対して接続配管71aを介して接続される水供給用ポンプ71と、洗剤を貯留する洗剤貯留空間63bの流出部67bに対して接続配管72aを介して接続される洗剤供給用ポンプ72とが設けられる。水供給用ポンプ71及び洗剤供給用ポンプ72は、上下方向(筐体2の長手方向に対して垂直方向)に沿って配置される。水供給用ポンプ71は、洗剤供給用ポンプ72の上方に配置される。水供給用ポンプ71及び洗剤供給用ポンプ72としては、例えばチューブポンプが使用される。
【0045】
水供給用ポンプ71の流出側には、接続配管71bが接続されており、接続配管71bの先端に形成された吐出部71cが先端カバー13内に配置される。洗剤用ポンプ72の流出側には、接続配管72bが接続されており、接続配管72bの先端に形成された吐出部72cが先端カバー13内に配置される。このように、タンク60の水貯留空間63a及び洗剤貯留空間63bから超音波振動部30に供給される水及び洗剤は、先端カバー13内においてそれぞれ吐出される。
【0046】
洗剤供給用ポンプ72に接続される接続配管72bの吐出部72cは、
図8に示すように、水供給用ポンプ71に接続される接続配管71bの吐出部71cよりも先端側に配置される。よって、先端カバー13内での水吐出位置(水が吐出される吐出部71c)が、先端カバー13内での洗剤吐出位置(洗剤が吐出される吐出部72c)よりも挿通口16から離れている。
【0047】
本実施形態の超音波洗浄機1において、先端カバー13内に洗剤が吐出部72cから吐出されると、その洗剤は先端カバー13の内周面上を挿通口16に向かって移動する。そのとき、洗剤の一部が先端カバー13の内周面に付着した状態で残る可能性がある。その後、先端カバー13内に水が吐出部71cから吐出されると、その水は先端カバー13の内周面上を挿通口16に向かって移動する。このとき、水吐出位置が洗剤吐出位置よりも後端側に配置されているため、仮に洗剤の一部が先端カバー13の内周面に付着している場合でも、その部分を挿通口16に向かって移動する水が付着した洗剤を除去することができる。
【0048】
水供給用ポンプ71は、筐体2の上面11aに設けられた水供給スイッチ3aが押下されることにより駆動され、洗剤供給用ポンプ72は、筐体2の上面11aに設けられた洗剤供給スイッチ3bが押下されることにより駆動される。なお、説明は省略するが、水供給用ポンプ71及び水供給スイッチ2aは図示しない配線により制御基板41に接続され、洗剤供給用ポンプ72及び洗剤供給スイッチ2bは図示しない配線により制御基板41に接続される。
【0049】
図1(a)に示すように、筐体2の先端に着脱可能に構成されるキャップ2aは、ピペット81,82を収容可能に構成される。
図9(a)は、超音波洗浄機1の先端近傍の上面図であり、
図9(b)は、超音波洗浄機1の右側面図である。
【0050】
ピペット81は、タンク60に水を供給する際に使用される。ピペット81は、
図9(a)に示すように、略円板形状の操作貯留部81aと、操作貯留部81aに接続される円筒部81bとを有している。操作貯留部81aは、中空の内部空間を有している。円筒部81bは、操作貯留部81aの内部空間と連通するとともに、その先端において外部空間と連通している。ピペット81において、操作貯留部81aに対して押しつぶす力が作用すると、操作貯留部81aの内部空間の容積が減少する。その後、操作貯留部81aに対して押しつぶす力が作用しなくなると、操作貯留部81aの内部空間の容積が増加して元の状態に戻る。
【0051】
ピペット82は、タンク60に洗剤を供給する際に使用される。ピペット82は、ピペット81と略同一の形状に形成されており、略円板形状の操作貯留部82aと、操作貯留部82aに接続される円筒部82bとを有している。ピペット82は、ピペット81と同様に動作可能である。
【0052】
キャップ2aの内周面には、
図10(a)に示すように、2つの係止片10a,10bが形成されている。係止片10aは、キャップ2aの上側内周面から下方に向かって突出する板状の部材である。係止片10aの下端部には、凹状の係合部10c
1が形成される。係合部10c
1の幅は、ピペット81の円筒部81bの外形の幅と略同一である。同様に、係止片10bは、キャップ2aの下側内周面から上方に向かって突出する板状の部材である。係止片10bの下端部には、凹状の係合部10c
2が形成される。係合部10c
2の幅は、ピペット82の円筒部82bの外形の幅と略同一である。
【0053】
そのため、
図10(b)に示すように、ピペット81をその操作貯留部81a側からキャップ2a内に挿入して、その円筒部81bを係止片10aの係合部10c
1に係合させることにより、ピペット81をキャップ2a内に収容可能である。同様に、ピペット82をその操作貯留部82a側からキャップ2a内に挿入して、その円筒部82bを係止片10bの係合部10c
2に係合させることにより、ピペット82をキャップ2a内に収容可能である。
【0054】
先端カバー13の取り付け部13aには、
図1(b)及び
図3(a)に示すように、2つの収容凹部13c
1,13c
2が形成される。収容凹部13c
