(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035994
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】安全保障機能を有するインターフェースモジュール、記憶媒体、安全確認方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20230306BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20230306BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B01D46/00 F
H01L21/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136300
(22)【出願日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】63/239,570
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512144771
【氏名又は名称】エーエスエム アイピー ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100175178
【弁理士】
【氏名又は名称】桑野 敦司
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅士
(72)【発明者】
【氏名】小林 渉
【テーマコード(参考)】
4D058
5F131
【Fターム(参考)】
4D058JA12
4D058KB02
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5F131KB45
(57)【要約】
【課題】本開示は、低コスト化に好適なインターフェースモジュール、記憶媒体、安全確認方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ファンとフィルタを有するファンフィルタユニットと、ドアを有し、該フィルタに隣接する空間を囲むハウジングと、該ファンに隣接する空間を囲む上部ハウジングと、該上部ハウジングに設けられた第1ポートと、該ファンフィルタユニットにおける該ファンと該フィルタの間の空間であるファンフィルタ間空間に通じる第2ポートと、該第1ポートと該第2ポートに接続され、該上部ハウジングの内部と、該ファンフィルタ間空間との差圧を検知する差圧計と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンとフィルタを有するファンフィルタユニットと、
ドアを有し、前記フィルタに隣接する空間を囲むハウジングと、
前記ファンに隣接する空間を囲む上部ハウジングと、
前記上部ハウジングに設けられた第1ポートと、
前記ファンフィルタユニットにおける前記ファンと前記フィルタの間の空間であるファンフィルタ間空間に通じる第2ポートと、
前記第1ポートと前記第2ポートに接続され、前記上部ハウジングの内部と、前記ファンフィルタ間空間との差圧を検知する差圧計と、を備えたインターフェースモジュール。
【請求項2】
前記ファンフィルタユニットは、前記ファンの故障を検知するアラーム機を有する請求項1に記載のインターフェースモジュール。
【請求項3】
窒素ガス源と、
前記窒素ガス源と前記上部ハウジングを接続する窒素ガス供給管と、
前記窒素ガス供給管に取り付けられたソレノイドバルブと、
前記ソレノイドバルブに取り付けられたリミットスイッチと、
クリーンドライエア源と、
前記クリーンドライエア源と前記上部ハウジングを接続するクリーンドライエア供給管と、
前記クリーンドライエア供給管に取り付けられたバルブと、
前記クリーンドライエア供給管に取り付けられたフローメータと、を備えた請求項2に記載のインターフェースモジュール。
【請求項4】
前記ハウジングの中の圧力を計測するハウジング圧力センサと、
前記ハウジングに取り付けられた排気管と、
前記排気管の中の圧力を計測する排気圧力センサと、を備えた請求項3に記載のインターフェースモジュール。
【請求項5】
前記ファンフィルタユニットが稼働していることを、前記アラーム機の出力と前記差圧計の計測結果との相互監視で検知する、プロセッサとメモリ、又は専用回路を有するセーフティPLCを備えた請求項4に記載のインターフェースモジュール。
【請求項6】
予め定められたガス交換動作が予め定められた期間継続したとき前記ドアを開くためのインターロックを解除する、プロセッサとメモリ、又は専用回路を有するセーフティPLCを備えた請求項4に記載のインターフェースモジュール。
