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特開2023-35977最適化された制御シーケンスへの操作設定の変換
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  • 特開-最適化された制御シーケンスへの操作設定の変換 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035977
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】最適化された制御シーケンスへの操作設定の変換
(51)【国際特許分類】
   G05B 11/36 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
G05B11/36 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022135602
(22)【出願日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】10 2021 209 461.9
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カール-ハインツ フォーグル
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ブラント
【テーマコード(参考)】
5H004
【Fターム(参考)】
5H004GA21
5H004GA23
5H004GB12
5H004GB15
5H004HA07
5H004HA10
5H004HB07
5H004HB10
5H004JA11
5H004JB12
5H004KC01
5H004LA17
5H004MA23
5H004MA26
5H004MA33
5H004MA34
5H004MA36
5H004MA48
(57)【要約】
【課題】本発明は、ユーザによって操作可能な装置を駆動制御するための方法に関する。
【解決手段】本方法は、少なくとも1つの操作要素を介して装置の駆動制御のための制御入力を捕捉するステップと、装置の駆動制御のための制御入力から、1つ又は複数の操作パラメータのためのパラメータ値を求めるステップと、1つ又は複数の操作パラメータについて、求められたパラメータ値が、予め定められた境界条件を満たしているかどうかを検査するステップと、当該検査により、1つ又は複数の操作パラメータについて、境界条件が満たされていないことが判明した場合、装置を駆動制御するための補正ステップを実施するステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって操作可能な装置を駆動制御するための方法であって、
少なくとも1つの操作要素を介して前記装置の駆動制御のための制御入力を捕捉するステップ(10)と、
前記装置の駆動制御のための前記制御入力から、1つ又は複数の操作パラメータのためのパラメータ値を求めるステップ(20)と、
前記1つ又は複数の操作パラメータについて、求められたパラメータ値が、予め定められた境界条件(22)を満たしているかどうかを検査するステップ(30)と、
前記検査により、前記1つ又は複数の操作パラメータについて、前記境界条件が満たされていないことが判明した場合、前記装置を駆動制御するステップ(40)のための補正ステップ(50)を実施するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記制御入力は、所定の期間を超えて捕捉され(ステップ10)、関連する操作パラメータが、前記制御入力から時間的経過において求められ(ステップ20)、
前記方法は、
前記少なくとも1つの操作パラメータの時間的経過が、前記操作パラメータの経過についての予め定められた境界条件を満たしているかどうかを検査するステップ(30)と、
前記検査により、前記1つ又は複数の操作パラメータの経過について、前記境界条件が満たされていないことが判明した場合、前記装置を駆動制御するステップ(40)のための補正ステップ(50)を実施するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補正ステップ(50)は、フィードバック信号をユーザに出力するステップを含み、前記フィードバック信号は、前記制御入力の所望の操作からの逸脱、及び/又は、前記制御入力についての補正手段の示唆を示す、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザへの前記フィードバック信号は、視覚的な表示、聴覚的な信号、触覚的な信号のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記補正ステップ(50)は、
