(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035817
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】電子デバイス及びメモリデバイスのためのハウジング
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20230306BHJP
G11B 33/02 20060101ALI20230306BHJP
B32B 7/027 20190101ALI20230306BHJP
B32B 7/025 20190101ALI20230306BHJP
【FI】
H05K5/02 J
G11B33/02 301A
B32B7/027
B32B7/025
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022083474
(22)【出願日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】17/461,405
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504056130
【氏名又は名称】ウェスタン デジタル テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【弁理士】
【氏名又は名称】小松原 寿美
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシュヌ・チャンダル・ジャナキラマン
(72)【発明者】
【氏名】ムタラス・デヴァラジャン
(72)【発明者】
【氏名】クル・ボック
【テーマコード(参考)】
4E360
4F100
【Fターム(参考)】
4E360AB12
4E360AB22
4E360AB42
4E360GB99
4E360GC08
4E360GC16
4F100AJ04A
4F100AJ06A
4F100AJ07A
4F100AK01A
4F100AK04A
4F100AK07A
4F100AK15A
4F100AK17A
4F100AK25A
4F100AK25B
4F100AK25C
4F100AK25D
4F100AK42A
4F100AK46A
4F100AK51B
4F100AK51C
4F100AK51D
4F100AK54A
4F100AK55A
4F100BA04
4F100BA07
4F100CA02C
4F100CA02D
4F100CA23A
4F100CC01C
4F100CC01D
4F100DD07
4F100DG03A
4F100DG04A
4F100EH46
4F100EJ08
4F100EJ65
4F100EJ86
4F100GB15
4F100JB16A
4F100JJ01
4F100JK09
4F100JK12
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4F100YY00D
(57)【要約】 (修正有)
【課題】メモリデバイス及び電子デバイスのためのハウジング、及びそのようなハウジングを形成するためのプロセスを提供する。
【解決手段】電子デバイスの少なくとも一部を収容するための物品100は、熱可塑性物質及び生分解性充填剤又はポリマーを含む第1の構成要素105と、第1の構成要素の少なくとも一部上に配置された第2の構成要素120と、を含み、第2の構成要素は、複数の層を含む。物品は、約200gms以上の擦傷可視荷重、約100V以下の静電放電静電圧、約0.28W/mK以上の熱伝導率、又はそれらの組み合わせを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスの少なくとも一部を収容するための物品であって、
熱可塑性物質及び生分解性充填剤又はポリマーを含む第1の構成要素と、
前記第1の構成要素の少なくとも一部上に配置された第2の構成要素であって、複数の層を含む、第2の構成要素と、を備え、
前記物品が、
約200gms以上の擦傷可視荷重(ISO4586-2)、
約100V以下の静電放電(ESD)静電圧(ANSI/ESD S20.20)、
約0.28W/mK以上の熱伝導率(ISO22007-2)、又はそれらの組み合わせを有する、物品。
【請求項2】
前記第1の構成要素中の生分解性ポリマーの量が、前記第1の構成要素の総重量に基づいて、約30重量%以上である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記熱可塑性物質が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、それらのポリスルホン誘導体、又はそれらの組み合わせを含み、
前記生分解性充填剤又はポリマーが、セルロース長繊維、短繊維、デンプン、酢酸セルロース、若しくはそれらの組み合わせを含むか、又は
それらの両方を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記熱可塑性物質が、ポリプロピレンを含み、
前記生分解性充填剤又はポリマーが、セルロース長繊維を含み、
前記第1の構成要素中の生分解性充填剤又はポリマーの量は、前記第1の構成要素の総重量に基づいて、約30重量%~約50重量%である、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記電子デバイスが、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ、ラップトップハウジング、キーボード、マウス、USBパッケージ、SSDパッケージ、HDDパッケージ、センサカバー、カメラカバー、wi-fiルータ、又は自動車音楽システムを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記複数の層が、
前記第1の構成要素の少なくとも一部上に配置された第1の層と、
前記第1の層の少なくとも一部上に配置された第2の層と、
前記第2の層の少なくとも一部上に配置された第3の層と、を含み、前記第1の層は、前記第1の構成要素と前記第2の層との間の接着を増強するためのプライマーを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記第2の層が、塗料、シンナー、硬化剤、又はそれらの反応生成物を含む、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記第2の層を形成するために使用される前記塗料と、前記シンナーと、前記硬化剤との比が、約3.5:3.8:0.5~約4.5:3.8:1.5である、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記第3の層が、塗料、シンナー、硬化剤、又はそれらの反応生成物を含む、請求項6に記載の物品。
【請求項10】
前記第3の層を形成するために使用される前記塗料と、前記シンナーと、前記硬化剤との比が、約9.5:9.8:0.5~約10.5:9.8:1.5である、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記物品が、
約0.5μm~約2μmの平均表面粗さ(ISO4287:1997)、
約0.4GPa~約0.8GPaの擦傷硬度(ISO4586-2)、
約0.28W/mK~約0.5W/mKの熱伝導率(ISO22007-2)、
約78~約88のショアD硬度(ISO868)、又は
それらの組み合わせを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
物品であって、
電子デバイスと、
前記電子デバイスの少なくとも一部上に配置されたコーティングされた基材であって、
ポリオレフィン及び生分解性充填剤又はポリマーを含むポリマー基材であって、前記ポリマー基材中の生分解性充填剤又はポリマーの量が、前記ポリオレフィン及び前記生分解性充填剤又はポリマーの総重量に基づいて、約30重量%~約50重量%である、ポリマー基材、及び
