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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035805
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】水晶振動子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/19 20060101AFI20230306BHJP
   H03H 3/02 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
H03H9/19 C
H03H9/19 F
H03H3/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069634
(22)【出願日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】110132309
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522054178
【氏名又は名称】國立陽明交通大學
(71)【出願人】
【識別番号】522111611
【氏名又は名称】安碁科技股▲フェン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】AKER TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217836
【弁理士】
【氏名又は名称】合田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】洪 瑞華
(72)【発明者】
【氏名】林 逸倫
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108BB02
5J108CC04
5J108EE03
5J108FF07
5J108FF09
5J108KK02
5J108MM14
(57)【要約】
【課題】従来技術における水晶振動子の少なくとも一つの短所を改善する。
【解決手段】水晶振動子200は、第1の表面21と、その反対側にある第2の表面22と、第1の表面21及び第2の表面22を繋ぐ側面20と、を有する圧電基板2と、フォトレジストからなり、少なくとも一部が圧電基板2の所定の側縁24と間隔をおくように第2の表面22に設けられて、第2の表面22を所定の側縁24に隣接する周縁部221と、その反対側にある主振動部222と、に区切るフレーム5と、第1の表面21に形成される第1のメイン電極部31及び第1のメイン電極部31から側面20を経由して周縁部221まで延伸する第1の延伸電極部32を有する第1の電極3と、主振動部222に形成される第2のメイン電極部、及び第2のメイン電極部から所定の側縁24まで延伸する第2の延伸電極部を有する第2の電極4と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面と、該第1の表面の反対側にある第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面を繋ぐ側面と、を有する圧電基板と、
フォトレジストからなり、少なくとも一部が前記圧電基板の前記側面と前記第2の表面とが繋がる側縁の内の所定の側縁と間隔をおくように前記圧電基板の前記第2の表面に設けられて、前記第2の表面を前記所定の側縁に隣接する周縁部と、該周縁部の反対側にある主振動部と、に区切るフレームと、
前記圧電基板の前記第1の表面に形成される第1のメイン電極部、及び前記第1のメイン電極部から前記側面及び前記所定の側縁を経由して前記第2の表面の前記周縁部まで延伸する第1の延伸電極部を有する第1の電極と、
前記圧電基板の前記第2の表面の前記主振動部に形成され、前記第1のメイン電極部の前記第2の表面における正投影範囲の少なくとも一部と重なる第2のメイン電極部、及び前記第2のメイン電極部から前記周縁部を経由して前記所定の側縁まで延伸する第2の延伸電極部を有する第2の電極と、を含む、水晶振動子。
【請求項2】
前記フレームの厚さは10μmから100μmである、請求項1に記載の水晶振動子。
【請求項3】
前記フレームは、前記圧電基板の前記第2の表面を前記周縁部と前記主振動部とに区切る本体部と、該本体部から前記周縁部の一部を経由して前記所定の側縁まで延伸して前記周縁部を第1の周縁区と第2の周縁区とに仕切る延伸部と、を有し、
前記第1の延伸電極部は前記側面及び前記所定の側縁を経由して前記周縁部の前記第1の周縁区まで延伸し、
前記第2の延伸電極部は、前記フレームの前記本体部と前記圧電基板との間及び前記第2の周縁区を経由して所定の側縁まで延伸する、請求項1又は2に記載の水晶振動子。
