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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003603
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20230110BHJP
【FI】
G06Q40/00 410
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104774
(22)【出願日】2021-06-24
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】513056101
【氏名又は名称】フリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高木 悟
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 知佳
(72)【発明者】
【氏名】柿本 輔
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】簡便な手法により、法人税についての仕訳データの会計システムへの登録、及び税務申告書への反映を自動で行うことで、処理漏れを防ぐことができる税務申告システムを提供する。
【解決手段】プロセッサとメモリとを備えるコンピュータに実行させ、税務申告サービスを提供するためのプログラムが提供される。メモリには、ユーザの法人に係る会計データが記憶される。プログラムは、プロセッサに、ユーザから、税務申告書の作成のための操作入力を受け付けるステップと、会計データに基づいて、ユーザの操作に応じた税務申告書を作成するステップと、確定した支払税額を、未決済取引金額として会計データに登録するステップと、登録された未決済取引金額を、税務申告書に反映するステップと、を実行させる、プログラムが提供される。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させ、税務申告サービスを提供するためのプログラムであって、
前記メモリには、ユーザの法人に係る会計データが記憶されており、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記ユーザから、税務申告書の作成のための操作入力を受け付けるステップと、
前記会計データに基づいて、前記ユーザの操作に応じた税務申告書を作成するステップと、
確定した支払税額を、未決済取引金額として前記会計データに登録するステップと、
前記登録された未決済取引金額を、前記税務申告書に反映するステップと、を実行させる、プログラム。
【請求項2】
前記プログラムは、前記プロセッサに、
確定した支払税額を前記会計データに登録するステップにおいて、
前記未決済取引金額を、前記会計データにおける所定の仕訳データとして登録する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記税務申告書に反映するステップにおいて、
前記登録された未決済取引金額を、前記税務申告書の納税充当金に記載することで反映する、請求項1または請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記税務申告書を作成するステップにおいて、前記ユーザの法人の状況としてあらかじめ登録されている属性情報に基づき、対応する種類の前記税務申告書を作成する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記ユーザの法人に係る会計データを、外部の会計サービスを提供するサーバから取得するステップと、
前記未決済取引金額を、外部の会計サービスにおける前記ユーザの法人に係る会計データに登録させるステップと、を実行させる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
制御部と記憶部を備え、税務申告サービスを提供する情報処理装置であって、
前記制御部は、
前記ユーザの会計データを取得して、前記記憶部に記憶させるステップと、
前記ユーザから、税務申告書の作成のための操作入力を受け付けるステップと、
前記会計データに基づいて、前記ユーザの操作に応じた税務申告書を作成するステップと、
確定した支払税額を、未決済取引金額として前記会計データに登録するステップと、
前記登録された未決済取引金額を、前記税務申告書に反映するステップと、を実行する、情報処理装置。
【請求項7】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータにより実行され、税務申告サービスを提供するための方法であって、
前記方法は、前記プロセッサが、
前記ユーザの会計データを取得して、前記メモリに記憶させるステップと、
前記ユーザから、税務申告書の作成のための操作入力を受け付けるステップと、
前記会計データに基づいて、前記ユーザの操作に応じた税務申告書を作成するステップと、
確定した支払税額を、未決済取引金額として前記会計データに登録するステップと、
