(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036167
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】外観検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/952 20060101AFI20230307BHJP
G01N 21/954 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
G01N21/952
G01N21/954 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143040
(22)【出願日】2021-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】591214527
【氏名又は名称】株式会社ジーテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】田口 佳宜
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA07
2G051AA82
2G051AB02
2G051AC19
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB01
2G051CC11
2G051DA03
2G051DA08
(57)【要約】
【課題】複雑な曲面を有する円筒体部品の外観を検査する外観検査装置を提供する。
【解決手段】外観検査装置は、円筒体部品151を載置して回転する載置台101と、載置台101の上に配置された第1カメラ102と、反射鏡103とを備える。第1カメラ102は、載置台101の回転軸と光軸とを同一として載置台101の上に配置され、円筒体部品151を上方から撮像する。反射鏡103は、載置台101の回転中心に配置され、第1カメラ102の撮像方向を変更して開口の内周壁を第1カメラ102の撮像領域とする。また、外観検査装置は、載置台101の側方に配置され、円筒体部品151を側方から撮像する第2カメラ104を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒体部品の円形の開口を撮像することで取得した外観画像の画像認識により、前記円筒体部品の外観の検査を実施する外観検査装置であって、
前記円筒体部品を載置して回転する載置台と、
前記円筒体部品の中心を前記載置台の回転中心と一致する状態で前記円筒体部品を前記載置台に固定する固定機構と、
前記載置台の回転軸と光軸とを略同一として前記載置台の上に配置され、前記円筒体部品を上方から撮像する第1カメラと、
前記載置台の回転中心に固定され、前記第1カメラの撮像方向を変更して前記開口の内周壁を前記第1カメラの撮像領域とする反射鏡と
を備える外観検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の外観検査装置において、
前記固定機構は、前記載置台の回転中心から水平面上で異なる3つの半径方向に進退自在とされた保持部を備え、前記保持部は、進出位置で前記円筒体部品の内周面を3方向以上で押圧して、前記円筒体部品の中心と前記載置台の回転中心とを一致させて前記載置台に固定することを特徴とする外観検査装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の外観検査装置において、
前記第1カメラは、リニアイメージセンサから構成されていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の外観検査装置において、
前記載置台の側方に配置され、前記円筒体部品を側方から撮像する第2カメラをさらに備えることを特徴とする外観検査装置。
【請求項5】
請求項4記載の外観検査装置において、
前記第2カメラは、前記載置台の平面に対して垂直な方向に画素が配列されるリニアイメージセンサから構成されていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項6】
請求項4または5記載の外観検査装置において、
前記第2カメラの撮像方向と前記載置台の平面とのなす角度を変更するように前記第2カメラを移動させるロボットを備えることを特徴とする外観検査装置。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の外観検査装置において、
前記載置台の回転軸に沿った光軸となるように前記載置台の上に配置され、前記円筒体部品を上方から撮像するエリアイメージセンサから構成された第3カメラと、
前記第3カメラの撮像範囲から前記第1カメラを待避させる第1カメラ移動機構と
をさらに備えることを特徴とする外観検査装置。
【請求項8】
請求項7記載の外観検査装置において、
前記第3カメラを、前記載置台の上方から退避させる第3カメラ移動機構をさらに備えることを特徴とする外観検査装置。
【請求項9】
請求項7または8記載の外観検査装置において、