【請求項4】
第1の表面と、該第1の表面の反対側にある第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面を繋ぐ側面と、を有する圧電基板の前記第1の表面に第1のメイン電極部を形成する、第1の電極形成ステップと、
前記圧電基板の前記第2の表面に対して薄化加工を実行する、薄化ステップと、
薄化された前記圧電基板の前記第2の表面に、前記第1のメイン電極部の前記第2の表面における正投影範囲の少なくとも一部と重なる第2のメイン電極部、及び前記第2のメイン電極部から前記側面と前記第2の表面とが繋がる側縁の内の所定の側縁まで延伸する第2の延伸電極部を有する第2の電極と、前記第1の表面における前記第1のメイン電極部から前記側面及び前記所定の側縁を経由して前記第2の表面まで延伸する第1の延伸電極部と、を形成する、第2の電極形成ステップと、
フォトレジストからなるフレームを、前記第2の延伸電極部の一部を覆いながら、前記第2の表面を前記所定の側縁に隣接する周縁部と、該周縁部の反対側にあって、且つ、前記第2のメイン電極部により覆われる主振動部と、に仕切るように形成する、フレーム形成ステップと、を含む、水晶振動子の製造方法。
【請求項5】
前記薄化ステップの前に、前記第1のメイン電極部に仮基板を貼り合わせる貼合ステップをさらに含む、請求項4に記載の水晶振動子の製造方法。
【請求項6】
前記フレーム形成ステップの後に、前記仮基板を除去する除去ステップをさらに含む、請求項5に記載の水晶振動子の製造方法。
【請求項7】
前記フレーム形成ステップで使用される前記フォトレジストは、ポジ型フォトレジスト又はネガ型フォトレジストである、請求項4~6のいずれか一項に記載の水晶振動子の製造方法。
【請求項8】
前記フレーム形成ステップにおいて、前記フレームを厚さが10μm~100μmの範囲内にあるように形成する、請求項4~7のいずれか一項に記載の水晶振動子の製造方法。
【請求項9】
前記第1のメイン電極部と前記第2のメイン電極部と前記第2の延伸電極部とは、堆積又は印刷を用いて形成され、前記第1の延伸電極部は、印刷又はコーティングを用いて形成され、前記第1のメイン電極部と前記第1の延伸電極部と前記第2のメイン電極部と前記第2の延伸電極部とはそれぞれ、金、銀、及びアルミニウムからなる群より選択された互いに同じ又は異なる導電材料が用いられる、請求項4~8のいずれか一項に記載の水晶振動子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動子及びその製造方法に関し、特に高い発振周波数の発振出力が得られる水晶振動子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水晶振動子の構造は大まかに、圧電材料の水晶(石英)からなる振動基板と、外部に電気的に接続するように該振動板の相対する2つの表面にそれぞれ形成される2つの電極と、を含む。振動基板に用いられる圧電材料の水晶が薄ければ薄いほど水晶振動子はより高い発振周波数の発振出力が得られるため、業界では通常、所望の周波数の発振周波数が得られるように該振動基板に対して薄化加工を行う。また、振動基板が薄化されたことによる強度不足のため外力に耐えられなくて後続の製造過程で割れることを防げるため、業界では通常、振動基板を部分的に薄化し、これにより、振動基板の周縁に、該振動基板と同一材料からなり、厚さのより厚いフレームが形成される。該フレームは、挟持でき、外部の電子部品に電気的に接続する接続区として使用でき、又は薄化された振動基板の機械的支持力を強化することもできる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の振動素子の基板は、平板状の振動部と、該振動部と一体であって振動部より厚さの厚い厚肉部(フレームに相当)と、を有する。厚肉部は振動素子の支持力を強化することができる以外、所定の周波数の発振出力が得られるように基板全体の厚さをコントロールすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開第2014-154994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、振動基板の周縁の一部を厚く形成してフレームとして構成する場合、2つの電極の外部と接続する端子はフレームをまたぐ必要があるため、振動部とフレームとの間の高低差によって電極の歩留まりは低下し、水晶振動子の性能にも影響を与える。
【0006】
