(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036228
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】緑色液体化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20230307BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143153
(22)【出願日】2021-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】井上 賢亮
(72)【発明者】
【氏名】早川 敬之
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 聡
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB231
4C083AB232
4C083AC122
4C083AC301
4C083CC11
4C083CC14
4C083EE01
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】緑色の発色性(高彩度)、分散安定性に優れる、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、マスカラなどのメイクアップ化粧料などに好適な緑色液体化粧料を提供する。
【解決手段】 本発明の緑色液体化粧料は、(A)少なくとも、紺青と、該紺青の含有量を質量比で1をしたときに水溶性塩基性物質を0.05~0.13と、水とを含む化粧料用紺青分散液と、(B)ベンガラと、分子量300以下の有機酸と、水とを含み、ベンガラの散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径が100nm以下である化粧料用ベンガラ分散液とを含むことを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも、紺青と、該紺青の含有量を質量比で1をしたときに水溶性塩基性物質を0.05~0.13と、水とを含む化粧料用紺青分散液と、(B)ベンガラと、分子量300以下の有機酸と、水とを含み、ベンガラの散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径が100nm以下である化粧料用ベンガラ分散液とを含むことを特徴とする緑色液体化粧料。
【請求項2】
前記(A)化粧料用紺青分散液中の紺青の散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径が130nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の緑色液体化粧料。
【請求項3】
前記(B)化粧料用ベンガラ分散液の分子量300以下の有機酸が下記A群から選ばれることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の緑色液体化粧料。
A群:グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、2-ヒド
ロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、γ-ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル
酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、
リシネライジン酸、セレブロン酸、キナ酸、シキミ酸
【請求項4】
前記(B)化粧料用ベンガラ分散液の分子量300以下の有機酸がクエン酸であることを特徴とする請求項3に記載の緑色液体化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑色の発色性(高彩度)、分散安定性に優れる、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、マスカラなどのメイクアップ化粧料などに好適な緑色液体化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紺青(プルシアンブルー)を着色材とし、これと体質顔料とを混合したりして、化粧料、塗料、筆記具用インク、印刷用インク、樹脂等の着色などに広く用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
この紺青は、フェロシアン化第二鉄を主成分としたもので、一般的に化学構造はMFe〔Fe(CN)6〕、M=K,Na,NH4で示され、市販のものはアンモニウムコンジョウが主流であり、紺青独特の深みのある青色で無機顔料としては着色力も大きいが、安定なpHは4~6と低く、アルカリ性で不安定なことが問題となっている(例えば、特許文献1,2、非特許文献2参照。)。
アルカリの条件によっては、退色してしまったりする場合があり、また、炭酸カルシウム、アルミナ等のアルカリ性の体質顔料と共用すると退色又は失色することもあるなどの課題がある。また、紺青は、還元されると青色が失色したり、酸化されやすいビヒクルで練って密閉しておくと、紺青が酸化剤として働き、自身は還元されて退色する場合があるなどの課題がある。
