(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036003
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】放電ランプを動作させるための方法および放電ランプ
(51)【国際特許分類】
H05B 41/24 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
H05B41/24
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022136546
(22)【出願日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】10 2021 209 559.3
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】512288684
【氏名又は名称】オスラム ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】OSRAM GmbH
【住所又は居所原語表記】Marcel-Breuer-Strasse 6, D-80807 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアント コッホ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ハイゼ
(72)【発明者】
【氏名】ザシャ ピルツ
(72)【発明者】
【氏名】カイ ヴォルター
【テーマコード(参考)】
3K072
【Fターム(参考)】
3K072AA09
3K072AA10
3K072AC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】放電ランプの品質および/または寿命を向上させることができるように、放電ランプを動作させるための方法を提供する。
【解決手段】放電ランプ100の動作において、、複数の異なる時間幅dtを定義する複数の時間幅値dtvを収集するために、分布関数DFが定義される。分布関数DFに依存して、1つまたは複数の乱数riによって、複数の時間幅値dtvが決定される。複数の時間幅dtの各々の満了に応じたそれぞれの時点において、電流信号wが転流される。照明装置200には、任意の方法を実施するための制御ユニット115が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを実施することによって電流信号(w)を適合させることにより、放電ランプ(100)を動作させるための方法であって、
前記ステップは、すなわち、
-(a)複数の異なる時間幅(dt)を定義する複数の時間幅値(dtv)を収集するために、分布関数(DF)を定義および/または提供するステップ、
-(b)前記分布関数(DF)に依存して、1つまたは複数の乱数(ri)によって、前記複数の時間幅値(dtv)を決定するステップ、
-(c)前記複数の時間幅(dt)の各々の満了に応じたそれぞれの時点において、前記電流信号(w)を転流させるステップ
である、方法。
【請求項2】
前記複数の時間幅(dt)は、直接的に隣接して配置されている、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
複数の分布関数(DF)が使用され、
それぞれの時間幅値(dtv)に対して、前記複数の分布関数(DF)のうちの1つがさらなる乱数(ri)に従って選択される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記ステップa)、前記ステップb)、および/または前記ステップc)が繰り返し実施される、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記分布関数(DF)は、1つまたは複数の放電ランプパラメータ、特に、ランプ電圧(U)、前記放電ランプ(100)の電力レベル、前記放電ランプ(100)の位置および向き、前記放電ランプ(100)を通る電流フロー(A)、一対の電極先端部(105)の摩損の程度、および/または相対する極性の時間幅(dt)の電圧比に依存して定義される、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記分布関数(DF)は、前記放電ランプ(100)のパラメータおよび/または前記放電ランプ(100)の前記一対の電極のパラメータを記述する1つまたは複数の測定された量に基づいて動的に定義される、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記分布関数(DF)を定義することは、平均ランプ電圧(U)の動的挙動、それぞれの時間幅中の前記ランプ電圧の動的挙動、および/または前記放電ランプ(100)を通る前記電流フロー(A)の動的挙動に基づいている、
請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
複数の分布関数(DF)が供給され、
前記時間幅値(dtv)を決定するための前記分布関数(DF)は、放電ランプ電圧(U)に関する閾値に基づいて選択される、
請求項5から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2つの異なる確率関数(PD1,PD2)が供給され、
前記時間幅値(dtv)を決定するための前記分布関数(DF)は、前記少なくとも2つの異なる確率関数(PD1,PD2)の重ね合わせであり、
前記重ね合わせは、前記ランプ電圧(U)に依存している、
請求項5から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記分布関数(DF)は、前記放電ランプ電圧(U)の特性図によって定義され、
特に、前記分布関数(DF)は、前記放電ランプ電圧(U)の閾値(U1,U2)に依存している、
請求項5から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
それぞれ異なる種類の放電ランプに対して、かつ/またはそれぞれ異なるグループの放電ランプ(100)に対して、別個の分布関数(DF)が定義される、
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記分布関数(DF)は、境界条件を含む、
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
対応する所定の時間幅値に関する確率値が、前記境界条件によって定義されるか、または対応する所定の複数の時間幅値(dtv)に関する複数の確率値が、前記境界条件によって定義され、
特に、前記複数の時間幅値(dtv)の確率は、互いの比によって定義される、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記境界条件によって最大値および最小値が定義される、
請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
前記分布関数(DF)は、所定の関数と、または複数の所定の関数のうちの1つと重ね合わせられ、
前記複数の所定の関数のうちの少なくとも1つは、前記時間幅値(dtv)を決定するために少なくとも1つの乱数(ri)によって選択される、
請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記放電ランプ(100)の寿命に基づいて分布関数(DF)が定義される、
請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記電流信号(w)は、波形信号、方形波信号、または波形信号と方形波信号との混合物である、
請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記分布関数(DF)は、一様分布、正規分布、指数分布、冪乗則分布、および/またはオーバーレイされた正規分布として定義される、
請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
照明装置(200)であって、
当該照明装置(200)は、
・一対の電極(105)を備えた発光管(110)を有する放電ランプ(100)と、
・前記放電ランプ(100)に電流信号(w)を供給するためのバラストユニット(125)と、
・制御ユニット(115)と
を含み、前記制御ユニット(115)は、
・複数の異なる時間幅(dt)を定義する複数の時間幅値(dtv)を収集するために、分布関数(DF)を定義および/または提供し、
・前記分布関数(DF)に依存して、1つまたは複数の乱数(ri)によって、前記複数の時間幅値(dtv)を決定し、
・前記複数の時間幅(dt)の各々の満了に応じたそれぞれの時点において、前記電流信号(w)を転流させる