従って、本発明の目的は、従来技術の少なくとも一つの短所を改善することができる水晶振動子及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の水晶振動子は、第1の表面と、該第1の表面の反対側にある第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面を繋ぐ側面と、を有する圧電基板と、フォトレジストからなり、少なくとも一部が前記圧電基板の前記側面と前記第2の表面とが繋がる側縁の内の所定の側縁と間隔をおくように前記圧電基板の前記第2の表面に設けられて、前記第2の表面を前記所定の側縁に隣接する周縁部と、該周縁部の反対側にある主振動部と、に区切るフレームと、前記圧電基板の前記第1の表面に形成される第1のメイン電極部、及び前記第1のメイン電極部から前記側面及び前記所定の側縁を経由して前記第2の表面の前記周縁部まで延伸する第1の延伸電極部を有する第1の電極と、前記圧電基板の前記第2の表面の前記主振動部に形成され、前記第1のメイン電極部の前記第2の表面における正投影範囲の少なくとも一部と重なる第2のメイン電極部及び前記第2のメイン電極部から前記周縁部を経由し前記所定の側縁まで延伸する第2の延伸電極部を有する第2の電極と、を含む。
【0008】
本発明の水晶振動子の製造方法は、第1の表面と、該第1の表面の反対側にある第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面を繋ぐ側面と、を有する圧電基板の前記第1の表面に第1のメイン電極部を形成する、第1の電極形成ステップと、前記圧電基板の前記第2の表面に対して薄化加工を実行する、薄化ステップと、薄化された前記圧電基板の前記第2の表面に、前記第1のメイン電極部の前記第2の表面における正投影範囲の少なくとも一部と重なる第2のメイン電極部、及び前記第2のメイン電極部から前記側面と前記第2の表面とが繋がる側縁の内の所定の側縁まで延伸する第2の延伸電極部を有する第2の電極と、前記第1の表面における前記第1のメイン電極部から前記側面及び前記所定の側縁を経由して前記第2の表面まで延伸する第1の延伸電極部と、を形成する、第2の電極形成ステップと、フォトレジストからなるフレームを、前記第2の延伸電極部の一部を覆いながら、前記第2の表面を前記所定の側縁に隣接する周縁部と、該周縁部の反対側にあって、且つ、前記第2のメイン電極部により覆われる主振動部と、に仕切るように形成する、フレーム形成ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
上記の水晶振動子によれば、フレームは圧電基板とは異なる材料のフォトレジストからなり、フォトリソグラフィ(photolithography)技術を用いて、フレームの幅、形状、分布位置などを精確に制御することができ、水晶振動子が所望の周波数の発振出力が得られると共に、従来技術の少なくとも一つの短所を改善することができる。
【0010】
上記の水晶振動子の製造方法によれば、フレーム形成ステップにおいて、フレームは圧電基板とは異なる材料のフォトレジストからなり、フォトリソグラフィ技術を用いて、フレームの幅、形状、分布位置などを精確に制御することができる。従って、本発明の水晶振動子の製造方法で製造された水晶振動子は、所望の周波数の発振出力が得られると共に、従来技術の少なくとも一つの短所を改善することができる。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照する以下の実施形態の詳細な説明において明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の水晶振動子の実施例1が示されている上面図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図1のIII-III線に沿った断面図である。
図4】本発明の水晶振動子の製造方法の実施例1が示されるフローチャートである。
図5】水晶振動子の製造方法の実施例1を説明するための断面図である。
図6】水晶振動子の製造方法の実施例1を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を詳細に説明する前に、以下の説明では、類似な構成要素は同一の参照符号で示されていることに留意されたい。また、本発明の技術内容、特徴、及び効果については、図面を参照する以下の実施例の詳細な説明において明白になる。なお、本発明の図面は各構成要素の間の構造や位置の相対関係を示すものに過ぎず、各構成要素の実際のサイズを精確に示すものではないことに留意されたい。
【0014】
図1から図3は、本発明の水晶振動子200の実施例1が示されている。本実施例において、水晶振動子200は、圧電基板2と、第1の電極3と、第2の電極4と、フレーム5と、を含む。
【0015】
圧電基板2は、第1の表面21と、該第1の表面21の反対側にある第2の表面22と、前記第1の表面21及び前記第2の表面22を繋ぐ側面20と、を有する。圧電基板2は全体の厚さ(第1の表面21と第2の表面22の間の距離)が均一であり、本実施例においては厚さが50μm以下の水晶(石英)が用いられている。好ましくは、圧電基板2の厚さは10μm以下である。
