(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035892
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】シーンセキュリティレベル決定方法、装置、機器および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
B60W 30/095 20120101AFI20230306BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20230306BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B60W30/095
G08G1/16 C
B60W40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127669
(22)【出願日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】202111009842.X
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521295642
【氏名又は名称】北京図森未来科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉楠
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA31
3D241DC01Z
3D241DC41Z
5H181AA01
5H181CC27
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自動運転の技術分野に関し、未知シーンのセキュリティレベルを迅速に決定するためのシーンセキュリティレベル決定方法、装置、機器および記憶媒体を提供する。
【解決手段】目標車両が位置する目標シーンの第1のパラメータセット及び第1のパラメータ値セットに基づいて事前定義シーンライブラリにおいて前記目標シーンとの間の類似度が設定された類似度閾値より大きい少なくとも1つの事前定義シーンが存在するか否かを判断するステップと、前記少なくとも1つの事前定義シーンに応答して、前記少なくとも1つの事前定義シーンから1つの事前定義シーンを対照シーンとして選択するステップと、前記対照シーンのパラメータサブセットに基づいて、前記目標シーンのパラメータ値サブセットを生成するステップと、前記パラメータサブセット及び前記パラメータ値サブセットに基づいて、前記目標シーンの目標セキュリティレベルを決定するステップとを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標車両が位置する目標シーンの第1のパラメータセットおよび第1のパラメータ値セットに基づいて、事前定義シーンライブラリにおいて前記目標シーンとの間の類似度が設定された類似度閾値より大きい少なくとも1つの事前定義シーンが存在するか否かを判断するステップであって、そのうち、前記第1のパラメータセットには、前記目標シーンに対してパラメータ値を収集した全てのパラメータが含まれ、前記第1のパラメータ値セットは、前記第1のパラメータセットにおけるパラメータのパラメータ値を含む、ステップと、
前記少なくとも1つの事前定義シーンの存在に応答して、前記少なくとも1つの事前定義シーンから1つの事前定義シーンを対照シーンとして選択するステップであって、前記対照シーンは、パラメータサブセットを有し、前記パラメータサブセットは、前記目標シーンの第1のパラメータセットのサブセットである、ステップと、
前記対照シーンのパラメータサブセットに基づいて、前記目標シーンのパラメータ値サブセットを生成するステップであって、そのうち、前記目標シーンのパラメータ値サブセットは、前記対照シーンの前記パラメータサブセットにおけるパラメータのパラメータ値を含み、前記目標シーンのパラメータ値サブセットは、前記第1のパラメータ値セットのサブセットである、ステップと、
前記対照シーンの前記パラメータサブセットおよび前記目標シーンの前記パラメータ値サブセットに基づいて、前記目標シーンの目標セキュリティレベルを決定するステップと、を含む、
ことを特徴とするシーンセキュリティレベル決定方法。
【請求項2】
前記対照シーンの前記パラメータサブセットおよび前記目標シーンの前記パラメータ値サブセットに基づいて、前記目標シーンの目標セキュリティレベルを決定する前記ステップは、
前記パラメータサブセットにおけるパラメータのそれぞれに対して、異なるセキュリティレベルに対応する前記パラメータの取り得る値の範囲および前記パラメータ値サブセットにおける前記パラメータのパラメータ値に基づいて、前記パラメータに対応するパラメータセキュリティレベルを決定するステップと、
前記パラメータセキュリティレベルに基づいて、前記目標シーンの目標セキュリティレベルを決定するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの事前定義シーンを含む事前定義シーンライブラリを構築するステップをさらに含み、前記事前定義シーンライブラリを構築するステップは、具体的には、
事前定義シーンのそれぞれに対して、
前記事前定義シーンの各パラメータの取り得る値に基づいて、前記事前定義シーンの第2のパラメータセットおよび第2のパラメータ値セットを決定するステップであって、そのうち、前記第2のパラメータセットには、前記事前定義シーンに対してパラメータ値を収集した全てのパラメータが含まれ、前記第2のパラメータ値セットは、前記第2のパラメータセットにおけるパラメータのパラメータ値を含む、ステップと、
前記事前定義シーンの各パラメータの重要度に基づいて、前記第2のパラメータセットから前記事前定義シーンのパラメータサブセットを決定するステップと、
前記事前定義シーンのパラメータ値サブセットに基づいて、異なるセキュリティレベルに対応する前記事前定義シーンの前記パラメータサブセットにおける各パラメータの取り得る値の範囲を決定するステップであって、そのうち、前記事前定義シーンのパラメータ値サブセットは、前記事前定義シーンの前記パラメータサブセットにおけるパラメータのパラメータ値を含む、ステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記重要度は、第1の重要度または第2の重要度を含み、前記第1の重要度は、履歴道路実測データまたは履歴シミュレーションデータに基づいて決定されるものであり、前記第2の重要度は、経験値に基づいて設置されるものである、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記重要度は、第1の重要度および第2の重要度を含み、前記事前定義シーンの各パラメータの重要度に基づいて、前記第2のパラメータセットから前記事前定義シーンのパラメータサブセットを決定する前記ステップは、
前記第1の重要度に基づいて、前記第2のパラメータセットから第1のパラメータサブセットを決定するステップであって、そのうち、前記第1の重要度は、履歴道路実測データまたは履歴シミュレーションデータに基づいて決定されるものである、ステップと、
前記第2の重要度に基づいて、前記第1のパラメータサブセットから前記事前定義シーンのパラメータサブセットを決定するステップであって、そのうち、前記第2の重要度は、経験値に基づいて設置されるものである、ステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記事前定義シーンのパラメータ値サブセットに基づいて、異なるセキュリティレベルに対応する前記事前定義シーンの前記パラメータサブセットにおける各パラメータの取り得る値の範囲を決定する前記ステップは、
前記事前定義シーンの前記パラメータサブセットにおいて非単一性パラメータである少なくとも2つのパラメータが存在することに応答して、
前記事前定義シーンの走行安全に対する前記少なくとも2つのパラメータの重要度に基づいて、前記少なくとも2つのパラメータから1つの基準パラメータを決定するステップであって、そのうち、前記非単一性パラメータのパラメータ値は、前記事前定義シーンの前記パラメータサブセットにおける少なくとも1つのパラメータのパラメータ値と相関性がある、ステップと、
履歴道路実測データ、履歴シミュレーションデータまたは経験値に基づいて、各セキュリティレベルでの前記基準パラメータの取り得る値の範囲を決定するステップと、
各セキュリティレベルでの前記基準パラメータの取り得る値の範囲に基づいて、各セキュリティレベルに対応する前記少なくとも2つのパラメータのうちの残りの非単一性パラメータの取り得る値の範囲をそれぞれ決定するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記事前定義シーンにおいて前記目標シーンとの間の類似度が設定された類似度閾値より大きい少なくとも1つの事前定義シーンが存在しないことに応答して、予め設定されたセキュリティレベルを前記目標シーンの目標セキュリティレベルに決定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記事前定義シーンにおいて前記目標シーンとの間の類似度が設定された類似度閾値より大きい少なくとも1つの事前定義シーンが存在しないことに応答して、前記目標シーンを事前定義シーンライブラリに添加するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
