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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035982
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/43 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
E02F3/43 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022135718
(22)【出願日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0114959
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520485941
【氏名又は名称】ボルボ・コンストラクション・イクイップメント・アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】VOLVO CONSTRUCTION EQUIPMENT AB
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】シン・フンヂュ
(72)【発明者】
【氏名】キム・ミオク
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003BA02
2D003BA03
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バケットのティルティングまたはローテーティングが自動で制御される。
【解決手段】下部走行体と、上部旋回体と、ブーム、アーム、バケット、及びバケットをアームに対してティルティング可能に支持するティルティングアクチュエータとバケットをアームに対してローテーティング可能に支持するローテーティングアクチュエータとで構成されるティルトローテーターを含む作業装置と、操作レバーと、前記作業装置の位置情報および姿勢情報を提供する位置情報提供部と、前記作業装置の作業領域を設定することができ、前記作業領域の平面情報を提供する作業設定部と、前記操作レバー、前記作業設定部および前記位置情報提供部のうちの一つ以上から入力される信号により前記作業装置を制御する電子制御部と、を含み、前記電子制御部は、前記バケットのチップが作業領域に接するように前記バケットの姿勢を制御する、建設機械を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体上で回動可能に支持される上部旋回体と、
前記上部旋回体に回動可能なブーム、前記ブームに回動可能なアーム、前記アームに回動可能なバケット、および前記バケットを前記アームに対してティルティング可能に支持するティルティンアクチュエータと、前記バケットを前記アームに対してローテーティング可能に支持するローテーティングアクチュエータと、で構成されるティルトローテーターを含む作業装置と、
運転者の操作量に対応する操作信号を出力する操作レバーと、
前記作業装置の位置情報および姿勢情報を提供する位置情報提供部と、
前記作業装置の作業領域を設定することができ、前記作業領域の平面情報を提供する作業設定部と、
前記操作レバー、前記作業設定部および前記位置情報提供部のうちの一つ以上から入力される信号により前記作業装置を制御する電子制御部と、を含み、
前記電子制御部は、前記バケットのチップが作業領域に接するように前記バケットの姿勢を制御する、建設機械。
【請求項2】
前記電子制御部は、前記作業領域の平面情報を考慮して、作業領域の法線ベクトルを算出する、請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記電子制御部は、前記法線ベクトルおよびバケットのチップの正射影に基づいて、前記バケットのチップが作業領域に接するときのバケットの目標姿勢を特定する、請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記電子制御部は、バケットの現在の姿勢とバケットの目標姿勢とを比較して、バケットのティルティング角度、ローテーティング角度および回動角度のうちの一つ以上の角度偏差を算出する、請求項3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記電子制御部は、前記角度偏差に対応する油圧を生成して、ティルティングアクチュエータ、ローテーティングアクチュエータおよびバケットシリンダのうちの一つ以上に供給する、請求項4に記載の建設機械。
【請求項6】
前記電子制御部は、前記操作レバーの操作信号が入力されると、前記アームの先端部と前記作業領域との間の変位を演算し、前記変位が予め設定された基準値より小さいと前記バケットの姿勢を制御する、請求項4に記載の建設機械。
【請求項7】
前記電子制御部は、前記アーム先端部が作業領域に近接するほど、前記角度偏差が減少するように制御する、請求項6に記載の建設機械。
【請求項8】
前記電子制御部は、前記作業装置の位置情報および姿勢情報を考慮して、前記バケットの移動方向ベクトルを算出する、請求項2に記載の建設機械。
【請求項9】
前記バケットの移動方向ベクトルは、前記アームの先端部を基準として算出されるように構成される、請求項8に記載の建設機械。
【請求項10】