複数の層を含むコーティングであって、前記ポリマー基材の少なくとも一部上に配置されている、コーティングを含む、コーティングされた基材と、を含み、
前記物品が、
約200gms~約400gmsの擦傷可視荷重(ISO4586-2)、
約50V以下の静電放電(ESD)静電圧(ANSI/ESD S20.20)、
約0.28W/mK以上の熱伝導率(ISO22007-2)、又は
それらの組み合わせを有する、物品。
【請求項13】
前記複数の層のうちの第1の層が、約1μm~約5μmの厚さを有し、
前記複数の層のうちの第2の層が、約15μm~約25μmの厚さを有し、
前記複数の層のうちの第3の層が、約5μm~約15μmの厚さを有し、又は
それらの組み合わせを有する、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、それらのポリスルホン誘導体、又はそれらの組み合わせを含み、
前記生分解性充填剤又はポリマーが、セルロース長繊維、短繊維、デンプン、酢酸セルロース、又はそれらの組み合わせを含む、請求項12に記載の物品。
【請求項15】
前記物品が、
約0.5μm~約2μmの平均表面粗さ(ISO4287:1997)、
約0.4GPa~約0.8GPaの擦傷硬度(ISO4586-2)、
約0.28W/mK~約0.5W/mKの熱伝導率(ISO22007-2)、
約78~約88のショアD硬度(ISO868)、又は
それらの組み合わせを有する、請求項12に記載の物品。
【請求項16】
電子デバイス用のハウジングを作製するためのプロセスであって、
ポリマー基材に第1の混合物を導入することであって、前記ポリマー基材が、熱可塑性物質及び生分解性充填剤又はポリマーを含む、導入することと、
前記第1の混合物を乾燥又は硬化させて、前記ポリマー基材上に第1の層を形成することと、
前記ポリマー基材に第2の混合物を導入することと、
前記第2の混合物を乾燥又は硬化させて、前記第1の層上に第2の層を形成することと、
前記ポリマー基材に第3の混合物を導入することと、
前記第3の混合物を乾燥又は硬化させて、前記第2の層上に第3の層を形成することと、を含み、前記ハウジングの少なくとも一部が、
約200gms以上の擦傷可視荷重(ISO4586-2)、
約100V以下の静電放電(ESD)静電圧(ANSI/ESD S20.20)、
約0.28W/mK以上の熱伝導率(ISO22007-2)、又は
それらの組み合わせを有する、プロセス。
【請求項17】
前記第2の混合物が、塗料、シンナー、硬化剤を含み、
前記第2の混合物の前記塗料と、前記シンナーと、前記硬化剤との比が、約3.5:3.8:0.5~約4.5:3.8:1.5である、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記第3の混合物が、塗料、シンナー、硬化剤を含み、
前記第3の混合物の前記塗料と、前記シンナーと、前記硬化剤との比が、約9.5:9.8:0.5~約10.5:9.8:1.5である、請求項16に記載のプロセス。
【請求項19】
前記ハウジングの少なくとも一部が、
約0.5μm~約2μmの平均表面粗さ(ISO4287:1997)、
約0.4GPa~約0.8GPaの擦傷硬度(ISO4586-2)、
約0.28W/mK~約0.5W/mKの熱伝導率(ISO22007-2)、
約78~約88のショアD硬度(ISO868)、又は
それらの組み合わせを有する、請求項16に記載のプロセス。
【請求項20】
前記熱可塑性物質が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、それらのポリスルホン誘導体、又はそれらの組み合わせを含み、
前記ポリマー基材中の生分解性ポリマーの量が、前記ポリマー基材の総重量に基づいて、30重量%以上である、請求項16に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、例えば、メモリデバイス及び電子デバイスのためのハウジング、及びそのようなハウジングを形成するためのプロセスに関する。
関連技術の説明
【0002】
ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、アクリロニトリル-ブタジエンスチレン(acrylonitrile-butadiene styrene、ABS)、及びPC/ABSなどの使い捨てプラスチック材料は、一般に、USBフラッシュドライブ、ケーブル、及びコネクタなどの、ソリッドステートドライブ(solid state drive、SSD)エンクロージャ、ハードディスクドライブ(hard disk drive、HDD)製品、及び小売パッケージ(retail packaging、RPG)製品に利用される。しかしながら、そのようなプラスチック材料は、リサイクル性に乏しく、生分解性材料に欠けており、擦傷ができやすい可能性がある。これら及び他の使い捨てプラスチックに関する持続可能性及び規制の枠組みが低いため、生分解性含有量を有するハイブリッドプラスチックの利用へと産業界の取り組みがシフトしている。加えて、電子産業では、特に、擦傷に起因して、SSD、HDD、及びRPGへのPC、ABS、及びPC/ABSパッケージ及びエンクロージャの拒絶が、場合によっては、非常に高くなり得る。
【0003】
現在、SSD、HPD、RPG、他のメモリデバイス、及び電子デバイスのそのような問題を解決するためのアプローチは、非常に限られている。一般に、ハイブリッドプラスチックは、食品パッケージ、カトラリー、ドアトリム、及び同様の製品に使用されているが、例えば、低熱撓み温度及び低熱伝導率などの望ましくない熱的特性のために、電子パッケージ及び半導体メモリ業界では利用されていない。擦傷及び他の欠陥を軽減するために、コーティングが、車内パネル、運動センサ、及びカメラカバーにおける化粧目的のために利用されているが、製品が拒絶されるかどうかを決定する際に表面特性が重要であり得るエンクロージャ及びパッケージ用途のための耐擦傷性コーティングとしては使用されていない。
【0004】
例えば、当該技術分野において、1つ以上の欠陥を克服するメモリデバイス及び電子デバイスのための、新しくかつ改善されたパッケージ及びエンクロージャが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、概して、例えば、メモリデバイス及び電子デバイスのためのハウジング、及びそのようなハウジングを形成するためのプロセスに関する。
【0006】
一実施形態では、電子デバイスの少なくとも一部を収容するための物品が提供される。物品は、熱可塑性物質及び生分解性充填剤又はポリマーを含む第1の構成要素と、第1の構成要素の少なくとも一部上に配置された第2の構成要素と、を含み、第2の構成要素は、複数の層を含む。物品は、約200gms以上の擦傷可視荷重(ISO4586-2)、約100V以下の静電放電(electrostatic discharge、ESD)静電圧(ANSI/ESDS20.20)、約0.28W/mK以上の熱伝導率(ISO22007-2)、又はそれらの組み合わせを有する。
【0007】
別の実施形態では、物品が提供される。物品は、電子デバイスと、電子デバイスの少なくとも一部上に配置されたコーティングされた基材と、を含む。コーティングされた基材は、ポリオレフィン及び生分解性充填剤又はポリマーを含むポリマー基材を含み、ポリマー基材中の生分解性充填剤又はポリマーの量は、ポリオレフィン及び生分解性充填剤又はポリマーの総重量に基づいて、約30重量%~約50重量%であり、コーティングは、複数の層を含み、ポリマー基材の少なくとも一部上に配置されている。物品は、約200gms~約400gmsの擦傷可視荷重(ISO4586-2)、約50V以下の静電放電(ESD)静電圧(ANSI/ESD S20.20)、約0.28W/mK以上の熱伝導率(ISO22007-2)、又はそれらの組み合わせを有する。
【0008】