メモリと、プロセッサと、メモリに記憶されるとともにプロセッサで動作可能なコンピュータプログラムとを含むコンピュータ機器であって、
前記プロセッサによって前記コンピュータプログラムを実行する場合に請求項1~8のいずれか1項に記載の方法を実現する、
ことを特徴とするコンピュータ機器。
【請求項10】
コンピュータプログラム命令が記憶されるコンピュータ記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラム命令がプロセッサによって実行される場合に請求項1~8のいずれか1項に記載の方法を実現する、
ことを特徴とするコンピュータ記憶媒体。
【請求項11】
命令を含むコンピュータプログラムであって、
コンピュータによって実行される場合に請求項1~8のいずれか1項に記載の方法を実現する、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、自動運転の技術分野に関し、シーンセキュリティレベル決定方法、装置、機器および記憶媒体を提供する。
【背景技術】
【0002】
現在、交通安全および運転者の人身安全を保障するために、市販の多くの車両に一定の運転要求が存在しているので、多くの人が運転要求を満たさないことにより車両を運転できず、さらに、人々の交通外出に影響を与える。
上記問題に対して、自動車業界の益々な発展に伴い、自動運転車(Autonomous Vehicleles、AV)は時代の要請に応じて生まれ、かつ、より多くの人々への適応、交通渋滞の緩和、道路安全性の向上が可能であるなどの利点により将来の自動車業界の発展傾向になっている。しかし、自動運転車両にも一定の技術開発要求が存在し、任意のサービスシーンで安全を保証できる前提で、自動運転、ダウングレード走行、運転停止、車両が自主的に処理できないシーンでの人工接収管理および遠隔介入が可能であるなどの能力を有する必要がある。しかしながら、自動運転シーンが不確実、予測不可能および網羅不可能等の特徴を有するため、自動運転車両に収録されたサービスシーンが限られ、さらに、自動運転車両が未知シーンに直面する場合、当該未知シーンのセキュリティレベルを迅速に識別できないリスクが存在する可能性があり、これにより、交通安全を保障できない等の問題が発生する。
したがって、未知シーンのセキュリティレベルをどのように迅速に決定するかは早急に解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願の実施例は、未知シーンのセキュリティレベルを迅速に決定するためのシーンセキュリティレベル決定方法、装置、機器および記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の一態様によれば、
目標車両が位置する目標シーンの第1のパラメータセットおよび第1のパラメータ値セットに基づいて、事前定義シーンライブラリにおいて前記目標シーンとの間の類似度が設定された類似度閾値より大きい少なくとも1つの事前定義シーンが存在するか否かを判断するステップであって、そのうち、前記第1のパラメータセットに含まれるパラメータは、前記目標シーンに対してパラメータ値を収集できる全てのパラメータであり、前記第1のパラメータ値セットにおけるパラメータ値は、前記第1のパラメータセットにおけるパラメータに対応する、ステップと、
前記少なくとも1つの事前定義シーンに応答して、前記少なくとも1つの事前定義シーンから1つの事前定義シーンを対照シーンとして選択するステップであって、前記対照シーンは、パラメータサブセットを有し、前記パラメータサブセットは、前記目標シーンの第1のパラメータセットのサブセットである、ステップと、
前記対照シーンのパラメータサブセットに基づいて、前記目標シーンのパラメータ値サブセットを生成するステップであって、そのうち、前記パラメータ値サブセットにおけるパラメータ値は、前記パラメータサブセットにおけるパラメータに対応し、前記パラメータ値サブセットは、前記第1のパラメータ値セットのサブセットである、ステップと、
前記パラメータサブセットおよび前記パラメータ値サブセットに基づいて、前記目標シーンの目標セキュリティレベルを決定するステップと、を含むシーンセキュリティレベル決定方法を提供する。
【0005】
本願の一態様によれば、
目標車両が位置する目標シーンの第1のパラメータセットおよび第1のパラメータ値セットに基づいて、事前定義シーンライブラリにおいて前記目標シーンとの間の類似度が設定された類似度閾値より大きい少なくとも1つの事前定義シーンが存在するか否かを判断するための類似シーン決定ユニットであって、そのうち、前記第1のパラメータセットに含まれるパラメータは、前記目標シーンに対してパラメータ値を収集した全てのパラメータであり、前記第1のパラメータ値セットにおけるパラメータ値は、前記第1のパラメータセットにおけるパラメータに対応する、類似シーン決定ユニットと、
前記少なくとも1つの事前定義シーンに応答して、前記少なくとも1つの事前定義シーンから1つの事前定義シーンを対照シーンとして選択する対照シーン決定ユニットであって、前記対照シーンは、パラメータサブセットを有し、前記パラメータサブセットは、前記目標シーンの第1のパラメータセットのサブセットである、対照シーン決定ユニットと、
前記対照シーンのパラメータサブセットに基づいて、前記目標シーンのパラメータ値サブセットを生成するためのパラメータ値サブセット生成ユニットであって、そのうち、前記パラメータ値サブセットにおけるパラメータ値は、前記パラメータサブセットにおけるパラメータに対応し、前記パラメータ値サブセットは、前記第1のパラメータ値セットのサブセットである、パラメータ値サブセット生成ユニットと、
前記パラメータサブセットおよび前記パラメータ値サブセットに基づいて、前記目標シーンの目標セキュリティレベルを決定するためのセキュリティレベル決定ユニットと、を含むシーンセキュリティレベル決定装置を提供する。
【0006】
選択的に、前記セキュリティレベル決定ユニットは、具体的には、
異なるセキュリティレベルに対応する前記パラメータサブセットにおける各パラメータの取り得る値の範囲および前記パラメータ値サブセットにおけるパラメータ値に基づいて、前記パラメータサブセットにおける各パラメータに対応するパラメータセキュリティレベルを決定し、および、
前記パラメータセキュリティレベルに基づいて、前記目標シーンの目標セキュリティレベルを決定するために用いられる。
【0007】
選択的に、前記装置は、事前定義シーンライブラリ構築ユニットをさらに含み、前記事前定義シーンライブラリ構築ユニットは、
事前定義シーンのそれぞれに対して、
前記事前定義シーンの各パラメータの取り得る値に基づいて、前記事前定義シーンの第2のパラメータセットおよび第2のパラメータ値セットを決定し、そのうち、前記第2のパラメータセットに含まれるパラメータは、前記事前定義シーンに対してパラメータ値を収集した全てのパラメータであり、前記第2のパラメータ値セットにおけるパラメータ値は、前記第2のパラメータセットにおけるパラメータに対応し、
前記事前定義シーンの各パラメータの重要度に基づいて、前記第2のパラメータセットから前記事前定義シーンのパラメータサブセットを決定し、
パラメータ値サブセットに基づいて、異なるセキュリティレベルに対応する前記パラメータサブセットにおける各パラメータの取り得る値の範囲を決定するために用いられ、前記パラメータ値サブセットにおけるパラメータ値は、前記パラメータサブセットにおけるパラメータに対応する。
【0008】
選択的に、前記事前定義シーンライブラリ構築ユニットは、具体的には、
前記事前定義シーンの各パラメータに対応する第1の重要度に基づいて、前記第2のパラメータセットから前記事前定義シーンのパラメータサブセットを決定し、そのうち、前記第1の重要度は、履歴道路実測データまたは履歴シミュレーションデータに基づいて決定されるものであり、または、
前記事前定義シーンの各パラメータに対応する第2の重要度に基づいて、前記第2のパラメータセットから前記事前定義シーンのパラメータサブセットを決定するために用いられ、そのうち、前記第2の重要度は、経験値に基づいて設置されるものである。
【0009】
選択的に、前記事前定義シーンライブラリ構築ユニットは、具体的には、
前記事前定義シーンの履歴道路実測データまたは履歴シミュレーションデータにおける前記各パラメータの取り得る値に基づいて、前記事前定義シーンの第2のパラメータセットを決定し、
前記事前定義シーンの各パラメータに対応する第1の重要度に基づいて、前記第2のパラメータセットから第1のパラメータサブセットを決定し、そのうち、前記第1の重要度は、履歴道路実測データまたは履歴シミュレーションデータに基づいて決定されるものであり、
前記第1のパラメータサブセットにおける各パラメータに対応する第2の重要度に基づいて、前記第1のパラメータサブセットから前記事前定義シーンのパラメータサブセットを決定するためにも用いられ、そのうち、前記第2の重要度は、経験値に基づいて設置されるものである。
【0010】
選択的に、前記事前定義シーンライブラリ構築ユニットは、具体的には、
前記事前定義シーンにおいて非単一性パラメータである少なくとも2つのパラメータが存在することに応答して、
