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特開2023-35943電磁干渉遮蔽フィルム及びその製造方法
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  • 特開-電磁干渉遮蔽フィルム及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035943
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】電磁干渉遮蔽フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20230306BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20230306BHJP
   H01F 1/147 20060101ALI20230306BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
H05K9/00 W
H05K1/03 610N
H05K1/03 610R
H05K1/03 630H
H05K1/03 650
H01F1/147
B32B15/08 D
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022134048
(22)【出願日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】110132089
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】510064451
【氏名又は名称】亞洲電材股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】李韋志
(72)【発明者】
【氏名】林志銘
(72)【発明者】
【氏名】何家華
(72)【発明者】
【氏名】李建輝
【テーマコード(参考)】
4F100
5E041
5E321
【Fターム(参考)】
4F100AA01E
4F100AA08E
4F100AA09E
4F100AA11E
4F100AA13E
4F100AA14E
4F100AA19E
4F100AA20E
4F100AA21E
4F100AA37C
4F100AA37E
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4F100AB10C
4F100AB12C
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4F100AB15C
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4F100AB18C
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4F100AB31C
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5E321BB53
5E321BB60
5E321CC16
5E321GG05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】表面絶縁性、耐化学性、表面硬度、耐熱性、遮蔽性能、接着強度、操作性、伝送損失、伝送品質及び製品信頼性に優れ、低い光沢度(つや消し)の外観を有する低コストな電磁干渉遮蔽フィルム並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】キャリア層11と、絶縁層11と、第一の接着層12と、多孔性金属層13と、複数の導電粒子141を有する導電性接着剤層14と、離型層15と、を含む電磁干渉遮蔽フィルム1であって、第一の接着層は、絶縁層と多孔性金属層との間に位置し、また、多孔性金属層は、第一の接着層が多孔性金属層と絶縁層との間に位置するように、第一の接着層に形成する。導電性接着剤層は、多孔性金属層が第一の接着層と導電性接着剤層との間に位置するように、多孔性金属層に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2H~6Hの鉛筆硬度を有する絶縁層と、
前記絶縁層に形成されている第一の接着層と、
直径1~120μmの複数の微細孔を有する多孔性金属層と、
複数の導電粒子を有する導電性接着剤層と
を含む電磁干渉遮蔽フィルムであって、
前記絶縁層は、顔料、無機添加物又はこれらの組み合わせを含有し、
前記多孔性金属層は、前記第一の接着層が前記多孔性金属層と前記絶縁層との間に位置するように、前記第一の接着層に形成されており、
前記多孔性金属層は、空隙率が15%~30%であり、引張り強度が20kgf/mm2以上であり、伸度が5%以上であり、
前記導電性接着剤層は、前記多孔性金属層が前記第一の接着層と前記導電性接着剤層との間に位置するように、前記多孔性金属層に形成されている、電磁干渉遮蔽フィルム。
【請求項2】
0.001~10μmの表面粗度Rzを有するキャリア層をさらに含み、
前記キャリア層は、前記絶縁層がキャリア層と第一の接着層との間に位置するように、前記絶縁層に形成されている、請求項1に記載の電磁干渉遮蔽フィルム。
【請求項3】
前記キャリア層は、硫酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ、二酸化チタン、硫化亜鉛、ジルコニア、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、タルク粉末、窒化アルミニウム、ガラス粉末、石英粉末、及びクレイからなる群から選ばれる少なくとも一つの無機添加物を含む、請求項2に記載の電磁干渉遮蔽フィルム。
【請求項4】
前記顔料は、無機顔料、有機顔料又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の電磁干渉遮蔽フィルム。
【請求項5】
前記無機添加物は、硫酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ、二酸化チタン、硫化亜鉛、ジルコニア、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、アルミナ、タルク粉末、窒化アルミニウム、ガラス粉末、石英粉末、及びクレイからなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1に記載の電磁干渉遮蔽フィルム。