前記登録された未決済取引金額を、前記税務申告書に反映するステップと、を実行する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、情報処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業における税務申告に必要な手続きを提供する税務申告サービスが、コンピュータソフトウェアとして、またはクラウドサーバ等によるWebサービスとして、いわゆるSaaS(Software as a Service)として提供されている。税務申告サービスでは、法人税申告書の作成が行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、単体納税制度に基づく税額計算と、連結納税制度に基づく税額計算との両方を行う機能を備える税効果会計装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-087341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、法人税の税額が確定すると、当該税額についても仕訳データとして会計システムに入力する必要がある。また、当該納税額を、納税充当金として納税申告書に反映させる必要があり、手間がかかっていた。
【0006】
そこで、本開示では、簡便な手法により、法人税についての仕訳データの会計システムへの登録、及び税務申告書への反映を自動で行うことで、処理漏れを防ぐことができる技術について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態によると、プロセッサとメモリとを備えるコンピュータに実行させ、税務申告サービスを提供するためのプログラムが提供される。メモリには、ユーザの法人に係る会計データが記憶される。プログラムは、プロセッサに、ユーザから、税務申告書の作成のための操作入力を受け付けるステップと、会計データに基づいて、ユーザの操作に応じた税務申告書を作成するステップと、確定した支払税額を、未決済取引金額として会計データに登録するステップと、登録された未決済取引金額を、税務申告書に反映するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、法人税についての仕訳データの登録、及び税務申告書への反映が自動で行われることとなり、処理漏れを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】税務申告システム1の全体の構成を示す図である。
図2】実施の形態の税務申告システム1を構成する端末装置10の機能的な構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態の税務申告システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。
図4】サーバ20が記憶する会計データベース2021のデータ構造の例を示す図である。
図5】実施の形態の税務申告システム1による申告書作成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】端末装置10に表示する法人税額の登録を促す画面例を示す図である。
図7】端末装置10に表示する納税申告書への反映を促す画面例を示す図である。
図8】納税充当金が反映された納税申告書の一例を示す図である。
図9】納税充当金が反映された納税申告書の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<概要>
以下、本開示に係る税務申告システムについて説明する。本税務申告システムは、ユーザである企業が税務処理として法人税などの税務申告書を作成する処理を行う。企業は、会計処理として、仕入、売上、借入のような入出金の取引を管理し、取引を帳簿(仕訳帳、総勘定元帳)に記録(記帳)し、所定の決算期に決算処理として試算表を作成し、財務諸表である損益計算書や貸借対照表を作成している。また、税務処理を行うための決算書の作成も行われる。本開示に係る税務申告システムは、これらの会計処理で作成された会計データに基づいて税務申告書の作成を行う。また、本開示に係る税務申告システムは、例えばクラウドサーバ等によりWebサービスとして、いわゆるSaaS(Software as a Service)によって提供されるシステムであり、事業者であるユーザが所定の認証によりアクセス可能に構成されている。
【0012】
なお、会計データを作成する会計処理は、本開示に係る税務申告システムと連動して提供される会計サービスにより処理が行われてもよく、他の会計サービスを提供するWebサーバにより処理が行われてもよい。また、本開示に係る税務申告システムは、単一のWebサーバにより提供されてもよく、複数のWebサーバにより分散処理が行われてもよい。
【0013】
<実施の形態>
以下、税務申告システム1について説明する。以下の説明では、例えば、端末装置10がサーバ20へアクセスすることにより、サーバ20が、端末装置10で画面を生成するための情報を応答する。端末装置10は、サーバ20から受信した情報に基づいて画面を生成し表示する。
【0014】
<1 税務申告システム1の全体構成>
図1は、税務申告システム1の全体の構成を示す図である。図1に示すように、税務申告システム1は、複数の端末装置10と、サーバ20とを含む。端末装置10とサーバ20とは、ネットワーク70を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク70は、有線または無線ネットワークにより構成される。
【0015】
端末装置10は、各ユーザが操作する装置である。ここで、ユーザとは、端末装置10を使用して税務申告システム1の機能である税務申告書の作成を行う者であり、例えば会計サービスを利用する企業の経理部門等の担当者をいう。端末装置10は、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPC等により実現されてもよい。この他、端末装置10は、例えば移動体通信システムに対応したタブレットや、スマートフォン等の携帯端末であるとしてもよい。