ように構成されている、照明装置(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流信号を適合させることにより、放電ランプを動作させるための方法に関する。本発明は、一対の電極を備えた発光管を有する放電ランプと、制御ユニットとにも関する。制御ユニットは、電流信号または電流フローを制御するかつ/または適合させることができる。
【0002】
放電ランプは、多くの場合、極性が交番する矩形の電流波形によって動作させられる。電流の動作周波数は、放電ランプの電極先端部の成形に、ひいては放電ランプの寿命および全体的な挙動に多大な影響を与えることが知られている。単一周波数による放電ランプの連続的な動作は、多くの場合、延長された寿命に到達するためには不十分である。それと同時に、電流の動作周波数は、考慮されるべき他の影響、例えば、音響ノイズ、可視の光の揺らぎ、またはテレビもしくは携帯電話のカメラにおいて使用されるイメージングセンサの動作との干渉を引き起こす。一般的なアプローチは、位相変調スキームまたは周波数変調スキームを適用することである。複数の異なる動作周波数を、放電ランプに印加することができる。
【0003】
例えば、欧州特許第1624733号明細書は、一対の対向する電極が設けられている石英ガラスからなる放電容器を含む高圧放電ランプを動作させるための装置を記載している。この放電ランプに対して交流電流を供給するように、給電装置が適合させられている。交流電流を、定常動作周波数として60Hz~1000Hzの範囲内で印加することができる。定常動作周波数の交流電流に低周波を挿入することができる。低周波は、定常周波数よりも低く、5Hz~200Hzの範囲内にある。
【0004】
本発明は、規則的な電流信号が、放電ランプの動作において欠点をもたらす可能性があるという知識に基づいている。放電ランプにおける電流信号または電流フローは、完全には決定論的であるべきではなく、少なくともある程度のランダム性によって影響を受けるべきである。
【0005】
本発明の課題は、放電ランプの品質および/または寿命を向上させることができるように、放電ランプを動作させるための方法を提供することであってよい。
【0006】
上記の課題は、本願の独立請求項によって解決可能である。利点および代替的な実施形態は、従属請求項、明細書、および図面に記載されている。
【0007】
本発明の第1の態様は、電流信号を適合させることにより、放電ランプを動作させるための方法に関する。本方法は、以下のステップを含む。第1のステップでは、複数の異なる時間幅を定義する複数の時間幅値を収集するために、分布関数が定義および/または提供される。時間幅値は、複数の異なる数値によって表現可能である。時間幅値を表すこれらの数値は、好ましくは、時間幅の持続時間がどのくらい長いかを示す。このことはつまり、複数の異なる時間幅値によって複数の時間幅を定義することができるということを意味する。時間幅は、時間区間であると見なすことができる。時間幅値または対応する数値は、ミリ秒の持続時間を定義することができる。例えば、5,10,および6という時間幅値は、3つのそれぞれ異なる時間幅を定義する。第1の時間幅は、5msの持続時間を有し、第2の時間幅は、10msの持続時間を有し、第3の時間幅は、6msの持続時間を有する。好ましくは、複数の時間幅または時間区間は、直接的に連続して配置される。このことはつまり、2つの時間幅の間に時間ギャップが存在しないということを意味することができる。複数の時間幅値は、複数の時間幅値を含む集合または配列の形式で表現可能である。
【0008】
次のステップでは、分布関数に依存して、1つまたは複数の乱数によって、複数の時間幅値が決定される。時間幅値は、分布関数によって影響を受けるが、時間幅値の決定は、完全には決定論的でない。なぜなら、時間幅値は、少なくとも1つの乱数によって影響を受けるからである。1つまたは複数の乱数は、真性乱数生成器、擬似乱数生成器によって、または低食い違い列の適用によって生成可能である。逆関数法のような統計的方法を適用して、規定の分布関数に従って乱数から時間幅値を計算することができる。1つまたは複数の時間幅値を取得するために、分布関数に乱数を適用することができる。複数の時間幅値は、この分布関数に従って分布可能である。
【0009】
「第1の」および「第2の」という表現は、好ましくは、如何なる特定の技術的内容も含まない。「第1の」および「第2の」というこれら2つの異なる表現は、好ましくは、複数の異なる周波数間の区別を可能にする名称としてのみ考慮されるべきである。
【0010】
逆関数法は、連続的な累積分布関数が開放区間(0,1)にわたって一様に変化するという原理に依拠している。uが(0,1)に対する一様乱数である場合、x=F-1(u)は、指定された累積分布関数Fを用いて任意の連続分布から乱数xを生成する。この場合、F-1を逆関数であると見なすことができる。このアプローチは、時として「逆関数サンプリング法(Inverse Transform Sampling)」と称されることがある。
【0011】
次のステップでは、複数の時間幅の各々の満了に応じたそれぞれの時点において、電流信号が転流される。「転流」という用語は、極性の切り替えであると見なすことができる。放電ランプは、通常、交流電流を使用することによって動作させられる。この方法によれば、交流電流も印加されるが、それぞれの時間幅は、それぞれ異なっており、さらには乱数に起因してランダムに決定されている。ランプ電流の電流信号を、電流方向の変化(転流)によって分離された直流電流の時間幅の連続的なストリームとして構築することが可能である。好ましくは、電流は、1つの時間幅内では一定である。特に、後続する時間幅において、転流により極性の変化が実現される。時間幅またはその持続時間は、放電ランプの電極先端部の成形に対して甚大な影響を有し得る。したがって、放電ランプの寿命を向上させることができる。好ましくは、それぞれの連続する時間幅の持続時間は、ランダムに選定され、特に、先行または後続する時間幅との関係は、何ら存在しない。放電ランプの電流信号を、分布関数と、少なくとも1つの乱数とによって制御するだけでよい。代替的に、乱数の特定の所定の相関を強制してもよい。所定の相関は、所与の時間区間にわたる電流の平均化をもたらすことができる。電流は、好ましくは、前述した時間区間にわたってゼロ平均化される。その一例は、複数の時間幅を含む時間区間にわたって平均化された、正および負の電流極性を有する時間幅のバランスであろう。別の相関も可能であってよい。放電ランプまたは電極先端部の不均一または不規則な負荷を回避することができる。
【0012】
電流信号は、電流フローであると見なすことができる。電流信号または電流フローに関して提示された全ての説明は、電圧信号へと拡大可能である。好ましくは、電流信号は、電流を指す。
【0013】
有利な追加的または代替的な実施形態によれば、複数の時間幅は、直接的に隣接して配置されている。放電ランプの動作は、複数の時間幅によって定義可能である。好ましくは、2つの時間幅の間に時間ギャップは出現しない。このことはつまり、第1の時間幅の後には直ちに第2の時間幅が続いてよいということを意味する。この結果として、放電ランプの動作のためによりランダムな電流信号を生じさせることができる。
【0014】
有利な追加的または代替的な実施形態によれば、複数の分布関数が使用され、それぞれの時間幅値に対して、複数の分布関数のうちの1つがさらなる乱数に従って選択される。さらなる乱数は、別の追加的な乱数であってよい。さらなる乱数は、選択された分布関数に影響を与えることができる。このことはつまり、さらなる乱数を決定するための方法により、それぞれの分布関数が、選択されるべきそれらの分布関数自体の確率を有することができるということを意味する。これにより、分布関数を選択する尤度または確率を適合させる可能性が提供される。このことは、さらなる乱数を決定または計算することによって達成可能である。代替的に、複数の分布関数を重ね合わせて1つの分布関数としてもよい。このような重ね合わせられた分布関数を使用して、複数の時間幅値を決定することができる。
【0015】
例えば、一様分布関数とガウス分布関数とは、それぞれ異なる分布関数であってよい。重ね合わせは、所定の重み付け係数を使用して元の分布関数同士を単純に加算することによって実施可能である。重み付け係数は、時間幅値の決定に対する分布関数の影響に対して影響を与えることができる。特定の時間幅値の出現を刺激または抑制することができる。
【0016】
代替的に、複数の分布関数のうちの1つを選択するために追加的なさらなる乱数を使用してもよい。例えば、2つの異なる分布関数が利用可能であって、かつ第1の分布について30%の確率で起こるべきであり、第2の分布について70%の確率で起こるべきである場合には、区間0~1の中から追加的な乱数Rをランダムに選定することができ、0≦R<0.3の場合には第1の分布が選択され、それ以外の場合には第2の分布が選択される。Rに関する区間、ここでは0~0.3を適合させることにより、第1の分布関数の適用をさらに支援または抑制することができる。
【0017】