前記第1カメラ移動機構が前記第1カメラを待避させている状態で、前記円筒体部品を前工程から搬送して前記載置台に載置する搬送ロボットをさらに備えることを特徴とする外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、受け台に載せられた円筒体部分を有するエンジンブロックをレールに沿って画像検査装置まで搬送し、画像検査装置の反射鏡を円筒体部分の内周面に向け上方から降下させ、前記画像検査装置を回転させて円筒体部分の内周面の外観検査を行う外観検査装置がある(特許文献1参照)。また、1方向に流れるコンベア上の基板をラインカメラとエリアカメラを用いて、電子部品の基板の外観検査を行う装置がある(特許文献2参照)。このような外観検査装置は検査要員の削減を目的とし各種産業に適用されつつある。
【0003】
例えば、トランスミッション部品の製造では、ロール鋼板より打ち抜き加工することで円板状のブランク材を作製し、作製したブランク材を上壁に円形の開口を有する円筒体部品にプレス成形し、その円形の開口の内周面に環状溝を研削加工してCVTのプランジャーの部品としている。この種の製造工程では、製造した部品を洗浄した後、上述した環状溝に残った切粉の有無、その他、表面の傷の有無や汚れの有無などを確認する外観の検査を実施している。この外観検査は、現状、目視により実施しているため、外観検査装置の採用が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4130103号公報
【特許文献2】特許第6623545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、受け台をレールに沿って搬送するため時間がかかるとともに、検査対象の部品と受け台の位置決めおよび受け台と外観検査装置の位置決めなどというように複数の位置決めが必要となり、検査時間が長くなり、またそれだけ位置ずれも発生しやすくなり検査精度も低下する。また、特許文献2では、1方向に流れるコンベア上で同じ箇所をラインカメラとエリアカメラで撮像するだけで、円筒体部品のような立体の外観検査に適用できない。
【0006】
CVTのプランジャーなどのトランスミッション部品は、円筒体で内周面の環状溝、外面の凹凸形状のため複数の傾斜面を有する複雑な曲面を有する円筒体部品であって、製品の人手による目視の検査では、検査時間が長くかかり検査結果にばらつきが発生するなどの問題があり、人員削減も含め、この検査を機械化することが検討されている。
【0007】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、複雑な曲面を有する円筒体部品の外観を検査する外観検査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る外観検査装置は、円筒体部品の円形の開口を撮像することで取得した外観画像の画像認識により、円筒体部品の外観の検査を実施する外観検査装置であって、円筒体部品を載置して回転する載置台と、円筒体部品の中心を載置台の回転中心と一致する状態で円筒体部品を載置台に固定する固定機構と、載置台の回転軸と光軸とを略同一として載置台の上に配置され、円筒体部品を上方から撮像する第1カメラと、載置台の回転中心に固定され、第1カメラの撮像方向を変更して開口の内周壁を第1カメラの撮像領域とする反射鏡とを備える。
【0009】
上記外観検査装置の一構成例において、固定機構は、載置台の回転中心から水平面上で異なる3つの半径方向に進退自在とされた保持部を備え、保持部は、進出位置で円筒体部品の内周面を3方向以上で押圧して、円筒体部品の中心と載置台の回転中心とを一致させて載置台に固定する。
【0010】
上記外観検査装置の一構成例において、第1カメラは、リニアイメージセンサから構成されている。
【0011】
上記外観検査装置の一構成例において、載置台の側方に配置され、円筒体部品を側方から撮像する第2カメラをさらに備える。
【0012】
上記外観検査装置の一構成例において、第2カメラは、載置台の平面に対して垂直な方向に画素が配列されるリニアイメージセンサから構成されている。
【0013】
上記外観検査装置の一構成例において、第2カメラの撮像方向と載置台の平面とのなす角度を変更するように第2カメラを移動させるロボットを備える。
【0014】
上記外観検査装置の一構成例において、載置台の回転軸に沿った光軸となるように載置台の上に配置され、円筒体部品を上方から撮像するエリアイメージセンサから構成された第3カメラと、
第3カメラの撮像範囲から第1カメラを待避させる第1カメラ移動機構と
をさらに備える。
【0015】
上記外観検査装置の一構成例において、第3カメラを、載置台の上方から退避させる第3カメラ移動機構をさらに備える。
【0016】
上記外観検査装置の一構成例において、第1カメラ移動機構が第1カメラを待避させている状態で、円筒体部品を前工程から搬送して載置台に載置する搬送ロボットをさらに備える。
【発明の効果】
【0017】
