(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035852
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】フルオロオレフィン分解装置およびフルオロオレフィン検知装置
(51)【国際特許分類】
B01J 23/58 20060101AFI20230306BHJP
B01J 23/66 20060101ALI20230306BHJP
B01J 23/652 20060101ALI20230306BHJP
B01J 23/78 20060101ALI20230306BHJP
B01J 23/86 20060101ALI20230306BHJP
B01J 23/656 20060101ALI20230306BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B01J23/58 M
B01J23/66 M
B01J23/652 M
B01J23/78 M
B01J23/86 M
B01J23/656 M
G01N27/416 311G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112718
(22)【出願日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2021141866
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達也
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169BA03A
4G169BA03B
4G169BA15A
4G169BA15B
4G169BC09A
4G169BC09B
4G169BC10A
4G169BC10B
4G169BC33A
4G169BC33B
4G169BC58A
4G169BC58B
4G169BC62A
4G169BC62B
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BC70A
4G169BC70B
4G169BC71A
4G169BC71B
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169CA10
4G169CA19
4G169CD08
4G169DA06
4G169EA03Y
4G169FA02
4G169FB14
4G169FB30
4G169FC08
(57)【要約】
【課題】フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることが可能なフルオロオレフィン検知装置を提供する。
【解決手段】このフルオロオレフィン検知装置100は、フルオロオレフィンが水素原子を含む分子、例えば水分子が関与して触媒反応するためのフルオロオレフィン分解部30と、フルオロオレフィン分解部30によりフルオロオレフィンが触媒反応することにより発生した被検知ガスG中の成分を検知するガス検知部40と、を備える。フルオロオレフィン分解部30は、フルオロオレフィンが水素原子を含む分子、例えば水分子が関与して触媒反応するための触媒31bを有する触媒筒31と、触媒反応を引き起こすための加熱機構32と、を含む。触媒31bは、アルカリ土類金属シリケートを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するための触媒を有する触媒部と、
触媒反応を引き起こすための加熱機構と、を備え、
前記触媒は、アルカリ土類金属シリケートを含む、フルオロオレフィン分解装置。
【請求項2】
前記触媒は、前記アルカリ土類金属シリケートとして、シリカと、マグネシウムと、カルシウムとを含む、請求項1に記載のフルオロオレフィン分解装置。
【請求項3】
前記触媒は、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項2に記載のフルオロオレフィン分解装置。
【請求項4】
前記触媒は、50質量%以上のシリカと、10質量%以上30質量%以下のマグネシアおよびカルシアとを、合計が100質量%を超えない範囲で含む、請求項1に記載のフルオロオレフィン分解装置。
【請求項5】
前記触媒は、0.2質量%以上15質量%以下の、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つを、合計が100質量%を超えない範囲でさらに含む、請求項4に記載のフルオロオレフィン分解装置。
【請求項6】
前記触媒は、10質量%以下の白金と、10質量%以下のコバルトとのうちの少なくとも一方を、合計が100質量%を超えない範囲でさらに含む、請求項4に記載のフルオロオレフィン分解装置。
【請求項7】
前記触媒は、1質量%以上11質量%以下の白金およびコバルトを、合計が100質量%を超えない範囲でさらに含む、請求項4に記載のフルオロオレフィン分解装置。
【請求項8】
前記加熱機構は、140℃以上500℃以下の温度範囲において、前記触媒を加熱するように構成されている、請求項1に記載のフルオロオレフィン分解装置。
【請求項9】
フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するためのフルオロオレフィン分解部と、
前記フルオロオレフィン分解部により前記フルオロオレフィンが触媒反応することにより発生した被検知ガス中の成分を検知するガス検知部と、を備え、
前記フルオロオレフィン分解部は、
前記フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するための触媒を有する触媒部と、
触媒反応を引き起こすための加熱機構と、を含み、
前記触媒は、アルカリ土類金属シリケートを含む、フルオロオレフィン検知装置。
【請求項10】
前記ガス検知部は、電気化学式のガス検知部を含む、請求項9に記載のフルオロオレフィン検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フルオロオレフィン分解装置およびフルオロオレフィン検知装置に関し、特に、触媒によりフルオロオレフィンを触媒反応させるフルオロオレフィン分解装置およびフルオロオレフィン検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程のドライエッチングガスとして、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン(鎖状フルオロオレフィン)やオクタフルオロシクロペンテン(環状フルオロオレフィン)が知られている。ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンは、1,3-ブタジエンの水素が全てフッ素に置き換わった分子構造である。1,3-ブタジエンは、日本産業衛生学会において、発がん性分類第1群に分類され、人に対して遺伝毒性の誘発が示唆されており、発がん性があると判断されている。また、ACGIH(アメリカ合衆国産業衛生専門議会)では、TWA(時間加重平均値)は2ppmとなっている。そこで、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンやオクタフルオロシクロペンテンは、電気陰性度の大きいフッ素原子によって、二つの二重結合の電子密度が低い状態にあり、電子供与性物質と反応しやすい性質を持つ。ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンは、1,3-ブタジエンとは化学的性質が異なるが、人に対して毒性を示すことが予想されることから、適切に検知される必要がある。また、同様にオクタフルオロシクロペンテンも適切に検知される必要がある。
【0003】
そこで、従来、触媒によりフルオロオレフィンを触媒反応させるフルオロオレフィン検知装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1には、触媒によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させるヘキサフルオロブタジエン測定装置(フルオロオレフィン検知装置)が開示されている。このヘキサフルオロブタジエン測定装置は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを熱分解してフッ化水素を発生させる熱分解炉と、熱分解炉で発生したフッ化水素と反応して呈色する検知紙とを備えている。また、この熱分解炉は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させるための金および白金などの酸化性触媒を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させるために白金および金などの酸化性触媒を用いている。ここで、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの二重結合の電子吸引性を考慮すれば、塩基性触媒を含む触媒材料で効率よく触媒反応させることが望まれる。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることが可能なフルオロオレフィン分解装置およびフルオロオレフィン検知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、鋭意検討した結果、本願発明者は、電子を付与する性質を有する塩基性のアルカリ土類金属シリケートを含む触媒が、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることができるという新たな知見を得た。すなわち、この発明の第1の局面によるフルオロオレフィン分解装置は、フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するための触媒を有する触媒部と、触媒反応を引き起こすための加熱機構と、を備え、触媒は、アルカリ土類金属シリケートを含む。
【0009】
この発明の第1の局面によるフルオロオレフィン分解装置では、上記のように、触媒を、アルカリ土類金属シリケートを含むように構成する。これにより、アルカリ土類金属シリケートを含む触媒は塩基性触媒であるため、電子不足の二重結合を有するフルオロオレフィンに対して、触媒反応を容易に引き起こすことができる。その結果、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることが可能なフルオロオレフィン分解装置を提供することができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0010】
