(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035920
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】医療用光ポインティングシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/20 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
G02B27/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131581
(22)【出願日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2021139764
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390022806
【氏名又は名称】日本ピストンリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】松島 寛
(72)【発明者】
【氏名】後上 貴星
(72)【発明者】
【氏名】今西 俊介
(72)【発明者】
【氏名】中口 俊哉
(57)【要約】
【課題】使い勝手の良い医療用光ポインティングシステムを提供する。
【解決手段】医療用光ポインティングシステム1は、ディスプレイ500の前面に装着される光拡散シート10と、光拡散シート10に対してポインティング用のポイント光Lを照射する光源モジュール24を内蔵するポインティング装置20と、ポインティング装置20を医療従事者の頭部に固定する固定具40と、ポインティング装置20に電力を供給する電源部50と、医療従事者の足によって操作されて光源モジュール24によるポイント光の照射・非照射を切り替えるフットスイッチ60を備えるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器のディスプレイの前面に装着される光拡散シートと、
前記光拡散シートに対してポインティング用のポイント光を照射する光源モジュールを内蔵するポインティング装置と、
前記ポインティング装置を、医療従事者の頭部に固定する固定具と、
前記ポインティング装置に電力を供給する電源部と、
前記医療従事者の足によって操作されて、前記光源モジュールによる前記ポイント光の照射・非照射を切り替えるフットスイッチと、
を備えることを特徴とする医療用光ポインティングシステム。
【請求項2】
ポインティング用のポイント光を照射する光源モジュールを内蔵するポインティング装置と、
前記ポインティング装置を、医療従事者の頭部に固定する固定具と、
前記頭部以外の場所に配置されて、前記ポインティング装置に電力を供給する電源部と、
前記医療従事者の足によって操作されて、前記光源モジュールによる前記ポイント光の照射・非照射を切り替えるフットスイッチと、
を備えることを特徴とする医療用光ポインティングシステム。
【請求項3】
ポインティング用のポイント光を照射する光源モジュールを内蔵するポインティング装置と、
前記ポインティング装置を、医療従事者の頭部に固定する固定具と、
前記ポインティング装置に電力を供給する電源部と、
前記医療従事者の足によって操作されて、前記光源モジュールによる前記ポイント光の照射・非照射を切り替えるフットスイッチと、を備え、
前記ポイント光の主色が、青または緑であること
を特徴とする医療用光ポインティングシステム。
【請求項4】
医療機器のディスプレイの前面に装着される光拡散シートを備え、
前記ポインティング装置は、前記光拡散シートに対してポインティング用のポイント光を照射することを特徴とする、
請求項2または3に記載の医療用光ポインティングシステム。
【請求項5】
前記電源部は、前記医療従事者の前記頭部以外の場所に配置されることを特徴とする、
請求項1または3に記載の医療用光ポインティングシステム。
【請求項6】
前記ポイント光の主色が、青または緑であること
を特徴とする請求項1または2に記載の医療用光ポインティングシステム。
【請求項7】
前記フットスイッチと前記ポインティング装置を接続する接続配線と、
前記接続配線の途中に設けられて、前記接続配線を途中で分離可能なコネクタと、を備えることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の医療用光ポインティングシステム。
【請求項8】
前記接続配線における前記ポインティング装置から前記コネクタまでの長さが、50cm以上且つ200cm以下であることを特徴とする、
請求項7に記載の医療用光ポインティングシステム。
【請求項9】
前記フットスイッチと前記ポインティング装置を接続する接続配線と、
前記接続配線の途中に設けられて、前記接続配線を前記医療従事者に固定する係合部と、を備えることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の医療用光ポインティングシステム。
【請求項10】
前記接続配線における前記ポインティング装置から前記係合部までの長さが、10cm以上且つ150cm以下であることを特徴とする、
