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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035771
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】防振構造体
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
F16F15/02 K
F16F15/02 L
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196045
(22)【出願日】2021-12-02
(62)【分割の表示】P 2021569350の分割
【原出願日】2021-08-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】519366237
【氏名又は名称】NatureArchitects株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新谷 国隆
(72)【発明者】
【氏名】須藤 海
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AD05
3J048CB22
3J048DA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】センサとアクチュエータと制御回路を用いずに加振部から受振部に伝達される振動を低減可能な防振構造体を提供する。
【解決手段】防振構造体は、一端が加振部に直接にまたは第1支持部を介して繋がる第1梁部と、一端が受振部に直接にまたは第2支持部を介して繋がると共に他端が第1梁部の他端に節点部を介して繋がる第2梁部とを備え、節点部は、加振部の第1位置と受振部の第2位置とを通る軸線の軸線方向において、第1梁部の一端および第2梁部の一端に対して第1位置側または第2位置側に位置し、加振部の並進変位と、加振部の並進変位に伴う節点部の並進変位と、により励起される節点部の回転変位は、防振構造体の1次共振周波数よりも高く且つ2次共振周波数よりも低い周波数範囲内の周波数で反共振を呈する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加振部から受振部に伝達される振動を低減可能な防振構造体であって、
一端が前記加振部に直接にまたは第1支持部を介して繋がる第1梁部と、
一端が前記受振部に直接にまたは第2支持部を介して繋がると共に他端が前記第1梁部の他端に節点部を介して繋がる第2梁部と、
を備え、
前記節点部は、前記加振部の第1位置と前記受振部の第2位置とを通る軸線の軸線方向において、前記第1梁部の前記一端および前記第2梁部の前記一端に対して前記第1位置側または前記第2位置側に位置し、
前記加振部の並進変位と、前記加振部の並進変位に伴う前記節点部の並進変位と、により励起される前記節点部の回転変位は、前記防振構造体の1次共振周波数よりも高く且つ2次共振周波数よりも低い周波数範囲内の周波数で反共振を呈する、
防振構造体。
【請求項2】
請求項1記載の防振構造体であって、
前記第1梁部と前記第2梁部とを有する防振部を前記軸線周りに複数備える、
防振構造体。
【請求項3】
請求項2記載の防振構造体であって、
複数の前記防振部は、前記軸線周りに等間隔をおいて形成されている、
防振構造体。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちの何れか1つの請求項に記載の防振構造体であって、
前記防振構造体は、一体成形部材である、
防振構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防振構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板状部材の表面に複数個の圧電素子アクチュエータを配置すると共に、板状部材の表面の複数個の圧電素子アクチュエータに挟まれる位置に少なくとも1個の圧電素子センサを配置し、制御回路により、板状部材の振動を抑制するように、圧電素子センサの出力電圧に基づいて複数個の圧電素子アクチュエータの作動をフィードバック制御する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-106080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の装置では、板状部材の振動を抑制するために、少なくとも1個の圧電素子センサと複数個の圧電素子アクチュエータと制御回路とを用いる必要がある。このため、これらを用いることなく、加振部から受振部に伝達される振動を低減可能な防振構造体を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
加振部から受振部に伝達される振動を低減可能な防振構造体であって、
一端が前記加振部に直接にまたは第1支持部を介して繋がる第1梁部と、
一端が前記受振部に直接にまたは第2支持部を介して繋がると共に他端が前記第1梁部の他端に節点部を介して繋がる第2梁部と、
を備え、