前記電子制御部は、前記バケットの移動方向ベクトルと作業領域の法線ベクトルとを外積して、バケットチップの幅方向ベクトルを算出する、請求項8に記載の建設機械。
【請求項11】
前記バケットの移動方向ベクトル、前記作業領域の法線ベクトルおよび前記バケットチップの幅方向ベクトルが互いに垂直である、請求項10に記載の建設機械。
【請求項12】
前記位置情報提供部は、建設機械の位置情報を測定する位置測定部、建設機械の姿勢情報とそれぞれの作業装置の姿勢情報を測定する姿勢測定部、および前記位置測定部と前記姿勢測定部から測定された位置情報および姿勢情報に基づいて座標を算出する座標算出部のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の建設機械。
【請求項13】
前記操作レバーは、電気式ジョイステックであって、運転者の操作量に比例して電気的信号を発生させて電子制御部に提供する、請求項1に記載の建設機械。
【請求項14】
前記電子制御部は、
前記バケットのローテーティング操作信号が予め設定された基準値より長く持続すると、前記バケットのローテート軸を作業領域に垂直となるように整列し、
前記バケットのローテーティング操作信号が予め設定された基準値より短く持続すると、前記操作信号に対応するようにローテーティングアクチュエータを制御してバケットをローテーティングし、ティルティングアクチュエータおよびバケットシリンダを制御して、前記バケットのチップが作業領域に侵入しないようにする、請求項2に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械に関し、さらに詳細にはバケットのティルティング動作のためのティルティングアクチュエータとバケットのローテーティング動作のためのローテーティングアクチュエータとを含む建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
掘削機は、建設現場などで土地を掘り取る掘削作業、土砂を運搬する運搬作業、基礎を作るための根切り作業、建物を解体する破砕作業、地面を整地する整地作業、地面を均す均し作業などの多様な作業を遂行する建設機械である。
【0003】
図1を参照すると、掘削機のような建設機械1は、下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に設置される上部旋回体3と、上部旋回体3上に上下方向に作動可能に設置される作業装置4と、を具備する。
【0004】
また、作業装置4は、多関節で形成されて、後端部が上部旋回体3に回動可能に支持されたブーム4aと、ブーム4aの先端に後端部が回動可能に支持されたアーム4bと、アーム4bの先端側に回動可能に設置されたバケット4cと、を具備する。そして、使用者のレバー操作によって作動油が供給され、ブームシリンダ(5、作業用アクチュエータ)とアームシリンダ(6、作業用アクチュエータ)とバケットシリンダ(7、作業用アクチュエータ)がそれぞれ、ブーム4a、アーム4bおよびバケット4cを作動させる。
【0005】
しかし、このような従来の建設機械1は、前記ブームシリンダ5とアームシリンダ6およびバケットシリンダ7によって上下方向にのみ回動作動されて掘削作業がなされるため、建設機械1の走行動作や旋回動作が難しい空間すなわち、狭い空間内での作業時に、一方向に対する掘削作業のみがなされるだけであり、掘削方向を変更できないという問題点があった。
【0006】
このような問題点を解決するために、図3のようなティルトローテーター70が提案されている。
【0007】
詳細には、ティルトローテーター70は、バケット33のローテーティング動作のためのローテーティングアクチュエータ74と、バケット33のティルティング動作のためのティルティングアクチュエータとしての第1ティルティングシリンダ73aおよび第2ティルティングシリンダ73bと、を含み、前記ローテーティングアクチュエータ74と前記ティルティングアクチュエータを介してバケット33のティルティング動作およびローテーティング動作が可能であるように構成されて、作業空間の影響を受けずに掘削作業を迅速かつ容易に実施することができる。
【0008】
一方、バケット33によって傾斜面を掘削する場合、バケット33の刃先であるチップを常に傾斜面に接した状態で移動させることが作業の効率が良い。
【0009】
ただし、掘削時に上部旋回体3を旋回させながらバケット33を傾斜面に沿って移動させると、傾斜面に対するバケット33の角度が変わり続けるため、運転者が感覚に依存してバケット33のティルティングまたはローテーティングを任意に調整しなければならないが、このような作業は高度の熟練技術が必要であるため、初心者が作業する場合に傾斜面が平坦ではなく誤差が頻繁に発生するという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10-1582957号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前述した従来技術の問題点を解決するためのもので、本発明の目的はバケットのティルティングまたはローテーティングが自動で制御されて、傾斜面に対する掘削作業がより安定的に遂行されて優秀な平坦性を提供できる建設機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面は、下部走行体と、前記下部走行体上で回動可能に支持される上部旋回体と、前記上部旋回体に回動可能なブーム、前記ブームに回動可能なアーム、前記アームに回動可能なバケット、および前記バケットを前記アームに対してティルティング可能に支持するティルティングアクチュエータと前記バケットを前記アームに対してローテーティング可能に支持するローテーティングアクチュエータとで構成されるティルトローテーターを含む作業装置と、運転者の操作量に対応する操作信号を出力する操作レバーと、前記作業装置の位置情報および姿勢情報を提供する位置情報提供部と、前記作業装置の作業領域を設定することができ、前記作業領域の平面情報を提供する作業設定部と、前記操作レバー、前記作業設定部および前記位置情報提供部のうちの一つ以上から入力される信号により前記作業装置を制御する電子制御部と、を含み、前記電子制御部は、前記バケットのチップが作業領域に接するように前記バケットの姿勢を制御する、建設機械を提供する。