前記少なくとも1つの求められた操作パラメータを、前記検査された境界条件からの特定された逸脱に依存して調整するステップと、
前記少なくとも1つの調整された操作パラメータを、前記装置を駆動制御するステップ(40)のために使用するステップと、
を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記境界条件(22)は、操作パラメータ又は操作パラメータの時間的経過のための以下のうちの少なくとも1つ、即ち、下方及び/又は上方の限界値、許容範囲、予め設定された基準値からの逸脱のうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記操作パラメータを調整するステップは、
前記操作パラメータのパラメータ値を係数で乗算するステップ、
前記操作パラメータの前記パラメータ値に補正値を加算するステップ、
前記操作パラメータを予め定められた値に固定するステップ、
前記操作パラメータの時間的経過を変更するステップ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
新規の境界条件を形成するステップ(80)、又は、
既存の境界条件を、制御入力の捕捉された操作パラメータに基づいて変更するステップをさらに含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記捕捉された制御入力によって生じた少なくとも1つの制御結果を捕捉するステップ(60)と、
前記捕捉された制御結果を、予め定められた評価基準に基づいて評価するステップ(70)と、
前記評価により肯定的な結果が生じた場合、前記少なくとも1つの制御結果を生じさせた関連する操作パラメータを記憶するステップと、
をさらに含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記操作パラメータ及び/又は前記制御結果は、前記装置のセンサによって捕捉される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている計算ユニット。
【請求項12】
計算ユニット上において実行されるときに、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法を当該計算ユニットに実施させるためのコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムが記憶されている機械可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置を駆動制御する際の制御入力を補正するための方法、並びに、当該方法を実施するためのコンピュータプログラム及び計算ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
実際のすべての技術分野において、現在、手動及び純粋な機械的駆動制御は、電子制御によって支援されており又は完全に自動化されている。この場合、単純な作業ステップは、純粋な技術的手段を用いて良好に実行することができる。しかしながら、特に複雑な作業シーケンスの場合、又は、セキュリティ要件が高い分野においては、完全に自動化されたシーケンスは不可能であり、又は、過度な労力しか伴わないことが多く、そのため、そこでは、依然として人間のユーザによる装置の手動制御が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の開示
本発明によれば、独立請求項の特徴を有する方法が提案される。好適な実施形態は、従属請求項及び以下の説明の対象である。
【0004】
特に、ユーザによって操作可能な装置を駆動制御するための方法が提案され、当該方法は、以下のステップ、即ち、少なくとも1つの操作要素を介して装置の駆動制御のための制御入力を捕捉するステップと、装置の駆動制御のための制御入力から、1つ又は複数の操作パラメータのためのパラメータ値を求めるステップと、1つ又は複数の操作パラメータについて、求められたパラメータ値が、予め定められた境界条件を満たしているかどうかを検査するステップと、検査により、1つ又は複数の操作パラメータについて、境界条件が満たされていないことが判明した場合、装置を駆動制御するための補正ステップを実施するステップと、を含む。この方法を用いることにより、ユーザによる駆動制御は、自動化されたシーケンスによって置き換えられるのではなく、適当な手法により解釈され、必要に応じて最適化された駆動制御戦略に変換される。この場合、手動制御の柔軟性は、そのまま維持されるが、操作が困難な制御シーケンス、又は、経験の浅いユーザによって開始される制御シーケンスの最適化は、可能である。
【0005】
例示的な実施形態においては、制御入力は、所定の期間を超えて捕捉され、関連する操作パラメータが、制御入力から時間的経過において求められ得る。次いで、少なくとも1つの操作パラメータの時間的経過が、操作パラメータの経過についての予め定められた境界条件を満たしているかどうかを検査することができ、検査により、1つ又は複数の操作パラメータの経過について、境界条件が満たされていないことが判明した場合、装置を駆動制御するステップのための補正ステップを実施することができる。