請求項9に記載の医療用光ポインティングシステム。
【請求項11】
前記フットスイッチに併設されて該フットスイッチの移動を抑止する錘部を備えることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の医療用光ポインティングシステム。
【請求項12】
前記フットスイッチを覆う袋状のカバーを備えることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の医療用光ポインティングシステム。
【請求項13】
前記フットスイッチと前記電源部が一体化されることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の医療用光ポインティングシステム。
【請求項14】
前記ポインティング装置は、
前記ポイント光の主色が青または緑となる第一の前記光源モジュールと、
前記ポイント光の主色が赤となる第二の前記光源モジュールと、を内蔵することを特徴とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の医療用光ポインティングシステム。
【請求項15】
前記光拡散シートのヘイズ値が50%以上であることを特徴とする、
請求項1に記載の医療用光ポインティングシステム。
【請求項16】
前記光拡散シートのヘイズ値が50%以上であることを特徴とする、
請求項4に記載の医療用光ポインティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療現場で利用される光ポインティングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場では、医療機器のモニターに対して、医療従事者がレーザポインタ等によって特定の箇所を指示することが行われている。手術担当者等は、医療器具を両手で操作している場合が多いことから、レーザポインタを眼鏡に固定して頭部に装着し、頭部の移動によって、指示箇所を操作することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のレーザポインタは、医療現場において必ずしも使い勝手が良好ではないという問題があった。本発明は、斯かる実情に鑑み、使い勝手が良好な医療用光ポインティングシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明は、医療機器のディスプレイの前面に装着される光拡散シートと、前記光拡散シートに対してポインティング用のポイント光を照射する光源モジュールを内蔵するポインティング装置と、前記ポインティング装置を、医療従事者の頭部に固定する固定具と、前記ポインティング装置に電力を供給する電源部と、前記医療従事者の足によって操作されて、前記光源モジュールによる前記ポイント光の照射・非照射を切り替えるフットスイッチと、を備えることを特徴とする医療用光ポインティングシステムである。
【0006】
上記目的を達成する本発明は、ポインティング用のポイント光を照射する光源モジュールを内蔵するポインティング装置と、前記ポインティング装置を、医療従事者の頭部に固定する固定具と、前記頭部以外の場所に配置されて、前記ポインティング装置に電力を供給する電源部と、前記医療従事者の足によって操作されて、前記光源モジュールによる前記ポイント光の照射・非照射を切り替えるフットスイッチと、を備えることを特徴とする医療用光ポインティングシステムである。
【0007】
上記目的を達成する本発明は、ポインティング用のポイント光を照射する光源モジュールを内蔵するポインティング装置と、前記ポインティング装置を、医療従事者の頭部に固定する固定具と、前記ポインティング装置に電力を供給する電源部と、前記医療従事者の足によって操作されて、前記光源モジュールによる前記ポイント光の照射・非照射を切り替えるフットスイッチと、を備え、前記ポイント光の主色が、青または緑であることを特徴とする医療用光ポインティングシステムである。
【0008】
上記医療用光ポインティングシステムに関連して、医療機器のディスプレイの前面に装着される光拡散シートを備え、前記ポインティング装置は、前記光拡散シートに対してポインティング用のポイント光を照射することを特徴とできる。
【0009】
上記医療用光ポインティングシステムに関連して、前記電源部は、前記医療従事者の前記頭部以外の場所に配置されることを特徴とできる。
【0010】
上記医療用光ポインティングシステムに関連して、前記ポイント光の主色が、青または緑であることを特徴とできる。
【0011】
上記医療用光ポインティングシステムに関連して、前記フットスイッチと前記ポインティング装置を接続する接続配線と、前記接続配線の途中に設けられて、前記接続配線を途中で分離可能なコネクタと、を備えることを特徴とできる。
【0012】
上記医療用光ポインティングシステムに関連して、前記接続配線における前記ポインティング装置から前記コネクタまでの長さが、50cm以上且つ200cm以下であることを特徴とできる。
【0013】
上記医療用光ポインティングシステムに関連して、前記フットスイッチと前記ポインティング装置を接続する接続配線と、前記接続配線の途中に設けられて、前記接続配線を前記医療従事者に固定する係合部と、を備えることを特徴とできる。
