(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036052
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】セラミック製フィルターのコーヒー汚れ用洗浄剤
(51)【国際特許分類】
C11D 1/68 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
C11D1/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138014
(22)【出願日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2021141091
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521384692
【氏名又は名称】牛嶌 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】牛嶌 一彦
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AC03
4H003DA05
4H003DA17
4H003DB01
4H003DC02
4H003FA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】セラミック製フィルターのコーヒー由来の汚れである脂質や多糖類、タンパク質等の有機汚れを効率よく洗浄する洗浄剤および洗浄方法を提供する。
【解決手段】ポリソルベートからなる、セラミック製フィルターのコーヒー汚れ用洗浄剤。前記ポリソルベートがオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリソルベートからなる、セラミック製フィルターのコーヒー汚れ用洗浄剤。
【請求項2】
前記セラミック製フィルターが、セラミック製コーヒーフィルターである、請求項1に記載のコーヒー汚れ用洗浄剤。
【請求項3】
前記ポリソルベートがオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンである、請求項1又は2に記載のセラミック製フィルターのコーヒー汚れ用洗浄剤。
【請求項4】
水中に投与するための洗浄剤である、請求項1又は2に記載のセラミック製フィルターのコーヒー汚れ用洗浄剤。
【請求項5】
前記ポリソルベートがオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン及びモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンの組み合わせである、請求項1又は2に記載のセラミック製フィルターのコーヒー汚れ用洗浄剤。
【請求項6】
前記ポリソルベートがオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンとモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンとモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンの組み合わせである、請求項1又は2に記載のセラミック製フィルターのコーヒー汚れ用洗浄剤。
【請求項7】
ポリソルベートをセラミック製フィルターに適用することを特徴とする、セラミック製フィルターのコーヒー汚れ洗浄方法。
【請求項8】
ポリソルベートを適用したセラミック製フィルターに、水を投入することを特徴とする、請求項7に記載のセラミック製フィルターのコーヒー汚れ洗浄方法。
【請求項9】
0.3L~1.0Lの水量あたり、5g~12gの前記ポリソルベートを適用することを特徴とする、請求項8に記載のセラミック製フィルターのコーヒー汚れ洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセラミック製フィルターのコーヒー汚れ用洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コーヒー愛好家の中で、セラミック製フィルターが注目されている(非特許文献1 参照)。
【0003】
ここで、セラミック製フィルターは、コーヒー由来の汚れにより、コーヒーの抽出性能が低下する。ここで、コーヒー由来の汚れ(以下、コーヒー汚れともいう)は、脂質や多糖類、タンパク質等の有機汚れである。
そして、セラミック製フィルターに一度付着してしまうと洗浄しにくいという問題があった。また、従来の洗浄方法では、セラミック製フィルターに付着したコーヒー汚れを、完全には落とすことができなかった。
【0004】
従来技術として、特許文献1には、アルカリ剤(A)、キレート剤(B)及び酸素系漂白剤(C)を含む、コーヒー汚れ用洗浄剤が開示されている。
【0005】
また、洗浄剤を用いる以外の洗浄方法としては、セラミック製フィルターの詰まり解消手段として、焼失によるメンテナンスが推奨されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「sancera Cofil セラミック コーヒーフィルター」、株式会社 燦セラ、[online]、[令和3年7月29日検索]、インターネット〈URL:https://sancera139.jp/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の先行技術のあるところ、本発明は、効率よく、セラミック製フィルターを洗浄できる新規手段の提供を課題とする。
【0009】
ここで、セラミック製フィルターに対しては、コーヒーの抽出性能を維持するため、スポンジ等を用いた物理的な洗浄ができないという事情があった。
上記もあり、本発明の好ましい実施の形態では、セラミック製フィルターそのものを物理的にではなく、化学的にセラミック製フィルターを洗浄できる手段を提供することを課題とする。
また、本発明は、セラミック製フィルターの多孔質部に付着している汚れを誰でも簡単に取り除く手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決する本発明は、ポリソルベートからなる、セラミック製フィルターのコーヒー汚れ用洗浄剤である。