【請求項6】
前記多孔性金属層と導電性接着剤層との間に位置する第二の接着層をさらに含む、請求項1に記載の電磁干渉遮蔽フィルム。
【請求項7】
前記絶縁層は、ポリイミド樹脂を含む、請求項1に記載の電磁干渉遮蔽フィルム。
【請求項8】
前記キャリア層を前記電磁干渉遮蔽フィルムから分離した後、前記絶縁層におけるキャリア層との接触面は、60度の測定角で0~40GUの光沢度を有する、請求項1に記載の電磁干渉遮蔽フィルム。
【請求項9】
前記多孔性金属層を形成する材質は、銅、アルミニウム、鉛、ニッケル、コバルト、スズ、銀、鉄又は金である、請求項1に記載の電磁干渉遮蔽フィルム。
【請求項10】
前記導電粒子の材質は、銅、銀、ニッケル、スズ、金、パラジウム、アルミニウム、クロム、チタン、亜鉛、カーボン、及びこれらの合金からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1に記載の電磁干渉遮蔽フィルム。
【請求項11】
前記絶縁層の厚さは、3~10μmであり、前記第一の接着層の厚さは、3~20μmであり、前記多孔性金属層の厚さは、2~15μmであり、前記導電性接着剤層の厚さは、3~25μmである、請求項1に記載の電磁干渉遮蔽フィルム。
【請求項12】
請求項1に記載の電磁干渉遮蔽フィルムの製造方法であって、
多孔性金属層の表面に第一の接着層を形成すること、
前記第一の接着層が絶縁層と多孔性金属層との間に位置するように、前記第一の接着層に絶縁層を接触させ、前記多孔性金属層と絶縁層を圧着すること、及び
前記多孔性金属層が第一の接着層と導電性接着剤層との間に位置するように、前記多孔性金属層の表面に導電性接着剤層を形成すること
を含む、電磁干渉遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項13】
前記多孔性金属層の製造方法は、
薄膜にアルミニウム層を形成すること、
前記アルミニウム層の表面に離型処理を行うこと、
前記離型処理を行ったアルミニウム層の表面に、スパッタリング、蒸着及び湿式めっきから選ばれる一つのめっき方式で、金属層のめっきを行い、マイクロエッチング処理で前記金属層に穴を形成すること、及び
前記金属層が多孔性金属層になるように、前記薄膜及びアルミニウム層を剥離すること
を含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記薄膜は、ポリイミド又はポリエチレンテレフタレートであり、
前記金属層は、銅、アルミニウム、鉛、ニッケル、コバルト、スズ、銀、鉄又は金である、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
導電性接着剤層を形成する前に、予め前記多孔性金属層に第二の接着層を形成し、その後、前記第二の接着層に前記導電性接着剤層を形成すること
をさらに含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項16】
多孔性金属層の表面に前記第一の接着層を形成する前に、予めキャリア層の表面に絶縁層を形成し、その後、前記絶縁層が前記キャリア層と第一の接着層との間に位置するように、前記第一の接着層に絶縁層を接触させ、前記多孔性金属層とキャリア層を圧着すること
をさらに含む、請求項12に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁干渉遮蔽フィルムに関し、特に、キャリア層と組み合わせて使用される多孔性金属層を含む電磁干渉遮蔽フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子及び通信製品が多機能・複雑化になる市場要求において、回路基板は、構造面では、より軽量化・薄型化・小型化する必要があり、機能面では、強力で高速な信号伝送が可能である必要がある。電子信号伝送がより高速で密になるので、回路の密度が必ず高くなり、基板回路間の距離がより近くなり、適用周波数が高帯域幅化になり、電磁干渉(Electromagnetic Interference、以下、EMIとも称する)の状況が過酷になるので、電磁適合性(Electromagnetic Compatibility、以下、EMCとも称する)を効率的に管理して、電子製品の正常な信号伝送を維持して信頼性を向上させる必要がある。フレキシブル印刷回路基板(Flexible printed circuit、以下、FPCとも称する)は、軽くて薄くて任意に屈曲できるという特性により、携帯型情報や通信を求める電子産業への発展において重要な地位につくようになった。
【0003】
電子通信製品は、より小さくなる傾向があるので、フレキシブル基板にはより多くてより強力な機能を搭載させる必要があり、一方、携帯型電子製品が超小型化に向かっていることに伴って、高密度のFPC技術の要求量が高まり、機能的には強力かつ高周波数化、高密度化、細線化が要求される状況において、現在、市場では薄膜型FPC用の遮蔽フィルムが販売されており、携帯電話、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の小型電子製品に広く使用されている。
【0004】
製品の美観及び表面保護等の要求に基づき、電磁干渉遮蔽フィルムは、黒色のポリイミドフィルムの設計に依存する。現在、市販のポリイミドフィルムは、多くは流延技術で製造されているが、一軸延伸法でのフィルムのサイズ安定性が産業要求に合わないため、二軸延伸法で製造する必要があり、設備及び製造プロセスの難易度及び要求が高まる。電子製品の軽量化・薄型化の設計に応じて、後続のFPC多層基板の製造プロセスにおけるフレキシブル基板材料の厚さに対する要求を低減するために、通常、5~7.5μmの薄型化した厚さが必要である。しかしながら、このような極めて薄い厚さでは、現在必要とされている低い光沢度の表面(すなわち、25GUより小さい光沢度)を達成することが難しく、また、機械的強度、加工操作性や折り曲げ性等の一般的な性能はいずれも現在の業界の規定に達することができないとともに、歩留まりが悪いという問題がある。
【0005】
上記の薄型化ポリイミドフィルムの問題を解決するために、通常、離型フィルム付きのエポキシ樹脂やポリウレタンインク層を使用することにより、厚さが薄くて低い光沢度の表面を有する絶縁層を得る。しかしながら、インク層は、機械的強度、絶縁性、硬度、耐化学性及び耐熱性等の性質のいずれも、一般的に黒色ポリイミドフィルムよりも劣る。また、十分な離型力を提供するために、離型フィルムにおける離型剤は有機ケイ素を含有している。このため、離型フィルムが剥離された後、離型フィルムに接する表面には有機ケイ素が残留される可能性があるので、後続の電気めっきプロセスの信頼性を低下させてしまう。