上記第1の局面によるフルオロオレフィン分解装置において、好ましくは、触媒は、アルカリ土類金属シリケートとして、シリカと、マグネシウムと、カルシウムとを含む。このように構成すれば、アルカリ土類金属シリケートとして、シリカと、マグネシウムと、カルシウムとを含む触媒により、触媒反応を容易に引き起こすことができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0011】
この場合、好ましくは、触媒は、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つをさらに含む。このように構成すれば、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つにより、触媒反応を促進することができるので、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つを含む触媒により、触媒反応を容易に引き起こすことができる。その結果、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つの添加触媒により、フルオロオレフィンをより効率よく触媒反応させることができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0012】
上記第1の局面によるフルオロオレフィン分解装置において、好ましくは、触媒は、50質量%以上のシリカと、10質量%以上30質量%以下のマグネシアおよびカルシアとを、合計が100質量%を超えない範囲で含む。このように構成すれば、50質量%以上のシリカ(二酸化ケイ素:SiO2)と、10質量%以上30質量%以下のマグネシア(酸化マグネシウム:MgO)およびカルシア(酸化カルシウム:CaO)とを含むことにより、触媒を塩基性触媒として用いることができるので、触媒反応を容易に引き起こすことができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0013】
この場合、好ましくは、触媒は、0.2質量%以上15質量%以下の、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つを、合計が100質量%を超えない範囲でさらに含む。このように構成すれば、0.2質量%以上15質量%以下の、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つにより、触媒反応を促進することができるので、0.2質量%以上15質量%以下の、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つを含む触媒により、触媒反応を容易に引き起こすことができる。その結果、0.2質量%以上15質量%以下の、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つの添加触媒により、フルオロオレフィンをより効率よく触媒反応させることができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0014】
上記触媒が50質量%以上のシリカと、10質量%以上30質量%以下のマグネシアおよびカルシアとを含む構成において、好ましくは、触媒は、10質量%以下の白金と、10質量%以下のコバルトとのうちの少なくとも一方を、合計が100質量%を超えない範囲でさらに含む。このように構成すれば、10質量%以下の白金と、10質量%以下のコバルトとのうちの少なくとも一方により、触媒反応を促進することができるので、10質量%以下の白金と、10質量%以下のコバルトとのうちの少なくとも一方を含む触媒により、触媒反応を容易に引き起こすことができる。その結果、10質量%以下の白金と、10質量%以下のコバルトとのうちの少なくとも一方の添加触媒により、フルオロオレフィンをより効率よく触媒反応させることができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0015】
上記触媒が50質量%以上のシリカと、10質量%以上30質量%以下のマグネシアおよびカルシアとを含む構成において、好ましくは、触媒は、1質量%以上11質量%以下の白金およびコバルトを、合計が100質量%を超えない範囲でさらに含む。このように構成すれば、1質量%以上11質量%以下の白金およびコバルトにより、触媒反応を促進することができるので、1質量%以上11質量%以下の白金およびコバルトを含む触媒により、触媒反応を容易に引き起こすことができる。その結果、1質量%以上11質量%以下の白金およびコバルトの添加触媒により、フルオロオレフィンをより効率よく触媒反応させることができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0016】
上記第1の局面によるフルオロオレフィン分解装置において、好ましくは、加熱機構は、140℃以上500℃以下の温度範囲において、触媒を加熱するように構成されている。このように構成すれば、加熱温度を140℃以上500℃以下とすることにより、アルカリ土類金属シリケートを含む触媒により、触媒反応を容易に引き起こすことができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0017】
この発明の第2の局面によるフルオロオレフィン検知装置は、フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するためのフルオロオレフィン分解部と、フルオロオレフィン分解部によりフルオロオレフィンが触媒反応することにより発生した被検知ガス中の成分を検知するガス検知部と、を備え、フルオロオレフィン分解部は、フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するための触媒を有する触媒部と、触媒反応を引き起こすための加熱機構と、を含み、触媒は、アルカリ土類金属シリケートを含む。
【0018】
この発明の第2の局面によるフルオロオレフィン検知装置では、上記のように、触媒を、アルカリ土類金属シリケートを含むように構成する。これにより、第1の局面によるフルオロオレフィン分解装置と同様に、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることが可能なフルオロオレフィン検知装置を提供することができる。
【0019】
上記第2の局面によるフルオロオレフィン検知装置において、好ましくは、ガス検知部は、電気化学式のガス検知部を含む。このように構成すれば、電気化学式のガス検知部により、フルオロオレフィン分解部によりフルオロオレフィンが触媒反応されることにより発生した被検知ガス中の成分を容易に検知することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態によるフルオロオレフィン検知装置を示した模式図である。
【
図2】ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンとオクタフルオロシクロペンテンを示した図である。
【
図3】実施例1による実験結果(Pt/AES触媒)を示したグラフである。
【
図4】実施例2による実験結果(Ru/AES触媒)を示したグラフである。
【
図5】実施例3による実験結果(Pt-Ru/AES触媒)を示したグラフである。
【
図6】実施例4による実験結果(Pt-Rh/AES触媒)を示したグラフである。
【
図7】実施例5による実験結果(Au-Rh/AES触媒)を示したグラフである。
【
図8】実施例6による実験結果(Pt-Cr/AES触媒)を示したグラフである。
【
図9】実施例7による実験結果(Pt-Ru-Rh/AES触媒)を示したグラフである。
【
図10】実施例8による実験結果(Au-Ru-Rh/AES触媒)を示したグラフである。
【
図11】実施例9による実験結果(Pt-Co/AES触媒 Pt:Co=1:1)を示したグラフである。
【
図12】実施例9による実験結果(Pt-Co/AES触媒 Pt:Co=1:1)を示したグラフである。
【
図13】実施例10による実験結果(Pt-Co/AES触媒 Pt:Co=1:2)を示したグラフである。
【
図14】実施例10による実験結果(Pt-Co/AES触媒 Pt:Co=1:2)を示したグラフである。
【
図15】実施例11による実験結果(Pt-Co/AES触媒 Pt:Co=2:1)を示したグラフである。
【
図16】実施例11による実験結果(Pt-Co/AES触媒 Pt:Co=2:1)を示したグラフである。
【
図17】実施例12による実験結果(触媒温度と指示値との関係)を示したグラフである。
【
図18】実施例13による実験結果(Ru-Fe-Cr/AES触媒)を示したグラフである。
【
図19】実施例14による実験結果(Ru-Pd-Ni/AES触媒)を示したグラフである。
【
図20】実施例15による実験結果(Pt-Ru-Pd-Mn/AES触媒)を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
まず、
図1を参照して、一実施形態によるフルオロオレフィン検知装置100の構成について説明する。
【0024】
(フルオロオレフィン検知装置の全体構成)
図1に示すように、フルオロオレフィン検知装置100は、フルオロオレフィンを触媒反応させるとともに、フルオロオレフィンが触媒反応されることにより発生した被検知ガス中の成分を検知する装置である。フルオロオレフィン検知装置100は、たとえば、分析試料中のフルオロオレフィンの検知、雰囲気中のフルオロオレフィンの検知などに用いることができる。具体例としては、フルオロオレフィン検知装置100は、半導体製造工程のドライエッチングガスとして用いられるヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン(C
4F
6)やオクタフルオロシクロペンテン(C
5F
8)などのフルオロオレフィンの検知に用いられる。
【0025】
触媒反応対象のフルオロオレフィンは、二重結合で結合された炭素原子にフッ素原子が結合したフッ素化合物であり、アルケンの水素原子が全てもしくは一部フッ素原子で置換された化合物である。また、触媒反応対象のフルオロオレフィンは、鎖状フルオロオレフィンまたは環状フルオロオレフィンである。また、
図2に示すように、触媒反応対象のフルオロオレフィンは、電気陰性度が大きいフッ素原子により炭素原子の二重結合の電子が引っ張られているため、炭素原子の二重結合の電子が不足状態(電子密度が低い状態)となっている。また、電子不足の二重結合は、電子を補おうとする化学的性質を有しているため、塩基性触媒に対して反応しやすい。なお、