【0013】
一実施例において、前記電子制御部は、前記作業領域の平面情報を考慮して、作業領域の法線ベクトルを算出することができる。
【0014】
一実施例において、前記電子制御部は、前記法線ベクトルおよびバケットのチップの正射影に基づいて、前記バケットのチップが作業領域に接するときのバケットの目標姿勢を特定することができる。
【0015】
一実施例において、前記電子制御部は、バケットの現在の姿勢とバケットの目標姿勢とを比較して、バケットのティルティング角度、ローテーティング角度および回動角度のうちの一つ以上の角度偏差を算出することができる。
【0016】
一実施例において、前記電子制御部は、前記角度偏差に対応する油圧を生成して、ティルティングアクチュエータ、ローテーティングアクチュエータおよびバケットシリンダのうちの一つ以上に供給することができる。
【0017】
一実施例において、前記電子制御部は、前記操作レバーの操作信号が入力されると、前記アームの先端部と前記作業領域との間の変位を演算し、前記変位が予め設定された基準値より小さいと前記バケットの姿勢を制御することができる。
【0018】
一実施例において、前記電子制御部は、前記アーム先端部が作業領域に近接するほど、前記角度偏差が減少するように制御することができる。
【0019】
一実施例において、前記電子制御部は、前記位置情報提供部から提供された前記作業装置の位置情報および姿勢情報を考慮して、前記バケットの移動方向ベクトルを算出することができる。
【0020】
一実施例において、前記バケットの移動方向ベクトルは、前記アームの先端部を基準として算出されるように構成され得る。
【0021】
一実施例において、前記電子制御部は、前記バケットの移動方向ベクトルと作業領域の法線ベクトルとを外積して、バケットのチップの幅方向ベクトルを算出することができる。
【0022】
一実施例において、前記バケットの移動方向ベクトル、前記作業領域の法線ベクトルおよび前記バケットチップの幅方向ベクトルは、互いに垂直となり得る。
【0023】
一実施例において、前記位置情報提供部は、建設機械の位置情報を測定する位置測定部、建設機械の姿勢情報とそれぞれの作業装置の姿勢情報を測定する姿勢測定部、および前記位置測定部と前記姿勢測定部から測定された位置情報および姿勢情報に基づいて座標を算出する座標算出部のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0024】
一実施例において、前記操作レバーは、電気式ジョイステックであって、運転者の操作量に比例して電気的信号を発生させて電子制御部に提供することができる。
【0025】
一実施例において、前記電子制御部は、前記バケットのローテーティング操作信号が予め設定された基準値より長く持続すると、前記バケットのローテート軸を作業領域に垂直となるように整列し、前記バケットのローテーティング操作信号が予め設定された基準値より短く持続すると、前記操作信号に対応するようにローテーティングアクチュエータを制御してバケットをローテーティングし、ティルティングアクチュエータおよびバケットシリンダを制御して前記バケットのチップが作業領域に侵入しないようにすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一側面によると、運転者がバケットのティルティングまたはローテーティングを任意に調整しなくとも、バケットのチップが傾斜面に接した状態で移動して、傾斜面を形成する掘削作業時に作業時間を顕著に短縮させることができ、均一な傾斜面を提供することができる。
【0027】
併せて、運転者がバケットの移動方向に沿ってバケットのローテーティング角度を任意に調整しなくとも、バケットのチップの幅方向がバケットの移動方向に垂直となるように制御されて作業面積が最大化されるため、作業が効率的に遂行され得る。
【0028】
本発明の効果は前記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】従来技術に係る建設機械の基本構成を図示した斜視図である。
図2】本発明の一実施例に係る建設機械の基本構成を図示した斜視図である。
図3】本発明の一実施例に係るティルトローテーターの基本構成を図示した斜視図である。
図4】本発明の一実施例に係る建設機械の機能構成を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施例に係るバケットの作業領域に対する整列を示す概略図である。
図6】本発明の一実施例に係るバケットの姿勢制御を示す概略図である。
図7】本発明の一実施例に係るバケットの姿勢制御を示す概略図である。
