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  • 特開-加熱可能な鍋付き調理器具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036014
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】加熱可能な鍋付き調理器具
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/04 20060101AFI20230306BHJP
   A47J 27/05 20060101ALI20230306BHJP
   A47J 27/16 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
A47J27/04 C
A47J27/05
A47J27/16 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022136812
(22)【出願日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】10 2021 122 522.1
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】516249539
【氏名又は名称】ラチオナール・アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】RATIONAL AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】SIEGFRIED-MEISTER-STRASSE 1, 86899 LANDSBERG AM LECH, GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフガング・シュミットベルガー
【テーマコード(参考)】
4B054
4B055
【Fターム(参考)】
4B054AA07
4B054BA03
4B054CA01
4B055AA23
4B055BA34
4B055CA73
4B055CB08
4B055DB12
(57)【要約】
【課題】複数の容器における食材を同時に調理することを可能にし、この際に加熱された水蒸気の著しい割合が失われることなく各容器の取り外しまたは挿入を可能にする調理器具を提供する。
【解決手段】本発明は、水蒸気を生成するために水を充填することが可能な加熱可能な鍋(20)と、当該鍋内に密閉空間を画定するように当該鍋を閉じることが可能な鍋蓋と、当該鍋(20)内において水位より上方に配置された、少なくとも一つの貫通開口(32)が設けられた付属板(30)と、を有する調理器具に関し、当該付属板(30)は当該鍋(20)と非破壊嵌脱式に結合され、当該付属板(30)は生成された水蒸気が主に当該貫通開口(32)を通って流れ得るように配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気を生成するために水を充填することが可能な加熱可能な鍋(20)と、前記鍋内に密閉空間を画定するように前記鍋を閉じることが可能な鍋蓋と、前記鍋(20)内において水位より上方に配置された、少なくとも一つの貫通開口(32)が設けられた付属板(30)と、を有する調理器具であって、
前記付属板(30)は前記鍋(20)と非破壊嵌脱式に結合され、前記付属板(30)は生成された水蒸気が主に前記貫通開口(32)を通って流れ得るように配置されている調理器具。
【請求項2】
複数のアダプタ要素(34)が設けられ、前記アダプタ要素を用いて前記貫通開口(32)の直径を変更することが可能であることを特徴とする、請求項1に記載の調理器具。
【請求項3】
蓋(36)が設けられ、当該蓋を用いて前記貫通開口(32)が閉止可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の調理器具。
【請求項4】
前記貫通開口(32)には、食材の蒸気調理のための容器(40)が関連付けられることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の調理器具。
【請求項5】
前記容器(40)は、前記貫通開口(32)から流出する水蒸気が前記容器(40)の前記貫通開口(32)に対向する面(42)に流入し、前記容器(40)の前記貫通開口(32)とは反対側の面(44)から流出可能であるように配置されることを特徴とする、請求項4に記載の調理器具。
【請求項6】
前記容器(40)は、水蒸気が流通する各面(42、44)において複数の容器(40)が互いに積み重ね可能であるように形成されていることを特徴とする、請求項4または5に記載の調理器具。