【0003】
一方、化粧料などにおいて、紺青は、青色系の顔料の群青よりも大きな着色力があり、高彩度の青色色調が得られることや、例えば、赤色や黄色の法定色素などと併用することなどで高彩度のグリーン(緑色)が得られることから、化粧料の配合成分として使用するニーズは高いものであるが、上記課題があるため利用が制限されたりする事情があった。
【0004】
これらの紺青の課題を解消しようとしたものとしては、例えば、表面処理した紺青被覆粉体を、α-オキシカルボン酸及び被覆形成物質の何れか又は両方で処理したことを特徴とする表面処理粉体(特許文献1参照)が知られており、また、紺青を化粧料に使用したものとしては、黒酸化鉄、ベンガラ及び紺青を含有する化粧料用顔料分散液(特許文献2参照)が知られている。
しかしながら、上記特許文献1は、紺青本来の発色性でなく、未だ分散安定性も不十分などの課題がある。
また、上記特許文献2は、本発明の近接技術を開示するものであるが、黒酸化鉄、ベンガラ及び紺青の三成分を単に配合してなる混色黒の分散液をつくるものであり、上述の紺青の課題についての言及はなく、紺青を予め分散安定性を保持した分散液とし、この分散液を用いて緑色液体化粧料等を得るものでなく、本発明とは発明の課題、技術思想などが相違するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献1】最新粉体物性図説(第三版)(2004年6月30日第3版第1刷3発行、343頁)
【非特許文献2】「顔料入門講座テキスト」社団法人色材境界、1970年、114~118頁)
【特許文献1】特開2004-91645号公報(特許請求の範囲、発明の詳細な説明等)
【特許文献2】特開2003-231614号公報(特許請求の範囲、発明の詳細な説明等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来技術の課題、現状等に鑑み、これらを解消しようとするものであり、緑色の発色性(高彩度)、分散安定性及び耐候性に優れる、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、マスカラなどのメイクアップ化粧料などに好適な緑色液体化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、鋭意検討した結果、(A)少なくとも、紺青と、所定量となる水溶性塩基性物質と、分散剤と、水とを含む化粧料用紺青分散液と、(B)ベンガラと、特定物性の有機酸と、水とを含み、ベンガラの散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径が所定値以下である化粧料用ベンガラ分散液とを含むことにより、上記目的の緑色液体化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったである。
【0008】
すなわち、本発明の緑色液体化粧料は、(A)少なくとも、紺青と、該紺青の含有量を質量比で1をしたときに水溶性塩基性物質を0.05~0.13と、水とを含む化粧料用紺青分散液と、(B)ベンガラと、分子量300以下の有機酸と、水とを含み、ベンガラの散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径が100nm以下である化粧料用ベンガラ分散液とを含むことを特徴とする。
前記(A)化粧料用紺青分散液中の紺青の散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径が130nm以下であることが好ましい。
前記(B)化粧料用ベンガラ分散液の分子量300以下の有機酸が下記A群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
A群:グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、2-ヒド
ロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、γ-ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル
酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、
リシネライジン酸、セレブロン酸、キナ酸、シキミ酸
前記(B)化粧料用ベンガラ分散液の分子量300以下の有機酸がクエン酸であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、緑色の発色性(高彩度)、分散安定性に優れる、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、マスカラなどのメイクアップ化粧料などに好適な緑色液体化粧料が提供される。
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるものである。上述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)は、紺青(コンジョウ)の陽イオン配置図の一例を示すものであり、(b)は本発明において、紺青(コンジョウ)の分散安定性等を保持するメカニズムの概要を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態について詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲は下記で詳述するそれぞれの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
