(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036087
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】ペダルレバー
(51)【国際特許分類】
G05G 1/50 20080401AFI20230307BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20230307BHJP
G05G 1/44 20080401ALI20230307BHJP
B60T 7/06 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
G05G1/50
G05G1/30 E
G05G1/44
B60T7/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142872
(22)【出願日】2021-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】591185423
【氏名又は名称】千代田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】野村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 洋二
(72)【発明者】
【氏名】山口 修
【テーマコード(参考)】
3D124
3J070
【Fターム(参考)】
3D124AA34
3D124BB01
3D124CC53
3D124CC54
3J070AA32
3J070BA74
3J070BA81
3J070CA52
3J070CB02
3J070CC04
3J070CC07
3J070DA01
(57)【要約】
【課題】溶接がしやすい中空構造のペダルレバーを提供する。
【解決手段】ペダルレバー3は、第1レバー部材10と、第2レバー部材20とが溶接されてなる。第1レバー部材10は、第1側壁11と、第1側壁11の前部から他方に延びる第1前壁12と、第1側壁11の後部から他方に延びる第1後壁13と、第1前壁12から前方に延びる第1フランジ部14とを有する。第2レバー部材20は、第2側壁21と、第2側壁21の前部から一方に延びる第2前壁22と、第2側壁21の後部から一方に延びる第2後壁23と、第2前壁22から前に延び、第1フランジ部14と対面して溶接された第2フランジ部24とを有する。第1後壁13は、右方を向く端面に位置し、第2レバー部材20と接触して左右方向の位置決めをする第1位置決め部13Aと、第2後壁23と重なり第2後壁23と溶接された重畳部13Bとを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右方向における一方を構成する第1レバー部材と、車両の左右方向における他方を構成する第2レバー部材と、が溶接されて構成された中空構造のペダルレバーであって、
前記第1レバー部材は、金属板から形成され、
車両の上下方向および前後方向に延びる第1側壁と、
前記第1側壁の前部から左右方向の前記他方に向けて延びる第1前壁と、
前記第1側壁の後部から左右方向の前記他方に向けて延びる第1後壁と、
前記第1前壁から車両の前方に向けて延びる第1フランジ部と、を有し、
前記第2レバー部材は、金属板から形成され、
車両の上下方向および前後方向に延びる第2側壁と、
前記第2側壁の前部から左右方向の前記一方に向けて延びる第2前壁と、
前記第2側壁の後部から左右方向の前記一方に向けて延びる第2後壁と、
前記第2前壁から車両の前に向けて延びる第2フランジ部であって、前記第1フランジ部と対面して溶接された第2フランジ部と、を有し、
前記第1後壁は、
左右方向の前記他方を向く端面に位置する、前記第2レバー部材と接触することで左右方向の位置決めをする第1位置決め部と、
前記第2後壁と重なり前記第2後壁と溶接された重畳部と、を有することを特徴とするペダルレバー。
【請求項2】
前記第1後壁は、前記第1後壁から後方に延びるフランジを有さず、
前記第2後壁は、前記第2後壁から後方に延びるフランジを有さないことを特徴とする請求項1に記載のペダルレバー。
【請求項3】
前記第1後壁は、複数の前記第1位置決め部を有し、
前記重畳部の少なくとも一部は、複数の前記第1位置決め部の間に位置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のペダルレバー。