図8】本発明の一実施例に係る建設機械の旋回時のバケットの姿勢制御を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、添付した図面を参照して本発明を説明する。しかし、本発明は多様な異なる形態で具現され得、したがって、ここで説明する実施例に限定されるものではない。そして、図面で本発明を明確に説明するために説明にかかわらない部分は省略し、明細書全体を通じて類似する部分に対しては類似する図面符号を付した。
【0031】
明細書全体で、或る部分が他の部分と「連結」されているとするとき、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の部材を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。また、或る部分が何らかの構成要素を「含む」とするとき、これは特に反対の記載がない限り他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに具備できるということを意味する。
【0032】
本明細書で使われる「第1」または「第2」のような序数を含む用語は多様な構成要素または段階を説明するために使われ得るが、該当構成要素または段階は序数によって限定されてはならない。序数を含む用語は一つの構成要素または段階を他の構成要素または段階から区別するための用途でのみ解釈されるべきである。
【0033】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0034】
図2図4を参照すると、本発明の一実施例に係る建設機械100は、下部走行体10、前記下部走行体10上で回動可能に支持される上部旋回体20、前記上部旋回体20により支持される作業装置30を具備する。作業装置30は、それぞれの油圧シリンダによって作動するブーム31、アーム32およびバケット33を含む。
【0035】
併せて、建設機械100は、前記バケット33のティルティングのためのティルティングアクチュエータと前記バケット33のローテーティング動作のためのローテーティングアクチュエータ74とが備えられるティルトローテーター70を含む。
【0036】
具体的には、ティルティングアクチュエータは、バケット33をティルティング可能に支持するティルティングピン71と、アーム32とバケット33の間にアタッチメントを結合するためのクランパ72と、バケット33をティルティングさせるための第1ティルティングシリンダ73a、第2ティルティングシリンダ73bと、を具備する。第1ティルティングシリンダ73a、第2ティルティングシリンダ73bを駆動することによって、バケット33を、ティルティングピン71を中心としてティルティングさせることができる。
【0037】
併せて、ローテーティングアクチュエータ74は、バケット33の上部に設けられ、ウォームホイールと、ウォームホイールと噛み合うウォームと、ウォームを駆動させる油圧モータと、を含んでなる。油圧モータの駆動によりウォームが回動すると、ウォームと噛み合っているウォームホイールも回動し、ローテーティングアクチュエータ74に締結されるバケット33がローテーティング動作をする。
【0038】
ティルトローテーター70とバケット33は、互いに平行な状態で締結されているので、ティルトローテーター70のローテート軸はバケット33のローテート軸と同一になる。
【0039】
ここで、第1ティルティングシリンダ73a、第2ティルティングシリンダ73bは、油圧シリンダによって作動し、ローテーティングアクチュエータ74は、ウォームとウォームホイールを駆動させる油圧モータによって作動され得るが、これに限定されるものではなく、一つの油圧モータでティルティング動作とローテーティング動作を駆動する方式など、多様な駆動方式が適用され得ることは言うまでもない。
【0040】
本発明の一実施例に係る建設機械100は、油圧シリンダおよび油圧モータを制御するコントロールバルブ200、前記コントロールバルブ200のスプールを制御する電磁比例減圧バルブ300、運転者の操作量に対応する操作信号を出力する操作レバー400、前記作業装置30の位置情報、姿勢情報を収集および/または計算する位置情報提供部500、前記作業装置30の作業領域(W、Work Area)を設定および/または選択して作業領域Wの平面情報を提供できる作業設定部600、および前記操作レバー400、前記作業設定部600および前記位置情報提供部500のうちの少なくとも一つから入力される信号により前記電磁比例減圧バルブ300に対する制御信号を出力する電子制御部700を含む。
【0041】
コントロールバルブ200は、圧力を受けて軸線方向に移動するスプールによって流路を開閉する部材である。すなわち、コントロールバルブ200は、油圧源である油圧ポンプによって供給される作動油の供給方向を油圧シリンダ側および油圧モータ側に切り換える役割をする。コントロールバルブ200は、油圧配管を通じて油圧ポンプと連結され、油圧ポンプから油圧シリンダおよび油圧モータへの作動油の供給を誘導する。
【0042】
電磁比例減圧バルブ(300、Proportional Pressure Reducing Valve)は、電子操作方式のバルブであって、電磁力を発生させるソレノイド部および流体の流路として利用されるバルブ部で構成され得る。
【0043】
電磁比例減圧バルブ300が電子制御部700により印加される電気的信号に対応して油圧を生成し、生成された油圧が電磁比例減圧バルブ300からコントロールバルブ200に伝達される。電磁比例減圧バルブ300からの油圧は、コントロールバルブ200内のスプールを軸線移動させる。