【0006】
そのような補正ステップは、例えば、フィードバック信号をユーザに出力するステップを含み得るものであり、ここで、フィードバック信号は、制御入力の所望の操作からの逸脱、及び/又は、制御入力についての補正手段の指示を示す。これにより、ユーザには、最適でない操作を識別し、場合によっては自身で修正することができる手段が提供される。特に、そのようなフィードバックは、経験の浅いユーザに対する操作シーケンスのトレーニングに適しており、又は、操作中の効率若しくは作業速度などの特定の基準の最適化に適している。特に、ユーザへのフィードバック信号は、視覚的な表示、聴覚的な信号、触覚的な信号、及び/又は、任意のその他の信号を含み、又は、それらの信号の組合せを含み得る。これにより、操作をどのようにして最適化することができるかを、例えば、制御用の矢印による直接的な指示又は許容範囲外への逸脱の際のアラーム音による直接的な指示により提供することができる。ユーザへの触覚的な信号の伝達のために、フォースフィードバック要素を使用することができる。
【0007】
付加的又は代替的に、補正ステップは、少なくとも1つの求められた操作パラメータを、検査された境界条件からの特定された逸脱に依存して調整することを含み得る。次いで、そのように調整された操作パラメータは、装置を駆動制御するステップのために使用することができる。これにより、装置における損傷などを阻止するために、制御系の直接的な補正が可能になる。
【0008】
操作パラメータ又は操作パラメータの時間的経過のための境界条件は、例えば、下方及び/又は上方の限界値、許容範囲、又は、予め設定された基準値からの逸脱を含み得る。
【0009】
操作パラメータが調整される場合、このことは、例えば、操作パラメータのパラメータ値を係数で乗算するステップ、操作パラメータのパラメータ値に補正値を加算するステップ、操作パラメータを予め定められた値に固定するステップ、又は、操作パラメータの時間的経過を変更するステップによって行うことができる。すべての場合において、使用される補正、即ち、例えば、補正係数又は加算された補正値は、固定的に設定されるものとしてもよいし、又は、代替的に、所望の境界条件若しくは基準値からの操作パラメータの逸脱に依存して決定することもできる。
【0010】
その上さらに、本方法は、新規の境界条件を形成するステップ、又は、既存の境界条件を、制御入力の捕捉された操作パラメータに基づいて変更するステップを含み得る。このようにして、捕捉された制御入力の評価を連続的に改善することができる。特に、例えば、経験豊富なユーザによる操作の場合など、そこから新規な境界条件を形成するために、操作パラメータが所期のように捕捉される特別な操作モードを設けるものとしてもよい。
【0011】
その上さらに、捕捉された制御入力によって生じた少なくとも1つの制御結果を捕捉することも可能である。この捕捉された制御結果は、予め設定された評価基準に基づいて、例えば、境界条件又は限界値を介して改めて評価することができる。評価により、肯定的な結果が生じた場合、即ち、達成された制御結果が、所望の領域内にある場合、制御結果を生じさせた関連する操作パラメータを記憶することができる。次いで、これらの操作パラメータは、例えば、そこから操作パラメータを検査するための新規の境界条件を形成するために、又は、全般的に、所望の制御結果と関連する操作パラメータとの間の対応関係を捕捉しかつ認識するためにも、再び使用することができる。
【0012】
操作パラメータ及び/又は制御結果は、装置の適当なセンサ、例えば、磁気的、電気的又は光学的センサによって捕捉することができる。
【0013】
本発明に係る計算ユニット、例えば、移動式作業機械の制御装置は、特にプログラミング技術方式により本発明に係る方法を実施するように構成されている。
【0014】
すべての方法ステップを実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品の形態における本発明に係る方法の実装も有利である。なぜなら、このことは、特に、実行する制御装置がさらなるタスクのためにも使用され、それゆえ、いずれにせよ既存である場合、特にわずかなコストしか引き起こさないからである。コンピュータプログラムを提供するために適したデータ担体は、特に、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、EEPROM、DVDなどの磁気的、光学的、電気的メモリである。コンピュータネットワーク(インタネット、イントラネットなど)を介したプログラムのダウンロードも可能である。
【0015】
本発明のさらなる利点及び実施形態は、本明細書及び添付の図面から明らかになる。