【0016】
端末装置10は、ネットワーク70を介してサーバ20と通信可能に接続される。端末装置10は、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)等の通信規格に対応した無線基地局71、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11等の無線LAN(Local Area Network)規格に対応した無線LANルータ72等の通信機器と通信することにより、ネットワーク70に接続される。図1に端末装置10Bとして示すように、端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、記憶部16と、プロセッサ19とを備える。
【0017】
通信IF12は、端末装置10が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、キーボードや、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス等)である。出力装置14は、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)である。メモリ15は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。記憶部16は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0018】
サーバ20は、あらかじめ設定されている勘定科目等の会計データ、ユーザから受け付けた取引の記帳データ、及び貸借対照表の会計データを管理する装置である。サーバ20は、日々の取引の入力を受け付けて記帳を行う。
【0019】
サーバ20は、ネットワーク70に接続されたコンピュータである。サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。
【0020】
通信IF22は、サーバ20が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入出力IF23は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置、および、ユーザに対し情報を提示するための出力装置とのインタフェースとして機能する。メモリ25は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。ストレージ26は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ29は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0021】
<1.1 端末装置10の構成>
図2は、実施の形態における税務申告システム1を構成する端末装置10の機能的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、端末装置10は、複数のアンテナ(アンテナ11、アンテナ12)と、各アンテナに対応する無線通信部(第1無線通信部121、第2無線通信部122)と、操作受付部130(キーボード131およびディスプレイ132を含む)と、音声処理部140と、マイク141と、スピーカ142と、カメラ150と、記憶部160と、制御部170とを含む。端末装置10は、図2では特に図示していない機能及び構成(例えば、電力を保持するためのバッテリー、バッテリーから各回路への電力の供給を制御する電力供給回路等)も有している。図2に示すように、端末装置10に含まれる各ブロックは、バス等により電気的に接続される。
【0022】
アンテナ11は、端末装置10が発する信号を電波として放射する。また、アンテナ11は、空間から電波を受信して受信信号を第1無線通信部121へ与える。
【0023】
アンテナ12は、端末装置10が発する信号を電波として放射する。また、アンテナ12は、空間から電波を受信して受信信号を第2無線通信部122へ与える。
【0024】
第1無線通信部121は、端末装置10が他の無線機器と通信するため、アンテナ11を介して信号を送受信するための変復調処理等を行う。第2無線通信部122は、端末装置10が他の無線機器と通信するため、アンテナ12を介して信号を送受信するための変復調処理等を行う。第1無線通信部121と第2無線通信部122とは、チューナー、RSSI(Received Signal Strength Indicator)算出回路、CRC(Cyclic Redundancy Check)算出回路、高周波回路等を含む通信モジュールである。第1無線通信部121と第2無線通信部122とは、端末装置10が送受信する無線信号の変復調や周波数変換を行い、受信信号を制御部170へ与える。
【0025】
操作受付部130は、ユーザの入力操作を受け付けるための機構を有する。具体的には、操作受付部130は、キーボード131と、ディスプレイ132とを含む。なお、操作受付部130は、例えば静電容量方式のタッチパネルを用いることによって、タッチパネルに対するユーザの接触位置を検出する、タッチスクリーンとして構成してもよい。
【0026】
キーボード131は、端末装置10のユーザの入力操作を受け付ける。キーボード131は、文字入力を行う装置であり、入力された文字情報を入力信号として制御部170へ出力する。
【0027】
ディスプレイ132は、制御部170の制御に応じて、画像、動画、テキスト等のデータを表示する。ディスプレイ132は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイによって実現される。