【請求項7】
前記ソレノイドバルブへの電気印加状態が入力されるSV端子と、
前記リミットスイッチに接続されたLS端子と、
前記フローメータに接続されたFM端子と、
前記ハウジング圧力センサに接続されたHP端子と、
前記排気圧力センサに接続されたEP端子と、
前記アラーム機に接続されたAL端子と
前記差圧計に接続されたDP端子と、
プロセッサとメモリ、又は専用回路と、を有するセーフティPLCを備えた請求項4に記載のインターフェースモジュール。
【請求項8】
前記ファンフィルタユニットの設定用パネルを有するオペレーションボックスを備え、
前記セーフティPLCと前記差圧計は前記オペレーションボックスの中に設けられた請求項5に記載のインターフェースモジュール。
【請求項9】
前記ハウジングの隣に設けられたロードポートと、
前記ハウジングにゲートバルブを介して隣接するロードロックモジュールと、
前記ハウジングの中に設けられたロボットアームと、を備えた請求項1に記載のインターフェースモジュール。
【請求項10】
プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であって、
前記プログラムは、
ハウジングへの窒素ガスの供給経路に設けられたソレノイドバルブの開閉状態と、前記ソレノイドバルブに設けられたリミットスイッチの出力の相互監視によって、前記窒素ガスが前記ハウジングに提供されていないことと、
前記ハウジングへのクリーンドライエアの供給経路に設けられたフローメータの値と、前記ハウジング内の圧力値の相互監視によって、クリーンドライエアが前記ハウジングに提供されたことと、
前記ハウジングの排気圧力の値と、前記ハウジング内の圧力値の相互監視によって、前記ハウジングの中のガスが排気されたことと、
前記窒素ガスと前記クリーンドライエアの前記ハウジングへの供給経路に設けられたファンの吸気側と排気側の差圧と、前記ファンのアラーム機の出力との相互監視によって、前記ファンが稼働していることと、
が予め定められた期間にわたって充足されたときに、前記ハウジングのドアを開くためのインターロックを解除すること、をコンピュータに実行させる記憶媒体。
【請求項11】
前記インターロックの解除は、前記ドアの電磁ロックスイッチへ指令を出すことである、請求項10に記載の記憶媒体。
【請求項12】
セーフティPLCの一部として提供された請求項10又は11に記載の記憶媒体。
【請求項13】
ハウジングの中のN2をクリーンドライエアに置換する指令を受けることと、
前記指令を受けて、前記ハウジングの中にN2ガスを提供せず、前記ハウジングの中にクリーンドライエアを提供し、前記ハウジングの中のガスを排気し、前記ハウジングへガス供給するファンの稼働を維持する、ガス置換動作を開始することと、
前記ガス置換動作が予め定められた期間にわたって継続したことを証明することと、
前記証明の後に、前記ハウジングのドアの開放を許可することと、を備えた安全確認方法。
【請求項14】
前記ファンの故障が検知されていないことと、前記ファンの吸気側と排気側の差圧と、を相互監視することで、前記ファンの稼働が維持されたことを証明する、請求項13に記載の安全確認方法。
【請求項15】
前記N2ガスの供給経路にあるソレノイドバルブの開閉状態と、前記ソレノイドバルブに設けられたリミットスイッチの出力を相互監視することで、前記ハウジングの中にN2ガスが提供されていないことを証明する、請求項13に記載の安全確認方法。
【請求項16】
前記クリーンドライエアの供給経路に設けられたフローメータの値と、前記ハウジング内の圧力値を相互監視することで、前記ハウジングの中に前記クリーンドライエアが提供されたことを証明する、請求項13に記載の安全確認方法。
【請求項17】
前記ハウジングの排気圧力の値と、前記ハウジング内の圧力値を相互監視することで、前記ハウジングの中のガスが排気されていることを証明する、請求項13に記載の安全確認方法。
【請求項18】
前記ハウジングのドアの開放の許可するときには前記ハウジングの中の酸素濃度は19.5%以上である、請求項13に記載の安全確認方法。
【請求項19】