【請求項4】
前記第1位置決め部は、前記重畳部に対して車両の前後方向に突出していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のペダルレバー。
【請求項5】
前記第1位置決め部は、前記重畳部に対して左右方向の前記他方に突出していないことを特徴とする請求項4に記載のペダルレバー。
【請求項6】
前記第2レバー部材は、前記第2後壁の左右方向の前記一方を向く端面に、前記第1位置決め部と接触する第2位置決め部を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のペダルレバー。
【請求項7】
前記第2レバー部材は、前記第2側壁の左右方向の前記一方を向く面に、前記第1位置決め部と接触する第2位置決め部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のペダルレバー。
【請求項8】
前記第1位置決め部は、前記重畳部に対して左右方向の前記他方に突出していることを特徴とする請求項7に記載のペダルレバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のペダルレバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用のクラッチペダルやブレーキペダルに使用されるペダルレバーが知られている(特許文献1参照)。特許文献1のペダルレバーは中空構造を有しており、左右に分割された一対の左右半割部材がそれぞれプレス成形によって形成され、互いに溶接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のペダルレバーは、一対の左右半割部材の運転者側(後側)を接合する場合に、上側はフランジ部を重ね合わせて溶接し、下側は側板部を重ね合わせて溶接している。この場合、溶接する方向が上側と下側で異なるので、溶接に手間がかかるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、溶接がしやすい中空構造のペダルレバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明に係るペダルレバーは、車両の左右方向における一方を構成する第1レバー部材と、車両の左右方向における他方を構成する第2レバー部材と、が溶接されて構成された中空構造のペダルレバーである。
第1レバー部材は、金属板から形成され、車両の上下方向および前後方向に延びる第1側壁と、第1側壁の前部から左右方向の他方に向けて延びる第1前壁と、第1側壁の後部から左右方向の他方に向けて延びる第1後壁と、第1前壁から車両の前方に向けて延びる第1フランジ部と、を有する。
第2レバー部材は、金属板から形成され、車両の上下方向および前後方向に延びる第2側壁と、第2側壁の前部から左右方向の一方に向けて延びる第2前壁と、第2側壁の後部から左右方向の一方に向けて延びる第2後壁と、第2前壁から車両の前に向けて延びる第2フランジ部であって、第1フランジ部と対面して溶接された第2フランジ部と、を有する。
第1後壁は、左右方向の他方を向く端面に位置する、第2レバー部材と接触することで左右方向の位置決めをする第1位置決め部と、第2後壁と重なり第2後壁と溶接された重畳部と、を有する。
【0007】
この構成によれば、第1レバー部材と第2レバー部材の前側は第1フランジ部と第2フランジ部が接触することで位置決めされ、第1レバー部材と第2レバー部材の後側は第1位置決め部と第2レバー部材が接触することで位置決めされるので、第1レバー部材と第2レバー部材の左右方向の位置決めがしやすい。
また、ペダルレバーの前側は第1フランジ部と第2フランジ部が対面して溶接されているので、ペダルレバーの前側の溶接を上から下まで左右方向から溶接でき、溶接しやすい。また、ペダルレバーの後側は第1後壁と第2後壁とが重なった重畳部で溶接されているので、ペダルレバーの後側の溶接を上から下まで後方から溶接でき、溶接しやすい。
【0008】
また、前記したペダルレバーにおいて、第1後壁は、第1後壁から後方に延びるフランジを有さず、第2後壁は、第2後壁から後方に延びるフランジを有さない構成としてもよい。
【0009】
これによれば、ペダルレバーが後方に延びるフランジを有さないので、運転者の足がフランジに触れてしまうことがない。
【0010】
