(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035793
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】装飾体・装飾体製造装置・装飾体製造方法及び装飾体照明設備
(51)【国際特許分類】
B32B 7/023 20190101AFI20230306BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B32B7/023
B32B27/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041952
(22)【出願日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2021142819
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】512012986
【氏名又は名称】平井 正義
(72)【発明者】
【氏名】平井 正義
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AG00
4F100AK01
4F100AK25
4F100AR00A
4F100AR00B
4F100AR00C
4F100AR00D
4F100AR00E
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA21A
4F100BA21B
4F100BA21C
4F100BA21D
4F100BA31A
4F100BA31B
4F100BA31C
4F100BA31D
4F100CA13
4F100CA13D
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4F100HB00B
4F100HB00C
4F100HB00D
4F100JK14
4F100JL10
4F100JL10B
4F100JL10C
4F100JL10D
4F100JL11
4F100JL11E
4F100JN01
4F100JN01A
4F100JN01B
4F100JN01C
4F100JN01E
4F100YY00B
4F100YY00D
(57)【要約】 (修正有)
【課題】装飾体の加飾性の向上。
【解決手段】複数の層が積層された装飾体であって、前記複数の層が、透過性を有する透過層と、前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低い色面層と、前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低く前記色面層とは異なる層である補助色面層と、透過性を有する部分が前記透過性を有する部分とは異なる色の着色剤を含む着色層と、を含み、前記装飾体が、前記積層方向に垂直な面を区分する複数の部分領域を有し、前記複数の部分領域が、前記色面層を有する部分領域と、前記色面層を有さない部分領域と、を含み、前記有さない部分領域の少なくとも一部において、前記積層方向からの視線に対し、前記透過層を透過して前記補助色面層が見えかつ前記着色層が見えない装飾体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層が積層された装飾体であって、
前記複数の層が、透過性を有する透過層と、
前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低い色面層と、
前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低く前記色面層とは異なる層である補助色面層と、
透過性を有する部分が前記透過性を有する部分とは異なる色の着色剤を含む着色層と、を含み、
前記装飾体が、前記積層方向に垂直な面を区分する複数の部分領域を有し、前記複数の部分領域が、前記色面層を有する部分領域と、前記色面層を有さない部分領域と、を含み、
前記有さない部分領域の少なくとも一部において、前記積層方向からの視線に対し、前記透過層を透過して前記補助色面層が見えかつ前記着色層が見えない装飾体。
【請求項2】
前記透過層の一部が前記色面層に接合された、請求項1に記載の装飾体。
【請求項3】
前記有する部分領域において前記透過層が前記色面層に接合された、請求項1又は2に記載の装飾体。
【請求項4】
前記補助色面層が見える部分を含む前記有さない部分領域の少なくとも一部が前記積層方向に垂直な面における前記装飾体の端部に接する、請求項1~3の何れかに記載の装飾体。
【請求項5】
前記色面層及び前記補助色面層が前記積層方向において一部の部分領域で重なる、請求項1から4の何れかに記載の装飾体。
【請求項6】
前記重なる部分領域の色面層が前記重なる部分領域以外の色面層に連続し、前記重なる部分領域の補助色面層が前記重なる部分領域以外の補助色面層に連続する、請求項5に記載の装飾体。
【請求項7】
前記着色剤が薄片状であり、前記着色剤の最大長さが0.02mm以上であり、前記着色剤の少なくとも一部において、それぞれの最大長さが、前記最大長さの中点を通り前記最大長さの方向に直交する断面の径のうち前記中点を通る最も短い長さの5倍以上である、請求項1~6の何れかに記載の装飾体。
【請求項8】
前記有さない部分領域の一部が前記着色層を有し、前記有さない部分領域の有する前記着色層が前記透過部を透過して見える、請求項1~7の何れかに記載の装飾体(抜き部分P)。
【請求項9】
前記色面層と前記着色層とが、透過性を有し前記透過層とは異なる層を間に挟む、請求項1~8の何れかに記載の装飾体。
【請求項10】
前記補助色面層と前記着色層とが前記積層方向に垂直な各方向における端部同士で接合されたか、前記色面層と前記補助色面層又は前記着色層の少なくとも一方とが前記垂直な面で接合されたか、の少なくとも一方である、請求項1~9の何れかに記載の装飾体。
【請求項11】
前記色面層と前記補助色面層とが前記積層方向においてそれぞれ異なる位置を有し、かつ互いに連続しないか又は互いの間に接合部分を有するかの少なくとも一方である、請求項1~10の何れかに記載の装飾体。
【請求項12】
前記色面層の視感透過率が50%以下である、請求項1~11の何れかに記載の装飾体。
【請求項13】
前記色面層と他の層との間に接着層を有する、請求項1~12の何れかに記載の装飾体。
【請求項14】
前記装飾体が板状である、請求項1~13の何れかに記載の装飾体。
【請求項15】
前記有さない部分領域において前記透過層と前記透過層に接する別の層とが化学拡散接合である、請求項1~14の何れかに記載の装飾体。
【請求項16】
材料を切断する切断部と、
複数の材料を接合する貼合部と、を有し、
複数の層が積層された装飾体であって、
前記複数の層が、透過性を有する透過層と、
前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低い色面層と、
前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低く前記色面層とは異なる層である補助色面層と、
透過性を有する部分が前記透過性を有する部分とは異なる色の着色剤を含む着色層と、を含み、
前記装飾体が、前記積層方向に垂直な面を区分する複数の部分領域を有し、前記複数の部分領域が、前記色面層を有する部分領域と、前記色面層を有さない部分領域と、を含み、
前記有さない部分領域の少なくとも一部において、前記積層方向からの視線に対し、前記透過層を透過して前記補助色面層が見えかつ前記着色層が見えない装飾体
を製造する装飾体製造装置。
【請求項17】
材料を切断する切断工程と、
複数の材料を接合する貼合工程と、を有し、
複数の層が積層された装飾体であって、
前記複数の層が、透過性を有する透過層と、
前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低い色面層と、
前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低く前記色面層とは異なる層である補助色面層と、
透過性を有する部分が前記透過性を有する部分とは異なる色の着色剤を含む着色層と、を含み、
前記装飾体が、前記積層方向に垂直な面を区分する複数の部分領域を有し、前記複数の部分領域が、前記色面層を有する部分領域と、前記色面層を有さない部分領域と、を含み、
前記有さない部分領域の少なくとも一部において、前記積層方向からの視線に対し、前記透過層を透過して前記補助色面層が見えかつ前記着色層が見えない装飾体
を製造する装飾体製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は装飾体とその装飾体を製造する装飾体製造装置及び装飾体製造方法並びにその装飾体に光を照射する装飾体照明設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、積層からなる装飾体において、複数の粘着フィルム等を段差が目立たないように重ね貼りするという発明を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしこの発明は、着色剤を含む板材を粘着フィルムの抜き部分から透過させる際、望ましくない部分に着色剤が露出してしまうという問題を解決できなかった。本発明は、この問題の解決を課題としてもよい。なお、本明細書における装飾体は表示体・光学体を含むことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様は、以下である。項1:複数の層が積層された装飾体であって、前記複数の層が、透過性を有する透過層と、前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低い色面層と、前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低く前記色面層とは異なる層である補助色面層と、透過性を有する部分が前記透過性を有する部分とは異なる色の着色剤を含む着色層と、を含み、前記装飾体が、前記積層方向に垂直な面を区分する複数の部分領域を有し、前記複数の部分領域が、前記色面層を有する部分領域と、前記色面層を有さない部分領域と、を含み、前記有さない部分領域の少なくとも一部において、前記積層方向からの視線に対し、前記透過層を透過して前記補助色面層が見えかつ前記着色層が見えない装飾体(段落0048~53・
図5~6参照)。
【0006】
前記装飾体は以下のようでもよい。項2:前記透過層の一部が前記色面層に接合された、項1に記載の装飾体。項3:前記有する部分領域において前記透過層が前記色面層に接合された、項1又は2に記載の装飾体。項4:前記補助色面層が見える部分を含む前記有さない部分領域の少なくとも一部が前記積層方向に垂直な面における前記装飾体の端部に接する、項1~3の何れかに記載の装飾体(
図7bのような態様を含む)。項5:前記色面層及び前記補助色面層が前記積層方向において一部の部分領域で重なる、項1から4の何れかに記載の装飾体。項6:前記重なる部分領域の色面層が前記重なる部分領域以外の色面層に連続し、前記重なる部分領域の補助色面層が前記重なる部分領域以外の補助色面層に連続する、項5に記載の装飾体。項7:前記着色剤が薄片状であり、前記着色剤の最大長さが0.02mm以上であり、前記着色剤の少なくとも一部において、それぞれの最大長さが、前記最大長さの中点を通り前記最大長さの方向に直交する断面の径のうち前記中点を通る最も短い長さの5倍以上である、項1~6の何れかに記載の装飾体。項8:前記有さない部分領域の一部が前記着色層を有し、前記有さない部分領域の有する前記着色層が前記透過部を透過して見える、項1~7の何れかに記載の装飾体(抜き部分P)。項9:前記色面層と前記着色層とが、透過性を有し前記透過層とは異なる層を間に挟む、項1~8の何れかに記載の装飾体。項10:前記補助色面層と前記着色層とが前記積層方向に垂直な各方向における端部同士で接合されたか、前記色面層と前記補助色面層又は前記着色層の少なくとも一方とが前記垂直な面で接合されたか、の少なくとも一方である、項1~9の何れかに記載の装飾体。項11:前記色面層と前記補助色面層とが前記積層方向においてそれぞれ異なる位置を有し、かつ互いに連続しないか又は互いの間に接合部分を有するかの少なくとも一方である、項1~10の何れかに記載の装飾体。項12:前記色面層の視感透過率が50%以下である、項1~11の何れかに記載の装飾体。項13:前記色面層と他の層との間に接着層を有する、項1~12の何れかに記載の装飾体。項14:前記装飾体が板状である、項1~13の何れかに記載の装飾体。項15:前記有さない部分領域において前記透過層と前記透過層に接する別の層とが化学拡散接合である、項1~14の何れかに記載の装飾体。項16:前記有さない部分領域の一部が文字・ロゴ・図形・模様の少なくとも何れかの形状である、項1~15の何れかに記載の装飾体。
【0007】
本発明の別の態様は、材料を切断する切断部と、複数の材料を接合する貼合部と、を有し、項1~16の何れかに記載の装飾体を製造する装飾体製造装置である。また別の態様は、材料を切断する切断工程と、複数の材料を接合する貼合工程と、を有し、項1~16の何れかに記載の装飾体を製造する装飾体製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る装飾体では、着色剤が意図された部分のみに表示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】各実施形態に係る装飾体製造装置の構成例を示す図
【
図2】各実施形態に係る装飾体製造方法のフローチャート例
【
図5】第2・3・4の実施形態に係る装飾体の例の正面図
【
図6】第3の実施形態に係る装飾体の例の断面図(
図5bのX-Y線断面)
【
図7】第4の実施形態に係る装飾体の例の断面図(
図5bのX-Y線断面)
【発明を実施するための形態】
【0010】
《第1の実施形態》
以下、
図1及び