前記ハウジングのドアの開放許可は、LEDランプの点灯、画面上の表示、又は音声で、作業者に通知する、請求項13に記載の安全確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はファンフィルタユニットを有するインターフェースモジュール、記憶媒体、安全確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターフェースモジュールは例えば基板の搬送に用いられる。インターフェースモジュールは、基板を搬送する基板搬送装置を備える。インターフェースモジュールの内部をN2ガスで満たし、O2/H2O濃度を低下させることは、搬送対象となる基板に自然酸化膜が形成されることを回避又は抑制する。一例によれば、100ppm以下のO2/H2O濃度であれば、基板への自然酸化膜を抑制できる。このようなインターフェースモジュールはN2-Equipment Front End Module(N2-EFEM)と呼ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターフェースモジュールのメンテナンスの際には、インターフェースモジュールの内部に人が立ち入る必要がある。N2ガスで満たされたインターフェースモジュールの中に人が立ち入ることは非常に危険である。インターフェースモジュールの中に人が立ち入る前に、インターフェースモジュールの内部のN2ガスをクリーンドライエア(CDA)に置換する。
【0005】
例えば複数の酸素濃度計を用いてインターフェースモジュールの内部のN2ガスがCDAに置換されたことを確認することができる。しかしながら、安全証明のために複数の酸素濃度計をインターフェースモジュールの各所に設けることはインターフェースモジュールを非常に高価なものとする。しかも、複雑なインターロック回路を要する。
【0006】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、低コスト化に好適なインターフェースモジュール、記憶媒体、安全確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示に係るインターフェースモジュールは、ファンとフィルタを有するファンフィルタユニットと、ドアを有し、該フィルタに隣接する空間を囲むハウジングと、該ファンに隣接する空間を囲む上部ハウジングと、該上部ハウジングに設けられた第1ポートと、該ファンフィルタユニットにおける該ファンと該フィルタの間の空間であるファンフィルタ間空間に通じる第2ポートと、該第1ポートと該第2ポートに接続され、該上部ハウジングの内部と、該ファンフィルタ間空間との差圧を検知する差圧計と、を備える。
【0008】
本開示のその他の特徴は以下に明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
低コスト化に好適なインターフェースモジュール、記憶媒体、安全確認方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】インターフェースモジュールの構成図である。
【
図2】インターフェースモジュールの中のガスの流れの例を示す図である。
【
図5】インターフェースモジュールを含む半導体製造装置の構成例を示す図である。
【
図8】セーフティPLCが処理回路である例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
インターフェースモジュール、記憶媒体、安全確認方法について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0012】
実施の形態.
図1は、インターフェースモジュールの構成図である。一例によればこのインターフェースモジュールはN2-EFEMである。このインターフェースモジュールはハウジング10を備えている。ハウジング10の中には基板の搬送に用いるロボットアーム12が設けられている。別の例によれば、別のタイプの基板搬送装置がハウジング10の中に設けられる。一例によれば、基板は処理前又は処理後のウエハである。ハウジング10には、ハウジング10の中の圧力を計測するハウジング圧力センサ13が接続されている。一例によれば、ハウジング圧力センサ13は、ハウジング10の内部と外部の差圧を計測する差圧計である。
【0013】
インターフェースモジュールは少なくとも1つのファンフィルタユニット(FFU)25を備えている。
図1にはFFU25が2つ設けられたことが図示されているが、1つ又は3つ以上のFFU25を設けてもよい。一例によれば、FFU25は、FFUハウジング22と、ファン24と、フィルタ20を備えている。FFU25におけるファン24とフィルタ20の間の空間はファンフィルタ間空間22sである。ファンフィルタ間空間22sはFFU内部空間ということもできる。フィルタ20に隣接する空間はハウジング10によって囲まれている。一例によれば、ハウジング10は、FFU25を支持する支持板を有する。そして、フィルタ20を通過したガスは、この支持板に設けられた複数の孔を通って、ハウジング10の中に提供される。
【0014】