また、前記したペダルレバーにおいて、第1後壁は、複数の第1位置決め部を有し、重畳部の少なくとも一部は、複数の第1位置決め部の間に位置する構成としてもよい。
【0011】
これによれば、第1後壁が複数の第1位置決め部を有するので、第1レバー部材と第2レバー部材の左右方向の位置決めが安定する。また、重畳部の少なくとも一部が複数の第1位置決め部の間に位置することで、第1レバー部材と第2レバー部材の接合が安定する。
【0012】
また、前記したペダルレバーにおいて、第1位置決め部は、重畳部に対して車両の前後方向に突出している構成としてもよい。
【0013】
これによれば、第1位置決め部が第2レバー部材と接触しやすい。
【0014】
また、前記したペダルレバーにおいて、第1位置決め部は、重畳部に対して左右方向の他方に突出していない構成としてもよい。
【0015】
これによれば、第1レバー部材を製造するために必要な金属板の歩留まりを向上することができる。
【0016】
また、前記したペダルレバーにおいて、第2レバー部材は、第2後壁の左右方向の一方を向く端面に、第1位置決め部と接触する第2位置決め部を有する構成としてもよい。
【0017】
また、前記したペダルレバーにおいて、第2レバー部材は、第2側壁の左右方向の一方を向く面に、第1位置決め部と接触する第2位置決め部を有する構成としてもよい。
【0018】
また、前記したペダルレバーにおいて、第1位置決め部は、前記重畳部に対して左右方向の前記他方に突出している構成としてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、溶接がしやすい中空構造のペダルレバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】第1実施形態におけるペダルレバーの斜視図である。
【
図3】第1レバー部材を示す斜視図(a)と、第2レバー部材を示す斜視図(b)である。
【
図4】運転者側から見たペダル装置を示す図(a)と、車両の右側から見たペダル装置を示す図(b)である。
【
図5】
図4(a)のA-A断面図(a)と、B-B断面図(b)である。
【
図6】第2実施形態におけるペダルレバーの斜視図である。
【
図7】第2実施形態における第1レバー部材を示す斜視図(a)と、第2レバー部材を示す斜視図(b)である。
【
図8】第2実施形態における運転者側から見たペダルレバーを示す図(a)と、車両の右側から見たペダルレバーを示す図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後、左右、上下は、車両を基準とする。
【0022】
図1に示すように、ペダル装置1は、乗用自動車などの車両に使用されるものである。ペダル装置1は、例えば、ブレーキペダル、または、クラッチペダルである。ペダル装置1は、運転者が足で踏み込んで操作される。ペダル装置1は、
図1に実線で示す第1位置と、二点鎖線で示す第2位置に回動可能である。例えば、ブレーキペダルの場合、運転者が足で踏み込んで第1位置から第2位置に回動させると、車両にブレーキがかかる。
【0023】
ペダル装置1は、ペダルプレート2と、ペダルレバー3と、シャフト4とを備える。ペダルプレート2は、ペダル装置1を操作する場合に、運転者に踏まれるプレート状の部材である(
図4(a),(b)も参照)。ペダルレバー3は、上下に延びる中空構造の部材である。ペダルレバー3は、上端部が回動可能に支持され、下端部にペダルプレート2が取り付けられている。シャフト4は、ペダルレバー3の上端部に位置する軸穴を通って、ペダルレバー3に溶接されている(
図4(a),(b)も参照)。シャフト4は、車両に支持され、ペダルレバー3が車両に対して揺動可能となる。車両にはプッシュロッド5が設けられており、ペダル装置1が第1位置から第2位置に回動した場合に、プッシュロッド5が移動して、ブレーキやクラッチを作動させる。
【0024】
図2に示すように、ペダルレバー3は、第1レバー部材10と、第2レバー部材20と、が溶接されて構成されている。第1レバー部材10は、車両の左右方向における一方の一例としての左方を構成する。第2レバー部材20は、車両の左右方向における他方の一例としての右方を構成する。
【0025】
図3(a)に示すように、第1レバー部材10は、金属板から形成されており、例えば、プレス成形によって形成される。第1レバー部材10は、第1側壁11と、第1前壁12と、第1後壁13と、第1フランジ部14と、を有する。
【0026】