前記節点部は、前記加振部の第1位置と前記受振部の第2位置とを通る軸線の軸線方向において、前記第1梁部の前記一端および前記第2梁部の前記一端に対して前記第1位置側または前記第2位置側に位置し、
前記加振部の並進変位と、前記加振部の並進変位に伴う前記節点部の並進変位と、により励起される前記節点部の回転変位は、前記防振構造体の1次共振周波数よりも高く且つ2次共振周波数よりも低い周波数範囲内の周波数で反共振を呈する、
防振構造体が提供される。
【0006】
本開示の他の特徴事項および利点は、例示的且つ非網羅的に与えられている以下の説明および添付図面から理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例の防振構造体20の外観斜視図である。
図2】実施例の防振構造体20の正面図である。
図3】実施例の防振構造体20の動作を示す図である。
図4】実施例の防振構造体20の周波数特性の一例を示す説明図である。
図5】実施例の防振構造体20の動作を示す図である。
図6】比較例の防振構造体20Bの外観斜視図である。
図7】比較例の防振構造体20Bの正面図である。
図8】比較例の防振構造体20Bの周波数特性の一例を示す説明図である。
図9】比較例の防振構造体20Cの外観斜視図である。
図10】比較例の防振構造体20Dの外観斜視図である。
図11】比較例の防振構造体20Eの外観斜視図である。
図12】実施例や比較例の防振構造体20,20C,20D,20Eの周波数特性の一例を示す説明図である。
図13】実施例や比較例の防振構造体20,20C,20D,20Eの各部の寸法を示す説明図である。
図14】変形例の防振構造体120の外観斜視図である。
図15】変形例の防振構造体220の外観斜視図である。
図16】変形例の防振構造体320の外観斜視図である。
図17】変形例の防振構造体420の外観斜視図である。
図18】変形例の防振構造体520の外観斜視図である。
図19】変形例の防振構造体620の外観斜視図である。
図20】変形例の防振構造体720の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本開示を実施するための形態について実施例を用いて説明する。
【0009】
図1は、本開示の一実施例としての防振構造体20の外観斜視図であり、図2は、防振構造体20の正面図である。実施例において、左右方向(X軸方向)、前後方向(Y軸方向)、上下方向(Z軸方向)は、図1図2に示した通りである。また、防振構造体20の重心を通る上下方向の直線を軸線Lzといい、防振構造体20の重心(軸線Lz)を含むXY平面、YZ平面、XZ平面をそれぞれ所定平面Pxy,Pyz,Pxzという。なお、防振構造体20の配置は、図1図2の向きに限定されるものではない。
【0010】
実施例の防振構造体20は、例えば、樹脂材料やゴム材料の射出成形、ブロー成形、押出し成形、3D印刷や、金属材料の鋳造、鍛造、プレス、切削、押出し成形、3D印刷などにより一体成形された一体成形部材として構成されている。この防振構造体20は、図1図2に示すように、加振部材としてのマウント部材10の下面に固定されると共に受振部材としてのベース部材12の上面に固定される。したがって、マウント部材10は、防振構造体20を介してベース部材12により支持される。
【0011】
防振構造体20は、図1図2に示すように、第1軸部(第1支持部)24と、第2軸部(第2支持部)26と、2個の防振部30とを備える。この防振構造体20は、所定平面Pyz(図2参照)および所定平面Pxz(図示省略)に対して互いに鏡像(面対称)となるように、且つ、第1軸部24と第2軸部26と2個の防振部30との奥行き(前後方向における長さ)が一定となるように形成されている。
【0012】
第1軸部24および第2軸部26は、それぞれ、軸線Lzに沿って上下方向に延在する直方体状に形成されている。また、第1軸部24および第2軸部26は、互いに上下方向に間隔をおいて並ぶように配置されている。第1軸部24の上端は、マウント部材10の下面に固定され、第2軸部26の下端は、ベース部材12の上面に固定される。以下、マウント部材10における防振構造体20(第1軸部24)による被固定部を「加振部10a」といい、ベース部材12における防振構造体20(第2軸部26)による被固定部を「受振部12a」という。上述したように、防振構造体20が定平面Pyz,Pxzに対して互いに鏡像となるように形成され、且つ、第1軸部24および第2軸部26が直方体状であることから、加振部10aおよび受振部12aは何れも矩形状となり、且つ、加振部10aおよび受振部12aの中心を軸線Lzが通る。実施例では、加振部10aにおける軸線Lzが通る位置が「第1位置」に該当し、受振部12aにおける軸線Lzが通る位置が「第2位置」に該当する。
【0013】
