(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035770
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】認知症疑似体験装置、及び認知症疑似体験プログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 9/00 20060101AFI20230306BHJP
G16H 50/50 20180101ALI20230306BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
G09B9/00 Z
G16H50/50
G06F3/01 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194829
(22)【出願日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2021141977
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500543029
【氏名又は名称】株式会社メディヴァ
(71)【出願人】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木内 大介
(72)【発明者】
【氏名】鮑 柯含
(72)【発明者】
【氏名】青木 朋美
(72)【発明者】
【氏名】大石 佳能子
(72)【発明者】
【氏名】沈 襲明
(72)【発明者】
【氏名】パイ・ユン・スエン
(72)【発明者】
【氏名】南澤 孝太
【テーマコード(参考)】
5E555
5L099
【Fターム(参考)】
5E555AA29
5E555BA38
5E555BB38
5E555BC01
5E555BE17
5E555CA42
5E555DA08
5E555DB53
5E555FA00
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】
認知症患者の視覚を疑似的に再現することにより、認知症を疑似的に体験することができる認知症疑似体験装置、及び認知症疑似体験プログラムを提供する。
【解決手段】
利用者が頭部に装着して利用する認知症体験装置であって、現実世界を撮像する撮像手段と、撮像により得られた画像情報を補正する補正手段と、補正された画像情報に基づいて、補正された現実世界の状態を表示画面に表示する表示手段とを備える認知症疑似体験装置に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が頭部に装着して利用する認知症疑似体験装置であって、
現実世界を撮像する撮像手段と、
撮像により得られた画像情報を補正する補正手段と、
補正された画像情報に基づいて、補正された現実世界の状態を表示画面に表示する表示手段と
を備える認知症疑似体験装置。
【請求項2】
補正手段による補正が、認知症の症状である視野狭窄、光の知覚低下、瞳孔反応の速度低下、コントラスト感覚の低下、奥行き感覚の低下、パターンの誤認、及び/又は、反射の誤認に対応する補正である、請求項1に記載の認知症疑似体験装置。
【請求項3】
コンピュータ装置を、
現実世界を撮像する撮像手段と、
撮像により得られた画像情報を補正する補正手段と、
補正された画像情報に基づいて、補正された現実世界の状態を表示画面に表示する表示手段
として機能させる認知症疑似体験プログラム。
【請求項4】
現実世界を撮像する撮像手段と、撮像により得られた画像情報を補正する補正手段と、補正された画像情報に基づいて、補正された現実世界の状態を表示画面に表示する表示手段とを備える認知症疑似体験装置を、利用者が表示画面を視ることができるように頭部に装着するステップと、
利用者と異なる第三者が、利用者に所定の動作を実行させるように誘導するステップと、
を有する認知症疑似体験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認知症患者の視覚を疑似的に再現することにより、認知症を疑似的に体験することができる認知症疑似体験装置、及び認知症疑似体験プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者人口の増加にともない、認知症患者数も増加しており、認知症患者が安心、快適に生活できる環境を提供するために、認知症患者を看護、サポートする看護者が、認知症をより深く理解することが求められている。このような状況のもと、例えば、VR(仮想現実)技術を用いて、認知症患者の視覚を再現して、認知症を疑似的に体験することが提案されている。ただし、このような認知症疑似体験装置は、認知症患者が視ている世界を仮想空間により表現するため、現実世界と比べてリアリティに乏しく、現実に近い状態で体験ができない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、認知症患者の視覚を疑似的に再現することにより、認知症を疑似的に体験することができる認知症疑似体験装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の課題は、