前記事前定義シーンの走行安全に対する前記少なくとも2つのパラメータの重要度に基づいて、前記少なくとも2つのパラメータから1つの基準パラメータを決定し、そのうち、前記非単一性パラメータのパラメータ値は、前記パラメータサブセットにおける少なくとも1つのパラメータのパラメータ値と相関性があり、
履歴道路実測データ、履歴シミュレーションデータまたは経験値に基づいて、各セキュリティレベルでの前記基準パラメータの取り得る値の範囲を決定し、
各セキュリティレベルでの前記基準パラメータの取り得る値の範囲に基づいて、各セキュリティレベルに対応する前記少なくとも2つのパラメータのうちの残りの非単一性パラメータの取り得る値の範囲をそれぞれ決定するためにも用いられる。
【0011】
選択的に、前記セキュリティレベル決定ユニットは、
前記事前定義シーンにおいて前記目標シーンとの間の類似度が設定された類似度閾値より大きい少なくとも1つの事前定義シーンが存在しないことに応答して、前記目標シーンの目標セキュリティレベルを予め設定されたセキュリティレベルに決定するためにも用いられる。
【0012】
本願の一態様によれば、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶されるとともにプロセッサで動作可能なコンピュータプログラムとを含み、前記プロセッサによって前記コンピュータプログラムを実行する場合に上記態様に記載の方法のステップを実現するコンピュータ機器を提供する。
【0013】
本願の一態様によれば、コンピュータプログラム命令が記憶され、当該コンピュータプログラム命令がプロセッサによって実行される場合に上記態様に記載の方法のステップを実現するコンピュータ記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本願の実施例では、目標車両が位置する目標シーンの第1のパラメータセットおよび第1のパラメータ値セットに基づいて、事前定義シーンライブラリにおいて目標シーンとの間の類似度が設定された類似度閾値より大きい少なくとも1つの事前定義シーンが存在するか否かを判断することができ、さらに、少なくとも1つの事前定義シーンが存在する場合、当該少なくとも1つの事前定義シーンに応答し、かつ当該少なくとも1つの事前定義シーンから1つの事前定義シーンを対照シーンとして選択し、かつ当該対照シーンのパラメータサブセットには当該対照シーンの安全に影響を与えるキーパラメータが含まれる。さらに、当該パラメータサブセットおよび第1のパラメータ値セットに基づいて、パラメータ値サブセットを生成することができ、これにより、パラメータサブセットおよびパラメータ値サブセットに基づいて、当該目標シーンの目標セキュリティレベルを決定することができる。以上から分かるように、本願の実施例では、事前定義シーンライブラリから類似シーンを取得し、さらに、類似シーンから対照シーンを取得するという方式を用いて、目標シーンの目標セキュリティレベルを決定しているので、直接対照シーンに対応するセキュリティレベル範囲に基づいて、目標シーンのセキュリティレベルを決定することができるため、目標シーンのセキュリティレベルの決定時間を大幅に短縮させ、未知シーンに対して対処ポリシーを迅速に取ることができる。そして、パラメータサブセットは、第1のパラメータセットのサブセットであり、第1のパラメータセットにおける全てのパラメータを含まないので、目標シーンのシーンセキュリティレベルを決定する場合、計算量を減少させ、処理効率を向上させることができ、これにより、目標シーンのセキュリティレベルの決定時間をさらに短縮させ、自動運転車両のセキュリティ性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下、本願の実施例または関連技術の技術案をより明瞭に説明するために、実施例または関連技術の説明に必要な図面を簡単に説明するが、以下に説明する図面は、本願の実施例に関するものに過ぎなく、当業者にとっては、創造的な労働を行うことなく提供される図面に基づいて他の図面を得ることができることは明らかなことである。
【0016】
【
図1】本願の実施例により提供されるシーンの分割の模式図である。
【
図2】本願の実施例により提供される不安全シーンの低減の模式図である。
【
図3】本願の実施例により提供される1種の応用シーンの模式図である。
【
図4】本願の実施例により提供されるシーンセキュリティレベル決定方法のフローチャートである。
【
図5】事前定義シーンのパラメータセットとパラメータ値セットを決定するフローチャートである。
【
図6】本願の実施例により提供されるセキュリティレベルの取り得る値の範囲を決定するフローチャートである。
【
図7】本願の実施例により提供されるシーンセキュリティレベル決定装置の構成図である。
【
図8】本願の実施例により提供されるコンピュータ機器の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本願の目的、技術案および利点をより明瞭にするために、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術案を明確で完全に説明するが、以下に説明する実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。当業者が本願における実施例に基づいて創造的な労働を行うことなく得た他の実施例の全ても、本願の保護範囲に属する。また、互いに衝突しない限り、本願における実施例および実施例における特徴は、互いに任意に組み合わせることができる。そして、フローチャートにおいて論理的順序が示されるが、いくつかの場合に、示されるかまたは説明されるステップをここでの順序と異なる順序で実行することができる。
【0018】
まず、本願における一部の用語について解釈説明する。
(1)自動運転車は、無人運転車、コンピュータ運転車、またはホイール式移動ロボットとも呼ばれ、コンピュータシステムによって無人運転を実現するインテリジェント自動車である。自動運転車は、人工知能、コンピュータビジョン、レーダ、監視装置および全地球測位システムの間の協同によって、コンピュータがいかなる人間の能動的な操作が存在せずにモータビークルを自動的で安全に操作して運動させることができる。
(2)自動運転レベルについて、米国自動車技術者協会(Society of Automotive Engineers、SAE)は、6つの自動運転レベルを定義し、それぞれが0レベル(完全手動)~5レベル(完全自動)である。
(3)シーンは、走行場合と運転情景の組み合わせを指し、走行環境、例えば道路、交通、天気、光照などの要素に深く影響され、これらが共同でシーン全体の概念を構成する。シーンは、一定の時間および空間範囲内の環境と運転行動の総合的な反映であり、道路、交通施設、気象条件、交通参加物などの外部状態並びに自車の運転タスクおよび状態などの情報を説明する。
(4)シーン定量分類記述法は、シーン要素に基づいて、各シーン要素に対応するキーパラメータを用いて当該シーンを定義する方法である。
【0019】
そのうち、シーン要素は、交通参加者(対象)、道路状況、環境および行動等に分けることができる。交通参加者は、シーンに現れる他の人または車、および走行決定に影響を与える他の物体または動物または自律運動可能な全ての物体または動物を指すことができる。道路状況は、道路の特徴および交通管制の特徴を指すことができる。環境は、全ての変化可能な環境要因を指すことができる。行動は、自動運転車両自体の運転行動を指すことができる。
【0020】
交通参加者に対して、それと対応するキーパラメータは、物体タイプ、対象移動速度、対象移動方向、対象加速度、対象数、環境意識等を含むことができる。そのうち、物体タイプは、乗用車、大型トラック、歩行者、街灯、ゴミ箱、道路標識などを含むことができる。対象移動速度は、静止、低速移動、高速移動を含むことができ、対象移動方向は、直進、後退、Uターン、左折、右折、弧線、車線からの離間、車線への進入を含むことができ、対象加速度は、加速、減速、等速を含むことができ、環境意識は、例えば飲酒運転の運転者、5歳の子供、歩きながら携帯電話を見る若者などの生命のある対象に対して、自動運転車両が当該対象が道を注意深く見ているか否かを判断する必要があることを指すことができる。
【0021】
道路状況に対して、それと対応するキーパラメータは、交差点の設計、交通管制方式、車線数、車線境界線、車線タイプ、制限速度、道路タイプ、道路勾配、エリア等を含むことができる。そのうち、交差点の設計は、十字路、T字路、Y字路を含むことができ、交通管制方式は、信号機のスタイル、駐車標識、回避標識を含むことができ、車線数は、1車線、4車線を含むことができ、車線境界線は、境界線あり、境界線なしを含むことができ、車線タイプは、サイクル車線、バス車線、追い越し車線を含むことができ、制限速度は、25mph、商業地域の制限速度、住民地域の制限速度を含むことができ、道路タイプは、高速道路、一般道路、小路を含むことができ、道路勾配は、上り坂、下り坂、凸凹を含むことができ、エリアは、物流ハブ地域、学校地域、病院地域、山間地域、施工地域等を含むことができる。
【0022】
環境に対して、それと対応するキーパラメータは、天気、光照、路面、信号などを含むことができる。そのうち、天気は、降雨量、風速、温度、可視度を含むことができ、光照は、曇天、日の出と日の入り時刻、太陽光角度を含むことができ、路面は、凍結、水たまり、施工を含むことができ、信号は、信号強弱等を含むことができる。