1は、先端カバー13の突出部13bの上方に形成され、収容凹部13c
2は、先端カバー13の突出部13bの下方に形成される。収容凹部13c
1は、ピペット81の円筒部81bの外形の幅と略同一の幅を有し、収容凹部13c
2は、ピペット82の円筒部82bの外形の幅と略同一の幅を有している。
【0055】
そのため、
図10(b)に示すように、ピペット81,82を収容したキャップ2aを先端カバー13を覆うように筐体2の先端に取り付けると、ピペット81の円筒部81bが先端カバー13の収容凹部13c
1内に差し込まれるとともに、ピペット82の円筒部82bが先端カバー13の収容凹部13c
2内に差し込まれる。
【0056】
ピペット81を使用して水をタンク60の水貯留空間63a内に供給する場合の手順について説明する。まず、キャップ2aを筐体2の先端から取り外して、ピペット81,82をキャップ2a内から取り出す。その後、水をキャップ2a内に入れて、ピペット81の操作貯留部81aに対して押しつぶす力が作用した状態でピペット81の円筒部81bを水の内部に挿入する。その後、操作貯留部81aに対して押しつぶす力が作用しないようにすると、操作貯留部81aの内部空間の容積が増加して元の状態に戻る際に、水が操作貯留部81aの内部空間に吸入される。そのピペット81をキャップ2a内から取り出し、その円筒部81bを、水供給用蓋部5aにより開放された水供給部65aの内部に挿入して、ピペット81の操作貯留部81aに対して押しつぶす力が作用させる。すると、ピペット81の操作貯留部81aに吸入されていた水がタンク60の水貯留空間63a内に供給される。この動作が複数回繰り返されることで、水がタンク60の水貯留空間63a内に供給される。
【0057】
ピペット82を使用して洗剤をタンク60の洗剤貯留空間63b内に供給する場合の手順は、上述の手順と同様であるため、詳細説明は省略する。なお、水を供給する場合、キャップ2a内に入れた水の内部にピペット81の円筒部81bを挿入して水を吸入したが、洗剤を供給する場合、キャップ2aとは異なる容器内に入れた洗剤の内部にピペット82の円筒部82bを挿入して洗剤を吸入する方が好ましい。
【0058】
超音波洗浄機1の先端近傍の構成について、
図12に基づいて説明する。
図12(a)は、超音波洗浄機1の先端近傍の断面図であり、
図12(b)は、超音波洗浄機1を先端側から見た図である。
【0059】
図12(a)に示すように、先端カバー13の突出部13bの先端には、略円形断面の挿通口16が形成されており、その挿通口16から略円柱形状のホーン31の先端部が突出する。このように、先端カバー13は、ホーン31の全周を覆っており、先端カバー13の内周面とホーン31の外周面とは接触しないように構成される。そのため、
図12(b)に示すように、先端カバー13の突出部13bの挿通口16の縁部とホーン31の外周面との間には、全周にわたって略同一幅の隙間Tが形成される。
【0060】
このように、上記隙間Tは、水供給ポンプ71によって先端カバー13内に吐出される水を、ホーン31の先端面31aへ導くための経路において、ホーン31の先端面31aに供給される水の量を調整する調整部Aとして機能する。すなわち、本実施形態において、上記隙間Tにより、ホーン31の先端面31aに供給される水の量が調整される。
【0061】
超音波洗浄機1の使用状態において、超音波振動するホーン31の先端面31aから霧が噴射される際の動作について、
図13(a)~
図13(c)に基づいて説明する。
【0062】
超音波洗浄機1は、
図13(a)に示すように、その先端が下方斜め方向を向いている状態で使用される。超音波洗浄機1の使用状態において、水供給用ポンプ71に接続された接続配管71bの吐出部71cから先端カバー13内に水が吐出されると、その吐出された水は、先端カバー13の内周面上を挿通口16に向かって移動する。そのとき、先端カバー13の内周面上を移動する水は、水滴となって移動してもよいし、水滴ではなく薄い水膜を形成した状態で移動してもよい。
【0063】
このようにして、挿通口16に向かって移動した水は、挿通口16を通過して外部へ移動しようとするが、挿通口16の縁部とホーン31の外周面との間に形成される隙間Tが比較的小さい幅に設定されているため、上記隙間Tから外部へ流れ出す水量が制限される。そのため、水が上記隙間Tから徐々に外部へ流れ出して、ホーン31の先端面31aに向かって移動する。
【0064】
そのとき、上記隙間Tから外部へ流れ出した水は、
図13(b)に示すように、表面張力によりホーン31の外周面上に薄い水膜を形成した状態でホーン31の先端面31aに向かって移動する。その後、薄い水膜を形成した水がホーン31の先端面31aに到達すると、ホーン31の先端面31aは超音波振動しているため、
図13(c)に示すように、その水は、ホーン31の先端面31aにおいて霧状に変化して、霧状の水が下方斜め方向に向かって噴射される。
【0065】
なお、例えば、挿通口16の縁部とホーン31の外周面との間に形成される隙間Tが比較的大きい幅に設定されている場合は、先端カバー13の挿通口16から外部へ流れ出す水の量が多くなる。すると、表面張力によりホーン31の外周面上に薄い水膜が形成されずに、