【0006】
また、電磁干渉遮蔽性能の要求が高まるほど、電磁干渉遮蔽フィルムにおける金属層の厚さも厚くなるが、厚さの増加に伴う欠点も顕著になる。電磁干渉遮蔽フィルムのはんだ耐熱性及び表面実装技術(Surface Mount Technology、以下、SMTとも称する)プロセス試験においては特に顕著となる。例を挙げると、通常状態におけるキュアプロセス後のはんだ浸漬試験での大面積の層間剥離、SMTプロセス後の遮蔽フィルムの大面積の層間剥離、又は、SMTプロセスの回路間のオン抵抗が顕著に高くなること、及び、厚さの高い遮蔽金属層及び厚さの薄い絶縁層を導電接着層と組み合わせて使用すると耐候性の問題になること、例えば、高温高湿環境又は冷熱衝撃試験の条件下でのオン抵抗が顕著に高くなること、並びに、接着力低下の問題、ひいては遮蔽金属層の剥離を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
上記の問題を解決するために、本発明は、2H~6Hの鉛筆硬度を有する絶縁層と、前記絶縁層に形成されている第一の接着層と、直径1~120μmの複数の微細孔を有する多孔性金属層と、複数の導電粒子を有する導電性接着剤層とを含む電磁干渉遮蔽フィルムであって、前記絶縁層は、顔料、無機添加物又はこれらの組み合わせを含有し、前記多孔性金属層は、前記第一の接着層が多孔性金属層と絶縁層との間に位置するように、前記第一の接着層に形成されており、前記多孔性金属層は、空隙率が15%~30%であり、引張り強度が20kgf/mm2以上であり、伸度が5%以上であり、前記導電性接着剤層は、前記多孔性金属層が前記第一の接着層と導電性接着剤層との間に位置するように、前記多孔性金属層に形成されている、電磁干渉遮蔽フィルムを提供する。
【0008】
本発明の電磁干渉遮蔽フィルムの一つの具体的な実施態様において、0.001~10μmの表面粗度Rzを有するキャリア層をさらに含み、前記キャリア層は、前記絶縁層がキャリア層と第一の接着層との間に位置するように、前記絶縁層に形成されている。
【0009】
本発明の電磁干渉遮蔽フィルムの一つの具体的な実施態様において、前記キャリア層は、硫酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ、二酸化チタン、硫化亜鉛、ジルコニア、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、タルク粉末、窒化アルミニウム、ガラス粉末、石英粉末、及びクレイからなる群から選ばれる少なくとも一つの無機添加物を含む。
【0010】
本発明の電磁干渉遮蔽フィルムの一つの具体的な実施態様において、前記顔料は、無機顔料、有機顔料又はこれらの組み合わせを含む。
【0011】
本発明の電磁干渉遮蔽フィルムの一つの具体的な実施態様において、前記無機添加物は、硫酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ、二酸化チタン、硫化亜鉛、ジルコニア、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、アルミナ、タルク粉末、窒化アルミニウム、ガラス粉末、石英粉末、及びクレイからなる群から選ばれる少なくとも一つである。
【0012】
本発明の電磁干渉遮蔽フィルムの一つの具体的な実施態様において、前記多孔性金属層と導電性接着剤層との間に位置する第二の接着層をさらに含む。
【0013】
本発明の電磁干渉遮蔽フィルムの一つの具体的な実施態様において、前記絶縁層は、ポリイミド樹脂を含む。
【0014】
本発明の電磁干渉遮蔽フィルムの一つの具体的な実施態様において、前記キャリア層を前記電磁干渉遮蔽フィルムから分離した後、前記絶縁層におけるキャリア層との接触面は、60度の測定角で0~40GUの光沢度を有する。
【0015】
本発明の電磁干渉遮蔽フィルムの一つの具体的な実施態様において、前記多孔性金属層を形成する材質は、銅、アルミニウム、鉛、ニッケル、コバルト、スズ、銀、鉄又は金である。
【0016】
本発明の電磁干渉遮蔽フィルムの一つの具体的な実施態様において、前記複数の導電粒子の材質は、銅、銀、ニッケル、スズ、金、パラジウム、アルミニウム、クロム、チタン、亜鉛、カーボン、及びこれらの合金からなる群から選ばれる少なくとも一つである。
【0017】
本発明の電磁干渉遮蔽フィルムの一つの具体的な実施態様において、前記絶縁層の厚さは、3~10μmであり、前記第一の接着層の厚さは、3~20μmであり、前記多孔性金属層の厚さは、2~15μmであり、前記導電性接着剤層の厚さは、3~25μmである。
【0018】
本発明は、多孔性金属層の表面に第一の接着層を形成すること、前記第一の接着層が絶縁層と多孔性金属層との間に位置するように、前記第一の接着層に絶縁層を接触させ、前記多孔性金属層と絶縁層を圧着すること、及び、前記多孔性金属層が第一の接着層と導電性接着剤層との間に位置するように、前記多孔性金属層の表面に導電性接着剤層を形成することを含む、前記電磁干渉遮蔽フィルムの製造方法をさらに提供する。
【0019】
本発明の製造方法の一つの具体的な実施態様において、前記多孔性金属層の製造方法は、薄膜にアルミニウム層を形成すること、前記アルミニウム層の表面に離型処理を行うこと、前記離型処理を行ったアルミニウム層の表面に、スパッタリング、蒸着及び湿式めっきから選ばれる一つのめっき方式で、金属層のめっきを行い、マイクロエッチング処理で前記金属層に穴を形成すること、及び、前記金属層が多孔性金属層になるように、前記薄膜及びアルミニウム層を剥離することを含む。
【0020】
本発明の製造方法の一つの具体的な実施態様において、前記薄膜は、ポリイミド又はポリエチレンテレフタレートであり、前記金属層は、銅、アルミニウム、鉛、ニッケル、コバルト、スズ、銀、鉄又は金である。
【0021】
本発明の製造方法の一つの具体的な実施態様において、導電性接着剤層を形成する前に、予め前記多孔性金属層に第二の接着層を形成し、その後、前記第二の接着層に前記導電性接着剤層を形成することをさらに含む。
【0022】