【0044】
具体的には、電磁比例減圧バルブ300は、電子制御部700によりバケット33が左側ティルティングコントロール区間であると判断される場合、前記電子制御部700からの電気的信号の入力によりコントロールバルブ200のスプールに供給される左側ティルティング信号圧力を可変調節する。この場合、バケット33を左側にティルティングさせる第1ティルティングシリンダ73aに流体を供給できるように流体の移動方向が設定されて、流体が投入されながらティルトローテーター70が左側に所定角度だけティルティングされ、前記ティルトローテーター70と結合されたバケット33も同一の角度だけティルティングされる。
【0045】
また、電磁比例減圧バルブ300は、電子制御部700によりバケット33が右側ティルティングコントロール区間であると判断される場合、前記電子制御部700からの電気的信号の入力によりコントロールバルブ200のスプールに供給される右側ティルティング信号圧力を可変調節する。この場合、バケット33を右側にティルティングさせる第2ティルティングシリンダ73に流体を供給できるように流体の移動方向が設定されて、流体が投入されながらティルトローテーター70が右側に所定角度だけティルティングされ、前記ティルトローテーター70とクランパ72で結合されたバケット33も同一の角度だけティルティングされる。
【0046】
操作レバー400は、油圧式ジョイステックまたは電気式ジョイステック(ElectricJoystick)であり得、好ましくは運転者の操作量に比例して電気的信号を発生させて電子制御部700に提供する電気式ジョイステックであり得る。
【0047】
位置情報提供部500は、GPS(Global Positioning System)衛星が送出する信号を受信して建設機械100の位置情報を測定する位置測定部510、建設機械100の姿勢情報とブーム31、アーム32およびバケット33の姿勢情報を測定する姿勢測定部520、および前記位置測定部510と前記姿勢測定部520から測定された位置情報および姿勢情報から建設機械100の寸法情報に基づいて建設機械100の各部位別座標を算出する座標算出部530を含むことができる。
【0048】
位置測定部510は、GPS衛星が送出する信号を受信できる受信機を具備することができ、受信した信号から建設機械100の位置情報を測定する。
【0049】
姿勢測定部520は、複数の慣性測定装置(Inertial MeasurementUnit、IMU)、角度センサ(Angle Senor)等を利用してブーム31、アーム32およびバケット33の位置および/または姿勢、そして建設機械100の本体の傾きなどを測定する。例えば、上部旋回体20、ブーム31、アーム32、バケット33およびティルトローテーター70それぞれには慣性測定装置が配置され得、これを介して前後方向、左右方向および上下方向での上部旋回体20、ブーム31、アーム32およびバケット33およびティルトローテーター70の加速度と、前後方向、左右方向および上下方向の周囲の上部旋回体20、ブーム31、アーム32およびバケット33およびティルトローテーター70の角速度などの姿勢情報と、を計測することができる。併せて、姿勢測定部520は、バケット33が作業領域Wに接したときの姿勢情報も計測することができる。
【0050】
座標算出部530は、前記位置測定部510と前記姿勢測定部520から測定された位置情報および姿勢情報から、事前に入力された建設機械100の寸法情報に基づいて上部旋回体20、ブーム31、アーム32、バケット33およびティルトローテーター70のうちの少なくとも一つの座標(x、y、z)を算出する。
【0051】
また、位置情報提供部500は、作業位置周辺の地形情報および作業位置に対する施工情報を、算出された座標にマッピングするマッピング部をさらに具備することができる。前記マッピング部は、姿勢測定部520で測定されたそれぞれの作業装置30の位置および/または姿勢、そして建設機械100の本体の傾きなどを、前記座標算出部530で計算された各軸により調整してマッピングする。
【0052】
作業設定部600は、作業装置30の作業領域Wを設定および/または選択することができ、設定および/または選択された作業領域の平面情報を提供する。また、バケット姿勢制御(Bucket Posture Control)モード、作業領域制限(Work Area Limit)モード、スイングポジションコントロール(Swing Position Control)モードなど、運転者の必要に応じて多様に設定および/または選択できる作業モード機能を具備することができる。
【0053】
作業設定部600は、前記作業領域Wおよび/または前記作業モードの設定および/または選択により、位置情報提供部500から提供された地形情報、位置情報、建設機械100の姿勢情報および作業設定部600で設定された作業領域Wの平面情報のうちの少なくとも一つをディスプレイ610の画面に表示する。
【0054】
すなわち、運転者はディスプレイ610の画面で作業領域Wおよび/または作業モードを設定および/または選択し、これによって表示された情報を利用して容易に作業することができる。このとき、前記作業領域Wは運転者が作業目標とするデザイン面(Design Surface)を意味する。例えば、運転者は、タッチスクリーン機能を提供するディスプレイ610を介して傾斜値を入力して、作業領域Wを生成することができる。
【0055】