以上に説明したように、本発明によれば、検査対象となる円筒体部品を載置して回転する載置台の上に、第1カメラを配置し、検査対象の開口の位置において、反射鏡を載置台の回転中心に配置し、検査対象を側方から撮像する第2カメラを備えるので、複雑な曲面を有する製品の外観を検査する外観検査装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る外観検査装置の構成を示す構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る外観検査装置の一部構成を示す構成図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の実施の形態に係る外観検査装置の一部構成を示す断面図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の実施の形態に係る外観検査装置の一部構成を示す平面図である。
【
図3C】
図3Cは、本発明の実施の形態に係る外観検査装置の一部構成を示す平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る外観検査装置の一部構成を示す側面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係る外観検査装置の一部構成を示す構成図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係る外観検査装置の一部構成を示す側面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態に係る外観検査装置の動作例を説明するフローチャートある。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態に係る外観検査装置の一部構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る外観検査装置について
図1を参照して説明する。この外観検査装置は、検査対象として上壁に円形の開口を有する円筒体部品151を撮像することで取得した外観画像の画像認識により、円筒体部品151の外観の検査を実施する。例えば、円筒体部品151の開口の内周壁の周方向の環状溝部に残った切粉の有無、その他、外面の上壁や外周の曲面の傷や打痕などの有無を検査する。環状溝部は、CVTのプランジャーの場合、軸のシールを装着するもので切粉はシール不良につながる。
【0020】
円筒体部品151は、少なくとも円筒部分、および、その軸方向の開口を備えるものである。また、円筒体部品151は、上壁または下壁、それらの開口、円筒体の上端または下端のつば部を備えるものとすることもできる。また、円筒体部品151の円筒部の外周面、上壁、下壁に傾斜面を含む凹凸、また、開口の内周壁の環状溝、開口から上または下に張り出す環状のフランジ、または、その環状溝を備えるものとすることもできる。また、円筒体部品151は、上壁は断面に対して凹凸形状を有し、円筒体の外周面の縦壁や上壁の種々の角度を有する傾斜壁を有する複数の複雑な曲面から構成されたものとすることもできる。
【0021】
この外観検査装置は、まず、円筒体部品151を載置して回転する載置台101と、載置台101の上に配置された第1カメラ102と、反射鏡103とを備える。
【0022】
第1カメラ102は、載置台101の回転軸と光軸とを略同一または沿った状態として載置台101の上に配置され、円筒体部品151を上方から撮像する。第1カメラ102は、リニアイメージセンサから構成するラインカメラが好ましい。反射鏡103は、載置台101の回転中心に配置され、第1カメラ102の撮像方向を変更して開口の内周壁を第1カメラ102の撮像領域とする。円筒体部品151を回転させることで内周壁すべてを撮像できる。なお、反射鏡103は、載置台101とは独立して定盤140に立設し、載置台101が回転する際に回転しない。
【0023】
また、この外観検査装置は、載置台101の側方に配置され、円筒体部品151を側方から撮像する第2カメラ104を備える。第2カメラ104は、載置台101の平面に対して垂直な方向に画素が配列されるリニアイメージセンサから構成されているラインカメラが好ましい。
【0024】
また、この外観検査装置は、第2カメラ104の撮像方向と載置台101の仮想の水平面である平面とのなす角度を、例えば、
図1の(a)の位置および(b)の位置に変更するように第2カメラ104を移動させるロボット105を備える。ロボット105は、例えば、6軸自由度垂直多関節型ロボットとすることができる。ロボット105は、例えば、円筒体部品151の外周面である垂直な縦壁に光軸が直交する(a)の位置から傾斜する上壁(傾斜面)に光軸が直交する(b)の位置になるように載置台101の中心と第2カメラ104とを通る仮想の直線と載置台101の平面とのなす角度を変更するように第2カメラ104を移動させることができる。
【0025】
また、ロボット105は、第2カメラ104と円筒体部品151の外周面との距離を等距離とするように移動させることができる。円筒体部品151の外周面が周方向に曲面で断面に対し凹凸があるため、ロボット105は、第2カメラ104の撮像方向を載置台101の方向とした状態で、外周面または上壁に対する第2カメラ104の撮像方向の角度を曲面に沿って変更することができる。これにより、円筒体部品151の凹んだ外周面または上壁も撮像できる。ロボット105は、6軸構成とする必要はないが、6軸自由度垂直多関節型ロボットとすることが好ましい。また、ロボット105を、搬送ロボットとして用いることができる。
【0026】
