(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035887
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】オイルミスト回収装置
(51)【国際特許分類】
B01D 46/26 20060101AFI20230306BHJP
B01D 46/24 20060101ALI20230306BHJP
B01D 46/78 20220101ALI20230306BHJP
【FI】
B01D46/26
B01D46/24 A
B01D46/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126188
(22)【出願日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2021139694
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】594122210
【氏名又は名称】株式会社赤松電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】赤松 竜太郎
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA02
4D058MA35
4D058QA03
4D058QA08
4D058QA21
4D058SA15
(57)【要約】
【課題】フィルタの目詰まりを回避し、長時間にわたる連続使用を可能にするオイルミスト回収装置を提供する。
【解決手段】ミスト含有空気が導入される導入口11と、ミスト除去空気を排出する排気口12と、を有する筐体10と、筐体10内に配置され、筐体10内のミスト含有空気を排気口12に送るように回転するファン20と、筐体10内の導入口11とファン20との間且つファン20の回転軸芯Xと同軸芯に設けられ、筐体10内のミスト含有空気からオイルミストを外周面35で捕集するフィルタ31を有する筒状のフィルタ部材30と、を備え、ファン20は、ミスト含有空気をフィルタ部材30のフィルタ31の外周側から内周側に向けて吸い込ませるとともに、フィルタ部材30の内周側のミスト除去空気を排気口12に向けて送り出すように構成され、ファン20及びフィルタ部材30は、共通の駆動部40によって一体回転可能に構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルミストを含むミスト含有空気が導入される導入口と、前記ミスト含有空気から前記オイルミストが除去されたミスト除去空気を排出する排気口と、を有する筐体と、
前記筐体内に配置され、前記筐体内の前記ミスト含有空気を前記排気口に送るように回転するファンと、
前記筐体内の前記導入口と前記ファンとの間且つ前記ファンの回転軸芯と同軸芯に設けられ、前記筐体内の前記ミスト含有空気から前記オイルミストを外周面で捕集するフィルタを有する筒状のフィルタ部材と、を備え、
前記ファンは、前記導入口から導入された前記ミスト含有空気を前記フィルタ部材の前記フィルタの外周側から内周側に向けて吸い込ませるとともに、前記フィルタ部材の内周側の前記ミスト除去空気を前記排気口に向けて送り出すように構成され、
前記ファン及び前記フィルタ部材は、共通の駆動部によって一体回転可能に構成されているオイルミスト回収装置。
【請求項2】
前記フィルタ部材は、回転時において、前記オイルミストの捕集と、捕集された前記オイルミストの遠心力による離脱と、を同時に実行可能に構成されている請求項1に記載のオイルミスト回収装置。
【請求項3】
前記筐体の内部は、仕切部によって、前記ファンが配置された第1空間と、前記フィルタ部材が配置された第2空間とに区画され、前記第2空間に前記導入口から導入された前記ミスト含有空気の流れをサイクロン流に変化させるサイクロン流形成部を有する請求項1に記載のオイルミスト回収装置。
【請求項4】
前記筐体の内部は、仕切部によって、前記ファンが配置された第1空間と、前記フィルタ部材が配置された第2空間とに区画され、前記第2空間に前記導入口から導入された前記ミスト含有空気の流れをサイクロン流に変化させるサイクロン流形成部を有する請求項2に記載のオイルミスト回収装置。
【請求項5】
前記フィルタ部材の前記フィルタは、前記回転軸芯に沿う方向に延びるスリットを周方向に複数有して構成される請求項1から4の何れか一項に記載のオイルミスト回収装置。
【請求項6】
前記フィルタ部材の前記フィルタは、前記回転軸芯に沿う方向に延びる当該フィルタ上の仮想線に対して前記フィルタ部材の回転方向に向かって傾斜して延びるスリットを周方向に複数有して構成される請求項1から4の何れか一項に記載のオイルミスト回収装置。
【請求項7】
複数の前記スリットは、前記仮想線に対する傾斜角度が5度以上45度以下に設定されている請求項6に記載のオイルミスト回収装置。
【請求項8】