【0023】
現在、自動運転シーンが有する不確実、予測不可能および網羅不可能等の特徴に対して、国際標準化機構(International Organization for Standardization、ISO)は、道路車両の意図した機能の安全性(Safety of the Intended Functionality、SOTIF)標準という新たな標準を提出し、当該SOTIF標準は、ISO/PAS 21448:Road Vehicle標準に属し、当該ISO/PAS 21448標準は、適切な環境感知を必要とする機能に適用し、かつ、当該標準は、車両に故障が発生しない場合にどのように目標機能の安全性を確保するかに注目し、従来の機能安全(システム故障による安全リスクをどのように低減するかに注目する)と鮮明な対比を形成する。
【0024】
SOTIF標準に基づいて、自動運転シーンに対して、
図1、すなわち、本願の実施例により提供されるシーンの分割の模式図に示すように、任意のシーンは、いずれも
図1に示す4つの種類、すなわち既知安全シーン(Area1)、既知不安全シーン(Area2)、未知不安全シーン(Area3)、未知安全シーン(Area4)という4つの種類に分けることができる。
【0025】
そのうち、当該SOTIF標準の目的は、Area2およびArea3の2種類の不安全シーンを評価することであり、さらに、
図2、すなわち、本願の実施例により提供される不安全シーンの減少の模式図に示すように、一連の技術的措置によって、Area2およびArea3の2種類の不安全シーンに対応するエリアを減少させると同時に、証拠を提供して当該2つのエリアが既に十分に小さくなることを証明することができ、これにより、残りの残留危害が受け入れられる。また、この過程において、Area2およびArea3の2種類の不安全シーンに対応するエリアが減少されるため、Area1に対応するエリアは通常増加する。
【0026】
さらに、Area2を評価する場合、Area2に対して安全解析を行うことにより、Area2においてリスクがあるリスクシーンを識別し、さらに、リスクシーンに対して対処ポリシーを開発し、その後、既知シーンに基づいてリアルタイムなシミュレーション環境を構築するかまたは実車試験を設計し、かつ実験結果に基づいてポリシーを最適化することにより、Area2に対応するエリアを徐々に減少させることができる。
【0027】
Area3を評価する場合、具体的には、以下の2つの方式によってArea3を処理することができ、そのうちの1つとして、車両システムおよび部品機能の信頼性を向上させることによりArea3が占めるエリアを減少させることができることである。もう1つとして、実車道路試験またはシミュレーション試験によって大量のデータを蓄積する方式でArea3が占めるエリアを減少させ、このような方式では、データの蓄積が多いほど未知シーンを既知シーンに変更することができることである。
【0028】
しかし、自動運転シーンが不確実、予測不可能および網羅不可能などの特徴を有するため、自動運転車両に収録されたサービスシーンが限られ、さらに、自動運転車両が未知シーンに直面する場合、当該未知シーンのセキュリティレベルを迅速に識別できないというリスクが存在する可能性があり、これにより、交通安全を保障できない等の問題が発生する。
【0029】
これに基づいて、本願の実施例では、目標車両が位置する目標シーンの第1のパラメータセットおよび第1のパラメータ値セットに基づいて、事前定義シーンライブラリにおいて目標シーンとの間の類似度が設定された類似度閾値より大きい少なくとも1つの事前定義シーンが存在するか否かを判断することができ、さらに、少なくとも1つの事前定義シーンが存在する場合、当該少なくとも1つの事前定義シーンに応答し、かつ当該少なくとも1つの事前定義シーンから1つの事前定義シーンを対照シーンとして選択し、かつ当該対照シーンのパラメータサブセットには当該対照シーンの安全に影響を与えるキーパラメータが含まれる。さらに、当該パラメータサブセットおよび第1のパラメータ値セットに基づいて、パラメータ値サブセットを生成することができ、これにより、パラメータサブセットおよびパラメータ値サブセットに基づいて、当該目標シーンの目標セキュリティレベルを決定することができる。以上から分かるように、本願の実施例では、事前定義シーンライブラリから類似シーンを取得し、さらに、類似シーンから対照シーンを取得するという方式を用いて、目標シーンの目標セキュリティレベルを決定しているので、直接対照シーンに対応するセキュリティレベル範囲に基づいて、目標シーンのセキュリティレベルを決定することができるため、目標シーンのセキュリティレベルの決定時間を大幅に短縮させ、未知シーンに対して対処ポリシーを迅速に取ることができる。そして、パラメータサブセットは、第1のパラメータセットのサブセットであり、第1のパラメータセットにおける全てのパラメータを含まないので、目標シーンのシーンセキュリティレベルを決定する場合、計算量を減少させ、処理効率を向上させることができ、これにより、目標シーンのセキュリティレベルの決定時間をさらに短縮させ、自動運転車両のセキュリティ性能を向上させることができる。
【0030】
本願の実施例の設計思想を説明した後、以下、本願の実施例の技術案が適用可能な応用シーンについて簡単に説明する。なお、以下に説明する応用シーンは、本願の実施例を説明するためのものに過ぎず、限定するためのものではない。具体的な実施過程において、実際の必要に応じて本願の実施例により提供される技術案を柔軟に応用することができる。
【0031】
図3、すなわち、本願の実施例により提供される1種の応用シーンの模式図に示すように、そのうち、当該シーンセキュリティレベルが決定された応用シーンは、道路を走行する車両Aおよび車両Bを含むことができ、そのうち、車両Aにはシーンセキュリティレベル決定装置10が設置される。
【0032】
本願の実施例では、シーンセキュリティレベル決定装置10は、車両Aが位置するシーンのセキュリティレベルを決定するために用いられることができる。そのうち、当該シーンセキュリティレベルは、ユーザの需要に応じて自ら設定することができ、例えば、シーンセキュリティレベルを無人運転レベル(0レベルの完全手動~5レベルの完全自動)と一対一に対応する6つのレベルに設定することができ、シーンセキュリティレベルが高いほど、車両Aが当該未知シーンにある場合により安全である。
【0033】
当該シーンセキュリティレベル決定装置10は、具体的に車載PC等の装置であってもよい。かつ、当該シーンセキュリティレベル決定装置10は、1つまたは複数のプロセッサ、メモリおよび入出力(input/output、I/O)インタフェース等を含むことができる。そのうち、シーンセキュリティレベル決定装置10のメモリは、本願の実施例により提供されるシーンセキュリティレベル決定方法のプログラム命令を記憶することができ、これらのプログラム命令がプロセッサによって実行される場合に本願の実施例により提供されるシーンセキュリティレベル決定方法のステップを実現することができる。
【0034】
実際に応用する場合、
図3に示すシーンのように、車両Aの走行方向に沿って、車両Aの前方に車両Aと同じ車線に位置するとともに走行方向が同じである車両Bが存在し、車両Aは自身に設置される感知システムによって車両Aが現在未知シーンにあることを検出した場合、当該車両Aのシーンセキュリティレベル決定装置10は、感知システムの各センサによって収集された様々なパラメータに基づいて当該未知シーンを分析することにより、当該未知シーンのシーンセキュリティレベルを迅速に決定し、さらに、車両Aは、決定したセキュリティレベルに基づいて対応する対処ポリシーを選択して対処することができる。例えば、シーンセキュリティレベル決定装置10によって当該未知シーンのセキュリティレベルが1レベルであると決定した場合、すなわち、現在の未知シーンが不安全シーンである場合、人工接収管理を行うように運転者に通知し、またはバックグラウンド管理者によって遠隔介入等の操作を行うことにより、運転を補助し、さらに車両Aの走行安全度を向上させることができる。
【0035】
勿論、本願の実施例により提供される方法は、
図3に示す応用シーンでの使用に限定されるものではなく、他の可能な応用シーンに用いることもでき、本願の実施例ではこれを限定しない。
図3に示す応用シーンの各装置が実現可能な機能について、後続の方法実施例において一括して説明するので、ここでは説明を省略する。以下、図面を参照しながら本願の実施例の方法について説明する。
【0036】
図4、すなわち、本願の実施例により提供されるシーンセキュリティレベル決定方法のフローチャートに示すように、当該方法は、
図3におけるシーンセキュリティレベル決定装置10によって実行され得る。以下、当該方法のフローを説明する。
【0037】
ステップ401:目標車両が位置する目標シーンの第1のパラメータセットおよび第1のパラメータ値セットに基づいて、事前定義シーンライブラリにおいて目標シーンとの間の類似度が設定された類似度閾値より大きい少なくとも1つの事前定義シーンが存在するか否かを判断する。
【0038】