また、この外観検査装置は、第3カメラ106を備える。第3カメラ106は、載置台101の回転中心と光軸とを略同一または沿った状態として載置台101の上に配置され、円筒体部品151を上方から撮像する。第3カメラ106は、エリアイメージセンサから構成するエリアカメラとすることができる。第3カメラ106を第1カメラ102の上方に配置できない場合は同じ位置とし、水平に別々または一体に回転する構成とすることができる。
【0027】
また、この外観検査装置は、第3カメラ106を第1カメラ102の上方に配置でる場合は、第1カメラ102を載置台101の回転中心上から待避させる第1カメラ移動機構107を備える。第1カメラ移動機構107は、定盤140の上に固定されている支柱110に片持ち支持されている。また、第3カメラ106は、梁111により、支柱110に片持ち支持されている。
【0028】
この外観検査装置は、円筒体部品151を、
図2に示すように、6軸ロボットなどの搬送ロボット201により、前工程の例えば洗浄機202から載置台101への搬送、載置台101からパレット203へ搬送・箱詰めなどがなされる。このような搬送ロボット201による円筒体部品151の搬送や、第3カメラ106の撮像の際に、第1カメラ移動機構107は、第1カメラ102を載置台101の回転中心上から待避させる。
【0029】
載置台101、ロボット105は、定盤140の上に固定されている。載置台101は、
図3A,
図3B,
図3C,に示すように、複数のアーム112と、アーム112に連結してアーム112を支持する円筒体113とから構成されている。例えば、円筒体113の周方向に等間隔で排された3つのアーム112を備えることができる。
【0030】
円筒体113の内部には、定盤140の上に形成された円柱体114が入り込み、円柱体114の外周面と円筒体113の内周面とが、例えば、ベアリング115を介して、周方向に回転可能とされている。円筒体113は、モータなどを内蔵した回転駆動機構116により、円筒体113の外周面に固定されたギア117を用いて回転駆動される。回転駆動機構116による回転駆動により、円筒体113とともに複数のアーム112も回転する。この回転駆動はプーリとベルトなど通常の手段を用いることができる。また、円柱体114の上面中央部には、支持棒118が固定され、支持棒118の上端に、載置台101(アーム112)とは独立して反射鏡103が固定されている。
【0031】
また、載置台101は、円筒体部品151を固定するための位置決め兼固定機構(固定装置)を備えることができる。固定装置は、アーム112の上に配置された断面形状がL字状のチャック119と、チャック119に連結する連結棒120と、連結棒120を円筒体113の半径方向に出し入れするアクチュエータ121とを備える。
【0032】
アクチュエータ121の動作により、連結棒120に連結するチャック119は、円筒体113の回転中心から半径方向に、進出・後退する。例えば、3つのチャック119が進出した状態では、
図3Bに示すように、円筒体部品151の内周面を、外側に押圧し、円筒体部品151の中心と円筒体113の回転中心とが一致する状態で、円筒体部品151を固定する。この固定状態において、円筒体部品151の外周面が隠されることがないので、検査に支障をきたすことがない。また、
図3Cに示すように、3つのチャック119が後退した状態では、円筒体部品151の内周面の外側への押圧が解消され、円筒体部品151は、チャック119に載置された状態で載置台101から搬入・搬出可能な状態となる。
【0033】
なお、第1カメラ102による撮像、第2カメラ104による撮像、第3カメラ106による撮像は、コントローラ141により制御される。また、コントローラ141は、各々のカメラの撮像の結果により得られた外観画像の画像認識により、切粉、打痕、バリなどの外観検査を実施する。また、コントローラ141は、載置台101の回転動作、ロボット105、搬送ロボット、および第1カメラ移動機構107の動作と連動するように制御する。
【0034】
次に、第1カメラ移動機構107について、
図4を参照して説明する。第1カメラ移動機構107は、例えば、一端が支柱110に支持され、他端に第1カメラ102を固定する回転アーム122を備える。また、回転アーム122は、一端の支柱110に支持されている箇所を支点として、支柱110が延伸する垂直方向の平面内で回転可能とされている。また、回転アーム122には、アクチュエータ123が接続し、回転アーム122を撮像位置と待避位置との間で変位させる。コントローラ141の制御により、アクチュエータ123が動作する。アクチュエータ123は、例えば、回転アーム122と支柱110との間に架設するピストンとロッドで図略の油圧回路により進退自在とすることもできる。
【0035】
また、回転アーム122(第1カメラ移動機構107)は、支柱110に支持固定された位置決め梁124に固定された凹部材125と、回転アーム122に固定された凸部材126とを備える位置決め機構を有する。
図5の(a)に示す待避状態から、撮像位置への移動により回転アーム122とともに下降する凸部材126が、凹部材125のV字状の溝に嵌合することで、回転アーム122が撮像位置に固定される。凸部材126が凹部材125に嵌合することにより、回転アーム122の位置が、上下方向および左右方向にずれることなく固定される。このような位置決め機構を用いることで、撮像位置が常に一定の箇所となる。
