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  • 特開-サポートブラケット 図1
  • 特開-サポートブラケット 図2
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  • 特開-サポートブラケット 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035752
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】サポートブラケット
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20230306BHJP
   F16L 3/10 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
F01N13/08 D
F16L3/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021162194
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(72)【発明者】
【氏名】五十川 康博
【テーマコード(参考)】
3G004
3H023
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004BA04
3G004DA13
3G004FA04
3G004FA08
3G004GA04
3G004GA06
3H023AA03
3H023AB01
3H023AC02
3H023AD31
3H023AD57
(57)【要約】
【課題】支持(懸架)する配管の中心軸とサポートロッドの係止部の中心軸とが平行である配置においても、サポートブラケット単体で配管の径差によるアライメント差を吸収して、共通使用できるようなサポートブラケットを提供する。
【解決手段】車両の配管に固定され配管を車両へ支持するサポートブラケットにおいて、天壁と該天壁の両側に直交し連続する一対の側壁とからなる一対の部材を備え、一対の側壁には挿通孔が同軸状に穿設され、側壁同士の一部を当接させた状態で一対の部材が向い合せて嵌合されるとともに挿通孔にサポートロッドの挿通部が挿通された状態で固定され、サポートロッドは、挿通部に対してオフセットした係止部を具備する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の配管に固定され該配管を車両へ支持するサポートブラケットにおいて、
天壁と該天壁の両側に直交し連続する一対の側壁とからなる一対の部材を備え、
前記一対の側壁には挿通孔が同軸状に穿設され、
前記側壁同士の一部を当接させた状態で前記一対の部材が係合されるとともに前記挿通孔に前記サポートロッドの挿通部が挿通された状態で固定され、
前記サポートロッドは、前記挿通部に対してオフセットした係止部を具備することを特徴とするサポートブラケット。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の配管を車体に支持するサポートブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の車体の床下などにおいて流体を通す配管、例えば排気管を車体に支持(懸架)する構造として、排気管に固定されたサポートブラケット(別称:ハンガーブラケット、支持装置)が、サポートロッド(別称:ハンガーロッド、懸架ロッド)及び弾性部材(別称:サポートゴム)を介して、車体のクロスメンバ等に懸架支持される構造が知られている。当該構造によれば、排気管からの振動が弾性部材によって吸収され、車体へ伝達されることを抑制できる。
【0003】
特に特許文献1においては、取付けるべき排気管の直径が異なる場合であっても、車両側の接続部品であるサポートゴムの位置を変更することなく、構成部材の相対関係および取付姿勢を変更するだけで共通使用できるようなサポートブラケットが提案されている。該サポートブラケットによれば、車体の取付け部材側の変更やサポートブラケットの新設をする必要が無くなるので、合理的かつ経済的である。
【0004】
具体的な共通使用状態を、図4において説明する。図4は、小径の排気管101にサポートブラケット100を溶接等で取付け、サポートゴム107(二点鎖線で図示)にて支持する場合を実線で、大径の排気管102を支持する場合を二点鎖線で示している。この時、両排気管の中心軸oおよび係止部106の中心軸108は共通であることを制約条件とする。径差に応じて、部材103と部材104の相対角度(開き具合)が変わるとともに、挿入部の中心軸aがbへと僅かながら移動する。それに伴い、係止部106は中心軸上を図右方へ移動し、係止部先端cも僅かながらdへと移動する。
【0005】
