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  • 特開-タイルの接着方法 図1
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  • 特開-タイルの接着方法 図4
  • 特開-タイルの接着方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036080
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】タイルの接着方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20230307BHJP
【FI】
E04F13/08 101V
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142857
(22)【出願日】2021-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】591090839
【氏名又は名称】ニッタイ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一
(72)【発明者】
【氏名】糠谷 清孝
(72)【発明者】
【氏名】近藤 久視
(72)【発明者】
【氏名】戸上 遥来
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA14
2E110AA41
2E110AB04
2E110AB22
2E110AB23
2E110BA12
2E110CA03
2E110CA04
2E110CA17
2E110CA22
2E110DA12
2E110DC24
2E110GA15W
2E110GA26Z
2E110GA29Z
2E110GA32Z
2E110GA33W
2E110GB23Z
2E110GB28W
(57)【要約】
【課題】接着剤層に水平方向の凹溝を形成しただけでは中央部寄りの空気を端部まで押し出し難い。
【解決手段】壁下地Wの貼付け領域Aにおける対向する二辺の一方より他方に至る様に複数枚の剥離可能なテープ1、1a…を所定間隔毎に平行に貼り付け、貼付け領域Aに複数本の凹溝2、2a…が形成された接着剤層3を形成した後、テープ1、1a…を剥がし当該部位の接着剤を除去することで、接着剤層3に複数本の空気逃がし溝4、4a…を形成し、タイルTを接着剤層3に貼り付けた後、タイルTを、空気逃がし溝4、4a…を残したまま壁下地W側へ、凹溝2、2a…を潰す様に押し付けて、該凹溝2、2a…内の空気を空気逃がし溝4、4a…内へも逃がせる様にすることによって、タイルTと接着剤層3間の中央部位にも空気を残存させず、タイルTと接着剤層3との間での気泡の発生を可能な限り低減化することが出来る。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁下地の表面におけるタイル1枚分の貼付け領域に、該貼付け領域の対向する2辺の一方より他方に至る複数枚の剥離可能なテープを所定間隔毎に平行に貼り付ける工程と、
前記テープが貼り付けられた前記貼付け領域に、接着剤を塗布した後にクシ目ゴテを水平に引いて、表面に複数本の凹溝が形成された接着剤層を形成する工程と、
前記テープを剥がし当該部位の接着剤を除去することで、前記接着剤層に複数本の空気逃がし溝を形成する工程と、
前記タイルを下方から順に前記接着剤層に接触させて、前記タイルを前記接着剤層に貼り付ける工程と、
貼付け後の前記タイルを、前記空気逃がし溝を残したまま前記壁下地側へ、前記凹溝を潰す様に押し付けて、前記タイルを前記接着剤層に完全密着させる工程と、
を有していることを特徴とするタイルの接着方法。
【請求項2】
前記テープは水平方向に対し傾斜させて、前記貼付け領域の一側より他側に至る様に貼り付けることを特徴とする請求項1記載のタイルの接着方法。
【請求項3】
前記テープは、前記壁下地の表面に帯状に下地処理材を塗布して形成したシール下地層に被せる様に貼り付けることを特徴とする請求項1又は2記載のタイルの接着方法。
【請求項4】