【請求項7】
少なくとも一つの仕切り板(50)が設けられ、前記仕切り板を用いて前記鍋(20)と前記付属板(30)とによって画定される空間が複数の部分空間(52、54)に分割可能であることを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載の調理器具。
【請求項8】
前記各部分空間(52,54)は、異なる各容積を有することを特徴とする、請求項7に記載の調理器具。
【請求項9】
水位センサ(60)が設けられ、当該水位センサは制御装置(62)と接続されており、当該鍋(20)の水流入(66)のための遮断弁(64)が設けられることによって必要に応じて水を補充することが可能であることを特徴とする、請求項7および8に記載の調理器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水蒸気を生成するために水を充填することが可能な加熱可能な鍋と、当該鍋内に密閉空間を画定するように当該鍋を閉じることが可能な鍋蓋と、当該鍋内において水位より上方に配置された付属板とを有する調理器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
当該調理器具は、特に食堂、レストランおよび大型飲食店において使用されるような業務用調理器具である。
【0003】
先行技術より加熱可能な鍋を有し、当該鍋内にて特にスープやソースなど液状の各食材が調理されるような各調理器具が公知である。さらにこのような鍋が蒸すあるいは蒸気調理するために使用される各解決方法も公知である。この際、当該鍋には水蒸気を生成するために水が充填され、一般には食材を容器に入れて水の上方における支持面上に位置づけされる。鍋蓋が閉じられると鍋と鍋蓋とが密閉空間を形成する。当該密閉空間内には加熱された蒸気が集まる。この際、当該食材は直接水と接触することがないように調理される。当該方法によって食材の貴重な成分を逃がすことなく優しい調理工程を得ることが可能である。
【0004】
この場合、当該鍋蓋を開けるたびに存在する水蒸気の大部分が失われ、当該鍋蓋が閉じられるとすぐに最初から生成される必要があるという欠点がある。その結果として容器を取り外すまたは挿入するたびに当該鍋内に存在するその他の食材の調理が中断される。これにより調理時間が長くなり、場合によっては食材の品質に悪影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、複数の容器における食材を同時に調理することを可能にし、この際に加熱された水蒸気の著しい割合が失われることなく各容器の取り外しまたは挿入を可能にする調理器具を提供することにある。さらに当該各容器は、当該調理器具に対して迅速且つ容易に取り外しまたは挿入可能であるべきである。さらに当該調理器具は、食材を当該加熱可能な鍋によって生成された水蒸気によって調理することに限定されるのではなく、さらには例えばソースやスープを当該鍋内において加熱するのに使用することも可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
当該課題を解消するために本発明においては水蒸気を生成するために水を充填することが可能な加熱可能な鍋と、当該鍋内に密閉空間を画定するように当該鍋を閉じることが可能な鍋蓋と、当該鍋内において水位より上方に配置された、少なくとも一つの貫通開口が設けられた付属板と、を有する調理器具が設けられ、当該付属板は当該鍋と非破壊嵌脱式に結合され、当該付属板は生成された水蒸気が主に当該貫通開口を通って流れ得るように配置されている。これにより加熱された水蒸気がもっぱら集中的に当該貫通開口を通って流れ、当該貫通開口の上方に当該食材が配置されるため、この際に当該鍋蓋を閉じる必要なくして蒸気調理することを可能にする。さらに当該中間板を非破壊的に当該鍋から取り外すことが可能であるため、当該鍋をさらに多様に使用することが可能となる。
【0007】
複数のアダプタ要素が設けられ、当該アダプタ用を用いて当該貫通開口の直径を変更することが可能であることが有利である。この際、当該各アダプタ要素はリング状に構成されて当該貫通開口内に挿入されることが考えられ得る。これにより迅速且つ可変的な調整が可能となる。
【0008】
蓋が設けられ、当該蓋を用いて当該貫通開口が閉止可能であることが好ましい。これにより当該各貫通開口が食材の調理に必要とされない場合に当該各貫通開口から水蒸気が流出することを防止することが可能であるため、水蒸気の不要な損失を防止することが可能となる。
【0009】
当該貫通開口に対して食材を蒸気調理するための容器が関連付けられている。当該容器は、食材の取り扱いを容易にする。
【0010】
