IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 理想科学工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-認証装置、及び、プログラム 図1
  • 特開-認証装置、及び、プログラム 図2
  • 特開-認証装置、及び、プログラム 図3
  • 特開-認証装置、及び、プログラム 図4
  • 特開-認証装置、及び、プログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036098
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】認証装置、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20230307BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20230307BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
B41J29/38 350
B41J29/00 Z
G03G21/00 510
G03G21/00 390
B41J29/38 204
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142900
(22)【出願日】2021-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】坂入 滋高
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR01
2C061CL08
2C061HK05
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
2H270NA04
2H270NA08
2H270NC01
2H270RA08
2H270RA24
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZD04
(57)【要約】
【課題】認証装置及びプログラムにおいて、装着された消耗品に応じてメンテナンスモードのセキュリティレベルを変更する。
【解決手段】印刷装置1(認証装置の一例)は、消耗品100が装着される印刷装置1であって、メンテナンスモードを制御するメンテナンスモード制御部51と、印刷装置1に対する消耗品100の適合度を判別する適合度判別部52とを備える。メンテナンスモード制御部51は、適合度判別部52により判別された適合度に基づいて(ステップS5)、メンテナンスモードのセキュリティレベルを変更する(ステップS8,S10)。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品が装着される認証装置であって、
メンテナンスモードを制御するメンテナンスモード制御部と、
前記認証装置に対する前記消耗品の適合度を判別する適合度判別部とを備え、
前記メンテナンスモード制御部は、前記適合度判別部により判別された前記適合度に基づいて、前記メンテナンスモードのセキュリティレベルを変更する
ことを特徴とする認証装置。
【請求項2】
前記メンテナンスモード制御部は、前記適合度判別部により判別された前記適合度が第1の基準を満たさない場合、前記メンテナンスモードを実行するためのパスワードの変更要求を行う
ことを特徴とする請求項1記載の認証装置。
【請求項3】
前記メンテナンスモード制御部は、前記適合度判別部により判別された前記適合度が第2の基準を満たさない場合、前記メンテナンスモードにおいて前記認証装置の動作を制限する設定変更を実行可能にする
ことを特徴とする請求項1又は2記載の認証装置。
【請求項4】
消耗品が装着される認証装置に対する前記消耗品の適合度を判別する機能と、
判別された前記適合度に基づいて、前記認証装置のメンテナンスモードのセキュリティレベルを変更する機能と