前記フィルタ部材の前記フィルタは、前記外周面で捕集された前記オイルミストが前記外周面に対して90度以上の接触角となる撥水性を有する請求項1から4の何れか一項に記載のオイルミスト回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク加工時に発生するオイルミストを含む空気からオイルミストを回収するオイルミスト回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筐体(文献では「箱体」)と、ファンと、フィルタ部材(文献では「捕集部」)と、を備えたオイルミスト回収装置(文献では「オイルミスト捕集装置」)が開示されている。筐体には、オイルミストを含むミスト含有空気を導入する導入口(文献では「吸入口」)と、ミスト含有空気からオイルミストが除去されたミスト除去空気が排出される排気口(文献では「排出口」)と、を有する。特許文献1のオイルミスト回収装置では、ミスト含有空気からオイルミストを除去するフィルタ部材のフィルタが、中央の円板部と、該円板部の外周から放射方向に配置された多数本の線状素材によって構成されており、ミスト含有空気がフィルタの円板部の軸芯に沿う方向に流れるように構成されている。したがって、導入口から筐体に導入されたミスト含有空気は、オイルミストが多数本の線状素材に付着してフィルタに捕捉されるため、オイルミストが除去されてミスト除去空気になる。これにより、特許文献1のオイルミスト回収装置は、フィルタによってミスト含有空気からオイルミストを回収しつつ、ミスト除去空気を筐体から排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のオイルミスト回収装置では、フィルタ(線状素材)に捕捉されたオイルミストが凝集されることで塊になって多数本の線状素材の間に留まることがあり、フィルタに目詰まりが発生し易い。そのため、オイルミスト回収装置は長時間にわたる連続使用が困難であり、改善の余地があった。
【0005】
そこで、フィルタの目詰まりを回避し、長時間にわたる連続使用を可能にするオイルミスト回収装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るオイルミスト回収装置の特徴構成は、オイルミストを含むミスト含有空気が導入される導入口と、前記ミスト含有空気から前記オイルミストが除去されたミスト除去空気を排出する排気口と、を有する筐体と、前記筐体内に配置され、前記筐体内の前記ミスト含有空気を前記排気口に送るように回転するファンと、前記筐体内の前記導入口と前記ファンとの間且つ前記ファンの回転軸芯と同軸芯に設けられ、前記筐体内の前記ミスト含有空気から前記オイルミストを外周面で捕集するフィルタを有する筒状のフィルタ部材と、を備え、前記ファンは、前記導入口から導入された前記ミスト含有空気を前記フィルタ部材の前記フィルタの外周側から内周側に向けて吸い込ませるとともに、前記フィルタ部材の内周側の前記ミスト除去空気を前記排気口に向けて送り出すように構成され、前記ファン及び前記フィルタ部材は、共通の駆動部によって一体回転可能に構成されている点にある。
【0007】
本構成によれば、筒状のフィルタ部材においてオイルミストを捕集するフィルタが外周面に配置されているので、導入口から筐体に導入されたミスト含有空気は、回転する筒状のフィルタ部材の外周側から内周側に流れるときにオイルミストがフィルタに捕集されることによりミスト除去空気となって、排気口から外部に排出される。したがって、フィルタ部材のフィルタは、ミスト含有空気からオイルミストを捕集することができる。また、フィルタ部材の外周面にフィルタが配置されることで、フィルタに捕集されたオイルミストは、フィルタ部材の回転による遠心力によってフィルタ部材の径方向外方に飛散させることができる。これにより、オイルミスト回収装置は、フィルタにおいてオイルミストによる目詰まりを回避しつつ、ミスト除去空気を排気口から排出することができる。その結果、オイルミスト回収装置は、長時間にわたる連続使用が可能になる。
【0008】
また、本構成では、フィルタ部材がファンの回転軸芯と同軸芯に設けられ、ファン及びフィルタ部材が共通の駆動部によって一体回転可能に構成されている。これにより、オイルミスト回収装置の構成が簡素になるとともに、フィルタ部材の外周側からファンに向かうミスト含有空気(又はミスト除去空気)の流れが安定し易くなる。その結果、オイルミスト回収装置において、ミスト含有空気からのオイルミストの回収及びミスト除去空気の排出を効率よく行うことができる。
【0009】
他の特徴構成は、前記フィルタ部材は、回転時において、前記オイルミストの捕集と、捕集された前記オイルミストの遠心力による離脱と、を同時に実行可能に構成されている点にある。
【0010】
本構成によれば、導入口からミスト含有空気を筐体内に導入している状態でフィルタ部材を回転させていると、フィルタの外周面で捕集されたオイルミストは回転による遠心力で筐体の壁面に向けて飛散するので、オイルミスト回収装置は、オイルミストによるフィルタの目詰まりを回避しつつ、ミスト含有空気からオイルミストを除去されたミスト除去空気を排気口から排出することができる。その結果、オイルミスト回収装置は、長時間にわたる連続使用が可能になる。
【0011】
他の特徴構成は、前記筐体の内部は、仕切部によって、前記ファンが配置された第1空間と、前記フィルタ部材が配置された第2空間とに区画され、前記第2空間に前記導入口から導入された前記ミスト含有空気の流れをサイクロン流に変化させるサイクロン流形成部を有する点にある。
【0012】