【0014】
上記医療用光ポインティングシステムに関連して、前記接続配線における前記ポインティング装置から前記係合部までの長さが、10cm以上且つ150cm以下であることを特徴とできる。
【0015】
上記医療用光ポインティングシステムに関連して、前記フットスイッチに併設されて該フットスイッチの移動を抑止する錘部を備えることを特徴とできる。
【0016】
上記医療用光ポインティングシステムに関連して、前記フットスイッチを覆う袋状のカバーを備えることを特徴とできる。
【0017】
上記医療用光ポインティングシステムに関連して、前記フットスイッチと前記電源部が一体化されることを特徴とできる。
【0018】
上記医療用光ポインティングシステムに関連して、前記ポインティング装置は、前記ポイント光の主色が青または緑となる第一の前記光源モジュールと、前記ポイント光の主色が赤となる第二の前記光源モジュールと、を内蔵することを特徴とできる。
【0019】
上記医療用光ポインティングシステムに関連して、前記光拡散シートのヘイズ値が50%以上であることを特徴とできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、使い勝手が良好な医療用光ポインティングシステムを得ることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(A)は、本発明の実施形態にかかる医療用光ポインティングシステムの全体構成を示す図であり、(B)は同医療用光ポインティングシステムの光拡散シートを拡大して示す断面図であり、(C)は光ドットの変形例を示す図である。
【
図2】(A)は、同医療用光ポインティングシステムのポインティング装置を拡大して示す断面図であり、(B)は同医療用光ポインティングシステムのフットスイッチの平面図であり、(C)は(B)におけるC-C矢視断面図である。
【
図3】(A)は同医療用光ポインティングシステムのポインティング装置及び固定具を示す側面図であり、(B)は(A)におけるB-B矢視断面図である。
【
図4】(A)から(C)は、同ポインティング装置及び固定具を、装身部材に装着する態様を示す斜視図である。
【
図5】同医療用光ポインティングシステムの使用状態を示す図である。
【
図6】(A)は、同医療用光ポインティングシステムの第一変形例を示す図であり、(B)は第二変形例を示す図である。
【
図7】(A)は、同医療用光ポインティングシステムの第三変形例を示す図であり、(B)は第四変形例を示す図である。
【
図8】(A)は、第五変形例の医療用光ポインティングシステムのポインティング装置を拡大して示す断面図であり、(B)は同医療用光ポインティングシステムのフットスイッチの平面図であり、(C)は(B)におけるC-C矢視断面図である。
【
図9】(A)は、第六変形例の医療用光ポインティングシステムを示す図であり、(B)は同医療用光ポインティングシステムの係合部を拡大して示す斜視図である。
【
図10】同第六変形例の医療用光ポインティングシステムのフットスイッチを拡大して示す斜視図である。
【
図11】同第六変形例の医療用光ポインティングシステムの使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0023】
図1(A)に、本実施形態の医療用光ポインティングシステム1の全体構成を示す。医療用光ポインティングシステム1は、医療機器のディスプレイ500の前面に装着される光拡散シート10と、光拡散シート10に対してポインティング用のポイント光Lを照射する光源モジュール24を内蔵するポインティング装置20と、ポインティング装置20を医療従事者の頭部に固定する固定具40と、ポインティング装置20に電力を供給する電源部50と、医療従事者の足によって操作されて光源モジュール24によるポイント光Lの照射・非照射を切り替えるフットスイッチ60を備える。
【0024】
(光拡散シート)
図1(B)に光拡散シート10の断面を拡大して示す。光拡散シート10は、透明ベース層12および光拡散層14が積層された構造となる。透明ベース層12は、例えばPET樹脂等の光透過性材料から構成されるシート又はフィルムとなる。光拡散層14は、透明ベース層12と反対側の表面14Aから入射するポイント光Lを放射状に拡散反射することで拡散光Kとする機能を有する。結果、表面14A側の周囲のあらゆる角度から、ポイント光Lによって指示された光ドットDを視認することが可能となる。一方、透明ベース層12における光拡散層14と反対側の表面12Aから入射するディスプレイ500の映像は、できる限り追加拡散させずに、光拡散シート10をそのまま透過するようになっている。光拡散シート10を2枚以上重ねて利用してもよい。
【0025】
光拡散層14は、様々な種類が存在するが、例えば、透明樹脂に球状フィラーを分散させた状態で層状/シート状に固化させることで、球状フィラーによって表面14Aに微細凹凸を形成する態様や、微細凹凸を有する原版上で透明樹脂を固化させることで表面14Aに微細凹凸形状を転写する態様、硬化後の光拡散層14の表面14Aにサンドブラスト等によって微細凹凸を事後形成する態様、ポリマー樹脂等を相分離させることで表面14Aに微細凹凸を形成する態様等を選択できる。