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗品が装着される認証装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置などのメンテナンスが行われる装置において、不適切なメンテナンスが行われると、装置の機能を十分に発揮できなかったり、装置の故障や動作不良を招いたりし得る。そのため、メンテナンスモードの実行を許可するためのパスワードが設定される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-258770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、消耗品が装着される印刷装置等の認証装置には、適合度が高い消耗品(例えば、インクが充填されたインク容器)のみならず、適合度が低い消耗品が装着される場合がある。適合度が低い消耗品が認証装置に装着された場合には、適切なメンテナンスを行うことが困難であり、上述のように、装置の機能を十分に発揮できなかったり、装置の故障や動作不良を招いたりしやすい。したがって、適合度が低い消耗品が認証装置に装着された場合には、適切でない者による不利なメンテナンスが実行されないように、メンテナンスモードのセキュリティレベルを高めることが望ましい。
【0005】
一方、適合度が高い消耗品が認証装置に装着されている場合には、適合度が低い消耗品の場合とは異なり、不適切なメンテナンスとなることが少ない。したがって、メンテナンスモードのセキュリティレベルを高めず、できるだけスムーズにメンテナンスモードの実行を許可することがユーザ利便性につながる。
【0006】
本発明は、装着された消耗品に応じてメンテナンスモードのセキュリティレベルを変更することができる認証装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、認証装置は、消耗品が装着される認証装置であって、メンテナンスモードを制御するメンテナンスモード制御部と、前記認証装置に対する前記消耗品の適合度を判別する適合度判別部とを備え、前記メンテナンスモード制御部は、前記適合度判別部により判別された前記適合度に基づいて、前記メンテナンスモードのセキュリティレベルを変更する。
【発明の効果】
【0008】
前記態様によれば、装着された消耗品に応じてメンテナンスモードのセキュリティレベルを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施の形態における印刷装置を示すブロック図である。
図2】一実施の形態におけるメンテナンスモードを説明するためのフローチャートである。
図3】一実施の形態におけるパスワード入力画面を示す図である。
図4】一実施の形態におけるメンテナンスモード画面を示す図である。
図5】一実施の形態におけるパスワード変更画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態に係る認証装置及びプログラムについて、認証装置の一例を印刷装置として、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、一実施の形態における印刷装置1を示すブロック図である。
【0012】
印刷装置1は、媒体供給部10と、搬送部20と、印刷部30と、媒体排出部40と、制御部50と、記憶部60と、操作パネル70と、通信部80とを備え、消耗品100が装着される。印刷装置1は、消耗品100が装着される認証装置の一例である。なお、消耗品100は、例えばインク(インク容器)や孔版印刷用マスタなどであるが、認証装置が印刷装置1以外の装置であれば、その他の任意の消耗品が用いられる。
【0013】
媒体供給部10は、用紙等の媒体が積載される積載台を有し、この積載台に積載された媒体を印刷装置1の内部に供給する。
【0014】
搬送部20は、例えば、ローラ、ベルトなどを有し、印刷装置1の内部において、媒体を搬送する。
【0015】
印刷部30は、搬送部20によって搬送される媒体に印刷を行う。印刷部30の印刷方式は、特に制限されないが、例えば、孔版印刷方式、インクジェット印刷方式などである。
【0016】
媒体排出部40は、媒体が積載され印刷装置1の外部に露出する積載台を有し、印刷部30による印刷が行われた媒体を積載台に排出する。
【0017】
制御部50は、例えば、印刷装置1の各部の動作を制御する演算処理装置として機能する1つ以上のプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有する。このプロセッサは、例えば、記憶部60から、或いは、印刷装置1に対して着脱可能な記憶媒体(非一過性のコンピュータ読取可能記録媒体)から、所定のプログラムを読み出して実行することにより、メンテナンスモード制御部51及び適合度判別部52として機能する。
【0018】
メンテナンスモード制御部51は、印刷装置1のメンテナンスモードを制御する。また、メンテナンスモード制御部51は、後述する適合度判別部52により判別された適合度に基づいて、メンテナンスモードのセキュリティレベルを変更する。詳しくは後述するが、一例としては、メンテナンスモード制御部51は、適合度が低い消耗品100が印刷装置1に装着されている場合には、メンテナンスモードを実行するためのパスワードの変更要求を行うことによってセキュリティレベルを高める。