2個の防振部30は、それぞれ、第1梁部32と、第2梁部34とを有する。第1梁部32は、直線状に延在するように形成されており、第1梁部32の一端は、第1軸部24の下端24aに繋がっている。第2梁部34は、直線状に延在するように形成されており、第2梁部34の一端は、第2軸部26の上端26aに繋がっており、第2梁部34の他端は、第1梁部32の他端に節点部36を介して繋がっている。節点部36は、図示上下方向において、第1梁部32の一端(第1軸部24の下端24a)および第2梁部34の一端(第2軸部26の上端26a)に対して上側(マウント部材10側)に位置する。したがって、第1梁部32と軸線Lzの下向き方向(第2軸部26側)とのなす角度θaは、鈍角となり、且つ、第2梁部34と軸線Lzの下向き方向とのなす角度θbは、角度θaよりも大きい鈍角となり、節点部36を介して第1梁部32と第2梁部34とのなす角度θcは、角度θbから角度θaを減じた角度に等しい鋭角となる。
【0014】
図3は、実施例の防振構造体20の動作を示す図である。実施例の防振構造体20では、図3(A)に示すように、加振部10aに軸線Lzに沿った下向き方向の力Fvが生じて加振部10aおよび第1軸部24に並進変位Dvが生じると、図3(B)に示すように、第1軸部24(下端24a)の並進変位Dvにより節点部36の並進変位Dtが生じ(第0関係性)、次いで、図3(C)に示すように、第1軸部24(下端24a)の並進変位Dvおよび節点部36の並進変位Dtにより節点部36の回転変位Drが生じる(第1関係性)。続いて、図3(D)に示すように、節点部36の並進変位Dtおよび回転変位Drにより第1梁部32および第2梁部34に曲げ力Fb1,Fb2が生じ(第2関係性)、これらの第1梁部32および第2梁部34の曲げ力Fb1,Fb2と釣り合うように、図3(E)に示すように、第1梁部32および第2梁部34の軸力Fa1,Fa2が生じる(第3関係性)。そして、図3(F)に示すように、第1梁部32および第2梁部34の軸力Fa1,Fa2により受振部12aに反力Frが生じる(第4関係性)。
【0015】
ここで、加振部10aおよび第1軸部24の並進変位Dvは、マウント部材10や防振構造体20を含む系全体の剛性や慣性により定まる。第0関係性において、第1梁部32が(ほぼ)伸縮しないことから、節点部36の並進変位Dtは、第1軸部24(下端24a)の並進変位Dvにより幾何的に定まる。第1関係性において、節点部36の回転変位Drは、節点部36のモーメントの釣合により定まる。そして、この時点で、第1梁部32および第2梁部34の全ての変位が定まる。第2関係性において、第1梁部32および第2梁部34の曲げ力Fb1,Fb2は、第1梁部32および第2梁部34の剛性および質量と、節点部36の並進変位Dtおよび回転変位Drとにより定まる。第3関係性において、第1梁部32および第2梁部34の軸力Fa1,Fa2は、節点部36における力の釣合により定まる。そして、この時点で、第1梁部32および第2梁部34の変形により発現する全ての力が定まる。なお、本来、第1梁部32および第2梁部34の軸力Fa1,Fa2が変わると、節点部36の並進変位Dtも変わるはずである。しかし、実施例では、第1梁部32および第2梁部34の軸剛性が大きく、これらの微小な軸方向の並進変位によりこれらの軸力が定まり、これらの軸力Fa1,Fa2が若干変わった程度では、節点部36の変位(並進変位Dtや回転変位Dr)がほとんど変わらずに、第0関係性および第1関係性により定まる節点部36の変位には影響がないとみなすことができるものとした。第4関係性において、受振部12aの反力Frは、受振部12aにおける力の釣合により定まる。
【0016】
図4は、実施例の防振構造体20の周波数特性の一例を示す説明図である。図4中、横軸(線形軸)は、加振部10aおよび第1軸部24の並進変位Dvの周波数fである。上側の図の縦軸(対数軸)は、節点部36の並進変位Dtや回転変位Drの各絶対値であり、下側の図の縦軸(対数軸)は、受振部12aの反力Frの絶対値や、受振部12aの反力Frにおける軸力Fa1,Fa2や曲げ力Fb1,Fb2の寄与分(以下、「軸力起因反力Fra」や「曲げ力起因反力Frb」という)の各絶対値である。節点部36の並進変位Dtについては、「任意の周波数における節点部36の並進変位Dt」を、「当該周波数における第1軸部24の並進変位Dv」と「0Hzにおける節点部36の並進変位Dt」との積で除して、「0Hzにおける第1軸部24の並進変位Dv」を乗じて規格化した。したがって、節点部36の並進変位Dtの絶対値は、0Hzのときに対して、第1軸部24の並進変位Dvに対する節点部36の並進変位Dtが増幅されたか抑制されたかを意味する。節点部36の回転変位Drについては、節点部36の並進変位Dtと同様に規格化した。受振部12aの反力Frや軸力起因反力Fra、曲げ力起因反力Frbについては、加振部10aの力Fvに対する値(伝達率)とした。したがって、受振部12aの反力Frや軸力起因反力Fra、曲げ力起因反力Frbの各絶対値は、加振部10aの力Fvに対して増幅されたか抑制されたかを意味する。発明者らは、防振構造体20についての解析により図4の周波数特性を得た。
【0017】