図14に示すように、先端カバー13の挿通口16から流れ出した後、水滴となり落下してしまう。
【0066】
そのため、超音波洗浄機1では、挿通口16から流れ出した水が挿通口16から水滴となり落下するのを抑制するために、上記隙間Tを比較的小さい幅に設定している。このように、超音波洗浄機1では、先端カバー13の挿通口16から流れ出した水が、ホーン31の外周面上に薄い水膜を形成するように、上記隙間Tにより、先端カバー13の挿通口16から外部へ流れ出す水の量を制限している。そのため、先端カバー13の挿通口16から流れ出した後でホーン31の外周面上に薄い水膜を形成する水の量は、1つの水滴を形成する水の量よりも少ないと考えられる。
【0067】
本実施形態の超音波洗浄機1において、上記隙間Tの幅をどの程度に設定するかが非常に重要である。そこで、先端カバー13の挿通口16とホーン31との隙間Tの設定について行った評価試験について説明する。
【0068】
(先端カバー13の挿通口16とホーン31との隙間Tの設定)
超音波洗浄機1において、先端カバー13の挿通口16の縁部とホーン31の外周面との間に形成される隙間Tの幅、及び、ホーン31の傾斜角度が変化した場合に、超音波洗浄機1の噴射動作がどのように変化するかの評価試験について、
図15及び
図16に基づいて説明する。
【0069】
(評価試験の方法)
5種類の先端カバー13を使用して、上記隙間Tの幅及びホーン31の傾斜角度が変化したときに超音波洗浄機1の噴射動作がどのように変化するかを評価した。
【0070】
図15は、評価試験に使用した5種類の先端カバー13が取り付けられた超音波洗浄機1を先端側から見た図である。5種類の先端カバー13には、それぞれ異なる直径の挿通口16が形成されており、その内部に同一の直径のホーン31が配置されている。そのため、
図15に示した先端カバー(a)~(e)では、先端カバー13の挿通口16の縁部とホーン31の外周面との間に形成される隙間Tの幅が、それぞれ、0.5mm,0.75mm,1mm,1.5mm,2mmである。
【0071】
ホーン31の傾斜角度は、ホーン31が水平に対して傾斜する傾斜角度θである。例えば、超音波洗浄機1を、
図16に示すように、先端カバー13の突出部13bの下端が水平となるように傾斜させた場合、ホーン31の傾斜角度θは、水平に対して20度となる。
【0072】
そのときの
図16に示す評価試験の結果、先端カバー(a)を使用した場合、ホーン31の先端面31aから常に霧状に噴射されることが分かる。先端カバー(b)及び(c)を使用した場合、多くの水はホーン31の先端面31aから霧状に噴射されるが、先端カバー13の挿通口16から水滴が落下する場合があることが分かる。先端カバー(d)及び(e)を使用した場合、ホーン31の先端面31aから霧状に噴射されずに、先端カバー13の挿通口16から水滴が落下したことが分かる。
【0073】
ホーン31の傾斜角度θを水平に対して30度とすると、先端カバー(a)を使用した場合に限らず、先端カバー(b)を使用した場合においてもホーン31の先端面31aから常に霧状に噴射されることが分かる。先端カバー(c)~(e)を使用した場合において、多くの水はホーン31の先端面31aから霧状に噴射されるが、先端カバー13の挿通口16から水滴が落下する場合があることが分かる。
【0074】
ホーン31の傾斜角度θを水平に対して40度とすると、先端カバー(a)及び(b)を使用した場合に限らず、先端カバー(c)を使用した場合においてもホーン31の先端面31aから常に霧状に噴射されることが分かる。先端カバー(d)及び(e)を使用した場合において、多くの水はホーン31の先端面31aから霧状に噴射されるが、先端カバー13の挿通口16から水滴が落下する場合があることが分かる。
【0075】
ホーン31の傾斜角度θを水平に対して50度とすると、先端カバー(a)~(c)を使用した場合に限らず、先端カバー(d)を使用した場合においてもホーン31の先端面31aから常に霧状に噴射されることが分かる。先端カバー(e)を使用した場合において、多くの水はホーン31の先端面31aから霧状に噴射されるが、先端カバー13の挿通口16から水滴が落下する場合があることが分かる。
【0076】
ホーン31の傾斜角度θを水平に対して90度とすると、先端カバー(a)~(e)を使用した場合の何れにおいても、ホーン31の先端面31aから常に霧状に噴射されることが分かる。
【0077】
このように、超音波洗浄機1において、先端カバー13の挿通口16の縁部とホーン31の外周面との間に形成される隙間Tの幅を、0.5mm,0.75mm,1mm,1.5mm,2mmの何れかに設定した場合、ホーン31の傾斜角度θを20度、30度、40度、50度、90度の少なくとも何れかにすることで、ホーン31の先端面31aから霧状に噴射されることが分かる。
【0078】
(水供給スイッチ3aが操作された際に供給される水量の設定)
超音波洗浄機1において、水供給スイッチ3aが操作された際に、吐出部71cから先端カバー13内に吐出される水の量の設定方法について、表1に基づいて説明する。
【0079】