ファン24に隣接する空間は、上部ハウジング26によって囲まれている。一例によれば上部ハウジング26はFFU25の上に設けられている。上部ハウジング26に提供されたガスは、ファン24の回転によって、ファンフィルタ間空間22s内に導入され、フィルタ20でフィルタリングされる。上部ハウジング26には第1ポート26aが設けられている。一例によれば、第1ポート26aは、上部ハウジング26の内部の圧力検知を可能とする圧力サンプリングポートである。言いかえれば、第1ポート26aはファン24の入り口における圧力サンプリングポートである。第1ポート26aは例えば、上部ハウジング26の内部に通じる孔を提供する金属管である。同様に、左側の上部ハウジング26にも同様に第1ポート26bが設けられている。
【0015】
さらに、FFU25には第2ポート22aが設けられている。一例によれば、第2ポート22aは、ファンフィルタ間空間22sの内部の圧力検知を可能とする圧力サンプリングポートである。言いかえると、第2ポート22aはファン24の出口における圧力サンプリングポートである。第2ポート22aは例えば、FFUハウジング22の内部に通じる孔を提供する金属管である。同様に、左側のFFU25にも第2ポート22bが設けられている。
【0016】
図1のインターフェースモジュールは差圧計35を備えている。差圧計35は、上部ハウジング26の内部の圧力と、ファンフィルタ間空間22sの圧力との差圧を検知する。
一例によれば、差圧計35は、チューブ34aを介して第1ポート26aに接続され、チューブ34bを介して第2ポート22aに接続されている。これにより、上部ハウジング26の内部の圧力と、ファンフィルタ間空間22sの圧力とが、差圧計35に反映される。よって、差圧計35は、上部ハウジング26の内部圧力と、ファンフィルタ間空間22sの内部の圧力との差圧を検知することができる。
【0017】
図1のインターフェースモジュールは差圧計37を備えている。差圧計37は、左側の上部ハウジング26の内部圧力と、左側のファンフィルタ間空間22sの内部の圧力との差圧を検知する。一例によれば、差圧計37は、チューブ36aを介して第1ポート26bに接続され、チューブ36bを介して第2ポート22bに接続されている。これにより、差圧計37には、左側の上部ハウジング26の内部の圧力と、左側のファンフィルタ間空間22sの圧力が反映される。よって、差圧計37は、左側の上部ハウジング26の内部圧力と、左側のファンフィルタ間空間22sの内部の圧力との差圧を検知することができる。
【0018】
ファン24が回転している場合、上部ハウジング26の内部圧力は、ファンフィルタ間空間22sの圧力より小さくなる。他方、ファン24が回転していなければ、上部ハウジング26の内部圧力と、ファンフィルタ間空間22sの圧力は概ね一致する。よって、差圧をみることでファン24が回転しているか否かを判定することができる。
【0019】
一例によれば、上部ハウジング26と、ハウジング10は、循環ダクト30で接続されている。循環ダクト30の一部は、ハウジング10の内部に及んでいる。ハウジング10の内部にある循環ダクト30はハウジング内ダクト30aという。ハウジング内ダクト30aには孔があけられており、循環ダクト30がハウジング10の内部と連通している。一例によれば、循環ダクト30の途中には酸素センサ31、32とH2Oセンサ33が取り付けられている。この例では、ハウジング10の中のウエハを一時保管するためのクーリングステージ14が設けられている。クーリングステージ14は、ハウジング10の内部につながるとともに、循環ダクト30にもつながっている。
【0020】
FFU25のファン24が回転すると、上部ハウジング26のガスがハウジング10の内部に提供される。一例によれば、窒素ガス源40又はCDA源50から上部ハウジング26にガスが提供される。
【0021】
窒素ガス源40と上部ハウジング26は、窒素ガス供給管48で接続されている。窒素ガス供給管48にはソレノイドバルブ(SV)42が取り付けられている。SV42は、窒素ガス供給管48を指令に基づき開閉するものである。SV42にはSV42の動作を監視するリミットスイッチ44が取り付けられている。リミットスイッチ44は、入力信号とSV42の主弁の位置検出機能により、SVへの入力信号と実際のSV42のバルブ位置の不一致を検出するものである。別の例によれば、SV42とリミットスイッチ44を別の構成に置き換えてもよい。
【0022】
クリーンドライエア源(CDA源)50と上部ハウジング26は、クリーンドライエア供給管(CDA供給管)51で接続されている。CDA供給管51には、バルブ54とフローメータ52が取り付けられている。バルブ54はCDA供給管51を開閉するものである。フローメータ52はCDA供給管51を流れるガスの量を検知するものである。