[1]利用者が頭部に装着して利用する認知症疑似体験装置であって、現実世界を撮像する撮像手段と、撮像により得られた画像情報を補正する補正手段と、補正された画像情報に基づいて、補正された現実世界の状態を表示画面に表示する表示手段とを備える認知症疑似体験装置;
[2]補正手段による補正が、認知症の症状である視野狭窄、光の知覚低下、瞳孔反応の速度低下、コントラスト感覚の低下、奥行き感覚の低下、パターンの誤認、及び/又は、反射の誤認に対応する補正である、前記[1]に記載の認知症疑似体験装置;
[3]コンピュータ装置を、現実世界を撮像する撮像手段と、撮像により得られた画像情報を補正する補正手段と、補正された画像情報に基づいて、補正された現実世界の状態を表示画面に表示する表示手段として機能させる認知症疑似体験プログラム;
[4]現実世界を撮像する撮像手段と、撮像により得られた画像情報を補正する補正手段と、補正された画像情報に基づいて、補正された現実世界の状態を表示画面に表示する表示手段とを備える認知症疑似体験装置を、利用者が表示画面を視ることができるように頭部に装着するステップと、利用者と異なる第三者が、利用者に所定の動作を実行させるように誘導するステップとを有する認知症疑似体験方法;
により達成することができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、認知症患者の視覚を疑似的に再現することにより、認知症を疑似的に体験することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる認知症疑似体験装置を構成するコンピュータ装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態にかかる表示処理のフローチャートを示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態にかかる第1処理のフローチャートを示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態にかかる第2処理のフローチャートを示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態にかかる第3処理のフローチャートを示す図である。
【
図6】本発明の実施の形態にかかる第4処理のフローチャートを示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態にかかる第5処理のフローチャートを示す図である。
【
図8】本発明の実施の形態にかかる第6処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0008】
認知症の症状としては、例えば、視覚障害、注意障害、空間認知・視覚認知障害があげられる。視覚障害としては、例えば、視野狭窄、光の知覚低下(暗い所でより暗く感じる)、瞳孔反応の速度低下(周囲が急に明るくなった場合により眩しさを感じる)、コントラスト感覚・色覚の低下(コントラストを知覚する感度が低下し、色の識別がしにくくなる)等があげられる。また、注意障害としては、例えば、注意集中ができない(周囲の状況に影響を受けやすく、目の前のことに集中できない)、ビジュアル検索ができない(多くの情報から欲しい情報を探し出せない)等の障害があげられる。空間認知・視覚認知障害としては、パターンや反射の誤認(床などパターンのあるものの模様が動いて見える、実際はない模様や反射をあるように見える)、奥行き知覚の低下(物を3次元で認識しにくく、物がどれだけ遠くにあるかがわからない)等があげられる。さらに、認知症患者の多くは高齢者であり、高齢者特有の感覚障害としては、例えば、老眼(視力の低下)、老人性難聴(聴力の低下)等があげられる。
【0009】
本発明の認知症疑似体験装置(以下、「疑似体験装置」ともいう)によれば、現実世界の画像をもとに、上で述べた認知症の症状のうち、視野狭窄、光の知覚低下、瞳孔反応の速度低下、コントラスト感覚の低下、奥行き感覚の低下、パターンの誤認、反射の誤認、及び/又は、視力の低下などの症状に対応する画像を表示画面に表示することができる。疑似体験装置では、視野狭窄、光の知覚低下、瞳孔反応の速度低下、コントラスト感覚の低下、奥行き感覚の低下、パターンの誤認、反射の誤認、又は、視力の低下などの症状のうち、1つの症状(例えば、視野狭窄)のみに対応する画像を表示画面に表示することもできるし、これらの症状のうちの2つ以上の症状(或いは全ての症状)を組み合わせた状態に対応する画像を表示画面に表示することもできる。なお、本発明の疑似体験装置によれば、上記のいずれの症状に対応する画像を表示画面に表示するのかを、利用者の操作により選択することもできる。また、本発明の疑似体験装置によれば、現実世界の音をもとに、上で述べた老人性難聴などの症状に対応する音を出力することができる。疑似体験装置では、上述の1以上の症状に対応する画像を表示画面に表示しながら、老人性難聴などの症状に対応する音を出力することもできる。