図2を参照して、第1の実施形態等に係る装飾体製造装置40の構成及び動作の例を説明する。装飾体製造装置40は、例えば色面層切断部41・色面層接合部42・塗布部44・貼合部45を具える。第1の実施形態等に係る装飾体製造方法は、例えば色面層切断工程S41・色面層接合工程S42・塗布工程S44・貼合工程S46を含む。なお本明細書等においてAがBを「含む」とは、AがB以外を含まない場合を排除しない。各部又は各工程の順序は変更可能である。各部又は各工程が他の各部又は各工程を含んでもよい。各部又は各工程の一部が繰り返されてもよく、省略されてもよい。洗浄等の既知の他の部工程が適宜追加されてもよい。また、本明細書等は例えば表面部F側と記載するが、この○○側とは、○○と○○に対向する別の部分との位置関係において○○の方向であることを示す。例えば、
図4bの色面層Uは装飾体Dにおけるz方向(積層方向)の中心を基準として表面部Fに近く裏面部Rとは反対の箇所に位置する。この場合、色面層Uは「表面部F側」である。また、以下の説明は第2・3の実施形態にもあてはまる。
【0011】
材料板20は加工後の装飾体Dで扁平着色層M・被覆層T等となる。材料板20は特に制限されないが、ABS・セルロースアセテート・エポキシ・ポリカーボネート(PC)・ポリエチレン・ポリエチレンテレフタレート(PET)・PLA・アクリル(PMMA)又は(メタ)アクリレート(アクリレート及びメタクリレートを含む)系・ポリオレフィン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリウレタン・ポリ塩化ビニル(PVC)・シリコーン・不飽和ポリエステル等の各種樹脂やガラス等からなる板状体でもよい。材料板20は、追加工の容易さから熱可塑性樹脂でもよく、透過性や寸法精度から非晶性樹脂でもよい。本発明に係る装飾体は、屋外等に設置される場合には、自立でき、たわみにくく、傷がつきにくいことが望ましい。ゆえに、材料板20が樹脂である場合には硬質樹脂でもよい。硬質樹脂とは、JIS K 7161-1等に記載のように、曲げ弾性率が700MPaを超える樹脂である。なお軟質樹脂の曲げ弾性率は700MPa以下である。扁平着色層M等や装飾体Dはさらに変形しにくくてもよく、その曲げ弾性率は、好ましくは1000以上・より好ましくは1500以上・さらに好ましくは2000以上・一層好ましくは2500ないし3000以上であり、割れにくさや加工適性から好ましくは20000以下・より好ましくは10000以下・さらに好ましくは5000以下である。例えば市販のPMMA板はこれらの条件を満たす。材料板20が、樹脂以外であってこれらの条件を満たしてもよい。ただし、室内用等では、材料板20はフィルム状でもよく、その曲げ弾性率等は制限されない。曲げ弾性率の数値は、単位をMPaとし、基本的にはJIS K 7171・K 7203又はISO178等に記載の方法により測定される。測定には、株式会社島津製作所製のAG-100kNXplusのような万能試験機等の測定装置が用いられる。測定の試験片は、本来は上記規格が定める形状及び寸法通りに作製されるべきである。しかし、実際の装飾体Dの各部から、上記規格の定め通りの試験片を作成することは困難な場合がある。そのようなやむを得ない場合には、測定値は、近似的な測定方法による測定値でもよく、当該材料板20と同じ又は同様の製品について製造元が公表している測定値ないし公称値でもよい。また、本明細書での数値の測定方法は、原則として本発明出願時の最新版JIS及びISOの対応する記載に準拠し、当該JIS等の規定に適合せず、本明細書に記載がない事項については本発明出願時の技術常識に準拠する。以下の他の測定項目に関しても同様である。
【0012】
本発明に係る装飾体Dでは、扁平着色層M等は透過性を有してもよく、有さなくてもよい。透過性とは光学的な透過性であり、無色透明(可視光線全域に対して透過性を有する)と有色透明(可視光線のうち一部の帯域と別の帯域とで透過性が異なる)の両方を含む。扁平着色層M・透過部L・被覆層T・接着層A・裏打ち層K等の全光線透過率(JIS K 7375、一部はISO 13468-1等、ただし試料が有彩色でもよい)は、好ましくは70%以上・より好ましくは80%以上・さらに好ましくは85%以上・一層好ましくは90%以上である。上限は100%でもよい。また、有色透明の場合、分光透過率における400~780nm(前数値以上後数値以下を示す。以下同様である)の範囲内での波長間の透過率の差が、好ましくは10%以上・より好ましくは20%以上・さらに好ましくは30%以上・一層好ましくは40%以上でもよい(有色不透明の場合、波長間の分光反射率の差が同様である。また不透明な板は、観察者に対しその板を挟んだ向こう側の像を観察させない。不透明の場合、全光線透過率が好ましくは30%以下・より好ましくは10%以下・さらに好ましくは5%以下である)。上限は100%でもよいが、蛍光色の場合100%を超えることもある。加えて、一部の波長において透過率が好ましくは50%以上・より好ましくは70%以上・さらに好ましくは80%以上でもよい。これらの条件は色面層U・被覆層T等に適用されてもよい。分光透過率の測定は株式会社島津製作所製SolidSpec 3700DUV等の分光光度計等によってもよく、依頼試験でもよい。なお、本明細書において依頼試験とは地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターへの依頼試験を指す。あるいは、測色には例えばコニカミノルタ株式会社製CM‐5等の分光測色計やCR‐5等の色彩色差計が用いられるが、測色範囲が狭い等の理由で測定が困難な場合には、基準となる試験片との目視比較が併用されてもよい。また、本明細書において、数値範囲の上限ないし下限は、より高性能の材料及び加工方法が開発される可能性があるので、特に定めないことがある。装飾体Dでは光の拡散が低い方がいい場合があるので、扁平着色層M・透過部L・被覆層T・接着層A・裏打ち層K及び溝部Vの側面のヘーズ(JIS K 7136又はISO 14782等)は、好ましくは0~5%・より好ましくは0~2%・さらに好ましくは0~1%である。全光線透過率及びヘーズの測定は日本電色工業株式会社製NDH 5000等のヘーズメーター等によってもよく、依頼試験でもよい。なお、本明細書において色とは、色相・彩度・明度・透過率・ヘーズ・屈折率・反射率等の光学的ないし視覚的要素を含む。接合された2つの材料が何れも無色透明であっても、屈折率等が異なり、それらの接合部分が識別可能であれば、それらは互いに異なる色である。
【0013】
材料板20・扁平着色層M・装飾体Dの厚さは特に制限されないが、入手・加工の容易さから例えば1mm~30mmでもよく、さらに薄いフィルムも含めて0.5mm以上・0.2mm以上でもよく、100mm以下でもよい。厚さはノギス等で測定可能である。フィルムや薄膜等の場合、主走査光学解像度4000dpi以上のフラットベッドスキャナ(セイコーエプソン株式会社製のGT‐X980等)による試験片のスキャン画像のピクセル数から測定可能である。スキャン時には自動シャープネスを最大とする。試験片は必要に応じて加工され、測定部分がスキャンガラス面に密着するのが望ましい。光学的歪みの低減のため、主走査方向の中央部分での測定が望ましい。この測定は株式会社トプコン製のTUM-220EH等の工具顕微測定機・Carl Zeiss製O‐INSPECT 543等のマルチセンサ・OGP社製Smart Scope Vantage 300等のレーザ測定機によってもよく、依頼試験でもよい。破壊・移動できない試験片の各部寸法等は、試験片と定規等の撮影画像からも概算可能である。また、装飾体Dは平面的板状体でもよく、曲面状・球状・立方体状・円柱状・多角柱状等様々な形状でもよく、そのサイズも自由である。装飾体製造装置40が装飾体Dを曲げ加工してもよい。装飾体Dが楔状で、表面部Fが裏面部Rに平行でなくてもよい。
【0014】
色面層切断部41は、例えば、文字・ロゴ・図形・模様等の画像30のデータに基づき、色面層材料22を切断してもよい(S41)。色面層材料22は制限されないが、典型的には株式会社中川ケミカル・トーヨーケム株式会社・桜井株式会社・3M Company・リンテック株式会社・ORAFOL等製のマーキングフィルムやその他のフィルムでもよく、より厚い樹脂板や、金属板・金属箔、紙等でもよい。色面層材料22の色は制限されない。色面層材料22の色は扁平着色層M等と実用上同じ色でもよく、別の色であれば、色面層Uが文字等を表示できる。実用上同じ色とは、マンセル表色系(D65)において色相・彩度・明度の差が何れも2ステップ以下かつ屈折率の差が0.5以下、特記時には1又は0.5ステップ以下かつ屈折率の差が0.2以下のことである。2色の差がこれらの少なくとも何れかを超える場合、その2色は実用上異なる色である。さらに被覆層Tがあれば、溝部Vや色面層Uが透明体に封入され浮いているかのように見える。色面層切断部41は、例えばCPUや記憶装置等を内蔵する既知のコンピュータを具え、読み込んだ画像30に応じて加工装置を制御する。色面層切断部41は、PVC等のフィルムを株式会社ミマキエンジニアリング製等のカッティングプロッタやNCルータで切断してもよく、オレフィン系・PMMA(アクリル)系等のフィルムをレーザ加工機で切断してもよい。マーキングフィルムの多くの厚さは、好ましくは10~400μm・より好ましくは20~200μm・さらに好ましくは40~150μmであり、扁平着色層M又は装飾体Dの厚さの好ましくは1/5~1/2000・より好ましくは1/10~1/1000・さらに好ましくは1/20~1/500・一層好ましくは1/40~1/250である。
【0015】
色面層接合部42は、色面層材料22を材料板20の所定位置に接合し、色面層Uとしてもよい(S42)。色面層材料22がマーキングフィルム等であれば、塗布済の粘着剤Bにより容易に接合可能である。接合は粘着剤B等による貼付等を含み、色面層Uが接した状態で固定されていれば接合されている。2層の接合は、それら2層が間に粘着層又は接着層を挟む場合を含む。色面層接合部42は、色面層Uを被覆層Tに接合してもよい。
【0016】
溝加工部43は、レーザ加工又は切削加工・金型加工・射出成形・ウォーターカット・ワイヤーカット・3Dプリンティング等既知の加工を行う装置により、材料板20に溝部Vを形成してもよい(S43)。溝加工部43は、画像30に基づいて溝部Vを加工してもよい。溝部Vの断面形状は特に制限されず、楔状でもよく、平行四辺形や等脚台形等でもよい。溝部Vは、材料板20の表面部F又はそれと対向する裏面部Rの少なくとも一方の側に開口部を有してもよい。溝部Vは空隙でもよく、充填されてもよい。レーザ加工によってなる溝部Vの側面Nの算術平均粗さRaは、好ましくは1以下・より好ましくは0.5以下・さらに好ましくは0.25以下、最大高さ粗さRzが好ましくは4以下・より好ましくは2以下・さらに好ましくは1以下、下限は測定限界でもよい(JIS B 0601又はISO 4287等、単位はμm、後述の凹凸のためカットオフλcは通常は0.08mmでもよく、特に凹凸のピッチが大きい場合は0.25mmでもよい。基準長さlrも同様である。カットオフλsは最小又は2.5μmでもよい。Taylor-Hobson社製TALYSURF2等の表面粗さ測定機等で測定可能である)。側面Nには、融解した樹脂の流れによるとみられる、溝部Vの長さ方向に平行な複数の線状の凹凸と、その凹凸に垂直又はそれと70°から110°の角度をなす、レーザのパルスを反映した複数の凹凸とが形成されることが多い。後者は、レーザ出力・速度・周波数等により変動するが、通常50~2000μm・多くは100~1200μm・典型的には200~700μmピッチで、溝部Vの先端付近では算術平均うねりWa又は最大高さうねりWzが好ましくは0.3~16・より好ましくは0.5~8・さらに好ましくは1~4・一層好ましくは2~4である(JIS B 0601等)。これらは16以上でもよいが、最大でも幅w又はその1/2以下である。ピッチに応じてカットオフλcは0.08でもよく、0.25mmでもよく、凹凸のピッチが小さければ0.025mmでもよい。後者は、幅wの1/20~10倍・あるいは1/10~3倍・時に1/5~1倍のピッチで、1/4000~1/20倍・あるいは1/2000~1/50倍・時に1/1000~1/100倍の深さでもよい。前者及び後者は上記の互いに他方の深さ・ピッチと同じ範囲でもよい。また両者とも、凹凸の高さは、好ましくは1~40μm・より好ましくは2~20μm・さらに好ましくは4~10μmでもよい。凹凸のピッチは、表面うねり測定の解析曲線に現れる周期的凹凸の複数のピーク間距離の算術平均でもよく、その場合うねり測定の解析より101/2倍又は10倍大きい(小さい)カットオフλcを用いてもよい。
【0017】
扁平着色層M等のうち透過性を有する部分の屈折率をnとすると、前記透過性を有する部分が表面部・裏面部・溝部を有し、前記溝部の少なくとも一部において、溝部の少なくとも一部の各々の片側の前記複数の側面の一部である複数の第1の側面・それぞれ対応する該複数の第1の側面にそれぞれ対応する前記複数の溝間部の少なくとも一部を挟んでそれぞれ最も近くで向かい合う複数の第2の側面・前記複数の第1の側面における前記裏面部の少なくとも一部の側の複数の端部ごとの複数の第1の点・該複数の第1の点から前記表面部の少なくとも一部を含む面に下ろした垂線又は法線・それぞれ対応する前記複数の第2の側面の前記表面部の少なくとも一部の側の複数の端部におけるそれぞれ対応する前記垂線又は法線にそれぞれ最も近い複数の第2の点に関し、前記溝部の深さが、それぞれ対応する前記垂線又は法線とそれぞれ対応する前記複数の第2の点との最短距離のcot[arcsin(1/n)]倍未満(nは前記透過性を有する部分の屈折率)でもよい。屈折率は、アッベ屈折計等により測定可能である。アッベ屈折計は、例えば株式会社アタゴ製NAR‐1T SOLIDであり、ナトリウムD線、23±0.5℃で測定し、他詳細はJIS K 7142・一部はISO489等又は出願時の技術常識に準拠する。本明細書の他の箇所でも同様である。
【0018】