【0028】
音声処理部140は、音声信号の変復調を行う。音声処理部140は、マイク141から与えられる信号を変調して、変調後の信号を制御部170へ与える。また、音声処理部140は、音声信号をスピーカ142へ与える。音声処理部140は、例えば音声処理用のプロセッサによって実現される。マイク141は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部140へ与える。スピーカ142は、音声処理部140から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を端末装置10の外部へ出力する。
【0029】
カメラ150は、受光素子により光を受光して、撮影画像として出力するためのデバイスである。カメラ150は、例えば、カメラ150から撮影対象までの距離を検出できる深度カメラである。
【0030】
記憶部160は、例えばフラッシュメモリ等により構成され、端末装置10が使用するデータおよびプログラムを記憶する。ある局面において、記憶部160は、ユーザ情報161と、会計書類画像データ162とを記憶する。
【0031】
ユーザ情報161は、端末装置10を使用して税務申告システム1の機能である税務申告書の作成を行うユーザの情報である。ユーザ情報としては、ユーザを識別する情報(ユーザID)、ユーザの名称、ユーザが所属している企業等の組織情報等が含まれる。
【0032】
制御部170は、記憶部160に記憶されるプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる命令を実行することにより、端末装置10の動作を制御する。制御部170は、例えば予め端末装置10にインストールされているアプリケーションである。制御部170は、プログラムに従って動作することにより、入力操作受付部171と、送受信部172と、データ処理部173と、通知制御部174としての機能を発揮する。
【0033】
入力操作受付部171は、キーボード131等の入力装置に対するユーザの入力操作を受け付ける処理を行う。
【0034】
送受信部172は、端末装置10が、サーバ20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。
【0035】
データ処理部173は、端末装置10が入力を受け付けたデータに対し、プログラムに従って演算を行い、演算結果をメモリ等に出力する処理を行う。
【0036】
通知制御部174は、ユーザに対し情報を提示する処理を行う。通知制御部174は、表示画像をディスプレイ132に表示させる処理、音声をスピーカ142に出力させる処理、振動をカメラ150に発生させる処理等を行う。
【0037】
<1.2 サーバ20の機能的な構成>
図3は、実施の形態の税務申告システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。図3に示すように、サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。
【0038】
通信部201は、サーバ20が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0039】
記憶部202は、サーバ20が使用するデータ及びプログラムを記憶する。記憶部202は、会計データベース2021と、申告書データベース2022等を記憶する。
【0040】
会計データベース2021は、税務申告システム1において登録される日々の取引に関する会計データを保持するためのデータベースである。会計データベース2021に格納される会計データは、ユーザが税務申告システム1と連動して提供される会計サービスに入力した会計データ、または他の(外部の)会計サービスを提供するWebサーバから取得した会計データである。詳細は後述する。
【0041】
申告書データベース2022は、税務申告システム1において税務申告の処理を行う際に使用される、法人税などの税務申告書のフォーマットの情報を保持するためのデータベースである。申告書データベース2022に格納されるフォーマットは、税務申告書の帳票レイアウトの情報であり、例えば、固定で表示される文字列の情報、罫線等の情報、金額等が入力される入力項目の情報等が定義されている。このフォーマットは、法改正等により税務申告書のフォーマットが改定されるごとに更新される。
【0042】
制御部203は、サーバ20のプロセッサがプログラムに従って処理を行うことにより、各種モジュールとして受信制御モジュール2031、送信制御モジュール2032、申告書作成モジュール2033、仕訳登録モジュール2034、申告書反映モジュール2035の機能を発揮する。
【0043】
受信制御モジュール2031は、サーバ20が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0044】
送信制御モジュール2032は、サーバ20が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0045】
申告書作成モジュール2033は、ユーザが端末装置10を操作して法人税の税務申告書の作成のための操作指示を入力するので、その操作入力を受け付ける処理を制御する。また、申告書作成モジュール2033は、会計データベース2021の会計データに基づいて、ユーザの操作に応じた税務申告書を作成する処理を制御する。申告書作成モジュール2033が参照する会計データベース2021の会計データは、上記のように、ユーザが税務申告システム1と連動して提供される会計サービスに入力した会計データ、または他の(外部の)会計サービスを提供するWebサーバから取得した会計データである。