【0019】
適合度判別部52は、印刷装置1に対する消耗品100の適合度を判別する。消耗品100がインク容器である場合を例にとると、印刷装置1の特性(対象用紙、対象インク(油性、水性など)、各部材(ヘッドノズルの吐出性など)の耐久性(耐熱性)、印刷通常動作状況による発熱状況等)から、印刷品質、故障防止などを保証する保証インク特性(粘度、顔料分散性など)が予め決められている(保証する範囲、印刷品質劣化が起こる範囲、装置故障或いは動作不良が起こる範囲などが実験的に求められている)。また、消耗品100に収容されたインクの実際のインク特性(粘度、顔料分散性など)は、ICタグ110の記憶部112に格納される。使用地域に応じて電源電圧が100V、200Vと異なり、それに応じて印刷装置1内での発生熱が異なるので、実際のインク特性には耐熱性も含まれる。印刷装置1に消耗品100が挿入され、タグ情報が読み込まれたときに、適合度判別部52は、読み込んだ実際のインク特性と、保証インク特性とを比較し(印刷装置1内のテーブルでの判定や差分パーセンテージによる閾値での判定など)、インク(消耗品100)の適合度を判別する。この適合度は、「高」(所定範囲内)、「中」(所定範囲外の小さな差分)、「低」(所定範囲外の大きな差分)などのように複数のランクにランク付けされてもよいし、数値で表されてもよい。また、ICタグ110の記憶部112に記憶された情報を取得できない場合には、適合度判別部52は、適合度が最も低い消耗品100とみなしてもよい。また、適合度判別部52は、消耗品100の記憶部112に記憶された情報以外の情報(例えば、撮像された外観情報など)に基づいて適合度を判別してもよい。また、印刷装置1に複数の消耗品100が装着されている場合には、適合度判別部52は、適合度が最も低い消耗品100に合わせて適合度を判別してもよいし、或いは、複数の消耗品100の適合度の平均をとるなどしてもよい。
【0020】
上述のメンテナンスモード制御部51及び適合度判別部52による処理を方法の観点から捉えると、メンテナンスモード制御方法は、印刷装置1(認証装置)に対する消耗品100の適合度を適合度判別部52によって判別し、この適合度判別部52により判別された適合度に基づいて、メンテナンスモード制御部51によってメンテナンスモードのセキュリティレベルを変更する。
【0021】
また、メンテナンスモード制御部51及び適合度判別部52による処理をプログラムの観点から捉えると、プログラムは、印刷装置1(認証装置)に対する消耗品100の適合度を判別する機能と、この判別された適合度に基づいて、メンテナンスモードのセキュリティレベルを変更する機能とをコンピュータ(例えば、印刷装置1の制御部50或いは制御部50のプロセッサ)に実行させる。
【0022】
記憶部60は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリや、ハードディスク装置などを有する。
【0023】
操作パネル70は、各種情報を表示するディスプレイである表示部71と、ユーザ(例えば、一般ユーザから選ばれてメンテナンスに関する基本操作が可能な一般保守員、専門知識・技能を備えた専門保守員など)による各種情報の入力を受け付ける入力部72とを有する。表示部71がタッチパネルを有する場合には、表示部71が入力部72を兼ねる。
【0024】
表示部71は、後述する図3図5に示す、パスワード入力画面71a、メンテナンスモード画面71b、パスワード変更画面71cなどを表示する。
【0025】
入力部72は、メンテナンスモードを実行するためのパスワードなどの入力を受け付ける。
【0026】
通信部80は、消耗品100の記憶部112に記憶された情報を読み取る。例えば、通信部80は、ICタグ110(通信部111)との通信が可能なアンテナやR/W(READER/WRITER)制御部などを含むR/W部と、ネットワークを介して無線で又は有線で接続されるユーザ端末などの各種機器との間での各種情報の授受を行うインターフェース部とを有する。
【0027】
消耗品100は、ICタグ110を備える。このICタグ110は、通信部111と、記憶部112とを有する。
【0028】
通信部111は、印刷装置1の通信部80との通信のためのアンテナを含む。なお、ICタグ110は、独自の電源を有さず、通信部80と共振周波数を同じくした内蔵アンテナを有するとよい。この場合、例えば、通信部80の内蔵アンテナに共振周波数の交流電流を流すと、電磁結合に基づく共振現象によりICタグ110の通信部111の内蔵アンテナに共振周波数の交流電流が発生し、通信部80と通信するのに十分な電力がICタグ110に供給される。この電力を用いて、ICタグ110は、記憶部112に対する消耗品100の情報の読み出し及び書き込みを行ったり、所謂パッシブ方式と呼ばれる公知の方式により、通信部80との間でデータ送受信を行ったりする。