有利な追加的または代替的な実施形態によれば、分布関数を定義するステップ、複数の時間幅値を決定するステップ、および/または電流信号を転流させるステップが繰り返し実施される。このことはつまり、複数の時間幅値および複数の時間幅を決定および/または生成することができるということを意味する。時間幅値は、少なくとも1つの乱数に依存しているので、ある程度のランダム性が常に存在することを保証することができる。
【0018】
有利な追加的または代替的な実施形態によれば、分布関数は、1つまたは複数の放電ランプパラメータ、および/または放電ランプに関する環境パラメータに依存して定義される。放電ランプパラメータは、ランプ電圧、放電ランプの電力レベル、放電ランプの位置および向き、放電ランプを通る電流フロー、および/または一対の電極先端部の摩損の程度であってよい。さらに、放電ランプパラメータは、平均ランプ電圧、電極先端部の特性または状態、放電ランプの動作時間、および/または相対する極性の時間幅の電圧比であってよい。放電ランプに対する物理的影響は、分布関数によって考慮可能である。分布関数は、所与の分布を有する関数であってよい。この関数は、一様分布、ガウス分布、オーバーレイ分布、指数分布、冪乗則分布、または任意の他の分布であってよい。追加的に、放電ランプの傾きのような全ての上述した放電ランプパラメータを追加的に考慮することができる。
【0019】
パラメータは、適切なセンサによって収集可能である。電圧は、電圧センサによって測定可能であり、電流は、電流センサによって測定可能である。適切なセンサによって収集可能または測定可能である任意の他のパラメータについても同じことが当てはまる。センサのデータは、放電ランプを動作させるように構成された制御ユニットに送信可能である。制御ユニットは、当該制御ユニットが作動させられた場合に、本明細書で言及された任意の方法または実施例を実行または実施することが可能である。
【0020】
追加的に、この実施形態は、分布関数を介して1つまたは複数の放電ランプパラメータを考慮することを可能にする。電極先端部の形態または形状を考慮することも可能である。電極先端部の厚さまたは寸法が所与の閾値を下回っている場合には、結果として生じる電流信号が電極先端部に対して緩やかまたは穏やかである周波数範囲に従うように、時間幅値を適合させることができる。分布関数を、放電ランプパラメータに基づいて動的に選定または修正することができる。ランプパラメータは、電極の状態を特徴付けることができる。そのようなパラメータは、平均ランプ電圧、電流の方向に依存しているランプ電圧、またはセグメント長さ中のランプ電圧の動的挙動であってよい。
【0021】
さらなる追加的または代替的な実施形態では、複数の時間幅は、パターンまたは構成ブロックを定義する。それぞれのパターンは、固定の持続時間比を有する2つ以上の時間幅を含むことができる。それぞれのパターンの合計持続時間は、1つまたは複数の分布関数と、少なくとも1つの乱数とに依存してランダムに決定可能である。複数のパターンから選択することができる偶発的なパターンによって、さらなる変動を引き起こすことができる。このことはつまり、複数のパターンが存在すること、および適切な乱数によって複数のパターンのうちの1つを選定または選択することができるということを意味する。選択されたパターンを使用して、複数の時間幅値を決定することができる。時間幅値に従って、複数の時間幅の各々の満了に応じたそれぞれの時点において、転流が実施される。これにより、特定の境界条件を考慮することが可能となるが、それでもなお、電流信号のランダムな性質を維持することができる。追加的に、放電ランプパラメータもパターンにおいて考慮することができる。
【0022】
有利な追加的または代替的な実施形態によれば、分布関数は、ランプパラメータおよび/または放電ランプの一対の電極のパラメータを記述する1つまたは複数の測定された量に基づいて動的に定義される。例えば、分布関数は、電極先端部の状態、寿命、または損耗を考慮することができる。追加的に、全ての分布関数によってランプ電圧を考慮することができる。この文脈において、1つまたは複数の時間幅の間のランプ電圧の動的挙動を考慮することも可能である。ランプ電圧を、特性図によって記述および/または表現することが可能である。したがって、ランプパラメータを考慮することが可能であり、それでもなお、動作のための結果として生じる電流信号をランダムなままに維持することができる。
【0023】
有利な追加的または代替的な実施形態では、それぞれ異なる種類の放電ランプに対して、かつ/またはそれぞれ異なるグループの放電ランプに対して、別個の分布関数を定義することができる。このことはつまり、それぞれ異なる種類の放電ランプまたはそれぞれ異なるグループの放電ランプに対して、分布関数を個々のものとすることができるということを意味する。例えば、それぞれ異なる部屋内の放電ランプを、それぞれ異なるグループに割り当てることができる。放電ランプのための充填ガスがそれぞれ異なることに起因して、放電ランプの種類がそれぞれ異なる可能性がある。充填ガスとしてアルゴンを用いる放電ランプは、充填ガスとしてヘリウム、クリプトン等を用いる放電ランプとは異なる種類であると解釈可能である。動作電圧または使用電圧に関してそれぞれ異なる範囲を有する放電ランプは、それぞれ異なるグループまたは種類の放電ランプであると見なすことができる。好ましくは、それぞれの種類またはグループの放電ランプを、特定の分布関数に関連付けることができる。
【0024】
有利な追加的または代替的な実施形態によれば、分布関数は、対応する累積密度関数を有する確率密度関数として定義され、累積密度関数の対応する逆関数に1つまたは複数の乱数を適用することによって複数の時間幅値が決定される。この実施形態は、1つまたは複数の乱数を使用することによって1つまたは複数の時間幅値を決定または評価するための特定の方法を提供する。分布関数を定義することができるか、または分布関数を確率密度関数に変換することができる。確率密度関数に依存して、対応する累積密度関数を定義および/または定式化することができる。好ましくは、累積密度関数は、可逆である。このことはつまり、累積密度関数が単調に増加または減少することができるということを意味する。好ましくは、累積密度関数は、狭義増加または狭義減少する。これによって、累積密度関数が可逆であることを保証することができる。逆関数に1つまたは複数の乱数が入力されると、1つまたは複数の時間幅値を計算することができる。この方法を、逆関数法と称することができる。時間幅に関する数値を計算するために、他の統計的方法を使用または適用することが可能である。逆関数法は公知の方法であるので、乱数生成器によって実施可能である。
【0025】
有利な追加的または代替的な実施形態によれば、分布関数を定義することは、平均ランプ電圧の動的挙動、それぞれの時間幅中のランプ電圧の動的挙動、および/または放電ランプを通る電流フローの動的挙動に基づいている。追加的に、全ての上述した放電ランプパラメータの動的挙動を、追加的に考慮することができる。
【0026】
有利な追加的または代替的な実施形態によれば、複数の分布関数が供給され、時間幅値を決定するための分布関数は、放電ランプ電圧に関する閾値に基づいて選択される。この実施形態では、複数の異なる分布関数から単一の分布関数を選択することができる。分布関数の選択は、放電ランプ電圧の閾値に依存している。ランプ電圧のそれぞれ異なる範囲は、結果として電極先端部のそれぞれ異なる損耗または裂傷をもたらす可能性があるので、複数の分布関数は、電流のそれぞれ異なる周波数範囲に関連することができるか、または電流のそれぞれ異なる周波数範囲に対処することができる。閾値を上回っているまたは下回っているランプ電圧は、放電ランプまたは電極先端部の特定のステータスを示すことができる。
【0027】
特定のステータスが検出された場合には、放電ランプの動作の改善のためにより適した電流に関する別の周波数範囲に関連する別の異なる分布関数を適用することが可能である。例えば、ランプ電圧が60ボルトを下回ると、適用される分布関数の変更を開始することができる。このことはつまり、別の分布関数を使用して時間幅値を決定し、したがって、電流信号のための電流を、別の分布関数に従って決定された時間幅値に従って異なる形式で構成するということを意味する。
【0028】
有利な追加的または代替的な実施形態によれば、少なくとも2つの異なる確率関数が供給され、時間幅値を決定するための分布関数は、少なくとも2つの異なる確率関数の重ね合わせであり、重ね合わせは、ランプ電圧に依存している。確率関数を、初期関数と称することができる。重ね合わせは、ランプ電圧に依存することができる。それぞれの初期関数は、放電ランプの特定の状態またはステータスに関連することができる。例えば、第1の初期関数は、著しい程度の損耗および裂傷を示していない電極先端部を有する放電ランプにとって適切であってよい。第2の初期関数は、放電ランプの電極先端部にある程度の損耗および裂傷が出現している場合に適切であってよい。ランプ電圧に依存して、電極先端部の損耗および裂傷の程度を評価することが可能である。このことはつまり、ランプ電圧が、電極先端部の損耗および裂傷の程度に関する情報を評価することを可能にするということを意味する。放電ランプが、2つの所与の状態の間にあるステータスを示している場合には、複数の異なる初期関数を混合することにより、放電ランプの動作のための改善された分布関数をもたらすことができる。初期関数は、確率分布であると見なすことができる。