【0046】
このとき、申告書作成モジュール2033は、例えば、会計データベース2021の会計データを読み取り、主に取引データから算出される(仕訳ごとにそれぞれ金額が合算された)決算データの金額から、申告書データベース2022に格納されている税務申告書のフォーマットの各項目に入力することで、法人税の税務申告書を作成する。法人税の税務申告書は、多くの種類により構成され、各事業年度の所得に係る申告書である別表一、同族会社等の判定に係る明細書である別表二、のように、当該法人の状況に応じて申告すべき内容が異なり、これらの種類ごとのフォーマットが申告書データベース2022に格納されている。そのため、当該法人の状況を示す属性情報に応じた法人税の税務申告書を作成する。作成する税務申告書の種類は、ユーザの選択により入力されてもよく、ユーザの法人の情報としてあらかじめ登録されている属性情報に基づき、申告書作成モジュール2033が申告書データベース2022に格納されている税務申告書のフォーマットから選択してユーザに提示してもよい。
【0047】
仕訳登録モジュール2034は、申告書作成モジュール2033が作成した税務申告書において確定した法人税の支払税額を、未決済取引金額として仕訳データに登録する処理を制御する。仕訳登録モジュール2034は、ユーザが端末装置10を操作して支払税額を登録させる操作指示を受け付けることに伴い、または自動で、申告書作成モジュール2033の処理による法人税の支払税額を、会計データベース2021の会計データに登録する。
【0048】
このとき、仕訳登録モジュール2034は、確定した法人税の支払税額(未決済取引金額)を、会計データの仕訳における借方の項目として「法人税・住民税及び事業税額」、貸方の項目として「未払法人税等」として仕訳データを作成する。
【0049】
申告書反映モジュール2035は、仕訳登録モジュール2034が登録した法人税の支払税額(未決済取引金額)を、申告書作成モジュール2033で作成した税務申告書に反映する処理を制御する。具体的には、申告書反映モジュール2035は、例えば、法人税の支払税額を、後述する税務申告書の別表五(二)(「租税公課の納付状況等に関する明細書」)の項目「損金経理をした納税充当金」に記載することで反映する。
【0050】
<2 データ構造>
図4は、サーバ20が記憶する会計データベース2021のデータ構造の例を示す図である。
【0051】
図4に示すように、会計データベース2021のレコードのそれぞれは、項目「ユーザID」と、項目「ユーザ名」と、項目「業種」と、項目「仕訳記帳情報」等を含む。
【0052】
項目「ユーザID」は、税務申告システム1を利用するユーザそれぞれを識別する情報である。
【0053】
項目「ユーザ名」は、税務申告システム1を利用するユーザである事業者(法人)の名称、屋号等の情報である。
【0054】
項目「業種」は、税務申告システム1を利用するユーザである事業者の業種を示す情報であり、例えば図4に示すように「サービス」、「ソフト開発」等の名称が格納されている。
【0055】
項目「仕訳記帳情報」は、税務申告システム1を利用して取引の記帳を行った情報であり、具体的には、項目「日付」と、項目「勘定科目ID」と、項目「借方(金額)」と、項目「貸方(金額)」等を含む。
【0056】
項目「日付」は、税務申告システム1にて入力した取引の日付を示す情報である。
【0057】
項目「勘定科目ID」は、税務申告システム1にて入力した勘定科目それぞれを識別する情報である。この項目「勘定科目ID」は、帳簿上の摘要欄に記載される勘定科目に対応しており、例えば「現金」、「売掛金」、「買掛金」等の勘定科目の名称に対応している。
【0058】
項目「借方(金額)」は、税務申告システム1にて入力した取引の、帳簿上の借方に記載される金額である。
【0059】
項目「貸方(金額)」は、税務申告システム1にて入力した取引の、帳簿上の貸方に記載される金額である。
【0060】
サーバ20は、取引の入力を受け付けることに伴って、会計データベース2021に取引(仕訳)単位でレコード追加を行う。
【0061】
<3 動作>
以下、図5を参照しながら、実施の形態における税務申告システム1による税務申告書の作成処理について説明する。
【0062】
ステップS711において、端末装置10の入力操作受付部171は、ユーザから税務申告書作成のための操作を受け付ける。送受信部172は、受け付けた税務申告書作成のための操作指示情報をサーバ20へ送信する。
【0063】
ステップS721において、サーバ20の申告書作成モジュール2033は、端末装置10から送信された税務申告書作成のための操作指示情報を、通信部201を介して受け付ける。申告書作成モジュール2033は、端末装置10から入力された操作により、記憶部202の会計データベース2021のデータに基づいて、税務申告書を作成する。
【0064】
ステップS712において、端末装置10の入力操作受付部171は、ユーザから、確定した法人税の支払税額を、未決済取引金額として仕訳データに登録するための操作指示を受け付ける。送受信部172は、受け付けた仕訳データへの登録指示情報を、サーバ20へ送信する。なお、上記のように、仕訳登録モジュール2034が自動で法人税の支払税額を仕訳データに登録する場合、ステップS712の処理な行わなくてもよい。
【0065】
ステップS722において、サーバ20の仕訳登録モジュール2034は、端末装置10から送信された仕訳データへの登録指示情報を、通信部201を介して受け付ける。仕訳登録モジュール2034は、端末装置10から入力された操作により、ステップS721の処理により算出された法人税の支払税額を、会計データベース2021の仕訳データに登録する。