【0010】
疑似体験装置は、例えば、スマートフォンなどの携帯型のコンピュータ装置と、このコンピュータ装置を利用者の頭部に装着するための装着具から構成される。スマートフォンを装着具に固定し、利用者の頭部に装着することで、コンピュータ装置の表示画面を利用者の両目の正面に固定することができる。装着具としては、市販のスマートフォン用のゴーグルを用いることができる。疑似体験装置を構成するコンピュータ装置は、情報を入力するための入力機能、表示画面に画像を表示するための表示機能、及び/又は、現実世界を撮像するための撮像機能(カメラ機能)を有するものであれば、特に限定されない。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態にかかる認知症疑似体験装置を構成するスマートフォンなどのコンピュータ装置の構成を示すブロック図である。コンピュータ装置1は、制御部11、RAM12、ストレージ部13、サウンド処理部14、グラフィックス処理部15、通信インタフェース16、インタフェース部17、ビデオメモリ19、表示部21、及び撮像部24からなり、それぞれ内部バスにより接続されている。
【0012】
制御部11は、CPUやROMから構成される。制御部11は、ストレージ部13に格納されたプログラムを実行し、コンピュータ装置1の制御を行なう。RAM12は、制御部11のワークエリアである。ストレージ部13は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。制御部11は、プログラム及びデータをRAM12から読み出して処理を行なう。制御部11は、RAM12にロードされたプログラム及びデータを処理することで、サウンド出力の指示をサウンド処理部14に出力し、描画命令をグラフィックス処理部15に出力する。
【0013】
サウンド処理部14は、スピーカであるサウンド出力装置20に接続されている。制御部11がサウンド出力の指示をサウンド処理部14に出力すると、サウンド処理部14はサウンド出力装置20にサウンド信号を出力する。コンピュータ装置1は、音声取得部を有していてもよい。サウンド出力装置20はスピーカであり、ヘッドホン、イヤホン、骨伝導イヤホン等を利用したものでもよい。
【0014】
グラフィックス処理部15は表示装置21に接続されている。表示装置21は表示画面22を有している。制御部11が描画命令をグラフィックス処理部15に出力すると、グラフィックス処理部15は、ビデオメモリ19に画像を展開し、表示画面22上に画像を表示するためのビデオ信号を出力する。グラフィックス処理部15は、フレーム単位で1枚の画像の描画を実行する。画像の1フレーム時間は、例えば30分の1秒である。
【0015】
プレイヤによる接触により入力を受け付けるタッチ入力部23を有している。タッチ入力部23は、利用者の指やスタイラス等による押圧や移動等の接触操作を認識できるものであれば、特に方式は問わない。
【0016】
インタフェース部17には外部メモリ18(例えば、SDカード等)が接続されている。外部メモリ18から読み込まれたデータはRAM12にロードされ、制御部11により演算処理が実行される。
【0017】
通信インタフェース16は無線又は有線により通信回線2に接続が可能であり、通信回線2を介してデータを受信することが可能である。通信インタフェース16を介して受信したデータは、外部メモリ18から読み込まれたデータと同様に、RAM12にロードされ、制御部11により演算処理が行われる。
【0018】
コンピュータ装置1は、レンズを有しており、レンズ介して撮像する撮像部24を備える。撮像部24により現実世界を撮像することができる。撮像部24により撮像された画像データはRAM12にロードされ、制御部11により演算処理が実行される。
【0019】
次に、表示処理について説明をする。
図2は、本発明の実施の形態にかかる表示処理のフローチャートを示す図である。以下で説明するフローチャートを構成する各処理の順序は、処理内容に矛盾や不整合が生じない範囲で順不同である。
【0020】
疑似体験装置を構成するコンピュータ装置1にインストールされたアプリケーションプログラムを起動することにより(ステップS1)、表示処理は開始される。利用者は、コンピュータ装置1を操作して、視野狭窄、光の知覚低下、瞳孔反応の速度低下、コントラスト感覚の低下、奥行き感覚の低下、パターンの誤認、又は、反射の誤認などの症状のうち、いずれの症状に対応する画像を表示画面に表示するかを選択する(ステップS2)。また、ステップS2において、老人性難聴の症状に対応する音情報を出力するか否かを選択することもできる。
【0021】