別の実施形態では、電子デバイス用のハウジングを作製するためのプロセスが提供される。プロセスは、ポリマー基材に第1の混合物を導入することであって、ポリマー基材が、熱可塑性物質及び生分解性充填剤又はポリマーを含む、導入することと、第1の混合物を乾燥又は硬化させて、ポリマー基材上に第1の層を形成することと、を含む。プロセスは、ポリマー基材に第2の混合物を導入することと、第2の混合物を乾燥又は硬化させて、第1の層上に第2の層を形成することと、を更に含む。プロセスは、ポリマー基材に第3の混合物を導入することと、第3の混合物を乾燥又は硬化させて、第2の層上に第3の層を形成することと、を更に含み、ハウジングの少なくとも一部が、約200gms以上の擦傷可視荷重(ISO4586-2)、約100V以下の静電放電(ESD)静電圧(ANSI/ESD S20.20)、約0.28W/mK以上の熱伝導率(ISO22007-2)、それらの組み合わせを有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、簡潔に上で要約した本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによってなされ得、それらのいくつかが添付の図面に例示されている。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを例示し、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではなく、本開示が他の同等に有効な実施形態を認め得ることに留意すべきである。
【0010】
【
図1】本開示の少なくとも1つの実施形態による、例示的な物品の断面図である。
【0011】
【
図2】本開示の少なくとも1つの実施形態による、本明細書に記載の物品を組み込んだ例示的なハードディスクドライブカバー及びディスクドライブアセンブリの上面斜視分解図である。
【0012】
【
図3】本開示の少なくとも1つの実施形態による、本明細書に記載の物品を組み込んだ例示的なUSBフラッシュドライブの上面の斜視図である。
【0013】
【
図4】本開示の少なくとも1つの実施形態による、物品を形成するための例示的なプロセスの、選択された動作を示す。
【0014】
理解を容易にするために、図面に共通する同一の要素を示すために、可能な限り、同一の参照番号を使用している。一実施形態で開示される要素は、特に断ることなく、他の実施形態に有益に利用され得ることが企図される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の実施形態は、概して、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)、ハードディスクドライブ(HDD)、及び小売パッケージ(RPG)製品などのメモリデバイス及び電子デバイスのためのハウジング、並びにそのようなハウジングを形成するためのプロセスに関する。本発明者らは、例えば、メモリデバイス及び電子デバイスのための従来のハウジング、パッケージ、及びエンクロージャに対して、例えば、耐擦傷性、機械的及び熱的特性が改善され、並びに静電放電(ESD)特性が低減されたことを特徴とする、持続可能な材料で作製された、メモリデバイス及び電子デバイスのハウジング、エンクロージャ、及びパッケージのための新しくかつ改善された物品を見出した。簡潔に述べると、いくつかの実施形態では、物品は、プラスチック材料(又は複合材料)と、例えば、耐擦傷性であるプラスチック材料の少なくとも一部上に配置されたコーティングと、を含む。複合材料は、熱可塑性物質と、セルロース長繊維(long cellulose fiber、LCF)などの生分解性ポリマーとの混合物とすることができる。熱可塑性物質と生分解性ポリマーとの混合物は、ブレンド及び/又は天然繊維補強複合材とすることができる。複合材料の少なくとも一部上に配置されたコーティングには、プライマー、ベースコート、及びトップコートを含めることができる。プラスチック及び分解性材料は、再生利用可能なポリオレフィン、例えば、PP、及び生分解性ポリマー、例えば、セルロース長繊維を含むため、リサイクル性及び生分解性の必要性に対処するのに役立ち得る。コーティングは、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル-ブタジエンスチレン(ABS)、及び/又はPC/ABSを利用するメモリデバイス及び電子デバイスの、従来のエンクロージャ及びパッケージよりもエンクロージャ又はパッケージの耐擦傷性、硬度、及び表面粗さを改善するのに役立つ。
物品
【0016】
図1は、少なくとも1つの実施形態による、例示的な物品100の断面図である。物品100は、例えば、メモリデバイス、電子デバイス、メモリデバイスとともに利用される構成要素、電子デバイスとともに利用される構成要素、及び/又は様々な他のデバイス/製品の少なくとも一部を封入する、覆う、囲む、かつ/又は収容するために利用される構造物とすることができる。すなわち、物品100は、デバイス若しくは製品の少なくとも一部を封入する、覆う、囲む、かつ/又は収容するためのエンクロージャ、ケース、ハウジング、パネル、ベース、カバー、又は任意の他の好適な構造物とすることができる。一般に、物品100は、少なくとも2つの構成要素を含む。
【0017】
図1を参照すると、第1の構成要素105は、ポリマー基材とすることができ、ハイブリッドプラスチックなどの熱可塑性ポリマー及び生分解性ポリマー又は充填剤を含み得る。第1の構成要素105は、第1の表面110及び第2の表面115を有する。第2の表面115は、メモリデバイス、電子デバイス、又はメモリデバイス若しくは電子デバイスとともに利用される構成要素、あるいは他のデバイス/製品上の表面である。第1の構成要素105は、例えば、メモリデバイス、電子デバイス、メモリデバイスとともに利用される構成要素、電子デバイスとともに利用される構成要素、及び/又は様々な他のデバイス/製品の少なくとも一部を封入する、覆う、囲む、かつ/又は収容するために、任意の好適な形状又はサイズとすることができる。第1の構成要素105の厚さは、約250μm~約5000μm、約1000μm~約2500μm、約2500μm~約5000μmなど、約100ミクロン(μm)~約10,000μmとすることができる。第1の構成要素105に対してより大きい又はより小さい厚さが企図される。
【0018】
第1の構成要素105の熱可塑性物質は、ポリマー組成物、例えば、ポリオレフィン組成物(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド組成物、ポリ塩化ビニル組成物、ポリフッ化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、それらのポリスルホン誘導体、又はそれらの組み合わせなどの任意の好適な熱可塑性物質とすることができる。エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、それらの組み合わせ、それらの異性体など、約2~約10個の炭素原子などの約2~約20個の炭素原子を有する少なくとも1つのモノマーを重合することによって得られる熱可塑性物質を利用することができる。しかしながら、ポリオレフィン及び/又は熱可塑性物質は、これらに限定されない。
【0019】
第1の構成要素105に使用される熱可塑性物質の密度は、約0.89g/cm3~約0.94g/cm3、約0.90g/cm3~約0.93g/cm3など、約0.88g/cm3~約0.95g/cm3とすることができる。密度は、ISO1183によって決定される。
【0020】
第1の構成要素105に使用される生分解性充填剤又はポリマーは、酢酸セルロース、セルロース繊維(例えば、セルロース長繊維及び/又はセルロース短繊維)、デンプン、又はそれらの組み合わせとすることができる。セルロース長繊維は、約5ミリメートル(mm)~約9mm、又はそれ以上の繊維長を有することを特徴とする。セルロース短繊維は、約2mm~約3mmの繊維長を有することを特徴とする。
【0021】