【0066】
ステップS723において、サーバ20の仕訳登録モジュール2034は、ステップS722の処理により登録された法人税の支払税額の仕訳データを、端末装置10へ通信部201を介して送信することで通知する。
【0067】
ステップS713において、端末装置10の送受信部172は、サーバ20から送信された、法人税の支払税額の仕訳データを受け付ける。端末装置10の通知制御部174は、端末装置10から通知された法人税の支払税額の仕訳データを表示する。
【0068】
ステップS714において、端末装置10の入力操作受付部171は、ユーザから、法人税の支払税額(未決済取引金額)を申告書へ反映するための操作指示を受け付ける。送受信部172は、受け付けた申告書へ反映するための操作指示情報を、サーバ20へ送信する。なお、申告書反映モジュール2035が自動で法人税の支払税額(未決済取引金額)を税務申告書に反映する場合、ステップS714の処理な行わなくてもよい。
【0069】
ステップS724において、サーバ20の申告書反映モジュール2035は、端末装置10から送信された申告書へ反映するための操作指示情報を、通信部201を介して受け付ける。申告書反映モジュール2035は、端末装置10から入力された操作により、ステップS722の処理により登録した法人税の支払税額を、所定の税務申告書に反映する。
【0070】
ステップS725において、サーバ20は、法人税の支払税額が反映された税務申告書のデータを、端末装置10へ通信部201を介して送信する。
【0071】
ステップS715において、端末装置10の送受信部172は、サーバ20から送信された、税務申告書のデータを受け付ける。端末装置10の通知制御部174は、端末装置10から通知された税務申告書のデータを表示する。
【0072】
<4 画面例>
以下、図6図9を参照しながら、税務申告システム1における税務申告書の作成処理の画面例について説明する。
【0073】
図6は、端末装置10に、税額調整に関するデータを表示するための税額調整画面80が表示された局面(ステップS712~ステップS713)を示す図である。
【0074】
図6に示すように、領域81には、ユーザの企業の納付税額が項目「当期に納付する金額」に70,000円と表示されている。領域82には、当該納付税額の内訳として、住民税(均等割)の金額70,000円が明細欄82aに表示されている。
【0075】
領域83には、法人税の仕訳結果が表示されている。具体的には、明細欄83aには、借方勘定科目としての「法人税等」に金額70,000円が計上されている。また、明細欄83bには、貸方勘定科目としての「未払法人税等」に金額70,000円が計上されている。このように、税額調整画面80には、法人税の仕訳結果が表示される。ユーザが登録ボタン84を押下すると、仕訳結果が会計データベース2021に登録される。
【0076】
図7は、端末装置10に、税額の登録完了を表示するための税額登録完了画面90が表示された局面を示す図である。
【0077】
図7に示すように、ユーザがリンクアイコン91を押下すると、会計データベース2021に登録されている税金の取引を確認するための画面が表示される。また、ユーザがボタン92を押下すると、決算データ(すなわち、仕訳データ)が税務申告書に反映される。さらに、ユーザがボタン93を押下すると、税額調整のやり直しを行うことができる。
【0078】
図8は、納税充当金が反映された納税申告書100の一例として、納税申告書の別表四(「所得の金額の計算に関する明細書」)を示す例である。明細欄101には、項目「当期利益又は当期欠損の額」に、最新の利益として-70,000円が計上されている。また、明細欄102には、項目「損金経理をした納税充当金」に、税額として70,000円が計上されている。
【0079】
図9は、納税充当金が反映された納税申告書110の一例として、納税申告書の別表五(二)(「租税公課の納付状況等に関する明細書」)を示す例である。明細欄111には、項目「損金経理をした納税充当金」に、70,000円が計上されている。また、明細欄112には、項目「期末納税充当金」に、70,000円が計上されている。
【0080】
<小括>
以上のように、本実施形態によると、プロセッサとメモリとを備えるコンピュータによって実装された税務申告システムが提供される。メモリには、ユーザの会計データが記憶されており、プロセッサは、ユーザから法人税の税務申告書の作成のための操作入力を受け付けるステップと、会計データに基づいて、税務申告書を作成するステップと、確定した法人税額を、未決済取引として仕訳データに登録するステップと、登録された仕訳データを、税務申告書に反映するステップと、を実行する。これにより、簡便な手法により、法人税についての仕訳データの会計システムへの登録、及び税務申告書への反映を自動で行うことで、処理漏れを防ぐことができる。
【0081】
<他の実施の形態>
以上、本発明における実施形態およびその変形例について説明したが、本開示の適用は上述の内容に限定されるものではない。
【0082】
例えば、上記実施形態では、税務申告システム1が備えるサーバ20の記憶部202に会計データが記憶されていたが、この形態に限定されるわけではない。例えば、税務申告システム1とは別の会計システム内に会計データが記憶されており、税務申告システム1が当該会計システムと連携することにより、会計データに基づいて(すなわち、記憶部202に会計データベース2021を備えずに)税務申告書を作成してもよい。
【0083】