貼合部45は、色面層接合済の材料板20に別の材料板20を、例えばAIZ合同会社製のキレークレ‐502等の既知の接着剤で接合し、被覆層Tとしてもよい(S45)。被覆層Tは溝部Vを密封してもよい。接着剤によってなる接着層Aは、多くの場合に無色透明又は扁平着色層M等と実用上同じ色であるが、加飾目的に応じてそれら以外の色でもよい。なお、一部の図面の断面図は、接着層A・粘着剤Bを図示していないが、それらの装飾体Dも接着層A・粘着剤Bや被覆層Tを有する場合がある。被覆層Tは厚さが一定の板状体でもよく、その場合色面層Uの最も広い面は表面部Fに(被覆層Tや接着層Aの各部の厚さの差の範囲内で)平行である。被覆層Tの表面部F側が例えば凸状で、色面層Uの最も広い面が表面部Fに平行でなくてもよい。短期用途や屋内用途であれば、被覆層Tがなく色面層Uが露出してもよい。それによる面接着の工程の省略で、製造コストが低減される。この場合、表面部Fは色面層Uの側の露出部分であって、色面層U以外の部分である。被覆層Tを有する装飾体Dの表面部F及び裏面部Rは、被覆層T接着後の外側の露出面である。また、表面部Fと裏面部Rとは、互いに反転可能である。
【0019】
被覆層Tのための材料板20は、無色透明で、段落0012の記載のように全光線透過率又は可視光線透過率が高い方がよいが、用途によっては有色透明でもよい。被覆層Tはなくてもよい。簡易的には、被覆層Tは厚さ0.5mm以下のPET等の薄い粘着性軟質フィルムでもよい。長期用途には、板状の被覆層Tが接合されるのがよい。板状の被覆層Tは装飾体Dを割れにくくする。平面的板状の被覆層Tが、扁平着色層Mの透過性を有する部分と同一・同種・類似の材質でより薄ければ物性が近いので好ましい。例えばPMMAのキャスト板と押出し板とは同一の材質ではないが、何れもPMMAであり、上記の各種樹脂のうちの同じ分類に属するので、同種である。また、硬質PVCとPMMAとが、近似した線膨張率であり、同じ溶剤により溶着可能であれば、その点でこれらは類似である。被覆層Tが接合されていることが、装飾体Dの端部Eに生じる0.01mm以上・0.03mm以上・0.1mm以上の段差によって明らかな場合がある。貼合部45等がUVプリンタ等により被覆層T・扁平着色層M・色面層U等にプリントしてもよい。あらかじめプリントされた材料がこれらに用いられてもよい。
【0020】
被覆層T・扁平着色層M・接着層Aの間の接合が物理的接合でなく、化学拡散接合でもよい。化学拡散接合では、互いの成分が溶け合いながら硬化する。あるいは、接着剤の一部が(メタ)アクリレート、特にメタクリル酸メチル(MMA)であれば、ABS・PC等の樹脂によってなる材料板20に対して溶解又は浸透しつつ重合する。それらの結果、接合面が明確な界面でなく、その両側の成分が互いに移動し混ざり合った連続部分となる。このような接合状態を、本明細書等では化学拡散接合と記載する。接着剤がMMAを含み、材料板20がPMMAであれば、重合によって一体化しやすく、さらに強い化学拡散接合となる場合がある。変性アクリレートでも同様の効果が得られることがある。それらの結果、接合面が明確な界面でなく、その両側の成分が互いに移動し混ざり合った連続部分となる。このような接合面が機械的に分離されると、界面で截然と剥離するのではなく、少なくとも一方が破壊される。つまり、接着強さが引張強さ等より大きく、分離しようとする応力が界面剥離(界面破壊)に代わり被着材の内部裂損に働くことで、被着材を凝集破壊する。接合面を強制分離した場合の表面では、おそらく応力が分散するため、波状の凹凸が発生することがある。この凹凸のピッチの範囲は、剥離物の厚さ等により変動するが、好ましくは50μm~2000μm・より好ましくは100μm~1000μm・さらに好ましくは200μm~500μm、又は好ましくは100μm~1500μm・より好ましくは300μm~1200μmである。化学拡散接合部分の剥離面には波状に限らず様々な形状の凹凸ができ、カットオフλc0.8mm・カットオフλs2.5μmでの算術平均粗さRaは好ましくは1以上・より好ましくは3以上・さらに好ましくは5以上・一層好ましくは10以上、最大高さ粗さRzが好ましくは5以上・より好ましくは12以上・さらに好ましくは25以上・一層好ましくは50以上である。そのカットオフλc0.08mm・カットオフλs0.25μmでのRaは好ましくは0.25以上・より好ましくは0.5以上・さらに好ましくは1以上、Rzが好ましくは0.5以上・より好ましくは1以上・さらに好ましくは2以上である。そのカットオフλc2.5mmでのRaは好ましくは2以上・より好ましくは5以上・さらに好ましくは10以上、Rzが好ましくは10以上・より好ましくは20以上・さらに好ましくは50以上である。そのカットオフλc0.08mmでのWaは好ましくは5以上・より好ましくは10以上・さらに好ましくは15以上、Wzは好ましくは2以上・より好ましくは5以上・さらに好ましくは10以上である。何れも最大は板厚相当である。
【0021】
扁平着色層Mは扁平着色剤Cを含む。扁平着色剤Cは特に限定されないが、例えばアルミニウム・酸化アルミニウム・チタン・酸化チタン・金・銀・銅・ニッケル・コバルト・鉄・クロム・スズ・亜鉛・インジウム・二酸化ケイ素のうち少なくとも何れかを含んでもよく、さらに樹脂等の被膜を外側に有してもよく、ガラスや樹脂の薄片やフィルムでもよく、さらに上記金属等の被膜を外側に有してもよく、マイカ・合成マイカでもよい。金属を含むグリッターは、主として金属による正反射である金属光沢を呈し、他の部分とは大きく異なる色や輝きを放つ。これが加飾性を向上させる。グリッターの金属光沢は、光源方向の変化に伴って各微小部分の反射光が見えたり見えなかったりすることで識別可能である。また金属光沢では、反射光が偏光しないので、偏光フィルタを通した観察時に偏光フィルタの角度が変化しても反射状態が変化しない。金属光沢は、この特徴により、樹脂・ガラス等の反射とは区別される。扁平着色剤Cはグリッターに限られず、正方形・長方形等に裁断された色つきフィルムでもよい。扁平着色剤Cは一般の顔料でもよいが、より大きく扁平な薄片であれば視認性が向上する。この薄片の最大の長さlCは、視認性のため、好ましくは0.02mm以上・より好ましくは0.05mm以上・さらに好ましくは0.1mm以上・一層好ましくは0.2mm以上・より一層好ましくは0.4mm以上でもよい。上限は制限されないが、この長さが接着層Aの厚さに対して大きいほど、複数の扁平着色剤C粒子の方向が揃って一律の反射状態を呈することがある。多様な方向への反射効果のためには、少なくとも一部の最大長さlCは、好ましくは40mm以下・より好ましくは20mm以下・さらに好ましくは10mm以下でもよい。
図3a・4aに示すように、扁平着色剤Cにおいて、最大長さlCの中点を通り最大長さlCの方向に直交する断面の径のうち前記中点を通る最も短い長さを厚さtCとすると、最大長さlC/厚さtCは5以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上がさらに好ましく、40以上が一層好ましい。扁平着色剤Cが湾曲している場合、厚さtCは湾曲量を含む差し渡し長ではなく、扁平着色剤C本体の厚さである。扁平着色剤Cにおいて、最大の長さlC及び厚さtCの両方向に垂直な方向の長さは、厚さtCの好ましくは2倍以上・より好ましくは4倍以上・さらに好ましくは8倍以上でもよい。これらの測定は走査型電子顕微鏡等で試料を各方向から観察して行ってもよく、段落0013のスキャナを使用する方法等と同様でもよい。
【0022】
扁平着色層Mのうち扁平着色剤C以外の部分である透過部Lは、段落0012に記載の全光線透過率の条件を満たしてもよい。透過部Lの視感透過率(D65、又は視感透過率τV:JIS T 7333/ISO8980-3・分光透過率におけるある波長帯の透過率・全光線透過率・拡散光線透過率・平行光線透過率)は、好ましくは50%以上・より好ましくは60%以上・さらに好ましくは70%以上・一層好ましくは80%以上でもよい(CM‐5、10°視野、D65、00全透過又は特記の場合正透過近似、自動校正又は0校正・100校正後の測定。本明細書の他の箇所での同種の測定でも基本的に同様である。視感透過率はCM‐5によって測定されたYxy又はXYZのY値とする)。ただし、扁平着色層Mが扁平着色剤Cを大量に含む場合、透過率が不均等であるため、これらの測定が難しいことや、測定値が実際の透過率を反映していないことがある。その場合、透過率が均等な標本体との目視比較でもよい。扁平着色剤Cの光輝性は、背景となる低透過層Qとのコントラストによって最大化する。よって、扁平着色剤Cが扁平着色層Mを埋め尽くし、後述の低透過層Qを遮蔽してしまうのは望ましくないことがある。その場合、扁平着色層Mにおける扁平着色剤Cが占める部分の割合は、好ましくは2~80%・より好ましくは4~70%・さらに好ましくは8~60%である。ただし、装飾体Dが低透過層Qを有さない場合等には、この割合が80%を超えてもよい。測定は、低透過層Qを除去した扁平着色層Mの透過光源によるスキャン画像を対象とする。画像は正方形でグレースケールのポジ画像、シャープネスなし、最大長さlCが画像の1辺の1/10ないし1/20に近くなるような画像解像度に設定される。スキャン時のトーンカーブはリニアとし(又はガンマ値1)、透過部分の最も明るい画素が100%明度、扁平着色剤Cの最も暗い画素が0%明度となるようなリニアのトーンカーブで、この画像がトーン変換される。さらにこの画像が、50%を閾値として2階調化される。この画像における黒の割合が、求める割合である。ただし、この測定方法では、扁平着色剤Cが小さいほど、その面積に対する輪郭長の比率が大きくなるので、光源からのフレアの影響が大きく、扁平着色剤Cの割合が実際より小さく反映される傾向がある。そのために、上記のような、比率が小さい側に広い範囲となっている。装飾体製造装置40は、扁平着色剤CをMMA等の透過部Lの材料に散布・混錬して、キャスト製法等の既知の工程で材料板20を製造してもよい。
図3aのように扁平着色層Mがさらに表面部F側の層を有さず表面部F側に露出していれば、扁平着色剤Cに入射し反射して観察者に届く光量の減衰が低減される。これにより扁平着色剤Cの光輝性効果が向上する。
【0023】
また、それぞれの扁平着色剤Cの最も広い面がランダムに多様な方向を向いている方が、視点や光線の方向の変化に応じて異なる位置の扁平着色剤Cが順次明滅する効果が大きくなる。この度合を扁平方向乱雑率とし、好ましくは20%以上・より好ましくは30%以上・さらに好ましくは40%以上・一層好ましくは50%以上・より一層好ましくは60%以上・さらに一層好ましくは70%以上でもよい。最大は100%であるが、通常は、光らない扁平着色剤Cや両方向で光る扁平着色剤Cがあるため100%にはならない。扁平方向乱雑率は以下の方法で測定可能である。低透過層Qを除去した扁平着色層Mの表面部F側の任意の点に対し、z負(正)方向の同じ位置から、同じ撮影範囲で同画素数の5点の画像が撮影される。その際、最大長さlCが画像の短辺の1/10ないし1/20に近く、かつ露光面中心から前記短辺を見込む角度が12°になるよう焦点距離・撮影距離・画面の範囲が調整される。5点の画像A・B・C・D・Eは、それぞれ異なる照明条件で撮影される。うちA・B・C・Dは、撮影対象中心に下した垂線に対して45°の斜め方向であって、z方向から見た時に互いに垂直又は平行(反対)であるような4方向から(例えばA:上・B:下・C:左・D:右の各斜め方向から)、充分な大きさの面光源で照射して撮影される。光源は1灯等の減衰がなだらかな照明で、照明面内の輝度差が1/10以下になるような距離に設置されてもよい。扁平着色層Mの背景は無反射布等の充分に低反射の面である。Eは背景側から拡散光線で照射される。5点とも同じ露光条件となるよう光量が調整される。5点とも上記の要領で2階調化される。z方向から見た時に照射方向が互いに反対の2点の画像の2組に対し、それぞれの差分成分を加算して2点の画像とする。この2点の画像の差分が合算された成分の、扁平着色剤Cの全成分に対する割合が、求める値である。つまりそれは、A及びBを差の絶対値モードで重ねた画像並びにC及びDを同様に重ねた画像を合成した画像における差分の合計の画素数(重複する部分は含まない)を、Cの黒の画素数で除した商の百分率表示である。
【0024】
本実施形態では、貼合部45は、扁平着色剤Cを含む扁平着色層Mの裏面部R側に透過性の低い低透過層Q等を接着層Aで接合してもよい。低透過層Qは白・黒等の様々な色でもよく、無色透明でもよく、扁平着色層Mとは異なる扁平着色剤Cを含んでもよい。低透過層Qは扁平着色層Mと同じ扁平着色剤Cを含んでもよく、全面で均等な金属光沢を有してもよい。その視感透過率(又は視感透過率τV・分光透過率におけるある波長帯の透過率・全光線透過率・拡散光線透過率・平行光線透過率)は、好ましくは30%以下・より好ましくは10%以下・さらに好ましくは5%以下・一層好ましくは3%以下でもよい。低透過層Qの全光線透過率は、好ましくは30%以下・より好ましくは10%以下・さらに好ましくは5%以下・一層好ましくは3%以下でもよい。なお、全光線透過率は一般に透明体の測定に用いられるが、この場合便宜的に不透明ないしそれに近い樹脂等の測定に準用される。低透過層QのL*a*b*のL値が、好ましくは20以下・より好ましくは10以下・さらに好ましくは5以下・一層好ましくは2以下、又はマンセル表色系のV値で、好ましくは3以下・より好ましくは2以下・さらに好ましくは1以下であれば、扁平着色剤Cと背景とのコントラストが特に大きい(CM‐5、反射光測定、SCE、D65、10°視野)。低透過層Qは壁面・床面・卓上面等でもよい。装飾体Dの壁面等への設置方法は、接着剤だけでなく、ビス等の建築金物・装飾金物つまり金具(プラスチック・木等の非金属製品も含む)でもよい。これにより装飾体Dが壁面から浮いた状態で設置可能となる。扁平着色層M・低透過層Q・被覆層Tは段落0011に記載の材料板20の曲げ弾性率の範囲と同様でもよい。
【0025】
