(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036122
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】添加剤混合装置及び発泡樹脂成形体製造装置
(51)【国際特許分類】
B01F 35/71 20220101AFI20230307BHJP
B01F 35/90 20220101ALI20230307BHJP
C08J 9/12 20060101ALI20230307BHJP
B29C 39/24 20060101ALI20230307BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20230307BHJP
B29C 44/36 20060101ALI20230307BHJP
B01F 23/40 20220101ALI20230307BHJP
B01F 25/00 20220101ALI20230307BHJP
【FI】
B01F15/02 A
B01F15/06 Z
C08J9/12 CFF
B29C39/24
B29C44/00 A
B29C44/36
B01F3/08
B01F5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142951
(22)【出願日】2021-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000113517
【氏名又は名称】BASF INOACポリウレタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真和
【テーマコード(参考)】
4F074
4F204
4F214
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4F074AA78
4F074BA32
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4F074CC64X
4F204AA42
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4G035AB37
4G035AC50
4G037AA02
4G037AA18
4G037CA11
4G037CA18
4G037DA18
(57)【要約】
【課題】第1液と添加剤との混合具合を安定させることができる添加剤混合装置を提供する。
【解決手段】本実施形態の添加剤混合装置50では、第1液が流れる第1流路14に、添加剤供給装置20から液化二酸化炭素が投入される連絡流路19が分岐して設けられている。本実施形態では、第1流路14を遮断して第1液が連絡流路19に流れる第2流れ状態から連絡流路19を遮断して第1液が第1流路14に流れる第1流れ状態に切り替えて連絡流路19に液化二酸化炭素を投入した後、第2流れ状態に戻すサイクル動作が繰り返される。これにより、連絡流路19に投入された液化二酸化炭素を1サイクル毎に連絡流路19から押し流して第1流路14に供給することができ、連絡流路19内の液化二酸化炭素の残留を抑えて第1液と液化二酸化炭素との混合具合を安定させることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液が流れる第1流路の第1位置とそれより下流側の第2位置との間を連絡する連絡流路に、添加剤供給装置にて添加剤を投入して前記第1液に混合する添加剤混合装置であって、
前記第1液が、前記第1位置から前記連絡流路より前記第1流路に多く流れる第1流れ状態と、前記第1位置から前記第1流路より前記連絡流路に多く流れる第2流れ状態とに切り替える流れ切替装置と、
前記第2流れ状態から前記第1流れ状態に切り替えて、前記添加剤を前記連絡流路に投入した後、前記第2流れ状態に戻すサイクル動作を繰り返すように前記添加剤供給装置と前記流れ切替装置とを制御する制御部と、を備える添加剤混合装置。
【請求項2】
前記添加剤は、液状の物理発泡剤であり、前記添加剤供給装置により気化を抑えられた圧力で前記連絡流路に注入され、
前記第1液は、前記添加剤の気化を抑える圧力で前記第1流路及び前記連絡流路に流される請求項1に記載の添加剤混合装置。
【請求項3】
前記添加剤の気化を抑えた加圧状態にして貯留しかつその添加剤を前記連絡流路に供給可能な圧力容器と、
前記圧力容器を加熱及び冷却するヒーター及びクーラーの一方又は両方を有する温度調整機器と、
前記圧力容器から排出される前記添加剤の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサにより検出される圧力が、前記添加剤の気化を抑える圧力として予め設定された第1圧力になるように前記温度調整機器の出力を制御する出力制御部と、を備える請求項2に記載の添加剤混合装置。
【請求項4】
前記温度調整機器は、前記圧力容器を収容するボックスを有し、前記ボックス内を加熱又は冷却する請求項3に記載の添加剤混合装置。
【請求項5】
前記流れ切替装置には、前記第1流路又は前記連絡流路の圧力低下の異常に応じて前記連絡流路を前記第1流路から遮断する連絡流路用遮断弁が含まれている請求項1から4の何れか1の請求項に記載の添加剤混合装置。
【請求項6】
前記添加剤は、液状の物理発泡剤であり、
前記添加剤供給装置は、前記添加剤の気化を抑える圧力として予め設定された第1圧力で前記添加剤を貯留する圧力容器と、前記圧力容器と前記連絡流路との間に設けられる注入用開閉弁と、前記連絡流路から前記一定量の液体を吸引してからその液体を前記連絡流路に排出するシリンダピストン装置と、を含み、
前記第1液は、前記第1圧力以上の圧力で前記第1流路及び前記連絡流路に流され、
前記流れ切替装置は、前記第1流れ状態で、前記連絡流路のうち前記添加剤供給装置が接続される装置接続部に対して、前記第1位置及び前記第2位置の両側から前記第1液が流れ込まないように前記連絡流路を前記第1流路から遮断した第1閉鎖状態と、前記装置接続部から前記第2位置側への排出のみを許容する第2閉鎖状態とに切り替わり可能とされ、
前記制御部は、前記第1流れ状態かつ前記第1閉鎖状態で前記注入用開閉弁を開いて前記シリンダピストン装置に吸引動作を行わせた後、前記第1流れ状態かつ前記第2閉鎖状態で、前記注入用開閉弁を閉じて前記シリンダピストン装置に排出動作を行わせてから前記第2流れ状態に切り替わるように、前記添加剤供給装置と前記流れ切替装置とを制御する請求項1から5の何れか1の請求項に記載の添加剤混合装置。
【請求項7】
前記流れ切替装置は、前記連絡流路のうち前記装置接続部より上流側に配置され、前記制御部の指令に応じて開閉駆動される上流側駆動弁を含んでいる請求項6に記載の添加剤混合装置。
【請求項8】
前記流れ切替装置は、前記連絡流路のうち前記装置接続部より下流側に配置され、前記連絡流路から前記第1流路への流れのみを許容する下流側逆止弁を含んでいる請求項6又は7に記載の添加剤混合装置。
【請求項9】
前記注入用開閉弁は、前記制御部の指令に応じて開閉駆動される注入用駆動弁であって、
前記制御部は、前記シリンダピストン装置に吸引動作を行わせるときにのみ前記注入用駆動弁を開状態に制御する請求項6から8の何れか1の請求項に記載の添加剤混合装置。
【請求項10】
前記流れ切替装置は、前記連絡流路のうち前記装置接続部より下流側に配置され、前記制御部の指令に応じて開閉駆動される下流側駆動弁を含み、
前記制御部は、前記注入用開閉弁が閉状態のときにのみ前記下流側駆動弁を開状態に制御する請求項6から9の何れか1の請求項に記載の添加剤混合装置。
【請求項11】
前記流れ切替装置には、前記第2流れ状態で前記第1位置から前記第1流路への前記第1液の流れを遮断する第1流路用遮断弁が含まれている請求項6から10の何れか1の請求項に記載の添加剤混合装置。
【請求項12】
前記流れ切替装置には、前記第1流れ状態から前記第2流れ状態に切り替わるときに前記第1位置から前記第1流路への前記第1液の流れを絞る第1流路用絞り弁が含まれている請求項6から10の何れか1の請求項に記載の添加剤混合装置。
【請求項13】
請求項6から12の何れか1の請求項に記載の添加剤混合装置と、
