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特開2023-3609標準データモデル更新支援装置、及び標準データモデル更新支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003609
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】標準データモデル更新支援装置、及び標準データモデル更新支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230110BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20230110BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104781
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 晃
(72)【発明者】
【氏名】伊川 宏美
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 元伸
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC04
5L049CC12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】データモデルの設計の負担を低減することが可能な標準データモデルを作成する、標準データモデル更新支援装置及び標準データモデル更新支援方法を提供する。
【解決手段】標準データモデル管理システムにおいて、標準データモデル更新支援装置10は、複数のデータモデルの夫々の、標準データモデルからのデータ構造上の差分をデータモデル毎に算出する差分算出部14と、算出した各差分に基づき、複数のデータモデルと、データモデルに基づき生成される新たな標準データモデルとの間のデータ構造上の差分が最も小さくなるような、各データモデルと標準データモデルとの相違部分である最適更新データを特定する最適更新データ特定部15と、特定した最適更新データを標準データモデルに適用することにより、新たな標準データモデルを生成する標準データモデル更新部16と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ及びメモリを有し、
複数のデータモデルのそれぞれの、標準データモデルからのデータ構造上の差分を前記データモデルごとに算出する差分算出部と、
前記算出した各差分に基づき、前記複数のデータモデルと、前記データモデルに基づき生成される新たな標準データモデルとの間のデータ構造上の差分が最も小さくなるような、前記各データモデルと前記標準データモデルとの相違部分である最適更新データを特定する最適更新データ特定部と、
前記特定した最適更新データを前記標準データモデルに適用することにより、前記新たな標準データモデルを生成する標準データモデル更新部と、
を備える、標準データモデル更新支援装置。
【請求項2】
前記差分算出部は、前記複数のデータモデル又は前記標準データモデルが備えるデータベース、データベースのデータ項目、又はデータ属性の少なくともいずれかに基づき、前記複数のデータモデルのそれぞれの、前記標準データモデルからの差分の重大性を示すパラメータの値を、前記差分として算出し、
前記最適更新データ特定部は、前記算出した各差分のパラメータの値に基づき、前記最適更新データを特定する、
請求項1に記載の標準データモデル更新支援装置。
【請求項3】
前記差分算出部は、前記データモデルが前記標準データモデルに対して追加的に備えるデータベースの有無、又は、前記データモデルが前記標準データモデルに対して追加的に備えるデータベース上のデータ属性の有無に基づき、前記パラメータの値を算出する、
請求項2に記載の標準データモデル更新支援装置。
【請求項4】
前記差分算出部は、前記データモデルが備えるデータベースのデータ属性と前記標準データモデルが備えるデータベースのデータ属性との差異の有無に基づき、前記パラメータの値を算出する、
請求項2に記載の標準データモデル更新支援装置。
【請求項5】
前記差分算出部は、前記データモデルが備えるデータベースのデータ項目の名称と前記標準データモデルが備えるデータベースのデータ項目の名称との差異の有無、前記標準データモデルが使用するが前記データモデルが使用しないデータベースの有無、前記標準データモデルが使用するが前記データモデルが使用しないデータベースのデータ項目の有無、の少なくともいずれかに基づき、前記パラメータの値を算出する、
請求項2に記載の標準データモデル更新支援装置。
【請求項6】
前記標準データモデルからの差分の内容に対応する前記パラメータの値の入力をユーザから受け付ける変更度設定部を備える、請求項1に記載の標準データモデル更新支援装置。
【請求項7】
前記特定した最適更新データ又は前記生成した新たな標準データモデルの情報を画面に表示する出力部を備える、
請求項1に記載の標準データモデル更新支援装置。
【請求項8】
情報処理装置が、
複数のデータモデルのそれぞれの、標準データモデルからのデータ構造上の差分を前記データモデルごとに算出する差分算出処理と、