【0023】
窒素ガス供給管48の窒素ガス源40に近い部分と、CDA供給管51のCDA源50に近い部分は、別々の管である。しかしながら、窒素ガス供給管48の上部ハウジング26に近い部分と、CDA供給管51の上部ハウジング26に近い部分は、共通の管となっている。一例によれば、窒素ガス供給管48とCDA供給管51の共通部分にはマスフローコントローラ(MFC)46が取り付けられ、ガスの流量を調節可能となっている。
【0024】
ハウジング10には排気管60が取り付けられている。一例によれば排気管60を通じたガスの排気量はプレッシャコントロールバルブ62によって調節される。排気管60に設けられた排気圧力センサ64によって、排気管60の中の圧力を計測することができる。
一例によれば、排気圧力センサ64は、排気管60の内部と外部の差圧を計測する差圧計である。
【0025】
図2は、インターフェースモジュールの中のガスの流れの例を示す図である。
図2の矢印はファン24によって生じたガスフローを示す。まず、上部ハウジング26に、N2ガスか、CDAが提供される。上部ハウジング26の中のガスは、ファン24の回転によって、ファンフィルタ間空間22sの中に導入され、フィルタ20を通って、ハウジング10の中に提供される。ハウジング10の中に提供されたガスは、一部が循環ダクト30を経由して上部ハウジング26の中に戻され、別の一部が排気管60から排気される。
【0026】
図3は、差圧計の接続位置の例を示す図である。FFUハウジング22の上面には、ファン24が格納された円筒状の突起部が2つある。2つの突起部が1つの上部ハウジング26で覆われている。
図3の例では、上部ハウジング26が2つのFFUにガスを供給するので、上部ハウジング26は1つだけ提供されている。上部ハウジング26は説明の便宜上透明に描かれている。この例では、第1ポート26aは上部ハウジング26の上面にある。第2ポート22aはFFUハウジング22の上面にある。
【0027】
図3には、オペレーションボックス80が示されている。一例によれば、オペレーションボックス80の中には、差圧計35、アラーム機82、セーフティPLC83が格納されている。アラーム機82は、ファンフィルタユニットの一部であり、ファン24の故障を検知するものである。アラーム機82は、例えば、FFU25がファン24を回転させる指令を受けたにもかかわらずファンが回転していないときにアラームを出す。セーフティPLC83は、安全を確保するための仕組みを担うPLCである。一例によれば、セーフティPLC83は、安全が確保できたことを確認した上で、ハウジング10のドアの開放を許可するPLCである。
一例によれば、オペレーションボックス80の前面は設定用パネル84となっている。
設定用パネル84は、一例によれば、オペレータがFFU25を制御する際に用いるタッチパネルである。設定用パネル84は、オペレータが、例えば、基板搬送のためにハウジング10の中をN2ガスで満たすための指令、又は、ハウジングのN2ガスをCDAで置換する旨の指令を出すために使用されることもできる。
【0028】
図4は、FFU25などの構成例を示す図である。一例によれば、上部ハウジング26はFFUハウジング22の上面の一部だけを覆う結果、FFUハウジング22の上面の一部は外部に露出する。この露出部分に第2ポート22aを設けることで、第2ポート22aはフットプリントの増大を伴わずに提供される。
【0029】
図5は、インターフェースモジュールを含む半導体製造装置の構成例を示す図である。ハウジング10には、人が出入りするためのドア10aが取り付けられている。ドア10aはEFEMドアと呼ばれている。一例によれば、ドア10aは、電磁ロックスイッチ(Electrical Magnetic Lock Switch)によって開閉可能となっている。一例によれば、ドア10aの開閉は、セーフティPLC83によって制御される。ハウジング10の隣にロードポート90が設けられている。さらに、ハウジング10にはゲートバルブ91を介してロードロックモジュール(LLM)92が隣接している。LLM92にはゲートバルブ93を介してウエハハンドリングチャンバ(WHC)94が隣接している。WHC94には、基板処理に用いられる4つのチャンバモジュール95a、95b、95c、95dが接続されている。この例において、インターフェースモジュールは、LLM92とロードポート90の一方から他方へ、基板を搬送するためのインターフェースとして機能する。一例によれば、インターフェースモジュールを含む半導体製造装置は、コントローラ96によって制御される。
【0030】