【0029】
記憶部112は、消耗品100を一意に特定するID、消耗品100の属性データ(例えば、色、インク特性など)、消耗品100の残量情報などを記憶しているとよい。なお、通信部111及び記憶部112は、ICタグ110の図示しないICチップ等のプロセッサ(制御部)によって制御される。
【0030】
次に、メンテナンスモードについて、上述の説明と重複する事項については省略しながら説明する。
【0031】
図2は、メンテナンスモードを説明するためのフローチャートである。
【0032】
図2に示す処理は、例えば、消耗品100が印刷装置1に挿入(装着)されたとき、或いは印刷装置1の電源ON時などに開始する。
【0033】
まず、印刷装置1の通信部80は、消耗品100のICタグ110の記憶部112に記憶された情報を読み取る(ステップS1)。
【0034】
次に、メンテナンスモード制御部51は、メンテナンスモードへの遷移要求が行われたかの判定を繰り返す(ステップS2)。この遷移要求は、表示部71に認証パスワードのパスワード入力画面71aを表示するための所定の操作である。この所定の操作は、一例ではあるが、入力部72における予め定められた複数キーの押下などである。
【0035】
メンテナンスモード制御部51は、メンテナンスモードへの遷移要求が行われたと判定すると(ステップS2:YES)、表示部71に図3に示すパスワード入力画面71aを表示させる(ステップS3)。
【0036】
次に、メンテナンスモード制御部51は、入力部72においてユーザによって入力されたパスワードを取得する(ステップS4)。なお、入力されたパスワードがメンテナンス用の予め定められたパスワードと一致しなければ、その旨をユーザに報知し、例えば、上述のステップS2又はS3の処理から処理を繰り返せばよい。
【0037】
次に、メンテナンスモード制御部51は、適合度判別部52により判別された、印刷装置1に対する消耗品100の適合度が「高」、「中」、及び「低」のいずれかであるかを判定する(ステップS5)。なお、適合度判別部52が適合度を判別するのは、上述の通信部80によるタグ情報(ICタグ110の記憶部112に記憶された情報)の読み取り処理(ステップS1)の後に行われればよい。
【0038】
消耗品100が印刷装置1の適合品などで、適合度が「高」の場合(ステップS5:高)、メンテナンスモード制御部51は、メンテナンスモードを実行する(ステップS6)。このメンテナンスモードを実行する場合には、メンテナンスモード制御部51は、例えば、図4に示すメンテナンスモード画面71bを表示部71に表示させ、ユーザのメンテナンス項目(「No.11 ・・・」、「No.12 ・・・」、「No.13 ・・・」など)の選択を受け付けるとよい。メンテナンスモードが終了すると、図2に示す処理が終了する。なお、適合品とは、印刷装置1の動作や性能に適合して使用可能な消耗品100(例えば、インク)である。適合品以外の消耗品100(例えば、後述する適合度「低」の消耗品100)は、印刷装置1の動作や性能に適合して使用可能か否かの保証はないため、使用継続することで装置故障や印刷品質劣化の可能性が存在する。このため、適合品以外の消耗品100の場合には、装置故障(電圧など)にかかわるメンテナンスに関しては、専門保守員だけがメンテナンス実行可能なようしても良い。また、装置故障(電圧など)にかかわるメンテナンス以外のメンテナンスについては、専門保守員だけがメンテナンス実行可能なようしても良いし、一般保守員もメンテナンス実行可能なようにしても良い。
【0039】
適合度が「中」の場合(ステップS5:中。例えば、動作不良や故障は生じにくいが、印刷品質の劣化が起こり得る場合)、メンテナンスモード制御部51は、適合度が「高」の場合と同様に、メンテナンスモードを実行する(ステップS7)。
【0040】
その後、メンテナンスモード制御部51は、表示部71に図5に示すパスワード変更画面71cを表示させ、ユーザにパスワードの変更を要求する(ステップS8)。
【0041】
そして、メンテナンスモード制御部51は、変更後のパスワードが入力部72に入力され、パスワードが変更されたかを判定する(ステップS9)。パスワードが変更された場合(ステップS9:YES)、図2に示す処理が終了する。また、パスワードが変更されなければ(ステップS9:NO)、パスワード変更要求の処理(ステップS8)を繰り返す。