前記第1流路のうち前記第2位置の下流側の第3位置に接続され、第2液が流される第2流路と、を備え、
前記添加剤を含んだ前記第1液と前記第2液とから発泡樹脂成形体を生成する発泡樹脂成形体製造装置。
【請求項14】
前記第1液及び前記第2液の一方は、ポリオールを主成分とする第1ウレタン原液であり、他方は、ポリイソシアネートを主成分とする第2ウレタン原液であり、前記添加剤を含んだ前記第1液と前記第2液とからポリウレタンフォームを生成する特徴13に記載の発泡樹脂成形体製造装置。
【請求項15】
前記第1流路に前記第1液を送給する第1送給ポンプと、
前記第2流路に前記第2液を送給する第2送給ポンプと、
前記第1流路の末端に設けられ、前記第1液と前記第2液の混合液を吐出させるか否かを操作するためのトリガを有する吐出ガンと、を備え、
前記第1送給ポンプ及び前記第2送給ポンプは、前記トリガの操作に起因して作動又は停止し、
前記制御部は、前記添加剤供給装置及び前記流れ切替装置を前記第1送給ポンプに連動させるように制御する請求項13又は14に記載の発泡樹脂成形体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体に添加剤を投入して混合する添加剤混合装置及び、それを備えた発泡樹脂成形体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の添加剤混合装置として、第1液が流れる流路に添加剤を投入するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-50228号公報(段落[0038]及び
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した添加剤混合装置に対し、第1液と添加剤の混合具合を安定させる技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた態様1の発明に係る添加剤混合装置は、第1液が流れる第1流路の第1位置とそれより下流側の第2位置との間を連絡する連絡流路に、供給装置にて添加剤を投入して前記第1液に混合する添加剤混合装置であって、前記第1液が、前記第1位置から前記連絡流路より前記第1流路に多く流れる第1流れ状態と、前記第1位置から前記第1流路より前記連絡流路に多く流れる第2流れ状態とに切り替える流れ切替装置と、前記第2流れ状態から前記第1流れ状態に切り替えて、前記添加剤を前記連絡流路に投入した後、前記第2流れ状態に戻すサイクル動作を繰り返すように前記添加剤供給装置と前記流れ切替装置とを制御する制御部と、を備える添加剤混合装置サイクル動作を繰り返すように前記供給装置と前記流れ切替装置とを制御する制御部と、を備える添加剤混合装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の一実施形態に係る発泡樹脂成形体製造装置を示す概略図
【
図3】シリンダピストン装置の(A)側断面図、(B)A-A断面図
【
図6】(A)第1原液供給装置から開始信号を受信する前、(B)第1流れ状態に切り替えたとき、の添加剤混合装置の状態を示す図
【
図7】(A)下流側駆動弁が閉じて注入用駆動弁が開いたとき、(B)ピストンが上昇しているとき、の添加剤混合装置の状態を示す図
【
図8】(A)ピストンが上昇しているとき、(B)注入用駆動弁が閉じて下流側駆動弁が開いたとき、の添加剤混合装置の状態を示す図
【
図9】(A)ピストンが下降しているとき、(B)第2流れ状態に切り替えたとき、の添加剤混合装置の状態を示す図
【
図10】他の実施形態に係るシリンダピストン装置の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、
図1~
図9を参照して、本開示の添加剤混合装置50を有する発泡樹脂成形体製造装置10について説明する。本実施形態の発泡樹脂成形体製造装置10は、ポリウレタンフォームの製造装置であり、ポリウレタンフォームの原料である、ポリオールを主成分とする第1ウレタン原液である第1液と、ポリイソシアネートを主成分とする第2ウレタン原液である第2液とを、例えば、現場で混合して施工対象物に吹き付けて発泡成形させるものである。
図1に示すように、発泡樹脂成形体製造装置10は、第1液を供給する第1原液供給装置11と、第2液を供給する第2原液供給装置15と、第1液と第2液とを混合及び吐出する混合吐出部70と、を有している。また、第1原液供給装置11には、添加剤供給装置20が接続されていて、第1液に添加剤が供給されるようになっている。
【0008】
ここで、第1液と第2液は、混合することにより二酸化炭素が発生し、この二酸化炭素によりウレタン樹脂に気泡構造が形成される(化学発泡)。本実施形態では、添加剤として物理発泡剤を添加することによって、さらに気泡構造の生成を促す。本実施形態では、物理発泡剤として液化二酸化炭素を用い、液化二酸化炭素の気化を利用して発泡させる。つまり、液化二酸化炭素は、第1液と第2液が反応を開始するまでは、気化を抑えた加圧状態に保たれる必要があり、第1液も液化二酸化炭素の蒸気圧以上の圧力に保たれる必要がある。なお、物理発泡剤として液化二酸化炭素を用いたことにより、ポリウレタンフォームのセル径が小さくなり、断熱効果の向上が図られる。また、初期の発泡特性(泡化特性)が良好となるので、使用原料の削減を図ることが可能となる。
【0009】
第1原液供給装置11は、第1液を貯留する第1原液タンク12と、第1原液タンク12から延びて混合吐出部70に連絡する第1流路14とを有している。第1原液供給装置11は、第1送給ポンプ13によって第1原液タンク12から所定量の第1液を第1流路14に圧送し、混合吐出部70に供給する。第1送給ポンプ13は、第1液の圧力P1を、例えば、7[MPa]に保っている。なお、本実施形態では、第1流路14の長さは、60[m]~150[m]となっている。
【0010】
第2原液供給装置15は、第1原液供給装置11と同様の構成を有し、第2液を貯留する第2原液タンク16と、第2原液タンク16から延びて混合吐出部70に連絡する第2流路18とを有している。第2原液供給装置15は、第2送給ポンプ17によって第2原液タンク16から所定量の第2液を第2流路18に圧送し、混合吐出部70に供給する。なお、本実施形態では、第2送給ポンプ17は、第2液の圧力を第1液と同じ7[MPa]に保っているが、第1液と異なる圧力でもよい。
【0011】
混合吐出部70は、第1液と第2液を混合して吐出させる、所謂、吐出ガンであって、図示しないトリガを有し、トリガを引くと第1液及び第2液を混合すると同時に図示しないノズルから吐出する。このとき、第1流路14及び第2流路18の圧力が低下し、第1送給ポンプ13及び第2送給ポンプ17が作動する。そして、トリガを戻すと吐出が止まると共に、第1送給ポンプ13及び第2送給ポンプ17が停止する。なお、第1液と第2液は混合すると反応が開始するため、混合と同時に吐出して、施工対象物に吹き付ける。そして、第1液と第2液の反応が終了するとポリウレタンフォームが形成される。第1液に添加した液化二酸化炭素は、吐出直後に圧力が開放されることで気化し、前述したように、物理発泡として寄与する。なお、混合吐出部70は、特許請求の範囲の「第3位置」に相当する。
【0012】
さて、本実施形態の第1原液供給装置11の第1流路14には、
図1に示すように、第1位置14Aとそれより下流側の第2位置14Bとの間を連絡する連絡流路19が設けられている。これにより、第1原液タンク12から送給された第1液が混合吐出部70まで流れるルートとして、第1位置14Aから連絡流路19を通って、第2位置14Bで再び第1流路14に戻るルートと、連絡流路19を通らずにそのまま第1流路14を通るルートとが形成される。この連絡流路19に、前述の添加剤供給装置20が接続されている。そして、連絡流路19と、添加剤供給装置20と、第1流路14のうち第1位置14Aと第2位置14Bの間とで、本開示に係る添加剤混合装置50が構成されている。
【0013】
添加剤供給装置20は、
図2に示すように、液化二酸化炭素を貯留する添加剤貯留部22と、液化二酸化炭素を一定量計量して吐出するシリンダピストン装置40と、添加剤貯留部22とシリンダピストン装置40との間を接続する添加剤導入路23と、を有している。