【0026】
光ドットDの視認性を高めるために、光拡散シート10のヘイズ値は50%以上が好ましく、より好ましくは70%以上とする。一方で、ディスプレイ500の映像の劣化を防ぐために、光拡散シート10の全光線透過率は70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上とする。
【0027】
例えば、光拡散シート10として、例えば、厚みが0.1mm~0.4mm程度(具体的には0.2mm)のラミネートフィルムを利用できる。ラミネートフィルムは、例えば、ポリプロピレン又はポリエステルの透明ベース層12に対して、光拡散層14として機能する接着層が積層される構造としてもよい。このラミネートフィルムを複数枚重ねて利用することもできる。
【0028】
(ポインティング装置)
図2(A)に示すように、ポインティング装置20は、円筒状の筐体22と、筐体22の内部に収容される光源モジュール24と、筐体22の内部に収容され、光源モジュール24に供給する電力(電流・電圧)を制御する光源駆動回路30を有する。光源モジュール24は、例えばポイント光Lとなるレーザ光を照射するレーザダイオード25と、このレーザ光の光路に配置されてレーザ光を平行光(直線光)とするコリメータレンズ26と、これらの周囲を覆う金属製ケース27を有する。なお、レーザダイオード25は、青色(波長400nmから500nm)、緑色(波長500nmから555nm)、赤色(波長630nmから680mm)をピーク波長とするものを適宜選択できるが、本実施形態では、青色(波長400nmから500nm)または緑色(波長500nmから555nm)のレーザダイオード25を選択する。
【0029】
医療機器のディスプレイ500には、血液を含む赤色の体内映像が映し出させることが多い。そこで、光拡散シート10上に、青色(波長400nmから500nm)または緑色(波長500nmから555nm)の光ドットDを形成することで、ディスプレイ500の映像光と加法混色されて、ピンク色(青色と赤色の原色混合)または黄色(緑色と赤色の原色混合)に明るく輝く効果が得られる。ちなみに、赤色のレーザダイオード25では、光ドットDがディスプレイ500の体内映像に紛れ込みやすく、視認性が悪化する。
【0030】
なお、本実施形態では、光源モジュール24がレーザダイオード25を備える場合を例示したが、LEDを採用することもできる。
【0031】
光源駆動回路30は、電源部50から供給される直流電圧を、光源モジュール24に適した電流・電圧に変換するドライバ回路となる。従って、光源駆動回路30の入力側端子には、電源部50と接続される一対の接続配線37が接続され、出力側端子には、レーザダイオード25の端子が接続される。例えば光源駆動回路30は、電源部50から供給される直流電圧を昇圧または降圧するレギュレータ回路32と、レギュレータ回路32によって調整された電圧を一定化(定電圧化または定電流化)する安定化回路34を有する。接続配線37は、電力または制御信号を伝達する配線となる。
【0032】
筐体22は、有底状の筒部材となっており、前側の端面にポイント光Lを放出するための開口を有する。後端の端面には接続配線37が挿入されている。なお、本実施形態では、組み立て作業のために、筐体22が、前側筐体22Aと後側筐体22Bに分離自在となっている。なお、滅菌消毒等の必要性に鑑みて、筐体22は防水仕様であることが好ましく、開口は透明樹脂や透明ガラス22Cによって封止されるようにし、接続配線37の出入り口も樹脂や接着剤で封止されるようにする。なお、この透明ガラス22Cにおける前又は後に、レンズやフィルタを配置することで、光ドットDの形状やサイズを調整することもできる。例えば、
図1(C)の光ドットD1のように、ポイント光Lを、フィルタの円環状のスリットを通過させることで円環形状にしたり、光ドットD2のように矩形環形状にしたりできる。更に、
図1(C)の光ドットD3のような十字形状や、
図1(C)の光ドットD4のような×字形状にすることもできる。また更に、
図1(C)の光ドットD5,D6のように、円環形状や矩形環形状の内部に、ドットや環形状等を有する二重構造にしてもよい。光ドットDの最大外径は、例えば3.0mm以上に設定することが好ましい。手術中は、光ドットDを素早く視認する必要があるからである。
【0033】
(固定具)
図3及び
図4に示すように、固定具40は、眼鏡やゴーグル、被服等の医療従事者の装身部材Sにポインティング装置20を固定する治具となる。固定具40は、装身部材Sを保持する基部42と、基部42に対してポインティング装置20の筐体22を揺動自在に支持する変位部46を有する。基部42は、ここでは鉛直方向に延びる複数本(ここでは三本)の爪43を備えており、この爪43によって装身部材Sを挟持する。変位部46は、水平軸47Aに沿ってポインティング装置20を鉛直方向に揺動させる鉛直揺動部47と、鉛直軸48Aに沿ってポインティング装置20を水平方向に揺動させる水平揺動部48を有する。これにより、装身部材Sに対して、ポインティング装置20の光軸方向を上下左右に自在に調整可能となる。なお、この爪43は、開閉自在なクリップ構造であることも好ましい。
【0034】