【0029】
有利な追加的または代替的な実施形態によれば、分布関数は、放電ランプ電圧の特性図によって定義される。特に、分布関数は、放電ランプ電圧の閾値に依存している。特性図は、放電ランプにとって有効なテーブル、ルックアップテーブル、および/または所定の特性曲線であってよい。この文脈において、ランプ電圧を特性図に関して分析することが可能である。例えば、相関を使用することができる。この相関は、分布関数を定義することができる。上記の利点および実施例は、この実施形態にも当てはまる。
【0030】
有利な追加的または代替的な実施形態によれば、分布関数は、境界条件を含むことができる。例えば、電流信号のための時間幅値の特定の範囲を、境界条件として提供することができる。これによって好ましくは、対応する時間幅値が得られる。例えば、境界条件は、0.625ms~20msの時間幅区間を含むことができる。これにより、対応する時間幅値が得られるであろう。もちろん、時間幅値に関する制限に関する他の値も可能である。
【0031】
有利な追加的または代替的な実施形態によれば、対応する所定の時間幅値に関する確率値が、境界条件によって定義されるか、または対応する所定の複数の時間幅値に関する複数の確率値が、境界条件によって定義される。このことは、時間幅値に関する確率値が、時間幅に関する上限および/または下限に依存することができることを含むことができる。上限は、最大時間幅値を定義することができ、下限は、最小時間幅値を定義することができる。特に、複数の時間幅値における確率比を、互いの最小比および/または最大比によって定義することができる。複数の時間幅値の確率を、互いの比によって定義することも可能である。下限および上限を、可能な時間幅値に対して分布関数によって定義することができる。この文脈において、上限および下限の値における確率密度の比(すなわち、点T1およびT2)を指定することができる。例えば、本明細書において式として指定されている電力分布関数は、完全に定義されている。
【0032】
分布関数は、所定の時間幅値に関する確率値に影響を与えることができる。分布関数を用いて、時間幅値の尤度または確率を適合させることができるか、または時間幅値の尤度または確率に影響を与えることができる。これは、分布関数の適切な数学的適合によって達成可能である。このような適合は、境界条件であると見なすことができる。特に、境界条件によって最大値および最小値を定義することができる。境界条件は、ランプ動作のために適用されるべき、より高い確率を有することができる特定の時間幅値の所定の選択を含むことができる。特定の所定の時間幅値を、境界条件によって完全に除外することが可能である。境界条件を用いて、「ランダム性」の要因を弱めて、若干の決定論的な影響によって置き換えることができる。
【0033】
2つ以上の時間幅値を、パターンまたは構成ブロックの形態で組み合わせることができる。このことはつまり、パターンは、2つ以上の時間幅値、したがって2つ以上の時間幅を含むことができるということを意味する。この場合、ランダム性を、放電ランプの動作のための所要の状況に制限することができる。このような状況は、放電ランプまたはその電極先端部の異常な損耗および裂傷に起因して生じる可能性がある。特に、ランプ電圧は、放電ランプのそのような状況またはステータスに関する指示または情報を提供することができる。
【0034】
構成ブロックは、電流信号のための単一の時間幅または時間幅値を定義することができる。この場合、電流信号を、複数の構成ブロックによって組み立てることができ、それぞれの構成ブロックは、別の時間幅または時間幅値を定義することができる。複数の構成ブロックの組み立ては、所与の規則に依存することができる。そのような規則は、複数の等しいおよび/または異なる構成ブロックの特定の所与のシーケンスを含むことができる。例えば、同じ時間幅を有する2つの構成ブロックが組み立てられ、その後、異なる時間幅を有する別の2つの構成ブロックが使用される。代替的に、同じ時間幅を有する2つの構成ブロックの間に、異なる時間幅を有する別の異なる第3の構成ブロックを挿入してもよい。結果として生じる電流信号は、複数の異なる構成ブロックのシーケンスであってよい。乱数の使用によって構成ブロックをランダムに選択することができる。追加的に、1つまたは複数の乱数によって時間幅値を決定することができる。「構成ブロック」という用語は、分布関数としてまたは分布関数を組み立てるために使用される数学的な関数であるとして解釈可能である。
【0035】
時間幅値は、好ましくは個々に決定されるわけではない。境界条件は、好ましくは直接的に隣接する時間幅に関連する。このことはつまり、後続する時間幅を先行する時間幅とは無関係に完全に決定することができるということを意味する。それでもなお、パターンであると見なすことができる時間幅のグループを、互いに独立して決定することができる。パターンは、多数の時間幅または時間幅値を含むことができる。例えば、1つのパターンは、100~1000個の時間幅を含むことができる。追加的に、1つのパターンの合計持続時間は、本願に従って言及および説明されている全ての方法に従ってランダムに決定可能である。放電ランプ動作のための電流フローまたは電流信号を、特定の要求に合わせて適合させることができ、追加的に、有用な程度のランダム性を含めることができる。
【0036】
有利な追加的または代替的な実施形態によれば、分布関数は、所定の関数と重ね合わせられる。代替的に、分布関数を、複数の所定の関数または複数の所定の関数のうちの1つと重ね合わせてもよく、複数の所定の関数のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの乱数によって選択される。この実施形態では、乱数が2つの目的で使用される。一方では、乱数を使用して、分布関数と重ね合わせられる複数の所定の関数のうちの1つを選択することができる。他方では、少なくとも1つの乱数を使用して、電流信号または電流フローのための時間幅値を決定することもできる。代替的に、それぞれの目的ごとに別個の乱数を使用してもよい。このことはつまり、第1の乱数を使用して、分布関数と重ね合わせられる複数の所定の関数のうちの1つを選択することができ、第2の乱数を使用して、時間幅値を決定することができるということを意味する。もちろん、複数の異なる第2の乱数または複数の異なる乱数の集合を使用して、複数の時間幅値を決定することができる。追加的に、この実施形態では、ランプ電圧のような放電ランプパラメータも考慮することができる。測定されたランプ電圧と、電圧閾値との比較は、複数の所定の関数のうちの1つの関数の重ね合わせおよび/または選択に影響を与えることができる。ランプ電圧に依存して、1つまたは複数の異なる関数を重ね合わせのために選定することができる。閾値を上回っている電圧値は、閾値を下回っている電圧値と比較して異なる重ね合わせをもたらすことができる。
【0037】
有利な追加的または代替的な実施形態によれば、放電ランプの寿命によって、または放電ランプの寿命に依存して分布関数を定義することもできる。放電ランプの寿命は、放電ランプが存在する可能性のある推定時間であってよい。特に、この時間は、放電ランプの燃焼時間を考慮している。燃焼時間は、多くの場合、時間単位の値によって示される。寿命は、放電ランプの製造からの経過時間を考慮することもできる。これらの場合には、放電ランプの動作を、対応する放電ランプに合わせてより個々に適合させることができ、追加的に、電流信号が完全には決定論的でないことを保証するために、放電ランプの動作中に十分な程度のランダム性が存在する。
【0038】
有利な追加的または代替的な実施形態によれば、電流信号または電流フローは、波形信号、方形波信号、または波形信号と方形波信号との混合物である。好ましくは、電流信号は、方形波信号である。それぞれ異なる分布関数は、それぞれ異なる種類の信号に関連することが可能である。例えば、第1の分布関数は、波形信号に関連することができ、別の第2の分布関数は、方形波信号に関連することができる。第3の分布関数は、波形信号と方形波信号との混合物に関連することができる。選択された分布関数に従って、分布関数のランダムな選択に起因するランダムな影響によって、信号の形態を変更することもできる。
【0039】
基本的な関数であると見なすことができる関数の一部が、ランダム化された電流フローまたは電流信号を生成するために使用される場合には、本発明のさらなる評価を生成することができる。基本的な関数を、規則であると見なすことができる。基本的な関数または規則は、むしろ、放電ランプ動作のための電流信号を生成するための規範である。このような規則は、境界条件または所定の条件が満たされている場合に極性を変化させること、または転流を実施することを含むことができる。このような境界条件または所定の条件は、ランプ電圧に関する閾値を上回っているまたは下回っているランプ電圧、温度、放電ランプの内部の圧力等であってよい。
【0040】