ポリソルベートを用いることで、セラミック製フィルターを効率よく洗浄することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記ポリソルベートがオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)である。
ポリソルベートとしてオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)を用いることで、セラミック製フィルターを効率よく洗浄することができる。
【0012】
また、本発明は、ポリソルベートを、
セラミック製フィルターに適用することを特徴とする、セラミック製フィルターのコーヒー汚れ洗浄方法でもある。
【0013】
また、本発明の洗浄方法の好ましい実施の形態では、ポリソルベートを適用したセラミック製フィルターに、水を投入することを特徴とする。
【0014】
本発明の洗浄方法の好ましい実施の形態では、0.3L~1.0Lの水量あたり、5g~12gの前記ポリソルベートを適用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、セラミック製フィルターを効率よく洗浄する新規技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】本実施例2の試験に用いたセラミック製コーヒーフィルターを示す図である。
【
図3】コーヒーオイル定着後のセラミック製コーヒーフィルターを示す図である。
【
図4】コーヒーオイル定着後のセラミック製コーヒーフィルターを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<1> セラミック製フィルターのコーヒー汚れ用洗浄剤
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができる。
【0019】
(1)被洗浄物
まず、本発明は、セラミック製フィルターを被洗浄物とする。
本明細書においてセラミック製フィルターとは、セラミック(陶磁器)の多孔質部分を用いコーヒー等を抽出するフィルターをいう。
【0020】
ここで、本発明は、特に、セラミック製コーヒーフィルターを被洗浄物とすることが好ましい。
【0021】
被洗浄物とするセラミック製フィルターとしては、特に、アルミナ鉱石、長石、天草陶土、低火度陶土から選ばれる一又は二以上を原材料として含むものを好ましく挙げることができる。
【0022】
セラミック製フィルターとしては、例えば、COFILを挙げることができる「sancera Cofil セラミック コーヒーフィルター」、株式会社 燦セラ[online]、[令和3年7月29日検索]、インターネット〈URL:https://sancera139.jp/〉
【0023】
ここで、本発明における被洗浄物は、その大きさにも特に制限はない。
例えば、容量200mL以上、好ましくは300mL以上、より好ましくは500mL以上の大きさのセラミック製フィルターを被洗浄物とすることができる。
また、本発明においては、容量1000mL以下、より好ましくは800mL以下、より好ましくは500mL以下の大きさのセラミック製フィルターを被洗浄物とすることができる。
【0024】
また、被洗浄物となるセラミック製フィルターは、コーヒーの抽出に使用されたものであることが好ましい。
より具体的には、被洗浄物となるセラミック製フィルターは、抽出部分に、コーヒー汚れの付着したものであることが好ましい。
ここで、コーヒー汚れは、脂質や多糖類、タンパク質、ビタミン等の有機汚れを含む。
本発明によれば、特に、コーヒー汚れの洗浄用途として特に好適である。
【0025】
なお、被洗浄物となるセラミック製フィルターの使用の程度には、特に制限はない。
【0026】
(2)有効成分
本発明はポリソルベートからなる、セラミック製フィルターのコーヒー汚れ用洗浄剤である。
【0027】
後述の実施例に示すように、ポリソルベートからなるコーヒー汚れ用洗浄剤を用いることで、セラミック製フィルターを効率よく洗浄することができる。
また、ポリソルベートからなるコーヒー汚れ用洗浄剤を用いることで、スポンジ等を用いた物理的な洗浄によらずとも、セラミック製フィルターの洗浄を行うことができる。
より具体的には、本発明の有効成分をセラミック製フィルターに適用することで、セラミック製フィルターからコーヒー汚れが浮かび上がるという、独特の洗浄作用を発揮する。
【0028】
ここで、ポリソルベートは、食品添加物として世の中一般で使用されている。
そのため、本発明によれば、本発明の有効成分がセラミック製フィルターに残存したとしても、人体への悪影響がない。
【0029】
ここで、本明細書において、「ポリソルベート」とは、ソルビトールと脂肪酸をアルカリ触媒下で加熱反応させることによって生成するソルビタン脂肪酸エステルに、エチレンオキシドを縮合反応させることによって得られるソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシエチレンエーテルをいう。
【0030】
本発明の有効成分には、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート65)を用いることができる。
【0031】
中でも、本発明の有効成分は、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)であることが好ましい。
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)を用いることで、特に優れた洗浄作用を発揮する。
より具体的には、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)を用いることで、セラミック製フィルターからコーヒー汚れが浮かび上がるという、独特の洗浄作用を発揮する。
すなわち、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)を用いることで、セラミック製フィルターそのものを傷つけることなく、セラミック製フィルターを洗浄できる。
【0032】
また、本発明の有効成分は、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)であることが好ましい。