また、利用者は、コンピュータ装置1を操作して、選択した症状の度合いを調整する(ステップS3)。例えば、視野狭窄の症状であれば、視え難くなる周辺視野(又は視えなくなる周辺視野)の範囲を大きくする、又は、小さくするといったように調整することができる。また、瞳孔反応の速度低下の症状であれば、瞳孔反応の速度を大きく低下させる、又は、小さく低下させるといったように調整することができる。また、コントラスト感覚の低下の症状であれば、変更前の色と変更後の色の組み合わせの選択肢(例えば、青を緑にする、ピンクを赤にする等)を任意に選択することで、症状を調整することができる。このように、症状の度合いを調整することで、利用者は、症状が重度の場合と軽度の場合のいずれの場合も体験することができる。症状の度合いは、軽度又は重度等、複数の症状の度合いが予め設定されており、利用者は、表示された症状の度合いの選択肢を押下することにより、症状の度合いを調整してもよい。また、利用者は、撮像部24で画像を撮像し、表示画面に表示される症状を再現した画像を確認しながら、選択した症状の度合いを調整することができる。なお、選択した症状の度合いが1つのみの場合は、ステップS3の調整を省略することができる。種々の症状を再現するための画像の処理については後述する。
【0022】
ステップS2の症状の選択は、1つの症状だけでなく、複数の症状を選択してもよい。つまり、複数の症状を組み合わせた画像を表示画面に表示するとしてもよい。複数の症状を選択する場合は、ステップS2にて複数の症状を選択し、それぞれの症状についてステップS3の症状の度合いを調整してもよいし、症状を1つずつ選択し、画像に反映させる症状の選択が終了するまで、ステップS2及び3を繰り返してもよい。また、認知症患者の症状の度合いに対応する選択肢から、表示画面に表示させる症状の度合いを選択してもよい。例えば、ステップS2において、重度、中度、軽度、といった症状の度合いの複数の選択肢が表示されてもよい。このとき、症状の度合いには、表示画面に表示する画像に対して反映する1以上の症状と、それぞれの症状の度合いの調整とが、予め設定されている。軽度の症状の度合いを選択する場合、予め設定された、軽度の認知症患者の症状(例えば、視野狭窄と瞳孔反応の速度低下)を組み合わせ、選択された症状の度合いに応じた画像を表示画面に表示する。
【0023】
ステップS2の症状の選択、及び、ステップS3の症状の度合いの調整が全て完了すると、表示モードが開始される(ステップS4)。表示モードが開始されると、利用者は、コンピュータ装置1を含む疑似体験装置を頭部に装着する。
【0024】
撮像部24により、現実世界を撮像する(ステップS5)。利用者が疑似体験装置を頭部に装着した場合に、撮像部24は、利用者が疑似体験装置を装着していなかったら視ているだろう方向の現実世界を撮像することができる。つまり、撮像部24は、利用者が疑似体験装置を頭部に装着した場合に、利用者の視線方向と撮像部24の視軸方向とが、略平行となるように設けられていることが好ましい。これにより、撮像部24にて撮像された現実世界の画像を補正し、表示画面22に表示することで、利用者が疑似体験装置を装着していなかったら視ているだろう現実世界が、補正された状態で、表示画面22に表示することができる。
【0025】
撮像された画像情報は、ステップS2で選択された症状、及び/又は、ステップS3で調整された症状の度合いに応じて、補正される(ステップS6)。次に、補正された画像情報をもとに、補正された現実世界の状態が、表示画面22に表示される(ステップS7)。ここで、画像情報とは、画像を構成する画素ごとのRGB(赤、緑、青)の階調値(画素値、濃度値ともいう)、又は、画像を構成する画素ごとのHSB(色相、彩度、明度)の値である。ステップS6の補正は、症状ごとに設定されたプログラムに応じて、画素ごとにRGBの階調値又はHSBの値が補正される。
【0026】
ステップS5~S7は、表示モードが終了するまで、1フレームごとに繰り返し実行される。よって、利用者の動きや向きに合わせて、補正された現実世界の状態がリアルタイムで表示画面に表示される。表示モードは、利用者がコンピュータ装置1を操作することにより終了する(ステップS8)。ステップS1~S8を実行することにより、表示処理は終了する。利用者は、疑似体験装置を装着し、上記表示処理を実行することで、認知症患者の視覚及び聴覚に関する症状を疑似的に体験することができる。
【0027】
なお、ステップS2の症状の選択、又はステップ3の症状の度合いの調整は、疑似体験装置を構成するコンピュータ装置1とは異なる他のコンピュータ装置への操作により実行することも可能である。この場合、疑似体験装置を装着した利用者とは異なる第三者が、他のコンピュータ装置を操作する。他のコンピュータ装置へ入力された情報に応じた、ステップS2の症状の選択又はステップ3の症状の度合いの調整を実行するための情報が、コンピュータ装置1へ通信により送信される。同様に、ステップS8の表示モードの終了も、異なる他のコンピュータ装置への操作により実行することも可能である。また、コンピュータ装置1を含む疑似体験装置の頭部への装着は、ステップS1の前でもよい。この場合、利用者又は利用者とは異なる第三者は、疑似体験装置を構成するコンピュータ装置1とは異なる他のコンピュータ装置への操作により、ステップS2の症状の選択、又はステップ3の症状の度合いの調整を実行することが好ましい。