前記タイルを、上端を前方に引っ張り湾曲させながら張り付けることを特徴とする請求項1、2又は3記載のタイルの接着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に大判タイルの接着率の向上を図った接着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、櫛目ごてを用いて複数本の凹溝を形成する様に接着剤を壁下地に塗り付け接着剤層を形成する工程(a)と、振動工具によりタイルを接着剤層に押し付けながら振動工具を移動させる作業を、所定の繰返方向に繰り返す工程(b)とを有し、前記工程(b)では、少なくとも凹溝の延伸方向の端部において、振動工具を、凹溝の延伸方向に対し前記繰返方向の後方に傾斜した方向へと、タイルの外側に向かって移動させる様にしたタイルの接着方法が見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この接着方法は、接着剤層の表面を平滑化すると、タイルを貼り付ける際に、タイルの裏側から空気が抜けずに大きな気泡が残ってしまって、接着不良を引き起こしてしまい易いことから開発された方法で、この方法によれば、凹溝が埋まる方向に接着剤が潰れることから、凹溝の空気をタイルの外側に逃がすために、加振部によりタイルを接着剤層に押し付けながら、振動工具を凹溝の延伸方向に沿って当該延伸方向の端部まで移動させることで、凹溝の空気をタイルの外側に押し出すことによって、少なくとも接着剤の延伸方向の端部において、振動工具を凹溝の延伸方向に対し傾斜した方向へと移動させて上記繰返方向の後方に退避させることにより、凹溝に留まる空気量が低減し、接着率が向上し施工品質を高めることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-1471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来技術にあっては、凹溝の中央部寄りの空気を端部まで押し出さなければならないことから、空気が残存したままとなってしまう可能性が高く、接着率の低減によるタイル剥離が発生してしまう危険性を否定出来ないなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記従来技術に基づく、水平方向の凹溝だけでは中央部寄りの空気を端部まで押し出し難い課題に鑑み、壁下地の表面におけるタイル1枚分の貼付け領域に、該貼付け領域の対向する2辺の一方より他方に至る複数枚の剥離可能なテープを所定間隔毎に平行に貼り付ける工程と、前記テープが貼り付けられた前記貼付け領域に、接着剤を塗布した後にクシ目ゴテを水平に引いて、表面に複数本の凹溝が形成された接着剤層を形成する工程と、前記テープを剥がし当該部位の接着剤を除去することで、前記接着剤層に複数本の空気逃がし溝を形成する工程と、前記タイルを下方から順に前記接着剤層に接触させて、前記タイルを前記接着剤層に貼り付ける工程と、貼付け後の前記タイルを、前記空気逃がし溝を残したまま前記壁下地側へ、前記凹溝を潰す様に押し付けて、前記タイルを前記接着剤層に完全密着させる工程と、を有していることで、凹溝内の空気を該凹溝の端からだけではなく、空気逃がし溝へも押し出すことが出来ることによって、接着剤層とタイルとの間での気泡発生を更に低減化することが出来る様にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
要するに本発明は、壁下地の表面におけるタイル1枚分の貼付け領域に、該貼付け領域の対向する2辺の一方より他方に至る複数枚の剥離可能なテープを所定間隔毎に平行に貼り付ける工程と、前記テープが貼り付けられた前記貼付け領域に、接着剤を塗布した後にクシ目ゴテを水平に引いて、表面に複数本の凹溝が形成された接着剤層を形成する工程と、前記テープを剥がし当該部位の接着剤を除去することで、前記接着剤層に複数本の空気逃がし溝を形成する工程と、前記タイルを下方から順に前記接着剤層に接触させて、前記タイルを前記接着剤層に貼り付ける工程と、貼付け後の前記タイルを、前記空気逃がし溝を残したまま前記壁下地側へ、前記凹溝を潰す様に押し付けて、前記タイルを前記接着剤層に完全密着させる工程と、を有しているので、タイル中央部位に残存し易いタイルと接着剤層間の空気を空気逃がし溝に押し出すことが出来るため、接着剤層とタイルとの間での気泡の発生を可能な限り抑制することが出来、施工品質を更に高めることが出来る。
【0008】
前記テープは水平方向に対し傾斜させて、前記貼付け領域の一側より他側に至る様に貼り付けるので、このテープを剥離することで形成される空気逃がし溝は凹溝と交差状態且つ連通状態となるため、凹溝内の空気を端からだけではなく、空気逃がし溝へも押し出すことが出来るため、残存気泡の発生を更に低減化することが出来る。
【0009】
壁下地は、種類によって表面からの水分浸入の度合いに違いがあることから、前記テープは、前記壁下地の表面に帯状に下地処理材を塗布して形成したシール下地層に被せる様に貼り付けるので、テープを剥離しても当該部位からの水分浸入を確実に阻止することが出来る。
【0010】