(フットスイッチ)
図2(B)及び(C)に示すように、フットスイッチ60は、医療従事者の足裏によって押圧される受圧部62と、受圧部62を上下方向(足による押圧方向)に移動自在に支持するベース筐体64と、ベース筐体64内に配置されて受圧部62を上方向に付勢するスプリング等の付勢部材66と、受圧部62の上下動に連動して、ポインティング装置20における光源モジュール24の発光・非発光等を切り替えるスイッチ部68を有する。フットスイッチ60の筐体の底面には、床面に対する滑り止めとして機能する部材(例えばゴム等)を設けることもできる。
【0035】
なお、本実施形態のスイッチ部68は、電源部50から電力が供給される接続配線37の導通経路に配置され、接続配線37の導通を機械的にON・OFFする可動接点となる。このスイッチ部68の機械的なスイッチ動作は、オルタネート方式が好ましく、受圧部62を1回往復動作させると、導通・非道通が切り替わってその状態が保持される。医療従事者は、OFF状態において、付勢部材66の付勢力に抗して受圧部62を1回押し下げて復帰させると、ポインティング装置20のポイント光Lが継続的に点灯するON状態に切り替わってその状態が維持される。これにより、ON状態においても、他の医療機器のフットスイッチを操作することが可能となる。その後、ON状態において受圧部62を1回押し下げて復帰させると、ポインティング装置20のポイント光Lが消灯するOFF状態に切り替わり、その状態が維持される。
【0036】
なお、本実施形態では、オルタネート方式のフットスイッチ60を例示したが、本発明はこれに限定されず、受圧部62を押し下げている間のみ、ポインティング装置20のポイント光Lが継続的に点灯するON状態となるモーメンタリ方式を採用できる。また、本実施形態では、スイッチ部68が可動接点を有する場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、ON状態・OFF状態を意味する制御信号を生成してもよい。この制御信号を、光源駆動回路30に入力することで、光源駆動回路30側が光源モジュール24への電力供給のON状態・OFF状態を切り替えることができる。
【0037】
図1に戻って、フットスイッチ60及び/または電源部50から延びる接続配線37は、その途中に、互いに着脱自在な第一接続部38Aと第二接続部38Bを有するコネクタ38が配置される。第一接続部38Aと第二接続部38Bを分離することで、ポインティング装置20とフットスイッチ60を分離できる。詳細に、接続配線37は、ポインティング装置20と第一接続部38Aをつなぐ上部配線37Aと、第二接続部38Bとフットスイッチ60及び/または電源部50をつなぐ下部配線37Bを有する。ポインティング装置20及びそれから延びる上部配線37Aは、清潔であることが望ましく、例えば、使用の都度、滅菌処理を施すことが好ましいため、滅菌処理時に、コネクタ38を利用して、ポインティング装置20を、フットスイッチ60及び/または電源部50から切り離す。
【0038】
ポインティング装置20側の上部配線37Aは、50cm以上であることが好ましく、より望ましくは100cm以上とする。これにより、手術用ガウンの裾近傍に第一接続部38Aを配置できる。更に上部配線37Aは、200cm以下が好ましく、より望ましくは170cm以下、更に好ましくは150cm以下とする。これにより、移動時に、医療従事者の足に上部配線37Aが絡まったり、上部配線37Aを靴で踏みつけてしまったりする事態を抑止できる。フットスイッチ60側の下部配線37Bは、50cm以上であることが好ましく、より望ましくは100cm以上とし、さらに望ましくは150cm以上とする。更に下部配線37Bは、300cm以下であることが好ましく、より望ましくは200cm以下とする。
【0039】
(電源部)
電源部50は、電池52と、この電池52を収容する電池ケース54によって構成される。電池52としては、例えば単一、単二、単三、単四、単五等の乾電池を複数本備えることが好ましく、長時間にわたって電池交換を不要とすることができる。電池52として、充電タイプの乾電池を用いてもよい。さらに電池52としてリチウムイオンバッテリー等を採用してもよい。
【0040】
電源部50は、フットスイッチ60のベース筐体64内に配置されることで、両者が一体化されている。このように、電源部50が、ポインティング装置20から分離されることで、ポインティング装置20の重量(接続配線37および固定具40を除く)を、20グラム以下、望ましくは15グラム以下、さらに好ましくは10グラム以下にすることができる。結果、眼鏡等の装身部材Sに作用する荷重を軽減できるので、装身部材Sが頭部からずれ落ちることを抑止できる。なお、例えば単三乾電池は1本で20グラム以上となることから、従来のポインティングデバイスでは、全重量の50%以上を電池が占める結果となり、頭部への負担も大きかった。これを解消するために、電源として軽量なボタン電池等を利用することも考えられるが、そうすると、連続点灯時間が数時間と短すぎるため、手術自体が長時間に亘る医療現場では、使い勝手が悪い。なお、電源部50とフットスイッチ60の一体化は、ベース筐体64内に電源部50を収容する場合に限られず、電源部50の電池ケース54と、フットスイッチ60のベース筐体64が、何らかの形態で連結されている場合を含む。