【0014】
添加剤貯留部22は、液化二酸化炭素を貯留する圧力容器21と、圧力容器21を収納する保温庫24を備えている。圧力容器21は、予め設定された第1圧力で液化二酸化炭素を液相に保っている。保温庫24には、クーラー及びヒーターと、これらを制御する図示しない出力制御部と、を有する温度調整機器26が備えられている。出力制御部は、後述する添加剤導入路23に備えた圧力センサ27Pにより検出された圧力が、第1圧力より小さい場合には、クーラーを停止してヒーターを作動し、第1圧力より大きい場合には、ヒーターを停止してクーラーを作動し、液化二酸化炭素の圧力が第1圧力になるように制御する。本実施形態では、第1圧力は5.6[MPa]であり、このときの液化二酸化炭素の温度は20[℃]である。
【0015】
なお、保温庫24には、図示しない温度センサが備えられていて、出力制御部は、設定温度(本実施形態では、20[℃])以下となると、クーラーを停止して過冷却を抑制する一方、設定温度以上となるとヒーターを停止し過昇温を抑制するように制御する。保温庫24は、特許請求の範囲の「ボックス」に相当する。
【0016】
また、保温庫24は、断熱材が設けられて保温性が保たれている。また、保温庫24には、圧力容器21の出し入れをするための図示しない扉が設けられていて、扉には、例えば、トリムシールが取り付けられて気密性が保たれている。
【0017】
添加剤導入路23は、圧力容器21の供給口21Aに接続されていて、供給口21Aとシリンダピストン装置40との間には、添加剤導入路23の一部を構成するマニホールド27が配設されている。マニホールド27は、添加剤導入路23から分岐した分岐配管23A,23Bと、圧力センサ27Pと、温度センサ27Tと、を備えている。
【0018】
分岐配管23A,23Bのうち上流側の分岐配管23Aは、安全弁28に接続され、下流側の分岐配管23Bは、ブローバルブ29に接続されている。安全弁28は、圧力センサ27Pにより検出された圧力が、第1圧力以上で開弁し、ブローバルブ29は、開弁状態で供給装置22内の液化二酸化炭素を放出する。なお、本実施形態では、安全弁28は、9[MPa]で開弁するように設定している。
【0019】
なお、本実施形態では、マニホールド27に図示しない冷却装置を備えている。冷却装置は、温度センサ27Tにより検出された温度に基づいて、マニホールド27の温度が設定温度となるように冷却される。ここで、前述したように、本実施形態では、保温庫24により液化二酸化炭素が液相に保持されているが、この冷却装置によっても、添加剤導入路23を流れる液化二酸化炭素がシリンダピストン装置40へ導入される前に気化することが抑制される。
【0020】
添加剤導入路23におけるマニホールド27より下流側には、注入用駆動弁30と、注入用逆止弁31とが、マニホールド27側から順に設けられている。注入用駆動弁30は、制御部60(
図4参照)によって開閉制御される。注入用逆止弁31は、シリンダピストン装置40から添加剤貯留部22への第1液、液化二酸化炭素及び第1液に液化二酸化炭素が添加された混合液の逆流を防止し、添加剤貯留部22からシリンダピストン装置40への流れのみを許容する。
【0021】
図3(A)及び
図3(B)に示すように、シリンダピストン装置40は、シリンダ41と、シリンダ41内を往復移動するピストン42とを備えている。シリンダ41には、第1吸入口41A、第2吸入口41B及び排出口43が備えられ、第1吸入口41Aは前述の添加剤導入路23に接続され、第2吸入口41B及び排出口43は、それぞれ、第1原液供給装置11の連絡流路19の上流側と下流側に接続されている(
図2参照)。具体的には、シリンダ41内には、軸方向に延びた圧力室40Aが形成され、その圧力室40Aの一端部と交差する交差孔40Bに、第1吸入口41A、第2吸入口41B及び排出口43が連通している。第1吸入口41A、第2吸入口41B及び排出口43が、特許請求の範囲の「装置接続部」に相当する。
【0022】
ピストン42は、圧力室40Aの内周面と摺接し、ピストン42の先端部が圧力室40Aの一端部と他端部との間を直線移動するようになっている。詳細には、ピストン42は、大径部44の先端から先端小径部45が突出した段付き構造になっていて、シリンダ41内には、圧力室40Aの他端部に連通して大径部44を受容する受容部屋46が形成されている。また、先端小径部45には、基端寄り位置に基端側を拡径する段差面45Mが形成されていて、段差面45Mより先端側が、シリンダ41内に固定されたブッシュ80内に挿入されている。そして、ピストン42は、通常は、先端小径部45の段差面45Mがブッシュ80に当接する下降端位置(
図3(A),(B)参照)に配置されている。そして、ピストン42が下降端位置から予め設定した距離だけ交差孔40Bから離れる方向に上昇したときに上昇端位置(
図8(B)参照)に配置される。
【0023】
本実施形態のシリンダピストン装置40では、後に詳説するように、ピストン42が下降端位置から上昇端位置へ上昇するときに、第1吸入口41Aからシリンダ41内に所定量の液化二酸化炭素が吸入される。なお、先端小径部45及び圧力室40Aの軸方向の長さは、ピストン42が上昇端位置に配置された状態で、先端小径部45の先端面45Mが圧力室40Aに受容されるように設定されている。なお、本実施形態では、シリンダピストン装置40としてエアシリンダを用いて、そのストロークを調整することによりピストン42のストロークが変化し、液化二酸化炭素の添加量を調整する。
【0024】
ここで、本実施形態では、前述したように、シリンダ41の第2吸入口41Bが第1原液供給装置11の連絡流路19の上流側に接続されており、第1流路14の第1位置14Aからシリンダ41の圧力室40A内に第1液が導入されるようになっている。これにより、ピストン42が下降端位置から上昇端位置へ上昇して、第1吸入口41Aからシリンダ41内に所定量の液化二酸化炭素が吸入されたときに、圧力室40A内で第1液に液化二酸化炭素が混合される。そして、ピストン42が上昇端位置から下降端位置へ下降するときに、第1液に液化二酸化炭素が添加された混合液が排出口43から吐出される。第1液に液化二酸化炭素が添加された混合液は、連絡流路19を通って、第2位置14Bで第1流路14に供給される(
図2参照)。
【0025】
また、連絡流路19における排出口43より下流側には、
図2に示すように、下流側逆止弁32と、下流側駆動弁33とが、排出口43側から順に設けられている。下流側駆動弁33は、前述した注入用駆動弁30と同様に、制御部60(
図4参照)により開閉制御される。下流側逆止弁32は、第1流路14からシリンダピストン装置40への第1液及び、第1液に液化二酸化炭素が添加された混合液の逆流を防止し、シリンダピストン装置40から第1流路14への流れのみを許容する。なお、下流側駆動弁33及び下流側逆止弁32は、特許請求の範囲の「流れ切替装置」に相当する。
【0026】
また、連絡流路19における第2吸入口41Bより上流側には、
図2に示すように、上流側逆止弁34と、上流側駆動弁35とが、第2吸入口41B側から順に設けられている。上流側駆動弁35は、前述した注入用駆動弁30及び下流側駆動弁33と同様に、制御部60(
図4参照)により開閉制御される。上流側逆止弁34は、シリンダピストン装置40から第1流路14への第1液及び、第1液に液化二酸化炭素が添加された混合液の逆流を防止し、第1流路14からシリンダピストン装置40への流れのみを許容する。なお、上流側駆動弁35及び上流側逆止弁34は、特許請求の範囲の「流れ切替装置」に相当する。
【0027】
図2に示すように、連絡流路19におけるシリンダピストン装置40より上流側及び下流側には、連絡流路19の一部を構成するマニホールド36が配設されている。マニホールド36には、連絡流路19におけるシリンダピストン装置40より下流側の圧力を検出する圧力センサ36Pが備えられている。なお、上流側逆止弁34及び上流側駆動弁35は、連絡流路19におけるマニホールド36より下流側に配置され、下流側逆止弁32及び下流側駆動弁33は、連絡流路19におけるマニホールド36より上流側に配置されている。