前記算出した各差分に基づき、前記複数のデータモデルと、前記データモデルに基づき
生成される新たな標準データモデルとの間のデータ構造上の差分が最も小さくなるような、前記各データモデルと前記標準データモデルとの相違部分である最適更新データを特定する最適更新データ特定処理と、
前記特定した最適更新データを前記標準データモデルに適用することにより、前記新たな標準データモデルを生成する標準データモデル更新処理と、
を実行する標準データモデル更新支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は標準データモデル更新支援装置、及び標準データモデル更新支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造業等では、業務管理及び遂行のためにデータモデル(DBスキーマ等)を利用している組織(企業等)がある。データモデルの構成及び内容は組織ごとに異なるため、各組織にデータモデルを作成して提供するサービス事業者は、その組織に応じたデータモデルを作成する必要がある。
【0003】
一方で、各組織に共通の部分がデータモデルに存在する場合があるため、サービス事業者は、これらの共通部分を標準データモデルとして作成することで、データモデルの設計工数を軽減することを試みることができる。
【0004】
そのような標準データモデルと各組織のデータモデルとを共有するための技術として、例えば特許文献1には、システムの要件定義または設計で定義するモデルの標準とする標準モデルを、複数の設計者が使用する複数の端末に提供する提供部と、複数の端末から、提供部により提供された標準モデルを更新した複数のカスタマイズモデルを受け付けるモデル受付部と、標準モデルと複数のカスタマイズモデルのそれぞれとの差分を抽出する抽出部と、差分を標準モデルおよびカスタマイズモデルの少なくとも一つに対応付けて出力するための差分出力情報を生成する生成部と、を備えるサーバ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-026728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、データモデルは上記のように組織ごとに異なるため、標準データモデルやデータモデル(カスタマイズモデル)が提供されても、サービス事業者の各担当者はその活用が充分にできない場合が多い。標準データモデルを効率良く活用してカスタマイズモデル(データモデル)を設計することは難しいのが現状である。
【0007】
本発明はこのような現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、データモデルの設計の負担を低減することが可能な標準データモデルを作成することが可能な標準データモデル更新支援装置、及び標準データモデル更新支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一つは、プロセッサ及びメモリを有し、複数のデータモデルのそれぞれの、標準データモデルからのデータ構造上の差分を前記データモデルごとに算出する差分算出部と、前記算出した各差分に基づき、前記複数のデータモデルと、前記データモデルに基づき生成される新たな標準データモデルとの間のデータ構造上の差分が最も小さくなるような、前記各データモデルと前記標準データモデルとの相違部分である最適更新データを特定する最適更新データ特定部と、前記特定した最適更新データを前記標準データモデルに適用することにより、前記新たな標準データモデルを生成する標準データモデル更新部と、を備える、標準データモデル更新支援装置、とする。
【0009】
また、上記課題を解決するための本発明の一つは、情報処理装置が、複数のデータモデルのそれぞれの、標準データモデルからのデータ構造上の差分を前記データモデルごとに算出する差分算出処理と、前記算出した各差分に基づき、前記複数のデータモデルと、前記データモデルに基づき生成される新たな標準データモデルとの間のデータ構造上の差分が最も小さくなるような、前記各データモデルと前記標準データモデルとの相違部分である最適更新データを特定する最適更新データ特定処理と、前記特定した最適更新データを前記標準データモデルに適用することにより、前記新たな標準データモデルを生成する標準データモデル更新処理と、を実行する標準データモデル更新支援方法、とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、データモデルの設計の負担を低減することが可能な標準データモデルを作成することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る標準データモデル管理システムの構成の一例を示す図である。
図2】標準データモデル更新支援装置が備える機能の一例を説明する図である。
図3】標準データモデル更新支援装置及びカスタマイズモデル管理装置の各情報処理装置が備えるハードウェアの一例を示す図である。
図4】標準データモデル管理処理の一例を説明するフロー図である。
図5】標準データモデル更新処理の詳細を説明するフロー図である。
図6】標準データモデル更新処理の詳細を説明するフロー図である。