本構成によれば、筐体の内部が、仕切部によって、ファンが配置された第1空間と、フィルタ部材が配置された第2空間とに区画されているので、ミスト含有空気が第1空間に流入することがなく、第2空間のフィルタ部材から第1空間のファンに向かうミスト含有空気の流れを形成し易くなる。これにより、フィルタ部材によってミスト含有空気のオイルミストを確実に回収することができる。また、第2空間に形成されたサイクロン流形成部によってミスト含有空気の流れをサイクロン流に変化させることできるので、フィルタ部材のフィルタの外周側から内周側にミスト含有空気を確実に吸い込ませることができる。
【0013】
他の特徴構成は、前記フィルタ部材の前記フィルタは、前記回転軸芯に沿う方向に延びるスリットを周方向に複数有して構成される点にある。
【0014】
本構成によれば、フィルタ部材のフィルタは、回転軸芯に沿う方向に延びるスリットを周方向に複数有して構成されるので、フィルタ部材が回転している状態では、フィルタ部材の外周側から内周側に向かうミスト含有空気の流れ方向に対してスリットの開口面が確実に交差することになる。これにより、スリットはミスト含有空気からオイルミストの侵入を阻止しつつミスト除去空気の通過を許容することができる。その結果、オイルミスト回収装置は、フィルタにおいてミスト含有空気から効率よくオイルミストを分離することができる。
【0015】
他の特徴構成は、前記フィルタ部材の前記フィルタは、前記回転軸芯に沿う方向に延びる当該フィルタ上の仮想線に対して前記フィルタ部材の回転方向に向かって傾斜して延びるスリットを周方向に複数有して構成される点にある。
【0016】
本構成のように、フィルタ部材のフィルタは、回転軸芯に沿う方向に延びる当該フィルタ上の仮想線に対してフィルタ部材の回転方向に向かって傾斜して延びるスリットを周方向に複数有して構成される場合でも、フィルタ部材が回転している状態では、フィルタ部材の外周側から内周側に向かうミスト含有空気の流れ方向とスリットの開口面とが交差する。したがって、本構成においても、スリットはミスト含有空気からオイルミストの侵入を阻止しつつミスト除去空気の通過を許容することができ、オイルミスト回収装置は、フィルタにおいてミスト含有空気から効率よくオイルミストを分離することができる。
【0017】
他の特徴構成は、複数の前記スリットは、前記仮想線に対する傾斜角度が5度以上45度以下に設定されている点にある。
【0018】
フィルタ部材のフィルタでは、回転軸芯に沿う方向に延びる当該フィルタ上の仮想線に対するスリットの傾斜角度が大きくなるほど、スリットとフィルタ部材の回転方向との交差角度は小さくなる。そのため、仮想線に対してスリットを傾斜させ過ぎた場合には、ミスト含有空気がそのままスリットを通過することがあり、フィルタによってオイルミストを十分に除去できないおそれがある。そこで、本構成では、複数のスリットは、仮想線に対する傾斜角度が5度以上45度以下に設定されている。本構成によれば、スリットの傾斜角度を所定の範囲に設定することで、フィルタによるオイルミストの分離効果を適正に維持することができ、スリットに対してミスト除去空気を適度に通過させ易くして排気口に向けて効率よく送り出すことができる。
【0019】
他の特徴構成は、前記フィルタ部材の前記フィルタは、前記外周面で捕集された前記オイルミストが前記外周面に対して90度以上の接触角となる撥水性を有する点にある。
【0020】
フィルタ部材のフィルタの外周面で捕集されたオイルミストの大半は、フィルタ部材の回転による遠心力によってフィルタ部材の径方向外方に飛散させることができる。ただし、オイルミストの一部がフィルタの外周面に付着してフィルタが目詰まりすることがある。そうなると、オイル除去空気がフィルタを通過し難くなり、フィルタ部材の耐久性が損なわれる。
【0021】
そこで、本構成では、フィルタ部材のフィルタは、外周面で捕集されたオイルミストが外周面に対して90度以上の接触角となる撥水性を有する。これより、フィルタの外周面が十分な撥水性を有することになるため、オイルミストがフィルタの外周面に付着し難くなり、オイルミストによるフィルタの目詰まりを抑制することができる。その結果、フィルタの外周面で捕集されたオイルミストは、フィルタ部材の回転による遠心力によってフィルタ部材の径方向外方に飛散し易くなるので、フィルタ部材の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態のオイルミスト回収装置の斜視図である。
【
図4】オイルミスト回収装置の部分側断面図である。
【
図5】第2実施形態のオイルミスト回収装置の側断面図である。
【
図6】第3実施形態のオイルミスト回収装置の斜視図である。
【
図7】別実施形態のフィルタ部材の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係るオイルミスト回収装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0024】
〔第1実施形態〕
図1~
図4に示されるように、オイルミスト回収装置1は、筐体10と、ファン20と、フィルタ部材30と、を備える。
【0025】
図1及び