【0028】
ところで、ステップS6の補正は、ステップS2で選択された症状とステップS3で調整された症状の度合いに基づいて、以下のように実行される。それぞれの症状の補正について、説明する。
【0029】
視野狭窄の場合、周辺視野の明度及び彩度を低くする補正が行われる。つまり、画像の中心部を除く画像の周辺部にて明度及び/又は彩度を低下させる。例えば、表示画面に表示される画像を構成する画素のうち、左側や右側の所定の範囲の画素について、明度及び/又は彩度を低下させる。また、左側や右側だけでなく、上側や下側の所定の範囲の画素について、明度及び/又は彩度を低下させることもできる。
図3は、本発明の実施の形態にかかる第1処理のフローチャートを示す。第1処理は、視野狭窄の症状に対応する画像に補正する処理である。まず、コンピュータ装置1にて予め設定された丸み及び/又は滑らかさを抽出する(ステップS10)。次に、ステップS3にて設定された選択した症状の度合い(強度)を抽出する(ステップS11)。コンピュータ装置1は、ステップS10及び11で抽出された値にもとづき、撮像部24が撮像した画像の所定の範囲の画素について、明度及び/又は彩度を補正する(ステップS12)。そして、補正した画像を出力し(ステップS13)、終了する。
【0030】
上記において、「丸み」とは、画像において明度及び/又は彩度を低下させない範囲の形状を特定するためのパラメータである。具体的には、「丸み」により、該範囲の形を多角形に近い形にするか、又は、丸い形にするかを特定することができる。なお、明度及び/又は彩度を低下させない範囲の中心は、画像の中心として予め設定するのが好ましいが、適宜変更してもよい。「滑らかさ」とは、明度及び/又は彩度を低下させる境界線が明確であるかを特定するためのパラメータである。滑らかさが小さいと、明度及び/又は彩度を低下させる境界がはっきりと視認できる。滑らかさが大きいと、明度及び/又は彩度を低下させる境界が曖昧となり、境界近傍では、中心部から周辺部に移るにつれて、明度及び/又は彩度が徐々に低下していく。その結果、境界近傍がぼかし処理されたような状態となる。「滑らかさ」は境界の明確さや境界のぼかしを特定するためのパラメータともいえる。「強度」は、明度及び/又は彩度を低下させる範囲と程度を特定するためのパラメータである。
【0031】
ステップS12の補正では、画像の所定の範囲の画素について、明度及び/又は彩度を低下させる。画像の所定の範囲の画素について、色を黒く補正する処理を行うともいえる。第1処理は、予め設定された丸み、滑らかさ、強度の値にもとづいて、一般的な画像編集におけるビネット処理を援用することができる。さらに、ステップS10及び11の丸み、滑らかさ、及び/又は強度の値は症状の度合いに応じて予め設定されたものが好ましいが、ステップS3において利用者により設定されたものでもよい。また、例えば、丸み及び滑らかさを設定しておき、ステップS3において、利用者が表示される画面を見ながら、表示画面に表示する画像の強度を調整してもよい。第1処理は、ステップS10及び11の丸み、滑らかさ、及び/又は強度の値にもとづいて、画像中の所定の部分の画素について、階調値の補正を一様に行うものである。
【0032】
瞳孔反応の速度低下、光の知覚低下、パターンの誤認、又は、反射の誤認は、所定の範囲の色調(階調)について、色相及び/又は明度の補正により実行される。具体的には、ガンマ補正により実行される。ガンマ補正は、画像の階調データに対する輝度を調整するものであり、人間が光と色を知覚する際の非線形な方法を利用して、画像をエンコードする際のビット数や、画像を変換する際の帯域幅を最適化するために用いられる。
図4は、本発明の実施の形態にかかる第2処理のフローチャートを示す。第2処理は、瞳孔反応の速度低下、光の知覚低下、パターンの誤認、又は、反射の誤認の症状に対応する画像に補正する処理において、適用できる。まず、ステップS2及び3の入力にもとづいて、コンピュータ装置1に予め設定された色調の範囲、及びガンマの値を抽出する(ステップS20)。次に、ステップS20で抽出された色調の範囲、及びガンマの値にもとづいて、撮像部24が撮像した画像から該当する階調を抽出し、該階調の画素についてRGBの階調値の補正する(ステップS21)。そして、補正した画像を出力し(ステップS22)、終了する。第2処理は、一般的なカラーグレーディングの処理を援用することができる。
【0033】