図2では、便宜上、フルオロオレフィンのうち、鎖状フルオロオレフィンの一例であるヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン(C
4F
6)を示すとともに、環状フルオロオレフィンの一例であるオクタフルオロシクロペンテン(C
5F
8)を示している。触媒反応対象のフルオロオレフィンは、特に限られないが、たとえば、C
4F
6(ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン)、C
4F
8、C
5F
8、C
6F
8、C
6F
10、C
5F
8、および、C
6F
6などである。また、C
4F
8、C
5F
8、C
6F
8、C
6F
10、C
5F
8、および、C
6F
6は、たとえば、以下の化学式の化合物である。
【化1】
【0026】
図1に示すように、フルオロオレフィン検知装置100は、流量制御部10と、ポンプ20と、フルオロオレフィン分解部30と、ガス検知部40とを備えている。流量制御部10と、フルオロオレフィン分解部30と、ガス検知部40と、ポンプ20とは、被検知ガスG(分析試料のガス、雰囲気中のガスなど)の流れ方向の上流側から下流側に向かって、ガス流路50により、この順に流体的に接続されている。なお、各構成の接続順は、フルオロオレフィン分解部30と、ガス検知部40とがこの順に接続されていれば、特に限られない。また、フルオロオレフィン分解部30は、特許請求の範囲の「フルオロオレフィン分解装置」の一例である。
【0027】
流量制御部10は、たとえばマスフローコントローラであり、被検知ガスGの流量を制御するように構成されている。フルオロオレフィン検知装置100は、流量制御部10による被検知ガスGの流量の制御により、定流量の被検知ガスGが流れるように構成されている。ポンプ20は、被検知ガスGがガス流路50を介してフルオロオレフィン分解部30による圧力損失を生じた場合、ガス検知部40の内蔵ポンプを補助するための駆動源である。
【0028】
フルオロオレフィン分解部30は、被検知ガスG中の鎖状フルオロオレフィンに水素原子を含む分子、例えば水分子を関与させて触媒反応させるように構成されている。具体的には、フルオロオレフィン分解部30は、触媒筒31と、加熱機構32とを含んでいる。触媒筒31は、筒本体31aと、触媒31bとを有している。筒本体31aは、たとえば、アルミナ管、石英管などである。筒本体31aは、中空の円筒形状を有している。筒本体31aには、触媒31bが充填されている。触媒31bは、被検知ガスG中のフルオロオレフィンが水素原子を含む分子、例えば水分子が関与した触媒反応するために設けられている。触媒反応は、たとえば、以下の式(1)~(3)に示すようなフルオロオレフィンの水蒸気改質反応を含んでいる。本実施形態のフルオロオレフィン検知装置100は、フルオロオレフィンの水蒸気改質反応により発生するフッ化水素(化学組成:HF)を検知する。なお、以下の式(1)~(3)では、便宜上、フルオロオレフィンののうちのC4F6の反応を示している。また、触媒筒31は、特許請求の範囲の「触媒部」の一例である。
C4F6+4H2O→6HF+4CO+H2 ・・・(1)
C4F6+8H2O→6HF+4CO2+5H2 ・・・(2)
C4F6+6H2O→6HF+2CO+2CO2+3H2 ・・・(3)
【0029】
ここで、本実施形態では、触媒31bは、塩基性材料であるアルカリ土類金属シリケートを含んでいる。触媒31bは、フルオロオレフィンの触媒反応を促進する観点から、塩基性を示す材料であることが好ましい。たとえば、触媒31bは、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属酸化物、希土類酸化物、酸化トリウム(IV)(化学組成:ThO2)、ジルコニア(化学組成:ZrO2)、酸化亜鉛(化学組成:ZnO)、セピオライト(化学組成:Mg4Si12O30(OH)4(OH2)4・8H2O)、ハイドロタルサイト(化学組成:Mg6Al2CO3(OH)16・4H2O)、クリソタイル(化学組成:Mg3(Si2O5)(OH)4)などを含んでいても良い。また、両性を示す材料として、酸化鉄を含んでいても良い。具体的には、マグネタイト(化学組成:Fe2+Fe3+2O4),ヘマタイト(化学組成:Fe2O3,α-Fe2O3),マグへマイト(化学組成:Fe2O3,γ-Fe2O3)を挙げることができる。好ましくは、触媒31bは、アルカリ土類金属シリケートとして、シリカ(化学組成:SiO2)と、マグネシウム(化学組成:Mg)と、カルシウム(化学組成:Ca)とを含んでいる。より好ましくは、触媒31bは、触媒反応を促進する金属として、白金(化学組成:Pt)と、金(化学組成:Au)と、ロジウム(化学組成:Rh)と、ルテニウム(化学組成:Ru)と、コバルト(化学組成:Co)と、クロム(化学組成:Cr)と、鉄(化学組成:Fe)と、パラジウム(化学組成:Pd)と、ニッケル(化学組成:Ni)と、マンガン(化学組成:Mn)とのうちの少なくとも1つを含んでいる。触媒31bは、アルカリ土類金属シリケートを担体(母材)とし、アルカリ土類金属シリケートの担体(母材)に触媒反応を促進させる金属を担持させることにより形成されている。
【0030】
また、より好ましくは、触媒31bは、50質量%以上のシリカと、10質量%以上30質量%以下のマグネシア(化学組成:MgO)およびカルシア(化学組成:CaO)とを、合計が100質量%を超えない範囲で含んでいる。より好ましくは、触媒31bは、58質量%以上のシリカと、15質量%以上20質量%以下のマグネシアおよびカルシアとを、合計が100質量%を超えない範囲で含んでいる。より好ましくは、触媒31bは、0.2質量%以上15質量%以下の、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つを、合計が100質量%を超えない範囲で含んでいる。より好ましくは、触媒31bは、10質量%以下の白金と、10質量%以下のコバルトとのうちの少なくとも一方を、合計が100質量%を超えない範囲で含んでいる。より好ましくは、触媒31bは、1質量%以上11質量%以下の白金およびコバルトを、合計が100質量%を超えない範囲で含んでいる。なお、アルカリ土類金属シリケートを含む触媒31bによるフルオロオレフィンの触媒反応の実験については、後述する。
【0031】
また、触媒31bは、無機繊維からなる綿状に形成されている。綿状の触媒31bは、触媒筒31の筒本体31aに充填されている。綿状の触媒31bは、触媒筒31の筒本体31aに充填層を形成するように設けられている。触媒31bの充填層は、両端に配置された触媒31bの保持部材31cにより、触媒筒31の筒本体31aの内部に保持されている。保持部材31cは、たとえば、石英ウールである。なお、保持部材31cは、触媒31bを保持するための部材で、加熱機構32の温度に耐えうる材料であれば限定されることは無い。
【0032】
加熱機構32は、触媒反応を引き起こすために触媒筒31を加熱するように構成されている。具体的には、加熱機構32は、加熱部32aと、断熱部32bとを含んでいる。加熱部32aは、触媒筒31の筒本体31aを介して、触媒31bを加熱するように構成されている。加熱部32aは、たとえば、電熱線である。電熱線である加熱部32aは、たとえば、触媒筒31の筒本体31aを隔てて触媒31bを取り囲むように、コイル状に形成されている。なお、電熱線の形状は、加熱機構32の温度を一定に保つことができれば限定されることは無い。加熱部32aは、触媒31bの充填層の一方端部から他方端部に亘って、触媒31bの充填層と対向するように設けられている。すなわち、加熱部32aは、触媒31bの充填層の一方端部から他方端部に亘って、触媒31bを加熱するように構成されている。断熱部32bは、断熱材料により構成されており、加熱部32aと触媒筒31の触媒31bとを取り囲むように設けられている。断熱部32bの断熱材料は、たとえば、生体溶解性繊維断熱材料である。
【0033】
加熱機構32は、好ましくは、140℃以上500℃以下の温度範囲において、加熱部32aにより触媒筒31を加熱するように構成されている。より好ましくは、加熱機構32は、260℃以上360℃以下の温度範囲において、加熱部32aにより触媒筒31を加熱するように構成されている。また、加熱機構32は、略一定の温度になるように、加熱部32aにより触媒筒31を加熱するように構成されている。触媒筒31が略一定の温度になるような加熱は、特に限られないが、たとえば、図示しない温度検知部による温度の検知結果に基づいて、PID制御などのフィードバック制御により加熱機構32の加熱部32aを制御することにより行うことが可能である。
【0034】
ガス検知部40は、フルオロオレフィン分解部30によりフルオロオレフィンが触媒反応されることにより発生した被検知ガスG中の成分(フッ化水素)を検知するように構成されている。ガス検知部40は、電気化学式のガス検知部(電気化学式のセンサ)を含んでいる。具体的には、ガス検知部40は、フッ化水素の検知に好適な定電位電解式のガス検知部(定電位電解式のセンサ)を含んでいる。フルオロオレフィン検知装置100は、ガス検知部40によりフルオロオレフィンが触媒反応されることにより発生した被検知ガスG中の成分(フッ化水素)を検知することにより、フルオロオレフィンを間接的に検知するように構成されている。なお、ガス検知部40は、被検知ガスGを流すためのポンプを内蔵するように構成されている。
【0035】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0036】
本実施形態では、上記のように、触媒31bを、アルカリ土類金属シリケートを含むように構成する。これにより、アルカリ土類金属シリケートを含む触媒31bは塩基性触媒であるため、電子不足の二重結合を有するフルオロオレフィンに対して、触媒反応を容易に引き起こすことができる。その結果、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0037】
また、本実施形態では、上記のように、触媒31bは、アルカリ土類金属シリケートとして、シリカと、マグネシウムと、カルシウムとを含む。これにより、アルカリ土類金属シリケートとして、シリカと、マグネシウムと、カルシウムとを含む触媒31bにより、触媒反応を容易に引き起こすことができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0038】