図4から、加振部10aおよび第1軸部24の並進変位Dvの周波数fが値f1で、受振部12aの反力Frや軸力起因反力Fra、曲げ力起因反力Frbとの各絶対値が共振を呈し(極大となり)、周波数fが値f1よりも高い値f2で、曲げ力起因反力Frbの絶対値が反共振を呈し(極小となり)、周波数fが値f2よりも高い値f3で、受振部12aの反力Frや軸力起因反力Fraの各絶対値が反共振を呈することが解る。また、周波数fが値f3よりも高い値f4で、節点部36の回転変位Drが反共振を呈し、周波数fが値f4よりも高い値f6で、節点部36の並進変位Dtや回転変位Drの各絶対値や、受振部12aの反力Frや軸力起因反力Fra、曲げ力起因反力Frbの各絶対値が共振を呈することも解る。即ち、防振構造体20では、周波数fが値f1および値f6で防振構造体20(受振部12aの反力Fr)がそれぞれ1次共振および2次共振を呈し、周波数fが値f4で節点部36の回転変位Drが反共振を呈し、周波数fが値f3で防振構造体20(受振部12aの反力Fr)が反共振を呈することが解る。これにより、防振構造体20では、周波数fが値f3付近のときに、加振部10aから受振部12aに伝達される振動を十分に低減することができる。
【0018】
ここで、周波数fの低い側から高い側に見て、値f1を境界として、加振部10aの力Fvの向きに対する、加振部10aおよび第1軸部24の並進変位Dvの向きが切り替わり、これに伴って、節点部36の並進変位Dtや回転変位Drの向き、受振部12aの反力Frや軸力起因反力Fra、曲げ力起因反力Frbの向きが切り替わる。また、値f2を境界として、第1軸部24の並進変位Dvの向きに対する曲げ力起因反力Frbの向きが切り替わり、値f3を境界として、第1軸部24の並進変位Dvの向きに対する反力Frや軸力起因反力Fraの向きが切り替わる。さらに、値f4を境界として、第1軸部24の並進変位Dvの向きに対する節点部36の回転変位Drの向きが切り替わり、値f6を境界として、第1軸部24の並進変位Dvの向きに対する節点部36の回転変位Drの向きが切り替わる。
【0019】
次に、加振部10aおよび第1軸部24の並進変位Dvの周波数fが値f1よりも低い0Hzのときと、値f4よりも高く且つ値f6よりも低い値f5のときと、の防振構造体20の動作の詳細について説明する。上述の図3は、加振部10aおよび第1軸部24の並進変位Dvの周波数fが0Hzのときの防振構造体20の動作を示す図であり、図5は、この周波数fが値f5のときの防振構造体20の動作を示す図である。
【0020】
図3(A)に示すように、周波数fが0Hzのときには、加振部10aの力Fvと加振部10aおよび第1軸部24の並進変位Dvと同一向きであるのに対し、図5(A)に示すように、周波数fが値f5のときには、加振部10aの力Fvと加振部10aおよび第1軸部24の並進変位Dvとが互いに逆向きとなる。また、図3(B)および図5(B)に示すように、第0関係性において、周波数fに拘わらずに、第1軸部24(下端24a)の並進変位Dvにより節点部36の並進変位Dtが定まる。さらに、図3(C)および図5(C)に示すように、第1関係性において、周波数fが0Hzのときと値f5のときとで、節点部36の並進変位Dtの向きに対する節点部36の回転変位Drの向きが切り替わっている。これは、周波数fが高くなるにつれて、節点部36の回転変位Drにおける第1梁部32および第2梁部34の慣性の寄与が剛性の寄与に対して大きくなり、第1梁部32および第2梁部34の質量移動を大きくするように節点部36の回転変位Drが励起されやすくなるためである。
【0021】
加えて、図3(D)および図5(D)に示すように、第2関係性において、周波数fが0Hzのときと値f5のときとで、第1軸部24の並進変位Dvに対する第1梁部32および第2梁部34の曲げ力Fb1,Fb2の向きが切り替わっている。また、図3(E)および図5(E)に示すように、第3関係性において、周波数fが0Hzのときと値f5のときとで、第1軸部24の並進変位Dvに対する第1梁部32および第2梁部34の軸力Fa1,Fa2の向きが切り替わっている。さらに、図3(F)および図5(F)に示すように、第4関係性において、周波数fが0Hzのときと値f5のときとで、第1軸部24の並進変位Dvに対する受振部12aの反力Frの向きが切り替わっている。このように、周波数fが0Hzのときと値f5のときとで、第1軸部24の並進変位Dvに対する受振部12aの反力Frの向きが異なるから、0Hzと値f5との間の或る周波数で、受振部12aの反力Frが反共振を呈することが解る。
【0022】
図6は、比較例の防振構造体20Bの外観斜視図であり、図7は、防振構造体20Bの正面図である。図6および図7は、それぞれ、図1および図2に対応する。比較例の防振構造体20Bは、図6および図7に示すように、実施例の防振構造体20よりも角度θaを小さくして且つ角度θcを大きくした点で、防振構造体20とは異なる。図8は、防振構造体20Bの周波数特性の一例を示す説明図である。図8中、横軸(線形軸)は、加振部10aおよび第1軸部24の並進変位Dvの周波数fであり、縦軸(対数軸)は、節点部36の並進変位Dtや回転変位Dr、受振部12aの反力Frの各絶対値である。発明者らは、防振構造体20Bについての解析により図8の周波数特性を得た。
【0023】
図8から、加振部10aおよび第1軸部24の並進変位Dvの周波数fが値f11で、受振部12aの反力Frの絶対値が共振を呈し(極大となり)、周波数fが値f11よりも高い値f12で、節点部36の並進変位Dtや回転変位Drの各絶対値や受振部12aの反力Frの各絶対値が共振を呈し、周波数fが値f12よりも高い値f13で、節点部36の回転変位Drが反共振を呈することが解る。即ち、防振構造体20Bでは、周波数fが値f11および値f12で防振構造体20B(受振部12aの反力Fr)が1次共振および2次共振を呈し、周波数fが値f13で節点部36の回転変位Drが反共振を呈し、何れの周波数でも、防振構造体20Bが反共振を呈しないことが解る。