扁平着色層Mの厚さにより紫外線の透過量が減り、扁平着色剤C等の褪色が減少する。扁平着色層MがPMMA等の(メタ)アクリレートを含む場合、特に紫外線遮断作用が大きい。加えて、扁平着色層Mの厚さが好ましくは1.4mm以上・より好ましくは1.8mm以上・さらに好ましくは2.3mm以上・一層好ましくは2.8mm以上であれば、紫外線遮断作用がより大きい。その厚さが1mm以上・1.5mm以上でもよい。さらに、扁平着色層Mが厚いほど、一般に扁平着色剤Cが多様な方向を向くので、視線を移動すると様々な位置で明滅が観察される効果が増す。また層の厚さ方向における扁平着色剤Cの分布位置の幅が拡がるため、立体感が向上する。この立体感のためには、扁平着色層Mの厚さのうち扁平着色剤Cが分布する部分の厚さの割合が、好ましくは20%以上・より好ましくは40%以上・さらに好ましくは60%以上・一層好ましくは80%以上でもよい。これは、扁平着色剤Cが分布する部分が厚さ方向で複数に分かれている場合にはそれらの厚さの合計である。また、扁平着色剤Cが分布する部分の厚さが、好ましくは0.5mm以上・より好ましくは1mm以上・さらに好ましくは1.5mm以上でもよい。低透過層Qの厚さが好ましくは0.4mm以上・より好ましくは0.9mm以上・さらに好ましくは1・3mm以上・一層好ましくは1.8mm以上であれば、充分に不透明になる。この厚さは1mm以上・1.4mm以上でもよい。また、扁平着色剤Cへの保護が強化され、屋外でも充分な耐久性が得られる。装飾体D全体の厚さは、好ましくは2mm以上・より好ましくは3mm以上・さらに好ましくは4mm以上でもよい。これにより装飾体Dが自立可能となり、堅牢性を得る。厚さの上限は特に限定されないが、扁平着色剤Cの光輝効果や重量等から、1000mm以下又は500mm以下が現実的である。大きさも限定されないが、出願時点で入手可能な材料板20のサイズからすると、2200×3300mm程度が実用上の最大サイズである。扁平着色剤Cの光輝性が視認可能である最小サイズは、3×3mm程度である。
【0026】
扁平着色層M・低透過層Q・接着層Aの間の2つの接合部分が化学拡散接合でもよい。その部分の凹凸の高さの差が、好ましくは0.01mm以上・より好ましくは0.02mm以上・さらに好ましくは0.05mm以上・一層好ましくは0.1mm以上でもよい。それにより、3層が強固に一体化し、雨水等の過酷な環境下でも剥離しにくくなる。塗布部44は、例えば三菱ケミカル株式会社製アクリエステルM等のMMA60重量部とPMMA粉末30~60重量部を混合攪拌し、過酸化ベンゾイル等の重合開始剤やフタル酸ジシクロヘキシル・フタル酸ジブチル等の可塑剤等を0.1重量部程度(温度等に応じて調整可)の微量添加し、これを扁平着色層M又は低透過層Qに塗布・滴下又は充填する(本明細書等ではこれらを塗布と総称する。塗布工程S44)。貼合部45は、扁平着色層M及び低透過層Qを重ね、温水槽等により60~100℃程度の各層のガラス転移点又は融点より若干低い温度で数時間から数日加熱し、その後徐冷してもよい(貼付工程S45)。これはMMAを含むため、材料板20がPMMAであれば、重合によって一体化しやすく、さらに強い化学拡散接合となる場合がある。変性アクリレートでも同様の効果が得られることがある。このように接着層Aで接合することで、厚さ3mm以上の装飾体Dの製造が、大規模な設備によらず容易に可能になる。接着層Aは段落0012に記載の全光線透過率の条件を満たしてもよい。その視感透過率(又は視感透過率τV・分光透過率におけるある波長帯の透過率・全光線透過率・拡散光線透過率・平行光線透過率)は、好ましくは70%以上・より好ましくは80%以上・さらに好ましくは90%以上でもよい。
【0027】
少なくとも一部の接着層Aの厚さは、好ましくは0.03mm以上・より好ましくは0.1mm以上・さらに好ましくは0.3mm以上・一層好ましくは0.8mm以上でもよい。また、接着層Aの厚さ/扁平着色層Mの厚さは、好ましくは1/2以下・より好ましくは1/3以下・さらに好ましくは1/4以下でもよい。これは、スペーサー・接着剤の粘度・扁平着色層Mの厚さ及び比重・接合時の加重等によって調整可能である。あるいは、色面層接合部42が扁平着色層Mと低透過層Qとの間にマーキングフィルム等の色面層Uを挟めば、その厚さによって接着層Aの厚さを調整可能である。扁平着色層Mの表面は、扁平着色剤Cの影響で、凹凸状であることが多い。接着層Aが上記の範囲の厚さであれば、この凹凸が埋まり、良好に接合される。また、特に扁平着色剤Cが、樹脂片にアルミ等の金属が蒸着されたものである場合、扁平着色剤Cは入射した光の一部を透過する。透過した光が扁平着色層Mと低透過層Qとの界面で反射すると、扁平着色剤Cが直接反射した光の見え方に影響を及ぼす。つまり、扁平着色剤Cの反射をにじませ、そのコントラストを低下させる。その防止のため、扁平着色層Mと低透過層Qとの間隔が離れている方がよい。そのためにも、接着層Aが上記の厚さであるとよい。ただし、接着層Aが厚すぎるのは重量や発色の点で支障となることがある。よって、接着層Aの少なくとも一部の厚さは、好ましくは3mm以下・より好ましくは2mm以下・さらに好ましくは1.5mm以下・一層好ましくは1mm以下・最も好ましくは0.5mm以下でもよい。材料板20の反り等のため、一部の厚さがこれを超えてもよい。接着層Aの厚さは、扁平着色層M又は低透過層Qの少なくとも一方の厚さに対し、好ましくは1/2以下・より好ましくは1/5以下・さらに好ましくは1/10以下・一層好ましくは1/20倍以下でもよい。
【0028】
色面層U(色面層材料22)が粘着剤Bを有すれば、色面層接合部42は色面層Uを低透過層Qに容易に接合できる。その場合、粘着剤Bは色面層Uの形状に沿う形状である。色面層U(色面層材料22)がロール状等の柔軟な粘着シートで、その曲げ弾性率が好ましくは1000MPa以下・より好ましくは700MPa以下・さらに好ましくは500MPa以下であれば、板材(材料板20)への接合が特に容易である。貼合部45がその後扁平着色層Mを接合すれば、色面層Uと扁平着色層M又は被覆層Tとが化学拡散接合となることがある。粘着剤Bと低透過層Qとは化学拡散接合でないことが多い。色面層Uと低透過層Qとが異なる色であれば、扁平着色剤Cは複数の色を背景にして複数の見え方を呈する。また色面層Uは扁平着色層Mによって保護されるので、屋外用途でも充分な耐光性・耐候性を具える。色面層接合部42は扁平着色層Mの表面部F側に色面層Uを加工してもよく、その上に貼合部45が被覆層Tを加工してもよい。その場合、扁平着色層Mと低透過層Qとの間の色面層Uはあってもなくてもよい。また、色面層Uと扁平着色層Mとは化学拡散接合でないことが多い。色面層Uの分光透過率又は分光反射率のうち、ある波長と別の波長とで、透過率又は反射率の差が、好ましくは20%以上・より好ましくは40%以上・さらに好ましくは60%以上でもよい。また、色面層Uと低透過層Qとで、ある波長における分光透過率又は分光反射率の差が、好ましくは20%以上・より好ましくは40%以上・さらに好ましくは60%以上でもよい。これらにより、文字等が鮮明に表示される。測定はCM‐5等による。また、複数の色面層Uが扁平着色層Mを挟む場合、それぞれの色面層Uの見え方が異なる。例えば、
図3bの装飾体Dの表面部F側からは、色面層U11が不透明ならば、色面層U11がある部分では扁平着色剤Cが隠れ、色面層U12には扁平着色剤Cが乗って見える。さらに、色面層U11と色面層U12のように間に別の層を挟む複数の色面層U、あるいは直接重なる複数の色面層U等において、一方が他方の形状に沿う形状でもよく、一部が他の一部の形状に沿う形状でもよい。このような複数の色面層Uは、互いに、扁平着色層Mに対して同じ側でもよく、異なる側でもよい。例えば色面層U11が色面層U12のネガ像(色面層U12が文字で色面層U11が抜き文字等)であれば、図示しない観察者が表面部Fを正面(z負(正)方向)から見た時、色面層U11の透過部から色面層U12が見え、斜め方向から見た時には低透過層Qの色が色面層U12の一部の輪郭の外側に見え、立体感効果を呈する。色面層U11・色面層U12の両方又は一方が抜き加工でも同様の効果が得られる。色面層U11・色面層U12が正確にポジ・ネガの関係ではなく、何れかが太くても大きくてもよい。一方が他方の形状に沿う形状は、さらに以下のような場合も含む;色面層U11が複数の文字状に抜き加工され、色面層U12が、色面層U11の抜き加工された穴部分から透過して見える範囲すべてに覗いて見えるように、色面層U11より一回り大きい矩形状にカットされている;色面層U11が複数の文字からなる数個の単語を表示し、それらが単語ごとに互いに異なる色になるように色面層U12がカットされている;つまり、色面層U12が複数の色に塗りわけられ、その境界部分が被覆層T側の色面層U11によって隠れている;複数の色面層Uが扁平着色層Mと低透過層Qとの間に挟まれ、それらが一部で同じ形状にカットされ、上の色面層Uが下の色面層Uを隠している;又は、下の色面層Uが上の色面層Uより一回り大きく、縁取っている。
【0029】
UVプリンタ等により画像等が色面層U・扁平着色層M・低透過層Q・被覆層Tにプリントされてもよい。これらがあらかじめプリントされた材料でもよい。色面層Uはこのような印刷でもよい。プリントされた透明等の色面層Uの粘着剤Bが扁平着色層Mに接合されてもよい。色面層Uや扁平着色剤Cは布・紙・砂・花弁・葉・昆虫の羽・その他装飾用品等でもよい。色面層Uは、一般のマーキングフィルムのように、同じ層の中で色の濃淡や階調変化等を有さず、単色であってもよく、各部で実用上同じ色でもよく、層の有無のみによって文字等を表示してもよい。文字等において色面層Uが穴状等に欠落した部分は接着層Aによって埋められてもよい。色面層Uは扁平着色層M・低透過層Q・接着層Aの接合面の全面でもよく、一部でもよい。一部であれば大きな接合強度が得られる。色面層Uが端部Eに露出しなくてもよい。これにより、色面層Uの剥離が防止される。反対に、色面層Uが端部Eに露出してもよく、装飾体Dを正面から見た場合に全面を覆っていてもよい。ただし、そのような色面層Uが扁平着色層M等の別の2層の間に挟まれる場合には、それらの接合が弱いことがある。そのため、色面層Uが、正面から見た場合に装飾体Dの全面を覆う場合には、色面層Uが表面部F側に露出してもよい。扁平着色層Mが片側ないし両側に色面層Uだけを有し、被覆層Tも接着層Aも有さなくてもよい。
【0030】
複数の色面層Uのうち2以上の色面層Uの色が互いに異なってもよく、実用上異なってもよく、マンセル色相環(D65)におけるそれらの色相の近い側の間隔の歩度分が、好ましくは25~50・より好ましくは35~50・さらに好ましくは45~50、又はそれらがHSV色空間のH値において離れている小さい側の角度が好ましくは90~180°・より好ましくは120~180°・さらに好ましくは150~180°でもよく、それらの少なくとも何れかの彩度がマンセル表色系(D65)において好ましくはc6以上・より好ましくはc7以上・さらに好ましくはc8以上でもよい。色面層U及び扁平着色層Mが、接着層Aとは別の層を間に挟んでもよい。表面部F側の色面層U等が有色透明であれば、扁平着色剤Cがその色で輝くので、他の部分とは異なって見える。この色面層Uの視感透過率が好ましくは50%以上・より好ましくは60%以上・さらに好ましくは70%以上・一層好ましくは80%以上でこの効果が強く得られる。表面部F(裏面部R)側の色面層Uが白の場合、扁平着色剤Cによって暗く見えることがある。それが好ましくない場合には、白等の明度の高い色面層Uは扁平着色層Mより表面部F側の方がよい。さらに、被覆層Tによっても色面層Uの明度が下がって見えることがあるので、白等の色面層Uは表面部Fに露出してもよい。これに適した色面層Uの反射光測定でのL*a*b*のL値は、好ましくは60以上・より好ましくは70以上・さらに好ましくは80以上・一層好ましくは90以上、マンセル値のV値は、好ましくは6以上・より好ましくは7以上・さらに好ましくは8以上でもよい。
【0031】
接着層Aは無色透明又は透過部Lと実用上同じ色でもよい。接着層Aと低透過層Qとの接合部分では、接着層Aから低透過層Qにかけて色が連続的に変化する部分が薄いほど、界面での光の拡散が抑えられるので好適である。上記連続的に変化する部分、すなわち透過率が高い部分から透過率が低い部分にかけての領域において、透過率が一定(測定限界未満)の部分を除く透過率が変化する部分の厚さは、0.5mm以下が好ましく、0.1mm以下がより好ましく、0.02mm以下がさらに好ましく、扁平着色層Mの厚さの1/10以下が好ましく、その1/30以下がより好ましく、その1/30以下がさらに好ましい。下限は0又は測定限界でもよい。これは接合部分断面の顕微鏡画像等で測定可能である。化学拡散接合の場合、接着層Aと低透過層Qとの界面の厚さがこれに相当する。接着剤が溶剤を含む場合、この部分が厚くなりやすい。また、接着層Aの屈折率が透過部Lの屈折率より小さいと、それらの界面で全反射が発生して迷光となり、扁平着色剤Cの光輝性のコントラストを下げることがある。これが望ましくない場合、接着層Aの屈折率が透過部L又は低透過層Qの少なくとも一方の屈折率以上の方がよい。接着層Aとそれに接する層との屈折率の差が好ましくは0.002以上・より好ましくは0.005以上・さらに好ましくは0.01以上であれば、端部Eから入射した迷光のより多くが全反射を繰り返して反対側の端部Eに抜けるので、コントラストの低下が抑えられる。ただし、屈折率の差が大きすぎると、端部Eでそれらの界面が目立ち、屈折像の歪み等が発生する。それが望ましくない場合には、上記差が好ましくは0.2以下・より好ましくは0.1以下・さらに好ましくは0.05以下でもよい。なお、装飾体Dにおいて、扁平着色剤Cの有無・屈折率・透過率・組成の少なくとも何れかが異なっていれば、それらは異なる層である。扁平着色剤Cが分散された樹脂モノマーが板状に成形された樹脂板では、扁平着色剤Cと樹脂モノマーとの比重の差等により、扁平着色剤Cが表面ないし裏面の一方に偏って分布することがある。この場合、樹脂部分の屈折率・色・組成は略同一であること、扁平着色剤Cの粗密は板の厚さ方向に連続的に変化し特段の境界部分がないことから、この板は1層である。
【0032】