また、本実施形態では、上記のように、触媒31bは、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つをさらに含む。これにより、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つにより、触媒反応を促進することができるので、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つを含む触媒31bにより、触媒反応を容易に引き起こすことができる。その結果、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つの添加触媒により、フルオロオレフィンをより効率よく触媒反応させることができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0039】
また、本実施形態では、上記のように、触媒31bは、50質量%以上のシリカと、10質量%以上30質量%以下のマグネシアおよびカルシアとを、合計が100質量%を超えない範囲で含む。これにより、50質量%以上のシリカ(二酸化ケイ素:SiO2)と、10質量%以上30質量%以下のマグネシア(酸化マグネシウム:MgO)およびカルシア(酸化カルシウム:CaO)とを含むことにより、触媒31bを塩基性触媒として用いることができるので、触媒反応を容易に引き起こすことができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0040】
また、本実施形態では、上記のように、触媒31bは、0.2質量%以上15質量%以下の、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つを、合計が100質量%を超えない範囲でさらに含む。これにより、0.2質量%以上15質量%以下の、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つにより、触媒反応を促進することができるので、0.2質量%以上15質量%以下の、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つを含む触媒31bにより、触媒反応を容易に引き起こすことができる。その結果、0.2質量%以上15質量%以下の、白金と、金と、ロジウムと、ルテニウムと、コバルトと、クロムと、鉄と、パラジウムと、ニッケルと、マンガンとのうちの少なくとも1つの添加触媒により、フルオロオレフィンをより効率よく触媒反応させることができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0041】
また、本実施形態では、上記のように、触媒31bは、10質量%以下の白金と、10質量%以下のコバルトとのうちの少なくとも一方を、合計が100質量%を超えない範囲でさらに含む。これにより、10質量%以下の白金と、10質量%以下のコバルトとのうちの少なくとも一方により、触媒反応を促進することができるので、10質量%以下の白金と、10質量%以下のコバルトとのうちの少なくとも一方を含む触媒31bにより、触媒反応を容易に引き起こすことができる。その結果、10質量%以下の白金と、10質量%以下のコバルトとのうちの少なくとも一方の添加触媒により、フルオロオレフィンをより効率よく触媒反応させることができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0042】
また、本実施形態では、上記のように、触媒31bは、1質量%以上11質量%以下の白金およびコバルトを、合計が100質量%を超えない範囲でさらに含む。これにより、1質量%以上11質量%以下の白金およびコバルトにより、触媒反応を促進することができるので、1質量%以上11質量%以下の白金およびコバルトを含む触媒31bにより、触媒反応を容易に引き起こすことができる。その結果、1質量%以上11質量%以下の白金およびコバルトの添加触媒により、フルオロオレフィンをより効率よく触媒反応させることができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0043】
また、本実施形態では、上記のように、加熱機構32は、140℃以上500℃以下の温度範囲において、触媒31bを加熱するように構成されている。これにより、加熱温度を140℃以上500℃以下とすることにより、アルカリ土類金属シリケートを含む触媒31bにより、触媒反応を容易に引き起こすことができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0044】
[実施例]
次に、
図3~
図20を参照して、本発明の効果を確認するために行った確認実験(実施例1~15)について説明する。
【0045】
各実施例では、フルオロオレフィン検知装置として、
図1に示すフルオロオレフィン検知装置100を用いた。また、触媒反応対象のフルオロオレフィンとして、半導体製造工程のドライエッチングガスとして用いられるヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンまたはヘキサフルオロシクロペンテンを用いた。また、触媒は、次のように作製した。
【0046】
まず、綿状のアルカリ土類金属シリケート(アルカリ土類金属シリケートウール)を準備した。また、プロピレングリコールと水とを混合した混合溶媒に触媒反応を促進させる金属を含む化合物を溶解した混合溶液を調整した。そして、準備したアルカリ土類金属シリケートウールに、調整した混合溶液を浸み込ませた。そして、混合溶液を浸み込ませたアルカリ土類金属シリケートウールを管状炉で焼成した。これにより、アルカリ土類金属シリケートウールを担体(母材)とし、アルカリ土類金属シリケートウールの担体(母材)に触媒反応を促進させる金属を担持させた触媒を作製した。また、ガス検知部として、定電位電解式のガス検知部を含む、新コスモス電機株式会社のCDS―7(型番)を用いた。
【0047】
(実施例1)
図3に示すように、実施例1の確認実験では、白金と、アルカリ土類金属シリケート(AES:Alkaline Earth Silicate)とを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例1)により、2ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスの検知を行い、指示値(検知量に応じたガス検知部の出力値に対応する値)を得た。また、実施例1では、触媒として、以下の表1に示す触媒を用いた。質量%は、触媒作製時の計量値から計算した。
【表1】
【0048】
実施例1のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構により触媒を220℃に加熱しながら、2ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。
図3に示すグラフは、実施例1のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
図3(および
図4~
図16、
図18~
図20)に示すグラフでは、縦軸がガス検知部の指示値を示し、横軸が時間を示している。なお、
図3(および
図4~
図16、
図18~
図20)に示すグラフにおいて、ガス検知部の指示値が最後に下降しているのは、被検知ガスの流通を停止したためである。
【0049】
図3に示すグラフから分かるように、実施例1のフルオロオレフィン検知装置では、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金と、アルカリ土類金属シリケートとを含む実施例1の触媒によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例1の触媒は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0050】
(実施例2)
図4に示すように、実施例2の確認実験では、ルテニウムと、アルカリ土類金属シリケートとを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例2)により、2ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスの検知を行い、指示値を得た。また、実施例2では、触媒として、以下の表2に示す触媒を用いた。質量%は、触媒作製時の計量値から計算した。
【表2】
【0051】
実施例2のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構により触媒を350℃に加熱しながら、2ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。
図4に示すグラフは、実施例2のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0052】
図4に示すグラフから分かるように、実施例2のフルオロオレフィン検知装置では、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、ルテニウムと、アルカリ土類金属シリケートとを含む実施例2の触媒によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例2の触媒は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0053】
(実施例3)
図5に示すように、実施例3の確認実験では、白金およびルテニウムと、アルカリ土類金属シリケートとを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例3)により、2ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスの検知を行い、指示値を得た。また、実施例3では、触媒として、以下の表3に示す触媒を用いた。質量%は、触媒作製時の計量値から計算した。
【表3】
【0054】
実施例3のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構により触媒を180℃に加熱しながら、2ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。
図5に示すグラフは、実施例3のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0055】