第1の構成要素105に使用される生分解性充填剤又はポリマーの密度は、約1.1g/cm3~約1.75g/cm3、約1.2g/cm3~約1.5g/cm3など、約1g/cm3~約2g/cm3とすることができる。密度は、ISO1183によって決定される。少なくとも1つの実施形態では、第1の構成要素105に使用される生分解性充填剤又はポリマーの密度は、約1.45g/cm3~約1.5g/cm3など、約1.3g/cm3~約1.6g/cm3である。
【0022】
第1の構成要素105は、ブレンド、混合物、補強材、押出製品、及び/又は熱可塑性物質と生分解性ポリマーとの反応生成物とすることができる。物品100の第1の構成要素105は、下記の特性のうちの1つ以上を有することができる。
【0023】
第1の構成要素105中の熱可塑性成分の重量パーセントは、第1の構成要素105の総重量(すなわち、熱可塑性物質及び生分解性ポリマーの総重量)に基づいて、約45重量%~約75重量%、約50重量%~約70重量%、55重量%~約65重量%、55重量%~約60重量%、又は約60重量%~約65重量%など、約75重量パーセント(重量%)以下とすることができる。
【0024】
第1の構成要素105中の生分解性ポリマーの重量パーセントは、第1の構成要素105の総重量(すなわち、熱可塑性物質及び生分解性ポリマーの総重量)に基づいて、約25重量%~約55重量%、約30重量%~約50重量%、約35重量%~約45重量%、約35重量%~約40重量%、又は約40重量%~約45重量%など、約25重量%以上とすることができる。第1の構成要素105の総重量パーセントは、100重量%を超えない。第1の構成要素105の生分解性含有量を増減させることが企図される。
【0025】
第1の構成要素105の密度は、約0.9g/cm3~約1.4g/cm3、約0.95g/cm3~約1.3g/cm3、約1g/cm3~約1.2g/cm3など、約1.5g/cm3以下とすることができる。第1の構成要素105のより高い又はより低い密度が企図される。密度は、ISO1183に従って測定される。少なくとも1つの実施形態では、第1の構成要素105の密度は、約1.05g/cm3~約1.1g/cm3など、約1g/cm3~約1.15g/cm3である。
【0026】
測定された第1の構成要素105の熱撓み温度(heat deflection temperature、HDT)は、約100℃~約180℃、約120℃~約170℃、約130℃~約165℃など、約89℃以上とすることができる。第1の構成要素105のより高い又はより低いHDTが企図される。HDTは、指定された材料の耐熱性の尺度である。HDTは、HDT試験機を使用してISO75規格に従って、1.8メガパスカル(MPa)で寸法(80mm×10mm×4mm)を有する試験片を使用して測定される。
【0027】
第1の構成要素105の引張強度は、約60MPa~約150MPa、約80MPa~約140MPa、約100MPa~約130MPaなど、約50MPa以上とすることができる。第1の構成要素105のより高い又はより低い引張強度が企図される。引張強度は、指定された材料の応力に耐える剛性及び能力を測定する。引張強度は、万能引張機(universal tensile machine、UTM)によるISO527規格に従って、75mmゲージ長を有する試験片を使用して測定される。
【0028】
第1の構成要素105の曲げ強度は、約90MPa~約190MPa、約120MPa~約180MPa、約140MPa~約175MPaなど、約75MPa以上とすることができる。曲げ強度は、指定された材料の曲げ応力に耐える靭性及び能力を測定する。第1の構成要素105のより高い又はより低い曲げ強度が企図される。曲げ強度は、ISO178(国際標準化機構)に従って、寸法((80mm×10mm×4mm)±0.2mm)を有する試験片を使用して測定される。
【0029】
第1の構成要素105のノッチ付き衝撃強度は、1平方メートル当たり、約20kJ/m2~約80kJ/m2、約30kJ/m2~約70kJ/m2、約40kJ/m2~約60kJ/m2など、約15キロジュール(kJ/m2)以上とすることができる。第1の構成要素105のより高い又はより低いノッチ付き衝撃強度が企図される。ノッチ付き衝撃強度は、破砕中に測定されている指定された材料によって吸収されるエネルギーの量を測定する。ノッチ付き衝撃強度は、シャルピー衝撃強度試験機を使用して、ISO179/1eAに従って、半径0.25mmのノッチ深さを有する、約80mm×10mm×4mmの寸法を有する試料を使用して測定される。
【0030】
少なくとも1つの実施形態では、物品100の第1の構成要素105は、第1の構成要素105の総重量に基づいて、約40重量%など、約35重量%~約45重量%の生分解性ポリマー、第1の構成要素105の総重量に基づいて、約60重量%など、約55重量%~約65重量%の熱可塑性物質、約1.05g/cm3~約1.10g/cm3など、約1.05g/cm3~約1.25g/cm3の密度、約155℃~約165℃、約160℃など、約140℃~約180℃のHDT、約125~約140MPaなど、約110~約200MPaの引張強度、約165MPa~約175MPaなど、約150MPa~約200MPaの曲げ強度、及び/又は約50kJ/m2~約60kJ/m2など、約40kJ/m2~約70kJ/m2のノッチ付き衝撃強度を有する。
【0031】
再び
図1を参照すると、第2の構成要素120は、第1の構成要素105の第1の表面110の少なくとも一部上に配置することができる。第2の構成要素120は、多層構造物であるか、又は多層構造物を含むコーティングとすることができる。いくつかの実施形態では、第2の構成要素120は、第1の構成要素105の少なくとも一部上に配置された第1の層130と、第1の層130の少なくとも一部上に配置された第2の層135と、第2の層135の少なくとも一部上に配置された第3の層140と、を含む。
【0032】
第1の層130は、例えば、第1の構成要素105と第2の層135との間の接着を増強するために利用されるコーティング又はプライマーとすることができる。例示的であるが非限定的である、第1の層130を形成するために使用されるプライマーに含まれる成分の例としては、合成樹脂、溶媒、シリカ及び/若しくはTiO2粒子などの添加材、又はそれらの組み合わせが挙げられる。第1の層130の厚さは、約5μm以下、約1μm~約5μm、約2μm~約4μm、約3μmなど、約10μm以下とすることができる。第1の層130に対してより大きい又はより小さい厚さが企図される。
【0033】
第2の層135は、ベースコーティングなどのコーティングとすることができる。第2の層135は、塗料、シンナー、及び/又は硬化剤から作製するか、又はそれらを含むことができる。第2の層135の厚さは、約15μm~約25μm、約18μm~約22μmなど、約10μm~約30μmとすることができる。第2の層135に対してより大きい又はより小さい厚さが企図される。
【0034】
第3の層140は、トップコーティングなどのコーティングとすることができる。第3の層140は、塗料、シンナー、及び/又は硬化剤から作製するか、又はそれらを含むことができる。第3の層140の厚さは、約15μm~約25μm、約18μm~約22μmなど、約10μm~約30μmとすることができる。第3の層140に対してより大きい又はより小さい厚さが企図される。
【0035】
いくつかの例では、そして更に以下に説明するように、第1の層130、第2の層135、及び第3の層140の各々は、例えば、第1の構成要素105に、第1の混合物、第2の混合物、及び第3の混合物をそれぞれ、順次、スプレーコーティング及び/又はディップコーティングすることによって、第1の構成要素105上に独立して形成又は堆積される。乾燥及び/又は硬化動作は、第1の層130、第2の層135、及び/又は第3の層140の各々を形成する前、最中、及び/又はその後に実施することができる。
【0036】