【0028】
また、
図2に示すように、第1流路14における第1位置14Aと第2位置14Bとの間には、第1流路用遮断弁37が設けられている。第1流路用遮断弁37は、前述した注入用駆動弁30、下流側駆動弁33及び上流側駆動弁35と同様に、制御部60(
図4参照)によって開閉制御される。なお、第1流路用遮断弁37は、特許請求の範囲の「流れ切替装置」に相当する。
【0029】
図4には、添加剤混合装置50の電気的な構成が示されている。同図に示すように、添加剤混合装置50には、駆動弁制御部61と、シリンダピストン制御部62と、受信部63とを有する制御部60が設けられている。
【0030】
シリンダピストン制御部62は、シリンダピストン装置40を駆動制御する。具体的には、シリンダピストン制御部62は、位置センサ67により検出されるピストン42の位置に基づいて、駆動回路66を介して、ピストン42を駆動する。なお、位置センサ67は、シリンダピストン装置40に配設されている。
【0031】
駆動弁制御部61は、第1流路遮断弁37、上流側駆動弁35、下流側駆動弁33及び注入用駆動弁30を開閉制御する。具体的には、駆動弁制御部61は、圧力センサ36Pにより検出された圧力信号、即ち第1液の圧力P1と、位置センサ67により検出されるピストン42の位置とに基づいて、駆動回路64A,64B,64C,64Dを介して開閉する。
【0032】
なお、本実施形態では、第1流路遮断弁37、上流側駆動弁35、下流側駆動弁33及び注入用駆動弁30は、図示しないエア供給源から供給されるエアを予めエアフィルタ、エアレギュレータ、もしくはエアフィルタレギュレータを介して、清浄化すると共に、所定の圧力に調整し、図示しないエアソレノイドバルブを介した供給と排気の切り替えに応じて開閉動作する単動のエア駆動式のバルブであって、第1流路遮断弁37はノーマル・オープンのバルブ、上流側駆動弁35はノーマル・クローズのバルブ、下流側駆動弁33はノーマル・オープンのバルブ、及び注入用駆動弁30はノーマル・クローズのバルブで、ノーマル・クローズのバルブはエアが供給されたとき開動作し、エアが排気されたとき閉動作し、ノーマル・オープンのバルブはエアが供給されたとき閉動作し、エアが排気されたとき開動作する。
【0033】
詳細には、駆動弁制御部61は、第1流路遮断弁37が開状態のときに上流側駆動弁35が閉状態になるように制御し、第1流路遮断弁37が閉状態のときに上流側駆動弁35が開状態になるように制御する。つまり、第1流路遮断弁37及び上流側駆動弁35は、第1液が、第1位置14Aから連絡流路19へ流れるのを遮断して第1流路14に流す第1流れ状態と、第1位置14Aから第1流路14へ流れるのを遮断して連絡流路19に流す第2流れ状態と、に切り替える。なお、本実施形態では、エア供給源と上流側駆動弁35を接続する図示しないエア配管が分岐して第1流路遮断弁37が接続されている。
【0034】
また、駆動弁制御部61は、注入用駆動弁30が閉状態のときに下流側駆動弁33が開状態になるように制御し、注入用駆動弁30が開状態のときに下流側駆動弁33が閉状態になるように制御する。なお、本実施形態では、エア供給源と注入用駆動弁30を接続するエア配管が分岐して下流側駆動弁33が接続されている。
【0035】
受信部63は、第1液を第1流路14に送給する第1原液供給装置11から液化二酸化炭素の供給を開始する許可信号を受信する。詳細には、前述したように、混合吐出部70のトリガを引くと第1送給ポンプ13が作動するので、第1原液供給装置11は、第1送給ポンプ13のピストンの移動端に備えられたセンサによりピストン位置を検出し、ピストンが送り出しを完了したタイミングで液化二酸化炭素の供給を開始する許可信号を送信する。許可信号は、第1液を一定量送り出す毎に送信されればよい。
【0036】
なお、制御部60は図示しない温度制御部を有し、温度センサ27Tにより検出された温度に応じた電気信号を受けて、図示しない駆動回路を介してマニホールド27に備えられた冷却装置を制御する。
【0037】
図5には、添加剤供給装置20が液化二酸化炭素の供給を行うにあたって制御部60が実行する添加剤供給プログラムPG1が示されている。添加剤供給プログラムPG1は、添加剤供給装置20の電源がONされると実行される。同図に示すように、添加剤供給プログラムPG1が実行されると、制御部60は、まず、初期設定(S11)を行う。この初期設定(S11)では、上流側駆動弁35を開くと共に第1流路遮断弁37を閉じて、第1液の流れを第2流れ状態にすると共に、注入用駆動弁30を閉じると共に下流側駆動弁33を開いて、ピストン42を下降端位置に配置する。
【0038】
このとき、第1流路14を流れる第1液は第1位置14Aからすべて連絡流路19に流れ込む。そして、第1液は、第2吸入口41Bからシリンダ41内に導入されて、排出口43から連絡流路19を通って第2位置14Bで第1流路14に戻される。なお、初期設定(S11)は、添加剤供給装置20の電源がONされたときに一回だけ実行される。
【0039】
初期設定(S11)が終了すると、制御部60は、第1原液供給装置11から液化二酸化炭素の供給を開始する許可信号を受信しているか否かを判断する(S12)。そして、許可信号を受信していない場合(S12でNo)には、再度、この判断(S12)を行う。
【0040】
開始信号を受信している場合(S12でYes)には、次いで、圧力センサ36Pによる検出圧力、即ち、第1流路14を流れる第1液の圧力P1(例えば、7[MPa])が、設定圧力より高いか否かが判断される(S13)。ここで、設定圧力は、圧力容器21に貯留されている液化二酸化炭素の第1圧力(例えば、5.6[MPa])と同じに設定されている。検出圧力が設定圧力以下である場合(S13でNo)には、ステップS12の処理に戻る。
【0041】
検出圧力が設定圧力より高い場合(S13でYes)には、第1流路遮断弁37を開いてから上流側駆動弁35を閉じて(S14)、第1液の流れを第2流れ状態から第1流れ状態にする。なお、第1液の流れを第2流れ状態から第1流れ状態に切り替えるときには、制御部60は、先ず第1流路遮断弁37を開状態にした後で上流側駆動弁35を閉状態に制御する。
【0042】
そして、下流側駆動弁33を閉じてから注入用駆動弁30を開く(S15)。次いで、ピストン42を上昇端位置まで上昇させて吸引動作を行わせる(S16)。なお、下降端位置から上昇端位置までの距離は、第1流路14内の第1液の圧力P1と液化二酸化炭素の圧力P2とに基づいて設定される。
【0043】
ピストン42が上昇端位置に到達したら、注入用駆動弁30を閉じてから下流側駆動弁33を開き(S17)、次いで、ピストン42を下降端位置まで下降させて排出動作を行わせる(S18)。ピストン42が下降端位置に到達したら、上流側駆動弁35を開いてから第1流路遮断弁37を閉じて(S19)、第1液の流れを第1流れ状態から第2流れ状態にしてステップS12に戻る。なお、第1液の流れを第1流れ状態から第2流れ状態に切り替えるときには、制御部60は、先ず上流側駆動弁35を開状態にした後で第1流路遮断弁37を閉状態に制御する。
【0044】
図6~
図9には、制御部60が添加剤供給プログラムPG1を実行しているときの添加剤混合装置50の状態が示されている。制御部60が第1原液供給装置11からの許可信号を受信する前(ステップS11)は、
図6(A)に示すように、第1液の流れが、上流側駆動弁35が開いて第1流路遮断弁37が閉じた第2流れ状態になっていると共に、注入用駆動弁30が閉じて下流側駆動弁33が開き、ピストン42は下降端位置に配置されている。このとき、シリンダ41の圧力室40Aの内圧Pは、第1流路14内の第1液の圧力P1(7[MPa])と等しくなり、上流側逆止弁34及び下流側逆止弁32は、共に開弁状態となる。これにより、第1流路14の第1位置14Aから連絡流路19へ流れる第1液は、第2吸入口41Bからシリンダ41内へ導入される。
【0045】
ここで、仮に、圧力室40Aの内圧Pが第1流路14内の圧力P1より低ければ、下流側逆止弁32が閉じ、上流側逆止弁34が開くので、圧力室40A内の内圧Pがやがて第1流路14内の圧力P1と等しくなり、上流側逆止弁34及び下流側逆止弁32が共に開く。また、圧力室40Aの内圧Pが第1流路14の圧力P1より高ければ、上流側逆止弁34が閉じ、下流側逆止弁32が開くので、やはり、圧力室40Aの内圧Pがやがて第1流路14内の圧力P1と等しくなり、上流側逆止弁34及び下流側逆止弁32が共に開く。