【0016】
上述した特徴及び以下においてさらに説明すべき特徴が、それぞれ提示された組合せにおいて使用可能であるのみならず、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組合せでも又は単独でも使用可能であることは、自明のことである。
【0017】
本発明は、実施例に基づき図面に概略的に示されており、以下においては、これらの図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】以下に説明する本発明の例示的な実施形態のための方法シーケンスを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
例えば、車両、作業機械、油圧回路など、あらゆる種類の装置を、少なくとも部分的にユーザによって手動により制御するために、これらの装置には、制御手段が設けられている。ここでは、ユーザが1つ又は複数のアクチュエータを電気機械的に駆動制御するための制御命令を与えることができる1つ又は複数の操作要素が存在する。この場合、アクチュエータとは、ここでは汎用的に、制御命令に応じて動作又は物理的変数の変化を生じさせるすべての要素又は装置を意味するものと理解されるべきである。即ち、操舵軸、バルブ、調量ポンプ、サーボモータ、駆動部、加熱要素、又は、任意の他の駆動制御可能な機械的、油圧的若しくはその他の装置などのアクチュエータであり得る。
【0020】
操作要素として、装置に応じて、例えば、ボタン、レバー、ジョイスティック、ペダル、ステアリングホイール、コントロールホイール、回転ノブ、スライダなどが設けられるものとしてよい。同様に、例えば、タッチスクリーン上に表示され、物理的な操作要素と同様の機能を提供する仮想の操作要素、即ち、例えば、対応する制御入力を実行するために、表示された操作要素がユーザによる接触操作によってシフト可能又は回転可能な表示面であり得る。また、個々のアクチュエータの駆動制御に用いられる複数の操作要素が組み合わせられるものとしてもよい。これらの制御入力は、純粋に電子的にアクチュエータの対応する電気機械的な駆動制御に変換することができる。しかしながら、代替的に、操作要素は、機械的な手段と組み合わせるものとしてもよく、電子制御入力をトリガすることも、例えば、電子的な操舵支援を伴うステアリングホイールの場合のように、例えば、アクスル、レバー、バルブ、油圧要素などに直接機械的な作用を実行することも可能である。特に、電気的な制御と機械的な制御との組合せの場合、図1のステップ10において制御入力を捕捉し、そこからステップ20において、関連する操作パラメータを、即ち、例えば、ステアリングホイールの切れ角、制御レバーの方向又はペダルの位置を求める1つ又は複数の適当なセンサが存在するものとしてもよい。ここでは、例えば、ポテンショメータ又はホールセンサなどの、光学的、磁気的又は電気的センサを使用することができる。
【0021】
例示的な実施形態によれば、ここで、装置がユーザによって操作されるときに、1つ又は複数の捕捉された制御入力が、ステップ30において予め定められた基準に従って検査され、次いで、場合によっては、補正ステップ50がトリガされ得る。補正ステップ50として、例えば、捕捉された制御入力又はその操作パラメータが調整され、これらの調整されたパラメータを用いて装置が駆動制御され得る。付加的又は代替的に、制御入力が検査され、次いで、ユーザに例えば視覚的な表示又はフォースフィードバック要素などの適当な手法により、補正手段又は制御入力の評価を信号によってフィードバックすることができる。
【0022】
ここでは、制御入力10とは、短い個々の駆動制御要求、例えば、ステアリングホイールを特定の位置に回転させることを意味するものと理解することができる。しかしながら、代替的に、一連の個々の制御入力又は比較的長い期間にわたる連続的な駆動制御も考慮することができ、これらは共に制御シーケンスを形成し、1つ又は複数の求められた操作パラメータ20によって時間的経過の中で記述することが可能である。ここでは、異なる操作要素の制御入力を同時に又は相前後して受信10及び評価することもでき、共に制御シーケンスを形成することができる。例えば、頻繁に繰り返される作業シーケンス、例えば、アクチュエータを一方の側から他方の側に動作させることなどが作業機械を用いて頻繁に実施される。また、この場合は、グリッパによる材料の持ち上げ若しくは荷下ろしなどのより複雑な作業シーケンス、又は、ステアリング動作と、アクセルペダルによる車両エンジンの駆動制御との組合せなどでもあり得る。
【0023】