第1の層130、第2の層135、及び/又は第3の層140を形成するために使用される材料は、任意の好適な材料とすることができる。例示的であるが非限定的である、塗料に含まれる成分の例としては、アクリルウレタン系樹脂、TiO2粒子、酢酸塩、乳酸塩、ケトン系材料、又はそれらの組み合わせが挙げられる。例示的であるが非限定的である、シンナーに含まれる成分の例としては、酢酸塩、乳酸塩、キシレン、メタノール、エタノール、アセトン、トルエン、又はそれらの組み合わせが挙げられる。例示的であるが非限定的である、硬化剤に含まれる成分の例としては、ポリアクリレート、イソシアネートプレポリマー、無水物、フェノール、アミン、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0037】
ポリマー基材(例えば、ハイブリッドプラスチック材料)及びその上に配置されたコーティングを含む、本明細書に記載の物品100は、以下に考察されるように、従来のエンクロージャ、ケース、及びカバーよりも改善された特性を有する。本明細書に記載の物品(例えば、物品100)は、下記の特性のうちの1つ以上を有することができる。
【0038】
物品100は、約0.2μm~約2μm、約0.5μm~約1μmなど、約0.1μm~約3μmの平均表面粗さを有することができる。少なくとも1つの実施形態では、物品100の平均表面粗さは、約0.5μm~約2μmなど、約0.4μm以上とすることができる。物品100のより高い又はより低い平均表面粗さが企図される。平均表面粗さは、異なる場所において、指定された材料の表面上の表面プロファイル又は細かく離間した微細不規則性の尺度であり、粗さのレベルを示すために一般的に使用される。平均表面粗さは、ミツトヨ表面プロフィロメトリーを使用して、ISO4287:1997規格に従って測定される。物品100は、マット仕上げ又は光沢仕上げを有することができる。
【0039】
物品100は、約150gms以上、約200gms以上、約225gms以上、約250gms以上、約275gms以上、約300gms以上、及び/又は約500gms以下、約450gms以下、約400gms以下、約375gms以下、約350gms以下、約325gms以下、約300gms以下など、約100gms以上の擦傷可視荷重を有することができる。少なくとも1つの実施形態では、物品100の擦傷可視荷重は、約225gms~約375gms、約250gms~約350gms、約275gms~約325gmsなど、約200~約400gmsである。物品100のより高い又はより低い擦傷可視荷重が企図される。擦傷可視荷重は、擦傷印が肉眼で見える荷重であり、耐擦傷性の間接的な尺度であり、より高い擦傷可視荷重値は、指定された材料の耐擦傷性が高いことを示す。擦傷可視荷重は、ISO4586-2規格に従って、Taber剪断/擦傷試験機を使用して決定される。
【0040】
物品100は、約0.2GPa~約0.9GPa、約0.3GPa~約0.8GPa、約0.4GPa~約0.75GPa、約0.45GPa~約0.6GPaなど、約1ギガパスカル(GPa)以下の擦傷硬度を有することができる。少なくとも1つの実施形態では、物品100の擦傷硬度は、約0.4GPa~約0.7GPaである。物品100のより高い又はより低い擦傷硬度が企図される。擦傷硬度は、耐擦傷性の尺度であり、値が高いほど、指定された材料の耐擦傷性が高いことを示す。擦傷硬度は、ISO4586-2規格に従って、Taber剪断/擦傷試験機を使用して決定される。
【0041】
物品100は、約77~約100、約78~約95、約80~約90など、約75以上のショアD硬度を有することができる。物品100のより高い又はより低いショアD硬度が企図される。ショアD硬度は、硬度の尺度であり、値が高いほど、指定された材料の強度、靭性、及び剛性が高いことを示す。ショアD硬度は、ISO868規格に従って、チェックラインショアDデュロメータを使用して決定される。
【0042】
物品100は、約0.28W/mK以上及び/又は約0.8W/mK以下、約0.29W/mK~約0.60W/mK、約0.30W/mK~約0.50W/mK、約0.31W/mK~約0.40W/mKなど、メートルケルビン当たり約0.25W/mKワット(W/mK)以上の熱伝導率を有することができる。物品100のより高い又はより低い熱伝導率が企図される。熱伝導率は、指定された材料が熱を伝導する程度を測定する。熱伝導率は、ISO22007-2に従って、ホットディスクTPS2500S熱定数分析装置を使用して測定される。
【0043】
物品100は、約400V未満、約300V未満、約200V未満、約150V未満、約100V未満、約1V~約100V、約10V~約90V、約20V~約80V、約30V~約70V、約40V~約60Vなど、約500ボルト(V)未満である静電放電(ESD)静電圧を有することができる。少なくとも1つの実施形態では、ESDは、約10V未満、約1V~約10V、約2V~約9V、約3V~約8V、約4V~約7V、約5V~約6Vなど、約50V未満である。静電電圧計は、指定された被試験材料の表面における実際の電位(電圧)を測定するために使用される。ESD静電圧は、接触によって引き起こされる、指定された材料と別の物体との間の電気の流れの尺度である。ESD静電圧は、静的センサを使用してANSI/ESD s20.20規格に従って測定される。
【0044】
少なくとも1つの実施形態では、物品100は、約1μm~約2μmなど、約0.5μm以上の平均表面粗さ、約200gms~約400gmsの擦傷可視荷重、約0.4GPa~約0.7GPaの擦傷硬度、約80~約90のショアD硬度、約10V以下など、約50V以下のESD、及び/又は約0.3W/mK~約0.4W/mKの熱伝導率を有する。
【0045】
上述のように、物品100は、例えば、メモリデバイス、電子デバイス、メモリデバイスとともに利用される構成要素、電子デバイスとともに利用される構成要素、及び/又は様々な他のデバイス/製品の少なくとも一部を封入する、覆う、囲む、かつ/又は収容するために利用される構造物とすることができる。物品100は、例えば、デバイス又は製品の少なくとも一部を封入する、覆う、囲む、かつ/又は収容するためのエンクロージャ、ケース、ハウジング、パネル、ベース、カバー、又は任意の他の好適な構造物であり得る。
【0046】
例示的であるが非限定的である、物品100とともに利用され得る電子デバイス、メモリデバイス、及び他のデバイスの例としては、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus、USB)フラッシュドライブ、ラップトップハウジング、キーボード、マウス、SSDパッケージ、HDDパッケージ、センサカバー、カメラカバー、wi-fiルータ、自動車音楽システム、電気電子商品用のプラスチックケーシング、及びそれらの構成要素が挙げられる。また、USBケーブル及びコネクタなどの小売パッケージ(RPG)製品、並びにそれらの構成要素も含まれる。
【0047】
図2は、少なくとも1つの実施形態による、例示的なハードディスクドライブカバー及びディスクドライブアセンブリ200の上面斜視分解図である。ハードディスクドライブカバー及びアセンブリは、外面215及びベースアセンブリを有するカバー210を含む。ベースアセンブリ205、カバー210、及び/又は外面215の少なくとも一部は、上述の物品100を含むことができる。ハードディスクドライブカバー及びディスクドライブアセンブリ200の内面などの他の部分は、物品100を含むことができる。
【0048】
図3は、少なくとも1つの実施形態による、本明細書に記載の物品を組み込んだ例示的なUSBフラッシュドライブ300の上面の斜視図である。USBフラッシュドライブ300は、USBデバイス305の少なくとも一部を封入する、覆う、囲む、かつ/又は収容するカバー310を含む。カバー310の少なくとも一部は、上述の物品100を含むことができる。
【0049】
図2及び
図3に示されるメモリデバイスは、本明細書に記載の物品の使用の非限定的な図であり、本開示の実施形態の範囲を限定することを意図するものではない。
物品を形成するためのプロセス
【0050】
本開示の実施形態はまた、物品、例えば、物品100を作製するためのプロセスに関する。概して、いくつかの実施形態では、ポリマー基材(又は第1の構成要素105)の少なくとも一部は、順次、様々な混合物又は組成物と接触させることができる。ポリマー基材を混合物又は組成物と接触させる前、最中、及び/又はその後に、乾燥及び/又は硬化動作を実施して、物品100の第1の層130、第2の層135、及び第3の層140を順次形成する。