本発明の製造方法の一つの具体的な実施態様において、多孔性金属層の表面に第一の接着層を形成する前に、予めキャリア層の表面に絶縁層を形成し、その後、前記絶縁層が前記キャリア層と第一の接着層との間に位置するように、第一の接着層に絶縁層を接触させ、前記多孔性金属層とキャリア層を圧着することをさらに含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明の電磁干渉遮蔽フィルムは、優れた表面絶縁性、高い表面硬度、優れた耐化学性、高い耐熱性、高い遮蔽性能、高い接着強度、優れた操作性、低い伝送損失、高い伝送品質、及び優れた製品信頼性等の様々な利点を有しているとともに、低い光沢度(つや消し)の外観を有し、後続の応用の要求に適合する。
【0024】
また、本発明の電磁干渉遮蔽フィルムは、従来の遮蔽フィルムに使用されている金属層の代わりに、多孔性金属層を使用し、前記多孔性金属層は、電磁波に対する反射作用を生じさせ、大部分の無線周波数及びマイクロ波エネルギーを反射させ、透過した分量が極めて少ないため、電磁波放射線の干渉を効果的に遮蔽し、電磁波放射線の汚染を解消する。なお、多孔性金属層は、遮蔽フィルム全体のはんだ耐性を顕著に改善でき、後続の製品のリフローはんだ付けプロセスに有利であり、300℃より高いはんだ耐熱性を達成できる。
【0025】
一方、本発明の電磁干渉遮蔽フィルムにおいて、キャリア層と絶縁層を組み合わせて使用して、組成に添加物を含有させること又は表面処理等の方式で、キャリア層と絶縁層の表面粗度及び表面エネルギーを変化させることにより、離型フィルムを使用せずに(すなわち、離型剤を添加する必要がない)十分な離型力を有するため、有機ケイ素の移行による問題が発生しない。
【0026】
また、本発明の電磁干渉遮蔽フィルムに使用されている絶縁層は、ポリイミドワニス材質であり、エポキシ樹脂又はポリウレタン樹脂等のインク型絶縁層に比べて、より優れた表面絶縁性を有し、1012Ωより高い絶縁抵抗値を達成でき、より優れた抵抗制御能力、耐化学性、はんだ耐性及び表面硬度を有する。また、別途で支持フィルムを使用するプロセスを必要とする薄型化黒色ポリイミドフィルム(例えば、5~7.5μm)に比べて、本発明の電磁干渉遮蔽フィルムの製造方法は、簡単でコストが低く、厚さが薄いという効果及び表面光沢度が低い(例えば、40GUより小さい)という効果を同時に達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の電磁干渉遮蔽フィルムの構造概略図である。
図2】本発明の電磁干渉遮蔽フィルムのもう一つの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面を例示的に参考することにより、本発明の実施形態を説明する。
【0029】
以下、本発明の実施形態を特定の具体的な実施態様により説明するが、当業者は、本発明の利点及び効果を本明細書の記載内容により容易に理解することができる。
【0030】
予め留意しておくべきこととしては、本明細書に添付されている図面に示す構造、縮尺、サイズ等は、当業者が理解及び閲覧し易いように、明細書の開示内容に基づいて作成したものであり、本発明の実施可能な条件を限定するものではなく、技術的に実質的な意義をもたらすものでもない。任意の構造の修飾、縮尺関係の変更、あるいはサイズの調整は、本発明の奏し得る効果及び達成し得る目的に影響を及ぼさなければ、本発明に開示されている技術内容の範囲内に含まれる。また、本明細書に引用される「一つの」、「下」及び「上」も、説明を明確にするためのものであり、本発明の実施可能な範囲を限定するものではなく、それらの相対関係の変更又は調整は、技術内容の実質的な変更がなければ、本発明の実施可能な範囲と見なされるべきである。なお、本明細書のすべての範囲と数値は、包括的であり、組み合わせることが可能である。本明細書に記載されている範囲内に入る任意の数値又は端点、例えば、任意の整数は、最小値又は最大値として、サブ範囲等を導き出すことができる。
【0031】
図1を参照して、本発明の電磁干渉遮蔽フィルム1の一つの具体的な実施態様は、キャリア層10、絶縁層11、第一の接着層12、多孔性金属層13、複数の導電粒子141を有する導電性接着剤層14、及び離型層15を含むことを示す。前記絶縁層11は、前記キャリア層10の表面に形成される。前記多孔性金属層13は、前記絶縁層11が前記第一の接着層12とキャリア層10との間に位置し、かつ、前記第一の接着層12が前記絶縁層11と多孔性金属層13との間に位置するように、前記第一の接着層12を介して前記絶縁層11の表面上に形成されている。また、前記導電性接着剤層14は、前記多孔性金属層13が前記第一の接着層12と導電性接着剤層14との間に位置するように、前記多孔性金属層13の表面上に形成されている。さらに、前記導電性接着剤層14は、前記導電性接着剤層14が前記多孔性金属層13と離型層15との間に位置するように、前記多孔性金属層13に接触する面とは反対側の表面に離型層15を有する。
【0032】
具体的には、図1に示す電磁干渉遮蔽フィルム1の積層構造は、キャリア層10、絶縁層11、第一の接着層12、多孔性金属層13、導電性接着剤層14、及び離型層15を順次有する。
【0033】
本具体的な実施態様において、前記キャリア層の厚さは、12.5~250μmであり、例えば、12.5、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240又は250μmである。前記絶縁層の厚さは、3~10μmであり、例えば、3、4、5、6、7、8、9又は10μmである。前記第一の接着層の厚さは、3~20μmであり、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20μmである。前記多孔性金属層の厚さは、2~15μmであり、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15μmである。前記導電性接着剤層の厚さは、3~25μmであり、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25μmである。好ましくは、前記第一の接着層の厚さは、3~20μmであり、前記多孔性金属層の厚さは、3~8μmであり、前記導電性接着剤層の厚さは、5~15μmである。もう一つの具体的な実施態様において、前記絶縁層と第一の接着層の厚さの合計は、8~25μmである。さらにもう一つの具体的な実施態様において、前記電磁干渉遮蔽フィルム1の厚さは、11~70μmであり、例えば、11、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65又は70μmであり、好ましくは、前記電磁干渉遮蔽フィルム1の厚さは、14~43μmである。