図2に示されるように、筐体10は、直方体の箱状に形成され、平面視で正方形状の上壁10aと、底壁10bと、4つの側壁10cと、を有し、側壁10cに、オイルミストを含むミスト含有空気が導入される導入口11と、ミスト含有空気からオイルミストが除去されたミスト除去空気を排出する排気口12と、を有する。本実施形態では、同一の側壁10cに導入口11及び排気口12が配置されている。導入口11は円筒状であって側壁10cの左下部に配置されている。排気口12は矩形状の開口であって側壁10cの上部の右寄りに配置されている。導入口11及び排気口12は異なる側壁10cに配置されていてもよい。
【0026】
図3に示されるように、筐体10の内部には板状の仕切部15と遮蔽部19が設けられており、当該仕切部15によって、筐体10の内部空間は、ファン20が配置された第1空間16と、フィルタ部材30が配置された第2空間17とに区画されている。仕切部15には、フィルタ部材30が挿通可能な円形の第1開口15aが形成されており、第1開口15aの内周縁15bがフィルタ部材30の接続体33の外周縁33aに対向する。また、仕切部15の下面には後述する遮蔽部19が固定されている。本実施形態では、仕切部15は、筐体10の上壁10a及び底壁10bに平行に設けられ、筐体10の側壁10cの内面14と一体的に形成されている。以下では、第1空間16における筐体10の側壁10cの内面14を第1内面14aとし、第2空間17における筐体10の側壁10cの内面14を第2内面14bとして説明する。本実施形態において、第2空間17の容積は、第1空間16の約3倍である。導入口11は第2空間17に配置され、排気口12は第1空間16に配置されている。
【0027】
図2及び
図4に示されるように、ファン20は、第1開口15aに対向するように筐体10の第1空間16に配置され、回転することにより筐体10の第2空間17の空気をフィルタ部材30から吸い込んでフィルタ部材30の内側の空間及び第1開口15aを経由して第1空間16における回転軸芯X(
図3参照)に対する垂直方向、すなわち第1内面14aに向けて送出する。第1空間16に流入した空気は、排気口12から筐体10の外部に排気される。本実施形態において、ファン20は、円形の天板21と、円形の底板22と、天板21と底板22との間において環状に配置される複数のフィン23と、天板21の中央に取り付けられた中間部材24と、を備えたターボファンである。底板22には、仕切部15の第1開口15aに対向し、後述するフィルタ部材30の接続体33の環状部37が挿入可能な第2開口25が形成されている。中間部材24は、後述するモータ40の出力軸41の周囲に配置される筒状のボス部26と、ボス部26の外周面径方向外方に突出する第1鍔部27と、を有する。中間部材24は、第1鍔部27を天板21の下面に固定することにより、ファン20に固定される。図示しないが、ファン20は、天板21、底板22、フィン23、及び中間部材24が一体化された一体物として構成されていてもよい。
【0028】
図2及び
図4に示されるように、フィルタ部材30は、円筒形を有しており、筐体10の内部において、導入口11とファン20との間(第2空間17)に配置され、ファン20の回転軸芯X(
図3参照)と同軸芯に設けられている。フィルタ部材30は、筒状に形成され、筐体10の内部のミスト含有空気からオイルミストを外周面35で捕集するフィルタ31を側面に有する。具体的には、フィルタ部材30は、筒状体32と、筒状体32の上部に装着される環状の接続体33と、筒状体32の下部に装着されて筒状体32の開口を閉塞する底面体34と、を有して構成されている。フィルタ31は、筒状体32を径方向に貫通し且つ回転軸芯Xに沿う方向に延びるスリット36を周方向に複数有して構成される。フィルタ部材30は、例えば筒状体32が金属製であって、金属として例えば、SUSを用いることができる。筒状体32は、金属以外の材料、例えば硬質樹脂によって形成してもよい。また、筒状体32の上下に配置される接続体33及び底面体34は、筒状体32と同じ材料で形成してもよく、異なる材料で形成してもよい。
【0029】
フィルタ部材30の接続体33は、環状部37と、環状部37の外周に設けられる第2鍔部38とを有して構成される。第2鍔部38には、筒状体32の上端32aに対向する位置に凸部38aが形成され、凸部38aには上端32aを挿入固定可能な溝部38bが形成されている。底面体34は、全体が板状に形成されており、筒状体32の下端32bに対向する位置に凸部34aが形成され、凸部34aには下端32bを挿入固定可能な溝部34bが形成されている。ファン20及びフィルタ部材30は、フィルタ部材30の接続体33の第2鍔部38がファン20の底板22に固定されることで一体化されている。
このとき、接続体33の環状部37が底板22の第2開口25に挿入されている。
【0030】
図1、
図2、
図4に示されるように、筐体10の上壁10aには円形の第4開口10dが形成されており、上壁10aの上面には、第4開口10dの内径よりも大きい支持板42が取り付けられている。支持板42は中央部に第4開口10dの内径よりも小さい内径を有する円形の第3開口42aが形成されている。