第1側壁11は、車両の上下方向および前後方向に延びる壁である。第1側壁11には、第1シャフト穴15と、第1ロッド穴16と、が形成されている。第1シャフト穴15は、第1側壁11の上端部に設けられ、シャフト4が通る穴である。第1ロッド穴16は、第1シャフト穴15よりも下に設けられ、プッシュロッド5が係合する穴である。
【0027】
第1前壁12は、第1側壁11の前部から右方に向けて延びる壁である。第1前壁12は、第1レバー部材10の前側部分の上端から下端まで延びている。第1前壁12は、第1側壁11と第1フランジ部14を連結する。
【0028】
第1フランジ部14は、第1前壁12から車両の前方に向けて延びている。第1フランジ部14は、第1レバー部材10の前側部分の上端から下端まで延びている。
図4(b)、
図5(a),(b)に示すように、第1フランジ部14は、後述する第2フランジ部24と重なり、第2フランジ部24と第1溶接線LW1でレーザ溶接されている。
【0029】
第1後壁13は、第1側壁11の後部から右方に向けて延びる壁である。第1後壁13は、第1レバー部材10の後側部分の上端から下端まで延びている。第1後壁13の端面は、右方を向いている。第1後壁13は、第1後壁13から後方に延びるフランジを有していない。第1後壁13は、第1位置決め部13Aと、重畳部13Bと、を有する。
【0030】
第1位置決め部13Aは、左右方向の右方を向く端面に位置し、第2レバー部材20と接触することで左右方向の位置決めをする部分である。詳しくは、第1位置決め部13Aは、重畳部13Bより車両の後方向に突出した突出部13Tの端面である。第1位置決め部13Aは、後述する第2位置決め部23Aと接触可能な分だけ突出している。第1後壁13は、複数の第1位置決め部13Aを有している。本実施形態では、第1後壁13は、互いに上下に離れた3つの第1位置決め部13Aを有している。
【0031】
図2、
図4(a)、
図5(a)に示すように、重畳部13Bは、第2レバー部材20の一部と重なり、第2溶接線LW2でレーザ溶接された部分である。具体的には、重畳部13Bは、第2レバー部材20の後述する第2後壁23と重なり、第2後壁23と溶接された部分である。重畳部13Bの少なくとも一部は、複数の第1位置決め部13Aの間に位置している。
【0032】
図3(a)に示すように、第1位置決め部13Aは、重畳部13Bに対して車両の前後方向に突出している。本実施形態では、第1位置決め部13Aは、重畳部13Bに対して車両の後方向に板厚分だけ突出している。このため、
図5(a)に示すように、第1位置決め部13Aと後述する第2位置決め部23Aが対面して接触すると共に、第1位置決め部13Aを構成する突出部13Tと後述する第2後壁23とが面一となっている。また、第1位置決め部13Aは、重畳部13Bに対して左右方向の他方(右方)に突出していない。
【0033】
図3(b)に示すように、第2レバー部材20は、金属板から形成されており、例えば、プレス成形によって形成される。第2レバー部材20は、第2側壁21と、第2前壁22と、第2後壁23と、第2フランジ部24と、を有する。
【0034】
第2側壁21は、車両の上下方向および前後方向に延びる壁である。第2側壁21には、第2シャフト穴25と、第2ロッド穴26と、が形成されている。第2シャフト穴25は、第2側壁21の上端部に設けられ、シャフト4が通る穴である。第2ロッド穴26は、第2シャフト穴25よりも下に設けられ、プッシュロッド5が係合する穴である。
【0035】
第2前壁22は、第2側壁21の前部から左方に向けて延びる壁である。第2前壁22は、第2レバー部材20の前側部分の上端から下端まで延びている。第2前壁22は、第2側壁21と第2フランジ部24を連結する。
【0036】
第2フランジ部24は、第2前壁22から車両の前方に向けて延びている。第2フランジ部24は、第2レバー部材20の前側部分の上端から下端まで延びている。
図4(b)、
図5(a),(b)に示すように、第2フランジ部24は、第1フランジ部14と重なり、第1フランジ部14と第1溶接線LW1でレーザ溶接されている。
【0037】
図3(b)に示すように、第2後壁23は、第2側壁21の後部から左方に向けて延びる壁である。第2後壁23は、第2レバー部材20の後側部分の上端から下端まで延びている。第2後壁23の端面は、左方を向いている。第2後壁23は、第2後壁23から後方に延びるフランジを有していない。第2後壁23は、第2後壁23の左右方向の左を向く端面に、第2位置決め部23Aを有する。