有利な追加的または代替的な実施形態によれば、分布関数は、一様分布、正規分布、指数分布、冪乗則分布、および/またはオーバーレイされた正規分布として定義される。追加的に、放電ランプを動作させるための規則に従って分布関数を定義することができる。上記の利点および実施例は、この実施形態にも当てはまる。
【0041】
本発明の第2の態様は、照明装置に関する。照明装置は、発光管を有する放電ランプを含む。発光管は、一対の電極を含むことができる。好ましくは、電流信号または電流フローは、この一対の電極にわたって流れる。一対の電極にわたるこの電流により、放電ランプの内部にアークが出現する。電流フローは、電荷担体の流れであると見なすことができる。放電ランプの発光管内のアークは、その結果として放電ランプの発光をもたらす。
【0042】
照明装置は、1つまたは複数のセンサを含むことができる。電圧センサおよび/または電流センサは、ランプ電圧、および/または放電ランプを通る電流フローを測定することが可能である。照明装置は、バラストユニットを含むことができる。バラストユニットは、放電ランプに電流信号を供給することができる。センサまたは電流センサは、好ましくは、バラストユニットにまたはバラストユニット内に配置可能である。バラストユニットは、制御ユニットを含むことができる。特に、ランプ電圧および/またはランプ電流を測定するためのセンサは、マイクロプロセッサであってよい。照明装置は、放電ランプによって放出されたルーメンを測定するための光センサを含むことができる。全てのセンサは、バラストユニット内に配置可能である。
【0043】
照明装置は、制御ユニットを含むことができる。制御ユニットは、センサデータに依拠している任意の方法を実施するためにセンサからデータを収集することができる。考えられるセンサは、電流検出器および/または電圧検出器である。光センサ、電流センサ、電圧センサ、または上述した方法のうちの1つを実施するために必要とされる任意の他の種類のセンサは、放電ランプの一部であってよい。
【0044】
発光管の内部には、充填ガスを存在させることができる。充填ガスは、希ガスまたは金属ガスであってよい。気化水銀は、例えば金属ガスであってよい。放電ランプは、制御ユニットを含む。この制御ユニットは、本願において説明された全ての方法および実施例を実施することが可能である。好ましくは、制御ユニットは、複数の時間幅値を収集するために、分布関数を定義することができる。制御ユニットは、分布関数に依存して、1つまたは複数の乱数によって、複数の時間幅値を決定することもできる。特に、制御ユニットは、乱数生成器を含み、1つまたは複数の乱数を提供することが可能である。制御ユニットは、電流信号を制御することが可能である。特に、制御ユニットは、電流信号を転流させることができる。制御ユニットにより、複数の時間幅の各々の満了に応じたそれぞれの時点において、電流信号を転流させることができる。制御ユニットは、本願において記載または説明された任意の方法を実施することが可能であり、かつそのように構成されている。
【0045】
本発明の第1の態様による方法に関連して提示された特徴、実施例、および利点は、必要な変更を加えて、本発明の第2の態様による放電ランプに適用され、またその逆も同様である。このことはつまり、方法の特徴を、放電ランプの特徴であると見なすことができるということを意味する。逆に、放電ランプの特徴を、放電ランプを動作させるための方法の特徴であると見なしてもよい。
【0046】
制御ユニットは、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、および/または1つまたは複数のマイクロコントローラを含むことができる。さらに、制御ユニットは、制御ユニットによって実行された場合に本明細書に記載された任意の方法を実施するように設計されたプログラムコードを含むことができる。プログラムコードは、制御ユニットのデータストレージに格納可能である。
【0047】
制御ユニットは、本願において言及された任意の実施形態または実施例の方法を実施するように適合させられたプロセッサを含むことができる。制御ユニットは、コンピュータプログラム製品または放電ランプによって実現可能であり、制御ユニットは、コンピュータまたは制御ユニットによってプログラムが実行された場合に本願において言及された全ての実施形態または方法の任意のステップを制御ユニットまたはコンピュータに実行させるための命令を含む。コンピュータプログラム製品は、制御ユニットまたはコンピュータによってプログラムが実行された場合に、本願において言及された任意の実施形態のステップを制御ユニットに実行または実施させるための命令を含むことができる。
【0048】
本発明は、コンピュータプログラム製品を提供することが可能である。コンピュータプログラム製品は、本願において言及された全ての実施形態または方法のステップを放電ランプに実施させるための命令を含むことができる。さらに、コンピュータプログラム製品が格納されたコンピュータ可読媒体は、本発明の一部であってよい。
【0049】
本発明は、以下の図面によって説明される。全ての図面およびそれらの説明は、本発明を実施するためのいくつかの可能な実施形態および可能性を示唆しているに過ぎないと考えられるべきである。いずれの場合にも、図面は、本明細書に記載された実施例が本発明の範囲を限定するというように解釈されるべきではない。
【0050】
この文脈において、各図は、以下のものを示している。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図2】放電ランプのための概略的な動作スキームを示す図である。
【
図3】乱数から時間幅値を決定または計算する例を示す図である。
【
図4】時間幅値を計算するために
図3に示された逆累積分布関数DF1およびDF2に対応する所定の確率密度関数PD1およびPD2を示す図である。
【
図5】
図3による第1の分布関数に基づく、転流と転流の間の複数の異なる時間幅の疑似ランダムシーケンスを有する出力電流信号を示す図である。
【
図6】ランプ電圧に依存している2つの異なる確率密度関数の重ね合わせの例を示す図である。
【
図7】ランダム化された電流信号を構築するための単純なパターンまたは構成ブロックの例を示す図である。
【
図8】
図7によるパターンのランダムシーケンスを有する出力電流信号の例を示す図であり、それぞれのパターンの持続時間は、
図3による第1の分布関数に基づいている。
【0052】
図1には、放電ランプ100と、制御ユニット115と、動作ユニットとしてのバラストユニット125とを有する照明装置200が示されている。放電ランプ100は、発光管110を含む。発光管110の内部には、一対の電極先端部105が示されている。これら2つの電極先端部105の間でアーク放電を出現させることができる。放電ランプ100は、電極先端部105同士の間に電流Aが流れると発光することが可能である。発光管110の内部には、ヘリウム、アルゴン、クリプトン等のような希ガス、または水銀もしくはナトリウムのような金属ガスを存在させることができる。放電ランプ100が単一周波数の交流ACによって動作させられる場合には、不均一な損耗および裂傷を受ける可能性がある。本発明の重要な態様は、このような欠点を回避することである。このことは、決定論的な電流信号を用いるのではなくランダムな電流信号wを用いて放電ランプ100を動作させることによって達成可能である。
【0053】
ランダムな電流信号wとは、この電流信号wが電流フローAに関してあらゆる可能な値を取ることができるということを意味するわけではない。例えば、ランプ電流の電流信号を、電流方向の変化または転流によって分離された直流電流の時間幅dtの連続的なストリームとして構築することが可能である。直流電流の振幅は、規定の公称ランプ電力が維持されるようにランプの電圧に従って固定可能である。時間幅値dtvは、規定の分布関数DFに従ってランダムに選定可能である。分布関数DFを境界条件によって制限することができるか、または境界条件によって分布関数DFに影響を与えることができる。そのような境界条件は、時間幅値dtvの最小値または最大値であってよい。さらに、分布関数DFは、所与の分布に従うことができる。そのような所与の分布は、一様分布、正規分布、または任意の他の関数であってよい。これらの関数は、放電ランプ電圧Uのような物理的ランプパラメータ120も、放電ランプ100の環境パラメータ120も考慮することができる。このことはつまり、分布関数DFが統計的パラメータおよび/または物理的パラメータを考慮することができるということを意味する。
【0054】
統計的パラメータは、種々の所与の分布によって考慮可能であり、その一方で、物理的パラメータは、ランプ電圧Uと、放電ランプ100の他の環境パラメータ120とによって考慮可能である。全てのこれらのパラメータを、分布関数DFによって考慮することができる。このことはつまり、ランダム性の程度に影響を与えることができるということを意味する。時間幅値dtvが少なくとも1つの乱数riによって計算されるので、電流信号wをランダムに決定することができる。分布関数DFの具体的な定義は、必要に応じてランダム性の程度を制限することができる。制御ユニット115は、放電ランプ100または照明装置200の放電ランプパラメータおよび/または他の環境パラメータを収集および/または検出することができる。