扁平着色層M等が溝部V又は端部Eの少なくとも一方を有し、溝部Vの側面N又は端部Eの少なくとも一方が鏡面状でもよい。その部分が扁平着色剤Cを映し、立体感を付与する。また、その部分が臨界角の作用により入射光を反射し、近隣の扁平着色剤Cを照らす。照らされた扁平着色剤Cは、光源からの直接の光と反射光の2方向から、装飾体Dの角部では3方向以上から光を受け、ひときわ明るく、また他より多く輝く。その部分の算術平均粗さRaは、好ましくは0.5以下・より好ましくは0.25以下・さらに好ましくは0.1以下・一層好ましくは0.05以下・より一層好ましくは0.025以下、最大高さ粗さRzは、好ましくは2以下・より好ましくは1以下・さらに好ましくは0.5以下・一層好ましくは0.25以下、下限は測定限界でもよい(JIS B 0601又はISO 4287等、単位はμm、カットオフλcは0.08mmを基準とし、見込まれる測定値に応じて調整される)。そのために、貼合部45等は、接合後に、レーザによる外周のカット・鏡面機でのエッジ加工・バフ研磨等を行ってもよい。特に鏡面機による場合、端部Eに、表面部Fとは斜め方向に線条痕状の筋が多数残ることがある。この筋は、端部E上においてR50~500又はR100~300(mm)の緩やかな曲線状のこともある。この筋が表面部F及び端部Eの角部の交線となす角度は、好ましくは30~85°・より好ましくは35~80°・さらに好ましくは40~75°・一層好ましくは45~70°である。この筋部分の凹凸を前記角部と平行に測定した場合、その算術平均粗さRaは、好ましくは1以下・より好ましくは0.3以下・さらに好ましくは0.1以下・一層好ましくは0.05以下、その算術平均うねりWa(カットオフλc0.08又は0.25等、筋のピッチに応じる)は、好ましくは0.05以上・より好ましくは0.1以上・さらに好ましくは0.2以上でもよい。0.3~16でもよい。算術平均うねりWa又は最大高さうねりWzは、好ましくは0.5以上・より好ましくは1以上・さらに好ましくは2以上(カットオフλc0.08mm)でもよい。これらのうねりのカットオフλcは、凹凸のピッチが小さければ0.025mmでもよい。凹凸のピッチは、表面うねり測定の解析曲線に現れる周期的凹凸の複数のピーク間距離の算術平均でもよく、その場合うねり測定の解析より101/2倍又は10倍大きい(小さい)カットオフλcを用いてもよい。
【0033】
鏡面機による鏡面加工では、熱影響が少ないので加工物の劣化が抑えられる。反射の効果のためには、端部Eないし側面Nの少なくとも一部が表面部F又は裏面部Rの少なくとも一方となす小さい側の角の角度をθXとすると、|θX|≧80°でもよく、|θX|≧70°でもよく、|θX|≦90°でもよい。端部Eないし溝部の側面Nの少なくとも一部と表面部F又は裏面部Rの少なくとも一方とのなす角度が、好ましくは70~110°・より好ましくは80~100°・さらに好ましくは85~95°でもよい。さらに扁平着色層Mの厚さが段落0025に記載の範囲であれば、観察者(図示しない)がこの装飾体Dを斜め方向から見た時、端部Eと表面部Fとで、扁平着色層Mの屈折の作用により、扁平着色層M(又は色面層U)等の見え方が変化する。これにより立体感効果が得られる。端部Eないし側面Nの少なくとも一部が段落0017に記載の角度の条件を満たしてもよい。これらの場合を含め、低透過層Qがなくてもよい。表面部Fの算術平均粗さRaが、好ましくは0.1以下・より好ましくは0.03以下・さらに好ましくは0.01以下でもよく、これにより透過性が向上する。
【0034】
鏡面加工の際、透過部L及び接着層Aの境界部分付近に、段差が生じる・研磨粉が食い込んで残る・気泡状に荒れる等の意匠性の低下が発生することがある。こうした問題が、使用中に、雨水や紫外線の影響・塵埃の侵入により悪化することもある。これらは接着剤が溶剤を含む場合に起きやすい。透過部L及び接着層Aが無色透明の場合、これらが特に目立つ。その防止のために、以下の少なくとも何れかでもよい。(1)扁平着色剤C以外の部分及び接着層Aが(メタ)アクリレートを含み、その全体に対する重量比が好ましくは50%以上・より好ましくは70%以上・さらに好ましくは80%以上である。(2)透過部L又は接着層Aの少なくとも一方の鉛筆硬度(JIS K 5600等を準用)が、好ましくはF~5H・より好ましくはH~4H・さらに好ましくは2H~3Hである。(3)それらの鉛筆硬度の差が、好ましくは3段階以下(Fと3H等)・より好ましくは2段階以下・さらに好ましくは1段階以下である。(4)透過部L又は接着層Aの少なくとも一方のロックウェル硬さ(JIS B 7726・B 7730・K 7202‐2・Z 2245等、株式会社ミツトヨ製HR‐530L等で測定、HRMS‐p)が、好ましくは40~150・より好ましくは60~130・さらに好ましくは80~110である。(5)それらのロックウェル硬さの差が、好ましくは50以下・より好ましくは40以下・さらに好ましくは30以下である。これらにより、端部Eが面一になる。
【0035】
具体的には、扁平着色層M・接着層A・低透過層Q・被覆層Tの境界部分の少なくとも一部において、端部Eに垂直な方向の凹凸の深さが、好ましくは0.8mm以下・より好ましくは0.4mm以下・さらに好ましくは0.2mm以下・一層好ましくは0.1mm以下・より一層好ましくは0.05mm以下・最も好ましくは0.02mm以下、又は端部Eを境界の方向に垂直に測定した最大高さ粗さRzが、好ましくは100以下・より好ましくは50以下・さらに好ましくは25以下・一層好ましくは10以下・より一層好ましくは5以下でもよい。何れも下限は測定限界である。凹凸の深さは、表面粗さ測定機の解析プロファイルの図から読み取り可能である。この凹凸は、接着層Aの扁平着色層Mないし低透過層Qに対する凹みを含む。なお、色面層Uが端部Eに露出する場合、透過部L及び接着層Aとの色の差が大きければ、意匠性の低下が目立つことは少ない。また、端部Eに露出した扁平着色剤Cが、加工時に端部Eの透明度を下げないために、扁平着色剤Cはポリオレフィン・PET・(メタ)アクリレートの少なくとも何れかを含んでもよく、PVCを含まなくてもよい。さらに貼合部45等が装飾体Dの各辺にC面取り処理を行ってもよい。各種の事故防止のため、そのC面(又はR面)が好ましくはC0.05(又はR、単位はmm、以下同)~2・より好ましくは0.07~1・さらに好ましくは0.1~0.5でもよい。
【0036】
表面部F・裏面部R・端部Eの少なくとも何れかがハードコート層を有してもよく、さらに下地としてプライマー層を有してもよく、これらを有さなくてもよい。ハードコート層は段落0012・0022等記載の全光線透過率や視感透過率の条件を満たしてもよい。ハードコート層の鉛筆硬度は、好ましくは3H以上・より好ましくは4H以上・さらに好ましくは5H以上でもよい。ハードコート層(及び含む場合にはプライマー層)の厚さは好ましくは0.1~100μm、より好ましくは0.3~30μm、さらに好ましくは1~10μmでもよい。装飾体Dが表面部F側又は裏面部R側に厚さが好ましくは0.8mm以上・より好ましくは1.3mm以上・さらに好ましくは1.8mm以上の被覆層Tを有してもよい。扁平着色層Mでは、扁平着色剤Cが外側に露出することがある。そこから雨水等が入って扁平着色剤Cに酸化・剥離等が発生し、意匠性を下げることがある。ハードコート層や被覆層Tはこれらを防ぐ。またこれらは、扁平着色層Mの凹凸を隠蔽し、意匠性を向上させる。被覆層Tが上にハードコート層を有してもよい。ハードコート層又は被覆層Tと扁平着色層Mとが間に色面層Uを挟んでもよい。これは、表面部F側からの観察では、扁平着色剤Cを隠すかその上に乗るので、扁平着色層Mと低透過層Qとの間の色面層Uとは別の見え方になる。被覆層Tと扁平着色層Mとが間に上記厚さの接着層Aを挟めば、扁平着色層Mの凹凸が解消されるので、接合力が向上する。これらが化学拡散接合でもよい。この場合、低透過層Qがなくてもよく、裏面部R側が色面層Uのみでもよい。被覆層Tが扁平着色剤Cを含有してもよく、それが扁平着色層Mとは異なる扁平着色剤Cでもよい。
【0037】
請求の範囲控。項A1:複数の層が積層された板状装飾体であって、前記複数の層が、透過性を有する透過層と、透過性を有する部分に扁平着色剤が分散された扁平着色層と、前記透過層とは異なる色である色面層と、前記透過層と前記扁平着色層とを接合する接着層と、を含み、前記扁平着色剤の色が前記透過性を有する部分の色と異なり、前記扁平着色剤が薄片状であり、前記扁平着色剤の最大長さが0.02mm以上であり、前記扁平着色剤の少なくとも一部において、それぞれの最大長さが、前記最大長さの中点を通り前記最大長さの方向に直交する断面の径のうち前記中点を通る最も短い長さの5倍以上であり、前記積層方向とは垂直な面において前記装飾体が複数の部分を有し、前記複数の部分が前記透過層と前記扁平着色層との間に前記色面層を有する部分と前記透過層と前記扁平着色層との間に前記色面層を有さず前記接着層を有する部分とを含む装飾体。項A2:前記透過層と前記接着層との接合及び前記接着層と前記扁平着色層との接合が化学拡散接合であるか、前記接合部分が強制的に分離された場合、前記分離された面の少なくとも一部の算術平均粗さRaが1μm以上であるかの少なくとも一方である、項A1に記載の装飾体。項A3:前記色面層と前記扁平着色層との接合が化学拡散接合でない、項A1又は2に記載の装飾体。項A4:前記色面層がフィルム状であって、前記色面層の前記積層方向の厚さが10~400μmである、項A1~3の何れかに記載の装飾体。項A5:前記色面層が粘着剤によって前記透過層又は前記扁平着色層に接合する、項A1~4の何れかに記載の装飾体。項A6:前記粘着剤が他の層と化学拡散接合でない、項A5に記載の装飾体。項A7:前記色面層がPVCを含む、項A1~6の何れかに記載の装飾体。項A8:前記色面層が市販のマーキングフィルムである、項A1~7の何れかに記載の装飾体。項A9:前記最大長さが1mm以上である、項A1~8の何れかに記載の装飾体。項A10:前記透過層及び前記扁平着色層の曲げ弾性率が1000MPa以上である、項A1~9の何れかに記載の装飾体。項A11:前記色面層の曲げ弾性率が700MPa以下である、項A1~10の何れかに記載の装飾体。項A12:前記扁平着色層が前記色面層の反対側に視感透過率が30%以下かつ厚さ1.5mm以下の層を有さない、項A1~11の何れかに記載の装飾体。項A13:前記接着層の少なくとも一部の厚さが0.3mm以上である、項A1~12の何れかに記載の装飾体。項A14:前記透過層の厚さが1mm以上である、項A1~13の何れかに記載の装飾体。項A15:前記扁平着色層の厚さが1mm以上である、項A1~14の何れかに記載の装飾体。項A16:前記透過層及び前記透過性を有する部分がPMMAである、項A1~15の何れかに記載の装飾体。項A17:前記透過層・前記扁平着色層・前記接着層の少なくとも何れかが(メタ)アクリレートを含む、項A1~16の何れかに記載の装飾体。項A18:前記色面層が画像・文字・ロゴ・図形・模様の少なくとも何れかを表示する、項A1~17の何れかに記載の装飾体。項A19:材料に接着剤を塗布する塗布部と、複数の材料を接合する貼合部と、を有し、項A1~18の何れかに記載の装飾体を製造する装飾体製造装置。項A20:材料に接着剤を塗布する塗布工程と、複数の材料を接合する貼合工程と、を有し、項A1~18の何れかに記載の装飾体を製造する装飾体製造方法。
【0038】
《第2の実施形態》
扁平着色層Mが厚く、扁平着色剤Cのz方向の分布の幅が大きいほど、扁平着色剤Cの立体感の効果が向上する。そのために、貼合部45は、
図4aのように、複数の扁平着色層Mを積層させてもよい。これらの扁平着色層Mの厚さは段落0025等に記載の範囲でもよい。さらに接着層Aが段落0027等の範囲の厚さであれば、扁平着色剤Cを含む層と透明な層とが交互に重なり、表面部F側と裏面部R側の扁平着色剤Cのz方向の距離が大きくなるので、この立体感がさらに強調される。また、段落0022記載の扁平着色層Mにおける扁平着色剤Cが占める部分の割合が低い材料板20によって、この割合が高い装飾体Dが製造可能となる。この割合が高くて板厚が薄い板は、扁平着色剤Cの密度が高いため、板材としての強度が低く、割れやすいことが多い。それに対し、この割合が低い板による複数積層板の場合、間の接着層Aの強度も寄与し、装飾体Dの曲げ強度・引張強度等が良好になる。扁平着色剤Cが大きいほどこの効果は増す。最大の長さlCが、好ましくは1mm以上・より好ましくは2mm以上・さらに好ましくは5mm以上・一層好ましくは10mm以上であれば、この効果が特に大きい。複数の扁平着色層Mの各層が互いに異なる色やサイズの扁平着色剤Cを含んでいれば、さらに重層的な加飾効果が得られる。積層方向(z方向、接合面に垂直な方向)だけでなく、xy方向(xy平面に平行な方向、接合面が含む各方向)に、異なる扁平着色剤Cを含む扁平着色層Mが並んでもよい。それらないし後述の扁平着色層Mの有無の境界部分が色面層Uで隠れれば、色面層U内の透過部分(抜き部分P)における各要素の色等が相違し(例えば複数の抜き文字の隣や奥に、それぞれ別の色の扁平着色剤Cが見えて)、加飾性が向上する。この場合、色面層Uの透過性が低い方がよく、その視感透過率(又は視感透過率τV・分光透過率におけるある波長帯の透過率・全光線透過率・拡散光線透過率・平行光線透過率)は、好ましくは30%以下・より好ましくは10%以下・さらに好ましくは5%以下・一層好ましくは3%以下でもよい。ただし、色面層Uを通して扁平着色層Mの反射が見える効果が求められる場合には、この限りではない。
【0039】
扁平着色層Mが単層の場合でも、扁平着色層Mの表面部F側に色面層Uがある場合、色面層Uの影が、z方向の多様な高さに分布する扁平着色剤Cに当たり、通常の透明材では得られない立体感を呈する。それはいわば、室内に浮遊する無数の埃に、カーテンの隙間から一筋の日光が当たることで、光の方向が立体的に可視化される状態に類似する。扁平着色層Mが積層されていれば、この効果がさらに増し、接着層Aの厚みとも相まってより深い奥行き感を示す。積層される扁平着色層Mの数は3以上でもよく、4以上でもよく、5以上でもよい。その数に上限はないが、扁平着色剤Cのサイズないし接着層Aや透過部Lの透過率等に応じて、10から20程度にとどめられるのが無難である。その数が増えるほど裏面部R側の扁平着色層Mを表面部Fから見た場合の透過性が下がることが多いからである。複数の扁平着色層Mの間に扁平着色剤Cを含まない層・全体が無色透明又は有色透明の層が入ってもよい。その層の厚さが好ましくは0.9mm以上・より好ましくは1・3mm以上・さらに好ましくは1.8mm以上であれば奥行き方向の立体感が増す。ただし、正面から光が当たった際の照明効率のためには、扁平着色剤Cを含まない上記厚さの層がなくてもよい。複数の扁平着色層Mの接合は、接着層Aによらなくてもよく、熱溶着・化学拡散接合でない粘着剤や粘着テープ、ネジ等の機械的接合によってもよい。表面部Fから色面層Uの抜き部分Pを通して観察される扁平着色層Mのうち扁平着色剤Cが占める割合は、好ましくは50%以上・より好ましくは60%以上・さらに好ましくは70%以上・一層好ましくは80%以上でもよい。この測定はフラットベッドスキャナで行われてもよい。その場合、スキャン画像が低透過層Q又は裏面部R側に置かれた背景の色で色域選択され、その残りの部分の百分率が測定値でもよい。