図7】変更度設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施形態に係る標準データモデル管理システム1の構成の一例を示す図である。標準データモデル管理システム1は、製造業等を営む各企業が自身の業務のために使用及び管理するデータモデル(以下、カスタマイズモデルという)の基礎となっている標準データモデルを、各企業のデータモデルの利用状況に応じて更新するための情報処理システムである。
【0013】
すなわち、標準データモデル管理システム1は、各企業が管理する1又は複数のカスタマイズモデル管理装置20と、所定の管理業者が管理する標準データモデル更新支援装置10とを含んで構成される。
【0014】
標準データモデル更新支援装置10は、標準データモデルを記憶していると共に、カスタマイズモデル管理装置20が管理している各データモデルに基づき、標準データモデルを更新する。
【0015】
カスタマイズモデル管理装置20は、データモデルを記憶している。カスタマイズモデル管理装置20は、標準データモデル更新支援装置10から標準データモデル(更新した標準データモデルを含む)を取得し、取得した標準データモデルを変更する(カスタマイズする)ことで、新たなデータモデル(カスタマイズモデル)を作成する。
【0016】
なお、データモデルとは、本実施形態では、業務管理を行うための、1又は複数のデータベース(テーブル)を組み合わせて実現される情報処理システムである。企業により業務フロー又は使用される用語が異なるため、各データベースの構成(数、種類、又はデータベース間の関連性)、データ項目、及びデータの属性、並びにデータベースに使用される用語は、データモデルによって異なる。
【0017】
なお、標準データモデル更新支援装置10、及び各カスタマイズモデル管理装置20の間は、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、インターネット、又は専用線等の通信ネットワーク5により通信可能に接続される。
【0018】
次に、標準データモデル更新支援装置10の機能の詳細を説明する。
図2は、標準データモデル更新支援装置10が備える機能(プログラム)の一例を説明する図である。標準データモデル更新支援装置10は、カスタマイズモデル取得部11、標準データモデル記憶部12、カスタマイズモデル記憶部13、差分算出部14、最適更新データ特定部15、標準データモデル更新部16、変更度設定部17、及び出力部18を備える。
【0019】
カスタマイズモデル取得部11は、カスタマイズモデル管理装置20からデータモデル(カスタマイズモデル)を取得する。
【0020】
標準データモデル記憶部12は、標準データモデル(更新された標準データモデルを含む)を記憶する。
【0021】
カスタマイズモデル記憶部13は、カスタマイズモデルを記憶する。
【0022】
差分算出部14は、カスタマイズモデル取得部11が取得した複数のデータモデルのそれぞれの、標準データモデルからのデータ構造上の差分をデータモデルごとに算出する。
【0023】
本実施形態では、差分算出部14は、複数のデータモデル又は標準データモデルが備えるデータベース、データベースのデータ項目、又はデータ属性の少なくともいずれかに基づき、複数のデータモデルのそれぞれの、標準データモデルからの差分の重大性を示すパラメータの値(以下、変更度という)を、上記差分を表す値として算出する。
【0024】
最適更新データ特定部15は、差分算出部14が算出した各差分に基づき、複数のデータモデルと、各データモデルに基づき生成される新たな標準データモデルとの間のデータ構造上の差分が最も小さくなるような、データモデルと標準データモデルとの相違部分(新たな標準データモデルへの反映部分)である最適更新データを特定する。
【0025】
標準データモデル更新部16は、最適更新データ特定部15が特定した最適更新データを標準データモデルに適用することにより、新たな標準データモデルを生成する。
【0026】
変更度設定部17は、後述する変更度設定画面300により、標準データモデルからの差分の内容に対応する変更度の値の入力をユーザから受け付ける。
【0027】
出力部18は、最適更新データ特定部15が特定した最適更新データ又は新たな標準データモデルの情報を画面に表示する。
【0028】
ここで、図3は、標準データモデル更新支援装置10及びカスタマイズモデル管理装置20の各情報処理装置が備えるハードウェアの一例を示す図である。各情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、又はGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサ31と、ROM(Read Only Memory)、又はRAM(Random Access Memory)等の主記憶装置32と、ハードディスクドライブ(Hard
Disk Drive)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、又はSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置33と、キーボード、マウス、カードリーダ、若しくはタッチパネル等の入力装置34と、又は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display: LCD)、音声出