【0024】
ここで、周波数fの低い側から高い側に見て、値f11を境界として、加振部10aの力Fvの向きに対する、加振部10aおよび第1軸部24の並進変位Dvの向きが切り替わり、これに伴って、節点部36の並進変位Dtや回転変位Drの向き、受振部12aの反力Frの向きが切り替わる。また、値f12を境界として、第1軸部24の並進変位Dvの向きに対する回転変位Drの向きが切り替わり、値f13を境界として、第1軸部24の並進変位Dvの向きに対する回転変位Drの向きが切り替わる。
【0025】
図4および図8から以下のことが解る。図4に示したように、節点部36の回転変位Drが、防振構造体20の1次共振周波数よりも高く且つ2次共振周波数よりも低い周波数範囲(図4の「f1<f<f6」の範囲)内の第1周波数(値f4)で反共振を呈する場合、防振構造体20がこの周波数範囲内の第2周波数(値f3)で反共振を呈する。これに対して、図8に示したように、節点部36の回転変位Drが防振構造体20Bの1次共振周波数よりも高く且つ2次共振周波数よりも低い周波数範囲(図8の「f11<f<f12」の範囲)内で反共振を呈さない場合、何れの周波数でも、防振構造体20Bは反共振を呈さない。
【0026】
上述したように、周波数fが高くなるにつれて、節点部36の回転変位Drにおける第1梁部32および第2梁部34の慣性の寄与が剛性の寄与に対して大きくなり、第1梁部32および第2梁部34の質量移動を大きくするように節点部36の回転変位Drが励起されやすくなるため、周波数がある閾値に達したときに、節点部36の並進変位Dtの向きに対する節点部36の回転変位Drの向きが切り替わる。節点部36の並進変位Dtの向きに対する節点部36の回転変位Drの向きが切り替わる周波数は第1梁部32や第2梁部34の各部寸法、剛性、質量、梁部同士が成す角度等によって定まるが、図2に示した実施例の防振構造体20と図7に示した比較例の防振構造体20Bとの対比においては、第1梁部32や第2梁部34がなす各角度θa,θcがこれに大きく寄与している。
【0027】
図2に示した実施例の防振構造体20では、図4に示すように、1次共振周波数と2次共振周波数との間の周波数f4で節点部36の回転変位Drが反共振を呈しているのに対し、第1梁部32が成す角度θaを次第に小さくして角度θcを次第に大きくするに連れて、節点部36の回転変位Drが反共振を呈する周波数が次第に大きくなり、やがては2次共振周波数よりも大きくなることが、発明者らの解析により判明している。図7に示した比較例の防振構造体20Bは、図2に示した実施例の防振構造体20に比べて、節点部36の回転変位Drが2次共振周波数f12よりも大きい周波数f13で反共振を呈するようになる程度まで角度θaが小さくかつ角度θcが大きくなっているため、何れの周波数でも反力Frが反共振を呈さない。
【0028】
発明者らは、実施例や比較例の防振構造体20,20B以外の防振構造体20C,20D,20Eについても検討した。図9図11は、比較例の防振構造体20C,20D,20Eの外観斜視図である。図9の比較例の防振構造体20Cは、各防振部30Cの第1梁部32と軸線Lzの下向き方向(第2軸部26側)とのなす角度θa(図2参照)を鋭角とした点で、実施例の防振構造体20とは異なる。したがって、実施例の防振構造体20では、図示上下方向において、第1梁部32の一端(第1軸部24の下端24a)および第2梁部34の一端(第2軸部26の上端26a)に対して上側(マウント部材10側)に節点部36が位置するのに対し、比較例の防振構造体20Cでは、図示上下方向において、第1梁部32の一端と第2梁部34の一端との間に節点部36が位置する。図10の比較例の防振構造体20Dは、各防振部30Dの第1梁部32の他端と第2梁部34の他端とを節点部36に代えて連絡梁部33を介して繋いだ点で、実施例の防振構造体20とは異なる。図11の比較例の防振構造体20Eは、各防振部30Eの第1梁部32の他端と第2梁部34の他端とを節点部36に代えて連絡梁部33を介して繋いだ点で、比較例の防振構造体20Cとは異なる。
【0029】
図12は、実施例や比較例の防振構造体20,20C,20D,20Eの周波数特性の一例を示す説明図である。図12中、横軸(線形軸)は、加振部10aおよび第1軸部24の並進変位Dvの周波数fであり、縦軸(対数軸)は、受振部12aの反力Frの絶対値である。発明者らは、防振構造体20,20C,20D,20Eについての解析により図12の周波数特性を得た。この解析では、防振構造体20,20C,20D,20Eは、ヤング率が200GPa、比重が7.85、ポアソン比が0.3の材料(鉄相当)により一体成形されるものとした。また、防振構造体20,20C,20D,20Eについて、各部の奥行きを10mmとし、第1梁部32と第2梁部34との厚さを0.5mmとし、防振構造体20D,20Eについて、連絡梁部33の厚さを0.5mmとした。さらに、防振構造体20,20C,20D,20Eについて、これら以外の寸法については、図13のようにした。図13は、実施例や比較例の防振構造体20,20C,20D,20Eの各部の寸法を示す説明図である。図13(A)は防振構造体20を示し、図13(B)は防振構造体20Cを示し、図13(C)は防振構造体20Dを示し、図13(D)は防振構造体20Eを示す。図13(A)~図13(D)に示すように、防振構造体20,20C,20D,20Eについて、第1梁部32の上下方向および左右方向における長さを10mmおよび30mmとし、第2梁部34の上下方向および左右方向における長さを20mmおよび30mmとした。図13(C)および図13(D)に示すように、防振構造体20D,20Eについて、連絡梁部33の長さを10mmとした。