本願の実施例では、第1のパラメータ値セットにおけるパラメータ値は、第1のパラメータセットにおけるパラメータに対応する。そのうち、当該第1のパラメータセットに含まれるパラメータは、目標車両が目標シーンに対してパラメータ値を収集できる全てのパラメータであり、パラメータ値がゼロであるパラメータを含め、かつ事前定義シーンライブラリには、事前定義シーンのそれぞれに対応する第2のパラメータセット、第2のパラメータ値セット、パラメータサブセットおよびパラメータ値サブセットが含まれ、当該パラメータサブセットは、第2のパラメータセットのサブセットであり、かつ当該パラメータサブセットに含まれるパラメータは、対応する事前定義シーンの走行安全度の重要度が設定された重要度閾値より大きいキーパラメータ、すなわち、対応する事前定義シーンが安全であるか否かに影響を与えることができる主なパラメータであり、パラメータ値サブセットにおけるパラメータ値は、パラメータサブセットにおけるパラメータに対応する。
【0039】
実際に応用する場合、目標車両が目標シーンにある場合、当該目標車両は、感知システムの各センサによって目標車両が位置する当該目標シーンに対してデータ収集を行い、かつ、シーン定量分類記述法によって収集されたデータに基づいて当該目標シーンを定義する。したがって、本願の実施例では、目標シーンに対してデータ収集を行った後、収集されたデータに基づいて当該目標シーンを定義するための第1のパラメータセットおよび第1のパラメータ値セットを生成することができる。
【0040】
例えば、当該第1のパラメータセットは、S1={自車速度v1,自車加速度a1,自車車線VL,先行車車線VL,車間距離s,先行車速度v2,先行車加速度a2,先行車タイプVeh,先行車移動方向Hd,道路タイプRT,道路制限速度RSL,道路勾配RA,車線数RLN,道路可視度RV,風速WS,光照条件LC,信号強度SL,・・・}とすることができ、第1のパラメータ値セットは、N1={自車速度v1=60km/h,自車加速度a1=2m/s,・・・,車間距離s=50m,先行車速度v2=55km/h,先行車加速度a2=2m/s,・・・}とすることができる。
【0041】
さらに、本願の実施例では、目標シーンのセキュリティレベルを迅速に決定するという目的を実現するために、事前定義シーンライブラリから目標シーンと類似する事前定義シーンを選択して決定することができ、勿論、選択した事前定義シーンが目標シーンとよりマッチング可能であることをさらに保証するために、類似する事前定義シーンを選択する時に、類似度閾値を設定してもよく、これにより、目標シーンと事前定義シーンとの間の類似度が設定された類似度閾値より大きい場合のみに、設定された類似度閾値より大きい事前定義シーンに基づいて目標シーンのセキュリティレベルを決定する。そのうち、目標シーンと事前定義シーンとの間の類似度は、コサイン類似度の求め方を採用して決定されることができる。
【0042】
したがって、本願の実施例では、目標シーンの第1のパラメータセットおよび第1のパラメータ値セットを決定した後、まず目標シーンの第1のパラメータセットと事前定義シーンライブラリにおける事前定義シーンのそれぞれの第2のパラメータセットとの間の類似度を決定し、さらに、事前定義シーンライブラリにおいて目標シーンとの間の類似度が設定された類似度閾値より大きい少なくとも1つの事前定義シーンが存在するか否かを判断することにより、類似度が設定された類似度閾値より大きい少なくとも1つの事前定義シーンが存在する場合、当該少なくとも1つの事前定義シーンによって目標シーンに対してシーンセキュリティレベルの決定を行うことができる。
【0043】
ステップ402:少なくとも1つの事前定義シーンに応答して、少なくとも1つの事前定義シーンから1つの事前定義シーンを対照シーンとして選択する。
【0044】
本願の実施例では、対照シーンは、パラメータサブセットを有し、当該パラメータサブセットは、目標シーンの第1のパラメータセットのサブセットである。勿論、当該対照シーンが有するパラメータサブセットは、当該対照シーンの第1のパラメータセットのサブセットでもある。
【0045】
実際に応用する場合、事前定義シーンライブラリにおいて、目標シーンとの間の類似度が設定された類似度閾値より大きい事前定義シーンが1つ以上である可能性があるため、類似する事前定義シーンに基づいて目標シーンのシーンセキュリティレベルを決定する場合、この決定した少なくとも1つの事前定義シーンから1つの事前定義シーンを対照シーンとして選択する必要があり、目標シーンのシーンセキュリティレベルを決定する。当該対照シーンは、当該少なくとも1つの事前定義シーンのうちのいずれか1つであってもよく、勿論、対照シーンが目標シーンとよりマッチングするために、少なくとも1つの事前定義シーンのうちの類似度が最も大きい事前定義シーンを対照シーンとして選択することができ、この場合、対照シーンのパラメータサブセットを目標シーンのパラメータサブセットとすることができ、例えば、対照シーンのパラメータサブセットは、A={自車速度v1,自車加速度a1,車間距離s,先行車速度v2,先行車加速度a2}であり、すると、目標シーンのパラメータサブセットは、同様にA={自車速度v1,自車加速度a1,車間距離s,先行車速度v2,先行車加速度a2}となる。
【0046】
ステップ403:対照シーンのパラメータサブセットに基づいて、目標シーンのパラメータ値サブセットを生成する。
【0047】
本願の実施例では、目標シーンのパラメータサブセットが対照シーンのパラメータサブセットと同様であるため、対照シーンのパラメータサブセットを決定した後、対照シーンのパラメータサブセットに基づいて、目標シーンの第1のパラメータ値セットから当該目標シーンのパラメータ値サブセットを決定することができる。かつ、パラメータ値サブセットにおけるパラメータ値は、パラメータサブセットにおけるパラメータに対応し、パラメータ値サブセットは、第1のパラメータ値セットのサブセットである。
【0048】
ステップ404:パラメータサブセットおよびパラメータ値サブセットに基づいて、目標シーンの目標セキュリティレベルを決定する。
【0049】
本願の実施例では、目標シーンのパラメータサブセットおよびパラメータ値サブセットを決定した後、対照シーンのパラメータサブセットにおける各パラメータに対応する異なるセキュリティレベルの取り得る値の範囲を、目標シーンのパラメータサブセットにおける各パラメータに対応する異なるセキュリティレベルの取り得る値の範囲に決定することができ、さらに、目標シーンのパラメータ値サブセットにおける具体的なパラメータ値に基づいて、パラメータサブセットにおける各パラメータにそれぞれ対応するパラメータセキュリティレベルを決定することができ、それにより、各パラメータのパラメータセキュリティレベルを総合して目標シーンの目標セキュリティレベルを決定する。
【0050】
例えば、対照シーンのパラメータサブセットは、A={自車速度v1,自車加速度a1,衝突時間TTC,先行車速度v2,先行車加速度a2}であり、表1は、すなわち、本願の実施例により提供されるパラメータサブセットAに含まれる各パラメータの異なるセキュリティレベルでの取り得る値の範囲を示す表である。
【0051】
【0052】
目標シーンのパラメータ値サブセットA’={30,2,50,100,2.5}である場合、表1に示す異なるセキュリティレベルの取り得る値の範囲から分かるように、自車速度v1、自車加速度a1、衝突時間TTC、先行車速度v2および先行車加速度a2のパラメータセキュリティレベルはいずれも3レベルであるため、この5つのパラメータのパラメータセキュリティレベルを総合して、目標シーンの目標セキュリティレベルが3レベルであると決定することができ、すなわち、現在の目標シーンが安全シーンである。
【0053】
本願の実施例では、目標シーンのパラメータサブセットにおける全てのパラメータがいずれも同じパラメータセキュリティレベルである場合のみに、目標シーンに対応するシーンセキュリティレベルを決定することができ、例えば、パラメータサブセットにおける全てのパラメータがいずれも1レベルである場合、目標シーンの目標セキュリティレベルは1レベルとなる。一方、パラメータサブセットにおいて他のパラメータとはパラメータセキュリティレベルが異なるパラメータが存在すると、当該目標シーンのシーンセキュリティレベルを予め設定されたシーンセキュリティレベルに直接設定することができ、例えば、上記の1レベル(不安全)または2レベル(要注意)に直接設定することができる。または、パラメータがそれぞれ異なるセキュリティレベルに属する場合、パラメータに対応する最低のセキュリティレベルに応じて目標シーンのセキュリティレベルを決定し、例えば、パラメータサブセットにおけるパラメータがそれぞれ2レベルおよび3レベルに属する場合、目標シーンの目標セキュリティレベルを2レベルに決定する。勿論、具体的にどのようなシーンセキュリティレベルに設定するかは、ユーザの需要に応じて自ら設定することができる。
【0054】
1つの可能な実施形態では、事前定義シーンライブラリから類似する事前定義シーンを選択して目標シーンのシーンセキュリティレベルを決定する必要があるため、本願の実施例では、事前定義シーンライブラリを構築する必要がある。かつ、当該事前定義シーンライブラリに事前定義シーンのそれぞれに対応する第2のパラメータセット、第2のパラメータ値セット、パラメータサブセットおよびパラメータ値サブセットが含まれるため、事前定義シーンライブラリを構築する時に、事前定義シーンのそれぞれに対応する第2のパラメータセット、第2のパラメータ値セット、パラメータサブセットおよびパラメータ値サブセットを決定する必要がある。本願の実施例では、事前定義シーンのそれぞれに対応する第2のパラメータセット、第2のパラメータ値セット、パラメータサブセットおよびパラメータ値サブセットを決定する過程が同様であるため、ここで事前定義シーン1の決定過程を例として説明し、