前記タイルを、上端を前方に引っ張り湾曲させながら張り付けるので、空気が接着剤層との間に残らないように確実に貼り付けることが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るタイルの接着方法における壁下地にL字金具を固定すると共にテープを貼り付けた状態を示す正面図である。
図2】本発明に係るタイルの接着方法における壁下地に、凹溝を有する接着剤層を形成後に、テープを剥がして空気逃がし溝を形成した状態を示す正面図である。
図3図2のA-A断面端面図である。
図4】本発明に係るタイルの接着方法における接着剤層にタイルを貼り付けた状態を示す中央縦断面端面図である。
図5】本発明に係るタイルの接着方法における接着剤層の凹溝を潰してタイルを接着剤層にに密着させた状態を示す中央縦断面端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るタイルの接着方法にあっては、基本的に、壁下地Wの表面におけるタイルTの1枚分の貼付け領域Aに、該貼付け領域Aの対向する二辺の一方より他方に至る複数枚の剥離可能なテープ1、1a…を所定間隔毎に平行に貼り付ける工程と、テープ1、1a…が貼り付けられた貼付け領域Aに、接着剤を塗布した後にクシ目ゴテを水平に引いて、表面に複数本の凹溝2、2a…が形成された接着剤層3を形成する工程と、テープ1、1a…を剥がし当該部位の接着剤を除去することで、接着剤層3に複数本の空気逃がし溝4、4a…を形成する工程と、タイルTを接着剤層3に貼り付ける工程と、貼り付けられたタイルTを、空気逃がし溝4、4a…を残したまま壁下地W側へ、凹溝2、2a…を潰す様に押し付けて、該凹溝2、2a…内の空気を空気逃がし溝4、4a…内に逃がして、タイルTを接着剤層3に完全密着させる工程とを有している。
【実施例0013】
図1~5は、本発明に係るタイルの接着方法を説明する正面図及び断面図であり、形成された、水平方向に対し傾斜させた複数本の空気逃がし溝4、4a…を有する接着剤層3を壁下地Wの表面に形成し、該接着剤層3にタイルTが貼り付けられている。
【0014】
壁下地Wは、コンクリート造壁や、間柱、胴縁、下地板などで構成された木造壁の下地などである。
【0015】
タイルTは、1辺が600mm以上の大判タイルで、基本的にはセラミックタイルであるが、その他の材質のタイルであっても良く、縦長なタイルTは、若干撓むものが好ましい。
【0016】
テープ1、1a…は、マスキングテープの様な、壁下地Wに対し剥離可能なもので、貼付け領域Aの一側より他側に至る様に貼り付けられている。
又、テープ1、1a…は、壁下地Wに帯状に、プライマーや該プライマーと同質の接着剤(本明細書中、下地処理材と称する。)を予め塗布して形成した、空気逃がし溝4、4a…の底となるシール下地層5、5a…に被せる様に貼り付けている。
【0017】
尚、シール下地層5、5a…は、壁下地Wに表面からの水分浸入を阻止する機能がない場合に形成するものであることから、水分浸入阻止機能があれば形成しなくても良い。
【0018】
接着剤層3は、壁下地Wの表面に接着剤を必要厚塗布すると共に、表面に複数本の凹溝2、2a…が形成され、壁下地Wの表面に至る深さの複数本の空気逃がし溝4、4a…が形成されており、該空気逃がし溝4、4a…は凹溝2、2a…より幅が広く、而も凹溝2、2a…は空気逃がし溝4、4a…と交差状態且つ連通状態で、凹溝2、2a…内の空気を空気逃がし溝4、4a…内へ移行可能としている。
【0019】
次に、本発明に係るタイルの接着方法を、具体的に説明する。
(1) 壁下地Wの際下部にL型金具6を、釘、ネジ等により水平に固定し、次に壁下地Wの表面におけるタイルTの1枚分の貼付け領域Aに、該貼付け領域Aの対向する二辺の一方より他方に至る複数枚の剥離可能なテープ1、1a…を所定間隔毎に平行に貼り付ける(図1参照)。
(2) テープ1、1a…が貼り付けられた貼付け領域Aに接着剤を均一に塗布し、その後にクシ目ゴテを水平に引いて、表面に複数本の凹溝2、2a…が形成された接着剤層3を形成し、次にテープ1、1a…を剥がし当該部位の接着剤を除去することで、接着剤層3に複数本の空気逃がし溝4、4a…を形成する(図2、3参照)。
(3) タイルTをL型金具6に載せ、下方から順に接着剤層3に接触させて、タイルTを接着剤層3に貼り付ける(図4参照)。
(4) 貼り付けられたタイルTを、空気逃がし溝4、4a…を残したまま壁下地W側へ、凹溝2、2a…を潰す様に押し付けて、該凹溝2、2a…内の空気を空気逃がし溝4、4a…内に逃がして、タイルTを接着剤層3に完全密着させる(図5参照)。
【符号の説明】
【0020】
1、1a… テープ
2、2a… 凹溝
3 接着剤層
4、4a… 空気逃がし溝
5、5a… シール下地層
A 貼付け領域
T タイル
W 壁下地
図1
図2
図3
図4
図5