【0030】
図12から、比較例の防振構造体20C,20D,20Eでは、何れの周波数でも反共振を呈さないのに対し、実施例の防振構造体20では、周波数fが値f21で反共振を呈することが解る。防振構造体20Cが反共振を呈さないのは、角度θaが鋭角であるために、第1軸部24(下端24a)の並進変位Dvに伴って節点部36の並進変位Dtが生じたときに、第1梁部32により節点部36を回転させようとするモーメントと第2梁部34により節点部36を回転させようとするモーメントとが互いに逆向きになり、節点部36の回転変位Drが励起されにくいためであると考えられる。防振構造体20D,20Eが反共振を呈さないのは、第1梁部32と第2梁部34とが連絡梁部33を介して繋がっているために、第1軸部24の並進変位Dvに対する節点部36の並進変位Dtの自由度が高くなっており(幾何的に定まらずに)、節点部36の回転変位Drが励起されにくいためであると考えられる。
【0031】
以上説明した実施例の防振構造体20では、第1梁部32の一端が第1軸部24の下端24aに繋がり、第2梁部34の一端が第2軸部26の上端26aに繋がり、第2梁部34の他端が節点部36を介して第1梁部32の他端に繋がっている。そして、節点部36が、上下方向において、第1梁部32の一端および第2梁部34の一端に対して上側(マウント部材10側)に位置し、節点部36の回転変位Drが、防振構造体20の1次共振周波数よりも高く且つ2次共振周波数よりも低い周波数範囲内の第1周波数で反共振を呈する。これにより、防振構造体20が、この周波数範囲内の第2周波数で反共振を呈し、その第2周波数付近で加振部10aから受振部12aに伝達される振動を十分に低減することができる。発明者らは、このことを解析により確認した。
【0032】
また、実施例の防振構造体20では、樹脂材料やゴム材料、金属材料などにより一体成形された一体成形部材として構成されている。これにより、第1梁部32と第2梁部34との接合などが不要となるから、これらの接合による影響、例えば、防振構造体20の周波数特性のバラツキなどが生じるのを回避することができる。
【0033】
実施例では、図1図2に示したように、防振構造体20の各防振部30において、第1梁部32と第2梁部34とが節点部36を介して繋がっているものとした。ここで、節点部36の形状については、特に限定されるものではなく、節点部36であるとみなすことができる形状、具体的には、節点部36の回転変位Drが防振構造体20の1次共振周波数よりも高く且つ2次共振周波数よりも低い周波数範囲内の第1周波数で反共振を呈し、防振構造体20がこの周波数範囲内の第2周波数で反共振を呈する形状であればよい。例えば、図14の変形例の防振構造体120の外観斜視図に示すように、防振構造体120の各防振部130において、第1梁部32と第2梁部34とが、図示上下方向に第1梁部32および第2梁部34に比して十分に短い長さ(例えば、第1梁部32および第2梁部34の上下方向における長さのうちの短い方の1/2以下や1/3以下など)で延在する節点部136を介して繋がっているものとしてもよい。
【0034】
実施例では、図1図2に示したように、防振構造体20の2個の防振部30は、それぞれ、第1梁部32および第2梁部34を有するものとした。しかし、図15の変形例の防振構造体220の外観斜視図に示すように、防振構造体220の2個の防振部230は、それぞれ、第1梁部32および第2梁部34に加えて第3梁部35を更に有するものとしてもよい。2個の防振部230において、2個の第3梁部35の一端は、第1軸部24の下端24aと第2軸部26の上端26aとの上下方向における間で互いに繋がっており、2個の第3梁部35の他端は、それぞれ対応する節点部36を介して第1梁部32の他端および第2梁部34の他端に繋がっている。発明者らは、解析により、防振構造体220についても、防振構造体20と同様に、節点部36の回転変位Drが防振構造体220の1次共振周波数よりも高く且つ2次共振周波数よりも低い周波数範囲内の第1周波数で反共振を呈し、防振構造体220(受振部12aの反力Fr)がこの周波数範囲内の第2周波数で反共振を呈することを確認した。
【0035】