【0055】
図2は、照明装置200のいくつかのコンポーネントの例示的な概要を示す。照明装置200は、動作ユニット125およびDC/DCコンバータ10を含むことができる。電流フローAは、電流検出器11および電圧検出器12によって検出可能である。ランプ動作ユニット125は、極性スイッチ13を含む。制御ユニット115は、極性スイッチ13によって極性を切り替えることができる。動作ユニット125は、照明装置200の一部であってよい。DC/DCコンバータ10は、制御ユニット115によって決定された設定値に従って電流フローAを制御するために使用される。設定値は、出力電圧の測定値に基づいて決定可能である。追加的に、制御ユニット115は、放電ランプパラメータ120および/または環境パラメータ120の値を収集することができる。このことはつまり、制御ユニット115が、放電ランプ100のための電流フローAに関するパラメータと、環境パラメータ120に関するパラメータとを測定および/または収集することが可能であるということを意味する。ランプ動作の始動時に放電ランプ100のための始動電圧を形成するために、点火装置14を使用することができる。
【0056】
ランプ動作ユニット125(バラストユニット)は、乱数生成器17を含むことができる。乱数生成器17は、所定の範囲内の乱数riの集合またはストリームを生成することができる。所定の範囲は、値0と1との間であってよい。複数の乱数riを、一様分布に従う関数によって生成することができる。通常、乱数生成器17は、一様確率に基づいている。このことはつまり、乱数riが一様分布に従うということを意味する。分布成形ユニット18によって物理的影響および/または統計的影響を考慮することができるので、乱数生成器17の適合は、不要である。分布成形ユニット18では、これらの乱数riを使用して、時間幅dtの値を計算することができる。分布成形ユニット18および/または制御ユニット115は、分布関数DFまたは対応する分布テーブルから複数の時間幅値dtvを計算することができる。
【0057】
図3には、2つの異なる分布関数が例示的に示されている。時間幅値dtvは、タイマユニット19に送信可能である。タイマユニット19は、時間幅dtに関する複数の時間幅値dtvを供給することができる。制御ユニット115は、タイマユニット19の時間幅dtに従って極性スイッチ13を調整するまたは動作させることができる。時間幅値dtvは、乱数生成器17によって決定された1つまたは複数の乱数riによって影響を受けるので、結果として生じる時間幅値dtvをランダムに生成することができる。これにより、ランダム化された電流信号wをもたらすことができる。ランダム化された電流信号wは、電流フローAの極性の変化と変化の間、または電流フローAの転流と転流の間の持続時間を、種々の時間幅dtの形態で表す。制御ユニット115は、対応する時間幅dtが満了する毎に、極性を切り替えるか、または電流フローAを転流させることができる。このことはつまり、制御ユニット115が、それぞれの時間幅dtの満了に応じたそれぞれの時点において、電流信号wを転流させることができるということを意味する。
【0058】
動作ユニット125の結果として生じる出力電流信号wは、電流信号wの断片の期間が一直線に整列させられた連続的なストリームであってよく、それぞれの断片は、時間幅値dtvの持続時間を有するこれらの断片の時間幅dtによって表されている。これにより、これらの期間または断片は、制御ユニット115および/または分布成形ユニット18によって計算することができる複数の時間幅値dtvに応じたそれぞれ異なる持続時間を有することができる。基礎となる分布関数DFに従って、ランダム性の程度に影響を与えることができ、かつ/またはランダム性の程度を制御することができる。極端なシチュエーションでは、このランダムな影響を分布関数DFによって除去することができる。このことは可能であってよいが、そのような動作は意図されていない。
【0059】
図3には、2つの異なる分布関数DFが示されている。左側には第1の分布関数DF1が示されており、右側には第2の分布関数DF2が示されている。
【0060】
第1の分布関数DF1および第2の分布関数DF2は、時間幅値dtvを乱数riに割り当てることができる。乱数riは、最小値および最大値によって定義された区間内にあってよい。最小値は「min」によって示されており、最大値は「max」によって示されている。分布関数DF1およびDF2を用いて、時間幅dtの値、または時間幅dtの持続時間を乱数riによって計算することができる。分布関数DF1またはDF2の代わりにテーブルまたはルックアップテーブルを使用してよい。
【0061】
第1の分布関数DF1は、増加する乱数riを有する増加関数である。全ての時間幅値dtvは、時間幅値dtvの第1の値T1および第2の値T2によって定義された区間内にある。第1の値をT1と称し、第2の値をT2と称する。
【0062】
第2の分布関数DF2は、他の挙動を示す。第2の分布関数DF2は、逆双曲線正弦(arcus sinus)としても知られる逆符号関数に類似した関数のように見える。このことはつまり、第2の分布関数DF2が、他の時間幅値dtvをもたらすことができるということを意味する。これは、第2の分布関数DF2が第1の分布関数DF1と完全に異なるという事実による。例えば、制御ユニット115は、ランプ電圧Uに応じて第1の分布関数DF1または第2の分布関数DF2を選定することが可能である。例えば、ランプ電圧Uがランプ電圧Uに関する所与の値、すなわち閾値を上回っている場合には、第2の分布関数DF2を適用または使用することができる。この例を、任意の他のパラメータまたはパラメータの組み合わせに拡張することができる。そのようなパラメータは、温度、圧力、傾き等であってよい。
【0063】
分布成形ユニット18は、制御ユニット115によって制御可能である。この分布成形ユニット18は、1つより多くの、または2つの分布関数または分布テーブルを含むことができる。制御ユニット115は、平均ランプ電圧U、電流Aの方向に依存しているランプ電圧U、または先行する時間幅dt中のランプ電圧Uの動的挙動のような量に基づいて、どの分布関数DFまたは分布テーブルを使用または適用すべきかを決定することができる。このことはつまり、放電ランプ100の前述した放電ランプパラメータおよび/または環境パラメータ120に依存して、1つの分布関数DFを選択することができるということを意味する。
【0064】
例えば、電極先端部の膨脹が望まれている場合には、第1の分布関数DF1を適用することができる。電圧に関する所与の第1の閾値U1を上回っているランプ電圧Uに依存して、第1の分布関数DF1を選択することができる。電極先端部105の収縮を促進するためには、第2の分布関数DF2を使用することができる。第2の分布関数DF2は、好ましくは、制御電圧Uが第1の閾値U1を下回っている場合に選択される。このことはつまり、第1の分布関数DF1は、電極先端部105の膨脹を可能にすることが知られており、第2の分布関数DF2は、電極先端部105の収縮を促進することが知られているということを意味する。
【0065】
図4には、分布関数DF1およびDF2に対応する確率密度関数PD1,PD2が示されている。第1の分布関数DF1は、第1の初期確率関数PD1の累積の逆関数である。第2の分布関数DF2は、第2の初期確率関数PD2の累積の逆関数である。
【0066】
確率密度関数PD1は、修正された冪乗則分布に依拠することができる。これは、以下の式
t<T1の場合、t-D1=0
T1≦t≦T2の場合、t-D1=K/[t^n]
t>T2の場合、t-D1=0
によって表現可能である。
【0067】
t-D1は、時間幅値dtvに関する可能な値tの関数としての確率密度であると見なすことができる。Kは、t=0からt=無限までのt-D1の積分値が単位元となるような正規化定数である。値nは、確率分布を特徴付ける定数であり、特に、境界T1における確率密度値と、境界T2における確率密度値との比である。
【0068】
確率密度関数PD2は、正規分布またはガウス分布に依拠することができる。これは、以下の式t-D2=1/(S*sqrt(π)*2)*exp(-1/2*((t-T3)/S)^2によって表現可能である。t-D2は、時間幅値dtvに関する可能な値tの関数としての確率密度であると見なすことができる。T3は、分布の平均値または期待値である。Sは、分布の幅または標準偏差である。
【0069】
確率分布関数PD1,PD2を用いて、特定の時間幅値に関するp1またはp2のような確率値を修正することができる。このことはつまり、適切な確率関数PD1またはPD2によって所定の境界条件を実現することができるということを意味する。これにより、新しい修正された第1の分布関数DF1および第2の分布関数DF2がもたらされるであろう。関数DF1と関数PD1とは、好ましくは独立しておらず、これらは互いに関連している。例えば、第1の確率関数PD1によれば、時間幅値dtvに関する確率は、時間幅値がT2より大きい場合およびT1より小さい場合にはゼロである。したがって、全ての時間幅値dtvは、T1とT2との間にある。この区間の外側の時間幅値dtvに関する確率は、ゼロである。
