(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035763
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】芋酢の製造方法
(51)【国際特許分類】
C12J 1/00 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
C12J1/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021163734
(22)【出願日】2021-09-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】511300053
【氏名又は名称】株式会社エコハイテクコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 良司
【テーマコード(参考)】
4B128
【Fターム(参考)】
4B128BC10
4B128BL03
4B128BL09
4B128BL38
4B128BP30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】解決しようとする課題は、産業廃棄物として処理される加工残渣を有効活用すること及びアルコール発酵及び酢酸菌を用いない酢の製造方法を提供することにある。
【解決手段】芋または芋の加工残渣に熱湯を加え、次に常温水、米麹、ドライイーストを加えて撹拌後、発酵させることを特徴とする芋酢または芋酢の製造方法である。前記熱湯と常温水に替えてぬるま湯を加えてもよい。本発明の芋酢は、一般的な酢と比較して、pHが高めの2.0~3.5程度であり、酸味が抑えられ、糖度が7前後のまろやかな酢に仕上げることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芋またはその加工残渣に熱湯を加え、次に常温水、米麹、ドライイーストを加えて撹拌後、発酵させることを特徴とする芋酢。
【請求項2】
芋またはその加工残渣に熱湯を加え、次に常温水、米麹、ドライイーストを加えて撹拌後、発酵させることを特徴とする芋酢の製造方法。
【請求項3】
芋またはその加工残渣にぬるま湯を加え、次に米麹、ドライイーストを加えて撹拌後、発酵させることを特徴とする芋酢。
【請求項4】
芋またはその加工残渣にぬるま湯を加え、次に米麹、ドライイーストを加えて撹拌後、発酵させることを特徴とする芋酢の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芋酢の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酢の製造には、アルコール発酵及び酢酸菌を用いることが一般的である。
また、酢の原料となるさつま芋に代表される根菜類等の加工残渣は、肥料として利用されなければ、産業廃棄物として処理されており、環境面及び食品廃棄ロスの観点からも課題となっている。
【0003】
例えば、特開平10-150971号には、穀類の麹、酵母および水により一次酢醪を調製し、これにさつまいもを加えて二次酢醪を調製し、アルコール発酵させた後、これに水を加え、酢酸菌を接種して三次酢醪を調製し、酢酸発酵させることを特徴とするさつまいも酢の製造方法が開示されているが、加工残渣を用いるものではなく、アルコール発酵及び酢酸菌を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-150971号(段落0009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、産業廃棄物として処理される加工残渣を有効活用することで、食品廃棄ロスを軽減し、且つアルコール発酵及び酢酸菌を用いない酢の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
芋または芋の加工残渣に熱湯を加え、次に常温水、米麹、ドライイーストを加えて撹拌後、発酵させることを特徴とする芋酢または芋酢の製造方法である。
【0007】
前記熱湯及び常温水に替えて、ぬるま湯を加えることを特徴とする芋酢または芋酢の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の芋酢は、アルコール発酵及び酢酸菌を用いていないため、まろやかな酢として仕上げることができる。一般的な酢と比較して、pHが高めの2.0~3.5程度であり、酸味が抑えられ糖度が7前後と独特の醸造酢となっている。
【0009】
本発明の芋酢は酸味が抑えられているため、そのまま飲料してもよく、調味料、調味料の添加剤としてもよく、又は焼酎等の混合液として利用することもできる
【0010】
本発明の芋酢は、加工残渣や規格外品を利用することで、食品廃棄ロスの低減につなげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一例としての芋酢の製造過程を示す図
【発明を実施するための形態】
【実施例0012】
本発明の芋酢の製造方法について、図面を引用して説明する。
【0013】
図1の製造過程に順じて説明する。例えば、原料として容器に入った芋の残渣2kgに熱湯2kgを加え、次に常温水3kg、米麹400g、ドライイースト4gを加え撹拌する。撹拌後、容器に蓋をして、温度を36度から40度の範囲内で、発酵が止まる14日程度保管する。発酵が終わった後、濾過し芋酢が完成する。濾過は複数回行ってもよい。濾過の繰り返すことで、不純物が除去され透明度が高くなる。
【0014】
上記投入量は一例として示すものであり、投入量は上記の割合に準じて調整すればよい。上記投入量を比で表した場合、芋の残渣を1として、熱湯1、常温水1.5、米麹0.2、ドライイースト0.002となる。また、投入量は前記を基本として、適宜調整は可能であり、前記投入量に限定されるものでもない。
【0015】
芋の残渣としては、例えば、干芋を作る過程におけるさつま芋の残渣が望ましいが、ジャガイモや里芋等の加工残渣など、これに限定するものではない。原料への添加物としては、水と麹とドライイーストのみであり、アルコールや酢酸菌を使用していないことに特徴を有している。本製法により完成した芋酢は、一般的な酢と比較して、pHが高めの2.0~3.5程度の酸味が抑えられ糖度が7前後と独特の醸造酢となっている。
【0016】
また、規格外品等で市場に流通できないものも原料として利用でき、食品廃棄ロスの軽減につながる。当然であるが、原料として加工残渣を用いず、原料そのものを用いもよい。高価にはなるが、より風味のある酢が完成する。
【0017】
熱湯を加えることで、殺菌効果により不要な菌や微生物を除去することができる。熱湯に替えてぬるま湯を加えてもよい。ぬるま湯の温度は、36度~48度が望ましいが、これに限定するものではない。
【0018】
発酵時の温度維持には、空調により室内の温度を制御する方法等があるが、容器の周囲にヒーター等の熱源を設けてもよい。小規模でより簡略的な方法としては、電気毛布やコタツを利用する方法もある。