本発明の緑色液体化粧料は、(A)少なくとも、紺青と、該紺青の含有量を質量比で1をしたときに水溶性塩基性物質を0.05~0.13と、水とを含む化粧料用紺青分散液と、(B)ベンガラと、分子量300以下の有機酸と、水とを含み、ベンガラの散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径が100nm以下である化粧料用ベンガラ分散液とを含むことを特徴とするものである。
【0012】
〈(A)化粧料用紺青分散液〉
本発明の(A)化粧料用紺青分散液は、少なくとも、紺青と、該紺青の含有量を質量比で1をしたときに水溶性塩基性物質を0.05~0.13と、分散剤と、水とを含むものである。
この化粧料用紺青分散液に用いる紺青の化学構造は、一般的に、MKFe[Fe(CN)
6](但し、MはK、Na又はNH
4の何れかである。)で表され、鉄イオンには二価の鉄(Fe
II)と三価の鉄(Fe
III)があり、
図1はその紺青の陽イオン配置図である。
本発明に用いる紺青は、一般的に化粧品で用いられている紺青であれば特に限定されずに用いることができ、好ましくは、平均粒子径200nm以下のものが望ましく、また、入手容易性などから、MがNH
4であるアンモニウムコンジョウが好ましく、また、表面改質をしたものをでもよく、市販品があればこれらを使用することができる。
市販品としては、大日精化社製のMILORI BLUE FX-6940,同FX-9050、大東化成社製のIron Blue SC 、サンケミカル社製のC38-7710 Softex Iron Blueなどが挙げられる。なお、本発明における「平均粒子径」は、後述するように、散乱強度分布におけるキュムラント法解析による平均粒子径をいう。
【0013】
この紺青分散液は、安定なpHは4~6と低く、アルカリ性で不安定となるなどの課題があり、分散液の製造においては生産性、分散安定性などの課題があるものであるが、本発明の配合特性となる分散液とすれば上記課題が解消されるものとなる。
用いる紺青の含有量は、分散後の安定性の点、化粧料製造の利便性の点から、紺青分散液全量に対して、好ましくは、5~50質量%(以下、「質量%」を単に「%」という)、更に好ましくは、10~30%とすることが望ましい。
この紺青の含有量を5%以上とすることにより、生産性に優れ、また、水性緑色液体化粧料へ添加した(ベンガラ分散液と混色した)場合の緑色の着色性が優れることとなり、一方、50%以下とすることにより、分散性、経時安定性が良好となる。
【0014】
化粧料用紺青分散液に用いる水溶性塩基性物質は、本発明者らの知見等によると、分散液中で紺青の分散が進むと、
図1(b)に示すように、紺青からNH
4
+が脱離し、NH
4
+からH
+が発生し分散液pHが低下傾向となり、低pHでの紺青のゼータ電位の絶対値が低下傾向となるが、H
+を補足するアルカリ剤となる水溶性塩基性物質を使用することで表面電位を保ち、紺青の分散安定性、微粒子化を保持するために用いるものである。
用いることができる水溶性塩基性物質としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、アンモニア、または、アミノ基を有する化合物であるモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、アミノメチルプロパノール(2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール)、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸、アミノエチルプロパノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール等を単独または併用で使用することができる。
特に、紺青の変色や凝集も限りなく抑制でき、本発明の更なる効果の実現などから、好ましくは、アミノメチルプロパノール、水酸化カリウムの使用が望ましい。
【0015】
用いる水溶性塩基性物質の含有量は、コンジョウの分散性の点、高粘度化の点から紺青の質量を1としたとき、前記水溶性塩基性物質を0.05~0.13の質量比の範囲で含むことが好ましく、更に好ましくは、0.05~0.10である。
この水溶性塩基性物質の質量比が0.05未満であると、分散時にゲル化することとなり、本発明の効果を奏することできず、一方、0.13超過であると、分散後の粘度が高く、緑色化粧料等の設計の自由度が低下することとなる。
【0016】
化粧料用紺青分散液に用いることができる分散剤は、粘度調整の点、紺青の分散安定性を更に向上させる点から含有するものであり、例えば、界面活性剤、高分子分散剤などの少なくとも1種が挙げられる。
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等の一般的に使用される界面活性剤のいずれを用いてもよく、また、これらを2種以上混合して使用してもよい。
これらの界面活性剤うち、より安定な紺青の分散性が得られる点、低刺激性等の点、分散状態への影響排除の点から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