【0034】
一つの具体的な実施態様において、前記キャリア層10は、0.001~10μm、例えば、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10μmの表面粗度Rzを有する。もう一つの具体的な実施態様において、前記キャリア層10は、0.001~2μmの表面粗度Rzを有する。
【0035】
一つの具体的な実施態様において、前記キャリア層10は、ポリプロピレン(PP)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(biaxially oriented polypropylene、以下、BOPPとも称する)、ポリp-キシリレン系樹脂、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリウレタン(PU)、及びポリアミド(PA)からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む。
【0036】
一つの具体的な実施態様において、前記キャリア層10は、硫酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ、二酸化チタン、硫化亜鉛、ジルコニア、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、タルク粉末、窒化アルミニウム、ガラス粉末、石英粉末、及びクレイからなる群から選ばれる少なくとも一つの無機添加物をさらに含む。前記無機添加物の粒径は、10~2000nmであり、例えば、10、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900又は2000nmである。
【0037】
上記無機添加物を添加することにより、前記キャリア層10は、キャリア層の自然の材料色とは異なる様々な色を有することができ、前記キャリア層の光沢度及び表面粗度を改善できる。
【0038】
一つの具体的な実施態様において、前記絶縁層11は、ポリイミド樹脂を含む。もう一つの具体的な実施態様において、前記絶縁層11は、ポリイミドワニス層である。具体的には、ポリイミドワニス層とは、イミド結合骨格を有するポリイミド樹脂である。例えば、ポリイミド樹脂は、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリイミドエステル、及びポリベンゾイミダゾールからなる群から選ばれる少なくとも一つが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
一つの具体的な実施態様において、前記絶縁層11は、顔料をさらに含み、前記顔料は、無機顔料、有機顔料又はこれらの組み合わせを含む。前記絶縁層11の全重量に対して、顔料の含有量は、0重量%を超えて50重量%以下である。もう一つの具体的な実施態様において、前記無機顔料は、カドミウム赤、カドミウムレモンイエロー、カドミウムオレンジイエロー、二酸化チタン、カーボンブラック、黒色酸化鉄又は黒色錯体無機顔料であり、前記有機顔料は、アニリンブラック、ペリレンブラック、アントラキノンブラック、ベンジジン系イエロー顔料、フタロシアニンブルー又はフタロシアニングリーンである。
【0040】
一つの具体的な実施態様において、前記絶縁層11は、硫酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ、二酸化チタン、硫化亜鉛、ジルコニア、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、アルミナ、タルク粉末、窒化アルミニウム、ガラス粉末、石英粉末、及びクレイからなる群から選ばれる少なくとも一つの無機添加物をさらに含む。前記絶縁層11の全重量に対して、前記無機添加物の含有量は、0重量%を超えて50重量%以下であり、例えば、0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50重量%である。好ましくは、前記絶縁層11の全重量に対して、前記無機添加物の含有量は、0重量%を超えて20重量%以下である。
【0041】
一つの具体的な実施態様において、前記絶縁層11は、有機添加物、ハロゲン含有化合物、リン含有化合物、窒素含有化合物、及びホウ素含有化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの難燃剤をさらに含む。もう一つの具体的な実施態様において、前記絶縁層11の全重量に対して、前記難燃剤の含有量は、1~40重量%であり、例えば、1、5、10、15、20、25、30、35又は40重量%である。好ましくは、前記絶縁層11の全重量に対して、前記難燃剤の含有量は、5~35重量%である。
【0042】
一つの具体的な実施態様において、前記絶縁層11は、複数層であることにより、絶縁層の表面に欠陥が発生し得るという問題をさらに低減できる。例えば、前記絶縁層11は、前記顔料、無機添加物、難燃剤又はこれらの組み合わせを含有する単層ポリイミドワニス層であってもよく、あるいは、前記絶縁層は、2層のポリイミドワニス層であり、そのうち、一方の層がポリイミドからなるポリイミドワニス層であり、もう一方の層が前記顔料、無機添加物、難燃剤又はこれらの組み合わせを含有するポリイミドワニス層であるという例が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、絶縁層11は、3層、4層、5層又はそれらより多くの層であってもよいが、これに限定されるものではない。好ましくは、絶縁層が複数層である実施態様において、添加物(すなわち、前記顔料、無機添加物、難燃剤又はこれらの組み合わせ)を高い含有量で含有する絶縁層は、キャリア層と接触することにより、電磁干渉遮蔽フィルム全体の遮蔽性や黒度を増加させ、絶縁層の表面粗度を変化させることができ、キャリア層と絶縁層をより容易に分離させる。また、第一の接着層と接触する絶縁層としては、添加物を低い含有量で有する絶縁層を使用することにより、電磁干渉遮蔽フィルム全体の機械性能をさらに改善できるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