場合によっては、補正ステップを開始することができるようにするために、システムには、制御入力又は捕捉された操作パラメータの評価を装置の操作の際に可能にさせる必要がある。この目的のために、一方では、固定の境界条件22が、好適な又は最適な制御結果が得られるように選択された基準値又は限界値の形態で記憶されるものとしてもよい。例えば、最適な制御結果として、アクチュエータの動作のための最大加速度を超えないこと、部品のための最大負荷を超えないこと、又は、動作シーケンスにおいてぎくしゃくした動作が発生しないこと、即ち、アクチュエータの動作の加速において過度に大きい変動が発生しないことが考慮され得る。一般に、操作の質を評価するために考慮される制御結果は、例えば、生産性、作業速度、快適性又は効率などの適当な基準に基づいて分類することができる。次いで、例えば、駆動制御されるアクチュエータのための操作要素としての制御レバーの均等な動作など、これらの結果を達成することができる、関連する操作パラメータを呼び出し又は固定することができる。そのように予め設定された操作要素の所望の操作は、操作パラメータのための固定の限界値として、操作パラメータの最適な経過として、又は、例えば操作パラメータのための上方及び/又は下方の限界値による値範囲として、確定されるものとしてもよい。同様に、そのような限界値、値範囲又は経過条件は、複数の操作パラメータに依存する制御シーケンスを修正するために、複数の操作パラメータに対して同時に組合せにおいて確定されるものとしてもよい。これらのすべての境界条件は、1つ又は複数のパラメータのために記憶されるものとしてもよいし、捕捉された操作パラメータの後からの評価のために呼び出すことができる。
【0024】
ステップ20においては、多段の操作パラメータも、制御入力から求めることができる。例えば、アクスルの操舵による制御入力10の場合、最初に、切れ角が、適当なセンサによって操作パラメータとして捕捉され得る。次いで、この切れ角は、任意選択的に、さらなる実際の所望の目標操舵角に導入することができ、それに対して、ステップ40においては、電子制御信号が、サーボモータなどの対応する電気機械的な要素に伝送される。任意選択的に、制御ループなどのまださらなる要素が駆動制御に取り入れられるものとしてもよい。装置又は用途に応じて、中間ステップも明示的に決定されるのではなく、システムの制御機能に導入されるだけなので、従って、例えば、操作量としての操作要素の特定の切れ角は、電子回路又はコントローラなどの直接の使用により、直接サーボモータへの適当な駆動制御信号に変換される。次いで、本発明の趣旨における操作パラメータとして、センサによって捕捉された操作パラメータも、この捕捉されたセンサ値から求められるさらなる操作パラメータも考察することができる。それに応じて、捕捉された制御入力とアクチュエータに伝送された制御信号との間の任意の各段階において、境界条件や最適なシーケンスとの比較による評価30も、操作パラメータの調整50も行うことが可能である。
【0025】
即ち、制御入力の捕捉10及びその操作パラメータの捕捉20の後で、これらのパラメータ値は、ステップ30においてシステムにより評価され得る。この目的のために、1つ又は複数の操作パラメータについて求められたパラメータ値は、上記において説明したように、これらの操作パラメータについて記憶され呼び出し可能である、これらの操作パラメータについての関連する基準値又は境界条件と比較することができる。すべての境界条件が満たされた場合、捕捉された操作パラメータは、ステップ40において装置の駆動制御のために使用することができ、即ち、例えば、アクチュエータの駆動制御信号に変換することができる。ただし、ここでは、ステップ30において、1つ又は複数の操作パラメータが境界条件を満たしていないこと、即ち、例えば、限界値外にある、又は、このパラメータに対する最適な値から逸脱し過ぎていることが特定された場合、補正ステップ50を開始することができる。
【0026】
特に、例示的な実施形態においては、補正ステップ50として、装置の調整された駆動制御を設けるものとしてもよい。この目的のために、条件の未充足が特定された場合に、例えば、操作パラメータは、それが再びステップ40において、調整された操作パラメータに基づきアクチュエータのための駆動制御信号に変換される前に、調整することができる。代替的に、駆動制御信号を相応に直接変更することも可能である。
【0027】
好適には、この場合は、ユーザの制御入力を無視するのではなく、駆動制御特性のみを適当な手法により最適化すべきである。例えば、アクスル駆動制御のための操作パラメータの調整は、1つの単一アクスルがユーザの要求に従ってユーザの制御入力に応じてストッパに留まるが、この場合のエネルギー消費は、最適化又は制限されるように確定されるものとしてもよい。即ち、装置を駆動制御する際には、ユーザの制御入力に実質的に従うが、個々の臨界点においては、弱めたり、強めたり、又は、全般的な制御結果が最適化されるように変更したりするような駆動制御を実行することが可能である。これにより、ユーザの制御入力は、確定された境界条件に基づいて、特定の枠組みで解釈される。従って、ユーザがもはや影響を与えることのできない固定的に予め設定され自動化された駆動制御シーケンスとは対照的に、制御における柔軟性が大幅に向上している。