図5に示すグラフから分かるように、実施例3のフルオロオレフィン検知装置では、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金およびルテニウムと、アルカリ土類金属シリケートとを含む実施例3の触媒によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例3の触媒は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0056】
(実施例4)
図6に示すように、実施例4の確認実験では、白金およびロジウムと、アルカリ土類金属シリケートとを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例4)により、1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、および、5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスの検知を行い、指示値を得た。また、実施例4では、触媒として、以下の表4に示す触媒を用いた。質量%は、触媒作製時の計量値から計算した。
【表4】
【0057】
実施例4のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構により触媒を300℃に加熱しながら、1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、および、5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスをそれぞれ流し、ガス検知部の指示値を得た。
図6に示すグラフは、各被検知ガスにおける、実施例4のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0058】
図6に示すグラフから分かるように、実施例4のフルオロオレフィン検知装置では、5つの被検知ガスのいずれにおいても、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金およびロジウムと、アルカリ土類金属シリケートとを含む実施例4の触媒によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例4の触媒は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0059】
また、
図6に示すグラフから分かるように、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。このことから、ガス検知部の指示値から、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度を容易に測定することができると考えられる。また、実施例4の触媒を、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの濃度の測定に容易に用いることができると考えられる。
【0060】
(実施例5)
図7に示すように、実施例5の確認実験では、金およびロジウムと、アルカリ土類金属シリケートとを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例5)により、1ppm、2ppm、3ppm、および、4ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスの検知を行い、指示値を得た。また、実施例5では、触媒として、以下の表5に示す触媒を用いた。質量%は、触媒作製時の計量値から計算した。
【表5】
【0061】
実施例5のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構により触媒を350℃に加熱しながら、1ppm、2ppm、3ppm、および、4ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスをそれぞれ流し、ガス検知部の指示値を得た。
図7に示すグラフは、各被検知ガスにおける、実施例5のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0062】
図7に示すグラフから分かるように、実施例5のフルオロオレフィン検知装置では、4つの被検知ガスのいずれにおいても、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、金およびロジウムと、アルカリ土類金属シリケートとを含む実施例5の触媒によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例5の触媒は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0063】
また、
図7に示すグラフから分かるように、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。このことから、ガス検知部の指示値から、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度を容易に測定することができると考えられる。また、実施例5の触媒を、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの濃度の測定に容易に用いることができると考えられる。
【0064】
(実施例6)
図8に示すように、実施例6の確認実験では、白金およびクロムと、アルカリ土類金属シリケートとを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例6)により、2ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスの検知を行い、指示値を得た。また、実施例6では、触媒として、以下の表6に示す触媒を用いた。質量%は、触媒作製時の計量値から計算した。
【表6】
【0065】
実施例6のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構により触媒を300℃に加熱しながら、2ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。
図8に示すグラフは、実施例6のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0066】
図8に示すグラフから分かるように、実施例6のフルオロオレフィン検知装置では、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金およびクロムと、アルカリ土類金属シリケートとを含む実施例6の触媒によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例6の触媒は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0067】
(実施例7)
図9に示すように、実施例7の確認実験では、白金、ルテニウムおよびロジウムと、アルカリ土類金属シリケートとを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例7)により、0.5ppm、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppm、および、3ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン、並びに、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppm、3ppm、および、4ppmのヘキサフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスの検知を行い、指示値を得た。また、実施例7では、触媒として、以下の表7に示す触媒を用いた。質量%は、触媒作製時の計量値から計算した。
【表7】
【0068】
実施例7のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構により触媒を300℃に加熱しながら、0.5ppm、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppm、および、3ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスをそれぞれ流し、ガス検知部の指示値を得た。また、実施例7のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構により触媒を320℃に加熱しながら、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppm、3ppm、および、4ppmのヘキサフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスをそれぞれ流し、ガス検知部の指示値を得た。
図9に示すグラフは、各被検知ガスにおける、実施例7のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0069】
図9に示すグラフから分かるように、実施例7のフルオロオレフィン検知装置では、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む6つの被検知ガス、および、ヘキサフルオロシクロペンテンを含む6つの被検知ガスのいずれにおいても、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金、ルテニウムおよびロジウムと、アルカリ土類金属シリケートとを含む実施例7の触媒によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンおよびオクタフルオロシクロペンテンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例7の触媒は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンおよびオクタフルオロシクロペンテンの触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0070】
また、