当該容器は、当該貫通開口から流出する水蒸気が当該容器の当該貫通開口に対向する面に流入し、当該容器の当該貫通開口とは反対側の面から流出可能であるように配置されることが有利である。これにより当該貫通開口から流出する水蒸気が当該容器内を案内され、水蒸気が当該容器の当該貫通開口とは反対側の当該面に到達するまで食材の周りを流れる。
【0011】
当該容器は、水蒸気が流通する各面において複数の容器が互いに積み重ね可能であるように形成され得る。これにより一つの貫通開口の上に食材の入った複数の容器を積み重ねて同時に調理することが可能となる。さらに複数の容器の食材が次々と水蒸気によって流通されて蒸気調理されるように当該貫通開口から流出する加熱された水蒸気をより有効に利用することが可能である。さらにこの際に過度な水蒸気を失うことなく当該各容器を容易且つ迅速に取り外しまたは挿入することが可能である。
【0012】
少なくとも一つの仕切り板が設けられ、当該仕切り板を用いて当該鍋と当該付属板とによって画定される空間が複数の部分空間に分割可能であることが有利である。
【0013】
当該各部分空間は、異なる各容積を有することが可能である。異なる各容積の結果、当該各部分空間の利用可能な鍋床面積も同様に異なる大きさを有することになる。これにより当該各部分空間に異なる各熱出力が導入されることにより異なる量の水蒸気を得ることも可能となる。よって一つの鍋を用いて異なる各出力を準備し、食材に応じて使用することが可能となる。
【0014】
水位センサが設けられ、当該水位センサは制御装置と接続され、当該鍋の水流入のための遮断弁が設けられることによって必要に応じて水を補充することが可能であることが有利である。これによって取り扱いが容易となり、当該鍋に対して水を自動的に充填することが可能となる。
【0015】
以下、添付されている各図面において図示される、異なる各実施形態例を参照しつつ本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】調理器具の斜視図である。
図2図1における平面II-IIに沿った断面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1および図2において調理器具10が概略的に図示されている。
【0018】
当該調理器具10は、加熱可能な鍋20を有する。当該鍋は、蓋によって閉じることが可能である。当該蓋は、見やすさのため図面では図示されていない。
【0019】
さらに付属板30が設けられている。当該付属板は当該鍋内において配置されるよう設けられている。
【0020】
当該加熱可能な鍋20には、稼働時に水が充填され、水は水蒸気を生成するために加熱される。必要な熱は、当該鍋の底に配置された各加熱要素によって供給され得る。
【0021】
当該付属板30は、当該鍋20内において水位より上方に取り外し可能に固定されており、非破壊的に当該鍋20から取り外すことが可能である。当該付属板30には各貫通開口32が設けられており、当該各貫通開口から生成された水蒸気の大部分が流出する。この際、当該付属板30の各縁における水蒸気の損失が軽微または皆無であることを確証するために、当該付属板30と当該鍋20との間の移行部がシール要素によって密閉されることが考えられる。
【0022】
当該各貫通開口32には、当該貫通開口32内に挿入されて当該貫通開口32の直径を可変にするために、各アダプタ要素34を関連付けることが可能である。
【0023】
当該各アダプタ要素34は、リング状に構成されている。当該貫通開口32を拡大または縮小するために異なる寸法を有する複数のリング状の各アダプタ要素34を互いの中に挿入することも考えられる。
【0024】
さらに当該各貫通開口32から流出する水蒸気が必要とされない場合、不要な水蒸気損失を防止するために当該各貫通開口32が各蓋36によって閉じられることも可能である。
【0025】
さらに当該貫通開口32に対して食材の蒸気調理に使用される複数の容器40が関連付けられる。
【0026】
当該各容器40は、円柱状の構造を有し、当該貫通開口32上に配置され、当該貫通開口32から流出する加熱された水蒸気によって流通される。この際、水蒸気は当該容器40の当該貫通開口32に対向する面42に流入し、当該容器40の当該貫通開口32とは反対側の面44から流出する。
【0027】
各面42および44は、水蒸気の流通を可能にするために網状、フィルタ状または格子状あるいは有孔板の形に構成されている。この際、食材は当該容器40内において当該面42上に積載される。この場合、当該容器40から食材を取り出すことを可能にするために当該面44は取り外し可能な蓋として形成されなければならない。別法として当該面44を開放して構成することによって当該容器40がボウル状の形状を有するようにすることも可能である。