【0046】
そして、制御部60が、添加剤供給プログラムPG1のステップS12で第1原液供給装置11からの許可信号を受信し、かつ圧力室40Aの内圧Pが第1圧力(5.6[MPa])より高ければ(S13でYES)、ステップS14を実行する。すると、第1液の流れは、
図6(B)に示すように、第1流路遮断弁37が開いて上流側駆動弁35が閉じた第1流れ状態となる。このとき、圧力室40Aの内圧Pは、第1流路14内の圧力P1と等しいままである。
【0047】
ここで、第1流れ状態においては、下流側駆動弁33が開いた状態は、上流側駆動弁35と下流側逆止弁32により第1位置14A及び第2位置14Bの両側から圧力室40Aへ第1液が流れ込まないように連絡流路19が第1流路14から遮断された状態(以下、「第1閉鎖状態」と呼ぶ)と、圧力室40A側から第2位置14Bへの排出のみを許容する状態(以下、「第2閉鎖状態」と呼ぶ)とが両立した状態になっている。
【0048】
次いで、制御部60が添加剤供給プログラムPG1のステップS15を実行すると、
図7(A)に示すように、下流側駆動弁33が閉じて注入用駆動弁30が開く。ここで、圧力室40Aの内圧Pは、まだ第1流路14内の圧力P1と等しく、また、液化二酸化炭素の圧力P2は、添加剤貯留部22に備えた温度調整機器26(
図2参照)によって第1流路14内の圧力P1よりも低圧の第1圧力に調整されているので、注入用逆止弁31は閉じている。このとき、下流側駆動弁33が閉じているので、第1閉鎖状態のみが成立し、第2閉鎖状態は成立せず、圧力室40A側から第2位置14B側への排出はできないようになっている。
【0049】
次いで、制御部60が添加剤供給プログラムPG1のステップS16を実行すると、
図7(B)に示すように、ピストン42が上昇を開始し、上昇端位置までの途中の間、圧力室40Aの内圧Pが低下し、圧力室40Aの内圧Pが液化二酸化炭素の圧力P2と等しくなり、平衡状態となる。そこから、
図8(A)に示すように、ピストン42が更に上昇を続け、上昇端位置までの間、注入用逆止弁31が開き、第1吸入口41Aから圧力室40A内に液化二酸化炭素が吸入され、圧力室40A内で、第1液に液化二酸化炭素が混合される。そして、
図8(B)に示すように、ピストン42が上昇端位置まで上昇すると、所定量の液化二酸化炭素が圧力室40A内に吸入される。
【0050】
次いで、制御部60が添加剤供給プログラムPG1のステップS17を実行すると、
図8(B)に示すように、注入用駆動弁30が閉じて下流側駆動弁33が開く。このとき、圧力室40Aの内圧Pは、液化二酸化炭素の圧力P2と等しくなっているので、下流側逆止弁32は閉じたままであるが、下流側駆動弁33が開いているので、第1閉鎖状態と第2閉鎖状態が成立している。
【0051】
従って、制御部60が添加剤供給プログラムPG1のステップS18を実行すると、
図9(A)に示すように、ピストン42が下降し、圧力室40Aの内圧Pが上昇し、圧力室40Aの内圧Pが第1流路14内の圧力P1と等しくなると、下流側逆止弁32が開いて、圧力室40A内の第1液に液化二酸化炭素が添加された混合液が排出口43から排出される。
【0052】
そして、ピストン42が下降端位置まで下降すると、
図9(B)に示すように、制御部60が発泡剤プログラムPG1のステップS19を実行し、上流側駆動弁35が開いて、第1流路遮断弁37が閉じ、第1液の流れが第1流れ状態から第2流れ状態に戻る。これにより、連絡流路19内の第1液と、第1液に液化二酸化炭素が添加された混合液が押し流されて第2位置14Bで第1流路14に供給される。
【0053】
本実施形態の添加剤供給装置20を備えた発泡樹脂成形体製造装置10の構成に関する説明は以上である。次に、この発泡樹脂成形体製造装置10の作用効果について説明する。
【0054】
本実施形態では、第1液が流れる第1流路14に、第1流路14の第1位置14Aとそれより下流側の第2位置14Bとの間を連絡する連絡流路19が分岐して設けられ、連絡流路19に添加剤供給装置20から液化二酸化炭素が投入される。本実施形態では、第1液が、第1位置14Aから連絡流路19へ流れるのを遮断して第1流路14に流す第1流れ状態と、第1位置14Aから第1流路14へ流れるのを遮断して連絡流路19に流す第2流れ状態とに切り替え可能となっている。そして、第2流れ状態から第1流れ状態に切り替えて、連絡流路19に液化二酸化炭素を投入後、第2流れ状態に戻すサイクル動作が繰り返される。
【0055】
ここで、第1位置14Aから第1流路14への流れを遮断する第2流れ状態を備えない従来の構成では、連絡流路19に液化二酸化炭素を投入後、連絡流路19に第1液を導入しても、第1液の一部が第1位置14Aで分岐して、そのまま第1流路14に流れるため、連絡流路19を流れる第1液の流量や圧力が一定しない。そのため、連絡流路19を流れる第1液の流量や圧力が変化し、投入された液化二酸化炭素が連絡流路19に残留して、第1流路14に供給される二酸化炭素の量が不安定になることがある。
【0056】
これに対して、本実施形態では、第2流れ状態を備えて、連絡流路19に液化二酸化炭素が添加される度に第1液の流れを第2流れ状態にすることで、添加された液化二酸化炭素を連絡流路19から押し流して第1流路14に供給することができる。従って、連絡流路19内に液化二酸化炭素がいつまでも残留することが抑えられ、第1液と液化二酸化炭素との混合具合を安定させることができる。
【0057】
また、添加剤供給装置20が液化二酸化炭素の供給を行うにあたって、本実施形態では、シリンダピストン装置40を備えて連絡流路19及び液化二酸化炭素を供給する添加剤導入路23に接続し、第2流れ状態でシリンダピストン装置40のシリンダ41の圧力室40Aに第1液を導入してから、第1流れ状態にして、シリンダピストン装置40の吸引動作により圧力室40A内に液化二酸化炭素を吸入し、排出動作により圧力室40Aから連絡流路19に第1液と共に液化二酸化炭素を排出する。ここで、本実施形態では、圧力室40Aの内圧Pが、気化を抑えた第1圧力に制御された液化二酸化炭素の圧力P2より高い場合に、第1流れ状態にしてシリンダピストン装置40の吸引動作を行うようになっている。これにより、吸引動作を行わせるときの圧力室40Aの内圧Pを液化二酸化炭素の圧力P2に近づけることが可能になり、液化二酸化炭素が吸引される際に気化を抑えて液化二酸化炭素の供給量の安定化を図ることができる。また、圧力室40Aの内圧Pが液化二酸化炭素の圧力P2より高いときに液化二酸化炭素の供給を行うので、圧力室40A内に液化二酸化炭素が過剰に吸引されることを抑え、これによっても液化二酸化炭素の供給量の安定化を図って、第1液と液化二酸化炭素との混合具合を安定させることができる。
【0058】
本実施形態では、第1流れ状態と第2流れ状態との切り替えは、第1流路14のうち第1位置14Aと第2位置14Bとの間に設けられた第1流路遮断弁37と、連絡流路19のうちシリンダピストン装置40の上流側に設けた上流側駆動弁35の開閉動作により行う。そして、制御部60は、第1流れ状態へ切り替える場合には、先に第1流路用遮断弁37を開けた後で、上流側駆動弁35を閉めるように制御し、第2流れ状態へ切り替える場合には、先に上流側駆動弁35を開けた後で、第1流路用遮断弁37を閉めるように制御する。これにより、どちらの流路も閉状態となって第1流路14が堰き止められてしまうことを防止できる。
【0059】