力装置(スピーカ)、若しくは印字装置等の出力装置35と、ネットワークインタフェースカード(Network Interface Card: NIC)、無線通信モジュール、USB(Universal Serial Interface)モジュール、又はシリアル通信モジュール等の通信装置36とを備え
る。なお、各情報処理装置は、上記のような物理的なハードウェアを備える計算機であってもよいし、物理的な計算機を論理的に分割した計算機の単位(仮想サーバ)でもよい。また、各情報処理装置は、1台または複数の計算機クラスタ上で実行されるタスク(プロセスやコンテナ)であってもよい。
【0029】
上記各情報処理装置の機能は、各情報処理装置のハードウェアによって、又は、各情報処理装置のプロセッサ31が主記憶装置32又は補助記憶装置33に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。また上記のプログラムは、例えば、記録媒体に記録して配布することができる。
【0030】
次に、標準データモデル管理システム1で行われる処理について説明する。
【0031】
図4は、カスタマイズモデルに基づき標準データモデルを更新してカスタマイズモデル管理装置20に提供する処理である標準データモデル管理処理の一例を説明するフロー図である。標準データモデル管理処理は、例えば、標準データモデル更新支援装置10にユーザから所定の入力があった場合、又は所定のタイミング(例えば、所定の時刻、所定の時間間隔)で自動的に開始される。
【0032】
まず、標準データモデル更新支援装置10のカスタマイズモデル取得部11は、各カスタマイズモデル管理装置20からカスタマイズモデルを受信する(s1)。カスタマイズモデル記憶部13は、受信したカスタマイズモデルを記憶する。
【0033】
そして、標準データモデル更新支援装置10は、s1で受信したカスタマイズモデルに基づき標準データモデルを更新する標準データモデル更新処理s3を実行する。標準データモデル更新処理s3の詳細は後述する。
【0034】
標準データモデル更新支援装置10の標準データモデル記憶部12は、s3で更新した標準データモデルを記憶する(s5)。その後、標準データモデル更新支援装置10は、各カスタマイズモデル管理装置20からの要求に応じて、新たなカスタマイズモデルを作成する(s5)。
【0035】
この場合、標準データモデル更新支援装置10は、s5で記憶した更新後の標準データモデルに基づき、新たなカスタマイズモデルを作成するので、更新前の標準データモデルに基づきカスタマイズモデルを作成する場合に比べて、変更箇所が少なくなる。これにより、標準データモデル更新支援装置10のユーザは、カスタマイズモデルの作成に係る作業負荷を軽減できる。
以上で標準データモデル管理処理は終了する。
【0036】
以下、標準データモデル更新処理s3の詳細を説明する。
図5、6は、標準データモデル更新処理s3の詳細を説明するフロー図である(紙面の都合上2図に分けている)。
【0037】
図5に示すように、標準データモデル更新支援装置10の差分算出部14は、カスタマイズモデルの一つを選択する(s11)。そして、差分算出部14は、s11で選択したカスタマイズモデルと、標準データモデルとの間に存在するデータ構造上の差分(複数の差分がある場合はその複数の差分の全て)を特定する(s13)。
【0038】
例えば、差分算出部14は、s11で選択したカスタマイズモデルに含まれるデータベースと標準データモデルに含まれるデータベースとの差分(データベース単位の差分)、s11で選択したカスタマイズモデルに含まれる各データベースのデータ項目と標準データモデルに含まれる各データベースのデータ項目との差分(データ項目単位の差分)、及び、s11で選択したカスタマイズモデルに含まれる各データベースのデータ項目の属性と標準データモデルに含まれる各データベースのデータ項目の属性との差分(属性単位の差分)、等を特定する。
【0039】
差分算出部14は、s13で特定した差分のうち一つを選択し(s15)、選択した差分に係る変更度を算出する(s17)。
【0040】
例えば、差分算出部14は、選択した差分がデータ構造上重大でない場合は、その差分に係る変更度を1に設定する。重大でない差分は、例えば、標準データモデルとs11で選択したカスタマイズモデルとで共通するデータベース間において、データ項目の名称が両モデルで異なる場合、標準データモデルでは使用されるがカスタマイズモデルで使用されないデータ属性がある場合、標準データモデルでは他のデータベースから参照されるがカスタマイズモデルで参照されないデータベースがある場合、等である。なお、差分算出部14は、これらの差分の箇所それぞれに対して変更度1を設定する。
【0041】
また、例えば、差分算出部14は、選択した差分がデータ構造上中程度に重大である場合は、その差分に係る変更度を2に設定する。中程度に重大な差分は、例えば、標準データモデルとs11で選択したカスタマイズモデルとで共通するデータベース間において、データ属性が両モデルで異なる場合である。なお、差分算出部14は、これらの差分の箇所それぞれに対して変更度2を設定する。