通常の黒色絶縁層又はポリイミド樹脂は、HB~2Hの鉛筆硬度しか有せず、引っ掻き傷の問題が発生し易い。さらに、その外観及び機械性能に影響を及ぼす。それに対して、上記顔料、無機添加物、有機添加物及び/又は難燃剤を添加することにより、前記絶縁層11は改善された硬度を有し、2H~6Hの鉛筆硬度を達成できる。前記絶縁層11は、2H、3H、4H、5H又は6Hの鉛筆硬度を有してもよいが、これらに限定されるものではない。また、無機添加物、有機添加物及び/又は難燃剤の割合を変更すること、あるいは無機添加物における各組成成分及び/又はその割合を変更することにより、前記絶縁層の耐燃性及び硬度を調整できる。具体的には、無機添加物として二酸化チタン、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム又はこれらの混合物を使用すること、無機添加物における上記組成の割合を高めること、あるいは難燃剤の含有量を増加することのいずれかによっても、絶縁層の耐燃性を向上させることができる。無機添加物として二酸化チタン、シリカ又はこれらの混合物を使用すること、あるいは無機添加物における上記組成の割合を高めることのいずれかによっても、絶縁層の硬度を向上させることができる。好ましくは、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、又はこれらの混合物を含む無機添加物により、絶縁層の耐燃性を向上させることができる。
【0044】
一つの具体的な実施態様において、前記キャリア層を前記電磁干渉遮蔽フィルムから分離した後、前記絶縁層におけるキャリア層との接触面は、60度の測定角で0~40GUの光沢度、例えば、0、1、5、10、13、15、16、20、25、30、35又は40GUを有する。もう一つの具体的な実施態様において、前記キャリア層を前記電磁干渉遮蔽フィルムから分離した後、前記絶縁層におけるキャリア層との接触面は、60度の測定角で0~25GUの光沢度を有する。
【0045】
一つの具体的な実施態様において、前記第一の接着層12は、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーンゴム系樹脂、ポリp-キシリレン系樹脂、ビスマレイミド系樹脂、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選ばれる少なくとも一つの樹脂を含む。本具体的な実施態様において、前記第一の接着層の全重量に対して、前記樹脂の含有量は、40重量%~100重量%であり、例えば、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100重量%である。
【0046】
一つの具体的な実施態様において、前記第一の接着層12は、無機顔料、有機顔料又はこれらの組み合わせをさらに含み、前記第一の接着層12の全重量に対して、顔料(すなわち、無機顔料、有機顔料又はこれらの組み合わせ)の含有量は、0重量%を超えて50重量%以下であり、例えば、0.1、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50重量%である。また、前記第一の接着層12における無機顔料及び有機顔料の具体的な態様は、上記絶縁層11における無機顔料及び有機顔料の具体的な態様とは同じであるため、ここでは省略する。
【0047】
一つの具体的な実施態様において、前記第一の接着層12は、硫酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ、テフロン(登録商標)、フッ素系樹脂、二酸化チタン、硫化亜鉛、ジルコニア、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、タルク粉末、窒化アルミニウム、ガラス粉末、石英粉末、及びクレイからなる群から選ばれる少なくとも一つの無機添加物をさらに含む。前記無機添加物の粒径は、10~2000nmであり、例えば、10、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900又は2000nmである。もう一つの具体的な実施態様において、前記無機添加物の全重量に対して、シリカ、カーボンブラック、タルク粉末、炭酸カルシウム、ガラス粉体、石英粉末の合計含有量は、0重量%を超えて50重量%以下であり、例えば、0.1、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50重量%である。好ましくは、前記無機添加物の全重量に対して、シリカ、カーボンブラック、タルク粉末、炭酸カルシウム、ガラス粉体、石英粉末の合計含有量は、0重量%を超えて20重量%以下である。
【0048】
一つの具体的な実施態様において、前記第一の接着層12は、ポリイミド系樹脂、有機粉体及び難燃性化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの難燃剤をさらに含む。もう一つの具体的な実施態様において、前記難燃性化合物は、ハロゲン、リン、窒素及びホウ素の化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つである。さらにもう一つの具体的な実施態様において、前記第一の接着層12の全重量に対して、前記難燃剤の含有量は、1~50重量%であり、例えば、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50重量%である。好ましくは、前記第一の接着層12の全重量に対して、前記難燃剤の含有量は、5~35重量%である。
【0049】
一つの具体的な実施態様において、前記多孔性金属層13は、直径が1~120μm、例えば、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115又は120μmである微細孔を有し、前記多孔性金属層13は、15%~30%、例えば、15%、20%、25%又は30%の空隙率を有し、前記多孔性金属層13は、20kgf/mm2以上の引張り強度、例えば、20、25、30、35、40kgf/mm2又はそれらより大きい引張り強度を有する。さらにもう一つの具体的な実施態様において、前記多孔性金属層13は、5%以上の伸度、例えば、5%、10%、15%、20%、25%又はそれらより大きい伸度を有する。
【0050】
一つの具体的な実施態様において、前記導電性接着剤層14は、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選ばれる少なくとも一つを含む。
【0051】