図5、すなわち、本願の実施例により提供される事前定義シーンのパラメータセットおよびパラメータ値セットを決定するフローチャートに示すように、当該方法は、
図3におけるシーンセキュリティレベル決定装置10によって実行され得る。以下、具体的なフローを説明する。
【0055】
ステップ501:事前定義シーン1の各パラメータの取り得る値に基づいて、事前定義シーン1の第2のパラメータセットおよび第2のパラメータ値セットを決定する。
【0056】
本願の実施例では、車両が事前定義シーン1にある場合、感知システムの各センサによって事前定義シーン1に対してデータ収集を行い、同様に、シーン定量分類記述法によって、事前定義シーン1に対して収集されたデータに基づいて当該事前定義シーン1を定義し、さらに、事前定義シーン1に対応する第2のパラメータセットおよび第2のパラメータ値セットを決定することができる。そのうち、当該第2のパラメータ値セットに含まれるパラメータは、事前定義シーン1に対してパラメータ値を収集できる全てのパラメータであり、パラメータ値がゼロであるパラメータを含め、かつ、第2のパラメータ値セットにおけるパラメータ値は、第2のパラメータセットにおけるパラメータに対応する。
【0057】
ステップ502:事前定義シーン1の各パラメータの重要度に基づいて、第2のパラメータセットから事前定義シーン1のパラメータサブセットを決定する。
【0058】
実際に使用する場合、事前定義シーン1の第2のパラメータセットを決定した後、シーンセキュリティレベルの判断に対する事前定義シーン1の各パラメータの重要度、例えば、事前定義シーン1が
図3に示すシーンであり、車両Aの走行方向に沿って、車両Aの前方に車両Aと同じ車線にあるとともに走行方向が同じである車両Bが存在し、当該事前定義シーン1において、車両Aが車両Bと衝突する状況が発生しやすいため、当該事前定義シーン1に対して、自車速度v1、自車加速度a1、先行車速度v2、先行車加速度a2、車間距離sおよび衝突時間TTCはいずれも当該事前定義シーン1が安全であるか否かに影響を与える主要なパラメータであるため、当該事前定義シーン1に対する自車速度v1、自車加速度a1、先行車速度v2、先行車加速度a2、車間距離sおよび衝突時間TTCの重要度が比較的大きいので、第2のパラメータセットから事前定義シーン1のパラメータサブセットB={自車速度v1,自車加速度a1,先行車速度v2,先行車加速度a2,両車間距離s,衝突時間TTC}を決定する。
【0059】
さらに、第2のパラメータ値セットにおけるパラメータ値は、第2のパラメータセットにおけるパラメータに対応するため、事前定義シーン1のパラメータサブセットに基づいて、第2のパラメータ値セットからパラメータサブセットに対応するパラメータ値サブセットを決定することができる。
【0060】
ステップ503:事前定義シーン1のパラメータ値サブセットに基づいて、異なるセキュリティレベルに対応するパラメータサブセットにおける各パラメータの取り得る値の範囲を決定する。
【0061】
本願の実施例では、当該事前定義シーン1のシーンセキュリティレベルが既知であるため、当該事前定義シーン1のシーンセキュリティレベル、および当該事前定義シーン1の第2のパラメータ値セットおよびパラメータ値サブセットに基づいて、異なるセキュリティレベルに対応する当該事前定義シーン1のパラメータサブセットにおける各パラメータの取り得る値の範囲を決定することができる。
【0062】
1つの可能な実施形態では、実際の使用過程において、パラメータは、単一性パラメータと非単一性パラメータに分けることができ、ここで、非単一性パラメータのパラメータ値は、パラメータサブセットにおける少なくとも1つのパラメータのパラメータ値と相関性があり、例えば、
図3に示すシーンのように、車両Aの走行方向に沿って、車両Aの前方に車両Aと同じ車線にあるとともに走行方向が同じである車両Bが存在し、車両Aと車両Bとの間の距離sが一定の数値よりも大きい場合、車両Aに対して、自車速度v1および先行車速度v2にも関わらず、当該自車速度v1と先行車速度v2はいずれも安全というレベルに分類することができる。すなわち、ある2つの強い相関性があるパラメータに対して、そのうちの1つのパラメータのセキュリティレベルが別のパラメータのセキュリティレベルに影響を与え、例えば、そのうちの1つのパラメータがある条件を満たす場合、別のパラメータがどのように変化しても同じ種類(安全/不安全/要注意)に分類できると、この2つの強い相関性があるパラメータはいずれも非単一性パラメータと呼ぶことができる。
【0063】
図6、すなわち、本願の実施例により提供されるセキュリティレベルの取り得る値の範囲を決定するフローチャートに示すように、当該方法は、
図3におけるシーンセキュリティレベル決定装置10によって実行され得る。以下、具体的なフローを説明する。
【0064】
ステップ601:事前定義シーンの走行安全に対する少なくとも2つの非単一性パラメータの重要度に基づいて、少なくとも2つの非単一性パラメータから1つの基準パラメータを決定する。
【0065】
非単一性パラメータ同士の間に影響と被影響という関係が存在し、例えば、上記の車間距離s、自車速度v1および先行車速度v2の3つの非単一性パラメータにおいて、車間距離sのセキュリティレベルが自車速度v1および先行車速度v2のセキュリティレベルに影響を与え、すなわち、自車速度v1および先行車速度v2のセキュリティレベルが車間距離sのセキュリティレベルによって決定されるため、非単一性パラメータのセキュリティレベルの取り得る値の範囲を決定する場合、段階的に決定することができ、上記の例のように、まず車間距離sのセキュリティレベルの取り得る値の範囲を決定し、次に車間距離sのセキュリティレベルの取り得る値の範囲に基づいて、自車速度v1および先行車速度v2のセキュリティレベルの取り得る値の範囲を決定することができる。
【0066】
したがって、本願の実施例では、まず事前定義シーンの走行安全に対する少なくとも2つの非単一性パラメータの重要度に基づいて、当該少なくとも2つの非単一性パラメータから1つの基準パラメータを決定することができる。例えば、上記の車間距離s、自車速度v1および先行車速度v2について、事前定義シーンの走行安全に対する速度v1、速度v2および距離sの重要度から分かるように、この3つの非単一性パラメータの重要度は距離s>速度v1>速度v2であるため、距離sを基準パラメータに決定することができる。
【0067】
ステップ602:履歴道路実測データ、履歴シミュレーションデータまたは経験値に基づいて、各セキュリティレベルでの基準パラメータの取り得る値の範囲を決定する。
【0068】
本願の実施例では、当該事前定義シーン1のシーンセキュリティレベルが既知であるため、履歴道路実測データ、履歴シミュレーションデータまたは経験値に基づいて、各セキュリティレベルでの当該基準パラメータの取り得る値の範囲を決定することができる。例えば、非単一性パラメータの車間距離sに対して、経験から分かるように、当該事前定義シーン1のシーンセキュリティレベルが3レベル(安全)である場合、車間距離sに対応する取り得る値の範囲は[1km,+∞)であるため、パラメータセキュリティレベルが3レベル(安全)である場合の当該車間距離sの取り得る値の範囲は[1km,+∞)である。
【0069】
ステップ603:各セキュリティレベルに対応する基準パラメータの取り得る値の範囲に基づいて、各セキュリティレベルに対応する少なくとも2つのパラメータのうちの残りの非単一性パラメータの取り得る値の範囲をそれぞれ決定する。
【0070】
さらに、各セキュリティレベルに対応する基準パラメータの取り得る値の範囲を決定した後、各セキュリティレベルでの当該基準パラメータの取り得る値の範囲に基づいて、各セキュリティレベルに対応する残りの非単一性パラメータのそれぞれの取り得る値の範囲をそれぞれ決定することができる。
【0071】
例えば、表2、すなわち、本願の実施例により提供される異なるセキュリティレベルでの非単一性パラメータの取り得る値の範囲を示す表に示すように、上記の例を継続的に流用すると、車間距離sのパラメータセキュリティレベルが3レベル(安全)である場合、すなわち、取り得る値の範囲が[1km,+∞)である場合、車両Aに対して、自車速度v1および先行車速度v2にもかかわらず、当該自車速度v1および先行車速度v2はいずれも3レベル(安全)というレベルに分類することができるため、3レベル(安全)での車間距離sの取り得る値の範囲[1km,+∞)に基づいて、3レベル(安全)での自車速度v1の取り得る値の範囲が任意値であると決定することができ、同様に、3レベル(安全)での先行車速度v2の取り得る値の範囲も任意値であると決定することができる。
【0072】
【0073】
勿論、単一性パラメータに対して、直接履歴道路実測データ、履歴シミュレーションデータまたは経験値に基づいて、各セキュリティレベルでの各単一性パラメータの取り得る値の範囲を決定することができる。
【0074】
1つの可能な実施形態では、以下の2つの方式によって事前定義シーンのパラメータサブセットを決定することができる。
【0075】
(1)事前定義シーンの各パラメータに対応する第1の重要度に基づいて、第2のパラメータセットから事前定義シーンのパラメータサブセットを決定することができる。