【0028】
即ち、例えば、ある限界値を超えた場合、検査される操作パラメータは、限界値の値に制限できる。また、他の例においては、値を必ずしも限界値に制限することなく、操作パラメータを1係数によってのみ低減することも可能である。同様に、パラメータ値を低減させるが、その際に限界値に制限し続けないこともできる。一般に、操作パラメータの調整又は補正については、固定的に予め設定された補正値、例えば、固定的に予め設定された低減係数などを使用することができ、又は、操作パラメータの調整は、逸脱の度合いに依存して設計することができる。即ち、わずかな逸脱のみが特定される場合には、任意選択的にわずかな補正のみを行うこともできる。この目的のために、検出された操作パラメータの境界条件からの逸脱結果に従った補正値を確定する適当なアルゴリズムが格納されているものとしてもよい。
【0029】
操作パラメータのための境界条件を確定するために、経験豊富なユーザが装置の操作を引き継ぐことができ、また、関連する操作パラメータが捕捉される評価モードが設けられるものとしてもよい。このモードは、例えば、対応するユーザ入力によって開始することができる。次いで、ユーザは、短い作業シーケンスによって装置を制御することができ、又は、異なる作業シーケンスを伴う比較的長い期間にわたって装置を制御することもでき、それに対して、システムは、ステップ20において操作パラメータを捕捉し、ステップ60において関連する制御結果を捕捉する。この場合、操作パラメータも、制御結果も、連続的に、固定の間隔で監視することができ、又は、特定の状況若しくは条件に依存して監視することもできる。制御結果は、ステップ70において、例えば、この箇所における制御結果に対して確定されている予め設定された境界条件又は評価基準に基づいて自動的に評価することができる。
【0030】
しかしながら、制御された作業シーケンスが終了した後で、この先行する作業シーケンスを評価する手段をユーザが得られることを想定することもできる。これにより、カテゴライズモードにおいて経験豊富なユーザによって制御された作業シーケンスであったにもかかわらず、十分に良好な成功でない場合には破棄することができるようになる。ユーザは、例えば、制御シーケンスを複数回繰り返し、次いで、これらの繰り返しのうちのどれが最適な経過に対応するかを評価することもできる。バックアップ的に、例示的な実施形態において、ユーザに、制御シーケンスの実行後に1つ又は複数の結果パラメータを、即ち、例えば、消費量表示と組み合わせたトルクの経過、又は、特定の部品に対する負荷曲線を表示することもできる。次いで、これらのデータを用いることにより、ユーザは、適当な制御経過を最適な経過として確定することができる。他の例においては、自動化された方法により、複数回繰り返された制御シーケンスから、記憶された境界条件又は制御結果のための限界値との比較によって最適な経過を得ることが可能になる。
【0031】
このようにして、最適な又は所望の制御結果と、当該結果に導かれる捕捉された操作パラメータとの間の関係を形成するデータを得ることができる。次いで、これらのデータは、ステップ80において、操作パラメータに対する境界条件22若しくは限界値を確定することができるように、又は、既存の境界条件22若しくは限界値も変更することができるように、手動により、又は、自動化された手法によって、処理することができる。
【0032】
なお、必ずしも、制御すべき各装置が評価モードも可能である必要はない。その代わりに、必要なすべての操作パラメータを捕捉するための拡張されたセンサと制御結果とを備え特別に構成された装置においてもこの評価プロセスを実施することができ、これに基づいて、操作パラメータに対応する評価基準又は境界条件を確定することもできる。次いで、そのようにして得られたデータは、この制御モードを持たない又はすべてのセンサを持たない装置ではなく、例えば、制御入力の操作パラメータを捕捉するために必要なセンサだけを備えた他の装置の制御に利用することができる。その場合には、これらのデータは、例えば、メーカから制御システムに直接格納することもできる。同様に、そのような操作パラメータのための評価基準は、後からであっても、例えば、ソフトウェアの更新を介して制御システムに導入することができる。その他に、評価基準、制御シーケンスの評価のためのプログラムモジュール、及び/又は、最適でない制御シーケンスの場合の関連する反応を、中央のメモリ要素に格納することも可能であり、このメモリ要素には適当な通信インタフェースを介して装置がアクセス可能である。この場合、メモリには多数の異なる装置のための評価基準及び操作パラメータが格納されるものとしてもよく、例えば、装置識別子を備えるものとしてもよい。それにより、例えば、同様のタイプのすべての装置、又は、同一バージョンの制御ソフトウェアを備えた同様のタイプのすべての装置は、操作パラメータのための同様の評価データへのアクセスを有する。従って、そのようなデータは、稼働中であっても繰り返し改善又は更新することができる。