補正する色調の範囲、画素の補正に関する計算式、及びガンマ値の組み合わせは、予めコンピュータ装置1に設定しておき、ステップS2において、選択された症状により、補正する色調の範囲、画素の補正に関する計算式、及びガンマ値が決定される。画像は、主に、色相及び/又は明度の補正がされる。明度は、予め設定してもよいし、ステップS3において、利用者が表示画面の画像を見ながら設定してもよい。補正で強調される色調範囲は、暗部、中間部、明部の大きく3つに分けられる。ステップS2において、瞳孔反応の速度低下の症状又はパターンの誤認の症状を選択した場合、暗部が補正で強調される色調範囲に決定される。ステップS2において、光の知覚低下の症状又は反射の誤認の症状を選択した場合、明部が補正で強調される色調範囲に決定される。暗部又は明部として補正で強調される具体的な色調範囲は、予めコンピュータ装置1に設定しておくことができる。
【0034】
暗部を強調する補正では、例えば、RGBの階調値が256の画素を固定して、RGBの階調値を0の方向に全体的に下げる補正を行う。0付近の階調値ほど、階調値が下がる幅を大きくすることで、結果的に、暗部の色調範囲について、強調する補正を行うことができる。一方、明部を強調する補正では、RGBの階調値が0の画素を固定して、RGBの階調値を256の方向に全体的に上げる補正を行う。256付近の階調値ほど、階調値が上がる幅を大きくすることで、結果的に、明部の色調範囲について、強調する補正を行うことができる。
【0035】
明部を強調する補正により、反射の誤認を再現することができる。具体的には、表示画面に表示される画像における明部の色調が強調されることにより、実際に反射していない部分について、反射していると感じることができる。またさらに、暗部を強調する補正により、実際には存在しない模様があるように見えるパターンの誤認を再現することができる。なお、光の知覚低下、及び反射の誤認は、同じ色調範囲について画素の補正をするため、ステップS3は、いずれかの症状のみについて症状の度合いを選択することが好ましい。また、瞳孔反応の速度低下、及びパターンの誤認は、同じ色調範囲について画素の補正をするため、ステップS3は、いずれかの症状のみについて症状の度合いを選択することが好ましい。
【0036】
色の知覚の低下(コントラスト感覚の低下ともいう)は、カラーグレーディングカーブ、「色相と色相のカーブ」を利用して、実現する。また、知覚を低下させる色に応じて、「色相と彩度のカーブ」、「彩度と彩度のカーブ」、及び/又は「明度と彩度のカーブ」を利用して、実現することができる。
図5は、本発明の実施の形態にかかる第3処理のフローチャートを示す。第3処理は、撮像した画像を、コントラスト感覚の低下の症状に対応する画像に補正する処理である。まず、ステップS3にて入力された、補正する色と補正後の色とを抽出する(ステップS30)。ステップ30において、補正前後の色の抽出と同時に、補正前後の色に対応した「色相と色相のカーブ」、「色相と彩度カーブ」、「彩度と彩度のカーブ」、及び/又は「明度と彩度のカーブ」の設定が抽出される。次に、上記のカラーグレーディングカーブで設定された色相を、撮像部24が撮像した画像から検出する(ステップS31)。検出した色相について、補正後の色相、彩度及び明度に補正を実行する(ステップS32)。補正した画像を出力し(ステップS33)、終了する。
【0037】
ステップS3にて選択できる補正する色の組み合わせは、具体的には、青と緑(青を緑へ補正)、ピンクと赤(ピンクを赤へ補正)等があげられる。事前の設定としては、例えば、青を緑へ補正する場合、「色相と色相のカーブ」を用いて青の色相を緑の色相へ補正するように設定し、また、必要に応じて、「色相と彩度のカーブ」、「彩度と彩度のカーブ」、及び/又は「明度と彩度のカーブ」を用いて、緑へ補正した部分がほかの部分から浮いて見えないように彩度及び/又は明度の補正値を設定しておく。すなわち、補正する色の組み合わせは、認知症患者の症状を再現する色として、「色相と色相のカーブ」、「色相と彩度カーブ」、「彩度と彩度のカーブ」、及び/又は「明度と彩度のカーブ」の設定を予め登録しておくことが好ましい。利用者は、登録された選択肢から補正する色を選択できる。なお、第3処理の効果は、周りの環境に影響される。例えば、黄色い光を発する白熱灯と白い光を発する蛍光灯の下では、撮像部24で撮影される画像の色味が異なるため、第3処理にて出力される画像の色味が異なることがある。そのため、ステップS2の症状の選択の際に、利用者が利用する環境について、周りの環境の状況を入力させてもよい。環境に応じて、上記カラーグレーディングカーブの設定を設定しておくのが好ましい。
【0038】
奥行き知覚(感覚)の低下は、カメラの立体視レンダリングを利用して実現する。利用者は、自分が見ているものについての物理的な位置を正確に把握できず、距離感がわからなくなる。
図6は、本発明の実施の形態にかかる第4処理のフローチャートを示す。第4処理は、奥行感覚の低下の症状に対応する画像に補正する処理である。まず、ステップS3にて入力された、症状の度合いを抽出する(ステップS40)。次に、抽出された症状の度合いにもとづいて、撮像部24が撮像した画像のクロップを行う(ステップS41)。クロップがされた画像を用いて、右目及び左目のそれぞれに表示する画像を生成する。生成した画像を、右目及び左目のそれぞれで視認できるように表示画面22に出力し(ステップS42)、終了する。