【0051】
本明細書に記載されるような物品を形成するためのプロセスの場合、いくつかの実施形態では、第1の層130、第2の層135、及び第3の層140を形成するために利用される材料は、混合物の形態、例えば、溶液又は懸濁液の形態で第1の構成要素105に導入される。例えば、第1の層130を形成するために利用される混合物は、合成樹脂、溶媒、シリカ粒子などの添加剤、TiO2粒子、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0052】
第1の層130、第2の層135、及び第3の層140の各々を形成するために利用される混合物は、独立して基材上に配設される。これらの混合物は、組成物の形態とすることができる。例えば、第1の組成物が利用されて第1の層130を形成するとき、乾燥/硬化後に形成された第1の層130は、第1の組成物又は第1の組成物の反応成分を含み、第2の組成物が利用されて第2の層135を形成するとき、乾燥/硬化後に形成された第2の層135は、第2の組成物又は第2の組成物の反応成分を含み、かつ/又は第3の組成物が利用されて第3の層140を形成するとき、乾燥/硬化後に形成された第3の層140は、第3の組成物又は第3の組成物の反応成分を含む。第1の構成要素105(又はポリマー基材)に混合物を導入するための方法を以下に記載する。
【0053】
図4は、少なくとも1つの実施形態による、物品、例えば、物品100などの、コーティング又は少なくとも部分的にコーティングされたポリマー基材を形成するための例示的なプロセス400の選択された動作を示す。プロセス400は、動作410において、第1の構成要素105(又はポリマー基材)の少なくとも一部に第1の混合物を導入することによって始まる。第1の構成要素105(又はポリマー基材)は、例えば、メモリデバイス、電子デバイス、メモリデバイスとともに利用される構成要素、電子デバイスとともに利用される構成要素、又は様々な他のデバイス/製品の少なくとも一部を封入する、封入する、覆う、囲む、かつ/又は収容するために利用される、例えば、プレート、パネル、ベースアセンブリ、完成品、又はそれらの組み合わせの形態とすることができる。次いで、動作420において、第1の混合物を乾燥及び/又は硬化させて、ポリマー基材の少なくとも一部上に第1の層130を形成する。乾燥及び/又は硬化の条件を以下に記載する。
【0054】
次いで、動作430において、第1の層130がその上に形成された、結果として得られた基材の少なくとも一部に、第2の混合物が導入される。次いで、動作440において、第2の混合物を乾燥及び/又は硬化させて、第1の層130の少なくとも一部上に第2の層135を形成する。次いで、動作450において、第1の層130及び第2の層135がその上に形成された、結果として得られた基材の少なくとも一部に、第3の混合物が導入される。次いで、動作460において、第3の混合物を乾燥及び/又は硬化させて、第2の層135の少なくとも一部上に第3の層140を形成する。複数の層がその上に形成された、結果として得られた基材は、そのまま、形成、成形、切断などで使用することができる。プロセス400は、ポリマー基材上に3つの層を堆積させることを記載しているが、より多くの層又はより少ない層が企図される。
【0055】
混合物又は組成物を形成するために使用される塗料、シンナー、硬化剤、及び他の材料が上で考察されている。第1の層130、例えば、プライマーは、塗料、溶媒、又はそれらの組み合わせを含み得る1部又は2部プライマーを使用して形成することができる。
【0056】
いくつかの例では、第1の層130を形成するために使用される第1の混合物/組成物中のプライマーの重量比は、約80重量%~約100重量%とすることができる。第1の混合物/組成物の残りのもの又は残りのもののうちの少なくとも一部は、アセトン、水、又はそれらの組み合わせを含むことができる。第1の層130を形成するために使用される第1の混合物中のプライマーの重量比は、第1の混合物を作製するために使用される出発材料に基づいて決定される。
【0057】
第2の層135(又はベースコート)を形成するために使用される第2の混合物中の塗料とシンナーとの重量比、塗料と硬化剤との重量比、及びシンナーと硬化剤との重量比は、変化させることができる。
【0058】
例えば、いくつかの実施形態では、第2の層135を形成するために使用される第2の混合物中の塗料とシンナーとの重量比は、約4.0:3.8~約4.0:4.2、約3.5:3.8~約4.5:3.8、約3.8:4.0~約4.2:4.0、約4:4など、約3.8:3.5~約3.8:4.5とすることができる。第2の混合物中の塗料とシンナーとのより大きい又はより小さい重量比が企図される。
【0059】
第2の層135を形成するために使用される第2の混合物中の塗料と硬化剤との重量比は、約3.0:0.6~約5.0:1.4、約3.5:0.8~約4.5:1.2など、約2.5:0.5~約5.5:1.5とすることができる。第2の混合物中の塗料と硬化剤とのより大きい又はより小さい重量比が企図される。
【0060】
第2の層135を形成するために使用される第2の混合物中のシンナーと硬化剤との重量比は、約3.0:0.6~約5.0:1.4、約3.5:0.8~約4.5:1.2など、約2.5:0.5~約5.5:1.5とすることができる。第2の混合物中のシンナーと硬化剤とのより大きい又はより小さい重量比が企図される。
【0061】
第2の層135を形成するために使用される第2の混合物中の塗料とシンナーと硬化剤との重量比は、約4.0:3.8:0.8~約4.0:4.2:1.2、約3.5:3.8:0.5~約4.5:3.8:1.5、約3.8:4.0:0.8~約4.2:4.0:1.2、約3.8:3.8:0.9~約4.5:4.5:1.2など、約3.8:3.5:0.5~約3.8:4.5:1.5とすることができる。第2の混合物中の塗料とシンナーと硬化剤とのより大きい又はより小さい重量比が企図される。
【0062】
第2の層135を形成するために使用される第2の混合物中の塗料とシンナーとの重量比、塗料と硬化剤との重量比、シンナーと硬化剤との重量比、及び塗料とシンナーと硬化剤との重量比は、第2の混合物を作製するために使用される出発材料の重量比に基づいて決定される。
【0063】
同様に、第3の層140(又はトップコート)を形成するために使用される第3の混合物中の塗料とシンナーとの重量比、塗料と硬化剤との重量比、及びシンナーと硬化剤との重量比は、変化させることができる。
【0064】
例えば、いくつかの実施形態では、第3の層140を形成するために使用される第3の混合物中の塗料とシンナーとの重量比は、約10.0:9.8~約10.0:10.2、約9.5:9.8~約10.5:9.8、約9.8:10.0~約10.2:10.0、約10.0:10.0など、約9.8:9.5~約9.8:10.5とすることができる。第3の混合物中の塗料とシンナーとのより大きい又はより小さい重量比が企図される。
【0065】
第3の層140を形成するために使用される第3の混合物中の塗料と硬化剤との重量比は、約9.0:0.6~約11.0:1.4、約9.5:0.8~約10.5:1.2など、約8.5:0.5~約11.5:1.5とすることができる。第3の混合物中の塗料と硬化剤とのより大きい又はより小さい重量比が企図される。
【0066】
第3の層140を形成するために使用される第3の混合物中のシンナーと硬化剤との重量比は、約9.0:0.6~約11.0:1.4、約9.5:0.8~約10.5:1.2など、約8.5:0.5~約11.5:1.5とすることができる。第3の混合物中のシンナーと硬化剤とのより大きい又はより小さい重量比が企図される。
【0067】
第3の層140を形成するために使用される第3の混合物中の塗料とシンナーと硬化剤との重量比は、約10.0:9.8:0.8~約10.0:10.2:1.2、約9.5:9.8:0.5~約10.5:9.8:1.5、約9.8:10.0:0.8~約10.2:10.0:1.2、約10:10:1など、約9.8:9.5:0.5~約9.8:10.5:1.5とすることができる。第3の混合物中の塗料とシンナーと硬化剤とのより大きい又はより小さい重量比が企図される。