【0033】
特定の評価モードの他に、通常の動作モードにおいて制御結果を操作パラメータと共に捕捉し、任意選択的に記憶することも可能である。次いで、これらの結果も同様に、既存のデータを改善したり、又は、評価基準を修正したりするために、必要に応じて自動化されて又は手動により評価することができる。
【0034】
ここでは、捕捉された制御入力の操作パラメータを連続的に検査し、記憶されている制御シーケンスと比較することも可能である。その際、現在の制御命令が既知の記憶された制御シーケンスに対応しているかどうかを特定するために、利用可能な操作パラメータの一部又は全部を比較することが可能である。例えば、一連の制御命令は、それらの実行の持続時間や速度に依存することなく、共に特定の制御シーケンスを形成するように、例えば、2つの位置の間においてアクチュエータの特定の動作経過を形成するように確定されるものとしてもよい。他の例においては、速度も関連させることができ、それによって、制御命令の時間シーケンスも予め設定された限界内において動作している場合にのみ、捕捉された現在の制御シーケンスと記憶されているシーケンスとの一致が識別される。
【0035】
次いで、予め定められた制御シーケンスであることが認識された場合、この制御シーケンスに対しては、改めて定められた境界条件若しくは限界値又は許容範囲などの特定の評価基準が確定されるものとしてもよい。
【0036】
最適な駆動制御のための操作パラメータが存在する限界は、先行のステップにおいて制御シーケンスの識別のために使用した限界値とは異なるものとすることができる。例えば、操作パラメータの最適な範囲内には存在していないだけの制御命令のシーケンスであっても制御シーケンスとして識別するために、制御シーケンスの識別のための限界値は、大幅に広く確定されるものとしてもよい。最適な駆動制御のための第2の限界値を起点として、操作パラメータが所望の範囲から逸脱し過ぎている場合には、シーケンスを評価し、改めて適当な補正ステップを開始することができる。
【0037】
その他に、補正ステップ50として、ユーザが自身の操作挙動に関するフィードバックを得ることが設けられるものとしてもよい。通常の動作モードに比較して強化される、又は、常にフィードバックが提供される、若しくは、任意選択的に操作結果の補正に対しても付加的にフィードバックが提供される特別なトレーニングモードが確定されるものとしてもよい。他の実施形態においては、トレーニングモード又は各動作モードにおいてのみ、フィードバックがユーザに提供され、又は、これらのフィードバックが要求に応じてオンオフされ得る。これらのフィードバックには、今後の操作結果をどのように改善することができるかについてのユーザへの指示を含めることができる。
【0038】
フィードバックについては、操作パラメータの補正又は調整と同様の評価基準を適用することができる。ただし、同様に、ユーザへのフィードバックについては、別個の評価基準が存在することも可能である。このようにして、フィードバックは、操作の適当な補正のために、例えば、より早期に既に提供することができ、それに対して、操作パラメータの変更による制御信号の直接的な調整は、より大きい逸脱が生じた場合にのみ行われる。この目的のために、例えば、複数の限界値が段階的に設けられるものとしてもよいし、又は、求められた操作パラメータのために異なる幅の許容範囲が記憶されているものとしてもよい。
【0039】
ここでは、操作挙動に関するフィードバックのために、ユーザへのすべてのシグナリング手段が問題になる。例えば、定められた最適な範囲外の操作の際に音による警告が行われる音響的な信号を使用することができる。同様に、操作と最適な操作目標との一致度合いに依存して音の高さ及び/又はボリュームが変化する、例えば、操作挙動が最適な経過から遠ざかるほどボリュームが増加する連続音によっても可能である。また、操作挙動の変更のためのユーザへの直接的な警報や指示を含んで記憶されている音声通知を出力することも考えられる。
【0040】
さらなる実施形態においては、操作挙動を補正するための方向を示す矢印など、ユーザへの評価のフィードバックのための視覚信号を出力することができる。ユーザが、例えば、ハンドル又はレバーなどの操作要素を一方向に変位させ過ぎて、それによる操作が不所望な制御結果となった場合に、逆方向の矢印により補正手段を指示することも可能である。付加的又は代替的に、カラー信号を使用すること、例えば、操作が所望の/最適な範囲内にある場合は、緑に色付けされた要素又は面を使用し、境界条件を超えた場合又は最適な経過から逸脱した場合は、赤に色付けされた要素又は面を使用することができる。
【0041】