電子制御部700は、操作レバー400の操作信号と、位置情報提供部500から提供された地形情報、作業装置30の位置情報および姿勢情報と、作業設定部600を介して入力された作業領域Wの平面情報とに基づいてバケット33の姿勢を特定し、これによって、バケット33の姿勢を制御する。
【0056】
詳細には、電子制御部700は、ベクトル算出部710、目標姿勢特定部720、角度偏差算出部730、およびバケット制御部740を含む。
【0057】
ベクトル算出部710は、前記位置測定部510と前記姿勢測定部520から測定された位置情報を利用して、バケット33の移動方向ベクトル(ベクトルA)を算出する。
【0058】
詳細には、ベクトル算出部710は、上部旋回体20、ブーム31、アーム32、バケット33およびティルトローテーター70の加速度および角速度などの情報から、実際のバケット33の移動方向ベクトル(ベクトルA)を算出する。ただし、バケット33のチップを基準としてバケット33の移動方向ベクトル(ベクトルA)を算出すると、バケット33の揺動によってベクトル(ベクトルA)の方向が不安定となり得る。したがって、相対的に揺動が少ないアーム32の先端部を基準として、バケット33の移動方向ベクトル(ベクトルA)を算出することが好ましい。
【0059】
併せて、ベクトル算出部710は、運転者が作業設定部600上で目標とする作業領域Wを設定すると、作業設定部600から提供された作業領域Wの角度などのような平面情報を考慮して、作業領域Wの法線ベクトル(ベクトルN)を算出する。
【0060】
また、ベクトル算出部710は、前記で算出したバケット33の移動方向ベクトル(ベクトルA)および作業領域Wの法線ベクトル(ベクトルN)から、バケット33のチップの幅方向ベクトル(ベクトルT)を算出することができる。
【0061】
目標姿勢特定部720は、ベクトル算出部710から提供された作業領域Wの法線ベクトル(ベクトルN)およびバケット33のチップの正射影に基づいて、バケット33のチップが作業領域Wに接するときのバケット33の目標姿勢を特定する。ここで、バケット33のチップが作業領域Wに接するという意味は、単純にバケット33のチップが作業領域Wに接触している場合だけでなく、バケット33のローテート軸が作業領域Wの法線ベクトル(ベクトルN)に整列される場合も含む。
【0062】
角度偏差算出部730は、目標姿勢特定部720から提供されたバケット33の目標姿勢と現在のバケット33の姿勢とを比較して、バケット33のティルティング角度、ローテーティング角度および回動角度の偏差を算出する。
【0063】
バケット制御部740は、角度偏差算出部730から提供された情報に基づいてバケット33の姿勢を制御する。
【0064】
図5および図6を参照すると、本発明の一実施例に係る建設機械100のバケット33制御方式は次の通りである。
【0065】
まず、運転者が作業設定部600のディスプレイ610の画面でバケット33の姿勢制御モードのONを選択する。ただし、これに限定されるものではなく、操作レバー400にバケット33の姿勢制御モードのON、OFFを入力するためのスイッチを配置してもよい。
【0066】
次に、目標とする作業領域Wを設定する。例えば、運転者は、ディスプレイ610を介して、30度の傾斜角度を有する傾斜面を作業領域Wとして形成することができる。
【0067】
位置情報提供部500の作業装置30の位置情報、作業装置30の姿勢情報、および作業設定部600で設定された作業領域Wの平面情報は、電子制御部700に提供される。
【0068】
ベクトル算出部710は、提供された作業領域Wの平面情報で作業領域Wに対する法線ベクトル(ベクトルN)を形成する。例えば、30度の傾斜角度を有する傾斜面に対する情報がベクトル算出部710に伝達されると、ベクトル算出部710は、前記傾斜面に対する法線ベクトル(ベクトルN)を形成して目標姿勢特定部720に提供する。
【0069】
目標姿勢特定部720は、ベクトル算出部710から提供された作業領域Wの法線ベクトル(ベクトルN)から、バケット33のチップが作業領域Wに接するときのバケット33の目標姿勢を特定する。例えば、目標姿勢特定部720は、30度の傾斜角度を有する傾斜面にバケット33のチップが接するとき、バケット33のティルト、ローテーティングおよび回動角度を特定する。
【0070】
詳細には、角度偏差算出部730は、作業領域Wに対するバケット33のチップの正射影に基づいて、バケット33の目標姿勢とバケット33の現在の姿勢との角度偏差を算出する。ただし、これに限定されるものではなく、角度偏差算出部730は、重力に垂直な平面に対するバケット33のチップの正射影を基準として角度偏差を算出してもよい。
【0071】
具体的には、角度偏差算出部730は、位置情報提供部500の多様な位置情報および姿勢情報と目標姿勢特定部720で提供されたバケット33の目標姿勢とに基づいて、バケット33の目標姿勢のティルティング角度とバケット33の現在の姿勢のティルティング角度との角度偏差を算出してバケット制御部740に提供する。
【0072】
併せて、角度偏差算出部730は、位置情報提供部500の多様な位置情報および姿勢情報と目標姿勢特定部720で提供されたバケット33の目標姿勢とに基づいて、バケット33の目標姿勢のローテーティング角度とバケット33の現在の姿勢のローテーティング角度との角度偏差を算出してバケット制御部740に提供する。
【0073】
併せて、角度偏差算出部730は、位置情報提供部500の多様な位置情報および姿勢情報と目標姿勢特定部720で提供されたバケット33の目標姿勢とに基づいて、バケット33の目標姿勢の回動角度θ2とバケット33の現在の姿勢の回動角度θ1との角度偏差θを算出してバケット制御部740に提供する。