支持板42にはモータ40(駆動部の一例)が取付けられ、モータ40の出力軸41は支持板42の第3開口42aと上壁10aの第4開口10dとを貫通して筐体10の第1空間16に延びている。モータ40の出力軸41は中間部材24のボス部26のキー溝に挿入されるキー41aを有している。ボス部26の下部にはエンドプレート28が取付けられており、エンドプレート28は雌ねじ部を有する出力軸41に対してボルト29によって固定される。これによりモータ40とファン20とが一体回転すると共に、モータ40の中間部材24からの脱離が防止される。フィルタ部材30の接続体33の第2鍔部38と遮蔽部19とは、微小な隙間(後述する第1領域S1)を有して対向し、ファン20の底板22と仕切部15とは隙間(後述する第2領域S2)を有して対向している(
図4の拡大図参照)。ファン20はモータ40の回転によって回転し、これにより第2空間17が負圧となり、導入口11から第2空間17に空気が導入される。上述の通り、ファン20及びフィルタ部材30は一体化されているので、ファン20及びフィルタ部材30は共通の駆動部であるモータ40によって一体回転可能に構成されている。
【0031】
図3に示されるように、筐体10の第2空間17には、導入口11に隣接し、フィルタ部材30の下方となる位置にサイクロン流形成部18が形成されている。導入口11から筐体10に導入された空気は、ファン20の回転を受けてサイクロン流形成部18においてサイクロン流になる。
図1に示されるように、導入口11は側壁10cの下部において左寄りに配置されている。したがって、導入口11から筐体10に導入された空気は、平面視で右回りに回転し、サイクロン流形成部18においてサイクロン流になり易い。
【0032】
上述の通り、ファン20とフィルタ部材30とは一体化されているとともに、筐体10の内部は、仕切部15によってファン20が配置された第1空間16と、フィルタ部材30が配置された第2空間17とに区画されている。本実施形態では、仕切部15の内周縁15bと、フィルタ部材30の接続体33の外周縁33aとの間には、フィルタ部材30の回転を許容するための隙間Gが存在する。したがって、第2空間17の空気の一部がフィルタ部材30のフィルタ31を通らずに、当該隙間Gを通って第1空間16に入り込むおそれがある。
【0033】
そこで、本実施形態では、
図4に示されるように、仕切部15は、フィルタ部材30の接続体33及びファン20の底板22との間に、第2空間17の空気が直接第1空間16に入り込むのを防止するラビリンス構造を有している。具体的には以下のとおりである。
仕切部15の内周端の下面に遮蔽部19が不図示のボルトや接着等により取付けられている。遮蔽部19は、中央に開口を有する円板状に形成されており、外径は仕切部15の第1開口15aの内径よりも大きく、開口の内周縁19aの内径は、接続体33の第2鍔部38の外径より小さく凸部38aの外径よりも大きい。これにより、内周縁19aと凸部38aとは径方向で間隙を有して対向し、第2空間17には該間隙と隙間Gとの間に第2鍔部38と遮蔽部19とによって狭い第1領域S1が形成される。また、隙間Gから第1空間16に向けて連続する部分には、底板22と仕切部15とによって挟まれた第2領域S2が存在する。第1領域S1においては遮蔽部19と第2鍔部38との間隙が小さく、隙間Gにおいては内周縁15bと外周縁33aとの間隙が小さいので、これらの間隙においては空気が流通する流路断面積が小さくなる。したがって、第2空間17から第1空間16に向かう空気の流れは、第1領域S1と隙間Gとによって抑制される。すなわち、フィルタ部材30を通ることなく第2空間17から第1空間16に空気が流れ込むためには、第1領域S1と隙間Gとを経由する必要があり、さらに第1領域S1が狭小であることで、第2空間17から第1領域S1及び隙間Gを通って第1空間16に流入する空気量が抑制される。このように、仕切部15と遮蔽部19とにより第2鍔部38と底板22との間に形成されるラビリンス構造によって、第2空間17の空気がフィルタ部材30を通らずに直接第1空間16に入り込むのを抑制することができる。
【0034】
次に、オイルミスト回収装置1の動作を説明する(
図3参照)。まず、筐体10の導入口11には、工作機械等のオイルミストが発生しやすい箇所に近付けてミスト含有空気を効率よく導入するためのダクト(不図示)が接続される。本実施形態では、排気口12にはダクトは接続されないが、排気口12にミスト除去空気を排出するダクト(不図示)を接続してもよい。
【0035】
次に、モータ40を駆動し、ファン20及びフィルタ部材30を一体回転させる。ファン20が回転することにより、筐体10の第2空間17の空気は、フィルタ部材30の筒状体32の外側から内側の空間に入り、接続体33の環状部37の内部空間を通って第1空間16に流入するため負圧になり、
図3に示されるように、導入口11に接続されたダクトからミスト含有空気が導入口11を通って筐体10の第2空間17に導入される。筐体10に導入されたミスト含有空気は、サイクロン流形成部18により第2空間17においてサイクロン流となって、フィルタ部材30が位置する上方に導かれる。
【0036】
続いて、サイクロン流となったミスト含有空気は、
図3の矢印Aに示されるようにフィルタ部材30に向かい、フィルタ部材30の外周面35に衝突する。このとき、ミスト含有空気のうちミストはフィルタ部材30の外周面35(フィルタ31)に付着して捕集され、オイルミストが除去された空気(ミスト除去空気)はフィルタ31のスリット36を通り抜けてフィルタ部材30の内部(筒状体32の内側の空間)に移動する。こうして、ミスト含有空気は、フィルタ部材30のフィルタ31によってミストが除去される。スリット36(フィルタ31)を通り抜けてフィルタ部材30の内部に移動した空気(ミスト除去空気)は、第1空間16に流入した後、ファン20の回転により回転軸芯X(