図9に示すグラフから分かるように、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度もしくはオクタフルオロシクロペンテン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、ヘキサフルオロブタジエン濃度もしくはオクタフルオロシクロペンテン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。このことから、ガス検知部の指示値から、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度とオクタフルオロシクロペンテン濃度を容易に測定することができると考えられる。また、実施例7の触媒を、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンとオクタフルオロシクロペンテンの濃度の測定に容易に用いることができると考えられる。
【0071】
また、実施例7の触媒により、干渉ガスの影響を調べた。干渉ガスとしては、半導体製造工程の洗浄剤として想定されるアルコール類のうちのエタノールを用いた。エタノールなどのアルコール類は、触媒反応によりカルボン酸を発生させるおそれがある。そして、カルボン酸がガス検知部により検知されるため、エタノールなどのアルコール類がヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンやオクタフルオロシクロペンテンの測定に干渉するおそれがある。実施例7の触媒では、エタノールによるガス検知部の指示値の上昇を低く抑えることができた。これは、エタノールが触媒反応により完全酸化されることにより、カルボン酸にとどまらず、二酸化炭素および水まで分解されたためであると考えられる。このことから、実施例7の触媒を、エタノールの存在下のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンとオクタフルオロシクロペンテンの測定に容易に用いることができると考えられる。
【0072】
(実施例8)
図10に示すように、実施例8の確認実験では、金、ルテニウムおよびロジウムと、アルカリ土類金属シリケートとを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例8)により、0.5ppm、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppm、3ppm、および、4ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスの検知を行い、指示値を得た。また、実施例8では、触媒として、以下の表8に示す触媒を用いた。質量%は、触媒作製時の計量値から計算した。
【表8】
【0073】
実施例8のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構により触媒を300℃に加熱しながら、0.5ppm、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppm、3ppm、および、4ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスをそれぞれ流し、ガス検知部の指示値を得た。
図10に示すグラフは、各被検知ガスにおける、実施例8のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0074】
図10に示すグラフから分かるように、実施例8のフルオロオレフィン検知装置では、7つの被検知ガスのいずれにおいても、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、金、ルテニウムおよびロジウムと、アルカリ土類金属シリケートとを含む実施例8の触媒によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例8の触媒は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの触媒反応を好適に引き起こすことができると考えられる。
【0075】
また、
図10に示すグラフから分かるように、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。このことから、ガス検知部の指示値から、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度を容易に測定することができると考えられる。また、実施例8の触媒を、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの濃度の測定に容易に用いることができると考えられる。
【0076】
また、実施例8の触媒により、干渉ガスの影響を調べた。干渉ガスとしては、半導体製造工程の洗浄剤として想定されるアルコール類のうちのエタノールを用いた。実施例8の触媒では、エタノールによるガス検知部の指示値の上昇を低く抑えることができた。これは、エタノールが触媒反応により完全酸化されることにより、カルボン酸にとどまらず、二酸化炭素および水まで分解されたためであると考えられる。このことから、実施例8の触媒を、エタノールの存在下のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの測定に好適に用いることができると考えられる。
【0077】
(実施例9)
図11および
図12に示すように、実施例9の確認実験では、白金およびコバルトと、アルカリ土類金属シリケートとを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例9)により、1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、および、5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスの検知を行い、指示値を得た。また、実施例9では、触媒として、以下の表9に示す触媒を用いた。質量%は、触媒作製時の計量値から計算した。また、白金の質量%とコバルトの質量%とが、約1:1になるようにした。
【表9】
【0078】
実施例9のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構により触媒を320℃に加熱しながら、1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、および、5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスをそれぞれ流し、ガス検知部の指示値を得た。
図11および
図12に示すグラフは、触媒ごとの各被検知ガスにおける、実施例9のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0079】
図11および
図12に示すグラフから分かるように、実施例9のフルオロオレフィン検知装置では、5つの触媒のいずれにおいても5つの被検知ガスにおいて、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金およびコバルトと、アルカリ土類金属シリケートとを含む実施例9の各触媒によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例9の各触媒は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0080】
また、
図11および
図12に示すグラフから分かるように、5つの触媒のいずれにおいても、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。このことから、ガス検知部の指示値から、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度を容易に測定することができると考えられる。また、実施例9の各触媒を、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの濃度の測定に好適に用いることができると考えられる。
【0081】
また、
図11および
図12に示すグラフから分かるように、白金が0.9質量%でコバルトが0.9質量%の触媒に比べて、白金が1.4質量%でコバルトが1.4質量%の触媒、白金が2質量%でコバルトが2質量%の触媒、白金が3質量%でコバルトが3質量%の触媒、および、白金が4.9質量%でコバルトが5.3質量%の触媒において、ガス検知部の指示値が大きくなった。このことから、白金が1.4質量%以上4.9%以下で、コバルトが1.4質量%以上5.3質量%以下であることが好ましいと考えられる。また、実施例9の触媒では、応答(指示値の上昇)が速かったため、触媒反応によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを迅速に分解できると考えられる。
【0082】
(実施例10)
図13および
図14に示すように、実施例10の確認実験では、白金およびコバルトと、アルカリ土類金属シリケートとを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例10)により、1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、および、5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスの検知を行い、指示値を得た。また、実施例10では、触媒として、以下の表10に示す触媒を用いた。質量%は、触媒作製時の計量値から計算した。また、白金の質量%とコバルトの質量%とが、約1:2になるようにした。
【表10】
【0083】
実施例10のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構により触媒を320℃に加熱しながら、1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、および、5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスをそれぞれ流し、ガス検知部の指示値を得た。
図13および
図14に示すグラフは、触媒ごとの各被検知ガスにおける、実施例10のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0084】
図13および
図14に示すグラフから分かるように、実施例10のフルオロオレフィン検知装置では、5つの触媒のいずれにおいても5つの被検知ガスにおいて、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金およびコバルトと、アルカリ土類金属シリケートとを含む実施例10の各触媒によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例10の各触媒は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0085】