有用である限り、ユーザには、テキスト形式の付加的情報、画像若しくは映像による指示、又は、グラフィック表示としての付加的情報を提供することもでき、これらの付加的情報は、例えば、より良好な操作の達成のための支援を提供したり、又は、説明のために起こり得る不所望な操作結果をより詳細に指示したりするものである。そのような情報は、例えば、操作パラメータのための特定の境界条件と共に又は最適な動作シーケンスと共に適当な手法により記憶され、そこから表示のために呼び出すことができる。
【0042】
その他に、例えば、フォースフィードバック要素を使用することにより、触覚的な信号をユーザにフィードバックすることも可能である。これらのフォースフィードバック要素は、駆動制御により、例えば、ハンドル若しくはレバーが特定の切れ角を超えた場合に感じ取ることができる抵抗としての、又は、連続的に増加する抵抗としてのユーザへの応力フィードバックを可能にさせる。特に、トレーニング段階のために、及び、通常の動作においても、例えば、操作パラメータのための最適な範囲又は所望の範囲からの逸脱に応じて、操作要素を短く振動させるなどの、より明確で触覚的な信号を提供することができる。同様に、操作要素を最適な操作に対応するように、少なくとも部分的に移動させること、即ち、例えば、操作レバーが自動的に適正な方向に移動し、ユーザはこの移動にただ従うだけでよいということを可能にするアクチュエータを操作要素が備えることも可能である。
【0043】
説明したフィードバックについては、通常、制御入力の直接捕捉された操作パラメータの評価が必要であり、フィードバックも、これらの操作パラメータに又は直接制御入力に関連することが理解される。
【0044】
もちろん、これらすべてのタイプのユーザへのフィードバックは、相互に組み合わせることも可能であるし、又は、本明細書に記載されているその他の補正ステップと組み合わせることも可能である。本明細書に記載されていない、ユーザへのさらなるシグナリング手段も使用可能である。
【0045】
説明した音響的及び光学的な信号は、それぞれ駆動制御される装置の対応するインタフェースに、例えば、移動式作業機械の表示素子又はスピーカなどに直接伝送することができるが、操作の評価及び補正を担う制御ユニットも同様に、適当な通信インタフェースを備えるものとしてよく、これらの信号は、他の装置に転送され、次いで、他の装置は、これらの信号をユーザに出力することができる。例えば、ヘッドフォンは、ケーブルを介して、若しくは、例えばブルトゥースを用いた無線により制御ユニットに接続されるものとしてもよく、又は、視覚的な情報は、WLAN接続などのローカルインタフェースを介してユーザのタブレットに伝送し、次いで、このタブレット上においてこれらの視覚的な情報を表示させることができる。
【0046】
トレーニングモードにおいても、ユーザの操作入力は記録することができ、さらなる使用のために評価又は記憶することができる。例えば、操作シーケンスは、それぞれ1つのユーザープロファイルに割り当てることができる。そのため、操作シーケンスにおける改善を比較的長い期間にわたって多くの繰り返し越しに認識し、それらの情報をユーザに通知することが可能になる。また、繰り返し発生する特定の誤入力を認識し、ユーザへの補正信号の出力の際に特別に考慮することも可能である。
【0047】
説明したすべての方法ステップは、装置内の適当な制御ユニットにおいて直接実施することができるが、代替的に、適当な手法により装置に接続された別個の制御部において実行することもできることが理解される。装置を駆動制御するための複数の制御ユニットが存在する場合、方法の一部を異なるユニットにおいて実施することも可能である。例えば、操作パラメータは、最初の制御ユニットにおいて自動的において捕捉することができる。次いで、これらの操作パラメータは、(例えば、境界条件との比較、又は、補正ステップの実行のための)さらなる処理のために、他の制御ユニットに転送することができる。また、制御ユニットによって、複数の装置又は装置の一部を駆動制御して検査し、それぞれ個別に上述した方法を実施させることも可能である。しかしながら、同様に、複数の異なる制御ユニット又は装置から得られたパラメータを組み合わせて監視し、次いで、適当な補正ステップを実行するために検査することも可能である。
【0048】
その他に、説明した部分的な方法又は実施形態は、任意に相互に組み合わせることも可能である。そのため、様々な動作モードを個別に又は装置内において組み合わせて使用することも可能である。また、境界条件における操作パラメータの検査のための異なる手段又はそこから必要に応じて追従される補正ステップは、それぞれの例に限定されるのではなく、他の境界条件又は補正ステップに置き換えたり又は拡張したりすることも可能である。同様に、当業者であるならば、例えば、特定のアクチュエータ又は具体的な操作パラメータなどの例に基づいて説明した原理を、他の装置若しくは例えば車両用の任意の制御パラメータなどのパラメータに、自動生産機械若しくは作業機械の駆動制御部に、又は、自身の操作パラメータを捕捉し評価することができる他の装置に、転用することができるはずである。
図1
【外国語明細書】