【0068】
第3の層140を形成するために使用される第3の混合物中の塗料とシンナーとの重量比、塗料と硬化剤との重量比、及びシンナーと硬化剤との重量比は、第3の混合物を作製するために使用される出発材料の重量比に基づいて決定される。第3の混合物中の塗料とシンナーと硬化剤とのより大きい又はより小さい重量比が、企図される。
【0069】
動作410における第1の混合物の導入、動作430における第2の混合物の導入、及び動作450における第3の混合物の導入は、エアスプレーコーティング、エアレススプレーコーティング、ディップコーティング、スロットダイコーティング、浸漬、三次元印刷、ローラコーティング、塗料ブラシ、静電方法、高量低圧(high volume low pressure、HVLP)スプレー、又はそれらの組み合わせを含む、任意の好適な方法によって実施することができる。動作410、430、及び/又は450における導入の各々は、独立して、単一の導入又は複数の導入の形態とすることができる。例えば、各混合物は、約2回以上、約3、4、又は5回以上など、1回以上基材に導入することができる。乾燥及び/又は硬化は、例えば、各導入の前、最中、並びに/若しくはその後、又は2つ以上の導入後に、選択された間隔で実施することができる。各混合物は、基材の片面又は2つ以上の面に導入することができる。
【0070】
動作420、440、及び460は、基材を乾燥及び/又は硬化させることを含む。基材は、基材への混合物の各導入前、最中、及び/又はその後に乾燥又は硬化させることができる。乾燥/硬化のための温度は、例えば、溶媒の十分な除去を提供するように選択される。乾燥/硬化温度は、約50℃~約150℃、約60℃~約100℃、約70℃~約90℃、約75℃~約85℃など、約150℃未満とすることができる。少なくとも1つの実施形態では、乾燥/硬化温度は、約70℃~約90℃である。いくつかの実施形態では、動作420、440、及び460の乾燥/硬化の持続時間は、少なくとも約2分、約5分~約10時間、約30分~約5時間、約1時間~約4時間、約2時間~約3時間など、少なくとも約30秒である。少なくとも1つの実施形態では、乾燥/硬化は、約1分~約1時間の持続時間にわたって実施することができる。
【0071】
乾燥/硬化のための1つ以上の方法が採用され得、これらの方法には、オーブン乾燥、熱風乾燥、方向性アシスト付き熱風乾燥、及び/又は短波乾燥が含まれる。個々の層、例えば、第1の層130、第2の層135、及び第3の層140の所望の厚さに応じて、乾燥/硬化動作は、上記の温度及び持続時間で実施することができる。硬化及び/又は乾燥のために、より高い又はより低い温度、並びにより長い又はより短い持続時間が企図される。乾燥/硬化動作は、1つ以上のオーブン/硬化装置で実施することができる。
【0072】
下記の実施例は、当業者に、本開示の態様を作製及び使用する方法の完全な開示及び説明を提供するために提示されており、本開示の実施形態の範囲を限定することを意図するものではない。使用される数(例えば、量、寸法など)に関する精度を確保する努力がなされているが、いくつかの実験誤差及び偏差を考慮するべきである。
【実施例0073】
HDTは、HDT試験機を使用してISO75に従って、1.8MPaで約80mm×10mm×4mmの寸法を有する試験片を使用して測定される。引張強度は、万能引張機を使用してISO527に従って、75mmゲージ長を有する試験片を使用して測定される。曲げ強度は、IS0178規格に従って、寸法((80mm×10mm×4mm)±0.2mm)を有する試験片を使用して測定される。ノッチ付き衝撃強度は、シャルピー衝撃強度試験機を使用して、ISO179/1eAに従って、半径0.25mmのノッチ深さを有する、約80mm×10mm×4mmの寸法を有する試料を使用して測定される。
【0074】
表面粗さは、ISO4287:1997に従って、ミツトヨ表面プロフィロメトリー(モデル:Surftest SJ-410)を使用して、異なる5ヶ所で測定される。擦傷可視荷重及び擦傷幅は、ISO4586-2規格に従って室温で、Taber剪断/擦傷試験機(モデル:551)から得られる。得られた擦傷幅を使用して、擦傷硬度を計算した。ショアD硬度は、チェックラインショアDデュロメータ(モデル:OS-1-E)を使用してISO868に従って決定される。熱伝導率は、ホットディスク(登録商標)TPS2500S熱定数分析装置を使用して、ISO22007-2に従って決定される。静電放電(ESD)静電圧は、ANSI/ESD S20.20に従って、静的センサ(モデル:SCS718静的センサ)を使用して決定される。静的センサは、被試験材料から1インチ又は2.5cmの距離に配設され、静電圧が測定される。全ての測定は、HDT測定を除いて室温で行われる。
【0075】
例えば、メモリデバイス又は電子製品の少なくとも一部を封入するために利用される従来のハウジングの第1の構成要素105(例えば、熱可塑性物質+生分解性充填剤又はポリマー)及び比較例(C.Ex.)の非限定的な例を表1に示す。
【0076】
実施例1(Ex.1)は、Daicel Miraizu Ltd.,Japanから入手したセルロース長繊維補強ポリプロピレンプラスチック(Plastron PPRF40-02-(L7))である。比較例1は、様々な従来のPC樹脂、PC/ABS樹脂、及びABS樹脂の特性を含む。PC樹脂としては、Teijin Ltd.,から市販されているPanlite(登録商標)L1225L、LG Chem.,から市販されているLupoy(登録商標)PC1301EP-30、及びCovestro AGから市販されているMakrolon(登録商標)2407が挙げられ、PC/ABS樹脂は、Sabic Innovative Plasticsから市販されているCycoloy(登録商標)C9250であり、ABSポリマーは、Toray Plasticsから市販されているABS Toyolac(登録商標)700UL94-HBである。
【表1】
【0077】
表1は、例えば、メモリデバイスの一部を封入するための例示的な物品の第1の構成要素として利用される例示的なハイブリッドプラスチック材料(実施例1)が、従来のエンクロージャよりも高い生分解性含有量、並びに改善された熱的及び機械的特性を有することを示す。表はまた、例示的なハイブリッドプラスチック材料が、SSD、HDD、RPGエンクロージャ製品、RPG、SSD、HDDパッケージ、ラップトップケーシング、キーボードケーシング、又は他の電気及び電子商品に適していることも示す。
【0078】
表2は、例えば、プライマー、例示的なベースコート、及び例示的なトップコートに利用される様々な非限定的で例示的な配合物を示す。例示的なプライマー、例示的なベースコート、及び例示的なトップコートは、例えば、メモリデバイス又は電子製品の少なくとも一部を封入するための物品の第2の構成要素120の一部とすることができ、第1の層130は、例示的なプライマーであり、第2の層135は、例示的なベースコートであり、第3の層140は、例示的なトップコートである。各例示的なプライマーのプライマー(実施例2~4)、各例示的なベースコート(実施例5~8)、及び各例示的なトップコート(実施例9~12)の層の数は、それぞれ、1層、1層、及び1層であった。
【0079】
各プライマー、ベースコート、及びトップコートの例に使用された混合物を、表に従って作製し、工業用塗料撹拌機を使用して混合し、次いで、自動/ロボットスプレーガンを使用して、第1の構成要素上に約5~10秒間スプレーし、その後、約80℃で約30分間乾燥させた。各ベースコートの例に使用された混合物を表に従って作製し、混合し、次いで、第1の構成要素上に約5~10秒間スプレーし、その後、約80℃で約30分間乾燥させた。各トップコートの例の混合物を表に従って作製し、混合し、次いで、第1の構成要素上に約5~10秒間スプレーし、その後、約80℃で約30分間乾燥させた。例示的なハイブリッドプラスチックは、表1に示される例である。