【0070】
第2の確率分布関数PD2は、値T3を中心とした極大値を示す。これは、第2の分布関数DF2の形状に適切に影響を与えている。このことはつまり、分布関数DF1およびDF2が、好ましくは確率分布関数PD1およびPD2の結果であるということを意味する。特に、分布関数DF1は、確率分布関数PD1の時間にわたる積分の逆関数である。同じことがDF2およびPD2にも当てはまる。
【0071】
照明装置200または放電ランプ100を動作させるために使用される制御電圧Uによって、電極先端部105のステータスを推定または決定することができる。第1の閾値U1を上回っている制御電圧Uは、第1の分布関数DF1を印加すべきであるということを示し、その一方で、第1の閾値U1を下回っている制御電圧は、放電ランプ電圧100の動作のために第2の分布関数DF2を印加すべきであるということを示す。
【0072】
図5は、複数の異なる時間幅dtおよび時間幅値dtvによる電流信号wを示す。
図5の電流信号wは、第1の分布関数DF1と、それに応じて確率密度関数PD1とに基づいている。第1の確率分布PD1は、時間幅値dtvの分布に影響を与える。
【0073】
図5には、時間幅の複数の異なる値がdt-1、dt、およびdt+1によって表現されている。dt-1は、dtに先行する時間幅であり、その一方で、dt+1は、dtに後続する時間幅である。
図5の場合には、時間幅dtの持続時間は、第1の分布関数DF1から結果として生じる時間幅値dtvによるT1とT2との間である。第1の確率分布関数PD1によって、第1の分布関数DF1を適合させることができるか、または第1の分布関数DF1に影響を与えることができる。同じことがDF2およびPD2に関して当てはまってよい。この第1の確率分布PD1は、分布成形ユニット18における時間幅値dtvの生成に影響を与える。例えば、制御ユニット115は、時間幅値dtvの決定に影響を与えるために、第1の確率分布PD1を適用することができる。
【0074】
例えば、第1の確率分布PD1を、特定の状況に関連させることができる。例えば、制御ユニット115は、ランプ電圧値が閾値を上回っているかまたは下回っているかに応じて第1の確率分布PD1を選定する。制御ユニット115が第2の確率分布PD2を選択することも可能である。この場合、計算された時間幅値dtvの分布は、第2の確率分布PD2によって表される正規分布に従うことができる。乱数生成器17は、一様に分布された乱数riを提供するが、第1の確率分布PD1または第2の確率分布PD2によって時間幅値dtvの分布に影響を与えることができる。
【0075】
制御ユニット115が、追加的な別個の乱数riを用いて複数の確率分布のうちの1つを選択することも可能である。
図5の場合には、図示された2つの確率分布のうちの1つを第2の乱数によって選定することができる。この場合、それぞれの確率分布は、制御ユニット115によって選択されるべき50%の確率を有する。この場合、さらなるランダムな要因が、時間幅値dtvの計算または決定に影響を与える。
【0076】
計算された時間幅値dtvの結果として生じる分布は、確率分布を選択するための割り当てられた確率に応じた全ての確率分布の滑らかな混合物であってよい。このことはつまり、複数の確率分布のうち1つを選択するために、別の確率分布が所与または所定であってよいということを意味する。特に、確率分布を選択するための所定の確率分布を一様でないものとすることも可能である。選択のためのこのような確率分布の合計は、好ましくは1である。なぜなら、放電ランプ100を動作させるために、確率分布の選択が必要とされ得るからである。確率分布のこのような選択の一例は、
図4に示されている第1の確率分布PD1と第2の確率分布PD2との間での上述した選択である。ランプ電圧Uに依存して、時間幅値dtvを決定するために第1の確率分布または第2の確率分布PD2を選定または選択することができる。選択のプロセスを、それぞれの時間幅dt毎に実施することが可能である。
【0077】
図6には、第1の確率分布PD1と第2の確率分布PD2との重ね合わせの結果である第3の確率分布PD3の一例が示されている。この重ね合わせは、線形重ね合わせであってよい。
図6の例では、第3の確率分布PD3を計算するために混合係数bfが計算される。混合係数bfの計算は、好ましくはランプ電圧Uに依存している。この場合、第1の閾値U1および第2の閾値U2は、混合係数bfの計算に関連している。混合係数bfは、2つの可変の確率係数p1およびp2に依存している。第1の確率係数p1は、第1の確率分布PD1に関する確率を表す。第2の確率係数p2は、第2の確率分布PD2に関する確率を表す。第1の確率係数p1および第2の確率係数p2は、ランプ電圧Uに依存している。
【0078】
ランプ電圧Uが第1の閾値U1を下回っている場合には、第1の確率係数p1は1であり、第2の確率係数p2は0である。ランプ電圧Uがランプ電圧に関する第2の閾値U2よりも大きい場合には、第2の確率係数p2は1であり、第1の確率係数p1は0である。混合係数bfは、ランプ電圧Uに関する第1の閾値U1と第2の閾値U2との間で、第1の確率係数p1と第2の確率係数p2との線形重ね合わせによって生成される。第3の閾値U3では、第1の確率係数と第2の確率係数とが等しくなっている。第1の確率係数p1は、以下の式1
p1=1-[U-1]/[U2-U1];式1
に従って定義される。
【0079】
第2の確率係数p2は、以下の式2
p2=[U-U1]/[U2-U1];式2
によって表現可能である。
【0080】
第1の確率分布と第2の確率分布との非線形重ね合わせを使用することも可能である。
図6には、電圧Uに関する第3の閾値U3の値を上回っている、重ね合わせられた第3の確率分布PD3が示されている。PD3は、PD1とPD2との混合物であることが見て取れる。
図6の例によれば、重ね合わせの程度は、放電ランプ100のランプ電圧Uに依存している。第3の分布PD3をもたらす重ね合わせのための第1の確率分布PD1と第2の確率分布PD2との比は、式1および2によって計算可能である。第3の分布PD3は、第1の確率分布PD1と第2の確率分布PD2との重ね合わせを表すことができる。
【0081】
本発明のさらなる変形例または実施形態が、
図7および
図8によって示されている。この場合、ランダム化された電流信号wを生成するために、セグメントパターンまたは構成ブロックDFBを使用することができる。
図8には、出力電流Aが示されており、この出力電流Aは、
図7による構成ブロックDFBによって生成されている。
図7の構成ブロックDFBは、長さが等しくて相対する極性を有する2つのセグメントまたは部分から成る。構成ブロックDFBは、所与の編成または規則に従うことができる。
図7の場合、この規則は、時間幅dtの中央において極性を変化させることであろう。規則または編成はさらに、ランプ電圧Uのようなパラメータと、放電ランプ100の他のランプパラメータ120とに依存することができる。
【0082】
複数の構成ブロックDFBを設けることが可能であり、複数の異なる構成ブロックDFBをランダムに組み合わせることによって電流信号wをランダムに決定することが可能であってよい。この場合、電流信号wへのさらなるランダムな入力が可能となる。複数の異なる構成ブロックDFBの適用は、複数の時間幅値dtvを分布関数DFに依存して決定することの特殊な一形態であると見なすことができる。分布関数DFを、対応する構成ブロックDFBによって表すことができる。1つまたは複数の乱数riによって、複数の構成ブロックDFBから特定の構成ブロックDFBを選定または選択することができる。複数の異なる構成ブロックDFBを、複数の異なる環境パラメータまたは物理的ランプパラメータ120に割り当てることが可能である。制御ユニット115は、境界条件に依存して、かつ/または少なくとも1つの乱数riによって、複数の構成ブロックから1つまたは複数の構成ブロックを選択することができる。好ましくは、構成ブロックDFBは、極性スイッチを含み、これにより、複数の時間幅値dtvを、分布関数DFとしての構成ブロックDFBに依存して決定することができる。構成ブロックDFBから導出された電流信号wに従って制御ユニット115が電流フローAを実施すると、電流信号wの転流または電流フローAが出現する。
【0083】
全ての構成ブロックDFBまたはそれぞれの構成ブロックDFBの合計持続時間を、規定の分布関数DFに従ってランダムに決定することができる。さらなる変形例は、所与の構成ブロックDFBのプールからパターンまたは構成ブロックDFBをランダムに選定することによって導入可能である。
【0084】