図3参照)に対する垂直方向に送出されて第1内面14aに衝突しつつ、矢印Cに示されるように排気口12に導かれて排出される。
【0037】
本実施形態では、ファン20はモータ40側からの平面視において回転軸芯Xに対し時計回り(右回り)である矢印Dの方向に回転するように構成されるとともに、排気口12は矩形状の開口であって側壁10cの上部において右側が隣接する側壁10cとの間の辺部10e近くまで拡張されている(
図1参照)。本実施形態のように、排気口12の右側が隣接する側壁10cとの間の辺部10e近くまで拡張されることで、ファン20の回転により排気口12に向かって接線方向に送出される空気の流れが遮られない。これにより、排気口12から空気を効率よく排出することができる。
【0038】
一方、フィルタ部材30の外周面35(フィルタ31)に付着したオイルミストは、矢印Bに示されるように、フィルタ部材30の回転による遠心力によってフィルタ部材30の径方向外方(回転軸芯Xの法線方向)に吹き飛ばされて筐体10の第2内面14bに付着する。具体的には、外周面35に付着するオイルミストのうち、大粒のオイルミストは遠心力を受けてすぐに筐体10の第2内面14bに向かい、小粒のオイルミストは別のオイルミストを吸収して大粒化した後に遠心力を受けて筐体10の第2内面14bに向かう。第2内面14bに付着したオイルミストは、後に付着したオイルミストを吸収することによって成長し、その自重によって筐体10の底壁10bに落下し、不図示のオイルミスト排出口へと導かれてドレンタンク(不図示)にて回収される。
【0039】
このように、筒状のフィルタ部材30においてオイルミストを外周面35で捕集するフィルタ31が側面に配置されているので、導入口11から筐体10に導入されたミスト含有空気は、回転する筒状のフィルタ部材30の外周側から内周側に流れてミスト除去空気として排気口12から外部に排出される。上述したように、フィルタ31が回転軸芯Xに沿う方向に延びる複数のスリット36を有して構成されているので、フィルタ部材30の外周側から内周側に向かうミスト含有空気の流れ方向に対してスリット36の開口面が確実に交差することになる。これにより、スリット36はフィルタ部材30の回転によりミスト含有空気からオイルミストの侵入を阻止しつつミスト除去空気の通過を許容することができる。したがって、フィルタ部材30のフィルタ31は、ミスト含有空気からオイルミストを確実に捕集することができる。また、フィルタ部材30の外周面35にフィルタ31が配置されることで、フィルタ31に捕集されたオイルミストは、フィルタ部材30の回転による遠心力によってフィルタ部材30の径方向外方(回転軸芯Xの法線方向)に飛散させることができる。これにより、オイルミスト回収装置1は、フィルタ31においてオイルミストによる目詰まりを回避しつつ、ミスト除去空気を排気口12から排出することができる。その結果、オイルミスト回収装置1は、長時間にわたる連続使用が可能になる。
【0040】
また、本実施形態では、フィルタ部材30がファン20の回転軸芯Xと同軸芯に設けられ、ファン20及びフィルタ部材30が共通の駆動部であるモータ40によって一体回転可能に構成されている。これにより、オイルミスト回収装置1の構成が簡素になるとともに、フィルタ部材30の外周側からファン20に向けてミスト含有空気(又はミスト除去空気)の流れが安定し易くなる。その結果、オイルミスト回収装置1において、ミスト含有空気からのオイルミストの回収及びミスト除去空気の排出を効率よく行うことができる。
【0041】
また、本実施形態では、上述のように、フィルタ部材30はファン20と同時に回転するので、オイルミストの捕集と、捕集されたオイルミストの遠心力による離脱と、を同時に実行可能に構成されている。これにより、オイルミスト回収装置1は、フィルタ31におけるオイルミストによる目詰まりを回避しつつ、ミスト除去空気を排気口12から排出することができる。その結果、オイルミスト回収装置1は、長時間にわたる連続使用を効率よく行うことができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、仕切部15によって、ファン20が配置された第1空間16と、フィルタ部材30が配置された第2空間17とに区画されているので、第1空間16のフィルタ部材30から第2空間17のファン20に向かう空気の流れを形成し易くなる。これにより、フィルタ部材30によってミスト含有空気のオイルミストを確実に回収することができる。また、第2空間17に形成されたサイクロン流形成部18によってミスト含有空気の流れをサイクロン流に変化させることできるので、フィルタ部材30のフィルタ31外周側から内周側にミスト含有空気を確実に吸い込ませることができる。
【0043】
〔第2実施形態〕
第2実施形態では、
図5に示されるように、フィルタ部材30のフィルタ31は、回転軸芯Xに沿う方向に延びる当該フィルタ31上の仮想線Vに対してフィルタ部材30の回転方向に向かって傾斜して延びるスリット36を周方向に複数有して構成されている。また、第2実施形態では、フィルタ31の外周面35に付着したオイルを払い落す後述の逆洗機構50を有する。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0044】