【0042】
適合度が「低」の場合(ステップS5:低。例えば、動作不良、故障、及び印刷品質の劣化が起こりやすい場合)、メンテナンスモード制御部51は、表示部71に図5に示すパスワード変更画面71cを表示させ、ユーザにパスワードの変更を要求する(ステップS10)。このパスワードは、セキュリティレベルを高めるために、桁数を初期桁数よりも増やしたものや使用する文字の種類を増やしたものなどであるとよい。なお、専門保守員以外(例えば、一般保守員)がセキュリティレベルを高めるためのパスワードの変更を行うことが望ましくない場合には、専門保守員であることが判明している場合(例えば、専門保守員用パスワードによる認証を要求し、認証が完了している場合など)に限って、パスワードの変更を行い、それ以外の場合には、メンテナンスモードを実行せずに図2に示す処理を終了するとよい。
【0043】
そして、メンテナンスモード制御部51は、変更後のパスワードが入力部72に入力され、パスワードが変更されたかを判定する(ステップS11)。パスワードが変更された場合(ステップS11:YES)、メンテナンスモード制御部51は、メンテナンスモードを実行する(ステップS12)。メンテナンスモードが終了すると、図2に示す処理が終了する。
【0044】
適合度が「低」の場合(第2の基準を満たさない場合の一例)のメンテナンスモードは、適合度が「高」及び「中」の場合と同様であってもよいが(例えば、駆動電圧・周波数、タイミングチャートの変更)、印刷装置1の動作を制限する設定変更を実行可能にするものであってもよい。例えば、印刷装置1の動作を制限する設定変更は、印刷速度を遅くする設定変更や、印刷濃度を遅くする設定変更などである。これにより、消耗品100の適合度が低い場合でも印刷装置1の故障や印刷物の品質劣化が起こらないようにできる。
【0045】
また、パスワードが変更されなければ(ステップS11:NO)、メンテナンスモード制御部51は、メンテナンスモードの実行を許可せず、次回起動時(例えば、メンテナンスモードへの遷移要求時)にパスワード変更を要求することに決定し(ステップS13)、図2に示す処理が終了する。すなわち、メンテナンスモード制御部51は、同じ消耗品100が継続使用される場合、変更後のパスワードを入力しないと、メンテナンスモードを実行することができないように設定する。なお、メンテナンスモード制御部51は、パスワードが変更されるまで、印刷装置1の使用(例えば、印刷動作)を停止してもよい。
【0046】
上述の説明では、適合度が「中」及び「低」の場合(第1の基準を満たさない場合の一例)、メンテナンスモード制御部51は、メンテナンスモードを実行するためのパスワードの変更要求(ステップS8,S10)を行うことによって、メンテナンスモードのセキュリティレベルを高める(変更する)。その他のメンテナンスモードのセキュリティレベルの変更の一例としては、適合度が「高」の場合にパスワードを簡易的なものにすることによってセキュリティレベルを低くすることも挙げられる。なお、セキュリティレベルの変更は、パスワードを変更することによるものに限られず、例えば、ユーザの認証カードを用いた認証を要求することによってセキュリティレベルを高くしたり、或いは、パスワードの入力を不要とすることによってセキュリティレベルを低くしたりすることなどの少なくとも1つによって行われてもよい。
【0047】
また、上述の説明では、メンテナンスモード制御部51は、メンテナンスモードを実行するためのパスワードの変更要求(ステップS8,S10)を行うが、消耗品100が印刷装置1に装着されてから2回目以降のメンテナンスモードへの遷移要求(ステップS2)があった場合には、図2に示すフローチャートの処理は省略し、メンテナンスモード制御部51は、所定のパスワードが入力された場合にメンテナンスモードの実行を許可するだけの処理を行ってもよい。
【0048】
また、上述の説明では、適合度を「高」、「中」、及び「低」の3ランクに分け、メンテナンスモード制御部51が3つのパターンで処理を行うが、適合度は2ランク又は4ランク以上に分けられ、メンテナンスモード制御部51が2パターン又は4以上のパターンで処理を行ってもよい。
【0049】
以上説明した本実施の形態では、消耗品100が装着される認証装置の一例である印刷装置1は、メンテナンスモードを制御するメンテナンスモード制御部51と、印刷装置1に対する消耗品100の適合度を判別する適合度判別部52とを備える。メンテナンスモード制御部51は、適合度判別部52により判別された適合度に基づいて、メンテナンスモードのセキュリティレベルを変更する。また、他の観点では、プログラムは、消耗品100が装着される認証装置の一例である印刷装置1に対する消耗品100の適合度を判別する機能と、判別された適合度に基づいて、印刷装置1のメンテナンスモードのセキュリティレベルを変更する機能とをコンピュータに実行させる。