【0040】
扁平着色層Mの数が増えて、装飾体Dの厚みが増すほど、その重量が増大し、壁等への取付コストと落下リスクが膨らむ。この問題を解決するために、貼合部45は、
図4bのように、裏面部R側の扁平着色層M(裏側扁平着色層MR)のxy平面に対応した範囲を表面部F側の扁平着色層M(表側扁平着色層MF)の範囲より狭めてもよい。つまり、色面層Uが不透過型のマーキングフィルム等であって透過性が低ければ、色面層Uで遮られている部分には表側扁平着色層MF以外の扁平着色層Mは不要である。それゆえ、裏面部R側に追加された裏側扁平着色層MRが色面層Uの抜き部分P等の形状に沿う形状でもよい。一方が他方の形状に沿う形状は、例えば以下のような場合を含む;色面層Uが複数の文字状に抜き加工され、扁平着色層Mが、色面層Uの抜き部分Pから透過して見える範囲すべてに覗いて見えるように、色面層Uより一回り大きい矩形状にカットされている;色面層Uが複数の文字からなる数個の単語を表示し、それらが単語ごとに互いに異なる色になるように扁平着色層Mがカットされている;つまり、扁平着色層Mが複数の色に塗りわけられ、その境界部分が被覆層T側の色面層Uによって隠れている;扁平着色層Mが色面層Uより一回り大きく、縁取っている。これらにより次の各効果が得られる。
【0041】
1)装飾体Dが軽量化される。ただし、裏側扁平着色層MRの範囲が狭すぎると、色面層Uの抜き部分Pから裏側扁平着色層MRの端部ERが見えてしまい、加飾性を損なう。これを防ぐために以下のようでもよい。色面層Uに最も近く色面層Uより裏面部R側の層を含み、該裏面部R側の層から最も裏面部Rに近い層までの複数の層のうち、一部又は全部が透過性を有する層の連続である2以上の層の厚さの合計を高さhとする。また、z方向において色面層Uと前記2以上の層とが重なる部分における、色面層Uの抜き部分Pの端から対応する前記2以上の層の端面(裏側扁平着色層MRの端部ER)までのxy平面上の最短距離をw1とする。装飾体Dの少なくとも一部において、w1/hは好ましくは1/4以上・より好ましくは1/2以上・さらに好ましくは1以上・一層好ましくは2以上でもよい。さらに、色面層Uと端部EFとの間から裏側扁平着色層MRの端部ERが見えにくいようにするために、以下のようでもよい。z方向において色面層Uと前記2以上の層とが重ならない部分における、色面層Uの端部EUから前記2以上の層の端部ERまでのxy平面上の最短距離をw2とすると、装飾体Dの少なくとも一部において、w2/hは好ましくは1/2以上・より好ましくは1以上・さらに好ましくは2以上でもよい。前記2以上の層の端部ERは表面部Fや各層の接合面に垂直でなくてもよい。前記2以上の層の表面部F側と裏面部R側とで、一方が他方より広くてもよい。実願平3-18918号が示すように、アルミフレークを使用した樹脂積層物が知られている。しかしこの樹脂積層物Aには、アルミフレーク層が厚くなると重量が増すという問題があった。本発明は、グリッターを含む装飾体の軽量化を課題としてもよい。2)端部EFの鏡面処理等が容易になる。3)端部EFが壁等の取付面から浮いて見え、装飾体Dの影が取付面に投影されることで、加飾性が向上する。4)色面層Uが、裏側扁平着色層MRの端部ERを隠し、なおかつ表側扁平着色層MFの外側の部分を隠さなければ(
図4bにおいて後述の脚部J及び照明部Iがない状態に相当する)、浮いた前記外側の部分の扁平着色剤Cの影が取付面(図示しない)に投影され、加飾性を向上させる。この効果は、裏側扁平着色層MRに限らず、装飾体Dが木材やアルミ型材等によって取付面から浮かされた状態でも得られる。そのために、表側扁平着色層MFの端部EFから前記2以上の層の端部ERまでのxy平面上の最短距離をw3とすると、装飾体Dの少なくとも一部において、w3/hは好ましくは1/2以上・より好ましくは1以上・さらに好ましくは2以上でもよい。
【0042】
表側扁平着色層MFは最低限1層あればよいが、強度の向上等のために2層以上でもよい。積層された複数の扁平着色層M又は単層の扁平着色層Mの厚さ又は高さhは、好ましくは3mm以上・より好ましくは5mm以上・さらに好ましくは7mm以上・一層好ましくは9mm以上でもよい。裏面部R側に低透過層Qがある場合には、その厚さを含む、表側扁平着色層MFから裏面部Rまでの厚さは、好ましくは4mm以上・より好ましくは6mm以上・さらに好ましくは8mm以上・一層好ましくは10mm以上でもよい。これらの値が大きいほど、取付面に投影される表側扁平着色層MF等の影が装飾体Dから離れることが多く、立体感が増す。特に、
図5aのように、表側扁平着色層MFの周囲等、装飾体Dの一部において、z方向に重なる色面層Uがなく、裏側扁平着色層MRがない又は1層のみ有し、表側扁平着色層MFが単層であるか被覆層Tとの2層、又はさらに接着層Aを含む3層等であって表側扁平着色層MF以外の層が透過性を有するような場合には、個々の扁平着色剤Cの影の加飾性がさらに高まる。なお、装飾体Dの一部に何らかの層があるとは、z方向において、その一部に重なってその層があるということである。表側扁平着色層MF(扁平着色層M)及び表面部F側の被覆層Tが色面層Uを挟む場合、端部EFの周辺に色面層Uがなければ、扁平着色層Mと被覆層Tとが接着層Aにより強固に接合されることが多い。この扁平着色層Mの外周部の色面層Uがない部分の(端部EFから色面層Uの端部EUまでの)幅は、好ましくは3mm以上・より好ましくは5mm以上・さらに好ましくは7mm以上でもよい。被覆層Tはなくてもよい。
【0043】
貼合部45は、取付を容易にするため、色面層Uの形状には特に沿わずに、裏面部R側に扁平着色層Mを追加積層してもよい。これが単なる取付用の脚部Jであれば、扁平着色層Mでなく、通常の透明や白等の材料板20によるものでもよい。脚部Jと裏側扁平着色層MRの取付面の高さが同等であって、取付面が面一であれば、装飾体Dの壁面等への取付が容易になる。脚部Jはネジ・釘等の取付用金具を含んでもよい。脚部Jは照明部Iを取り囲んでもよい。これにより照明部Iや裏側扁平着色層MRが雨水や汚損から保護される。その場合脚部Jが透明や乳半等のように半透明で透過性を有すれば、脚部Jがない場合と同様、後述の照明部Iにより装飾体Dの外側の壁がかすかに間接照明される。さらにこれらの裏面部R側が蓋で覆われれば防水性等が向上する。脚部Jがx方向ないしy方向で表側扁平着色層MFの端部EFと同じ位置かより外側でもよい。端部EFが外側に張り出していると、衣類等が引っかかることによる事故の可能性があるが、これによりその可能性が低下する。脚部Jの外側と端部EFが面一であれば、これらの鏡面加工が容易である。脚部Jや裏側扁平着色層MRの、表側扁平着色層MF等への取り付け部分が、
図4bのようなRを有してもよい。このRは、好ましくは0.1mm以上・より好ましくは0.2mm以上・さらに好ましくは0.5mm以上・一層好ましくは1mm以上でもよい。これにより接合強度が増し、後述の照明部Iによる光の回り込みが改善される。このRは接着剤の粘度等の調整で得られる。あるいは、このR部分は平面状でもよい。そのために、直角三角形や長方形等の形状の補強材が接合部分の角に接合されてもよい。その場合には補強材の直角を挟む辺の長さが上記Rと同等でもよい。裏側扁平着色層MRの端部ERから表側扁平着色層MFへの付け根付近にかけて、防水や強度向上のため、シリコーン・シーラント等でコーキングされてもよい。このコーキング材はシリコーン・変性シリコーン・ポリウレタン・ポリサルファイド・(メタ)アクリレート・ブチルゴム・ポリイソブチレンの少なくとも何れかを含んでもよく、透過部Lと異なる組成でもよい。コーキング材の曲げ弾性率は好ましくは500MPa以下・より好ましくは300MPa以下・さらに好ましくは100MPa以下でもよい。その切断時伸び(JIS K 6251・K 6272等)は好ましくは30%以上・より好ましくは50%以上・さらに好ましくは100%以上・一層好ましくは200%以上でもよい。
【0044】
貼合部45はさらに、裏側扁平着色層MRによって形成された段差部分に、
図4bのように照明部Iを装着してもよい(なお、
図4bの図示の都合上、照明部Iの部分のみ断面図ではない)。これにより、z負方向奥の扁平着色剤Cがx方向及びy方向から、あるいはそれらの複合方向から照射され、従来なかった内照型照明の効果を呈する。照明部Iは例えばLED等の既知の発光体と制御回路等からなり、バッテリーを内蔵してもよく、外部からの電源供給を受けてもよい。照明部Iの一部又は全部が装飾体Dに固定されてもよく、補修や仕様変更等のため交換可能でもよい。照明部Iは端部ERに対して透過部Lを通さずに外側から直接光を照射してもよい。そのうち最大輝度の光の端部ERへの入射角の絶対値は、90°未満が好ましく、80°以下がより好ましく、60°以下がさらに好ましく、45°以下が一層好ましく、30°以下がより一層好ましい。端部ERは鏡面でもよく、その平滑度は上記の端部Eの算術平均粗さR
aの範囲と同じでもよい。これにより、照明部I等からの照射光の入射効率が向上する。また、端部ERが粗面でもよく、その算術平均粗さR
aが好ましくは1以上・より好ましくは3以上・さらに好ましくは10以上・一層好ましくは30以上・より一層好ましくは100以上・さらに一層好ましくは300以上でもよい。これにより照射光が散乱し、様々な方向の扁平着色剤Cに均等に光が届く。上限は特に定めないが、3mm以下ないし扁平着色層Mの厚み以下でもよい。照明部Iの照射方向の数は1以上のいくつでもよい。
【0045】
照明部Iは例えば端部ERの反対側、装飾体Dの外側に向かって光を照射してもよく、それにより装飾体Dが浮いているように見える効果が向上する。照明部Iは光の色・照度・明滅周期等を変更してもよい。照明部Iは、複数の扁平着色層Mのうち一部のみに光を照射してもよい。具体的には、色面層U等により光が届く範囲が制限されればこれが実現される。照明部Iが複数の色の光を照射し、複数の照射範囲ごとに光の色・照度・照射方向・光の到達距離・拡散性等を違えてもよい。照明部Iとは別の照明が、表面部F側からz負方向に近い方向に光を照射してもよい。これが照明部Iを代替してもよい。このような照明は、表側扁平着色層MFの扁平着色剤Cや色面層Uを効率よく照射し、扁平着色剤Cの表面部Fからの距離が大きいほど照射を弱くするので、立体感を強調する。照明部Iは自然光源からの光を装飾体Dに導く反射鏡でもよい。扁平着色剤Cのサイズが大きいほど、またその量が多いほど、端部ER側から入射した光の減衰が増大しやすく、各部の明るさのムラが顕著になる。よって、特に照明部Iを具える場合、裏側扁平着色層MRは文字列に沿った形状で、支障のない範囲内で小さい方がよい。またその方が軽量化に寄与する。そのため、w2/hは好ましくは4以下・より好ましくは2以下・さらに好ましくは1以下・一層好ましくは1/2以下でもよい。
【0046】
扁平着色層Mの裏面部R側に低透過層Qがあってもなくてもよい。低透過層Qは金属光沢を有してもよい。裏面部R側に、全面で接合されずに固定された低透過層Qがあれば、低透過層Qより表面部F側の裏側扁平着色層MRの裏面部R側の透明部分による全反射が得られるので照射効率が向上し、なおかつ、正面からの観察時には扁平着色剤Cの隙間に低透過層Qの色が見える。上記蓋がこれでもよい。本実施形態の装飾体Dは扁平着色剤Cを含まなくてもよく、他の手段によって内部で光を反射させてもよい。例えば、扁平着色層Mが、扁平着色剤のかわりに、溝部Vや無数の雑多な方向の亀裂を有していれば、この亀裂が臨界角の作用等により光を反射して、同等の効果を呈する。つまり、装飾体Dが内部に光の反射面を有してもよい。装飾体Dは光学的な界面を有してもよい。光学的な界面とは、それを境として屈折率・透過率等が異なることで、その界面の透過前・透過後の光の性質が変化するような界面である。端部E、充填部を有さない溝部Vの側面、色面層U・扁平着色層M・接着層A・低透過層Qの界面も、光学的な界面である。何れも、光の入射角に応じてその光を透過・屈折又は全反射し、視覚的効果をもたらす。
【0047】
請求の範囲控。項B1:複数の層が積層された装飾体であって、前記複数の層が、透過性を有する部分に着色剤が分散された着色層と、前記透過性を有する部分とは異なる色の色面層と、を含み、前記着色層において、前記着色剤の色が前記透過性を有する部分の色と異なり、前記装飾体を前記積層方向に垂直な面に従って区分する複数の部分領域において、前記着色層の少なくとも一部の端部に対応する部分領域が前記色面層の端部に対応する部分領域より狭い装飾体(複数の層が積層された装飾体であって、前記複数の層が、透過性を有する部分に着色剤が分散された着色層と、前記透過性を有する部分とは異なる色の色面層と、を含み、前記着色層において、前記着色剤の色が前記透過性を有する部分の色と異なり、前記積層方向に垂直な各方向において、前記着色層の端部の少なくとも一部が前記装飾体の端部より内側にあり、前記積層方向において、前記色面層が前記内側にある着色層の端部を覆っている装飾体)。項B2:前記着色剤が扁平着色剤であり、前記扁平着色剤の最大長さが0.02mm以上であり、前記扁平着色剤の少なくとも一部において、それぞれの最大長さが、前記最大長さの中点を通り前記最大長さの方向に直交する断面の径のうち前記中点を通る最も短い長さの5倍以上である、項B1に記載の装飾体。項B3:前記積層方向に垂直な面において、前記色面層が複数の部分を有し、前記複数の部分の一部が前記色面層の端部に少なくとも一部で接せず、かつ前記色面層が存在しない抜き部分であり、前記抜き部分を通して前記着色層が観察可能である、項B1又は2に記載の装飾体。項B4:前記垂直な面において、前記着色層の少なくとも一部の形状が前記抜き部分の形状に沿う形状である、項B1~3の何れかに記載の装飾体。項B5:前記垂直な面において、前記着色層の少なくとも一部の端部に対応する部分領域が前記抜き部分に対応する部分領域の少なくとも一部を包含する、項B1~4の何れかに記載の装飾体(包含するとは、ある部分が、他の部分を含みそれと一致するかそれより広いことを意味する)。項B6:前記着色剤が薄片状である、項B1~5の何れかに記載の装飾体。項B7:前記着色層が複数の層からなる、項B1~6の何れかに記載の装飾体。項B8:前記色面層が粘着層を有する、項B1~7の何れかに記載の装飾体。項B9:前記色面層の視感透過率が30%以下である、項B1~8の何れかに記載の装飾体。項B10:前記最大長さが1mm以上である、項B1~9の何れかに記載の装飾体。項B11:板状体である、項B1~10の何れかに記載の装飾体。項B12:前記着色層の前記垂直な方向の厚さが4mm以上である、項B1~11の何れかに記載の装飾体。項B13:前記色面層の前記垂直な方向の厚さが10~400μmである、項B1~12の何れかに記載の装飾体。項B14:前記色面層がPVCを含む、項B1~13の何れかに記載の装飾体。項B15:前記色面層と前記色面層に接する別の層との接合の少なくとも一部が化学拡散接合でない、項B1~14の何れかに記載の装飾体。材料を切断する切断部と、複数の材料を接合する貼合部と、を有し、項B1~15の何れかに記載の装飾体を製造する装飾体製造装置。項B16:材料を切断する切断工程と、複数の材料を接合する貼合工程と、を有し、項B1~15の何れかに記載の装飾体を製造する装飾体製造方法。項B17:項B1~15の何れかに記載の装飾体と、照明部と、を有し、前記照明部が前記色面層の端部より狭い前記着色層の端部の少なくとも一部に光を照射する装飾体照明設備。