図2、
図4(a)、
図5(a)に示すように、第2後壁23の少なくとも一部は、第1レバー部材10の重畳部13Bと重なり、第2溶接線LW2でレーザ溶接されている。
【0038】
第2位置決め部23Aは、第1レバー部材10と接触することで左右方向の位置決めをする部分である。第2後壁23は、複数の第1位置決め部13Aに対向して、複数の第2位置決め部23Aを有している。本実施形態では、第2後壁23は、3つの第2位置決め部23Aを有している。
【0039】
図3(b)、
図4(a)に示すように、第2位置決め部23Aは、第2後壁23に形成された台形状の切り欠きの一部であり、第1レバー部材10の重畳部13Bより右に位置している。
【0040】
ここで、第1レバー部材10と第2レバー部材20を溶接する方法について説明する。
第1レバー部材10と第2レバー部材20を溶接する場合には、まず、第1レバー部材10と第2レバー部材20を重ねあわせる。
【0041】
このとき、第1レバー部材10の第1ロッド穴16と、第2レバー部材20の第2ロッド穴26とを円柱状の治具(図示省略)に嵌合させる。治具によって、第1レバー部材10と第2レバー部材20は、上下方向と前後方向の位置決めがされる。
【0042】
図5(a),(b)に示すように、ペダルレバー3の前側部分は、第1フランジ部14と第2フランジ部24が接触することで左右方向の位置決めがされる。また、ペダルレバー3の後側部分は、第1位置決め部13Aと第2位置決め部23Aが接触することで左右方向の位置決めがされる。
【0043】
このように、第1レバー部材10と第2レバー部材20が上下方向、前後方向および左右方向で位置決めされた状態で、第1レバー部材10と第2レバー部材20をレーザ溶接する。溶接は、
図5(b)に示すように、第1レバー部材10の第1フランジ部14と、第2レバー部材20の第2フランジ部24を第1溶接線LW1に沿ってレーザ溶接する。また、
図5(a)に示すように、第1レバー部材10の第1後壁13と、第2レバー部材20の第2後壁23が重なった部分を第2溶接線LW2に沿ってレーザ溶接する。第1フランジ部14と第2フランジ部24のレーザ溶接と、第1後壁13と第2後壁23のレーザ溶接は、どちらを先に行ってもよい。
【0044】
以上のような構成のペダルレバー3によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
ペダルレバー3は、第1レバー部材10と第2レバー部材20とが溶接されて構成された中空構造をしており、第1レバー部材10と第2レバー部材20の前側は第1フランジ部14と第2フランジ部24が接触することで位置決めされ、第1レバー部材10と第2レバー部材20の後側は第1位置決め部13Aと第2レバー部材20が接触することで位置決めされるので、第1レバー部材10と第2レバー部材20の左右方向の位置決めがしやすい。
また、ペダルレバー3の前側は第1フランジ部14と第2フランジ部24が対面し接触して溶接線LW2に沿って溶接されているので(
図4(b)参照)、ペダルレバー3の前側の溶接を上から下まで左右方向から溶接でき、溶接しやすい。また、ペダルレバー3の後側は第1後壁13と第2後壁23とが重なった重畳部13Bで溶接線LW1に沿って溶接されているので(
図4(a)参照)、ペダルレバー3の後側の溶接を上から下まで後方から溶接でき、溶接がしやすい。
【0045】
また、ペダルレバー3は、後方に延びるフランジを有さないので、運転者の足がフランジに触れてしまうことがない。
【0046】
また、第1後壁13が上下に離れた複数の第1位置決め部13Aを有するので、第1レバー部材10と第2レバー部材20の左右方向の位置決めが安定する。また、重畳部13Bの少なくとも一部が複数の第1位置決め部13Aの間に位置することで、第1レバー部材10と第2レバー部材20の接合が安定する。
【0047】
また、第1位置決め部13Aは、第2レバー20の第2位置決め部23Aと接触するようにするため、重畳部13Bに対して車両の後方に突出している。このため、第1位置決め部13Aが第2レバー部材20と安定して接触することができる。
【0048】
また、第1位置決め部13Aは、重畳部13Bに対して左右方向の他方に突出していないので、第1レバー部材10を製造するために必要な金属板の歩留まりを向上することができる。
【0049】
次に、