好ましく用いられるノニオン性界面活性剤としては、ラウレス(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)類、セテス(ポリオキシエチレンセチルエーテル)類、ステアレス(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)類、ベヘネス類(ポリオキシエチレンベヘニルエーテル)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることできる。これらの中でも、その分子構造および親水性の点から、ベヘネス-30、セテス-20、ラウレス-21の使用が好ましい。
【0017】
また、高分子分散剤としては、例えば、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体及びスチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体の中か選ばれる一種以上、もしくはこれらの塩のうち一種以上のいずれかを少なくとも含んでいればよい。これらの塩の種類としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ塩、アンモニウム塩や、モノ、ジ-、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
これらの高分子分散剤の中で、特に、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体及びスチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体、並びに、これらの塩のうち少なくとも1種以上を用いるのが、分散安定性が優れており、特に好ましくは、ポリアスパラギン酸ナトリウム(Na)が望ましい。
【0018】
これらの分散剤の含有量は、化粧料用紺青分散液(全量)に対して、0~5%とすることが好ましく、より好ましくは、0~3%とすることが望ましい。この分散剤の含有量が5%を越えると、化粧料の安定性に悪影響を与えるため、好ましくない。
【0019】
化粧料用紺青分散液の残部は、水(精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、水道水等)で調整される。
本発明の(A)化粧料用紺青分散液は、上記紺青と、水溶性塩基性物質と、分散剤と、水とを少なくとも含むものであるが、更なる分散性の向上、各成分の溶存安定性の点から、必要に応じて、粘度調整剤、キレート剤、pH調整剤、更なる分散剤などを適宜用いることができる。
【0020】
本発明で用いる化粧料用紺青分散液の調製は、上記紺青と、水溶性塩基性物質と、分散剤と、水とを少なくとも含む各成分を上記各含有量の範囲等で配合し均一に撹拌・混合することにより、製造することができる。
例えば、上記紺青と、水溶性塩基性物質と、分散剤と、水などの溶媒を汎用のディスパーなどにて均一になるまで撹拌後、更に、ディスパーなどにて均一になるまで、ホモミキサーなどにて撹拌して、また、ディスパーの他、超音波分散機、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミルなどの各種撹拌機、分散機を用いて混合分散することにより、化粧料用紺青分散液を調製することができる。
これらの各種撹拌機、分散機は、上記配合成分の種類、配合比率、上記撹拌混合した分散液の粘度などにより最適なものが選定される。
これらの撹拌機、分散機を使用する際の撹拌条件や分散条件は、配合種、その量等により変動するものであり、例えば、LMZ-4(アシザワ・ファインテック社製)を用いた場合には、周速5m/s以上、時間60min以上である。
【0021】
本発明で用いる化粧料用紺青分散液において、25℃でのコーンプレート型粘度計による粘度測定において、ずり速度383s-1の粘度は、適正な粘性及び紺青の分散安定性、化粧料への配合性の向上、コレクター式ペン型塗布具の流出性向上の点から、10mPa・s以下とすることが好ましく、更に好ましくは、2~6mPa・sとすることが望ましい。
上記粘度範囲(10mPa・s以下)の調整は、用いる上記各成分の各量、上記好ましく用いる分散剤種及びその量、pH調整剤種及びその量などを好適に調整することにより調製することができる。
【0022】
また、本発明で用いる化粧料用紺青分散液は、分散された状態の紺青の散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径が130nm以下であることが好ましく、更に好ましくは、80~130nmであることが望ましい。
この紺青の平均粒子径が130nm以下とすることにより、更に分散安定性、鮮やかな発色を発揮することができる。また、上記平均粒子径の下限値は、低ければ低い程良好であるが、製造性、コスト面等から、80nm以上であることが好ましい。
本発明において、測定装置としては、例えば、FPAR-1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法や、マイクロトラック(日機装株式会社製)によるレーザー回折・散乱法や、マックビュー(株式会社マウンテック社製)による画像イメージング法などを挙げることができる。
【0023】