図6は、インターフェースモジュールを用いた安全確認方法のフローチャートである。ハウジング10の中で基板を搬送する通常運転時は、窒素ガス源40から、窒素ガス供給管48、上部ハウジング26、FFU25を経由してハウジング10の中に窒素ガスが提供される。つまり、ハウジング10の中は窒素ガス雰囲気となっている。一例によれば、基板の酸化を抑制するために、ハウジング10の中のO2/H2O濃度は、100ppm以下とする。
【0031】
他方、インターフェースモジュールの定期的又は突発的なメンテナンスの際には、人がハウジング10の中に入ることを可能とするために、ハウジング10のN2ガスをCDAで置換する。
図6のフローチャートを参照しつつメンテナンス準備のための手順を説明する。まず、インターフェースモジュールのコントローラ96は、メンテナンスのためにハウジングの中のN2をCDAに置換する指令を受ける。一例によれば、この指令はオペレータがタッチパネルを通じて出す。別の例によれば、この指令は、例えばコントローラ96に包含されるプロセスコントロールモジュール(PCM)が自動で出す。ステップS1でコントローラ96がこの指令を受けると、ステップS2に処理を進める。
【0032】
ステップS2では、指令を受けたコントローラ96がガス置換動作を開始する。ガス置換動作とは、ハウジングの中のガスをN2からCDAに置き換えるための動作である。一例によれば、ガス置換動作は、ハウジング10の中にN2ガスを提供せず、ハウジング10の中にCDAを提供し、ハウジング10の中のガスを排気し、ファン24を回転させる。
図1の構成例で言えば、ガス置換動作は以下の動作を含む、
・ソレノイドバルブ42を締めてN2ガスのハウジング10への提供を停止する、
・バルブ54を開けてCDAをハウジング10へ提供する、
・排気管60に接続されたポンプを稼働させてハウジング10の中のガスを排気する、
・ファン24を稼働させてハウジング10にCDAを提供する。
【0033】
このようなガス置換動作により、ハウジング10の中のN2ガスがCDAに置換されていく。N2ガスが十分にCDAに置換され、ハウジング10の中の酸素濃度が人にとって安全な水準に到達するまでには一定の時間を要する。一例によれば、ガス置換動作が30分程度維持されることで、ハウジング10の中の各所における酸素濃度を十分高めることができる。この例では、安全率を2として、1時間程度ガス置換動作を継続する。
【0034】
そして、ステップS3では、セーフティPLC83は、ガス置換動作が予め定められた期間にわたって継続したことを証明する。言いかえると、セーフティPLC83は、各デバイスを稼働証明するものである。一例によれば、セーフティPLC83は、以下の4条件が、予め定められた期間にわたって継続したことを証明する。
第1条件:SV42が閉じていること(ハウジングの中にN2ガスが提供されていないこと)。
第2条件:CDAが所定の流速でハウジング10に提供されていること。
第3条件:ハウジング10から所定の排気が行われていること。
第4条件:FFUのファン24が正常に回転していること。
【0035】
一例によれば、これらの4条件の1つ1つについて、相互監視が採用される。相互監視の例は以下のとおりである。
第1条件が満たされていることは、SV42の開閉状態とリミットスイッチ44の出力の相互監視で検知する。即ち、仮にSV42が故障しても、その故障をリミットスイッチ44によって検知することができる。
第2条件が満たされていることは、フローメータ52の値とハウジング圧力センサ13の値の相互監視で検知する。即ち、仮にフローメータ52が故障しても、その故障はハウジング圧力センサ13の圧力に異常が生じることで検知できる。
第3条件が満たされていることは、排気圧力センサ64の値とハウジング圧力センサ13の値の相互監視で検知する。即ち、仮に排気圧力センサ64が故障しても、その故障はハウジング圧力センサ13の圧力に異常が生じることで検知できる。
第4条件が満たされていることは、アラーム機82の出力と、差圧計35、37の値の相互監視で検知する。即ち、アラーム機82が故障している場合、ファン24の故障をアラーム機82で検知できない。しかし、もしファン24が回転していないのであれば、差圧計35、37の値が0に近い値になる。よって、差圧計35、36からファン24の故障を検知できる。ファン24が故障しているにもかかわらず、アラーム機82が稼働しないことで、アラーム機82の故障も検知できる。
このように、各条件の検知を多重化することは安全性を向上させる。別の例によれば、別の多重化の方法を採用することができる。すなわち、2つの異なる方法で1つの条件が充足されていることを検知することで、一方の方法に異常が生じても、他方の方法によってその異常を検知することができる。
【0036】