【0074】
例えば、図6を参照すると、バケット33の回動角度は、アーム32の関節、バケット33の関節およびバケット33のチップがなす角度であり得る。このとき、角度偏差算出部730は、バケット33の現在の姿勢の回動角度θ1とバケット33の目標姿勢の回動角度θ2との差であるθ1-θ2を算出して、これをバケット制御部740に提供する。
【0075】
運転者が前記作業領域Wに対する掘削作業のためにブーム31とアーム32を操作することで、操作レバー400の操作信号が電子制御部700に入力されると、電子制御部700は、バケット33が設定された作業領域Wに近いいかどうかを判断する。詳細には、電子制御部700は、バケット33と設定された作業領域Wとの間の距離を演算する。そして、演算された距離を予め設定された値と比較して、演算された距離が予め設定された値より小さい場合、バケット33の姿勢制御を開始する。
【0076】
一方、バケット33と設定された作業領域Wとの間の距離を演算するとき、現在のバケット33のチップと作業領域Wとの間の距離を測定する場合、バケット33のチップの揺動により、測定された距離が不安定となり得る。したがって、相対的に揺動が少ないアーム32の先端部またはアーム32の先端部に結合されるバケット33の関節を基準として、バケット33の姿勢制御の開始を判断することが好ましい。
【0077】
具体的には、図6および図7を参照すると、アーム32の先端部と作業領域Wとの間の変位に基づいて、バケット33の姿勢制御の開始を判断することができる。バケット制御部740は、アーム32の先端部と作業領域Wとの間の変位が予め設定された値(d)より大きいと判断すると、バケット33の姿勢制御をしない。これによって、バケット33は、初期の回動角度であるθ1を維持しながら作業領域Wに近接する。
【0078】
その後、バケット制御部740は、アーム32の先端部と作業領域Wとの間の変位が予め設定された値(d)より小さいと判断した場合、角度偏差算出部730で算出した角度偏差θ1-θ2を電気信号に変換して電磁比例減圧バルブ300に送出する。
【0079】
バケット制御部740は、角度偏差算出部730で算出したティルティング角度偏差に対する情報を電気信号に変換して電磁比例減圧バルブ300に送出し、電磁比例減圧バルブ300は、ティルティング角度偏差に対応する油圧を生成して、前記ティルティング角度が低減されるようにティルティングアクチュエータに流体を供給する。
【0080】
併せて、バケット制御部740は、角度偏差算出部730で算出したローテーティング角度偏差に対する情報を電気信号に変換して電磁比例減圧バルブ300に送出し、電磁比例減圧バルブ300は、ローテーティング角度偏差に対応する油圧を生成して、前記ローテーティング角度偏差が低減されるようにローテーティングアクチュエータ74に流体を供給する。
【0081】
併せて、バケット制御部740は、角度偏差算出部730で算出した回動角度偏差に対する情報を電気信号に変換して電磁比例減圧バルブ300に送出し、電磁比例減圧バルブ300は、回動角度偏差に対応する油圧を生成して、前記回動角度偏差が低減されるようにバケットシリンダ60に流体を供給する。
【0082】
好ましくは、バケット制御部740は、アーム32の先端部が作業領域Wに近接するほど、アーム32とバケット33とがなす回動角度θがバケット33の目標姿勢の回動角度θ2に達するように制御することができる。
【0083】
具体的には、図7に示された通り、アーム32とバケット33とがなす回動角度θは、現在の姿勢の回動角度θ1と目標姿勢の回動角度θ2との線形的な関係式であるθ=a・θ1+(1-a)・θ2からなり得る。このとき、アーム32の先端部と作業領域Wとの間の変位が予め設定された値(d)であるときa=1に設定され、バケット33のチップが作業領域に接するとき、すなわちアーム32の先端部と作業領域Wとの間の変位がdであるときa=0に設定される。
【0084】
この場合、アーム32の先端部と作業領域Wとの間の変位が予め設定された値(d)より小さいと、アーム32とバケット33とがなす回動角度θ1が次第に減少し、バケット33のチップが作業領域Wに接するとき、アーム32とバケット33との角度は回動角度θ2に達する。
【0085】
ただし、図7のようにaはアーム32の先端部と作業領域Wとの間の変位によって線形的に設定され得るが、これに限定されるものではない。
【0086】
図5を参照すると、図5(a)のようにバケット33が作業領域Wに近接すると、バケット33のティルティング角度、ローテーティング角度および回動角度が調節されるバケット33の姿勢制御が行われて、図5(b)のようにバケット33のチップが作業領域Wに接するように位置する。
【0087】
好ましくは、バケット33の姿勢制御機能がONになって、バケット33の姿勢が作業領域Wに対して自動整列されていても、運転者によってバケット33の回動角度、ティルティング角度、ローテーティング角度等が異なる方向に操作されると、操作された方向にバケット33チップが整列され得るであろう。以後、運転者がディスプレイ610の画面でバケット33の姿勢制御のONを選択したり操作レバー400に配置されるティルト自動制御のONスイッチを押したりすると、バケット33のチップが再び作業領域Wに接するようにバケット33の姿勢が制御され得る。
【0088】