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)を用いることで、特に優れた洗浄作用を発揮する。
より具体的には、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)を用いることで、セラミック製フィルターからコーヒー汚れが浮かび上がるという、独特の洗浄作用を発揮する。
すなわち、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)を用いることで、セラミック製フィルターそのものを傷つけることなく、セラミック製フィルターを洗浄できる。
【0033】
ここで、本発明においては、有効成分として、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)を組み合わせて用いることが好ましい。
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)を組み合わせて用いることで、特に優れた洗浄作用を発揮する。
より具体的には、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)を組み合わせて用いることで、セラミック製フィルターからコーヒー汚れが浮かび上がるという、独特の洗浄作用を発揮する。
すなわち、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)を組み合わせて用いることで、セラミック製フィルターそのものを傷つけることなく、セラミック製フィルターを洗浄できる。
【0034】
ここで、有効成分としてオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)を組み合わせて用いる場合の、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)の含有量比は、好ましくは1:0.3~1:3、より好ましくは1:0.5~1:2、さらに好ましくは1:0.7~1:1.5である。
上記形態とすることで、特に優れた洗浄作用を発揮する。
【0035】
また、本発明の有効成分は、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)であることが好ましい。
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)を用いることで、特に優れた洗浄作用を発揮する。
より具体的には、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)を用いることで、セラミック製フィルターからコーヒー汚れが浮かび上がるという、独特の洗浄作用を発揮する。
すなわち、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)を用いることで、セラミック製フィルターそのものを傷つけることなく、セラミック製フィルターを洗浄できる。
【0036】
また、本発明においては、有効成分として、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)及び/又はモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)と、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)を組み合わせて用いることが好ましい。
【0037】
特に本発明においては、有効成分として、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)とモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)を組み合わせて用いることが好ましい。
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)とモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)を組み合わせて用いることで、特に優れた洗浄作用を発揮する。
より具体的には、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)とモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)を組み合わせて用いることで、セラミック製フィルターからコーヒー汚れが浮かび上がるという、独特の洗浄作用を発揮する。
すなわち、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)とモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)を組み合わせて用いることで、セラミック製フィルターそのものを傷つけることなく、セラミック製フィルターを洗浄できる。
また、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)とモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)を用いることで、有効成分の析出を抑えることができ、より長期間の保存性に優れた剤とすることができる。
【0038】
ここで、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)とモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)を組み合わせて用いる場合、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)の含有量を、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)の含有量よりも多くすることが好ましい。
【0039】