【0042】
また、例えば、差分算出部14は、選択した差分がデータ構造上非常に重大である場合は、その差分に係る変更度を3に設定する。非常に重大な差分は、例えば、標準データモデルとs11で選択したカスタマイズモデルとで共通するデータベース間において、標準データモデルには存在しないがカスタマイズモデルに存在する追加的なデータ属性がある場合、又は、標準データモデルには存在しないがカスタマイズモデルに存在する追加的なデータベースがある場合、等である。なお、差分算出部14は、これらの差分の箇所それぞれに対して変更度1を設定する。
【0043】
なお、ここで説明した差分の内容と変更度との対応は一例である。また、この対応関係は、自動的に設定されてもよいし、ユーザにより設定してもよい。
【0044】
図7は、差分の内容と変更度との対応をユーザが設定するための変更度設定画面300の一例を示す図である。変更度設定画面300は、変更度が設定される差分の内容表示欄301と、内容表示欄301に対応する変更度の入力欄302とを備える。
【0045】
次に、図5に示すように差分算出部14は、s17の処理を、s13で特定した全ての差分について実行する(s19)。
【0046】
差分算出部14は、s19までの処理により算出された各変更度を合計することで、s11で選択したカスタマイズモデルが有する変更度(以下、総合変更度という)を算出する(s21)。
【0047】
差分算出部14は、s21の処理を、全てのカスタマイズモデルについて実行する(s23)。
【0048】
差分算出部14は、s23までの処理で算出した各カスタマイズモデルの総合変更度の平均値を算出することで、全カスタマイズモデルの総合変更度の平均値である基準変更度を算出する(s25)。
【0049】
他方、図6に示すように、最適更新データ特定部15は、s13の処理で特定した差分(標準データモデルに対する差分)に基づき、各カスタマイズモデルについて、差分(相違部分)の集合(以下、それぞれ差分群という)を生成する(s31)。
【0050】
最適更新データ特定部15は、生成した差分群のうち一つを選択する(s33)。そして、最適更新データ特定部15は、選択した差分群を標準データモデルに適用することにより、暫定的な新たな標準データモデル(以下、仮標準データモデルという)を生成する(s35)。
【0051】
最適更新データ特定部15は、s35で生成した仮標準データモデルと、各カスタマイズモデルとの間の差分を特定することで、各カスタマイズモデルについて、仮標準モデルのカスタマイズモデルに対する変更度(以下、仮変更度という)を算出する(s37)。なお、仮変更度の算出方法は、s17と同様である。
【0052】
そして、最適更新データ特定部15は、s37で算出した仮変更度の全カスタマイズモデルにおける平均値(以下、仮基準変更度という)を算出する(s37)。最適更新データ特定部15は、算出した仮基準変更度が、s25で算出した基準変更度より小さいか否かを判定し、算出した仮基準変更度が基準変更度より小さい場合は、s33で選択した差分群を、現在の標準データモデルと新たな標準モデルとの相違部分(以下、反映候補又は最適更新データという)として記憶する(s37)。
【0053】
最適更新データ特定部15は、s37までの処理を、全てのカスタマイズモデルの差分群について実行する(s39)。
【0054】
なお、最適更新データ特定部15は、s39までの処理で記憶した各反映候補のうち競合する差分を有する反映候補(競合候補)がある場合(例えば、複数の反映候補が同一のデータ項目に関する差分を有する場合)は、それらの競合候補のうち一つのみを反映候補とする(s41)。すなわち、最適更新データ特定部15は、他の競合候補を除外することで仮基準変更度が最も小さくなる競合候補を特定し、特定した競合候補以外の当該他の競合候補を、反映候補から除外する。
【0055】
例えば、最適更新データ特定部15は、共通するデータ項目を差分として有する競合候補を検索し、各競合候補について、その競合候補以外を除外した場合の仮基準変更度を算出する。そして、最適更新データ特定部15は、仮基準変更度が最も小さくなる競合候補を反映候補として確定し、その他の競合候補は反映候補から除外する。
【0056】
その後、標準データモデル更新部16は、s41で決定した反映候補を標準データモデルに適用することで、新たな標準データモデルを生成する、すなわち標準データモデルを更新する(s43)。なお、標準データモデル更新部16は、s41で決定した反映候補を実際に新たな標準データモデルに反映させるか否かを確認するための問い合わせ画面を表示し、ユーザに反映の有無を入力させるようにしてもよい。
【0057】
なお、出力部18は、s41で決定した反映候補に関する情報、及び、s43で生成した新たな標準データモデルに関する情報を表示する(s45)。なお、出力部18は、各カスタマイズモデルに係る変更度の値を表示してもよい。
以上で標準データモデル更新処理s3は終了する。
【0058】
以上のように、本実施形態の標準データモデル更新支援装置10は、各カスタマイズモデルの標準データモデルからの差分をそれぞれ算出し、カスタマイズモデルと更新後の標準データモデルとの間のデータ構造上の差分が最も小さくなるような、各カスタマイズモデルと標準データモデルとの相違部分(最適更新データ又は反映候補)を上記差分に基づき特定し、特定した最適更新データを標準データモデルに適用することにより標準データモデルを更新する。