本実施形態では、水供給スイッチ3aが押下されている間、水が規定割合(1分間あたり規定水量ごと)で継続して供給されるように構成されるため、その規定割合を下記の評価試験により導出した。
【0080】
(評価試験の方法)
汚れ対象繊維(コットン100%)に対して種々の汚れを塗布した場合に、その汚れを洗浄するために必要な水量を測定した。具体的には、種々の汚れとして、ラー油、ソースをそれぞれ1滴たらして、汚れ対象繊維に汚れを塗布した。その後、吐出部71cから先端カバー13内に吐出される水の量を種々変化させて、洗浄時間、使用水量、超音波洗浄機1の噴射動作について評価した。
【0081】
【0082】
例えば、約1.8ml/分及び約2.6ml/分の水量の場合、超音波洗浄機1の先端から常に水が霧状に噴射され、洗浄時間が比較的短いことが分かった。約0.7ml/分の水量の場合、超音波洗浄機1の先端から常に水が霧状に噴射されるが噴射の出方が弱いとともに、洗浄時間が比較的長いことが分かった。約0.5ml/分の水量の場合、超音波洗浄機1の先端から常に水が霧状に噴射されるが噴射の出方が弱いとともに、洗浄時間がさらに長いことが分かった。また、約3ml/分の水量の場合、超音波洗浄機1の先端から多くの水が霧状に噴射されるが、先端カバー13の挿通口16から水滴が落下する場合があることが分かった。
【0083】
このように、水供給スイッチ3aが操作されるときに、吐出部71cから先端カバー13内に吐出される水の量(規定割合)を、0.5~3ml/分に設定することで、超音波洗浄機1の先端から水が霧状に噴射されることが分かる。
【0084】
上記の評価試験の結果から、吐出部71cから先端カバー13内に吐出される水量が少なすぎると、洗浄時間が長くなることが分かる。また、ホーン31の先端面31aは、超音波振動しており、その温度が上昇する可能性があるが、ホーン31の先端面31aに供給される水により冷却される。ホーン31の先端面31aに供給される水量が少なすぎると、ホーン31の先端面31aを十分に冷却することができない。また、タンク60の水貯留空間63aに貯留可能な水量は、8mlであり、吐出部71cから先端カバー13内に吐出される水量が多すぎると、短時間でタンク60内の水が空になってしまう。
【0085】
吐出部71cから先端カバー13内に吐出される水量が多い場合及び少ない場合のメリット/デメリットは、表2のようになる。
【0086】
【0087】
そのため、これらを考慮すると、吐出部71cから先端カバー13内に吐出される水量は、1.0~2ml/分が好適であり、1.6~1.7ml/分がさらに好適である。
【0088】
(洗剤供給スイッチ3bが操作された際に供給される洗剤量の設定)
超音波洗浄機1において、洗剤供給スイッチ3bが操作された際に、吐出部72cから先端カバー13内に吐出される洗剤の量の設定方法について、表3に基づいて説明する。
【0089】
本実施形態では、洗剤供給スイッチ3bが1回押下される度に吐出される洗剤の規定量を下記の評価試験により導出した。
【0090】
(評価試験の方法)
汚れ対象繊維(コットン100%)に対して種々の汚れを塗布した場合に、その汚れ全体を覆うために必要な洗剤量を測定した。具体的には、種々の汚れとして、ラー油、ワイン、醤油、とんかつソース、焼肉のたれ、ごま油、オイスターソースをそれぞれ1滴たらして、汚れ対象繊維に汚れを塗布し、その後、5分間放置した。すると、各汚れが汚れ対象繊維において、所定サイズまで広がった。例えば、表3に示すように、ラー油は直径20mmの略円形の大きさまで広がり、醤油は直径25mmの略円形の大きさまで広がった。
【0091】
【0092】
その広がった各汚れに対して洗剤を付着して、汚れ全体を覆うのに必要な洗剤量を測定した。すると、例えば、ラー油の場合、直径20mmの汚れ全体を覆うのに必要な洗剤量は、0.075~0.1mlであり、醤油の場合、直径25mmの汚れ全体を覆うのに必要な洗剤量は、0.1mlであることが分かった。
【0093】
このようにして、洗剤供給スイッチ3bが1回押下される度に、吐出部72cから先端カバー13内に吐出される洗剤の量を、0.02~0.1mlに設定することで、超音波洗浄機1の先端から適正量の洗剤が供給されることが分かる。
【0094】
(超音波洗浄機1の使用方法)
超音波洗浄機1の使用例について、
図17に基づいて説明する。
図17は、超音波洗浄機1の使用例を示すタイムチャートである。
【0095】
超音波洗浄機1での洗浄行程は、表4に示すように、洗剤塗布行程、洗浄・すすぎ行程、乾燥行程の順に行われる。
【0096】
【0097】
図17のタイムチャートに示すように、時刻t1において、超音波洗浄機1が電源オフ状態であるときに、超音波発振スイッチ6が短押し(クリック)されるが、電源オン操作として受付られないため、超音波洗浄機1は、電源オン状態に切り替わらない。
【0098】
そのため、時刻t2において、洗剤供給スイッチ3bが操作されても洗剤供給の操作が受付られないため、超音波洗浄機1の先端から洗剤は流出しない。同様に、時刻t3において、水供給スイッチ3aが操作されても水供給の操作が受付られないため、超音波洗浄機1の先端から水は霧状に噴射されない。