【0016】
フレーム5は、フォトレジストからなり、少なくとも一部が圧電基板2の側面20と第2の表面22とが繋がる側縁の内の所定の側縁24と間隔をおくように圧電基板2の第2の表面22に設けられて、第2の表面22を該所定の側縁24に隣接する周縁部221と、該周縁部221の反対側にある主振動部222と、に区切る。
【0017】
フレーム5に用いられるフォトレジストは、ポジ型フォトレジスト又はネガ型フォトレジストであってもよい。フレーム5の厚さは10μmから100μmである。
【0018】
第1の電極3は、圧電基板2の第1の表面21に形成される第1のメイン電極部31と、該第1のメイン電極部31から圧電基板2の側面20及び所定の側縁24を経由して第2の表面22の周縁部221まで延伸する第1の延伸電極部32と、を有する。
【0019】
第2の電極4は、圧電基板2の第2の表面22の主振動部222に形成され、第1のメイン電極部31の第2の表面22における正投影範囲の少なくとも一部と重なる第2のメイン電極部41と、該第2のメイン電極部41から周縁部221を経由して所定の側縁24まで延伸する第2の延伸電極部42と、を有する。
【0020】
第1の電極3及び第2の電極4としては、金、銀、又はアルミニウムなどの互いに同じ又は異なる導電材料を用いることができる
より具体的に説明すると、本実施例において、フレーム5は、圧電基板2の第2の表面22を周縁部221と主振動部222とに区切り、第2のメイン電極部41を囲む本体部51と、該本体部51から周縁部221の一部を経由して所定の側縁24まで延伸して該周縁部221を第1の周縁区2211及び第2の周縁区2212に仕切る延伸部52と、を有する。第1の延伸電極部32は、第1の表面21にある第1のメイン電極部31から側面20及び所定の側縁24を経由して、第2の表面22の周縁部221の第1の周縁区2211まで延伸する。第2の延伸電極部42は、第2のメイン電極部41からフレーム5の本体部51と圧電基板2との間及び周縁部221の第2の周縁区2212を経由して所定の側縁24まで延伸する。これにより、第2の延伸電極部42の少なくとも一部がフレーム5の外側にある。
【0021】
上記構成によれば、第1の延伸電極部32と第2の延伸電極部42とが、同一表面(すなわち、第2の表面22)に位置し、同一側縁(すなわち、所定の側縁24)に臨むため、第1の延伸電極部32と第2の延伸電極部42とにより水晶振動子200を外部の電子部品に接続させるための工程は容易になる。
【0022】
なお、本実施例において、フレーム5は環状体であるが、フレーム5の幅、形状、設置位置などはニーズ又はデサインによって異なってもよい。例えば、フレーム5は、第2の表面22の相対する側部にそれぞれ設けられた1つ又は複数の長条状構造であってもよく、或いは開口を有する略環状体であってもよく、厚さを増やして機械的支持力が強化されて対応するクランプが挟持しやすい形状であれば、特に制限はない。
【0023】
上記のように、本発明の水晶振動子200は、フレーム5が圧電基板2とは異なる材料のフォトレジストからなるので、フォトリソグラフィ技術を用いて、フレーム5の幅、形状、分布位置などを精確に制御することができ、水晶振動子が所望の周波数の発振出力が得られると共に、従来技術の少なくとも一つの短所を改善することができることによって、本発明の目的を実現する。
【0024】
図4から図6は、上記の水晶振動子200を製造する水晶振動子の製造方法の実施例1が示されている。図4は本発明の水晶振動子の製造方法の実施例1のフローチャートであり、図5及び図6は、図1において水晶振動子200を横切るII-II線の箇所における、水晶振動子の製造方法の実施例1の各ステップに対応する断面図である。本実施例において、水晶振動子の製造方法は、第1の電極形成ステップS81と、貼合ステップS82と、薄化ステップS83と、第2の電極形成ステップS84と、フレーム形成ステップS85と、除去ステップS86と、を含む。
【0025】
第1の電極形成ステップS81では、圧電基板2に第1のメイン電極部31を形成する。詳しく説明すると、圧電基板2としては水晶材料から作成されて第1の表面21と、該第1の表面21の反対側にある第2の表面22と、第1の表面21及び第2の表面22を繋ぐ側面20と、を有するものを使用し、該圧電基板2の第1の表面21に、導電材料を用いて堆積又は印刷方法を採用して第1のメイン電極部31を形成し、半製品300を得る。
【0026】
貼合ステップS82では、該半製品300の第1のメイン電極部31に仮基板6を貼り合わせる。仮基板6は、ガラス、アクリル樹脂、セラミックなどからなってもよく、支持効果を提供し、圧電基板2が後続の製造過程で、例えば、圧電基板2の強度不足により薄化ステップ83の途中で割れてしまう状況を防げる。