また、本実施形態では、連絡流路19のうちシリンダピストン装置40の下流側に、圧力室40A側から第2位置14B側への排出のみを許容する下流側逆止弁32を設けている。これにより、第1流れ状態で上流側駆動弁35が閉じているときには、第1位置14A及び第2位置14Bの両側から圧力室40A側に、第1液及び、第1液に液化二酸化炭素が添加された混合液が流れ込まないように連絡流路19を第1流路14から遮断した第1閉鎖状態と、圧力室40A側から第2位置14B側への排出のみを許容する第2閉鎖状態とに切り替わり可能となっている。この下流側逆止弁32と上流側駆動弁35とにより、シリンダピストン装置40の吸引動作により圧力室40Aの内圧Pが低くなったときには、第1位置14A及び第2位置14Bの両側から圧力室40A側に第1液及び、第1液に液化二酸化炭素が添加された混合液が流れ込むことを防止することができると共に、シリンダピストン装置40の排出動作により圧力室40Aの内圧Pが高くなったときには、第1液に液化二酸化炭素が添加された混合液を第2位置14B側へ排出することができるようになっている。
【0060】
さらに、本実施形態では、連絡流路19のうち下流側逆止弁32の下流側に下流側駆動弁33を設けて、シリンダピストン装置40の吸引動作のときに下流側駆動弁33を閉状態とし、シリンダピストン装置40の排出動作のときに下流側駆動弁33を開状態に制御する。これにより、シリンダピストン装置40の吸引動作のときには、第1閉鎖状態のみが成立して圧力室40A側から第2位置14B側への排出も抑制される。これにより、圧力室40Aの内圧Pが第1流路14の圧力P1よりも低くなったときには、第2位置14B側から圧力室40A側に第1液及び、第1液に液化二酸化炭素が添加された混合液が流れ込むことが防止することができると共に、第1流路14の圧力P1が圧力室40Aの内圧Pよりも低くなったときには、過剰の添加剤が第2位置14B側へと流出することを防止することができる。つまり、液化二酸化炭素を圧力室40A内に吸入する際には、上流側駆動弁35と下流側駆動弁33は、連絡流路19を第1流路14から遮断する遮断弁として作用する。なお、上流側駆動弁35と下流側駆動弁33は、特許請求の範囲の「連絡流路用遮断弁」に相当する。
【0061】
しかも、添加剤導入路23には、注入用駆動弁30が設けられて、シリンダピストン装置40の吸引動作のときにだけ開状態に制御される。これによっても、液化二酸化炭素が第2位置14B側へ過剰に流出する事態を防止することができる。従って本実施形態の添加剤混合装置50では、第1流路14の圧力P1の影響を受けず、シリンダピストン装置40の吸引動作により液化二酸化炭素を定量的に供給でき、第1液と液化二酸化炭素との混合具合を安定させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、液化二酸化炭素を貯留する圧力容器21は、クーラー及びヒーターを有する温度調整機器26を備えた保温庫24に収納されて液化二酸化炭素の圧力P2が第1圧力になるように調整されている。ここで、本実施形態の発泡樹脂成形体製造装置10は、施工現場に搬送されて使用されるものであり、設置される環境は地域や気候等により異なる。しかも、同じ現場であっても1日の施工の間で気温は刻々と変化する。特に、液化二酸化炭素は、温度に対する圧力の変化の幅が大きく、常に同等のポリウレタンフォームを製造するためには、液化二酸化炭素の圧力P2に応じてピストン42のストロークを調整し、液化二酸化炭素の供給量を変動させる必要がある。しかしながら、実際の温度に合わせて液化二酸化炭素の供給量を調整することは難しく、第1液と液化二酸化炭素との混合具合を安定させることができない。従来では、圧力容器21にレギュレーターを取り付けて減圧調整していたが、調整頻度や供給圧力影響の問題等、調整することが難しい。
【0063】
これに対して、本実施形態では、保温庫24に備えられた温度調整機器26のクーラー及びヒーターを制御することにより、液化二酸化炭素の圧力P2を第1圧力に調整することで温度を一定に制御する。これにより、圧力容器21の設置環境による温度変化に伴う圧力P2の変化を抑制することができ、レギュレーター及びレギュレーターの調整が不要となり、操作性が改善される。また、シリンダピストン装置40へ供給される液化二酸化炭素の圧力P2が一定に制御されることで、ピストン42のストロークの調整も不要となり、第1液と液化二酸化炭素との混合具合を安定させることができる。
【0064】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態では、第1流路遮断弁37と上流側駆動弁35とを備えて第1液の流れを第1流れ状態と第2流れ状態とに切り替える構成であったが、第1流路14と連絡流路19との分岐部分である第1位置14Aに三方弁を備えて第1流れ状態と第2流れ状態とに切り替える構成であってもよい。
【0065】
(2)前記実施形態では、第1流路遮断弁37と上流側駆動弁35とを備えて第1液の流れを第1流れ状態と第2流れ状態とに切り替える構成であったが、第1流路遮断弁37の代わりに、第1流路14における第1位置14Aと第2位置14Bとの間に流量調整弁を設けて、その開度を調整することで、第1位置14Aから連絡流路19より第1流路14に第1液が多く流れる第1流れ状態と、第1位置14Aから第1流路14より連絡流路19に第1液が多く流れる第2流れ状態とに切り替える構成であってもよい。これによっても、第1流れ状態で、連絡流路19に液化二酸化炭素を投入してから、第2流れ状態にすることで添加された液化二酸化炭素を連絡流路19から押し流すことができる。なお、流量調整弁は、特許請求の範囲の「第1流路用絞り弁」に相当する。
【0066】
(3)前記実施形態では、第1流路遮断弁37、上流側駆動弁35、下流側駆動弁33及び注入用駆動弁30は、エア駆動弁であったが、油圧駆動弁や電磁弁であってもよい。
【0067】
(4)下流側駆動弁33を備えていなくてもよい。下流側駆動弁33を備えていなくても、シリンダピストン装置40から第2位置14B側への排出のみを許容する下流側逆止弁32を備えているので、シリンダピストン装置40の吸引動作のときに、第1閉鎖状態となって圧力室40Aの内圧Pが低くなっても第2位置14B側から第1液及び、第1液に液化二酸化炭素が添加された混合液が流れ込まないように連絡流路19を第1流路14から遮断することができる。
【0068】
(5)前記実施形態では、クーラー及びヒーターの両方を備えた温度調整機器26を制御することで、液化二酸化炭素を第1圧力に調整していたが、温度調整機器26がクーラー及びヒーターの一方のみを備えた構成であってもよい。
【0069】
(6)前記実施形態では、圧力容器21は、保温庫24内に温度調整機器26と共に収納されていたが、保温庫24の代わりに、カバーを備えて圧力容器21と温度調整機器26を覆っていてもよい。
【0070】
(7)前記実施形態では、シリンダピストン装置40に位置センサ67が配設されて、位置センサ67によりピストン42の位置を検出することで、制御部60が添加剤供給プログラムPG1のステップS14~S19を実行していたが、位置センサ67を備えない構成とし、ステップS14~S19をタイマーを使ったプログラム制御で実行する構成としてもよい。この構成によれば、位置センサ67がずれたり、又は外れたりすることで装置が停止したり、調整したりすることを避けることができる。
【0071】
(8)前記実施形態では、注入用逆止弁31と注入用駆動弁30の両方を備えた構成であったが、注入用駆動弁30のみを備えた構成であってもよい。
【0072】
また、前記実施形態では、上流側逆止弁34と上流側駆動弁35の両方を備えた構成であったが、上流側駆動弁35のみを備えた構成であってもよい。
【0073】
また、前記実施形態では、下流側逆止弁32と下流側駆動弁33の両方を備えた構成であったが、下流側駆動弁33のみを備えた構成であってもよい。
【0074】
(9)前記実施形態では、マニホールド27に冷却装置を備えていたが、冷却装置を備えていなくてもよい。
【0075】
(10)前記実施形態では、圧力センサ36Pが、連絡流路19の下流側の圧力を検出する構成であったが、連絡流路19の上流側の圧力を検出する構成であってもよい。
【0076】
(11)前記実施形態では、シリンダ41に、第1吸入口41A、第2吸入口41B及び排出口43を備えて、それぞれ添加剤導入路23、連絡流路19の上流側、連絡流路19の下流側に接続されて、シリンダピストン装置40の吸引動作により液化二酸化炭素がシリンダ41の圧力室40A内に吸入される構成であったが、第1吸入口41Aが、シリンダ41に設けられるのではなく、