図6~9を参照して、第2実施形態について説明する。ここでは、第1実施形態と異なる部分のみ説明し、第1実施形態と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
前記した第1実施形態では、第2レバー部材の第2位置決め部が第2後壁に形成されていたのに対して、第2実施形態では、第2レバーの第2位置決め部が第2側壁に形成されている。すなわち、第2実施形態では、第1レバー部材の第1位置決め部が第2レバー部材の第2側壁に接触することで左右方向の位置決めがされるようになっている。
【0050】
具体的には、
図6に示すように、第2実施形態におけるペダルレバー3Aは、車両の左方を構成する第1レバー部材110と、車両の右方を構成する第2レバー部材120と、が溶接されて構成されている。
【0051】
図7(a)に示すように、第1レバー部材110の第1後壁13は、右方に突出する突出部113Aを有しており、突出部113Tの端面が第1位置決め部113Aとなっている。すなわち、第1位置決め部113Aは、左右方向の右方を向く端面に位置し、第2レバー部材120と接触することで左右方向の位置決めをする部分である。第1後壁13は、複数の第1位置決め部113Aを有している。本実施形態では、第1後壁13は、互いに上下方向に離れた3つの第1位置決め部113Aを有している。
【0052】
第1位置決め部113Aは、第1レバー部材110の第1後壁13と第2レバー部材120の第2後壁23が重なった部分である重畳部13Bに対して右方向に突出している。また、第1位置決め部113Aは、重畳部13Bに対して前後方向に突出していない。
【0053】
図7(b)に示すように、第2レバー部材120の第2側壁21は、第2側壁21の左右方向の左方を向く面に、第1位置決め部113Aと接触する第2位置決め部121Aを有する。
【0054】
第2位置決め部121Aは、第1レバー部材110と接触することで左右方向の位置決めをする部分である。第2側壁21は、複数の第1位置決め部113Aに対応して、複数の第2位置決め部121Aを有している。本実施形態では、第2側壁21は、3つの第1位置決め部113Aに対応して、互いに上下方向に離れた3つの第2位置決め部121Aを有している。
【0055】
図8、
図9に示すように、第1レバー部材110と第2レバー部材120が第1位置決め部113Aと第2位置決め部121Aとによって左右方向で位置決めされた状態で、第1レバー部材110と第2レバー部材120は、第1溶接線LW1と第2溶接線LW2でレーザ溶接されている。
【0056】
以上に説明した第2実施形態におけるペダルレバー3Aによっても、第1実施形態と同様に、第1位置決め部113Aが第2レバー部材120と接触することで、第1レバー部材110と第2レバー部材120の左右方向の位置決めされているので、左右方向の位置決めがしやすい。
【0057】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0058】
前記各実施形態では、車両の左右方向における一方の一例として左方、車両の左右方向における他方の一例として右方を例示したが、左方と右方が逆である構成としてもよい。
【0059】
前記各実施形態では、第1レバー部材10が3つの第1位置決め部13Aを有する構成であったが、第1位置決め部13Aが2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
同様に、第2レバー部材20が3つの第2位置決め部23Aを有する構成であったが、第2位置決め部23Aが2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
【0060】
前記第1実施形態では、第1位置決め部13Aは、重畳部13Bに対して車両の後方向に板厚分だけ突出している構成であったが、車両の前方に突出する構成であってもよいし、板厚分よりも大きく突出している構成であってもよい。
【0061】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 ペダル装置
2 ペダルプレート
3 ペダルレバー
4 シャフト
5 プッシュロッド
10 第1レバー部材
11 第1側壁
12 第1前壁
13 第1後壁
13A 第1位置決め部
13B 重畳部
14 第1フランジ部
15 第1シャフト穴
16 第1ロッド穴
20 第2レバー部材
21 第2側壁
22 第2前壁
23 第2後壁
23A 第2位置決め部
24 第2フランジ部
25 第2シャフト穴
26 第2ロッド穴