【0076】
本願の実施例では、第1の重要度は、履歴道路実測データまたは履歴シミュレーションデータに基づいて決定されるものであってもよい。
【0077】
実際に使用する場合、実車道路試験またはシミュレーション試験等の方式によって道路試験時に車両が自動運転を行う表現状況を決定することができ、例えば、当該事前定義シーンでは、異なるパラメータ値での車両の表現、例えば車両が人工接収管理を行う必要があるか否か、車両に交通事故が発生したか否か、またはシミュレーション結果が予期の効果を達成できたか否か等の状況に基づいて、事前定義シーンの安全度の定義に対する影響が最大のパラメータサブセットおよびパラメータサブセットにおける各キーパラメータに対応するパラメータ値(またはパラメータの変化範囲、変化率)をさらに決定する。勿論、実車道路試験またはシミュレーションを連続的に行って得られた結果に基づいて、パラメータサブセットおよびパラメータサブセットに含まれる各キーパラメータの変化範囲または変化率等を連続的に最適化することにより、最適なパラメータサブセットを取得するようにしてもよい。または、異なる応用シーンに対して指向性の比較的高いパラメータセットポリシーを形成する。
【0078】
(2)事前定義シーンの各パラメータに対応する第2の重要度に基づいて、第2のパラメータセットから事前定義シーンのパラメータサブセットを決定することができる。
【0079】
本願の実施例では、第2の重要度は、経験値に基づいて設置されるものであってもよい。
実際に使用する場合、順方向シーン分析の方式によって、実車道路試験またはシミュレーションでは容易に取得できないシーンに対してパラメータサブセットの決定を行うことができる。すなわち、特定のシーン、例えば大雪日の道路シーン、大霧日の道路シーン等に対して、経験値に基づいてシーンに対してキーパラメータ解析を行うことによって、事前定義シーンの安全度の定義に対する影響が最大のパラメータサブセットおよびパラメータサブセットにおける各キーパラメータに対応するパラメータ値をさらに決定することができる。
【0080】
図3に示すシーンに対して、他のシーンを定義するためのキーパラメータ、例えば車線数、車線タイプ、道路タイプ、道路勾配、信号強度等のパラメータは、
図3に示すシーンの安全に対する影響が比較的軽微であるため、経験に基づいてこれらのパラメータが
図3に示すシーンのキーパラメータではないと判定することができる。かつ、特定の環境パラメータ、例えば天気および光照などの環境パラメータに対して、システム処理能力に応じて統一的に設定することができる。
【0081】
1つの可能な実施形態では、以下の方式によって事前定義シーンのパラメータサブセットを決定することもできる。
【0082】
まず、事前定義シーンの各パラメータに対応する第1の重要度に基づいて、第2のパラメータセットから第1のパラメータサブセットを決定することができる。その後、第1のパラメータサブセットにおける各パラメータに対応する第2の重要度に基づいて、第1のパラメータサブセットから事前定義シーンのパラメータサブセットを決定する。このような方式は、履歴道路実測データ、履歴シミュレーション試験データに基づいてパラメータサブセットを決定する方式、および経験値に基づいてパラメータサブセットを決定する方式との2つの方式を総合したものであるため、決定したパラメータサブセットがより正確であり、事前定義シーンの安全に対してより影響を与えることができる。
【0083】
1つの可能な実施形態では、対照シーンを決定する場合、選択した類似シーンを目標シーンとよりマッチングさせるために類似度閾値を設定し、類似度が設定された類似度閾値より大きい事前定義シーンのみが対照シーンとして選択される可能性があるため、目標シーンと事前定義シーンとの間の類似度を計算する場合、事前定義シーンライブラリにおいて目標シーンとの間の類似度が予め設定された類似度閾値より大きい事前定義シーンが存在しないという別の状況が発生する場合があり、この場合には、車両の安全度を向上させるために、目標シーンの目標セキュリティレベルを予め設定されたセキュリティレベルに直接決定し、かつ対応する後続処理方式を設定することができる。例えば、当該目標シーンのセキュリティレベルを上記の1レベル(不安全)または2レベル(要注意)に直接決定することができる。勿論、具体的にどのようなシーンセキュリティレベルに決定するかは、ユーザの需要に応じて自ら設定することができる。
【0084】
また、後続に当該目標シーンを識別できるように、本願の実施例では、当該目標シーンを事前定義シーンライブラリに添加し、かつ上記の「事前定義シーンライブラリを構築する」というステップと合わせて当該目標シーンの第2のパラメータセット、第2のパラメータ値セット、パラメータサブセットおよびパラメータ値サブセットを決定することができる。
【0085】
以上説明したように、本願の実施例では、事前定義シーンライブラリから類似シーンを取得し、さらに、類似シーンから対照シーンを取得するという方式を用いて、目標シーンの目標セキュリティレベルを決定しているので、直接対照シーンに対応するセキュリティレベルの範囲に基づいて、目標シーンのセキュリティレベルを決定することができるため、目標シーンのセキュリティレベルの決定時間を大幅に短縮させ、未知シーンに対して対処ポリシーを迅速に取ることができ、自動運転車両のセキュリティ性能をさらに向上させることができる。同時に、パラメータサブセットは、第1のパラメータセットのサブセットであり、第1のパラメータセットにおける全てのパラメータを含まないので、目標シーンのシーンセキュリティレベルを決定する場合、計算量を減少させ、処理効率を向上させることができ、これにより、目標シーンのセキュリティレベルの決定時間をさらに短縮させ、自動運転車両のセキュリティ性能を向上させることができる。さらに、本願に示された方法は、既知シーンが安全であるか否かの判断に限定されず、未知シーンまたは既知シーンの拡張が安全であるか否かに対しても対応する判断基準および能力を有することが分かる。
【0086】
また、本願の実施例に記載の方法によれば、現在の目標シーンのセキュリティレベルを迅速に決定した後、さらに後続の処理方式を配置することができ、例えば、目標シーンのセキュリティレベルが比較的高い場合、セキュリティレベルを向上させるように必要以上の処理を行い、または自動運転システムの制御パラメータに対して対応的調整を行う必要がない。目標シーンのセキュリティレベルが比較的低い場合、自動運転システムによって車内の人員またはバックグラウンド管理者に提示情報を送信して、人工接収管理を行うように提示することによって、最終的に自動運転車両のリアルタイムなシーンに対する対処能力を向上させることができる。
【0087】
図7に示すように、同一の発明構想に基づいて、本願の実施例は、シーンセキュリティレベル決定装置70を提供し、当該装置は、
目標車両が位置する目標シーンの第1のパラメータセットおよび第1のパラメータ値セットに基づいて、事前定義シーンライブラリにおいて目標シーンとの間の類似度が設定された類似度閾値より大きい少なくとも1つの事前定義シーンが存在するか否かを判断するための類似シーン決定ユニットであって、そのうち、前記第1のパラメータセットに含まれるパラメータは、前記目標シーンに対してパラメータ値を収集できる全てのパラメータであり、パラメータ値がゼロであるパラメータを含め、第1のパラメータ値セットにおけるパラメータ値は、第1のパラメータセットにおけるパラメータに対応する、類似シーン決定ユニット701と、
少なくとも1つの事前定義シーンに応答して、少なくとも1つの事前定義シーンから1つの事前定義シーンを対照シーンとして選択する対照シーン決定ユニットであって、対照シーンは、パラメータサブセットを有し、パラメータサブセットは、目標シーンの第1のパラメータセットのサブセットである、対照シーン決定ユニット702と、
前記対照シーンのパラメータサブセットに基づいて、前記目標シーンのパラメータ値サブセットを生成するためのパラメータ値サブセット生成ユニットであって、そのうち、パラメータ値サブセットにおけるパラメータ値は、パラメータサブセットにおけるパラメータに対応し、パラメータ値サブセットは、第1のパラメータ値セットのサブセットである、パラメータ値サブセット生成ユニット703と、
パラメータサブセットおよびパラメータ値サブセットに基づいて、目標シーンの目標セキュリティレベルを決定するためのセキュリティレベル決定ユニット704と、を含む。
【0088】
選択的に、セキュリティレベル決定ユニット704は、具体的には、
異なるセキュリティレベルに対応するパラメータサブセットにおける各パラメータの取り得る値の範囲およびパラメータ値サブセットにおけるパラメータ値に基づいて、パラメータサブセットにおける各パラメータに対応するパラメータセキュリティレベルを決定し、および、
パラメータセキュリティレベルに基づいて、目標シーンの目標セキュリティレベルを決定するために用いられる。
【0089】
選択的に、装置は、事前定義シーンライブラリ構築ユニット705をさらに含み、事前定義シーンライブラリ構築ユニットは、
事前定義シーンのそれぞれに対して、
事前定義シーンの各パラメータの取り得る値に基づいて、事前定義シーンの第2のパラメータセットを決定し、そのうち、前記第2のパラメータセットに含まれるパラメータは、前記事前定義シーンに対してパラメータ値を収集できる全てのパラメータであり、パラメータ値がゼロであるパラメータを含め、