実施例では、図1図2に示したように、防振構造体20の2個の防振部30において、第1梁部32は、第1軸部24を介して加振部10aに繋がり(固定され)、第2梁部34は、第2軸部26を介して受振部12aに繋がる(固定される)ものとした。しかし、第1梁部32は、加振部10aに直接に繋がるものとしてもよいし、第2梁部34は、受振部12aに直接に繋がるものとしてもよい。また、第1梁部32は、第1軸部24以外の剛体部としての第1塊部やトラス構造の第1トラス部を介して加振部10aに繋がるものとしてもよいし、第2梁部34は、第2軸部26以外の剛体部としての第2塊部や第2トラス部を介して受振部12aに繋がるものとしてもよい。例えば、図16図18の変形例の防振構造体320,420,520の外観斜視図に示すような形状に形成されるものとしてもよい。
【0036】
図16の防振構造体320は、2個の防振部30および第2軸部26が2個の防振部330およびトラス部340に置き換えられた点で、図1の防振構造体20とは異なる。防振構造体320は、防振構造体20と同様に、所定平面Pyz,Pxzに対して互いに鏡像となるように形成されている。防振構造体320の各防振部330において、第1梁部32の一端は、第1軸部24の下端24aに繋がっており、第2梁部34の一端は、トラス部340に繋がっており、第2梁部34の他端は、第1梁部32の他端に節点部36を介して繋がっている。トラス部340は、前側から見て二等辺三角形状に形成されており、底辺341と、一対の等辺342と、頂角に対応する頂点343と、一対の底角に対応する一対の頂点344とを有する。頂点343は、ベース部材12の上面に固定され、一対の頂点344は、それぞれ対応する第2梁部34の一端に繋がっている。この場合、ベース部材12における頂点343による被固定部が受振部12aとなる。
【0037】
図17の防振構造体420は、2個の防振部30および第2軸部26が2個の防振部430および2個のトラス部440に置き換えられた点で、図1の防振構造体20とは異なる。防振構造体420は、防振構造体20と同様に、所定平面Pyz,Pxzに対して互いに鏡像となるように形成されている。防振構造体420の各防振部430において、第1梁部32の一端は、第1軸部24の下端24aに繋がっており、第2梁部34の一端は、トラス部440に繋がっており、第2梁部34の他端は、第1梁部32の他端に節点部36を介して繋がっている。各トラス部440は、辺部441と、辺部442とを有する。辺部441は、第2梁部34の一端から延出されて所定平面Pyz(軸線Lz)に接近しながら下側に延在して軸線Lz近傍でベース部材12の上面に固定される。辺部442は、第2梁部34の一端から延出されて所定平面Pyzから離間しながら下側に延在してベース部材12の上面に固定される。この場合、ベース部材12における辺部441,442による被固定部が受振部12aとなる。そして、トラス部440は、辺部441と辺部442とベース部材12とによりトラス構造を構成する。
【0038】
図18の防振構造体520は、2個の防振部30および第2軸部26が2個の防振部530および4個のトラス部540に置き換えられた点で、図1の防振構造体20とは異なる。防振構造体520は、防振構造体20と同様に、所定平面Pyz,Pxzに対して互いに鏡像となるように形成されている。この防振構造体520では、各防振部530の前側および後側に1つずつのトラス部540を有する。防振構造体520の各防振部530において、第1梁部32の一端は、対応する2つのトラス部540に繋がっており、第2梁部34の一端は、第2軸部26の上端26aに繋がっており、第2梁部34の他端は、第1梁部32の他端に節点部36を介して繋がっている。各トラス部540は、辺部541と、辺部542とを有する。辺部541は、第1梁部32の一端から前方または後方に延出されて所定平面Pyz(軸線Lz)に接近しながら上側に延在して軸線Lz近傍でマウント部材10の下面に固定される。辺部542は、第1梁部32の一端から前方または後方に延出されて上側に延在してマウント部材10の下面に固定される。この場合、マウント部材10における辺部541,542による被固定部が加振部10aとなる。そして、トラス部540は、辺部541と辺部542とマウント部材10とによりトラス構造を構成する。
【0039】
発明者らは、解析により、防振構造体320についても、防振構造体20と同様に、節点部36の回転変位Drが防振構造体320の1次共振周波数よりも高く且つ2次共振周波数よりも低い周波数範囲内の第1周波数で反共振を呈し、防振構造体320(受振部12aの反力Fr)がこの周波数範囲内の第2周波数で反共振を呈することを確認した。防振構造体420,520についても同様のことを確認した。
【0040】
実施例や上述の変形例では、防振構造体20の2個の防振部30などにおいて、節点部36は、図示上下方向において、第1梁部32の一端および第2梁部34の一端に対して上側(マウント部材10側)に位置するものとした。しかし、節点部36は、第1梁部32の一端および第2梁部34の一端に対して下側(ベース部材12側)に位置するものとしてもよい。
【0041】
実施例や上述の変形例では、防振構造体20の2個の防振部30などは、所定平面Pyzに対して互いに鏡像(面対称)となる形状に形成されるものとした。しかし、2個の防振部30などは、所定平面Pyzに対して若干異なる形状、例えば、節点部36と所定平面Pyzとの距離が若干異なる形状などに形成されるものとしてもよい。
【0042】