【0039】
クロップは、レンズで撮像した画像を表示画面に表示するときに、所定の範囲の画素のみで、表示画面に画像を表示することをいう。例えば、撮像した画像を通常12×6cmの表示画面に表示しているような場合に、表示画面の11.98×5.99cm分に対応する画素のみで、12×6cmの表示画面に表示するように拡大処理することをクロップという。なお、表示される画像の中心位置は、クロップ前の画像の中心位置と同じである。
【0040】
一般に、VR(仮想現実)技術を用いて利用者に画像を提供する際、視差を利用し、右目側と左目側に異なる画像を表示する処理を行い、立体的に視えるようにしている。第4処理においては、撮像した画像をクロップしたうえで、右目側と左目側に表示する画像をそれぞれ生成し、右目側と左目側のそれぞれに表示することで、実際に視認する現実世界の視界より、奥行きが浅く感じるような視界を再現することができる。さらに、撮像した画像をより狭い範囲でクロップすることで、奥行感覚の低下の症状の度合いを強くすることができる。
【0041】
なお、本発明の一態様の疑似体験装置は、市販のスマートフォン用のゴーグルを用いることができるが、右目と左目とでそれぞれ異なる画像が表示される二眼用の疑似体験装置を用いることが好ましい。表示画面の右側と左側とで、それぞれの画像が独立して表示され、右目は右目用の画像のみを視認し、左目は左目用の画像のみを視認する。なお、ステップS2において、奥行感覚の低下の症状を選択しない場合には、ステップS41の画像のクロップを行うことなく、右目側と左目側のそれぞれに表示される画像が生成される。また、右目用と左目用の画像のそれぞれについて、第1処理、第2処理、第3処理、及び/又は第5処理が行われる。本発明の一態様の奥行感覚の低下の処理においては、撮像部24が撮像した画像のクロップやそれぞれの目に表示する画像の生成は、一般的なVR用の画像編集ソフトを適用できる。また、本発明の一態様において、一眼用の疑似体験装置を用いることもできる。一眼用の疑似体験装置を用いる際は、右目用と左目用の画像は生成されず、撮像した画像について、それぞれの処理が実行された画像が表示される。第4処理においては、ステップS41にてクロップされた画像を、ステップS42にて出力する。
【0042】
視力の変化は、カメラレンズのフォーカス特性をシミュレートすることにより実行される。視力の変化は、被写界深度を調節することにより実行されるともいえる。被写界深度は、被写体にピントを合わせたとき、その前後のピントが合っているように見える範囲のことをいう。そのため、画像について、ピントが合っている範囲を少なくすることで、視力の低下を再現できる。
【0043】
図7は、本発明の実施の形態にかかる第5処理のフローチャートを示す。第5処理は、視力の低下の症状に対応する画像に補正する処理である。まず、コンピュータ装置1に予め設定された焦点距離、フォーカス距離、及び/又は、絞り値を抽出する(ステップS50)。コンピュータ装置1は、抽出された焦点距離にもとづき、画像の焦点距離を補正する(ステップS51)。次に、抽出されたフォーカス距離にもとづき、画像のフォーカス距離を補正する(ステップS52)。次に、抽出された絞り値にもとづき、画像の絞り値を補正する(ステップS53)。そして、補正された画像を表示画面に出力し(ステップS54)、終了する。なお、ステップS52~54は、順番を入れ替えて実行してもよいし、ステップS50において、絞り値のみを抽出した場合は、ステップS51及びS52は省略できる。
【0044】
焦点距離とは、レンズとフィルム(被写体)の間の距離を示す。レンズとフィルムの距離が近いほど、画像はぼけやすくなり、被写体との距離が遠いほど画像のぼけは少なくなる。フォーカス距離とは、焦点までの距離を示す。焦点までの距離が長いほど画像がぼけやすく、焦点までの距離が短いほど画像のぼけは少なくなる。絞り値は、口径を示し、F値ともいう。F値の値が小さいほど、画像のピントの合う範囲は狭くなるため、画像はぼけやすくなる。なお、ステップS51の焦点距離、フォーカス距離、及び/又は、絞りの値はステップS2及び3において利用者により設定されたものでもよく、症状の度合いに応じて予め設定されたものでもよい。また、例えば、焦点距離及びフォーカス距離を設定しておき、ステップS3において、利用者が表示画面を見ながら、絞り値を調整してもよい。
【0045】
また、視力の変化は、画像の空間フィルタリングにより実行されてもよい。このとき、ステップS3で入力された症状の度合いにもとづいて、画像の平滑化の処理を実行する。画像の平滑化処理とは、所定の範囲内の階調値の平均値を出力画像の階調値とする処理である。
【0046】
また、聴力の変化は、取得した実際の音に対して、音の方向性、音の遅れ、及び/又は音の大きさについて3D空間計算を行うことにより実行される。具体的には、出力する音の方向性をフラットにすることで、利用者はどこから聞こえてくる音なのか認識することができなくなる。