【0048】
《第3の実施形態》
第2の実施形態において、色面層Uと他の層とが化学拡散接合ではない、あるいはそれらの接合が弱いことがある。例えば色面層UがPVC製のマーキングフィルムであり、被覆層T及び扁平着色層MがPMMAであるような場合、色面層Uと他の層との接合部分が剥離しやすい。この場合、PMMA層間が重合接着等であれば、充分な接着力が得られる。よって、装飾体Dの外周の剥離の防止策として、
図5aのように、装飾体Dの外周部Hに、色面層Uを挟まない部分が必要となる。特に屋外用途では、接合部分への浸水を避けるため、全周がそうである必要があった。しかし、これは装飾性を下げることがある。つまり、文字等の抜き部分Pに現れる扁平着色層Mが目立つためには、抜き部分P以外の地の部分では扁平着色層Mが隠れた方がよい。しかし、そのためにマーキングフィルム等の色面層Uが外周部Hまで拡がっていると、表面部F側の被覆層Tが自重で剥がれてしまうという問題があった。この事態を避けつつ、
図5bのように、外周部Hに扁平着色剤Cが見えないようにするために、貼付部45は、
図6のように、色面層Uに近い色のPMMA等の第2の色面層、すなわち補助色面層Sを設けてもよい。
図6aのように、補助色面層Sと表側扁平着色層MFとが互いに接する部分で接着剤により接合され、その後に色面層Uが接合されてもよい。
図6bのように、補助色面層Sと表側扁平着色層MFとが裏面部R側から裏打ち層Kで接合されてもよい。それら両者でもよい。補助色面層Sと表側扁平着色層MFとは同じ厚さでもよく、どちらかがより厚くてもよい。後者の場合、それらの厚さの差/厚い方の厚さは、1/3以下が好ましく、1/5以下がより好ましく、1/7以下がさらに好ましく、1/10以下が一層好ましい。この差が小さいほど段差ができにくい。裏打ち層Kは被覆層T及び透過部Lと同等の透過性でもよく、それらに関する上記の厚さの範囲と同様の厚さでもよい。また裏打ち層Kは、扁平着色層Mと同じ材料板20によってもよく、
図6bのように端部Eにおいて補助色面層Sと面一でもよい。裏打ち層K・色面層Uは、補助色面層Sと扁平着色層Mとの境界部分を覆いつつ補助色面層Sより狭くてもよい。
【0049】
図6において、補助色面層Sは色面層Uと異なる層である。互いに異なる層は、z方向においてそれぞれ異なる位置を有するか、互いに連続しないか、互いの間に接合部分を有するかの少なくとも何れかである。
図4a・bの各接着層Aは、z方向の高さがそれぞれ異なるので、互いに異なる層である。
図4bにおける2つの色面層Uは、z方向の高さが同じであるから、断面以外の部分で連続していれば同じ層である。
図6のように、色面層Uと補助色面層Sとがそれぞれのz方向における位置を異にし、かつ連続しなくてもよい。また、色面層Uと補助色面層Sの色が近くてもよい。それらの色差ΔE
00(CIE DE2000)は、20.0以下が好ましく、10.0以下がより好ましく、5.0以下がさらに好ましく、2.5以下が一層好ましく、1.2以下がとりわけ好ましい。色面層Uと補助色面層Sの色がまったく異なっても、別の装飾効果が得られる。なお、補助色面層Sは色面層Uの一種である。
図6bのように、xy平面に平行な方向において、端部ERが色面層Uの端部EUより外側(装飾体Dの端部E側)であっても、補助色面層Sの端部ESより内側であれば、その輪郭は補助色面層Sに隠れて表面部F側からは見えない。補助色面層Sと扁平着色層M(MF)との接合部分が色面層Uで覆われれば、接合部分が目立たない。接合部分が覆われなくてもよい。
【0050】
第3・4の実施形態では、扁平着色層Mは扁平着色剤Cを含まなくてもよい。例えばマーブル模様を有し一部で透過性を有する板・エンボス状の凹凸を有する透明板・内部の無数の気泡やクラックで加飾性をそなえた透明板等で、上記に類した効果が得られる。
図4aのように装飾体D全体において各層の端部Eが面一でもよい。また、色面層Uが抜き部分Pを有さなくてもよい。例えば、本実施形態は、透明有色のマーキングフィルムで扁平着色層Mに着色するとか、グラデーションやフォグ等の効果を有する透過性フィルムと扁平着色層Mの効果を複合させる、といった用途に応用可能である。本実施形態の適用により、被覆層Tがマーキングフィルム等を紫外線・水分・傷から保護する。さらに、装飾体Dの外周部H以外の部分で、被覆層Tが別の層と化学拡散接合してもよい。例えばアルミ製のC型チャンネル材等の型材によるフレームが端部Eを囲むように装着されてもよい。その場合、端部Eはフレームでかしめられていて剥離の恐れがなく、より内側の部分で被覆層Tと扁平着色層Mとが一体化され、補助色面層Sを有してもよい。
【0051】
《第4の実施形態》
第3の実施形態では、色面層Uを挟む複数の層の一方の一部が扁平着色層Mであった。本実施形態ではそうではなく、色面層Uを挟む両側の層(被覆層T及び裏打ち層K)が扁平着色剤Cを含まない透明層である。これにより、色面層Uを取り囲む枠状の外周部Hが透明となる。色面層接合部42が枠部分の裏面部R側に色面層Uと同じ色のマーキングフィルム等からなる補助色面層Sを接合すれば、第3の実施形態と同じ問題をより容易に解決できる(
図7)。この場合でも色差ΔE
00の条件は上記と同様であるが、これが第3の実施形態よりも容易に充足可能である。本実施形態では、第3の実施形態より、扁平着色層Mの材料板20が削減可能であり、必要な工程が減り、装飾体の強度も向上する。ただし、本実施形態では、第2・3の実施形態と比較して、抜き部分Pから直近の扁平着色剤Cまでの間の透明樹脂層・接着層Aの数が増え、それらの間の界面も増えるため、透過率が低下しがちである。また、照明光の照射方向によっては、色面層Uが扁平着色剤Cに投じる影が長くなる。これらの理由により、抜き部分Pに覗く扁平着色剤Cが暗く見える場合がある。補助色面層Sがマーキングフィルムであれば、軽量であって接合部への加重が小さいので、自重による剥離の可能性は低い。補助色面層Sは、表面部F側が被覆層T及び扁平着色層Mで守られているので、紫外線等による劣化もしにくい。補助色面層SがPMMA等の樹脂板でもよく、裏打ち層Kに化学拡散接合されてもよい。さらに、抜き部分Pの範囲が充分広ければ、裏打ち層Kがなく、色面層Uと扁平着色層Mとが直接接合されてもよい。この場合、被覆層Tと扁平着色層Mとが抜き部分Pを通じて化学拡散接合でもよい。補助色面層Sは塗装や染色によるものでもよい。
【0052】
補助色面層Sの端部ESは、
図7aのように装飾体D全体の端部Eとxy平面上で同じ位置でもよく、
図7bのように端部Eのやや内側ないし外側でもよい。それらの端部間のxy平面に平行な方向の最短の距離をdE、同じ部分の外周部Hにおける色面層Uがない部分のdEに平行な方向の幅をdUとすると、dE/dUは1/3以下が好ましく・1/5以下がより好ましく・1/7以下がさらに好ましく・1/10以下が一層好ましい。また、装飾体Dが照明部Iを備える場合、照明部Iからの光が、扁平着色層M・裏打ち層Kを通って色面層Uと補助色面層Sとの隙間から外側に漏れ、補助色面層Sを照らすことがある。この漏光は、色面層Uと補助色面層Sとの境界を強調する。これが間接照明風の効果を呈し望ましいこともあるが、望ましくないこともある。色面層Uと補助色面層Sとが重なる部分が広いほど、その隙間からの漏光が減少する。前記重なる部分のxy平面に平行な方向の最短の幅をdS、色面層Uと補助色面層Sとの最小の間隔(多くの場合裏打ち層Kの厚さ)をtKとすると、dS/tKは1以上が好ましく・2以上がより好ましく・4以上がさらに好ましく・8以上が一層好ましい。また、色面層Uと補助色面層Sとの間隔が狭いほど、この漏光は減衰する。そのためには、裏打ち層Kは薄いほどよい。強度との兼ね合いもあり、その厚さは、0.1~2.5mmが好ましく・0.4~2.0mmがより好ましく・0.6~1.5mmがさらに好ましく・0.8~1.2mmが一層好ましい。また、裏打ち層Kが薄いほど、色面層Uの抜き部分Pと、それに最も近い扁平着色剤Cとの間隔が狭まり、扁平着色剤Cが明るく見える。本実施形態は第2・3の実施形態と併用されてもされなくてもよい。
【0053】
請求の範囲控。項C1:複数の層が積層された装飾体であって、前記複数の層が、透過性を有する透過層と、前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低い色面層と、前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低く前記色面層とは異なる層である補助色面層と、透過性を有する部分が前記透過性を有する部分とは異なる色の着色剤を含む着色層と、を含み、前記装飾体が、前記積層方向に垂直な面を区分する複数の部分領域を有し、前記複数の部分領域が、前記色面層を有する部分領域と、前記色面層を有さない部分領域と、を含み、前記有さない部分領域の少なくとも一部において、前記積層方向からの視線に対し、前記透過層を透過して前記補助色面層が見えかつ前記着色層が見えない装飾体。項C2:前記透過層の一部が前記色面層に接合された、項C1に記載の装飾体。項C3:前記有する部分領域において前記透過層が前記色面層に接合された、項C1又は2に記載の装飾体。項C4:前記補助色面層が見える部分を含む前記有さない部分領域の少なくとも一部が前記積層方向に垂直な面における前記装飾体の端部に接する、項C1~3の何れかに記載の装飾体(
図7bのような態様を含む)。項C5:前記色面層及び前記補助色面層が前記積層方向において一部の部分領域で重なる、項C1から4の何れかに記載の装飾体。項C6:前記重なる部分領域の色面層が前記重なる部分領域以外の色面層に連続し、前記重なる部分領域の補助色面層が前記重なる部分領域以外の補助色面層に連続する、項C5に記載の装飾体。項C7:前記着色剤が薄片状であり、前記着色剤の最大長さが0.02mm以上であり、前記着色剤の少なくとも一部において、それぞれの最大長さが、前記最大長さの中点を通り前記最大長さの方向に直交する断面の径のうち前記中点を通る最も短い長さの5倍以上である、項C1~6の何れかに記載の装飾体。項C8:前記有さない部分領域の一部が前記着色層を有し、前記有さない部分領域の有する前記着色層が前記透過部を透過して見える、項C1~7の何れかに記載の装飾体(抜き部分P)。項C9:前記色面層と前記着色層とが、透過性を有し前記透過層とは異なる層を間に挟む、項C1~8の何れかに記載の装飾体。項C10:前記補助色面層と前記着色層とが前記積層方向に垂直な各方向における端部同士で接合されたか、前記色面層と前記補助色面層又は前記着色層の少なくとも一方とが前記垂直な面で接合されたか、の少なくとも一方である、項C1~9の何れかに記載の装飾体。項C11:前記色面層と前記補助色面層とが前記積層方向においてそれぞれ異なる位置を有し、かつ互いに連続しないか又は互いの間に接合部分を有するかの少なくとも一方である、項C1~10の何れかに記載の装飾体。項C12:前記色面層の視感透過率が50%以下である、項C1~11の何れかに記載の装飾体。項C13:前記色面層と他の層との間に接着層を有する、項C1~12の何れかに記載の装飾体。項C14:前記装飾体が板状である、項C1~13の何れかに記載の装飾体。項C15:前記有さない部分領域において前記透過層と前記透過層に接する別の層とが化学拡散接合である、項C1~14の何れかに記載の装飾体。項C16:前記有さない部分領域の一部が文字・ロゴ・図形・模様の少なくとも何れかの形状である、項C1~15の何れかに記載の装飾体。項C17:材料を切断する切断部と、複数の材料を接合する貼合部と、を有し、項C1~16の何れかに記載の装飾体を製造する装飾体製造装置。項C18:材料を切断する切断工程と、複数の材料を接合する貼合工程と、を有し、項C1~16の何れかに記載の装飾体を製造する装飾体製造方法。
【0054】
《第5の実施形態》
前述のように、粒子サイズの大きな扁平着色剤Cが扁平着色層M中で密集しすぎると扁平着色層Mが容易に割れる。そのため、扁平着色層M内の扁平着色剤Cにはある程度の隙間が必要である。色面層Uの抜き部分Pに扁平着色剤Cが見えるような用途では、このような隙間は扁平着色剤Cの加飾性を低下させる。扁平着色層Mの積層によりこの隙間は減るが、完全になくなることはない。上記の低透過層Qが裁断前の扁平着色剤Cのシートであれば、この隙間が完全に充填される。この低透過層Qは扁平着色剤Cの色に近いほど、あるいは高反射率であるほど、扁平着色剤Cの隙間をふさぐという目的の解決には効果的である。このための層を補充着色層Wとする。貼合部45は扁平着色剤Cに近い色の有色透明のマーキングフィルム等をアルミ箔等の高反射性金属板や白紙等の拡散反射率が高い板に重ねて貼付してもよい。マーキングフィルムは粘着層のない色セロファンやカラーフィルター等でもよい。マーキングフィルムは塗膜でもよい。補充着色層Wと扁平着色剤Cとで色が近似しなくてもよく、その場合にはまた別の効果が得られる。
【0055】