また、
図13および
図14に示すグラフから分かるように、5つの触媒のいずれにおいても、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。このことから、ガス検知部の指示値から、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度を容易に測定することができると考えられる。また、実施例10の各触媒を、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの濃度の測定に容易に用いることができると考えられる。
【0086】
また、
図13および
図14に示すグラフから分かるように、白金が0.5質量%でコバルトが1質量%の触媒、および、白金が1質量%でコバルトが2質量%の触媒に比べて、白金が1.6質量%でコバルトが3.2質量%の触媒、白金が2.5質量%でコバルトが5.4質量%の触媒、および、白金が3.3質量%でコバルトが7.1質量%の触媒において、ガス検知部の指示値が大きくなった。このことから、白金が1.6質量%以上3.3質量%以下で、コバルトが3.2質量%以上7.1質量%以下であることが好ましいと考えられる。また、実施例10の触媒では、応答(指示値の上昇)が速かったため、触媒反応によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを迅速に分解できると考えられる。
【0087】
(実施例11)
図15および
図16に示すように、実施例11の確認実験では、白金およびコバルトと、アルカリ土類金属シリケートとを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例11)により、1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、および、5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスの検知を行い、指示値を得た。また、実施例11では、触媒として、以下の表11に示す触媒を用いた。質量%は、触媒作製時の計量値から計算した。また、白金の質量%とコバルトの質量%とが、約2:1になるようにした。
【表11】
【0088】
実施例11のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構により触媒を320℃に加熱しながら、1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、および、5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスをそれぞれ流し、ガス検知部の指示値を得た。
図15および
図16に示すグラフは、触媒ごとの各被検知ガスにおける、実施例11のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0089】
図15および
図16に示すグラフから分かるように、実施例11のフルオロオレフィン検知装置では、5つの触媒のいずれにおいても5つの被検知ガスにおいて、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金およびコバルトと、アルカリ土類金属シリケートとを含む実施例11の各触媒によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例11の各触媒は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0090】
また、
図15および
図16に示すグラフから分かるように、5つの触媒のいずれにおいても、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。このことから、ガス検知部の指示値から、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度を容易に測定することができると考えられる。また、実施例11の各触媒を、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの濃度の測定に容易に用いることができると考えられる。
【0091】
また、
図15および
図16に示すグラフから分かるように、白金が0.9質量%でコバルトが0.5質量%の触媒に比べて、白金が2質量%でコバルトが1質量%の触媒、白金が3.6質量%でコバルトが1.8質量%の触媒、白金が5.1質量%でコバルトが2.7質量%の触媒、および、白金が6.6質量%でコバルトが3.6質量%の触媒において、ガス検知部の指示値が大きくなった。このことから、白金が2質量%以上6.6質量%以下で、コバルトが1質量%以上3.6質量%以下であることが好ましいと考えられる。また、実施例11の触媒では、応答(指示値の上昇)が速かったため、触媒反応によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを迅速に分解できると考えられる。
【0092】
また、実施例11の白金が6.6質量%でコバルトが3.6質量%の触媒により、干渉ガスの影響を調べた。干渉ガスとしては、半導体製造工程の洗浄剤として想定されるアルコール類のうちのエタノールを用いた。実施例11の白金が6.6質量%でコバルトが3.6質量%の触媒では、エタノールによるガス検知部の指示値の上昇を低く抑えることができた。これは、エタノールが触媒反応により完全酸化されることにより、カルボン酸にとどまらず、二酸化炭素および水まで分解されたためであると考えられる。このことから、実施例11の白金が6.6質量%でコバルトが3.6質量%の触媒を、エタノールの存在下のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの測定に容易に用いることができると考えられる。
【0093】
(実施例12)
図17に示すように、実施例12の確認実験では、実施例11の白金が6.6質量%でコバルトが3.6質量%の触媒(表11の最下段の組成の触媒)を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例12)により、触媒温度の影響を調べた。
【0094】
実施例12のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構による触媒の加熱温度を変化させながら、2ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン、1240ppmのノベック(novec7100)(干渉ガス)、1190ppmのガルデン(HT―70)(干渉ガス)、1070ppmのフロリナート(FC―3283)(干渉ガス)、および、1370ppmのエタノール(干渉ガス)を含む被検知ガスをそれぞれ流し、ガス検知部の指示値を得た。なお、ノベック、ガルデンおよびフロリナートは、半導体製造工程のチラーのフッ素系不活性冷媒や洗浄剤として広く利用されている成分であり、触媒反応によりフッ化水素を発生させるおそれがあるため、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの測定に干渉するおそれがある。また、1240ppmのノベック(干渉ガス)、1190ppmのガルデン(HT―70)(干渉ガス)、1070ppmのフロリナート(FC―3283)(干渉ガス)、および、1370ppmのエタノール(干渉ガス)は、通常の半導体製造工程では考えられない程の高濃度のガスである。
【0095】
図17に示すグラフは、各被検知ガスにおける、実施例12のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の温度変化を示している。
図17に示すグラフでは、縦軸がガス検知部の指示値を示し、横軸が触媒温度を示している。
【0096】
図17に示すグラフから分かるように、実施例12のフルオロオレフィン検知装置では、140℃以上500℃以下の温度範囲において、フルオロオレフィンの触媒反応を行うことができた。また、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンに関するガス検知部の指示値は、140℃以上360℃まで、触媒温度が増加するにつれて増加し、360℃以後、概ね横ばいになる傾向を示した。また、ノベックに関するガス検知部の指示値は、140℃から260℃まで、ゼロであるとともに、260℃以後、触媒温度が増加するにつれて増加する傾向を示した。また、ガルデンに関するガス検知部の指示値は、140℃から300℃まで、ゼロであるとともに、300℃以後、触媒温度が増加するにつれて増加する傾向を示した。また、フロリナートに関するガス検知部の指示値は、140℃から360℃まで、ゼロであるとともに、360℃以後、触媒温度が増加するにつれて増加する傾向を示した。ノベック、ガルデンおよびフロリナートを比較すると、ノベックに比べて、ガルデンおよびフロリナートは、触媒反応しにくい傾向があると考えられる。また、エタノールに関するガス検知部の指示値は、220℃まで、触媒温度が増加するにつれて増加し、220℃以後、触媒温度が増加するにつれて減少する傾向を示した。
【0097】
触媒温度は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンに関するガス検知部の指示値が大きく、ノベック、ガルデン、フロリナートおよびエタノールのガス検知部の指示値が小さくなる温度であることが好ましいと考えられる。このことから、触媒温度は、260℃以上360℃以下であることが好ましいと考えられる。また、触媒温度は、300℃以上340℃以下であることがより好ましいと考えられる。また、触媒温度は、320℃であることがより好ましいと考えられる。
【0098】
(実施例13)
図18に示すように、実施例13の確認実験では、ルテニウム、鉄およびクロムと、アルカリ土類金属シリケートとを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例13)により、1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、および、5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスの検知を行い、指示値を得た。また、実施例13では、触媒として、以下の表12に示す触媒を用いた。質量%は、触媒作製時の計量値から計算した。
【表12】