また、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)とモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)を組み合わせて用いる場合、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)の含有量を、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)の含有量よりも多くすることが好ましい。
【0040】
有効成分としてオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)とモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)を組み合わせて用いる場合の、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)とモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)の含有量比は、好ましくは1:0.1~1:0.9、より好ましくは1:0.2~1:0.6、さらに好ましくは1:0.3~1:0.5である。
上記形態とすることで、特に優れた洗浄作用を発揮する。
【0041】
有効成分としてモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)とモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)を組み合わせて用いる場合の、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)とモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)の含有量比は、好ましくは1:0.3~1:3、より好ましくは1:0.5~1:2、さらに好ましくは1:0.7~1:1.5である。
上記形態とすることで、特に優れた洗浄作用を発揮する。
【0042】
また、本発明の有効成分に用いるポリソルベートは、そのHLBが好ましくは10以上、より好ましくは12以上、さらに好ましくは14以上である。
【0043】
また、本発明の有効成分に用いるポリソルベートは、そのHLBが好ましくは17以下、より好ましくは16以下、さらに好ましくは15.5以下である。
【0044】
(3)セラミック製フィルターコーヒー汚れ用洗浄剤の形態
本発明は、前述した本発明のセラミック製フィルターコーヒー汚れ用洗浄剤の有効成分を許容され得る賦形剤等、任意の添加剤を用いて製剤化することができる。
【0045】
製剤化するときの、剤型としては、溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、噴霧剤、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの固形製剤などを好ましく挙げることができる。
【0046】
また、製剤担体、添加剤については、製剤化するときの剤形に応じ、慣用の各種有機又は無機の担体を用いることができる。
ここで、固形製剤の場合には、添加剤として、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定
剤等を好ましく挙げることができる。
また、液剤の場合には、添加剤として、水などの溶剤等を好ましく挙げることができる。
【0047】
また、液剤の場合には、溶剤として、エタノールを用いることができる。
エタノールを用いることで、前述の有効成分の析出を抑えることができ、より長期間の保存性に優れた液剤とすることができる。
【0048】
また、本発明のコーヒー汚れ用洗浄剤には、「セラミック製フィルター洗浄のため」の用途の表示が付された形態とすることも好ましい。
【0049】
前記「表示」は、需要者に対して前記用途を知らしめる機能を有する全ての表示を含む。すなわち、前記用途を想起・類推させうるような表示であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て前記「表示」に該当する。
また、前記「表示が付された」とは、前記表示と、セラミック製フィルターのコーヒー汚れ洗浄用途を関連付けて認識させようとする表示行為が存在していることをいう。
【0050】
表示行為は、需要者が前記用途を直接的に認識できるものであることが好ましい。具体的には、本発明に係る商品又は商品の包装への前記用途の記載行為、商品に関する広告、価格表もしくは取引書類(電磁的方法により提供されるものを含む)への前記用途の記載行為が例示できる。
【0051】
<2> セラミック製フィルターの洗浄方法
また、本発明は、前述の有効成分を用いる、セラミック製フィルターの洗浄方法でもある。
以下、セラミック製フィルターに対する、前述の有効成分の適用に関し、より好ましい実施の形態を説明する。
【0052】
本発明の洗浄方法においては、セラミック製フィルターに対し、上述の有効成分を適用することが好ましい。
そして、ポリソルベートを適用したセラミック製フィルターに、水を投入することが好ましい。
上記方法によることで、スポンジ等を用いた物理的な洗浄によらずとも、セラミック製フィルターの洗浄を行うことができる。
より具体的には、本発明の有効成分をセラミック製フィルターに適用することで、セラミック製フィルターからコーヒー汚れが浮かび上がるという、独特の洗浄作用を発揮する。
【0053】
ここで、水の温度は、好ましくは65℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは85℃以上である。
また、水の温度は、100℃以下である。
【0054】
また、有効成分の投与量の下限は、0.3L~1.0Lの水量あたり、好ましくは1g以上、より好ましくは5g以上、さらに好ましくは8g以上である。
有効成分の投与量を下限以上とすることで、セラミック製フィルターをより確実に洗浄することができる。
【0055】
また、有効成分の投与量の上限は、0.3L~1.0Lの水量あたり、好ましくは16g以下、より好ましくは14g以下、さらに好ましくは13g以下、特に好ましくは12g以下である。
有効成分の投与量を上記範囲内とすることで、セラミック製フィルターをより効率よく洗浄することができる。
【実施例0056】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0057】
[実施例1]
(1)試験内容