補充着色層Wの少なくとも一部の45°正反射率(絶対反射測定による)は、好ましくは40%以上・より好ましくは50%以上・さらに好ましくは60%以上・一層好ましくは70%以上である。補充着色層Wの扁平着色剤Cとのマンセル表色系(D65)における色相(全20ステップ)の差は、好ましくは3ステップ以下・より好ましくは2ステップ以下・さらに好ましくは1ステップ以下・一層好ましくは0.5ステップ以下である。ただし補充着色層W又は扁平着色剤Cの少なくとも一方が構造色等により玉虫状の色の変化を呈する場合・前記少なくとも一方の色が各部で異なり、それぞれの色の範囲が測定限界未満である場合・前記少なくとも一方のサイズが測定機器の測定限界未満である場合等には、試料の色の特定及び測定が困難である。そのようなやむをえない場合、正反射時ではない状態において、JIS標準色票との視覚的比較により色相の差が認定されてもよい。又はJIS Z 8723に基づく視感比較法が、反射材ではあるが適用されうる。観察面に対して法線方向から観察し、D65の照明を正反射が視界に入らない方向から規定の条件で照射する。その色差評価等級表による補充着色層Wと扁平着色剤Cとの色相差は、好ましくは4号以下・より好ましくは3号以下・さらに好ましくは2号以下である。特記時には、補充着色層Wの扁平着色剤Cと色差ΔE00(CIE DE2000)は、好ましくは40.0以下・より好ましくは20.0以下・さらに好ましくは10.0以下・一層好ましくは5.0以下である。これらいずれかを満たせば、扁平着色剤の色及び補充着色層Wの色が規定された方法によって互いに類似の範囲内であると認められる。本実施形態のまずもっての目的は、扁平着色剤C同士の隙間が目立たないことである。補充着色層Wは、扁平着色剤Cの奥にあって光が当たりにくいので、それらの明度及び彩度の差はほとんど影響を与えない。よってそれらの色相が近ければ見分けがつきにくく、この目的が達成される。
【0056】
請求の範囲控。項D1:複数の層が積層された装飾体であって、前記複数の層が、透過性を有する部分に扁平着色剤が分散された扁平着色層と、前記透過性を有する部分より透過性が低い補充着色層を含み、前記扁平着色剤の最大長さが0.02mm以上であり、前記扁平着色剤の少なくとも一部において、それぞれの最大長さが、前記最大長さの中点を通り前記最大長さの方向に直交する断面の径のうち前記中点を通る最も短い長さの5倍以上である装飾体。項D2:前記扁平着色剤の色及び前記補充着色層の色が、規定された方法によって互いに類似の範囲内と認められる、項D1に記載の装飾体。項D3:前記扁平着色層に対する前記補充着色層の反対側に色面層を有し、前記積層方向に垂直な面において、前記色面層が複数の部分を有し、前記複数の部分の一部が前記色面層の端部に少なくとも一部で接せず、かつ前記色面層が存在しない抜き部分であり、前記抜き部分を通して前記扁平着色層が観察可能である、項D1又は2に記載の装飾体。項D4:前記補充着色層が金属光沢を有する、項D1~3の何れかに記載の装飾体。項D5:前記扁平着色層が金属光沢を有する、項D1~4の何れかに記載の装飾体。項D6:前記扁平着色層が複数である、項D1~5の何れかに記載の装飾体。項D7:前記扁平着色剤が薄片状である、項D1~6の何れかに記載の装飾体。項D8:前記扁平着色層の厚さが好ましくは2.8mm以上・より好ましくは4.8mm以上・さらに好ましくは5.6mm以上である、項D1~7の何れかに記載の装飾体。項D9:板状体である、前記最大長さが1mm以上である、項D1~8の何れかに記載の装飾体。項D10:材料を切断する切断部と、複数の材料を接合する貼合部と、を有し、項D1~9の何れかに記載の装飾体を製造する装飾体製造装置。項D11:材料を切断する切断工程と、複数の材料を接合する貼合工程と、を有し、項D1~9の何れかに記載の装飾体を製造する装飾体製造方法。
【0057】
上記各実施形態はそれぞれの発明の実施の一例である。各発明の技術的範囲は上記の範囲には限定されない。当業者にとって、上記各実施形態に多様な変更又は改良を加えることが可能である。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲及び請求の範囲控の記載から明らかである。また、各実施形態は、特記されない事項を含む多くの点において互いに共通する。各実施形態は組み合わせて実施されてもよい。項A1~18・項B1~17・項C1~16・項D1~の各従属項は、それぞれが引用する項とは別の項にも従属しうる。つまり例えば、項CXは、項C1等のみならず、項A1・項B1・項D1等も引用可能である。上記各特徴は、組み合わせて実施されることでそれぞれの効果を同時かつ相乗的にもたらす。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明が提供する装飾体Dは、例えば看板・店舗サイン・社名表示板・表札・案内板・広告表示板等の各種サイン、店舗等のディスプレイ・什器、窓・壁面・インテリア・エクステリア・オブジェといった建築物関連、自動車・電車・航空機・船舶等の乗り物、携帯情報端末・コンピュータといった家電製品等の装飾に有用である。
【符号の説明】
【0059】
20 材料板、 22 色面層材料、 30 画像、 40 装飾体製造装置、 41 色面層切断部、 42 色面層接合部、 43 溝加工部、 44 塗布部、 45 貼合部、 S41 色面層切断工程、 S42 色面層接合工程、 S43 溝加工工程、 S44 塗布工程、 S45 貼合工程、 A 接着層、 B 粘着剤、 C 扁平着色剤、 D 装飾体、 E 端部、 F 表面部、 K 裏打ち層、 M 扁平着色層、 L 透過部、 R 裏面部、 S 補助色面層、 T 被覆層、 U・U11・U12 色面層
【手続補正書】
【提出日】2022-03-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層が積層された装飾体であって、
前記複数の層が、透過性を有する透過層と、
前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低い色面層と、
前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低く前記色面層とは異なる層である補助色面層と、
透過性を有する部分が前記透過性を有する部分とは異なる色の着色剤を含む着色層と、を含み、
前記装飾体が、前記積層方向に垂直な面を区分する複数の部分領域を有し、前記複数の部分領域が、前記色面層を有する部分領域と、前記色面層を有さない部分領域と、を含み、
前記有さない部分領域の少なくとも一部が前記着色層を有さず、かつ前記補助色面層を有する装飾体。
【請求項2】
前記透過層の一部が前記色面層に接合された、請求項1に記載の装飾体。
【請求項3】
前記有する部分領域において前記透過層が前記色面層に接合された、請求項1又は2に記載の装飾体。
【請求項4】
前記補助色面層が見える部分を含む前記有さない部分領域の少なくとも一部が前記積層方向に垂直な面における前記装飾体の端部に接する、請求項1~3の何れかに記載の装飾体。
【請求項5】
前記色面層及び前記補助色面層が前記積層方向において一部の部分領域で重なる、請求項1から4の何れかに記載の装飾体。
【請求項6】
前記重なる部分領域の色面層が前記重なる部分領域以外の色面層に連続し、前記重なる部分領域の補助色面層が前記重なる部分領域以外の補助色面層に連続する、請求項5に記載の装飾体。
【請求項7】
前記着色剤が薄片状であり、前記着色剤の最大長さが0.02mm以上であり、前記着色剤の少なくとも一部において、それぞれの最大長さが、前記最大長さの中点を通り前記最大長さの方向に直交する断面の径のうち前記中点を通る最も短い長さの5倍以上である、請求項1~6の何れかに記載の装飾体。
【請求項8】
前記有さない部分領域の一部が前記着色層を有し、前記有さない部分領域の有する前記着色層が前記透過部を透過して見える、請求項1~7の何れかに記載の装飾体。
【請求項9】
前記色面層と前記着色層とが、透過性を有し前記透過層とは異なる層を間に挟む、請求項1~8の何れかに記載の装飾体。
【請求項10】
前記補助色面層と前記着色層とが前記積層方向に垂直な各方向における端部同士で接合されたか、前記色面層と前記補助色面層又は前記着色層の少なくとも一方とが前記垂直な面で接合されたか、の少なくとも一方である、請求項1~9の何れかに記載の装飾体。
【請求項11】
前記色面層と前記補助色面層とが前記積層方向においてそれぞれ異なる位置を有し、かつ互いに連続しないか又は互いの間に接合部分を有するかの少なくとも一方である、請求項1~10の何れかに記載の装飾体。
【請求項12】
前記色面層の視感透過率が50%以下である、請求項1~11の何れかに記載の装飾体。
【請求項13】
前記色面層と他の層との間に接着層を有する、請求項1~12の何れかに記載の装飾体。
【請求項14】
前記装飾体が板状である、請求項1~13の何れかに記載の装飾体。
【請求項15】
前記有さない部分領域において前記透過層と前記透過層に接する別の層とが化学拡散接合である、請求項1~14の何れかに記載の装飾体。
【請求項16】
材料を切断する切断部と、
複数の材料を接合する貼合部と、を有し、
複数の層が積層された装飾体であって、
前記複数の層が、透過性を有する透過層と、
前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低い色面層と、
前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低く前記色面層とは異なる層である補助色面層と、
透過性を有する部分が前記透過性を有する部分とは異なる色の着色剤を含む着色層と、を含み、
前記装飾体が、前記積層方向に垂直な面を区分する複数の部分領域を有し、前記複数の部分領域が、前記色面層を有する部分領域と、前記色面層を有さない部分領域と、を含み、
前記有さない部分領域の少なくとも一部が前記着色層を有さず、かつ前記補助色面層を有する装飾体
を製造する装飾体製造装置。
【請求項17】
材料を切断する切断工程と、
複数の材料を接合する貼合工程と、を有し、
複数の層が積層された装飾体であって、
前記複数の層が、透過性を有する透過層と、
前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低い色面層と、
前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低く前記色面層とは異なる層である補助色面層と、
透過性を有する部分が前記透過性を有する部分とは異なる色の着色剤を含む着色層と、を含み、
前記装飾体が、前記積層方向に垂直な面を区分する複数の部分領域を有し、前記複数の部分領域が、前記色面層を有する部分領域と、前記色面層を有さない部分領域と、を含み、
前記有さない部分領域の少なくとも一部が前記着色層を有さず、かつ前記補助色面層を有する装飾体
を製造する装飾体製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層が積層された装飾体であって、
前記複数の層が、透過性を有する透過層と、
前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低い色面層と、
前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低く前記色面層とは異なる層である補助色面層と、
透過性を有する部分が前記透過性を有する部分とは異なる色の着色剤を含む着色層と、を含み、
前記装飾体は前記色面層を有する積層方向境界面分割部分と前記色面層を有さない積層方向境界面分割部分とに分けられ、前記有さない積層方向境界面分割部分は前記積層方向に垂直な面における前記色面層の端部を含み前記積層方向に平行な境界面により前記装飾体を分割した複数の範囲のうち前記色面層を有さない範囲であって、前記有さない積層方向境界面分割部分は前記複数の層のうち前記有さない範囲において積層された1以上のすべての層を含み、
前記有さない積層方向境界面分割部分の少なくとも一部が前記着色層を有さず、かつ前記補助色面層を有する装飾体。
【請求項2】
前記色面層と前記補助色面層とが前記積層方向においてそれぞれ異なる位置を有する、請求項1に記載の装飾体。
【請求項3】
前記色面層及び前記補助色面層が間に前記透過層を有する、請求項1又は2に記載の装飾体。
【請求項4】
第2の透過層を有し、前記第2の透過層及び前記透過層が間に前記色面層を有する、請求項3に記載の装飾体。
【請求項5】
前記補助色面層が見える部分を含む前記有さない部分領域の少なくとも一部が前記垂直な面における前記装飾体の端部に接する、請求項1~4の何れかに記載の装飾体。
【請求項6】
前記色面層及び前記補助色面層が前記積層方向において一部の積層方向境界面分割部分で重なる、請求項1から5の何れかに記載の装飾体。
【請求項7】
前記有さない積層方向境界面分割部分の一部が前記着色層を有し、前記有さない積層方向境界面分割部分の有する前記着色層が前記透過部を透過して見える、請求項1~6の何れかに記載の装飾体。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層が積層された装飾体であって、
前記複数の層が、透過性を有する透過層と、
前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低い色面層と、
前記透過層より可視光線の少なくとも一部の波長における透過性が低く前記色面層とは異なる層である補助色面層と、
透過性を有する部分が前記透過性を有する部分とは異なる色の着色剤を含む着色層と、を含み、
前記装飾体は前記色面層を有する積層方向境界面分割部分と前記色面層を有さない積層方向境界面分割部分とに分けられ、前記有さない積層方向境界面分割部分は前記積層方向に垂直な面における前記色面層の端部を含み前記積層方向に平行な境界面により前記装飾体を分割した複数の範囲のうち前記色面層を有さない範囲であって、前記有さない積層方向境界面分割部分は前記複数の層のうち前記有さない範囲において積層された1以上のすべての層を含み、
前記有さない積層方向境界面分割部分の少なくとも一部が前記着色層を有さず、かつ前記補助色面層を有し、
前記色面層と前記補助色面層とが前記積層方向においてそれぞれ異なる位置を有する装飾体。