【0041】
本実施形態の電源部50は、医療従事者の頭部以外の場所(ここでは床)に配置される結果、電池52の本数を増やすことが出来るので、長時間の連続照射を実現でき、さらに電池52の交換・充電頻度を抑制できる。例えば医療現場の長時間の手術を考慮して、電源部50による連続点灯時間が20時間以上、望ましくは30時間以上、さらに好ましくは50時間以上に設定することが好ましい。また本実施形態のように、電源部50をフットスイッチ60と一体化することで、医療用光ポインティングシステム1の部品点数が少なくなり、保管庫での保管や手術室における設置作業が容易化される。
【0042】
なお、本実施形態では、電源部50が蓄電池タイプを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、電源部50が、AC電源用のコンセント及びこれから延びる電力配線と、この電力配線から供給されるAC電圧をDC電圧に変換するAC-DCコンバータとを備えるようにしても良い。
【0043】
(装着手順)
図5に、医療現場における医療用光ポインティングシステム1の使用例を示す。フットスイッチ60及び下部配線37Bは、手術室における手術台の足元に予め配置しておく。なお、フットスイッチ60は、足による操作時に滑って前方に移動しやすいため、フットスイッチ60の奥側(手術台側)に、フットスイッチ60よりも重い錘部600を配置しておくことが好ましい。この錘部600にフットスイッチ60が係合することで、フットスイッチ60の前方への移動を抑止できる。更に、フットスイッチ60には、袋状のカバー650を被せておくことが好ましい。手術中は、患者の血液や体液等が足元に飛散する。手術毎に、このカバー650を交換することで、フットスイッチ60を常に清潔に維持できる。手術室に入室後、手術担当者は患者や手術器具以外のものに手を触れないことが望まれる。そこで、医療従事者は、前室において、ポインティング装置20を、固定具40を介してゴーグルに固定して角度を調整し、上部配線37Aを、上着の前身頃に這わした姿勢にしてから、手術前手洗いを実施する。次いで、介助者と協力して上部配線37Aを外側から覆い隠すようにして、手術用ガウン700を着用する。結果、手術用ガウン700の裾近傍に、上部配線37A側の第一接続部38Aが垂下した状態となる。その後、手術担当者が手術室に入室して手術台に到着したら、介助者が、フットスイッチ60側の第二接続部38Bを第一接続部38Aに接続して、手術準備を整える。
【0044】
(操作例)
図5では、2名の手術担当者によって腹腔鏡手術を行っている状態を示す。各手術担当者は、それぞれ、医療用光ポインティングシステム1のポインティング装置20を装着している。各手術担当者の足元には、医療用光ポインティングシステム1のフットスイッチ60(電源部50)が配置される。腹腔鏡手術では、内視鏡カメラによって撮影される映像をディスプレイ500で確認しながら、鉗子や電気メスを操作する。このディスプレイ500の前面には、光拡散シート10が予め固定される。医療従事者同士において、映像内(術野内)の特定の場所を指示する場合、フットスイッチ60によってポインティング装置20をON状態にして、ポイント光Lを光拡散シート10に照射して光ドットDを形成する。光ドットDの位置は、頭部の角度によって操作する。
【0045】
この医療用光ポインティングシステム1では、両手を使用せずに光ドットDによって特定の場所を指示できるので、円滑な手術が実現される。更に、ポインティング装置20は、例えば10グラム以下に構成できるので、ゴーグル等の装身部材Sの装着時に違和感が生じにくい。また、重量の大きい電源部50が、フットスイッチ60側に配置されるので、手術担当者に対して、重力による違和感をほとんど生じさせないで済む。更に、光拡散シート10を配置することで、そこに形成される光ドットDを様々な角度から視認できるので、複数名の医療従事者で共通の光ドットDを同時に視認可能となる。なお、一方の手術担当者が、他方の手術担当者の指導者であることも多い。この場合、他方の手術担当者が、ディスプレイ500を見ながら鉗子や電気メスを操作する過程で、一方の手術担当者(指導者)が、ディスプレイ500に対して、医療用光ポインティングシステム1を利用して、光ドットDによって特定の場所を指示しながら指導できる。
【0046】
更に医療用光ポインティングシステム1では、光ドットDの主色が青または緑であることから、内視鏡カメラの赤色(血液色)の映像と組み合わされて明るい色となる結果、視認性が極めて高くなり、指示場所の誤認を抑止できる。また、本事例のように、複数名が同時に医療用光ポインティングシステム1を利用する場合、一方の医療用光ポインティングシステム1の光ドットDの色及び/又は形状と、他方の医療用光ポインティングシステム1の光ドットDの色及び/又は形状を、互いに異ならせることも望ましい。例えば、一方の光ドットDの色を「青」とし、他方の光ドットDの色を「緑」にできる。
【0047】