図10に示すように、連絡流路19に設けられて、ピストン42が上昇して第1吸入口41Aから液化二酸化炭素が吸入されるときに、圧力室40A内に吸入されない構成であってもよい。この構成によっても連絡流路19に導入された第1液と液化二酸化炭素とを混合することができる。なお、
図10では、第1吸入口41Aは、連絡流路19のうちシリンダピストン装置40よりも上流側で、上流側逆止弁34と第2吸入口41Bとの間に設けられているが、連絡流路19のうちシリンダピストン装置40よりも下流側で、排出口43と下流側逆止弁32との間に設けられてもよい。
【0077】
(12)前記実施形態において、注入用逆止弁31の開閉を検出するセンサを備え、ピストン42を上昇させるにあたり、注入用逆止弁31が開いたときから設定距離だけピストン42を上昇させる構成としてもよい。
【0078】
(13)前記実施形態では、シリンダピストン装置40としてエアシリンダを用いていたが、電動アクチュエータ、電動シリンダ等を利用してもよい。この場合、ストロークを数値制御することにより液化二酸化炭素の添加量の調整を行えばよい。
【0079】
(14)前記実施形態では、添加剤としての液化二酸化炭素を、ポリオールを主成分とする第1ウレタン原液である第1液に混合する構成であったが、ポリイソシアネートを主成分とする第1ウレタン原液である第2液に混合する構成であってもよいし、第1液と第2液のそれぞれに混合する構成であってもよい。
【0080】
(15)前記実施形態の発泡樹脂成形体製造装置10は、2液混合タイプのウレタンフォームの製造装置であったが、1液タイプのウレタンフォームの製造装置であってもよい。この場合、第2原液タンク16を備えず、第1原液タンク12に第1液と第2液とを貯留する構成とすればよい。
【0081】
(16)前記実施形態の発泡樹脂成形体製造装置10は、ポリウレタンフォームの製造装置であったが、これに限らず、例えば、ポリイソシアヌレートフォームや、ポリエステルフォーム、エポキシフォーム、アクリルフォーム、フェノールフォーム、メラミンホルムアルデヒドフォーム等の製造装置であってもよい。
【0082】
(17)前記実施形態では、添加剤は物理発泡剤として液化二酸化炭素が用いられたが、フロンやHFO(ハイドロフルオロオレフィン)等の不活性ガスであってもよい。
【0083】
(18)前記実施形態において、添加剤は物理発泡剤であったが、これに限らず、整泡剤、難燃剤、減粘剤、吸湿剤や架橋剤等であってもよい。また、これらを単独又は2種以上用いてもよい。なお、添加剤が物理発泡剤の場合には、前記実施形態のように添加剤を気化が抑えられる圧力に保持すると共に、添加剤が投入される第1液の圧力を添加剤の圧力以上に加圧する必要があったが、気化しない添加剤であれば、第1液に対して気化を抑えるための加圧は不要となる。
【0084】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0085】
例えば、以下の特徴1~15は、「第1液に添加剤を投入して混合する添加剤混合装置、及びそれを備えた発泡樹脂成形体製造装置」に関し、「従来、この種の添加剤混合装置として、第1液が流れる流路に添加剤を投入するものが知られている(例えば、特開2016-50228号公報(段落[0038]及び
図1参照)。」という背景技術について、「上述した添加剤混合装置に対し、第1液と添加剤の混合具合を安定させる技術の開発が求められている。」という課題をもってなされたものと考えることができる。
【0086】
[特徴1]
第1液が流れる第1流路の第1位置とそれより下流側の第2位置との間を連絡する連絡流路に、添加剤供給装置にて添加剤を投入して前記第1液に混合する添加剤混合装置であって、
前記第1液が、前記第1位置から前記連絡流路より前記第1流路に多く流れる第1流れ状態と、前記第1位置から前記第1流路より前記連絡流路に多く流れる第2流れ状態とに切り替える流れ切替装置と、
前記第2流れ状態から前記第1流れ状態に切り替えて、前記添加剤を前記連絡流路に投入した後、前記第2流れ状態に戻すサイクル動作を繰り返すように前記添加剤供給装置と前記流れ切替装置とを制御する制御部と、を備える添加剤混合装置。
【0087】
特徴1では、第1液が流れる第1流路に、第1流路の第1位置とそれより下流側の第2位置との間を連絡する連絡流路が分岐して設けられ、連絡流路に添加剤供給装置から添加剤が投入される。本開示では、流れ切替装置により、第1液は、連絡流路より第1流路に多く流れる第1流れ状態と、第1流路より連絡流路に多く流れる第2流れ状態とに切り替え可能となっていて、第2流れ状態から前記第1流れ状態に切り替えて、連絡流路に添加剤を投入後、第2流れ状態に戻すサイクル動作が繰り返される。これにより、連絡流路に投入された添加剤を、1サイクル毎に連絡流路から押し流して第1流路に供給することができる。従って、連絡流路内に添加剤がいつまでも残留することが抑えられ、第1液と添加剤との混合具合を安定させることができる。
[特徴2]
前記添加剤は、液状の物理発泡剤であり、前記添加剤供給装置により気化を抑えられた圧力で前記連絡流路に注入され、
前記第1液は、前記添加剤の気化を抑える圧力で前記第1流路及び前記連絡流路に流される特徴1に記載の添加剤混合装置。
【0088】
特徴2では、添加剤は、液状の物理発泡剤であり、添加剤供給装置により気化を抑えられた圧力で連絡流路に注入されると共に、第1液は、添加剤の気化を抑える圧力で第1流路及び連絡流路に流される。これにより、連絡流路内に注入されるときの添加剤の気化を抑えて添加剤の供給量の安定化を図ることができる。
【0089】
[特徴3]
前記添加剤の気化を抑えた加圧状態にして貯留しかつその添加剤を前記連絡流路に供給可能な圧力容器と、
前記圧力容器を加熱及び冷却するヒーター及びクーラーの一方又は両方を有する温度調整機器と、
前記圧力容器から排出される前記添加剤の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサにより検出される圧力が、前記添加剤の気化を抑える圧力として予め設定された第1圧力になるように前記温度調整機器の出力を制御する出力制御部と、を備える特徴2に記載の添加剤混合装置。
【0090】
特徴3では、添加剤の圧力を検出するための圧力センサの値に基づいて、添加剤を貯留する圧力容器を加熱又は冷却し、添加剤の圧力が気化を抑える圧力として予め設定された第1圧力になるように調整する。これにより、温度変化に伴う添加剤の圧力の変化を抑制して一定に制御することができ、連絡流路に投入される添加剤の供給量の変動を抑えて、第1液と添加剤との混合具合を安定させることができる。
【0091】
[特徴4]
前記温度調整機器は、前記圧力容器を収容するボックスを有し、前記ボックス内を加熱又は冷却する特徴3に記載の添加剤混合装置。
【0092】
[特徴5]
前記流れ切替装置には、前記第1流路又は前記連絡流路の圧力低下の異常に応じて前記連絡流路を前記第1流路から遮断する連絡流路用遮断弁が含まれている特徴1から4の何れか1の特徴に記載の添加剤混合装置。
【0093】
特徴5では、流れ切替装置に、第1流路又は連絡流路の圧力低下の異常に応じて連絡流路を第1流路から遮断する連絡流路用遮断弁が含まれているので、第1流路から連絡流路に第1液が流れ込んだり、連絡流路から過剰の添加剤が第1流路に流出したりすることを抑えて、第1液と添加剤との混合具合を安定させることができる。
【0094】
[特徴6]
前記添加剤は、液状の物理発泡剤であり、
前記添加剤供給装置は、前記添加剤の気化を抑える圧力として予め設定された第1圧力で前記添加剤を貯留する圧力容器と、前記圧力容器と前記連絡流路との間に設けられる注入用開閉弁と、前記連絡流路から前記一定量の液体を吸引してからその液体を前記連絡流路に排出するシリンダピストン装置と、を含み、
前記第1液は、前記第1圧力以上の圧力で前記第1流路及び前記連絡流路に流され、
前記流れ切替装置は、前記第1流れ状態で、前記連絡流路のうち前記添加剤供給装置が接続される装置接続部に対して、前記第1位置及び前記第2位置の両側から前記第1液が流れ込まないように前記連絡流路を前記第1流路から遮断した第1閉鎖状態と、前記装置接続部から前記第2位置側への排出のみを許容する第2閉鎖状態とに切り替わり可能とされ、