【0050】
適合度が低い消耗品100が印刷装置1に装着された場合には、適切なメンテナンスを行うことが相対的に困難であり、適合度が高い消耗品100が印刷装置1に装着された場合には、適切なメンテナンスを行うことが相対的に容易である。そのため、適合度が低い消耗品100が印刷装置1に装着された場合には、適切なメンテナンスを行うことができずに、印刷装置1の機能を十分に発揮できなかったり、印刷装置1の故障や動作不良を招いたりしやすい。本実施の形態によれば、適合度が低い消耗品100が印刷装置1に装着された場合には、メンテナンスモードのセキュリティレベルを高め、パスワードを見抜いた不適合者による不適切なメンテナンスを防ぎ、印刷装置1の機能を十分に発揮させたり、印刷装置1の故障や動作不良の発生を抑制したりすることができる。また、適合度が高い消耗品100が印刷装置1に装着された場合には、不適切なメンテナンスとなることが少ないため、メンテナンスモードのセキュリティレベルを高めず、できるだけスムーズにメンテナンスモードの実行を許可することで、ユーザ利便性を高めることができる。以上のように、本実施の形態によれば、装着された消耗品100に応じてメンテナンスモードのセキュリティレベルを変更することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、メンテナンスモード制御部51は、適合度判別部52により判別された適合度が第1の基準を満たさない場合(例えば、適合度が「中」及び「低」の場合)、メンテナンスモードを実行するためのパスワードの変更要求を行う(ステップS8,S10)。
【0052】
そのため、パスワードの変更によって、メンテナンスモードのセキュリティレベルを確実に高めることができる。
【0053】
また、本実施の形態では、メンテナンスモード制御部51は、適合度判別部52により判別された適合度が第2の基準を満たさない場合(例えば、適合度が「低」の場合)、メンテナンスモードにおいて印刷装置1の動作を制限する設定変更(例えば、印刷速度を遅くする設定変更や、印刷濃度を遅くする設定変更など)を実行可能にする(ステップS12)。
【0054】
そのため、印刷装置1に対する消耗品100の適合度が、印刷装置1の機能を十分に発揮できなかったり印刷装置1の故障や動作不良を招いたりしやすい場合に、印刷装置1の動作を制限することによって、印刷装置1の機能を十分に発揮できなかったり印刷装置1の故障や動作不良を招いたりするのを抑制することができる。
【0055】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0056】
[付記1]
消耗品が装着される認証装置であって、
メンテナンスモードを制御するメンテナンスモード制御部と、
前記認証装置に対する前記消耗品の適合度を判別する適合度判別部とを備え、
前記メンテナンスモード制御部は、前記適合度判別部により判別された前記適合度に基づいて、前記メンテナンスモードのセキュリティレベルを変更する
ことを特徴とする認証装置。
【0057】
[付記2]
前記メンテナンスモード制御部は、前記適合度判別部により判別された前記適合度が第1の基準を満たさない場合、前記メンテナンスモードを実行するためのパスワードの変更要求を行う
ことを特徴とする付記1記載の認証装置。
【0058】
[付記3]
前記メンテナンスモード制御部は、前記適合度判別部により判別された前記適合度が第2の基準を満たさない場合、前記メンテナンスモードにおいて前記認証装置の動作を制限する設定変更を実行可能にする
ことを特徴とする付記1又は2記載の認証装置。
【0059】
[付記4]
消耗品が装着される認証装置に対する前記消耗品の適合度を判別する機能と、
判別された前記適合度に基づいて、前記認証装置のメンテナンスモードのセキュリティレベルを変更する機能と
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0060】
1 印刷装置
10 媒体供給部
20 搬送部
30 印刷部
40 媒体排出部
50 制御部
51 メンテナンスモード制御部
52 適合度判別部
60 記憶部
70 操作パネル
71 表示部
71a パスワード入力画面
71b メンテナンスモード画面
71c パスワード変更画面
72 入力部
80 通信部
100 消耗品
110 ICタグ
111 通信部
112 記憶部

図1
図2
図3
図4
図5