【0036】
また、
図6に示すように、回転アーム122が撮像位置に固定された状態で、第1カメラ102を上下方向に微動させる位置調整機構127を用いることができる。位置調整機構127は、第1カメラ102に固定され、雌ネジ部を有するスライダー128と、雄ネジ129とから構成することができる。雌ネジ部にねじ込まれている雄ネジ129は、回転アーム122に位置が固定されており、雄ネジ129を回転することで、スライダー128を上下移動させることができる。円筒体部品151の大きさが変わっても、位置調整機構127を用いることで、第1カメラ102の焦点合わせが容易となる。
【0037】
次に、本発明の実施の形態に係る外観検査装置の動作例について、
図7を参照して説明する。
【0038】
まず、第1ステップS101で、搬送ロボットが、円筒体部品151を前工程から搬送して載置台101に載置する。このとき、コントローラ141の制御により、第1カメラ移動機構107は、第3カメラ106の撮像範囲から第1カメラ102を垂直状態に変更して待避させている。また、搬送ロボットによる円筒体部品151の搬送時には、第3カメラ移動機構により、第3カメラ106を、載置台101の上方から退避させることもできる。次いで、第2ステップS102で、コントローラ141の制御により、第3カメラ106で載置台101の上に載置された円筒体部品151の上壁の水平な平面部を上方から撮像する(
図8)。
【0039】
コントローラ141の制御により、第3カメラ106の撮像が完了すると、次に、
図1に示すように、第1カメラ移動機構107により垂直状態から水平状態に変更して第1カメラ102の待避状態を解消する。これにより、第1カメラ102は、載置台101の回転軸と光軸とを同一として載置台101の上に配置され、第3ステップS103で、コントローラ141の制御により、載置台101の回転を開始する。次に、第4ステップS104で、コントローラ141の制御により、第1カメラ移動機構107により水平状態に変更して第1カメラ102の待避状態を解消し、第1カメラ102により、載置台101の回転軸と光軸とを同一として載置台101の上に配置され、円筒体部品151を上方から撮像する。載置台101の1回の回転の撮像により、反射鏡103に反射している円筒体部品151の開口の内周壁の環状溝部の全周の画像が取得される。
【0040】
次に、第5ステップS105で、コントローラ141の制御により、
図1の(a)に示すように、ロボット105を動作させて第2カメラ104を光軸が1の外周面(曲面)である検査対象面と直交する所定の箇所に移動させ、第6ステップS106で、コントローラ141の制御により、載置台を1回転して円筒体部品151の所定の1の外周面(曲面)、
図1の(a)では円筒体部分の垂直の側壁を撮像する。
【0041】
円筒体部品151の外周面は、前記垂直の側壁の上端に傾斜面がある(第7ステップS107のnoの場合)ので、
図1の(b)に示すように、ロボット105を動作させて第2カメラ104を光軸が1の外周面(曲面)である傾斜面と直交する所定の箇所に移動させ、第6ステップS106で、コントローラ141の制御により、載置台を1回転して円筒体部品151の所定の1の傾斜面を撮像する。
【0042】
これらの動作を、円筒体部品151の外周面の屈曲形状(傾斜面)の数で設定されている全ての外周面(曲面)に対して前記外周面の屈曲形状(傾斜面)の数(種類)だけ載置台を回転させて実施したら(第7ステップS107のyes)、第8ステップS108で、コントローラ141の制御により、載置台101の回転を停止し、検査を終了する。コントローラ141は、取得された外観画像をもとに、例えば、よく知られた画像認識などにより、円筒体部品151の外観検査を実施する。検査の結果、不良がない場合、円筒体部品151は、搬送ロボットにより、所定のパレットに箱詰めされる(次工程に移行する)。検査の結果、不良が存在していた場合、搬送ロボットにより不良品が集められる箇所に搬送される。
【0043】
なお、上記では、第3カメラ→第1カメラ→第2カメラの撮像順番であったが、第3カメラ→第2カメラ→第1カメラのように、第1カメラと第2カメラの撮像の順番を逆にしたり、第1カメラ→第2カメラ→第3カメラのように、第3カメラと第2カメラの撮像の順番を入れ替えたり、第1~3カメラの退避・移動を考慮して短時間で撮像できる任意の撮像順番の変更が可能である。上記実施例において、第3カメラは第1カメラの上方で支柱に固定されたエリアカメラであるため、かかる退避・移動が不要となり、最短の時間の検査時間となる。
【0044】
以上に説明したように、本発明によれば、検査対象となる円筒体部品を載置して回転する載置台の上に、第1カメラを配置し、円筒体部品の開口の位置において、反射鏡を載置台の回転中心に配置し、円筒体部品を側方から撮像する第2カメラを備えるので、外周面に複雑な曲面を有する製品の外観を検査する外観検査装置が提供できる。
【0045】
本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0046】
101…載置台、102…第1カメラ、103…反射鏡、104…第2カメラ、105…ロボット、106…第3カメラ、107…第1カメラ移動機構、110…支柱、111…梁、140…定盤、141…コントローラ、151…円筒体部品。