【0099】
時刻t4において、超音波洗浄機1が電源オフ状態であるときに、超音波発振スイッチ6が長押しされる(例えば約1秒)と、電源オン操作として受付られて、超音波洗浄機1が電源オン状態に切り替わる。すると、時刻t5において、超音波がオンになるともに、超音波発振スイッチ6が点灯される。このように、超音波洗浄機1が電源オン状態に切り替わると、その後、ホーン31の先平面31aに対して水が供給される可能性があり、ホーン31を超音波振動させるため、超音波は自動的にオンになる。
【0100】
時刻t6において、超音波洗浄機1が電源オン状態であるときに、超音波洗浄機1の先端から洗剤を流出させるために洗剤供給スイッチ3bが操作されると、超音波がオフになり、超音波発振スイッチ6が消灯されて、洗剤供給ポンプ72がオンになる。このように、超音波洗浄機1の先端から洗剤を流出させる場合、ホーン31が超音波振動する必要がないため、超音波は自動的にオフになる。洗剤供給スイッチ3bが1回操作されると、所定洗剤量の洗剤が吐出されるように洗剤供給ポンプ72がオンされる所定時間が設定されており、洗剤供給ポンプ72のオン状態が所定時間継続される。
【0101】
そのため、時刻t6から所定時間が経過して時刻t7になると、洗剤供給ポンプ72がオフになり、超音波がオンになるともに、超音波発振スイッチ6が点灯される。
【0102】
時刻t8において、超音波洗浄機1の先端から水を霧状に噴射させるために、水供給スイッチ3aが操作されると、水供給ポンプ71がオンになる。水供給スイッチ3aが操作されている間、水が継続して先端カバー13内に吐出される。なお、水供給ポンプ71の水供給量は、デューティ制御により制御される。時刻t9において、水供給スイッチ3aが操作されなくなると、水供給ポンプ71がオフになる。
【0103】
時刻t10において、再度、超音波洗浄機1の先端から洗剤を流出させるために、洗剤供給スイッチ3bが操作されると、超音波がオフになり、超音波発振スイッチ6が消灯されて、洗剤供給ポンプ72がオンになる。その後、洗剤供給ポンプ72のオン状態が所定時間継続される。そのため、時刻t10から所定時間が経過して時刻t11になると、超音波がオンになるともに、超音波発振スイッチ6が点灯される。
【0104】
時刻t12において、再度、超音波洗浄機1の先端から水を霧状に噴射させるために、水供給スイッチ3aが操作されると、水供給ポンプ71がオンになる。水供給スイッチ3aが操作されている間、水が継続して先端カバー13内に吐出される。水供給スイッチ3aが操作されている間、先端カバー13内に水が継続して吐出されるが、超音波は、所定時間(例えば90秒)が経過すると自動的にオフになるように設定されている。
【0105】
そのため、時刻t12から所定時間(例えば90秒)が経過して時刻t13になると、超音波が自動的にオフになり、水供給ポンプ71がオフになり、超音波洗浄機1が電源オフ状態に切り替わる。
【0106】
その後、時刻t14において、水供給スイッチ3aの操作が停止され、超音波発振スイッチ6が長押しされる(例えば1秒)と、電源オン操作として受付られて、超音波洗浄機1が電源オン状態に切り替わる。すると、時刻t15において、超音波がオンになる。その後、先端カバー13内に水が吐出されずに、超音波がオンの状態が継続される。
【0107】
時刻t16において、超音波発振スイッチ6が長押しされる(例えば1秒)と、電源オフ操作として受付られて、超音波洗浄機1が電源オフ状態に切り替わる。
【0108】
超音波洗浄機1の操作方法をまとめると、表5のようになる。
【0109】
【0110】
以上説明したように本実施形態の超音波洗浄機1は、超音波振動子32に連結されたホーン31を有する超音波振動部30と、超音波振動部30を制御する制御装置40と、制御装置40に電力を供給するバッテリー52と、水または洗剤を収容するためのタンク60と、タンク60から超音波振動部30に水または洗剤を供給するためのポンプ部70とを備える。
【0111】
このような構成であると、タンク60内にあらかじめ水や洗剤などを貯留することができるため、衣類を洗浄する際に、わざわざ水や洗剤を別途準備する必要がない。
【0112】
本実施形態の超音波洗浄機1において、バッテリー52とタンク60を収容する筐体2を有し、筐体2内において、タンク60は、電池52及びバッテリカバー53の上方を跨ぐ形で配置される。
【0113】
このような構成であると、筐体2内において、タンク60がバッテリー50の少なくとも一部の上方を跨ぐ形で配置されるため、例えばタンク60がバッテリー50の先端側または後端側に配置される場合と比べて、製品の長さを短くできる。このように、筐体2内に収容される内部部品の配置構成を工夫することにより、超音波洗浄機1の使用性を満足しながら製品サイズを極力小さくすることができる。
【0114】
本実施形態の超音波洗浄機1において、タンク60は、水貯留空間63a及び洗剤貯留空間63bを有しており、各空間63a,63bに対してそれぞれ設けられた水供給ポンプ71及び洗剤供給ポンプ72を備え、超音波振動部30に対してタンク60の各空間63a,63bから別々の液体である水または洗剤を供給可能である。