第2実施形態のように、フィルタ部材30のフィルタ31は、フィルタ部材30の回転方向に向かって傾斜して延びるスリット36を周方向に複数有して構成される場合でも、フィルタ部材30が回転している状態では、フィルタ部材30の外周側から内周側に向かうミスト含有空気の流れ方向とスリット36の開口面とが交差する。したがって、第2実施形態においても、スリット36はミスト含有空気からオイルミストの侵入を阻止しつつミスト除去空気の通過を許容することができ、オイルミスト回収装置1は、フィルタ31においてミスト含有空気から効率よくオイルミストを分離することができる。
【0045】
ただし、フィルタ部材30のフィルタ31では、仮想線Vに対するスリット36の傾斜角度θ1が大きくなるほど、スリット36とフィルタ部材30の回転方向(矢印A)との交差角度(90度-θ1)は小さくなる。そのため、仮想線Vに対してスリット36を傾斜させ過ぎた場合には、ミスト含有空気がそのままスリット36を通過することがあり、フィルタ31によってオイルミストを十分に除去できないおそれがある。そこで、本実施形態では、複数のスリット36は、仮想線Vに対する傾斜角度θ1が5度以上45度以下に設定されている。このように、スリット36の傾斜角度θ1を所定の範囲に設定することで、フィルタ31によるオイルミストの分離効果を適正に維持することができ、スリット36に対してミスト除去空気を適度に通過させ易くして排気口12に向けて効率よく送り出すことができる。
【0046】
上述のように、フィルタ31のスリット36は、オイルミストの分離効果の適正な維持と、ミスト除去空気の通過効率との両立を図るうえで、仮想線Vに対する傾斜角度θ1が5度以上45度以下であると好ましく、傾斜角度θ1が25度以上35度以下であるとより好ましい。
【0047】
図5には、フィルタ31において、複数のスリット36が仮想線Vを基準としてフィルタ部材30の回転方向(矢印Aの方向)とは逆方向に向かって傾斜する形態が示されている。複数のスリット36が仮想線Vを基準として上記のように傾斜することで、ミスト除去空気はフィルタ31を通過し易くなる。ここで、第1実施形態のフィルタ31と第2実施形態のフィルタ31とを試用したところ、第2実施形態のフィルタ31の方が、オイルミスト回収装置1の使用時におけるファン20の風量低下が抑制されることが確認された。その理由としては、第2実施形態のフィルタ31の方が、オイル除去空気がフィルタ31を通過する際の圧損が小さいためと考えられる。なお、図示しないが、フィルタ31において、複数のスリット36が仮想線Vを基準としてフィルタ部材30の回転方向(矢印Aの方向)と同方向に向かって傾斜する形態でもよい。
【0048】
逆洗機構50は、例えば、パージガス供給源51と、パージガス供給源51に接続されたパージガス供給路52とを備えて構成されている。パージガス供給源51は、フィルタ部材30の外部に配置され、パージガス(例えば圧縮空気)をパージガス供給路52に供給する。
図5に示す例では、パージガス供給源51がフィルタ部材30の下方に配置され、管状に形成されたパージガス供給路52がフィルタ部材30の内部において回転軸芯Xに沿って配置されている。パージガス供給路52はフィルタ31に向けてパージガスを排出する複数の通気孔(不図示)を有する。本構成により、パージガス供給源51から供給されたパージガスはフィルタ31の内部から外部に向けて供給される。なお、パージガス供給源51は、オイルミスト回収装置1の外部に配置されてもよい。
【0049】
上述の逆洗機構50を用いることでフィルタ31の外周面35に付着したオイルを払い落とすことができる。具体的には、導入口11からのミスト含有空気の導入を停止し、パージガス供給源51からパージガス供給路52を経由して、フィルタ部材30の内部から外部に向けてパージガスを供給しつつフィルタ部材30を回転させることで、フィルタ31の外周面35に付着したオイルを払い落すことができる。これにより、フィルタ部材30の耐久性を向上させることができる。
【0050】
〔第3実施形態〕
第3実施形態では、
図6に示されるように、オイルミスト回収装置1は、筐体10が有底の円筒状に形成されており、導入口11が筐体10の接線の近傍に該接線と平行になるように配置されている。他の構成は第1実施形態又は第2実施形態と同様である。
【0051】
筐体10が有底の円筒状であると、導入口11から導入されたミスト含有空気が筐体10の第2内面14bに沿って移動することにより、効率よくサイクロン流を形成することができる。すなわち、筐体10の第2内面14bが平面視で正方形状である第1実施形態ではミスト含有空気が角部で急激に曲げられるため圧力損失が大きくなるが、本実施形態は、第2内面14bが平面視で円形なので第1実施形態よりも圧力損失が小さい。その結果、エネルギーロスが少なく、ミスト含有空気からオイルミストを効率よく回収することができる。また、筐体10を円筒状にすることで、筐体10は回転軸芯Xに直交する面の外縁の角部を無くしているため、オイルミスト回収装置1の全体形状をコンパクトにすることもできる。
【0052】
〔別実施形態〕