このように、排気管の径差は係止部106の中心軸108上での移動に変換されるが、係止部先端cがdへと僅かに移動してもサポートゴム107とは干渉せず、また、支持上も問題がない。したがってサポートブラケット100によれば、車体側部材であるサポートゴム107の位置を変更することなく、支持する排気管の径差を吸収できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6607452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のサポートブラケット100により径差を吸収可能な共通使用は、図4のような排気管の軸芯と直行する面内において非放射状にサポートロッドの支持部の中心軸108が配置される場合に限定される。したがって、排気管の中心軸oとサポートロッド105の係止部106の中心軸とが平行な配置においては適用できなかった。そのような平行配置は実際の車両に多用されるため、平行配置時にも共通使用が可能なサポートブラケットが待たれている。
【0008】
そこで本発明は、支持する配管の中心軸とサポートロッドの係止部の中心軸とが平行な配置においても、サポートブラケット単体で配管の径差によるアライメント差を吸収して、共通使用できるようなサポートブラケットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために本発明は、車両の配管に固定され該配管を車両へ支持するサポートブラケットにおいて、m天壁と該天壁の両側に直交し連続する一対の側壁とからなる一対の部材を備え、前記一対の側壁には挿通孔が同軸状に穿設され、前記側壁同士の一部を当接させた状態で前記一対の部材が係合されるとともに前記挿通孔に前記サポートロッドの挿通部が挿通された状態で固定され、前記サポートロッドは、前記挿通部に対してオフセットした係止部を具備することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、支持する配管の中心軸とサポートロッドの係止部の中心軸とが平行な配置においても、サポートブラケット単体で、配管の径差によるアライメント差を吸収でき、単一のサポートブラケットにて共通使用を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る上面視および正面視である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る上面視および正面視である。
図3】本発明のサポートブラケットの構成を示す斜視図である。
図4】従来のサポートブラケットの正面視である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の望ましい実施形態について図を参照して説明する。先ず、図3を用いて、本発明品であるサポートブラケット1の構成を説明する。一対の部材2,3は同一部材であって、天壁5と、天壁5の両側に連続して直交する一対の側壁6と7を備え、これらは金属板をプレス加工によりコ字状に折り曲げて形成される。なお、図1に示す第1実施形態のサポートブラケット1も、図2に示す第2実施形態のサポートブラケット200も、構成品である一対の部材2,3およびサポートロッド4は共通品である。
【0013】
一対の部材2,3は、それぞれ配管の外周面に溶接等により固定されるためのフランジ部8を天壁5の端縁に備える。これらもプレス加工により折り曲げて形成される。また、側壁6、7のそれぞれには、サポートロッド4が挿通される挿通孔9および10が同軸状に穿設されている。
【0014】
一対の部材2と3は、向い合せて相互に係合され、一対の側壁6と7は、側壁に直交する方向に板厚分オフセットして当接されて挿通孔9と10の軸芯同士を一致された後、挿通孔9および10へサポートロッド4の挿入部11が貫通挿入される。そして、側壁6と7の一部同士が溶接接合されるとともに、挿通孔9および10周縁にて側壁6、7とサポートロッドの挿入部11とが全周溶接されて、サポートブラケット1および200が形成される。
【0015】
一対の部材2、3を当接させる際に挿通孔9および10の軸芯(すなわち挿入部11の軸心)を中心として相対的に回動させることによって、一対の部材2、3における天壁5同士の相対角度を調整することができる。なお、本実施形態のように、部材2と3は同一部材であることが好ましいが、必要に応じて形状の異なる別部材を組合わせても構わない。
【0016】
このようにして、一定角度で部材2と3およびサポートロッド4が相対固定されたサポートブラケット1を、図示しない配管の外周面に溶接等で固定して、支持(懸架)構造が構成される。
【0017】
次に図1および図2を用いて、サポートブラケット1および200の実施形態および実際の使用状態を説明する。図1は、小径の配管αを支持(懸架)する状態を、図2は大径の配管βを支持(懸架)する状態を現す。図1および図2の下側図は、配管の中心軸oの延長方向から水平状に見た正面図で、紙面の左右方向が水平方向および車両の幅方向に相当する、また、上側図は、鉛直上方から見下ろした上面視であり、紙面の上下方向が車両の前後方向に相当する。