【0115】
このような構成であると、例えば水及び洗剤をタンク60に貯留することにより、水と洗剤とを独立して超音波振動部30に供給できるため、水量、水の出方、洗剤量を最適化して効率的に衣類を洗浄することができる。これにより、ユーザーの好みに合わせた洗浄を実施することができる。
【0116】
本実施形態の超音波洗浄機1において、水供給ポンプ71及び洗剤供給ポンプ72は、ホーン31とタンク60との間において筐体2の長手方向に対して垂直方向に沿って配置される。
【0117】
このような構成であると、水供給ポンプ71及び洗剤供給ポンプ72がホーン31とタンク70との間において筐体2の長手方向に対して垂直方向に沿って配置されるため、例えば水供給ポンプ71及び洗剤供給ポンプ72がタンク70よりも後端側に配置される場合や水供給ポンプ71及び洗剤供給ポンプ72が筐体2の長手方向に沿って配置される場合と比べて、製品の長さを短くできる。このように、筐体2内に収容される内部部品の配置構成を工夫することにより、超音波洗浄機1の使用性を満足しながら製品サイズを極力小さくすることができる。
【0118】
本実施形態の超音波洗浄機1において、水供給ポンプ71及び洗剤供給ポンプ72は、それぞれ異なる水供給スイッチ3a及び洗剤供給スイッチ3bに接続され、各スイッチ3a,3bにより水供給ポンプ71及び洗剤供給ポンプ72の何れかを駆動することにより、超音波振動部に対して水貯留空間63a及び洗剤貯留空間63bにそれぞれ貯留された水及び洗剤の何れかを供給可能である。
【0119】
このような構成であると、水及び洗剤を供給するための水供給ポンプ71及び洗剤供給ポンプ72の水供給スイッチ3a及び洗剤供給スイッチ3bが独立しているので、ユーザーの好みに合わせて水量、洗剤量を調整し、洗浄することができる。
【0120】
本実施形態の超音波洗浄機1において、タンク60は、水を貯留する水貯留空間63a及び洗剤を貯留する洗剤貯留空間63bを含んでおり、水貯留空間63aが、洗剤貯留空間63bよりも大きいとともに、タンク60の水貯留空間63a及び洗剤貯留空間63bに貯留される水または洗剤の残量を筐体2の外部から確認できるように構成される。
【0121】
このような構成であると、例えば使用する水量の方が使用する洗剤量よりも多い場合に、水貯留空間63を洗剤貯留空間63bよりも大きくすることにより、各空間に貯留される水量または洗剤量を最適化し補充する頻度を少なくすることができる。また、水貯留空間63及び洗剤貯留空間63bに貯留される水残量や洗剤残量を筐体の外部から容易に確認することができる。
【0122】
本実施形態の超音波洗浄機1において、筐体2は、超音波振動子32に連結されたホーン31の基部を覆うとともに、ホーン31の先端部近傍が挿通される挿通口16を有する先端カバー13を含んでおり、タンク6の水貯留空間63a及び洗剤貯留空間63bから超音波振動部30に供給される水及び洗剤は、先端カバー13内においてそれぞれ吐出されるように構成され、先端カバー13内での水吐出位置が洗剤吐出位置よりも挿通口16から離れている。
【0123】
このような構成であると、先端カバー13内での水吐出位置を洗剤吐出位置よりも後方にすることで、先端カバー13内に付着した洗剤を水で洗い流すことができる。そのため、ホーン31の先端面31aに供給される水に洗剤が含まれることで、ホーン31の先端面31aから霧状の水が噴射されなくなるのを防止することができる。
【0124】
本実施形態の超音波洗浄機1において、先端カバー13を覆うように筐体2に対して着脱可能なキャップ2aと、キャップ2a内に収容可能であり、タンク60に水または洗剤を供給するために使用されるピペット81,82を備えており、ピペット81,82が収容された状態のキャップ2aが筐体2に対して取り付けられると、ピペット81,82の一部が先端カバー13に形成された収容穴13c1,13c2内に配置される。
【0125】
このような構成であると、タンク60に水または洗剤を供給する際にピペット81,82を使用することで、水または洗剤が手に付着することを防ぐことができるとともに、キャップ2a内のデッドスペースを有効に使うことにより製品サイズを極力小さくすることができる。
【0126】
(第2実施形態)
本実施形態の超音波洗浄機101が、第1実施形態の超音波洗浄機1と異なる点は、先端カバー113の形状である。なお、超音波洗浄機101の構成において、第1実施形態の超音波洗浄機1と同様の構成については、詳細説明は省略する。
【0127】
超音波洗浄機101の先端近傍の構成について、
図18に基づいて説明する。
図18(a)は、超音波洗浄機101の先端近傍の断面図であり、
図18(b)は、超音波洗浄機101を先端側から見た図である。
【0128】
先端カバー113は、上カバー11及び下カバー12の先端側に取り付けられる略平坦形状の取り付け部113aと、取り付け部113aから先端側に向かって先細り形状に突出する突出部113bとを有している。先端カバー113は、その全体が略筒状に形成されており、ホーン31の基端部の周囲に配置される。