事前定義シーンの各パラメータの重要度に基づいて、第2のパラメータセットから事前定義シーンのパラメータサブセットを決定し、
第2のパラメータ値セットおよびパラメータ値サブセットに基づいて、異なるセキュリティレベルに対応するパラメータサブセットにおける各パラメータの取り得る値の範囲を決定するために用いられ、第2のパラメータ値セットにおけるパラメータ値は、第2のパラメータセットにおけるパラメータに対応し、パラメータ値サブセットにおけるパラメータ値は、パラメータサブセットにおけるパラメータに対応する。
【0090】
選択的に、事前定義シーンライブラリ構築ユニット705は、具体的には、
事前定義シーンの各パラメータに対応する第1の重要度に基づいて、第2のパラメータセットから事前定義シーンのパラメータサブセットを決定し、そのうち、第1の重要度は、履歴道路実測データまたは履歴シミュレーション試験データに基づいて決定されるものであり、または、
事前定義シーンの各パラメータに対応する第2の重要度に基づいて、第2のパラメータセットから事前定義シーンのパラメータサブセットを決定するために用いられ、そのうち、第2の重要度は、経験値に基づいて設置されるものである。
【0091】
選択的に、事前定義シーンライブラリ構築ユニット705は、具体的には、
事前定義シーンの履歴道路実測データまたは履歴シミュレーションデータにおける各パラメータの取り得る値に基づいて、事前定義シーンの第2のパラメータセットを決定し、
事前定義シーンの各パラメータに対応する第1の重要度に基づいて、第2のパラメータセットから第1のパラメータサブセットを決定し、そのうち、第1の重要度は、履歴道路実測データまたは履歴シミュレーション試験データに基づいて決定されるものであり、および、
第1のパラメータサブセットにおける各パラメータに対応する第2の重要度に基づいて、第1のパラメータサブセットから事前定義シーンのパラメータサブセットを決定するためにも用いられ、そのうち、第2の重要度は、経験値に基づいて設置されるものである。
【0092】
選択的に、事前定義シーンライブラリ構築ユニット705は、具体的には、
事前定義シーンにおいて非単一性パラメータである少なくとも2つのパラメータが存在することに応答して、
事前定義シーンの走行安全に対する少なくとも2つのパラメータの重要度に基づいて、少なくとも2つのパラメータから1つの基準パラメータを決定し、そのうち、非単一性パラメータのパラメータ値は、パラメータサブセットにおける少なくとも1つのパラメータのパラメータ値と相関性があり、
履歴道路実測データ、履歴シミュレーションデータまたは経験値に基づいて、各セキュリティレベルでの基準パラメータの取り得る値の範囲を決定し、
各セキュリティレベルに対応する基準パラメータの取り得る値の範囲に基づいて、各セキュリティレベルに対応する少なくとも2つのパラメータのうちの残りの非単一性パラメータの取り得る値の範囲をそれぞれ決定するためにも用いられる。
【0093】
選択的に、セキュリティレベル決定ユニット704は、
事前定義シーンにおいて目標シーンとの間の類似度が設定された類似度閾値より大きい少なくとも1つの事前定義シーンが存在しないことに応答して、目標シーンの目標セキュリティレベルを予め設定されたセキュリティレベルに決定するためにも用いられる。
【0094】
選択的に、事前定義シーンライブラリ構築ユニット705は、
事前定義シーンにおいて目標シーンとの間の類似度が設定された類似度閾値より大きい少なくとも1つの事前定義シーンが存在しないことに応答して、目標シーンを事前定義シーンライブラリに添加し、かつ上記の「事前定義シーンライブラリを構築する」というステップと合わせて当該目標シーンの第2のパラメータセット、第2のパラメータ値セット、パラメータサブセットおよびパラメータ値サブセットを決定するためにも用いられる。
【0095】
当該装置は、
図3~
図6に示す実施例に記載の方法を実行するために用いられることができるため、当該装置の各機能モジュールが実現できる機能等については
図3~
図6に示す実施例の説明を参照することができるので、説明を省略する。なお、
図7における破線枠で示される機能ユニットは、当該装置に対して不必要な機能ユニットである。
【0096】
図8に示すように、同一の技術構想に基づいて、本願の実施例は、メモリ801およびプロセッサ802を含み得るコンピュータ機器80をさらに提供する。
【0097】
前記メモリ801は、プロセッサ802が実行するコンピュータプログラムを記憶するために用いられる。メモリ801は、主にプログラム記憶エリアとデータ記憶エリアとを含むことができ、プログラム記憶エリアは、オペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラムなどを記憶することができ、データ記憶エリアは、コンピュータ機器の使用に応じて作成されるデータなどを記憶することができる。プロセッサ802は、中央処理装置(Central processing unit、CPU)、またはデジタル処理装置等であってもよい。本願の実施例では、上記メモリ801とプロセッサ802との間の具体的な接続媒体を限定しない。本願の実施例では、
図8において、メモリ801とプロセッサ802との間はバス803によって接続され、バス803は、
図8において太線で示され、他の部材同士の間の接続方式は、例示的に説明するものだけであり、これに限定されるものではない。前記バス803は、アドレスバス、データバス、コントロールバスなどに分けることができる。表示の便宜上、
図8において1本の太線のみで示されているが、1本のバスまたは1種類のバスのみが存在することを示さない。
【0098】
メモリ801は、揮発性メモリ(volatile memory)、例えばランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM)であってもよいし、不揮発性メモリ(non-volatile memory)、例えばリードオンリーメモリ、フラッシュメモリ(flash memory)、ハードディスクドライブ(hard disk drive、HDD)またはソリッドステートドライブ(solid-state drive、SSD)であってもよいし、またはメモリ801は、命令またはデータ構造形式を有する所望のプログラムコードを携帯または記憶に使用可能であって、かつコンピュータがアクセス可能な任意の他の媒体であってもよいが、これに限定されない。メモリ801は、上記メモリの組み合わせであってもよい。
【0099】
プロセッサ802は、前記メモリ801に記憶されるコンピュータプログラムを呼び出す時に
図3~
図6に示す実施例における機器により実行される方法を実行するために用いられる。
【0100】
いくつかの可能な実施形態では、本願により提供される方法の様々な態様は、プログラムコードを含むプログラム製品の形態として実現することもでき、前記プログラム製品がコンピュータ機器で動作する場合、前記プログラムコードは、本明細書で前述した本願の様々な例示的な実施形態に係る方法におけるステップを前記コンピュータ機器に実行させるために用いられ、例えば、前記コンピュータ機器は、
図3~
図6に示す実施例に記載の方法を実行することができる。
【0101】
当業者が理解できるように、上記の方法実施例の全部または一部のステップの実現は、プログラム命令に関するハードウェアによって完成することができ、前記プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することができ、当該プログラムが実行される場合、上記の方法実施例のステップが実行される。前記記憶媒体は、モバイル記憶装置、リードオンリーメモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスクまたは光ディスクなどのプログラムコードを記憶できる様々な媒体を含む。または、本発明における上記の集積されたユニットがソフトウェア機能モジュールの形態で実現され、かつ独立した製品として販売または使用される場合、1つのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づいて、本発明の実施例の技術案は本質上または先行技術に貢献する部分は、ソフトウェア製品の形態で具現化することができ、当該コンピュータソフトウェア製品は、1つの記憶媒体に記憶され、1台のコンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワーク機器などであってもよい)に本発明の各実施例に記載される方法の全部または一部を実行させるための若干の命令を含む。前記記憶媒体は、モバイル記憶装置、ROM、RAM、磁気ディスクまたは光ディスクなどの様々なプログラムコードを記憶できる媒体を含む。
【0102】
以上、本願の好適な実施例について説明したが、当業者であれば、基本的な進歩性のある概念を知ると、これらの実施例に対して他の変更や修正を加えることが可能である。従って、添付の特許請求の範囲は、好適な実施例および本願の範囲に含まれる全ての変更および修正を含むと解釈されるべきである。
無論、当業者は、本願の精神と範囲から逸脱することなく、本願に対して様々な修正や変更を行うことができる。このように、本願のこれらの修正や変更が本願の特許請求の範囲およびその同等な技術範囲内にある場合、本願は、これらの修正や変更を含むことも意図している。