【0080】
表2では、PC/ABSは、1.14g/cm3の密度を有するポリカーボネート/アクリロニトリル-ブタジエンスチレンを指し、POMは、1.83g/cm3の密度を有するポリオキシメチレン系材料を指し、PBTは、1.61g/cm3の密度を有するポリブチレンテレフタレート系材料を指し、ナイロンは、1.42g/cm3--の密度を有するポリアミド66/6T系材料を指す。
【0081】
PC/ABS、POM、PBT、及びナイロン系樹脂は、Covestro、及びOtsuka Chemical Co.Ltd.からそれぞれ、Bayblend T85 XF、Poticon AT68B、Poticon OB30、及び Poticon NT863の商品名で市販されている。塗料Aは、合成樹脂、イソブチルアルコール、トルエン又はケトン、及びシリカ又はTiO
2粒子などの添加剤を含有する1部材料である。塗料C、及びDは、成分の重量パーセントが異なるアクリルウレタン系樹脂、セロソルブ、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、TiO
2粒子、酢酸塩、及び/又はケトン系材料を含有する。シンナーBは、表2に提供されるように、塗料C又はDと混合される、成分の重量パーセントが異なる酢酸塩、乳酸塩、キシレン、メタノール、エタノール、アセトン、及び/又はトルエンを含有する。硬化剤B及びCは、表2に提供されるように、塗料C又はD及びシンナーBとそれぞれ混合される、成分の重量パーセントが異なるポリアクリレート、イソシアネートプレポリマー、無水物、酢酸塩、フェノール、及び/又はアミンを含有する。塗料Aは、Musashi Paint Corporation Sdn Bhd.からMulti primer EXC-3000として市販されており、塗料C及びDは、Musashi Paint Corporation Sdn Bhd.から商業コードEC-P79-J-01437、EC-GPX79-J21-01737で入手可能であり、シンナーBは、Musashi Paint Corporation Sdn Bhd.から商業コードEC-K775で入手可能であり、硬化剤B、及びCは、Musashi Paint Corporation Sdn Bhd.から商業コードEC-H-330UN、及びEC-H-250UNでそれぞれ、入手可能である。
【表2】
【0082】
表3は、例えば、メモリデバイス又は電子製品の少なくとも一部を封入するために利用され得る、例示的な物品の第1の構成要素105の表面上に配置され得る非限定的で例示的なコーティング(例えば、第2の構成要素120)を示す。表3に示される例示的なコーティング(実施例13)の場合、プライマーを表に示される比率に従って作製し、混合し、例示的なハイブリッドプラスチック基材(例えば、表1に示される実施例1)上に約4~5秒間スプレーした。次いで、基材を約80℃で約30分間乾燥させた。次いで、結果として得られた基材に、表に従って作製されたベースコートを約7~8秒間スプレーし、その後、約80℃で約30分間乾燥させた。次いで、結果として得られた基材に、表に従って作製されたトップコートを約7~8秒間スプレーし、その後、約80℃で約30分間乾燥させた。
【表3】
【0083】
表4は、例えば、メモリデバイスを封入するために利用され得る、例示的な物品(実施例14及び実施例15)の様々な特性及び特徴を示す。例示的な物品(実施例14)は、表3に示されるように、例示的なコーティングを有するハイブリッドプラスチック材料(実施例1として表1に示される)を含む。実施例15は、コーティングのない、実施例1として表1に示されるハイブリッドプラスチック材料である。2つの従来のエンクロージャの特性もまた、比較例(C.Ex.)2及び3として示される。比較例は、異なる表面テクスチャを有するポリカーボネート(PC)で作製されている。比較例2は、Panlite(登録商標)L1225Lであり、比較例3は、Songhan Plastic Technology Co.Ltd.,から、Kingfa(登録商標)JH820改質ポリカーボネートの商品名で市販されているポリカーボネート樹脂である。
【表4】
【0084】
表4は、実施例14が比較例よりも改善された擦傷可視性荷重及び擦傷硬度を有することを示す。ここで、実施例14のより高い擦傷可視荷重及び擦傷硬度は、比較例よりも耐擦傷性がより高いことを示す。ショアD硬度も改善され、例示的な物品が比較例に対してより良好な強度、靭性、及び剛性を有することを示す。
【0085】
更に、実施例14の静電放電(ESD)静電圧は、ポリカーボネートの比較例よりも著しく改善されており、ESDは、約1900V以上から約10V未満まで低減された。加えて、実施例14は、比較例よりも改善された熱伝導率を示し、例示的な物品がより良好な熱伝達能力を有することを示す。
【0086】
本明細書に記載の実施形態は、概して、例えば、メモリデバイス又は電子デバイスのためのハウジング、エンクロージャ、及びパッケージ、並びにそのようなハウジング、エンクロージャ、及びパッケージを形成するためのプロセスに関する。ハウジング、エンクロージャ、及びパッケージは、再生利用可能かつ生分解性含有量の両方を含有する耐擦傷性ハイブリッドプラスチック材料で作製することができ、従来のハウジングに対して、改善された耐擦傷性、機械的、熱的、及び低減されたESD特性を有することを特徴とすることができる。
【0087】
本明細書で使用されるとき、「組成物」には、組成物の成分及び/又は組成物の2つ以上の成分の反応生成物を含めることができる。本開示の組成物は、任意の好適な混合プロセスによって調製することができる。
【0088】
前述では、本開示の実施形態を参照する。しかしながら、本開示は、具体的に説明される実施形態に限定されないことを理解されたい。その代わりに、以下の特徴及び要素の任意の組み合わせが、異なる実施形態に関連するか否かに関わらず、本開示を実施及び実践すると企図される。更に、本開示の実施形態は、他の可能な解決策に勝る、及び/又は先行技術に勝る利点を達成し得るが、特定の利点が所与の実施形態によって達成されるか否かは、本開示を限定するものではない。したがって、前述の実施形態、態様、特徴、及び利点は、単なる例示に過ぎず、請求項に明示的に記載されている場合を除いて、添付の特許請求の範囲の要素又は限定と見なされない。同様に、「本開示」への言及は、本明細書に開示される任意の発明の主題の一般化として解釈されるものではなく、請求項に明示的に記載されている場合を除いて、添付の特許請求の範囲の要素又は限定であると見なされるべきではない。
【0089】
本開示の目的では、特に明記しない限り、本明細書の詳細な説明及び特許請求の範囲内の全ての数値は、示された値の「約」又は「およそ」によって修飾され、当業者によって予想される実験誤差及び変動を考慮する。簡潔にするために、ある特定の範囲のみが本明細書に明示的に開示されている。しかしながら、任意の下限からの範囲は、明示的に列挙されていない範囲を列挙するために任意の上限と組み合わされてもよく、同様に、任意の下限からの範囲は、明示的に列挙されていない範囲を列挙するために任意の他の下限と組み合わされてもよく、同じ方法で、任意の上限からの範囲が、明示的に列挙されていない範囲を列挙するために任意の他の上限と組み合わされてもよい。加えて、範囲内では、明示的に列挙されていなくても、その終点間の全ての点又は個々の値が含まれる。したがって、全ての点又は個々の値は、明示的に列挙されていない範囲を列挙するために、任意の他の点又は個々の値又は任意の他の下限又は上限と組み合わされた独自の下限又は上限として機能し得る。
【0090】
本明細書で使用されるとき、不定冠詞「a」又は「an」は、別段の指定がない限り、又は文脈に別途明確に示されていない限り、「少なくとも1つの」を意味するものとする。
【0091】
上記は本開示の実施形態を目的とするが、本開示の他の及び更なる実施形態が、その基本的範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。