図18(a)に示すように、先端カバー113の突出部13bの先端には、略円形断面の挿通口16が形成されており、その挿通口116から略円柱形状のホーン31の先端部が突出する。
【0129】
先端カバー113の突出部113bの先端には、ホーン31の外周面に向かって折れ曲がる屈曲部113tが形成される。屈曲部113tは、所定厚さを有しており、ホーン31の外周面と対向するホーン対向面113t1と、先端カバー113内において後端側を向いた段形成面113t2とを有している。ホーン対向面113t1は、ホーン31の外周面と平行な方向に先端方向から後端方向に向かって所定厚さ延びるように円筒形状に形成される。段形成面113t2は、ホーン31の外周面と垂直な方向に延びており、先細り形状の内周面13t3との境界部分に段差部tnが形成される。先端カバー113の先端、すなわち、屈曲部113tの先端には、挿通口116が形成されている。
【0130】
このように、先端カバー113は、ホーン31の全周を覆っており、先端カバー113の内周面とホーン31の外周面とは接触しないように構成される。そのため、
図18(b)に示すように、先端カバー113の突出部113bの挿通口116の縁部とホーン31の外周面との間には、全周にわたって略同一幅の隙間Tが形成される。
【0131】
上記隙間Tは、水供給ポンプ71によって先端カバー13内に吐出される水を、ホーン31の先端面31aへ導くための経路において、ホーン31の先端面31aに供給される水の量を調整する調整部Aとして機能する。すなわち、本実施形態において、上記隙間Tにより、ホーン31の先端面31aに供給される水の量が調整される。
【0132】
超音波洗浄機101の使用状態において、超音波振動するホーン31の先端面31aから霧が噴射される際の動作について、
図19(a)~
図19(c)基づいて説明する。
【0133】
超音波洗浄機101は、
図19(a)に示すように、その先端が下方斜め方向を向いている状態で使用される。超音波洗浄機101の使用状態において、水供給用ポンプ71に接続された接続配管71bの吐出部71cから先端カバー113内に水が吐出されると、その吐出された水は、先端カバー13の内周面上を移動して挿通口116に向かって移動する。そのとき、先端カバー113の内周面上を移動する水は、水滴となって移動してもよいし、水滴ではなく薄い水膜を形成した状態で移動してもよい。
【0134】
このようにして、挿通口116に向かって移動した水は、挿通口116を通過して外部に移動しようとするが、挿通口116の縁部とホーン31の外周面との間に形成される隙間Tが比較的小さい所定幅に設定されているため、先端カバー113内の挿通口116近傍の段差部tnに水溜まりが形成される。その後、先端カバー113内の挿通口116近傍に溜まった水は、上記隙間Tから徐々に外部へ流れ出して、ホーン31の先端面31aに向かって移動する。そのとき、上記隙間Tから外部へ流れ出した水は、
図19(b)に示すように、ホーン31の外周面上に薄い水膜を形成した状態でホーン31の先端面31aに向かって移動する。
【0135】
その後、薄い水膜を形成した水がホーン31の先端面31aに到達すると、ホーン31の先端面31aは超音波振動しているため、
図19(c)に示すように、その水は、ホーン31の先端面31aにおいて霧状に変化して、霧状の水が下方斜め方向に向かって噴射される。
【0136】
本実施形態の超音波洗浄機101では、第1実施形態の超音波洗浄機1と同様の効果が得られる。
【0137】
(第3実施形態)
本実施形態の超音波洗浄機301が、第1実施形態の超音波洗浄機1と異なる点は、先端カバー313の形状とホーン31の形状である。なお、超音波洗浄機301の構成において、第1実施形態の超音波洗浄機1と同様の構成については、詳細説明は省略する。
【0138】
超音波洗浄機301の先端近傍の構成について、
図20に基づいて説明する。
図20(a)は、超音波洗浄機301の先端近傍の断面図であり、
図20(b)は、超音波洗浄機301を先端側から見た図である。
【0139】
先端カバー313は、上カバー11及び下カバー12の先端側に取り付けられる略平坦形状の取り付け部313aと、取り付け部313aから先端側に向かって先細り形状に突出する突出部313bとを有している。先端カバー313は、その全体が略筒状に形成されており、ホーン331の基端部の周囲に配置される。
図20(a)に示すように、先端カバー313の突出部313bの先端には、略矩形断面の挿通口316が形成されており、その挿通口316から略円柱形状のホーン331の先端部が突出する。このように、先端カバー313は、ホーン331の全周を覆っており、先端カバー313の内周面とホーン31の外周面とは接触しないように構成される。そのため、
図20(b)に示すように、先端カバー313の突出部313bの挿通口316の縁部とホーン331の外周面との間には、全周にわたって略同一幅の隙間Tが形成される。
【0140】
本実施形態の超音波洗浄機301では、第1実施形態の超音波洗浄機1と同様の効果が得られる。
【0141】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本実施形態の構成は上述したものに限定されず、種々の変形が可能である。