図5では腹腔鏡手術を例示したが、通常の開腹手術においても医療用光ポインティングシステム1を利用できる。この場合は、光拡散シート10を省略し、実際の術野において臓器の特定の位置に対して、ポインティング装置20のポイント光Lを照射して臓器上に光ドットDを形成すればよい。この場合においても、光ドットDの主色が青または緑であることから、臓器の赤色との差異が大きいため、視認性が極めて高くなる。
【0048】
(第一変形例)
図6(A)に、上記医療用光ポインティングシステム1の第一変形例を示す。ここでは、電源部50とフットスイッチ60が別々となっており、有線の接続配線37で接続されている。電源部50は、手術室の足元に配置してもよく、また、医療従事者のポケットに配置したり、ベルトに固定したりしてもよい。電源部50を、医療従事者のポケット等に装着する場合、コネクタ38(第一接続部38A及び第二接続部38B)を、接続配線37の途中における電源部50とフットスイッチ60の間に設けることが望ましい。電源部50自体が、第一接続部38A(コネクタ38の一部)を兼ねることもできる。
【0049】
(第二変形例)
図6(B)に、上記医療用光ポインティングシステム1の第二変形例を示す。ここでは、電源部50とフットスイッチ60が別々となっており、電源部50とフットスイッチ60が無線配線で接続される。この場合、電源部50とフットスイッチ60には、互いに無線通信を行うための通信モジュール70A、70Bが配置される。フットスイッチ60には、通信モジュール70Bを駆動するための電池72が内蔵される。電源部50には、受信した操作信号に基づいてポインティング装置20に供給する電力を切り替える制御装置76が配置される。フットスイッチ60に対する入力操作は、スイッチ部68によって操作信号に変換され、通信モジュール70A、70Bによって電源部50に送信される。操作信号を受信した電源部50は、制御装置76によって、ポインティング装置20のON状態とOFF状態を切り替える。
【0050】
(第三変形例)
図7(A)に、上記医療用光ポインティングシステム1の第三変形例を示す。ここでは、ポインティング装置20が、主色が青または緑となる(第一の)光源モジュール24および(第一の)光源駆動回路30に加えて、主色が赤となる第二の光源モジュール84および第二の光源駆動回路90を内蔵する。なお、第二の光源モジュール84および第二の光源駆動回路90の構成は、第一の光源モジュール24および第一の光源駆動回路30と同じであるため、説明を省略する。電源部50と第一の光源駆動回路30は、第一接続配線37で接続される。電源部50と第二の光源駆動回路90は、第二接続配線87で接続される。
【0051】
フットスイッチ60に設けられるスイッチ部68は、医療従事者の押し下げ動作に連動して、第一接続配線37を介して第一の光源モジュール24および第一の光源駆動回路30に電力を供給する第一ON状態と、第二接続配線87を介して第二の光源モジュール84および第二の光源駆動回路90に電力を供給する第二ON状態と、第一及び第二接続配線37,87を介して両者を点灯させる全ON状態、両者を消灯させる全OFF状態の4つの態様を選択的に切り替えるようにする。なお、両者を点灯させる全ON状態では、青色または緑色の光ドットと、赤色の光ドットが重畳又は並列状態となる。重畳させる場合、光ドットを二重構造として、内側を一方色、外側を他方色としてもよい。
【0052】
このようにすると、例えば、第一ON状態の青色または緑色の光ドットDの視認性が悪い場合に、第二ON状態または全ON状態の光ドットDに切り替えることができる。例えば、摘出部位を、インジコカルミン等の着色料を含有するヒアルロン注射等で緑や青で染色した場合は、赤色の光ドット成分を含めることで、視認性を向上させることができる。
【0053】
(第四変形例)
図7(B)に、上記医療用光ポインティングシステム1の第四変形例を示す。ここでは、ポインティング装置20が、主色が青または緑となる(第一の)光源モジュール24に加えて、主色が赤となる第二の光源モジュール84を内蔵する。なお、第二の光源モジュール84の構成は、第一の光源モジュール24と同じであるため、説明を省略する。ポインティング装置20は、光源駆動回路30に加えて、この光源駆動回路30の出力を、第一の光源モジュール24・第二の光源モジュール84のいずれかに選択的に導通させる切り替え回路95を有する。なお、この切り替え回路95の切り替え動作は、ポインティング装置20の筐体から外部に突出される操作スイッチ96によって手動で実行される。フットスイッチ60によってON状態にすると、切り替え回路95によって選択される第一の光源モジュール24または第二の光源モジュール84が点灯する。
【0054】
(第五変形例)
図8(A)~(C)に、上記医療用光ポインティングシステム1の第五変形例を示す。ここでは、ポインティング装置20には、光源モジュール24が内蔵されるが、光源駆動回路30が内蔵されない。これによりポインティング装置20が一層軽量化される。光源駆動回路30は、フットスイッチ60または電源部50に内蔵される。この第五変形例では、光源駆動回路30によって制御済みの電力が、接続配線37を経由してポインティング装置20に供給される。
【0055】
(第六変形例)
図9~