好ましくは、電子制御部700は、バケット33の姿勢が作業領域Wに対して自動整列されている状態で、入力されたバケット33ローテーティング操作信号が所定時間より長く持続すると、バケット33のローテート軸を法線ベクトル(ベクトルN)に整列することができる。
【0089】
併せて、電子制御部700は、入力されたバケット33のローテーティング操作信号が所定時間より短く持続すると、単純にバケット33のチップの方向を切り換える意図と判断し、前記操作信号に対応するようにローテーティングアクチュエータ74を制御してバケット33をローテーティングし、ティルティングアクチュエータおよびバケットシリンダ60を制御して、前記バケット33のチップが作業領域Wに侵入しないように制御することができる。
【0090】
一方、前記のように、バケット33のチップが作業領域Wに接するように整列された後、運転者が作業領域Wを掘削するために上部フレームを旋回させたりアーム32を操作させたりすると、傾斜面に対するバケット33の角度が変わることになる。このため、運転者は形成された作業領域Wの傾斜度を確認した後、感覚に依存してバケット33の角度を調整しなければならないので作業時間が長くならざるを得ず、併せて作業領域Wが不均一な傾斜面にならざるを得ない。
【0091】
したがって、本発明の一実施例に係る電子制御部700では、バケット33の移動方向ベクトル(ベクトルA)が作業領域Wの法線ベクトル(ベクトルN)と接するように、バケット33の姿勢を制御する。
【0092】
このために、電子制御部700は、作業領域Wの法線ベクトル(ベクトルN)に対するバケット33の移動方向ベクトル(ベクトルA)の内積値が0になるように、バケット33の移動方向を制御する。
【0093】
この場合、運転者が傾斜面を掘削するために上部旋回体20を旋回させたりアーム32を操作したりするとき、バケット33のティルティングまたはローテーティングを任意に調整しなくとも、バケット33のチップが作業領域Wに対して接することになり、傾斜面を形成する掘削作業時に作業時間を顕著に短縮させることができ、均一な傾斜面を提供することができる。
【0094】
このとき、バケット33のチップを基準としてバケット33の移動方向ベクトル(ベクトルA)を算出すると、バケット33の揺動によって誤差が発生する可能性がある。したがって、相対的に揺動が少ないアーム32の先端部を基準として、バケット33の移動方向ベクトル(ベクトルA)を算出することが好ましい。
【0095】
一方、バケット33のチップの幅方向がバケット33の移動方向に垂直となるように位置すると、作業面積が広くなって作業が効率的に遂行され得る。ただし、運転者が傾斜面を掘削するためにバケット33を傾斜面に沿って移動させながら、バケット33のチップの幅をバケット33の移動方向に垂直となるように調整する作業は高度の熟練技術を要する。
【0096】
したがって、初心者が作業する場合、バケット33のチップの幅がバケット33の移動方向に対して傾斜するように位置して作業面積が縮小され得る。
【0097】
したがって、図8に示された通り、本発明の一実施例に係る建設機械100では、バケット33のチップの幅方向ベクトル(ベクトルT)がバケット33の移動方向ベクトル(ベクトルA)と垂直となるように、バケット33のローテーティング角度を制御する。
【0098】
このために、電子制御部700は、バケット33の移動方向ベクトル(ベクトルA)と設定された作業領域Wの法線ベクトル(ベクトルN)とに基づいて、作業領域Wの法線ベクトル(ベクトルN)に対するバケット33の移動方向ベクトル(ベクトルA)の外積の方向がバケット33のチップの幅方向となるように、バケット33のローテーティング角度を制御する。
【0099】
すなわち、バケット33の移動方向ベクトル(ベクトルA)と作業領域Wの法線ベクトル(ベクトルN)およびバケット33チップの幅方向ベクトル(ベクトルT)が、それぞれ垂直となるように制御される。
【0100】
このように、本発明の一実施例に係る建設機械100によると、運転者がバケット33の移動方向に沿ってバケット33のローテーティング角度を任意に調整しなくとも、バケット33のチップの幅方向がバケット33の移動方向に垂直となるように位置して作業面積が最大化されるため、作業が効率的に遂行され得る。
【0101】
前述した本発明の説明は例示のためのもので、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者は本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態に容易に変形できることが理解できるであろう。したがって、以上で記述した実施例はすべての面で例示的なものであり限定的ではないものと理解されるべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散されて実施されてもよく、同様に分散されたものとして説明されている構成要素も結合された形態で実施され得る。
【0102】
本発明の範囲は後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および範囲そしてその均等概念から導き出されるすべての変更または変形された形態は、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0103】
100:建設機械
200:コントロールバルブ
300:電磁比例減圧バルブ
400:操作レバー
500:位置情報提供部
600:作業設定部
700:電子制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】