一つの具体的な実施態様において、前記複数の導電粒子141は、銅、銀、ニッケル、スズ、金、パラジウム、アルミニウム、クロム、チタン、亜鉛、カーボン及びこれらの合金からなる群から選ばれる少なくとも一つである。好ましくは、前記合金は、ニッケル-金合金、金-銀合金、銅-ニッケル合金、銅-銀合金、ニッケル-銀合金、及び銅-ニッケル-金合金からなる群から選ばれる少なくとも一つである。本具体的な実施態様において、前記複数の導電粒子141は、前記導電性接着剤層の全重量に対して、5重量%~55重量%の含有量を有する。
【0052】
一つの具体的な実施態様において、前記離型層は、離型フィルム、離型紙及びキャリア膜から選ばれる一つである。
【0053】
一つの具体的な実施態様において、前記離型フィルムは、25μm~100μmの厚さを有し、また、前記離型フィルムは、PETフッ素離型フィルム、PETシリコーンオイル離型フィルム、PETつや消し離型フィルム、及びPET離型フィルムからなる群から選ばれる少なくとも一つである。もう一つの具体的な実施態様において、前記離型紙は、25μm~130μmの厚さを有し、また、前記離型紙は、PETコート紙である。さらにもう一つの具体的な実施態様において、前記キャリア膜の厚さは、25μm~100μmであり、また、前記キャリア膜は、表面に接着剤を有する。
【0054】
本発明は、前記電磁干渉遮蔽フィルム1の製造方法をさらに提供し、この製造方法は、キャリア層10の表面に絶縁層11を塗布し、50℃~180℃の温度、例えば、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170又は180℃の温度で、前記絶縁層11を硬化させ、必要に応じて硬化済みの絶縁層11にもう一つの絶縁層を塗布して硬化させてもよいこと、多孔性金属層13の表面に第一の接着層12を塗布又は転写させ、前記絶縁層11が前記キャリア層10と第一の接着層12との間に位置し、かつ、前記第一の接着層12が前記絶縁層11と多孔性金属層13との間に位置するように、前記第一の接着層12に絶縁層11を接触させ、前記多孔性金属層13とキャリア層10を圧着すること、及び、前記多孔性金属層13が第一の接着層12と導電性接着剤層14との間に位置するように、前記多孔性金属層13の表面に導電性接着剤層14を塗布することを含む。
【0055】
一つの具体的な実施態様において、前記多孔性金属層13の製造方法は、薄膜にアルミニウム層を形成すること、前記アルミニウム層の表面に離型処理を行うこと、前記離型処理を行ったアルミニウム層の表面に、スパッタリング、蒸着及び湿式めっきから選ばれる一つのめっき方式で、金属層のめっきを行い、マイクロエッチング処理により前記金属層に穴を形成すること、及び、前記金属層が多孔性金属層になるように、前記薄膜及びアルミニウム層を剥離することを含む。また、当業者は、公知のマイクロエッチング処理プロセスにより、前記金属層に空隙(すなわち、穴)を形成でき、また、必要や実際の要求に応じて、形成された空隙の直径サイズを調整できる。具体的には、マイクロエッチング処理で形成された空隙は、金属層構造に均一に分布しており、貫通孔を有する金属層に比べて、より高い遮蔽性能を有する。また、前記多孔性金属層は、均一に分布されている微細孔を有し、もし、金属層の表面のみに穴が形成されると、十分なはんだ耐熱性を有しない可能性があり、後続のプロセスで層間剥離が発生し得る問題を回避できない。
【0056】
一つの具体的な実施態様において、前記薄膜は、ポリイミド又はポリエチレンテレフタレートのいずれか一つであり、前記金属層は、銅、アルミニウム、鉛、ニッケル、コバルト、スズ、銀、鉄、及び金からなる群から選ばれる少なくとも一つである。又は、前記金属層は、銅である。
【0057】
図2を参照して、本発明のキャリア層20を有する電磁干渉遮蔽フィルム2の一つの具体的な実施態様は、その構成部が図1に示す具体的な実施態様と類似するので、以下、図2図1との相違点のみについて説明する。図2に示す電磁干渉遮蔽フィルム2は、前記多孔性金属層23と導電性接着剤層24との間に位置する第二の接着層22’をさらに含み、前記多孔性金属層23は、第一の接着層22と第二の接着層22’との間に位置し、前記複数の導電粒子241を有する導電性接着剤層24は、前記第二の接着層22’と離型層25との間に位置する。具体的には、図2に示す電磁干渉遮蔽フィルム2の積層構造は、順次に、キャリア層20、絶縁層21、第一の接着層22、多孔性金属層23、第二の接着層22’、導電性接着剤層24及び離型層25を有する。
【0058】
一つの具体的な実施態様において、前記第二の接着層22’は、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選ばれる少なくとも一つを含む。
【0059】
図2に示すキャリア層20を有する電磁干渉遮蔽フィルム2の具体的な態様において、その製造方法は、図1に示す具体的な実施態様と類似するので、以下、図2図1との相違点のみについて説明する。導電性接着剤層24を塗布する前に、予め前記多孔性金属層23に第二の接着層22’を形成し、その後、前記第二の接着層22’に前記導電性接着剤層24を形成し、また、前記第二の接着層22’は導電粒子241を含まない。
【実施例0060】
以下、実施例及び比較例により、本発明の電磁干渉遮蔽フィルムの性能を説明する。
【0061】
実施例1~6及び比較例1~3の各層の厚さ及び各項目の性能の試験結果を表1に示す。実施例1~6は、本発明の電磁干渉遮蔽フィルムであり、また、実施例1~6に示す構造は、キャリア層が剥離された後の電磁干渉遮蔽フィルムであり、比較例1~3は、従来公知の遮蔽フィルムであった。
【0062】
実施例1~6に示す電磁干渉遮蔽フィルムの製造プロセスにおいて、厚さが25μmであるキャリア層を使用し、その主要成分がポリエチレンテレフタレート(PET)であり、前記キャリア層の全重量に対して含有量が5重量%であるカーボンブラックが添加されており、前記キャリア層は0.00775μmの表面粗度Rzを有した。
【0063】