【0028】
さらに複数の容器40を積み重ねることも可能である。そのために当該各容器40は当該面42において窪み46を有する。当該窪みは、複数の容器40を積み重ねた場合に当該窪み46が半径方向への相補係合連結を生じさせるように構成されている。
【0029】
この際、当該貫通開口32から流出する水蒸気は積み重ねられた各容器40を最上の容器40の当該面44に到達するまで次々に流通する。当該各容器40の外側面は閉じられており、当該容器40を通って水蒸気を案内する。選択的に当該最上の容器40に付加的に蒸気透過性の蓋48を設けて迅速すぎる蒸気の流出を防止することが可能である。
【0030】
これにより当該各容器40は当該窪み46によって容易で迅速且つ確実に積み重ねられ得る。複数の容器40の間に配置された容器40を取り外す場合も所望する容器40を取り外すために上方の各容器40のみを持ち上げるだけでいいため、問題はない。この際、調理工程はごくわずかな短時間に亘って中断される。
【0031】
一実施形態例によると当該鍋20に付加的に仕切り板50を配置することが可能である。この際、当該仕切り板50は当該鍋20と当該付属板30とによって画定される空間を各部分空間52および54に分割する。
【0032】
当該各部分空間52および54は異なる各容積を有するため、その結果、それぞれの当該部分空間52および54の各床面積が異なる大きさを有する。これにより当該各部分空間52および54内に当該加熱可能な鍋20を介して異なる熱量が導入されるため、その結果、この配置では当該部分空間54における生成された水蒸気の量が当該部分空間52の水蒸気の量を上回る。
【0033】
別の実施形態例によると当該調理器具10は、当該鍋20内の水位を測定する水位センサ60を備える。当該水位センサ60は、制御装置62と接続され、当該制御装置は当該鍋20の水流入66のための遮断弁64を制御することで水位に応じて水を補充することが可能である。当該仕切り板50を使用する場合、当該仕切り板は水位より下方において小さな各開口を有することで当該各部分空間52および54との間で常に水位を均等にすることが可能である。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気を生成するために水を充填することが可能な加熱可能な鍋(20)と、前記鍋内に密閉空間を画定するように前記鍋を閉じることが可能な鍋蓋と、前記鍋(20)内において水位より上方に配置された、少なくとも一つの貫通開口(32)が設けられた付属板(30)と、を有する調理器具であって、
前記付属板(30)は前記鍋(20)と非破壊嵌脱式に結合され、前記付属板(30)は生成された水蒸気が主に前記貫通開口(32)を通って流れ得るように配置されている調理器具。
【請求項2】
複数のアダプタ要素(34)が設けられ、前記アダプタ要素を用いて前記貫通開口(32)の直径を変更することが可能であることを特徴とする、請求項1に記載の調理器具。
【請求項3】
蓋(36)が設けられ、当該蓋を用いて前記貫通開口(32)が閉止可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の調理器具。
【請求項4】
前記貫通開口(32)には、食材の蒸気調理のための容器(40)が関連付けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の調理器具。
【請求項5】
前記容器(40)は、前記貫通開口(32)から流出する水蒸気が前記容器(40)の前記貫通開口(32)に対向する面(42)に流入し、前記容器(40)の前記貫通開口(32)とは反対側の面(44)から流出可能であるように配置されることを特徴とする、請求項4に記載の調理器具。
【請求項6】
前記容器(40)は、水蒸気が流通する各面(42、44)において複数の容器(40)が互いに積み重ね可能であるように形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の調理器具。
【請求項7】
少なくとも一つの仕切り板(50)が設けられ、前記仕切り板を用いて前記鍋(20)と前記付属板(30)とによって画定される空間が複数の部分空間(52、54)に分割可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の調理器具。
【請求項8】
前記各部分空間(52,54)は、異なる各容積を有することを特徴とする、請求項7に記載の調理器具。
【請求項9】
水位センサ(60)が設けられ、当該水位センサは制御装置(62)と接続されており、当該鍋(20)の水流入(66)のための遮断弁(64)が設けられることによって必要に応じて水を補充することが可能であることを特徴とする、請求項7に記載の調理器具。
【外国語明細書】