【0027】
薄化ステップS83では、研削又は化学エッチング方法を採用して、該半製品300の圧電基板2の第2の表面22の全体に対して薄化加工を実行する。なお、薄化された圧電基板2は、適用対象の所望の発振出力に応じて厚さを設定し、且つ、均一な厚さを有する。短波(HF)に適用する場合において、圧電基板2の厚さは10μm以下であるが、圧電基板2の厚さが50μm以下であれば、本発明としての効果を発揮することができる。
【0028】
第2の電極形成ステップS84では、薄化された圧電基板2の第2の表面22に、第1のメイン電極部31の第2の表面22における正投影範囲の少なくとも一部と重なる第2のメイン電極部41、及び該第2のメイン電極部41から第2の表面22の所定の側縁24まで延伸する第2の延伸電極部42を有する第2の電極4と、第1の表面21における第1のメイン電極部31から側面20及び所定の側縁24を経由して第2の表面22まで延伸する第1の延伸電極部32と、を形成する。これにより、第1の延伸電極部32と第2の延伸電極部42とは、同一表面(すなわち、第2の表面22)に形成され、同一側縁(すなわち、所定の側縁24)に臨むため、第1の延伸電極部32と第2の延伸電極部42とにより製造された水晶振動子200を外部の電子部品に接続させる工程は容易になる。
【0029】
第2のメイン電極部41と第2の延伸電極部42とは、導電材料を用いて、堆積又は印刷方法を採用して形成される。第1の延伸電極部32は、導電材料を用いて印刷又はコーティング方法を採用して形成される。
【0030】
なお、第2の電極形成ステップS84において、第2の電極4と第1の延伸電極部32とを形成する順番について、特に制限はない。必要に応じて、第2の電極4を形成してから第1の延伸電極部32を形成してもよく、又は第1の延伸電極部32を形成してから第2の電極4を形成してもよい。
【0031】
フレーム形成ステップS85では、フォトレジストからなるフレーム5を、第2の延伸電極部42の一部を覆いながら、第2の表面22を所定の側縁24に隣接する周縁部221と、該周縁部221の反対側にあって、且つ、第2のメイン電極部41により覆われる主振動部222と、に仕切るように形成する。
【0032】
より具体的に説明すると、本実施例において、薄化された圧電基板2の第2の表面22に、ポジ型フォトレジスト又はネガ型フォトレジストを塗布して、所定の厚さを有するフォトレジスト層7を形成し(図6を参照)、そして、フォトリソグラフィ技術を用いて、該フォトレジスト層7を部分的に除去し、薄化された圧電基板2の第2の表面22に、所定の形状を有する厚さが10μmから100μmの範囲内にあるフレーム5を形成する。
【0033】
本発明は、フォトレジストをフレーム5の構成材料として使用したため、塗布工程のパラメータ及びフォトリソグラフィ工程のフォトマスクのパターンを調整することによって、デザインニーズに合わせて、フレーム5の厚さ、幅、形状、及び分布位置を精確にコントロールできる。なお、塗布工程及びフォトリソグラフィ工程に関する詳細及び条件パラメータ(例えば、フィルムの厚さ、露光の波長や強度や時間、又はフォトマスクのパターンの形成方法など)は、使用したフォトレジストによって異なるが、当技術分野で周知されているため、ここで詳しい説明を省略する
最後に、除去ステップS86では、仮基板6を薄化された圧電基板2から除去し、水晶振動子200を得る。除去ステップS86では、貼合ステップS82の半製品300に仮基板6を貼り合わせる方法に応じて、対応の仮基板6を除去する方法を使用する。例えば、仮基板6を光分解性又は熱分解性の接着剤を用いて半製品300に貼り合わせる場合において、除去ステップS86は、半製品300と仮基板6とに光を当てる又は半製品300と仮基板6とを加熱する方法を用いて、仮基板6を除去する。
【0034】
上記のように、本発明の水晶振動子の製造方法は、フレーム形成ステップS85において、フレーム5は圧電基板2とは異なる材料のフォトレジストからなり、フォトリソグラフィ技術を用いて、フレームの幅、形状、分布位置などを精確に制御することができる。従って、本発明の水晶振動子の製造方法で製造された水晶振動子200全体の厚さ(圧電基板2とフレーム5を含む)を制御し、所望の周波数の発振出力が得られると共に、従来技術の少なくとも一つの短所を改善することができ、本発明の目的を実現する。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施形態および変化例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
【符号の説明】
【0036】
200 水晶振動子
300 半製品
2 圧電基板
20 側面
21 第1の表面
22 第2の表面
221 周縁部
2211 第1の周縁区