また、端末装置10は、スマートフォンなどのディスプレイ132を有する端末であってもよいし、家庭用のPCなどにソフトウェアをインストールすることにより、端末装置10を実現し、マウスなどの操作を受け付けるようにしてもよい。
【0084】
また、通信回線を介した所定情報の共有は、主にインターネットなどのWANを介して行われるが、情報処理装置間では、WANを介さずにBluetooth(登録商標)等の近距離の無線通信、及び赤外線通信等のみを介して行われてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、各機能を端末装置10またはサーバ20が備える態様の一例について説明したが、この形態に限定されることはなく、一部の機能について上記実施形態と異なる態様で端末装置10、サーバ20、又は端末装置10とサーバ20の両方が備える構成としてもよい。
【0086】
また、上記実施形態において端末装置10に実行させるものとして記載されていた各ステップについても、サーバ20に実行させてもよい。
【0087】
さらに、本発明は、上述のプログラムを格納する、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現してもよい。
【0088】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【0089】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を、以下に付記する。
【0090】
(付記1)プロセッサとメモリとを備えるコンピュータ(10,20)に実行させ、税務申告サービスを提供するためのプログラムであって、メモリ(15,25)には、ユーザの法人に係る会計データが記憶されており、プログラムは、プロセッサに、ユーザから、税務申告書の作成のための操作入力を受け付けるステップ(S711)と、会計データに基づいて、ユーザの操作に応じた税務申告書を作成するステップ(S721)と、確定した支払税額を、未決済取引金額として会計データに登録するステップ(S722)と、登録された未決済取引金額を、税務申告書に反映するステップ(S724)と、を実行させる。
【0091】
(付記2)プロセッサに、確定した支払税額を会計データに登録するステップ(S722)において、未決済取引金額を、会計データにおける所定の仕訳データとして登録する、(付記1)に記載のプログラム。
【0092】
(付記3)プロセッサに、税務申告書に反映するステップ(S724)において、登録された未決済取引金額を、税務申告書の納税充当金に記載することで反映する、(付記1)または(付記2)に記載のプログラム。
【0093】
(付記4)プロセッサに、税務申告書を作成するステップ(S721)において、ユーザの法人の状況としてあらかじめ登録されている属性情報に基づき、対応する種類の税務申告書を作成する、(付記1)から(付記3)のいずれかに記載のプログラム。
【0094】
(付記5)プロセッサに、ユーザの法人に係る会計データを、外部の会計サービスを提供するサーバから取得するステップと、未決済取引金額を、外部の会計サービスにおけるユーザの法人に係る会計データに登録させるステップと、を実行させる、(付記1)から(付記4)のいずれかに記載のプログラム。
【0095】
(付記6)制御部と記憶部を備え、税務申告サービスを提供する情報処理装置であって、制御部は、ユーザの会計データを取得して、記憶部に記憶させるステップと、ユーザから、税務申告書の作成のための操作入力を受け付けるステップと、会計データに基づいて、ユーザの操作に応じた税務申告書を作成するステップと、確定した支払税額を、未決済取引金額として会計データに登録するステップと、登録された未決済取引金額を、税務申告書に反映するステップと、を実行する、情報処理装置。
【0096】
(付記7)プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータにより実行され、税務申告サービスを提供するための方法であって、方法は、プロセッサが、ユーザの会計データを取得して、メモリに記憶させるステップと、ユーザから、税務申告書の作成のための操作入力を受け付けるステップと、会計データに基づいて、ユーザの操作に応じた税務申告書を作成するステップと、確定した支払税額を、未決済取引金額として会計データに登録するステップと、登録された未決済取引金額を、税務申告書に反映するステップと、を実行する、方法。
【符号の説明】
【0097】
1 :税務申告システム,10:端末装置,11:アンテナ,12:アンテナ,13:入力装置,14:出力装置,15:メモリ,16:記憶部,19:プロセッサ,20:サーバ,25:メモリ,26:ストレージ,29:プロセッサ,70:ネットワーク,71:無線基地局,72:無線LANルータ,80:税額調整画面,90:税額登録完了画面,121 :第1無線通信部,122 :第2無線通信部,130 :操作受付部,131 :キーボード,132 :ディスプレイ,140 :音声処理部,141 :マイク,142 :スピーカ,150 :カメラ,160 :記憶部,161 :ユーザ情報,162 :会計書類画像データ,170 :制御部,171 :入力操作受付部,172 :送受信部,173 :データ処理部,174 :通知制御部,201 :通信部,202 :記憶部,203 :制御部,2021 :会計データベース,2022 :申告書データベース,2031 :受信制御モジュール,2032 :送信制御モジュール,2033 :申告書作成モジュール,2034 :仕訳登録モジュール,2035 :申告書反映モジュール。

図1
図2
図3
図4
図5
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図9