総括すると、これらの方法により、電流フローAまたは電流信号wのランダム性を生成することができ、イメージセンサとの干渉を平滑化することを支援することができる。例えばインダクタにおける電流フローAに関連する音響ノイズを、大きなスペクトル幅にわたらせることができ、それにより、特異周波数で放出されるノイズよりも知覚されにくくなる。分布関数DF、または構成ブロックDFBのような関連する関数を使用することにより、時間幅dtの持続時間を指定することが可能になる。これにより、単純な周波数変調または時間多重化を使用した場合よりも優れた制御レベルが可能となる。それと同時に、転流パターンのランダムな性質は、電流スペクトルにおける周波数ピークの出現を回避するために役立つ。このことは、イメージングセンサを使用して生成された記録における可視の干渉を低減するために役立つことができる。なぜなら、アーチファクトが典型的にヘテロダインビートに従ってパターン化されるような従来技術の実施形態とは対照的に、あらゆる残存するアーチファクトがランダムにパターン化されるからである。また、例えばインダクタを通る電流フローAによって引き起こされる、ランプ電流フローAに関連する如何なる音響ノイズも、大きな周波数範囲にわたることとなり、したがって、可聴性が著しく低くなる。このことは、放電ランプ100をより効率的に動作させるため、かつ放電ランプ100の発光の品質および放電ランプ100の寿命を向上させるために役立つことができる。
【0085】
概して、本発明は、ランダムな影響によって生成されたまたは組み立てられた電流信号wを使用する放電ランプ100を用いる方法および照明装置200を提供する。分布関数DFを乱数と一緒に組み合わせることによってランダムな影響が保証される。乱数riを用いて、電流信号wに関連する値が決定される。この計算は乱数riに依存しているので、ランダム性の特定の程度を維持することができる。それでもなお、分布関数DFは、境界条件を含むことができ、これにより、決定論的な制御とランダム性との間の良好なバランスを達成することができる。このことは、品質および/または寿命に関してより良好な放電ランプ動作を支援するために役立つことができる。
【符号の説明】
【0086】
200 照明装置
100 放電ランプ
110 発光管
105 電極先端部
10 DC/DCコンバータ
11 電流検出器
12 電圧検出器
13 極性スイッチ
14 点火装置
115 制御ユニット
17 乱数生成器
18 分布成形ユニット
19 タイマユニット
125 動作ユニット
120 環境パラメータ
100 放電ランプ
dt 時間幅
dtv 時間幅値
T1,T2,T3 第1、第2、第3の時間値
DF1,DF2 第1、第2の分布関数
DF 分布関数
ri 乱数
A 電流、電流フロー
w 電流信号
PD1,PD2 第1の確率分布、第2の確率分布
dt 時間幅、時間区間
min,max 最小値および最大値
DFB 構成ブロック、パターン
U 電圧
bf 混合係数
p1,p2 第1および第2の確率係数/値
U1,U2,U3 電圧に関する第1、第2、および第3の閾値
【手続補正書】
【提出日】2022-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを実施することによって電流信号(w)を適合させることにより、放電ランプ(100)を動作させるための方法であって、
前記ステップは、すなわち、
-(a)複数の異なる時間幅(dt)を定義する複数の時間幅値(dtv)を収集するために、分布関数(DF)を定義および/または提供するステップ、
-(b)前記分布関数(DF)に依存して、1つまたは複数の乱数(ri)によって、前記複数の時間幅値(dtv)を決定するステップ、
-(c)前記複数の時間幅(dt)の各々の満了に応じたそれぞれの時点において、前記電流信号(w)を転流させるステップ
である、方法。
【請求項2】
前記複数の時間幅(dt)は、直接的に隣接して配置されている、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
複数の分布関数(DF)が使用され、
それぞれの時間幅値(dtv)に対して、前記複数の分布関数(DF)のうちの1つがさらなる乱数(ri)に従って選択される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記ステップa)、前記ステップb)、および/または前記ステップc)が繰り返し実施される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記分布関数(DF)は、1つまたは複数の放電ランプパラメータ、特に、ランプ電圧(U)、前記放電ランプ(100)の電力レベル、前記放電ランプ(100)の位置および向き、前記放電ランプ(100)を通る電流フロー(A)、一対の電極先端部(105)の摩損の程度、および/または相対する極性の時間幅(dt)の電圧比に依存して定義される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
前記分布関数(DF)は、前記放電ランプ(100)のパラメータおよび/または前記放電ランプ(100)の前記一対の電極のパラメータを記述する1つまたは複数の測定された量に基づいて動的に定義される、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記分布関数(DF)を定義することは、平均ランプ電圧(U)の動的挙動、それぞれの時間幅中の前記ランプ電圧の動的挙動、および/または前記放電ランプ(100)を通る前記電流フロー(A)の動的挙動に基づいている、
請求項5記載の方法。
【請求項8】
複数の分布関数(DF)が供給され、
前記時間幅値(dtv)を決定するための前記分布関数(DF)は、放電ランプ電圧(U)に関する閾値に基づいて選択される、
請求項5記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2つの異なる確率関数(PD1,PD2)が供給され、
前記時間幅値(dtv)を決定するための前記分布関数(DF)は、前記少なくとも2つの異なる確率関数(PD1,PD2)の重ね合わせであり、
前記重ね合わせは、前記ランプ電圧(U)に依存している、
請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記分布関数(DF)は、前記放電ランプ電圧(U)の特性図によって定義され、
特に、前記分布関数(DF)は、前記放電ランプ電圧(U)の閾値(U1,U2)に依存している、
請求項5記載の方法。
【請求項11】
それぞれ異なる種類の放電ランプに対して、かつ/またはそれぞれ異なるグループの放電ランプ(100)に対して、別個の分布関数(DF)が定義される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項12】
前記分布関数(DF)は、境界条件を含む、
請求項1または2記載の方法。
【請求項13】
対応する所定の時間幅値に関する確率値が、前記境界条件によって定義されるか、または対応する所定の複数の時間幅値(dtv)に関する複数の確率値が、前記境界条件によって定義され、
特に、前記複数の時間幅値(dtv)の確率は、互いの比によって定義される、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記境界条件によって最大値および最小値が定義される、
請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記分布関数(DF)は、所定の関数と、または複数の所定の関数のうちの1つと重ね合わせられ、
前記複数の所定の関数のうちの少なくとも1つは、前記時間幅値(dtv)を決定するために少なくとも1つの乱数(ri)によって選択される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項16】
前記放電ランプ(100)の寿命に基づいて分布関数(DF)が定義される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項17】
前記電流信号(w)は、波形信号、方形波信号、または波形信号と方形波信号との混合物である、
請求項1または2記載の方法。
【請求項18】
前記分布関数(DF)は、一様分布、正規分布、指数分布、冪乗則分布、および/またはオーバーレイされた正規分布として定義される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項19】
照明装置(200)であって、
当該照明装置(200)は、
・一対の電極(105)を備えた発光管(110)を有する放電ランプ(100)と、
・前記放電ランプ(100)に電流信号(w)を供給するためのバラストユニット(125)と、
・制御ユニット(115)と
を含み、前記制御ユニット(115)は、
・複数の異なる時間幅(dt)を定義する複数の時間幅値(dtv)を収集するために、分布関数(DF)を定義および/または提供し、
・前記分布関数(DF)に依存して、1つまたは複数の乱数(ri)によって、前記複数の時間幅値(dtv)を決定し、
・前記複数の時間幅(dt)の各々の満了に応じたそれぞれの時点において、前記電流信号(w)を転流させる
ように構成されている、照明装置(200)。
【外国語明細書】