2212 第2の周縁区
222 主振動部
24 所定の側縁
3 第1の電極
31 第1のメイン電極部
32 第1の延伸電極部
4 第2の電極
41 第2のメイン電極部
42 第2の延伸電極部
5 フレーム
51 本体部
52 延伸部
6 仮基板
7 フォトレジスト層
S81 第1の電極形成ステップ
S82 貼合ステップ
S83 薄化ステップ
S84 第2の電極形成ステップ
S85 フレーム形成ステップ
S86 除去ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-05-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面と、該第1の表面の反対側にある第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面を繋ぐ側面と、を有する圧電基板と、
フォトレジストからなり、少なくとも一部が前記圧電基板の前記側面と前記第2の表面とが繋がる側縁の内の所定の側縁と間隔をおくように前記圧電基板の前記第2の表面に設けられて、前記第2の表面を前記所定の側縁に隣接する周縁部と、該周縁部の反対側にある主振動部と、に区切るフレームと、
前記圧電基板の前記第1の表面に形成される第1のメイン電極部、及び前記第1のメイン電極部から前記側面及び前記所定の側縁を経由して前記第2の表面の前記周縁部まで延伸する第1の延伸電極部を有する第1の電極と、
前記圧電基板の前記第2の表面の前記主振動部に形成され、前記第1のメイン電極部の前記第2の表面における正投影範囲の少なくとも一部と重なる第2のメイン電極部、及び前記第2のメイン電極部から前記周縁部を経由して前記所定の側縁まで延伸する第2の延伸電極部を有する第2の電極と、を含む、水晶振動子。
【請求項2】
前記フレームの厚さは10μmから100μmである、請求項1に記載の水晶振動子。
【請求項3】
前記フレームは、前記圧電基板の前記第2の表面を前記周縁部と前記主振動部とに区切る本体部と、該本体部から前記周縁部の一部を経由して前記所定の側縁まで延伸して前記周縁部を第1の周縁区と第2の周縁区とに仕切る延伸部と、を有し、
前記第1の延伸電極部は前記側面及び前記所定の側縁を経由して前記周縁部の前記第1の周縁区まで延伸し、
前記第2の延伸電極部は、前記フレームの前記本体部と前記圧電基板との間及び前記第2の周縁区を経由して所定の側縁まで延伸する、請求項1又は2に記載の水晶振動子。
【請求項4】
第1の表面と、該第1の表面の反対側にある第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面を繋ぐ側面と、を有する圧電基板の前記第1の表面に第1のメイン電極部を形成する、第1の電極形成ステップと、
前記圧電基板の前記第2の表面に対して薄化加工を実行する、薄化ステップと、
薄化された前記圧電基板の前記第2の表面に、前記第1のメイン電極部の前記第2の表面における正投影範囲の少なくとも一部と重なる第2のメイン電極部、及び前記第2のメイン電極部から前記側面と前記第2の表面とが繋がる側縁の内の所定の側縁まで延伸する第2の延伸電極部を有する第2の電極と、前記第1の表面における前記第1のメイン電極部から前記側面及び前記所定の側縁を経由して前記第2の表面まで延伸する第1の延伸電極部と、を形成する、第2の電極形成ステップと、
フォトレジストからなるフレームを、前記第2の延伸電極部の一部を覆いながら、前記第2の表面を前記所定の側縁に隣接する周縁部と、該周縁部の反対側にあって、且つ、前記第2のメイン電極部により覆われる主振動部と、に仕切るように形成する、フレーム形成ステップと、を含む、水晶振動子の製造方法。
【請求項5】
前記薄化ステップの前に、前記第1のメイン電極部に仮基板を貼り合わせる貼合ステップをさらに含む、請求項4に記載の水晶振動子の製造方法。
【請求項6】
前記フレーム形成ステップの後に、前記仮基板を除去する除去ステップをさらに含む、請求項5に記載の水晶振動子の製造方法。
【請求項7】
前記フレーム形成ステップで使用される前記フォトレジストは、ポジ型フォトレジスト又はネガ型フォトレジストである、請求項に記載の水晶振動子の製造方法。
【請求項8】
前記フレーム形成ステップにおいて、前記フレームを厚さが10μm~100μmの範囲内にあるように形成する、請求項4~7のいずれか一項に記載の水晶振動子の製造方法。
【請求項9】
前記第1のメイン電極部と前記第2のメイン電極部と前記第2の延伸電極部とは、堆積又は印刷を用いて形成され、前記第1の延伸電極部は、印刷又はコーティングを用いて形成され、前記第1のメイン電極部と前記第1の延伸電極部と前記第2のメイン電極部と前記第2の延伸電極部とはそれぞれ、金、銀、及びアルミニウムからなる群より選択された互いに同じ又は異なる導電材料が用いられる、請求項に記載の水晶振動子の製造方法。