(1)フィルタ部材30のフィルタ31に捕集されたオイルミストの大半は、フィルタ部材30の回転による遠心力によってフィルタ部材30の径方向外方に飛散させることができる。ただし、オイルミストの一部がフィルタ31の外周面35に付着してフィルタ31が目詰まりすることがある。そうなると、オイル除去空気がフィルタ31を通過し難くなり、フィルタ部材30の耐久性が損なわれる。この場合、第2実施形態に含まれる逆洗機構50を用いることで、フィルタ31の外周面35に付着したオイルを払い落とすことはできる。しかし、逆洗機構50の使用頻度が増すようになると、オイルミスト回収装置1は、連続使用時間が短くなり使用効率が低下する。
【0053】
そこで、本別実施形態では、
図7に示すように、フィルタ部材30のフィルタ31は、外周面35で捕集されたオイルミストMが外周面35に対して90度以上の接触角θ2となる撥水性を有する。
図7に示す例では、フィルタ部材30は、フィルタ31がフィルタ本体31aとフィルタ本体31aの外周側に設けられた撥水層31bとを有して構成されている。撥水層31bは、例えばフッ素コーティング等によって構成される。フィルタ部材30は、撥水層31bを有さずに全体が撥水性を有する材料によって構成されていてもよい。
【0054】
上記構成により、フィルタ31の外周面35が十分な撥水性を有することになるため、オイルミストMがフィルタ31の外周面35に付着し難くなり、オイルミストMによるフィルタ31の目詰まりが抑制される。その結果、フィルタ31の外周面35で捕集されたオイルミストは、フィルタ部材30の回転による遠心力によってフィルタ部材30の径方向外方に飛散し易くなるので、フィルタ部材30の耐久性を向上させることができ、オイルミスト回収装置1の使用効率を向上させることができる。
【0055】
(2)フィルタ部材30は、周方向の領域において上下方向又は左右方向を所定間隔で仕切る仕切部(不図示)を有し、仕切部に囲まれた部分に複数のスリット36を形成してもよい。フィルタ部材30は、当該仕切部を設けることで強度を向上させることができる。
【0056】
(3)上記の実施形態では、ファン20及びフィルタ部材30の回転軸芯Xを鉛直方向にするオイルミスト回収装置1の例を示したが、オイルミスト回収装置1は回転軸芯Xを水平方向にして構成してもよい。
【0057】
(4)上記の実施形態では、遮蔽部19とフィルタ部材30の第2鍔部38との間の第1領域S1の間隙に比べて仕切部15とファン20の底板22との間の第2領域S2の間隙が大きい例を示した。これに代えて、例えば仕切部15の厚みを大きくしたり、第2鍔部38の厚みを小さくしたりすることで、第2領域S2の間隙を第1領域S1の間隙と同じく狭小にしてもよい。このように構成することで、第2空間17から第1領域S1、隙間G、及び第2領域S2を通って第1空間16に流入する空気量は一層抑制される。
【0058】
(5)上記の第1実施形態及び第2実施形態では、筐体10の外形及び第2空間17は何れも平面視で正方形状であったが、それらが六角形状や八角形状のような多角形状であってもよい。これにより、サイクロン流形成部18が多角形状に形成され、サイクロン流形成部18におけるミスト含有空気の圧力損失が低減される。また、筐体10の外形が平面視で正方形状の場合であっても、内部の第2空間17の少なくとも導入口11の近傍の4つの隅部に別部材又は側壁10cと一体で構成されるテーパ部を設けて、第2空間17の平面視が八角形状,角丸四角形状,もしくは円形になるようにサイクロン流形成部18を構成してもよい。
【0059】
(6)上記の実施形態では、フィルタ部材30は、回転時において、オイルミストの捕集と、捕集されたオイルミストの遠心力による離脱と、を同時に実行可能に構成される例を示した。これに代えて、フィルタ部材30は、回転時において、オイルミストの捕集と、捕集されたオイルミストの遠心力による離脱と、を別々の時期に行う構成でもよい。すなわち、フィルタ部材30は、ミスト含有空気からオイルミストを捕集する際には低速で回転させ、捕集されたオイルミストを離脱させる際にはオイルミストを捕集する際よりも高速で回転させる構成でもよい。
【0060】
(7)上記の実施形態では、筐体10の底壁10bが平板状に形成される例を示したが、筐体10の底壁10bは、下方に向かって角錐形状又は円錐形状をなし、その底面中心位置にオイル排出口が形成される構成でもよい。
【0061】
(8)上記の第2実施形態において、オイルミスト回収装置1が逆洗機構50を有する例を示したが、逆洗機構50を有さずにオイルミスト回収装置1を構成してもよい。また、上記の第1実施形態及び第3実施形態において、オイルミスト回収装置1が逆洗機構50を有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、オイルミスト回収装置に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 :オイルミスト回収装置
10 :筐体
11 :導入口
12 :排気口
15 :仕切部
16 :第1空間
17 :第2空間
18 :サイクロン流形成部
20 :ファン
30 :フィルタ部材
31 :フィルタ
31a :フィルタ本体
31b :撥水層
35 :外周面
36 :スリット
40 :モータ(駆動部)
V :仮想線
X :回転軸芯
θ1 :傾斜角度
θ2 :接触角