前記制御部は、前記第1流れ状態かつ前記第1閉鎖状態で前記注入用開閉弁を開いて前記シリンダピストン装置に吸引動作を行わせた後、前記第1流れ状態かつ前記第2閉鎖状態で、前記注入用開閉弁を閉じて前記シリンダピストン装置に排出動作を行わせてから前記第2流れ状態に切り替わるように、前記添加剤供給装置と前記流れ切替装置とを制御する特徴1から5の何れか1の特徴に記載の添加剤混合装置。
【0095】
特徴6によれば、添加剤供給装置のシリンダピストン装置の吸引動作によって、連絡流路に添加剤を投入する際には、第1閉鎖状態となって第1位置及び第2位置の両側から添加剤供給装置の装置接続部に第1液が流れ込まないようになっているので、吸引動作によって装置接続部の圧力が低くなっても、第1流路から装置接続部に第1液が流れ込まないようにすることができる。そして、シリンダピストン装置が排出動作をする際には、第2閉鎖状態となって装置接続部から第2位置側への排出が許容されているので、第1液に添加剤が添加された混合液を第2位置側に排出することができる。しかも、添加剤を貯留する圧力容器と、連絡流路との間に設けられた注入用開閉弁が、吸引動作をする第1閉鎖状態のときに開状態となり、第2閉鎖状態のときには閉状態となっているので、圧力容器から過剰の添加剤が第1流路に流出することを防ぐこともできる。
【0096】
[特徴7]
前記流れ切替装置は、前記連絡流路のうち前記装置接続部より上流側に配置され、前記制御部の指令に応じて開閉駆動される上流側駆動弁を含んでいる特徴6に記載の添加剤混合装置。
【0097】
特徴7では、連絡流路のうち装置接続部より上流側に制御部の指令に応じて開閉駆動される上流側駆動弁が配置されているので、上流側駆動弁を開閉することで第1流れ状態と第2流れ状態とを切り替えることが可能になる。なお、連絡流路のうち上流側駆動弁と装置接続部との間に、第1位置から連絡流路側への流れのみを許容する上流側逆止弁を設けてもよい。
【0098】
[特徴8]
前記流れ切替装置は、前記連絡流路のうち前記装置接続部より下流側に配置され、前記連絡流路から前記第1流路への流れのみを許容する下流側逆止弁を含んでいる特徴6又は7に記載の添加剤混合装置。
【0099】
特徴8では、連絡流路のうち装置接続部より下流側に連絡流路から第1流路への流れのみを許容する下流側逆止弁が配置されているので、第2位置から第1液が流れ込むことを抑制する第1閉鎖状態と、装置接続部から第2位置側への排出を許容する第2閉鎖状態とに切り替えることが可能になる。
【0100】
[特徴9]
前記注入用開閉弁は、前記制御部の指令に応じて開閉駆動される注入用駆動弁であって、
前記制御部は、前記シリンダピストン装置に吸引動作を行わせるときにのみ前記注入用駆動弁を開状態に制御する特徴6から8の何れか1の特徴に記載の添加剤混合装置。
【0101】
特徴9により、第1流路内の圧力が連絡流路内の圧力より低下する異常が生じたとき等に、第1流路に過剰の添加剤が流出することを防止することができる。
【0102】
[特徴10]
前記流れ切替装置は、前記連絡流路のうち前記装置接続部より下流側に配置され、前記制御部の指令に応じて開閉駆動される下流側駆動弁を含み、
前記制御部は、前記注入用開閉弁が閉状態のときにのみ前記下流側駆動弁を開状態に制御する特徴6から9の何れか1の特徴に記載の添加剤混合装置。
【0103】
特徴10では、連絡流路のうち装置接続部より下流側に、制御部の指令に応じて開閉駆動される下流側駆動弁を備えて、注入用開閉弁が閉状態のときにのみ開状態に制御される。ここで、例えば、第1流路内の圧力が連絡流路内の圧力より下がってしまった場合に、添加剤が第1流路へと過剰に流れ込んでしまう事態が生じ得るが、注入用開閉弁が開状態のときに、下流側駆動弁が閉じられているので、第1流路の圧力の影響を受けず、過剰の添加剤が第1流路に流れ込んでしまうことを防止することができる。
【0104】
[特徴11]
前記流れ切替装置には、前記第2流れ状態で前記第1位置から前記第1流路への前記第1液の流れを遮断する第1流路用遮断弁が含まれている特徴5から9の何れか1の特徴に記載の添加剤混合装置。
【0105】
特徴11では、第2流れ状態で第1位置から第1流路への第1液の流れを遮断する第1流路用遮断弁が配置されているので、第1流路用遮断弁を開閉することで第1流れ状態と第2流れ状態とを切り替えることが可能になる。また、前述の上流側駆動弁と両方設けることで、例えば、第1流路用遮断弁が閉状態かつ上流側駆動弁が開状態で連絡流路に第1液が流れる第2流れ状態から、第1流路に第1液が流れる第1流れ状態へ切り替える場合に、先に第1流路用遮断弁を開けた後で、上流側駆動弁を閉めるようにすれば、どちらの流路も閉状態となって第1流路が堰き止められてしまうことを防止できる。
【0106】
[特徴12]
前記流れ切替装置には、前記第1流れ状態から前記第2流れ状態に切り替わるときに前記第1位置から前記第1流路への前記第1液の流れを絞る第1流路用絞り弁が含まれている特徴6から10の何れか1の特徴に記載の添加剤混合装置。
【0107】
特徴12では、第1流れ状態から第2流れ状態に切り替わるときに第1位置から第1流路への前記第1液の流れを絞る第1流路用絞り弁を備えて、常に第1流路に第1液を流した状態となっているので、第1流路における第1位置及び第2位置において第1液の圧力が変化するのを抑制することができ、第1液と添加剤との混合具合を安定させることができる。
【0108】
[特徴13]
特徴6から12の何れか1の特徴に記載の添加剤混合装置と、
前記第1流路のうち前記第2位置の下流側の第3位置に接続され、第2液が流される第2流路と、を備え、
前記添加剤を含んだ前記第1液と前記第2液とから発泡樹脂成形体を生成する発泡樹脂成形体製造装置。
【0109】
[特徴14]
前記第1液及び前記第2液の一方は、ポリオールを主成分とする第1ウレタン原液であり、他方は、ポリイソシアネートを主成分とする第2ウレタン原液であり、前記添加剤を含んだ前記第1液と前記第2液とからポリウレタンフォームを生成する特徴13に記載の発泡樹脂成形体製造装置。
【0110】
[特徴15]
前記第1流路に前記第1液を送給する第1送給ポンプと、
前記第2流路に前記第2液を送給する第2送給ポンプと、
前記第1流路の末端に設けられ、前記第1液と前記第2液の混合液を吐出させるか否かを操作するためのトリガを有する吐出ガンと、を備え、
前記第1送給ポンプ及び前記第2送給ポンプは、前記トリガの操作に起因して作動又は停止し、
前記制御部は、前記添加剤供給装置及び前記流れ切替装置を前記第1送給ポンプ及び前記第2送給ポンプに連動させるように制御する特徴13又は14に記載の発泡樹脂成形体製造装置。
【0111】
特徴15によれば、トリガの操作により第1送給ポンプが作動して第1液が第1流路に送給されたときに添加剤を供給することが可能となる。
【0112】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0113】
10 発泡樹脂成形体製造装置
11 第1原液供給装置
13 第1送給ポンプ
14 第1流路
14A 第1位置
14B 第2位置
15 第2原液供給装置
17 第2送給ポンプ
18 第2流路
19 連絡流路
20 添加剤供給装置
21 圧力容器
24 保温庫(ボックス)
26 温度調整機器
27P 圧力センサ
30 注入用駆動弁(注入用開閉弁)
31 注入用逆止弁(注入用開閉弁)
32 下流側逆止弁
33 下流側駆動弁(連絡流路用遮断弁)
35 上流側駆動弁(連絡流路用遮断弁)
37 第1流路用遮断弁
40 シリンダピストン装置
41A 第1吸入口(装置接続部)
41B 第2吸入口(装置接続部)
43 排出口(装置接続部)
50 添加剤混合装置
60 制御部
70 混合吐出部(第3位置)
【手続補正書】
【提出日】2021-09-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
分岐配管23A,23Bのうち上流側の分岐配管23Aは、安全弁28に接続され、下流側の分岐配管23Bは、ブローバルブ29に接続されている。ブローバルブ29は、開弁状態で供給装置22内の液化二酸化炭素を放出する。なお、本実施形態では、安全弁28は、9[MPa]で開弁するように設定している。