(1-1)被洗浄物の用意
まず、未使用のセラミック製コーヒーフィルター(COFIL 株式会社 燦セラ 社製)を用意した。
そして、使用前のセラミック製コーヒーフィルターに対して、水道水を1000mL通過させ、その時間を計測した(表1中 コーヒー抽出前 及び
図1 参照)。
【0058】
次に、水道水を通過させた後のセラミック製コーヒーフィルターに対して、約40gのコーヒー豆を約600mLのお湯で抽出をし、これを12回繰り返し、コーヒーの抽出を行った。
【0059】
コーヒーの抽出後のセラミック製コーヒーフィルターに対して、再度、水道水を1000mL通過させ、その時間を計測した(表1中 コーヒー抽出後 及び
図1 参照)。
このとき、目視により、セラミック製コーヒーフィルターにコーヒー汚れが存在することを確認した。
【0060】
上記の方法により、各実施例/比較例分の被洗浄物の用意をした。
【0061】
(1-2)洗浄試験
まず、容器に、前述の方法で用意した被洗浄物を配置した。
配置した被洗浄物に対して、表1に示す洗浄剤(界面活性剤)を10g投入した。
ここで、ショ糖脂肪酸エステルは粉体であるため、10g秤量後、少量の水に溶かし、
被洗浄物へ適用した。
【0062】
界面活性剤の投入後、被洗浄物(セラミック製コーヒーフィルター)に対して沸騰した水を加え、被洗浄物(セラミック製コーヒーフィルター)内部を沸騰した水で満たし(約0.7L)、10分間静置した。
【0063】
静置後、泡の発生がなくなるまで、水で濯いだ。
【0064】
洗浄後の各セラミック製コーヒーフィルターに対して、再度、水道水を1000mL通過させ、その時間を計測した(表1中 洗浄後 及び
図1 参照)。
水道水の通過時間を比較することにより、各界面活性剤の洗浄効果を評価した。
【0065】
結果を表1に示す。
なお、各実施例につき、n=3(検体1~3)での実施を行った。
【0066】
【0067】
(2)結果及び考察
本試験の結果、ポリソルベート80のセラミック製コーヒーフィルターの洗浄効果が特に高いことが分かった。
【0068】
そして、本発明者による観察の結果、ポリソルベート80を用いた場合には、セラミック製コーヒーフィルターに熱湯を注いだ際、物理的な洗浄なくとも、コーヒー汚れによる膜が浮き上がることが観察できた。
上記は、界面活性剤であるポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルを用いた場合には、観察できなかった。
【0069】
すなわち、ポリソルベートを用いることで、セラミック製コーヒーフィルターからコーヒー汚れが浮かび上がるという、独特の洗浄作用を発揮することがわかった。
【0070】
以上より、セラミック製コーヒーフィルターそのものを傷つけることなく、セラミック製コーヒーフィルターを洗浄できることがわかった。
【0071】
[実施例2]
(1)試験内容
(1-1)被洗浄物の用意
まず、未使用のセラミック製コーヒーフィルター(COFIL 株式会社 燦セラ 社製)を用意した(
図2)。
そして、使用前のセラミック製コーヒーフィルターに対して、水道水を1000mL通過させ、その時間を計測した。
【0072】
次に、乾燥状態のセラミック製コーヒーフィルターに、約80℃にしたコーヒーオイル(ハニー株式会社 製)10g(レギュラーコーヒー175g 相当)を浸透させた。
セラミック製コーヒーフィルターにコーヒーオイルの定着を確認した後、セラミック製コーヒーフィルターに水を濾過させ、セラミック製コーヒーフィルターへのコーヒーの詰まりを再現した(
図3、
図4 参照)。
【0073】
コーヒーオイルの定着後のセラミック製コーヒーフィルターに対して、再度、水道水を1000mL通過させ、その時間を計測した(表2中 コーヒー抽出後 参照)。
【0074】
上記の方法により、各実施例の被洗浄物の用意をした。
【0075】
(1-2)洗浄試験
まず、容器に、前述の方法で用意した被洗浄物を配置した。
配置した被洗浄物に対して、表2に示す洗浄剤(界面活性剤)を10g投入した。
【0076】
界面活性剤の投入後、被洗浄物(セラミック製コーヒーフィルター)に対して沸騰した水を加え、被洗浄物(セラミック製コーヒーフィルター)内部を沸騰した水で満たし(約0.7L)、10分間静置した。
【0077】
静置後、泡の発生がなくなるまで、水で濯いだ。
【0078】
洗浄後の各セラミック製コーヒーフィルターに対して、再度、水道水を1000mL通過させ、その時間を計測した(表2中 洗浄後 参照)。
水道水の通過時間を比較することにより、各界面活性剤の洗浄効果を評価した。
【0079】
結果を表2に示す。
なお、各実施例につき、n=3(検体1~3)での実施を行った。
【0080】
【0081】
(2)結果及び考察
本試験の結果、ポリソルベート60のセラミック製コーヒーフィルターの洗浄効果が特に高いことが分かった。
【0082】
そして、本発明者による観察の結果、ポリソルベート60を用いた場合には、セラミック製コーヒーフィルターに熱湯を注いだ際、物理的な洗浄なくとも、コーヒー汚れによる膜が浮き上がることが観察できた。そして、ポリソルベート60を、ポリソルベート80と組み合わせて使用することで、より優れた効果を発揮することが期待できることが分かった。
【0083】
[実施例3]
(1)試験内容
(1-1)被洗浄物の用意
実施例2と同様の方法により、各実施例の被洗浄物の用意をした。
【0084】
(1-2)洗浄試験
次に、実施例2と同様の方法により、各界面活性剤の洗浄効果を評価した。
【0085】
結果を表3に示す。
なお、各実施例につき、n=3(検体1~3)での実施を行った。
【0086】
【0087】
(2)結果及び考察
本試験の結果、ポリソルベート20のセラミック製コーヒーフィルターの洗浄効果が特に高いことが分かった。
【0088】
そして、本発明者による観察の結果、ポリソルベート20を用いた場合には、セラミック製コーヒーフィルターに熱湯を注いだ際、物理的な洗浄なくとも、コーヒー汚れによる膜が浮き上がることが観察できた。また、本発明者による観察の結果、ポリソルベート20はセラミック製コーヒーフィルターへの浸透性が優れていることがわかった。そのため、ポリソルベート20を、ポリソルベート60及び又はポリソルベート80と組み合わせて使用することで、より優れた効果を発揮することが期待できることが分かった。