【0142】
例えば、上記第1及び第2実施形態では、略円柱形状の先端部を有するホーン31を使用する場合を説明し、上記第3実施形態では、略円柱形状の先端部を有するホーン331を使用する場合を説明したが、ホーンの形状は、任意である。また、ホーンの材質も任意であり、例えばアルミ製、ステンレス製のものを使用可能である。
【0143】
上記第1実施形態では、タンク60が電池52及びバッテリカバー53の上方を跨ぐ形で配置されているが、それに限られない。例えば、筐体2内において、タンク60がバッテリー50の先端側または後端側に配置されてもよい。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0144】
上記第1実施形態では、水供給ポンプ71及び洗剤供給ポンプ72が、筐体2の長手方向に対して垂直方向に沿って配置される、それに限られない。例えば、筐体2内において、水供給ポンプ71及び洗剤供給ポンプ72が筐体2の長手方向に沿って配置されてもよい。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0145】
上記第1実施形態では、タンク60が複数の液体である水及び洗剤を貯留可能であり、水供給ポンプ71及び洗剤供給ポンプ72が、複数の液体ごとに設けられる場合を説明したが、それに限られない。本発明の超音波洗浄機1(霧噴射装置)において、タンク60が水及び洗剤の何れかのみを貯留可能でもよい。また、タンク60が水及び洗剤とは異なる液体を貯留可能でもよい。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0146】
上記第1実施形態では、タンク60が、水を貯留する水貯留空間63a及び洗剤を貯留する洗剤貯留空間63bを含んでおり、タンク60の水貯留空間63aが洗剤貯留空間63bよりも大きい場合を説明したが、水貯留空間63aの大きさ及び洗剤貯留空間63bの大きさは、任意である。例えば、タンク60の水貯留空間63aと洗剤貯留空間63bとが同一の大きさでもよい。また、タンク60の洗剤貯留空間63bが水貯留空間63aよりも大きくてもよい。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0147】
上記第1実施形態では、ポンプ部70がホーン31とタンク60との間に配置される場合を説明したが、それに限られない。例えば、筐体2内において、ポンプ部70が、タンク60よりも後端側に配置されてもよい。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0148】
上記第1実施形態では、筐体2の外部からタンク60の各空間63a,63bに貯留される水または洗剤の残量を筐体2の外部から確認できるように構成される場合を説明したが、それに限られない。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0149】
上記第1実施形態では、先端カバー13内での水吐出位置が洗剤吐出位置よりも挿通口16から離れている場合を説明したが、それに限られない。例えば、先端カバー13内での水吐出位置と挿通口16との距離が洗剤吐出位置と挿通口16との距離と同一でもよい。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0150】
上記第1実施形態では、タンク60に水または洗剤を供給するために使用されるピペット80,81をキャップ2a内に収容可能に構成される場合を説明したが、それに限られない。本発明に係る超音波洗浄機1は、タンク60に水または洗剤を供給するために使用されるピペット80,81を有してなくてもよい。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0151】
上記第1実施形態では、タンク60が複数の液体である水及び洗剤を貯留可能であり、水供給ポンプ71及び洗剤供給ポンプ72が、複数の液体ごとに設けられる場合を説明したが、それに限られない。本発明の超音波洗浄機1(霧噴射装置)において、タンク60が水及び洗剤の何れかのみを貯留可能でもよい。また、タンク60が水及び洗剤とは異なる液体を貯留可能でもよい。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0152】
上記第1~第3実施形態では、本発明に係る霧噴射装置を備える超音波洗浄機1について説明したが、本発明に係る霧噴射装置は、超音波洗浄機1と異なる装置に備えられてもよい。
【0153】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0154】
1 超音波洗浄機
2 筐体
3a 水供給スイッチ
3b 洗剤供給スイッチ
13 先端カバー
16 挿通口
30 超音波振動部
32 超音波振動子
31 ホーン
31a ホーンの先端面
40 制御装置
50 バッテリー
60 タンク
70 ポンプ部
71 水供給ポンプ
72 洗剤供給ポンプ
A 調整部
T 隙間