実施例では、防振構造体20は、所定平面Pyzに対して互いに鏡像(面対称)となるように形成されるものとした。言い換えれば、防振構造体20は、所定平面Pyzに対して一方側(例えば右側)の防振部30を、軸線Lzの周りに180°の間隔をおいて回転対称となるように2個備えるものとした。しかし、図19の変形例の防振構造体620の外観斜視図に示すように、防振構造体20と同様の防振部30を、軸線Lzの周りに120°の間隔をおいて回転対称となるように3個備えるものとしてもよい。また、図20の変形例の防振構造体720の外観斜視図に示すように、防振部30を、軸線Lzの周りに90°の間隔をおいて回転対称となるように4個備えるものとしてもよい。さらに、防振部30を軸線Lzの周りに等間隔をおいて回転対称となるように5個以上備えるものとしてもよい。これらの場合、複数の防振部30は、回転対称とは若干異なる形状、例えば、節点部36と所定平面Pyzとの距離が若干異なる形状などに形成されるものとしてもよい。また、4個や6個などの防振部を備える場合、防振部30、即ち、節点部36が第1梁部32の一端および第2梁部34の一端に対して上側(マウント部材10側)に位置する防振部と、これを上下反転させた防振部と、が軸線Lzの周りに交互に形成されるものとしてもよい。さらに、複数の防振部30は、等間隔から若干ずれた間隔をおいて、例えば、3個の防振部30を備える場合に120°、115°、125°の間隔などをおいて形成されるものとしてもよい。発明者らは、解析により、防振構造体620についても、防振構造体20と同様に、節点部36の回転変位Drが防振構造体620の1次共振周波数よりも高く且つ2次共振周波数よりも低い周波数範囲内の第1周波数で反共振を呈し、防振構造体620(受振部12aの反力Fr)がこの周波数範囲内の第2周波数で反共振を呈することを確認した。防振構造体720についても同様のことを確認した。
【0043】
実施例では、防振構造体20などの各防振構造体は、樹脂材料やゴム材料、金属材料などにより一体成形された一体成形部材として構成されるものとした。しかし、複数部品として成形され、互いに接合されて構成されるものとしてもよい。
【0044】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した開示の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、第1梁部32が「第1梁部」に相当し、第2梁部34が「第2梁部」に相当する。
【0045】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した開示の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した開示を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した開示の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した開示についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した開示の具体的な一例に過ぎないものである。
【0046】
以上、本開示を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本開示はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【0047】
[付記]
本開示の防振構造体は、加振部から受振部に伝達される振動を低減可能な防振構造体であって、一端が前記加振部に直接にまたは第1支持部を介して繋がる第1梁部と、一端が前記受振部に直接にまたは第2支持部を介して繋がると共に他端が前記第1梁部の他端に節点部を介して繋がる第2梁部と、を備え、前記節点部は、前記加振部の第1位置と前記受振部の第2位置とを通る軸線の軸線方向において、前記第1梁部の前記一端および前記第2梁部の前記一端に対して前記第1位置側または前記第2位置側に位置し、前記加振部の並進変位と、前記加振部の並進変位に伴う前記節点部の並進変位と、により励起される前記節点部の回転変位は、前記防振構造体の1次共振周波数よりも高く且つ2次共振周波数よりも低い周波数範囲内の周波数で反共振を呈する、ことを要旨とする。
【0048】
本開示の防振構造体では、加振部の並進変位と、加振部の並進変位に伴う節点部の並進変位と、により励起される節点部の回転変位は、防振構造体の1次共振周波数よりも高く且つ2次共振周波数よりも低い周波数範囲内の周波数(第1周波数)で反共振を呈する。これにより、防振構造体がこの周波数範囲内の第2周波数で反共振を呈し、その第2周波数付近で加振部から受振部に伝達される振動を十分に低減することができる。発明者らは、このことを解析により確認した。
【0049】
本開示の防振構造体において、前記第1梁部と前記第2梁部とを有する防振部を前記軸線周りに複数備えるものとしてもよい。この場合、複数の前記防振部は、前記軸線周りに等間隔をおいて形成されているものとしてもよい。
【0050】
本開示の防振構造体において、前記防振構造体は、一体成形部材であるものとしてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20