【0018】
図1の第1の実施形態において、車両の前後方向へ延在する配管、具体的には車両床下に懸架される小径配管αの外周面に、サポートブラケット1のフランジ部8が溶接部15、16によって固定されている。このとき、配管αの中心軸oとサポートロッド4の中心軸mとは平行で、その距離はHである。そして、中心軸oと中心軸mは鉛直方向にIだけ離れている。また、部材2と3の天壁5同士の相対開き角度はJである。
【0019】
サポートロッド4は、挿通孔9、10に嵌装固定される挿入部11と、サポートゴムに挿通される係止部13と、挿入部11と係止部13を結ぶクランク部12と、係止部13先端に形成された膨出部14とから成る。挿入部11と係止部13とは、平行すなわち距離Fだけオフセットした状態である。膨出部14の先端eは中心軸m上にある。
【0020】
以上のような構成部品の位置関係を保って、部材2および3とサポートロッド4とが17および18にて全周溶接にて固定されて、サポートブラケット1が完成する。そのサポートブラケット1の係止部13を図示しないサポートゴムに係止部13を挿入することで、排気管である配管αが車両床下に支持(懸架)される。
【0021】
図2の第2の実施形態は、サポートブラケット1を大径配管βの懸架に適用したサポートブラケット200である。なお、図1図2のサポートブラケットは、それぞれ異なる角度で部材2と3およびサポートロッド4が相対固定されている点のみが異なる。すなわち、同一構成品を用いて自己組付け(相対角度)を変更するだけで共通使用できるものである。
【0022】
図2に示す第2の実施形態は、サポートブラケット200を、配管αに対して15%ほど大径の配管βに取付けた例である。車両の前後方向へ延在する配管βの外周面に、サポートブラケット200のフランジ部8が溶接部19、20によって溶接にて固定されている。第1の実施形態における中心軸oおよび中心軸mの位置を変えないという制約条件を順守している。すなわち車両側の懸架部品(サポートゴム等)や配管中心軸を移動させるような大変更を伴わず配管径だけを変更したい場合に、サポートブラケット自身の構成品の相対位置変更のみで対応できるということである。
【0023】
具体的な制約条件としては、配管βの中心軸oとサポートロッド4の中心軸mが平行でその距離はHのままであり、そして、中心軸oと中心軸mの鉛直方向距離もIのままとなる。このような制約条件に応じるために、第2実施形態におけるサポートブラケット200は、先ず部材2と3の天壁5同士の相対開き角度をKとして、配管βの外周に当接させる。そして、それによって部材2と3の相対開き角度中心lが移動する分を、サポートロッド4の回動にて吸収する。
【0024】
結果として、中心軸oと中心軸mとを結ぶ線は、第1実施形態においては水平であったが、第2実施形態においては角度Nだけ紙面上右上がりへ変更された。また、サポートロッド4のクランク部12の中心軸も、第1実施形態において紙面上右上がりであったが、第2実施形態においては紙面上右下がりへと変更された。このように、部材2および3の相対開度や姿勢の変更に伴うアライメント変更は、配管とオフセットしたクランク状のサポートロッド4を回動させることで、吸収可能となる。
【0025】
なお、実際の量産工程においては、毎回、部材2と3を配管βの外周に当接させた後に、サポートロッド各部を相互に溶接固定するのではなく、各構成部品が所定角度で溶接された完成品としてのサポートロッド4を配管外周へ溶接し、その配管を車両床下へ支持(懸架)する際にサポートロッド4をサポートゴムへ挿通固定する、という工程となる。したがってサポートロッド4は、対配管の組付け時の設定自由度が高いというよりも、設計自由度が高いために共通使用が可能であるという効果が大きい。
【0026】
本発明によれば、支持(懸架)する配管の中心軸とサポートロッドの係止部の中心軸とが平行な配置においても、サポートブラケット単体で、配管の径差によるアライメント差を吸収でき、単一のサポートブラケットにて共通使用を実現できる。
【0027】
以上、本発明の実施形態を説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱し範囲の変更があっても本発明に包含される。適用される車両の配管としては、内燃機関に接続する排気管に限ることなく、その他流体、例えば燃料電池の吸排気配管や、燃料やオイル等の液体を輸送する配管にも適用される。
【符号の説明】
【0028】
1、200 サポートブラケット
2 第1部材
3 第2部材
4 サポートロッド
5 天壁
6、7 側壁
8 フランジ部
9、10 挿通孔
11 挿入部
12 クランク部
13 係止部
14 膨出部
15、16、19、20 溶接部
α、β 配管
図1
図2
図3
図4