図11に、上記医療用光ポインティングシステム1の第六変形例を示す。フットスイッチ60は、ベース筐体64に対して揺動自在に設けられてベース筐体64内のスイッチ部(図示省略)を操作するペダル69A(受圧部62)と、電源ボタン69Bと、を備えている。更にベース筐体64の側面には、接続配線37を着脱自在に接続可能なコネクタ69Cが設けられる。なお、フットスイッチ60のベース筐体64の底面には、床面に対する滑り止めとして機能する部材(例えばゴム等)が設けられる。
【0056】
フットスイッチ60のベース筐体64の上面には、電源部50の電池ケース54が固定されている。電池ケース54内には電池(図示省略)が収容される。電池の電力は、特に図示しない内部配線によって、ベース筐体64の内部のスイッチ部(図示省略)及び電源ボタン69Bを経由して、コネクタ69Cに案内される。結果、電源ボタン69BをONにしてから、ペダル69Aを押し下げると、スイッチ部が操作されて、コネクタ69Cに電力が供給されるようになっている。
【0057】
接続配線37の途中には、この接続配線37を医療従事者の上半身の被服に固定するための係合部900が設けられる。
図9(B)の通り、本実施形態では係合部900がクリップ構造となっており、弾性ヒンジ部910と、弾性ヒンジ部910の一方側に設けられる一対の操作部912と、弾性ヒンジ部910の他方側に設けられる一対の把持部914と、接続配線37を任意の場所で保持する筒状の配線保持部916を有する。医療従事者が操作部912を操作すると、把持部914が開閉する。この弾性ヒンジ部910の弾性力によって、把持部914が、被服を挟持できる。
【0058】
配線保持部916は、外側筒917と、外側筒917の内部に軸方向に移動自在に収容される内側筒918と、外側筒917内の底部に収容されて、外側筒917と内側筒918が互いに離反する方向に付勢するばね919を有する。外側筒917には、径方向に貫通して接続配線37が挿通される外側孔917Aが形成される。内側筒918にも、径方向に貫通して接続配線37が挿通される内側孔918Aが形成される。外側孔917Aと内側孔918Aは近似位置に設定される。医療従事者が、ばね919の付勢力に抗して、外側筒917に対して内側筒918を押し込むようにスライドさせると、一時的に外側孔917Aと内側孔918Aを一致する。この状態で両者に接続配線37を挿通させて、スライド(押し込み操作)を開放すると、ばね919の復元力によって、外側孔917Aと内側孔918Aが、接続配線37を挟持する。これにより、係合部900全体が、接続配線37に固定されることになる。
【0059】
係合部900は、接続配線37におけるポインティング装置20から10cm以上且つ150cm以下の場所に固定される。係合部900の固定位置は、より好ましくは、接続配線37におけるポインティング装置20から15cm以上且つ100cm以下の場所に固定される。この係合部900は、被服に固定されることで、自身よりも上側に連続する接続配線37及びポインティング装置20の姿勢を安定させる。これと同時に、係合部900は、自身よりも下側に連続する接続配線37の自重を、被服を利用して支える役割を担う。なお、本実施形態では、医療従事者が、配線保持部916のばね919の付勢力に抗して、外側筒917に対して内側筒918を押し込むようにスライドさせれば、接続配線37の任意の位置まで係合部900を移動できる。なお、本実施形態では、係合部900がクリップ構造となる場合を例示しているが、本発明はこれに限定されず、フック構造、シール等の粘着構造、ベルクロ(登録商標)ファスナー等の面ファスナ構造、ボタン構造等、被服と係合可能な構造であれば他の構造を採用できる。
【0060】
図11に示すように、医療従事者は、ポインティング装置20を固定具40によってゴーグルに固定して角度を調整し、これと同時に係合部900を利用して、接続配線37(上部配線37A)を、被服(インナー)や手術用ガウン700の胸ポケットや襟元に固定する。この結果、接続配線37の全自重がポインティング装置20に作用する事態を抑制できるので、使用中のポインティング装置20の姿勢が安定する。係合部900による被服への固定場所は、医療従事者の好みによって変更する必要があるが、本実施形態では、配線保持部916が、接続配線37における任意の位置まで移動して保持(挟持)できるので、都度、調整することが可能となっている。
【0061】
尚、本発明の医療用光ポインティングシステムは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0062】
1 医療用光ポインティングシステム
10 光拡散シート
12 透明ベース層
14 光拡散層
20 ポインティング装置
22 筐体
22A 前側筐体
22B 後側筐体
22C 透明ガラス
24 光源モジュール
25 レーザダイオード
26 コリメータレンズ
27 金属製ケース
30 光源駆動回路
32 レギュレータ回路
34 安定化回路
37 接続配線
87 第二接続配線
38 コネクタ
40 固定具
42 基部
43 爪
46 変位部
47 鉛直揺動部
47A 水平軸
48 水平揺動部
48A 鉛直軸
50 電源部
52 電池
54 電池ケース
60 フットスイッチ
62 受圧部
64 ベース筐体
66 付勢部材
68 スイッチ部
69A ペダル
69B 電源ボタン
69C コネクタ
900 係合部
916 配線保持部