【0099】
実施例13のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構により触媒を380℃に加熱しながら、1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、および、5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスをそれぞれ流し、ガス検知部の指示値を得た。
図18に示すグラフは、各被検知ガスにおける、実施例13のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0100】
図18に示すグラフから分かるように、実施例13のフルオロオレフィン検知装置では、5つの被検知ガスのいずれにおいても、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、ルテニウム、鉄およびクロムと、アルカリ土類金属シリケートとを含む実施例13の触媒によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例13の触媒は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0101】
また、
図18に示すグラフから分かるように、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。このことから、ガス検知部の指示値から、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度を容易に測定することができると考えられる。また、実施例13の触媒を、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの濃度の測定に容易に用いることができると考えられる。
【0102】
(実施例14)
図19に示すように、実施例14の確認実験では、ルテニウム、パラジウムおよびニッケルと、アルカリ土類金属シリケートとを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例14)により、1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、および、5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスの検知を行い、指示値を得た。また、実施例14では、触媒として、以下の表13に示す触媒を用いた。質量%は、触媒作製時の計量値から計算した。
【表13】
【0103】
実施例14のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構により触媒を320℃に加熱しながら、1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、および、5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスをそれぞれ流し、ガス検知部の指示値を得た。
図19に示すグラフは、各被検知ガスにおける、実施例14のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0104】
図19に示すグラフから分かるように、実施例14のフルオロオレフィン検知装置では、5つの被検知ガスのいずれにおいても、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、ルテニウム、パラジウムおよびニッケルと、アルカリ土類金属シリケートとを含む実施例14の触媒によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例14の触媒は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0105】
また、
図19に示すグラフから分かるように、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。このことから、ガス検知部の指示値から、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度を容易に測定することができると考えられる。また、実施例14の触媒を、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの濃度の測定に容易に用いることができると考えられる。
【0106】
(実施例15)
図20に示すように、実施例15の確認実験では、白金、ルテニウム、パラジウムおよびマンガンと、アルカリ土類金属シリケートとを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例15)により、0.5ppm、1ppm、および、1.5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン、並びに、0.5ppm、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppm、3ppm、および、4ppmのヘキサフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスの検知を行い、指示値を得た。また、実施例15では、触媒として、以下の表14に示す触媒を用いた。質量%は、触媒作製時の計量値から計算した。
【表14】
【0107】
実施例15のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構により触媒を340℃に加熱しながら、0.5ppm、1ppm、および、1.5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスをそれぞれ流し、ガス検知部の指示値を得た。また、実施例15のフルオロオレフィン検知装置では、加熱機構により触媒を340℃に加熱しながら、0.5ppm、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppm、3ppm、および、4ppmのヘキサフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスをそれぞれ流し、ガス検知部の指示値を得た。
図20に示すグラフは、各被検知ガスにおける、実施例15のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0108】
図20に示すグラフから分かるように、実施例15のフルオロオレフィン検知装置では、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む3つの被検知ガス、および、ヘキサフルオロシクロペンテンを含む7つの被検知ガスのいずれにおいても、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金、ルテニウム、パラジウムおよびマンガンと、アルカリ土類金属シリケートとを含む実施例15の触媒によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンおよびオクタフルオロシクロペンテンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例15の触媒は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンおよびオクタフルオロシクロペンテンの触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0109】
また、
図20に示すグラフから分かるように、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度もしくはオクタフルオロシクロペンテン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、ヘキサフルオロブタジエン濃度もしくはオクタフルオロシクロペンテン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。このことから、ガス検知部の指示値から、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度とオクタフルオロシクロペンテン濃度を容易に測定することができると考えられる。また、実施例15の触媒を、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンとオクタフルオロシクロペンテンの濃度の測定に容易に用いることができると考えられる。
【0110】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0111】
たとえば、上記実施形態では、フルオロオレフィン検知装置が、流量制御部と、ポンプとを備えている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、フルオロオレフィン分解部と、ガス検知部とを備えていれば、フルオロオレフィン検知装置が、流量制御部と、ポンプとを必ずしも備えていなくてもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、触媒が、綿状に形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、触媒が、粒状、粉末状、シート状、および、タブレット状などに形成されていてもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、ガス検知部が、電気化学式のガス検知部を含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、フルオロオレフィンの触媒反応により発生した成分を検知可能であれば、ガス検知部が、電気化学式以外のガス検知部を含んでいてもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、本発明の触媒部が、筒状に形成された触媒筒である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、触媒を配置可能であれば、触媒部の形状は特に限られず、触媒部が、筒状形状以外の形状を有していてもよい。
【符号の説明】
【0115】
30 フルオロオレフィン分解部(フルオロオレフィン分解装置)
31 触媒筒(触媒部)
31b 触媒
32 加熱機構
40 ガス検知部
100 フルオロオレフィン検知装置
G 被検知ガス