相互監視を採用することで、各条件が満たされていることを確実に検知できる。ステップS3で、第1~第4条件が予め定められた期間にわたって継続したことが確認できると、ステップS4へ処理を進める。ステップS4では、セーフティPLC83がハウジング10のドアの開放を許可する。ハウジング10のドアの開放許可は、例えば、LEDランプの点灯、画面上の表示、又は音声で、作業者に通知する。一例によれば、ハウジング10のドアの開放を許可するときにはハウジング10の中の酸素濃度は19.5%以上である。そして、ステップS5では、作業者がハウジング10のドア10aを開けて、ハウジング10の中に入り、必要なメンテナンスを実行する。
【0037】
他方、ステップS3にて、第1~第4条件の少なくとも1つが、予め定められた期間が経過する前に充足されなくなったと判定された場合は、セーフティPLC83は、ドアの開放を許可しない。この場合、第1~第4条件のいずれかが充足されなくなった原因を特定し、その原因を除去する。例えば故障したSV42を修理したり、故障したバルブ54を修理したり、各種圧力センサを修理したり、ファン24を修理したりする。そして、ガス置換動作の継続期間をリセットし、再度ガス置換動作をやり直す。例えば、一時的にファンが停止したときには、ファンの稼働を再開させ、そのときからの経過時間をカウントする。
【0038】
この例では、ファン24の稼働が維持されたことは、ファン24の故障が検知されていないことと、ファン24の吸気側と排気側の差圧と、を相互監視することで証明する。上述の安全確認方法は、複数の酸素濃度計を要しないし、簡単な構成で実現できる。よって、低価格化に好適なインターフェースモジュールを提供することができる。
【0039】
ここで、人が立ち入ることを想定するインターフェースモジュールに求められるインターロックの要求パフォーマンスレベルPLrは、c(S2、F1、P1)である。S2とは、障害のひどさ(Severity)が重症(non-recoverable/death)と定義されるレベルである。F1とは、危険源への暴露の頻度/時間が、「まれ~低頻度/暴露時間が短い」と定義されるものである。P1とは、「訓練された適切なオペレータによって運転されているかどうか」を考慮に入れ、また、警告ラベルを貼付することで、危険回避又は危害の制限の可能性について、「特定条件下で回避可能」と見積もるものである。ISO13849-1から、(S2、F1、P1)の場合のPLrは“c”である。PLr=cを達成するために必要なインターロックカテゴリ(Cat.)は1~3となるが、インターロックに使用する機器が必要規格を満たしていない(満たすことができない)ため、安全カテゴリは以下で設計する必要がある。
Cat.=3 (つまりPL=3)
DC Average = Middle
MTTFd = Low
【0040】
安全カテゴリ3のインターロック回路では、各条件が充足されたことの相互監視、単一不具合で安全機能を損なわないことと、単一不具合が検出されること、などが求められる。これはISO13849-2に記載されている。さらに、ISO13849-1には、カテゴリ3回路のブロック図が示されている。一例によれば、PLC83とコントローラ96はこれらの要求を満たすように構成され得る。
【0041】
図7には、セーフティPLC83の機能ブロック図の例が示されている。セーフティPLC83は、受け取った情報に基づき、上述の安全確認動作を担う。一例によれば、セーフティPLC83は、以下の端子を有する。
・SV42への電気印加状態が入力されるSV端子83a
・リミットスイッチ44に接続されたLS端子83b
・フローメータ52に接続されたFM端子83c
・ハウジング圧力センサ13に接続されたHP端子83d
・排気圧力センサ64に接続されたEP端子83e
・アラーム機82に接続されたAL端子83f
・差圧計35、37に接続されたDP端子83g
【0042】
相互監視部83Aでは、各端子を介して得られた情報に基づいて、上述の第1~第4条件がすべて満たされていることを判定する。一例によれば、相互監視部83Aは以下のことを確認する。
・SV42が閉じられていること、
・リミットスイッチ44が、SV42への入力信号とSV42の実際の位置との間の不一致を検知していないこと、
・フローメータ52が予め定められたCDAの流量を示していること、
・ハウジング圧力センサ13が予め定められた圧力を示していること、
・排気圧力センサ64が予め定められた圧力を示していること、
・アラーム機がアラームを出していないこと、
・差圧計35、37が予め定められた値を示していること。