実施例1~6の絶縁層は、4Hの鉛筆硬度を有するポリイミドワニス層であり、また、実施例1、2、5及び6は、2層の絶縁層(以下、表1に示すデータにおいて、実施例1、2、5及び6の絶縁層の厚さは、2層の絶縁層が圧着された後の厚さ)であり、実施例1、2、5及び6において、2層の絶縁層のうちの一つの層は無機添加物が添加されておらず、前記2層の絶縁層のうちのもう一つの層は無機添加物として単層絶縁層の全重量に対して含有量が10重量%であるカーボンブラックが添加されており、また、無機添加物が添加されていない絶縁層は第一の接着層に接触し、もう一つの絶縁層はキャリア層に接触した。実施例3及び4の単層絶縁層は、無機添加物として単層絶縁層の全重量に対して含有量が10重量%であるカーボンブラックが含有された。実施例1~6の多孔性金属層は、いずれも銅箔であり、25±2%の空隙率、22kgf/mm2の引張り強度及び6%の伸度を有し、直径1~20μmの穴を有した。比較例1~3は、マイクロエッチング処理がされていない銅箔層であり、また、比較例1の絶縁層は、ポリウレタンインク層であり、比較例2及び3の絶縁層は、黒色ポリイミドフィルム層(デュポン社製のカプトン)であった。
【0064】
また、実施例1~6及び比較例1~3の第一の接着層は、ポリイミド、エポキシ樹脂、硬化剤としての無水フタル酸、及び難燃剤を含み、前記硬化剤の含有量は、前記ポリイミドの0.1重量%であり、第一の接着層の全重量に対して、前記エポキシ樹脂の含有量は2.4重量%であり、前記難燃剤は6.3重量%であった。また、実施例1~6の導電性接着剤層は、導電粒子を含有する複合樹脂であり、それはエポキシ樹脂及びアクリル系樹脂を1:1の重量比で混合して形成されたものであり、前記導電粒子はニッケル、銀及び銅の金属粒子であり、前記導電性接着剤層の全重量に対して、各金属粒子の含有量は15重量%であった。実施例5及び6の構造は、多孔性金属層と導電性接着剤層との間に位置する第二の接着層をさらに含み、前記第二の接着層は、重量比が1:1であるエポキシ樹脂及びアクリル系樹脂で形成された複合樹脂を含有するので、表1に示す導電性接着剤層の厚さは、第二の接着層と導電性接着剤層の合計厚さであった。
【0065】
表1及び表2に示す各性能データは、下記の方法又は標準で測定した。
【0066】
光沢度:サイズが3×8(cm×cm)より大きい試料を製造し、光沢度計を使用して、縦方向で試料の光沢度を測定し、角度60度で光沢度計の数値を読み取った。
【0067】
抵抗値:30mm×514mm(縦方向×横方向)の試料を製造し、手持ち型デジタル四点プローブを使用して測定し、前記試料の横方向に沿って2つのグループを測定し、前記試料の縦方向に沿って3つのグループを測定し、6つのグループのデータの平均値を取った。
【0068】
絶縁抵抗値:金属層めっきされていない半製品段階において測定し、半製品を30×21(cm×cm)のサイズ(約A4のサイズ)にカットし、前記半製品に厚さ約0.035mm(約1OZ)の電解銅箔を塗布して圧着し、160℃で約1時間キュアした後、試料を得た。オーム計を使用して、前記試料の絶縁層の左半部、中央部及び右半部にて測定し、3つのグループの数値の平均値を取った。
【0069】
剥離強度:IPC-TM-650 2.4.9 Dに従って測定した。
【0070】
EMI遮蔽性能:GB/T 30142-2013《平面型電磁遮蔽材料の遮蔽効果の測定方法》に従って測定した。
【0071】
はんだ耐熱性:IPC-TM-650 2.4.13 Fに従って測定した。
【0072】
SMTプロセスのシミュレーション:フレキシブル印刷回路基板と電磁干渉遮蔽フィルムとを貼り合わせて試料とし、試料にSMTプロセスの温度変化曲線をシミュレーションさせ、2℃/秒の速度で150℃まで昇温させ、150~190℃を120秒間維持し、続いて3℃/秒の速度で245±5℃まで昇温させて30秒間維持し、最後は4±2℃/秒の速度で室温まで降温させた。
【0073】
表面粗度:JIS-B0601に従って原子間力顕微鏡(AFM)を使用して測定した。
【0074】
離型力:ASTM D3330に従って引張試験機を使用して測定した。
【0075】
【表1】
【0076】
表1の試験結果から、本発明の電磁干渉遮蔽フィルムは、電磁干渉遮蔽性能、SMTプロセスのシミュレーション試験、SMTプロセス後のオン抵抗及び耐候性のいずれも、従来の遮蔽フィルムよりも優れていることが明らかになった。
【0077】
表2は、実施例7~20及び比較例4で、絶縁層及びキャリア層の性質に対する無機添加物の含有量による影響を示す。実施例7~20及び比較例4の構造は、順次に、キャリア層、絶縁層及び第一の接着層を有し、金属層及び導電性接着剤層を有せず、また、実施例7~20及び比較例4は、それぞれ、2種類の異なる無機添加物組成を有する構造を提供した。実施例7~20及び比較例4において、絶縁層はいずれも5μmの単層ポリイミドワニス層であり、キャリア層はいずれも25μmのポリエチレンテレフタレートであり、添加物は表2に示す通り、また、実施例7~20及び比較例4の第一の接着層は、実施例1~6及び比較例1~3に使用されている第一の接着層と同じであった。また、実施例7~20及び比較例4は、絶縁層及びキャリア層に含まれる顔料は、黒色顔料の全重量に対して、50重量%の黒色酸化鉄、15重量%のアシッドブラック220、20重量%のアニリンブラック、10重量%のカーボンブラック、及び5重量%のチタンブラックを含む黒色顔料であった。
【0078】
【表2】
【0079】
表2の試験結果によれば、添加されている無機添加物の種類及び/又は含有量を調整することにより、絶縁層とキャリア層の表面粗度を変化させることができ、さらにキャリア層と絶縁層との間の離型力を変化させることができることが証明された。比較例4に示すように、何の無機添加物も含有しない絶縁層及びキャリア層では、キャリア層と絶縁層との間に大きすぎる離型力を有するため、離型が順調に行えず、すなわち、電磁干渉遮蔽フィルムからキャリア層を分離するには、別途離型剤を添加する必要がある。また、絶縁層は前記キャリア層に接触して形成するため、キャリア層の表面粗度は絶縁層の表面粗度に影響を与える。そのため、表面粗度のより高いキャリア層を使用すれば、絶縁層の粗化効果がより優れている。
【0080】
上記実施例は例示として説明するものであり、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、上記の実施例に修飾と変更を施すことができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、本明細書に添付されている請求項により定義されるものであり、本発明の効果及び実施の目的に影響を及ぼさなければ、この公開の技術内容に含む。
【符号の説明】
【0081】
1、2…電磁干渉遮蔽フィルム
10、20…キャリア層
11、21…絶縁層
12、22…第一の接着層
13、23…多孔性金属層
14、24…導電性接着剤層
15、25…離型層
22’ …第二の接着層
141、241…導電粒子
図1
図2
【外国語明細書】