図8は、本発明の実施の形態にかかる第6処理のフローチャートを示す。第6処理は、聴力の低下の症状に対応する音に補正する処理である。まず、ステップS3にて入力された、症状の度合いを抽出する(ステップS60)。次に、抽出された症状の度合いにもとづいて、音の補正を行う(ステップS61)。補正した音をサウンド出力装置20から出力し(ステップS62)、終了する。
【0047】
音の補正について、説明する。音の補正を行う際は、コンピュータ装置1に、音の方向性、音の遅れ、及び/又は音の大きさについて、3D空間計算の計算方法を記憶させておく。また、利用者が疑似体験装置を使用する場における複数の異なる位置に事前に複数のマイクを設置する。マイクを設置する位置は特に限定されないが、例えば、利用者の左右に設置することが好ましい。コンピュータ装置1には、イヤホンやヘッドホン等のスピーカが接続され、利用者は、イヤホン等を両耳に装着する。複数のマイクで集音した音データを3D空間計算より出力の音の方向性をフラットにする。具体的には、利用者の左側のマイクで集音した音を、イヤホンの左側のみから出力するのではなく、イヤホンの左右の両側から、同じ音量で出力する。同様に、利用者の右側のマイクで集音した音を、イヤホンの右側のみから出力するのではなく、イヤホンの左右の両側から、同じ音量で出力する。これにより、聞こえてくる音がどこから聞こえてくる音なのか認識できないようにできる。なお、上記では、音の方向性をフラットにすることで、聞こえてくる音がどこから聞こえてくる音なのか認識できないようにしたが、右耳と左耳で異なる音量の音を出力し、特定方向の音を強調させた音を表現することもできる。また、右耳と左耳で異なる周波数を強調又は抑制させた音情報を出力することもできる。これにより、音が二重に聞こえる症状を再現できる。
【0048】
なお、上述の第1処理、第2処理、第3処理、第4処理、及び/又は、第5処理は、1フレーム(例えば30分の1秒)毎に繰り返し実行される。これにより、撮像された画像の処理がリアルタイムに行われ、利用者は補正された現実世界の状態を遅延なく視認することができる。
【0049】
本発明の疑似体験装置を頭部に装着することで、利用者は、認知症を疑似的に体験することができる。この際に、利用者とは異なる第三者が、利用者に所定の動作を実行させるように誘導するようにしてもよい。例えば、第三者が利用者を誘導して、ある地点から異なる地点へ移動させたり、椅子に座らせる、或いは、椅子等に手でつかまらせる等の動作を実行させることができる。
【0050】
本発明の認知症疑似体験装置を利用することで、利用者は、認知症患者の知覚している世界を体感することができる。この疑似体験を通して、感じたことや気づいたことを他の利用者と共有することで、自身の認知症患者に対する看護のあり方を振り返ることができる。このような体験を経たのちに、認知症の人の立場に立った看護の概念とその実践的な方法について学習することで、より効果的な学習効果を得ることが可能となる。
【0051】
本発明によれば、現実世界を撮像する撮像手段と、撮像により得られた画像情報を補正する補正手段と、補正された画像情報に基づいて、補正された現実世界の状態を表示画面に表示する表示手段とを備える認知症疑似体験装置であるため、認知症患者の視覚を疑似的に再現することができる。特に、撮像により得られた画像情報の補正が、認知症の症状である視野狭窄、光の知覚低下、瞳孔反応の速度低下、コントラスト感覚の低下、奥行き感覚の低下、パターンの誤認、及び/又は、反射の誤認に対応する補正であるため、認知症患者の視覚を実際に近い状態で再現することができる。また、本発明によれば、現実世界の音を取得する音取得手段と、取得した音情報を補正する補正手段と、補正された音情報に基づいて、補正された現実世界の音を出力する音出力手段とを備える認知症疑似体験装置であるため、認知症患者の多数を占める高齢者の聴覚を疑似的に再現することができる。特に、取得された音情報の補正が、老人性難聴に対応する補正であるため、認知症患者の多数を占める高齢者の聴覚を実際に近い状態で再現することができる。
【0052】
本発明によれば、前記疑似体験装置を頭部に装着した利用者に対して、利用者とは異なる第三者が、利用者に所定の動作を実行させるように誘導するため、認知症患者への看護のあり方をより効果的に学習することができる。より具体的には、疑似体験装置の利用者は、第三者(看護者)の看護を認知症患者の立場になって体験することができ、自身の看護の在り方を見直す機会にもなり、また、第三者に対しても適切なフィードバックをすることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 コンピュータ装置 11 制御部 12 RAM 13 ストレージ部
14 サウンド処理部 15 グラフィックス処理部 16 通信インタフェース
17 インタフェース部 18 外部メモリ 19 ビデオメモリ
20 サウンド出力部 21 表示装置 22 表示画面
23 タッチ入力部 24 撮像部