【0059】
このように、各カスタマイズモデルのデータ構造を反映して更新された標準データモデルを作成することで、標準データモデルに基づきカスタマイズモデルを作成するサービス事業者は、カスタマイズモデルを作成する際、標準データモデルの設計変更の作業量を少なくすることができる。すなわち、本実施形態の標準データモデル更新支援装置10によれば、カスタマイズモデルを作成する企業等が行うデータモデルの設計の負担を低減することが可能な標準データモデルを作成することができる。
【0060】
また、本実施形態の標準データモデル更新支援装置10は、カスタマイズモデル又は標準データモデルのデータベース、データ項目、又はデータ属性に基づき、各カスタマイズモデルの変更度を算出する。これにより、カスタマイズモデルと標準データモデルとの間のデータ構造上の重要な点を正確に反映した、標準データモデルの更新を行うことができる。
【0061】
また、本実施形態の標準データモデル更新支援装置10は、カスタマイズモデルが標準データモデルに対して追加的に備えるデータベースの有無、又は、カスタマイズモデルが標準データモデルに対して追加的に備えるデータベース上のデータ属性の有無に基づき変更度を算出する。これにより、例えば、カスタマイズモデルから標準データモデルへの変更がデータ構造上必ずしも重要なものでない場合に、その限度で標準データモデルの更新に当該変更を反映させることができる。
【0062】
また、本実施形態の標準データモデル更新支援装置10は、カスタマイズモデルが備えるデータベースのデータ属性の型と標準データモデルが備えるデータベースのデータ属性の型との差異の有無に基づき変更度を算出する。これにより、例えば、カスタマイズモデルから標準データモデルへの変更がデータ構造上比較的重要なものである場合に、その旨を標準データモデルの更新に反映させることができる。
【0063】
また、本実施形態の標準データモデル更新支援装置10は、カスタマイズモデルが備えるデータベースのデータ項目の名称と標準データモデルが備えるデータベースのデータ項目の名称との差異の有無、標準データモデルが使用するがカスタマイズモデルが使用しないデータベースの有無、標準データモデルが使用するがカスタマイズモデルが使用しないデータベースのデータ項目の有無に基づき変更度を算出する。これにより、例えば、カスタマイズモデルから標準データモデルへの変更がデータ構造上非常に重要なものである場合に、その旨を標準データモデルの更新に反映させることができる。
【0064】
また、本実施形態の標準データモデル更新支援装置10は、標準データモデルからの差分の内容に対応する変更度の値の入力をユーザから受け付ける。これにより、標準データモデル及びカスタマイズモデルのデータ構造上の違いに応じた、標準データモデルの適切な更新を行うことができる。
【0065】
また、本実施形態の標準データモデル更新支援装置10は、最適更新データ又は更新後の標準データモデルを出力する。これにより、ユーザは、標準データモデルの更新内容について具体的に知ることができる。
【0066】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、任意の構成要素を用いて実施可能である。以上説明した実施形態や変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0067】
例えば、本実施形態の各装置が備える各機能の一部は他の装置に設けてもよいし、別装置が備える機能を同一の装置に設けてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、カスタマイズモデルと更新後の標準データモデルとの間のデータ構造上の差異が最も小さくなるような最適更新データを、変更度、基準変更度、仮変更度、及び仮基準変更度等によって算出したが、最適更新データの算出方法はこれに限られない。例えば、カスタマイズモデルの変更度の合計値に関する目的関数を生成し、この目的関数の値を最小にするような、カスタマイズモデルに係る差分の組み合わせを特定してもよい。
【0069】
また、本実施形態で説明した、各変更度の値とこれに対応する、データ構造上の差分の内容との関係は一例であり、その他の要素が考慮されてもよい。例えば、カスタマイズモデルに係るカスタマイズモデル管理装置20の種類(例えば、業務案件の種類)又は、データベースの種類に応じて、変更度に重み付けの数値を加えてもよい。また、あるデータベースから他のデータベースにデータを書き込む処理の部分が、標準データモデルに比べてカスタマイズモデルに対して追加されている場合は、その処理に係る部分の変更はデータ構造上重大(例えば、変更度3)としてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 標準データモデル管理システム、10 標準データモデル更新支援装置、14 差分算出部、15 最適更新データ特定部、16 標準データモデル更新部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7