これらのすべてが確認されると、相互監視部83Aはその旨を時間管理部83Bに通知する。時間管理部83Bは、相互監視部83Aから4条件が満たされた旨の信号を受けて、4条件が充足された時間をカウントする。積算時間が例えば1時間を超えると、時間管理部83Bは、ハウジングのドアを開放する許可信号を設定部83Cへ出す。許可信号を受けた設定部83Cは、第1リレー97Aの接続状態を変化させ、ドア10aの電磁ロックスイッチに通電できる状態とする。
【0043】
図7のセーフティPLC83は、故障検出部83Eを有している。故障検出部83E
は、ドア10aの電磁ロックスイッチを通電可能としたり通電禁止としたりする第2リレー97Bの接続状態を変化させるものである。例えば相互監視部83Aで何らかの異常が検知されたとき、又はドア10aに何らかの異常が生じているときに、故障検出部83Eは第2リレー97Bの状態を、ドア10aの電磁ロックスイッチに通電できない状態とするものである。故障検出部83Eで検知される異常の例は、端子から情報が得られないこと、又は当該情報が不正であることである。
【0044】
こうして、4条件を満たす状態が予め定められた期間に達したときには、セーフティPLC83が、ドアを開くためのインターロック(第1リレー97A、第2リレー97B)を解除する。すなわち、O2センサに依存せず、ハウジング内のガスをN2からCDAへ置換する際に、PLr=c, PL=3を達成することができる。
【0045】
図8A、8Bは、セーフティPLC83が処理回路100である例を示す図である。一例によれば、セーフティPLC83の各機能は、処理回路100によって実現される。すなわち処理回路によって、ガス置換動作が予め定められた期間にわたって継続したことを証明し、EFEMドアのインターロックを解除する。処理回路は専用のハードウェアであっても、メモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSPともいう)であってもよい。処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路はたとえば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
【0046】
図8Bには、処理回路がCPUの場合のセーフティPLC83の構成例が示されている。この場合、セーフティPLCの各機能は、ソフトウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ104に格納される。プロセッサ102はメモリ104に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより各機能を実現する。すなわち、処理回路により実行されるときに、上述の各処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するメモリ104を備える。これらのプログラムは、ガス置換動作が予め定められた期間にわたって継続したことを証明する手順及び方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。一例によれば、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されたプログラムは、以下のことをコンピュータに実行させる。
第1アイテム:SV42の開閉状態と、リミットスイッチ44の出力の相互監視によって、窒素ガスがハウジングに提供されていないことを証明する
第2アイテム:フローメータ52の値と、ハウジング10内の圧力値の相互監視によって、CDAがハウジング10に提供されたことを証明する。
第3アイテム:排気圧力センサ64の値と、ハウジング圧力センサ13の値の相互監視によって、ハウジングの中のガスが排気されていることを証明する。
第4アイテム:差圧計35、37の値と、ファンのアラーム機82の出力との相互監視によって、ファンが稼働していることを証明する。
第5アイテム:第1から第4アイテムが予め定められた期間にわたって充足されたときに、ハウジングのドアを開くためのインターロックを解除する。一例によれば、インターロックの解除は、EFEMドアの電磁ロックスイッチへ指令を出すことである。
【0047】
ここでメモリとは、例えばRAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク又はDVD等が該当する。当然ながら、上記各機能の一部をハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0048】
上述の記載は、限定的に解釈されず、例示に過ぎない。よって、様々な変形が想定される。
【符号の説明】
【0049】
10 ハウジング、 20 フィルタ、 22 FFUハウジング、 22s ファンフィルタ間空間、 24 ファン、 25 FFU、 26 上部ハウジング、