本発明で用いる化粧料用紺青分散液は、着色性向上、皮膚刺激防止、分散安定性の点から、pHを7.5以下に調整することが好ましく、更に好ましくは、pHを5~7に調整することが望ましい。
本発明において、分散液のpHの調整は、クエン酸等の酸性物質や2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等の塩基性物質などを用いて行うことができる。
【0024】
このように構成される本発明で用いる化粧料用顔料分散液は、少なくとも、紺青と、水溶性塩基性物質と、水とを含むことにより、紺青のゼータ電位の絶対値の低下、凝集、変色などの課題を解消するものであり、紺青の表面電位を保ち、分散安定性、微粒子化を保持することができるので、分散安定性、発色性(高彩度)及び耐候性、経時安定性に優れる化粧料用紺青分散液が得られるものとなる。
また、得られる本発明で用いる化粧料用紺青分散液は、紺青の新たな分散手法として、高彩度の青色色調が得られ、また、微粒子化・分散安定性の更なる向上を奏し、後述するベンガラ分散液と併用(混色)することなどで高彩度のグリーン(緑色の分散液)等が得られるものとなる。
【0025】
〈(B)化粧料用ベンガラ分散液〉
本発明に用いる(B)化粧料用ベンガラ分散液は、少なくとも、ベンガラと、分子量300以下の有機酸と、水とを含み、ベンガラの散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径が100nm以下のものである。驚くべきことに、前記の化粧料用紺青分散液と、このような赤い発色のベンガラ分散液とを組み合わせ、混合することによって、本発明の緑色液体化粧料が得られた。
用いるベンガラとしては、各種公知のベンガラを用いることができ、例えば、赤色のα-Fe2O3(ヘマタイト)、褐色のγ-Fe2O3(マグマヘイト)、黒色のFe3O4(マグネタイト)、黄色のα-FeOOH等を主成分とするものが挙げられるが、特に、本発明では、緑色化粧料を得る点から、赤色のα-Fe2O3(ヘマタイト)が用いられる。
このベンガラ〔α-Fe2O3(ヘマタイト)など〕の含有量は、分散後の安定性の点、化粧料製造の利便性の点から、ベンガラ分散液全量に対して、好ましくは、10~50%、更に好ましくは、15~40%とすることが望ましい。
このベンガラ〔α-Fe2O3(ヘマタイト)など〕の含有量を10%以上とすることにより、生産性に優れ、また、緑色液体化粧料へ添加(紺青分散液と混色)した場合の緑色の着色性が優れることとなり、一方、50%以下とすることにより、分散性、経時安定性が良好となる。
【0026】
用いる分子量300以下の有機酸は、ベンガラ液の分散を向上させるものであり、例えば、分子量が300以下となる脂肪族ヒドロキシ酸、芳香族ヒドロキシ酸及びその誘導体などの有機酸から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
上記脂肪族ヒドロキシ酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、γ-ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、キナ酸、シキミ酸などが挙げられる。
上記芳香族ヒドロキシ酸及びその誘導体としては、例えば、モノヒドロキシ安息香酸誘導体、サリチル酸、クレオソート酸〔ホモサリチル酸、ヒドロキシ(メチル)安息香酸〕、バニリン酸、シリング酸、ジヒドロキシ安息香酸誘導体、ピロカテク酸、レソルシル酸、プロトカテク酸、ゲンチジン酸、オルセリン酸、トリヒドロキシ安息香酸誘導体、没食子酸、フェニル酢酸誘導体、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸、ケイヒ酸、ヒドロケイヒ酸誘導体、メリロト酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナピン酸などが挙げられる。
好ましくは、上記脂肪族ヒドロキシ酸(A群)の中から選ばれるものが挙げられ、更に好ましくは、アイライナーとしての安全性の点から、クエン酸が望ましい。
なお、本発明において、分子量が300を超える酸では、ベンガラや群青の凝集傾向が増加し、好ましくない。
【0027】
これらの分子量が300以下の有機酸の含有量は、ベンガラ分散液全量に対して、0.01~2.0質量%が好ましく、更に好ましくは、0.1~1.0質量%である。
この分子量が300以下の酸の含有量が0.01質量%未満では、上記の効果が不十分となり、一方、2.0質量%を超えて含有すると、pHが低下し、好ましくない。
【0028】
化粧料用ベンガラ分散液の残部は、水(精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、水道水等)で調整される。
本発明の(B)化粧料用ベンガラ分散液は、上記ベンガラと、分子量300以下の有機酸と、水とを少なくとも含むものであり、これらの各成分を上記各含有量の範囲等で配合し均一に撹拌・混合することにより、製造することができる。
例えば、上記ベンガラと、分子量300以下の有機酸と、水などの溶媒を汎用のディスパーなどにて均一になるまで撹拌後、更に、ディスパーなどにて均一になるまで、ホモミキサーなどにて撹拌して、また、ディスパーの他、超音波分散機、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミルなどの各種撹拌機、分散機を用いて混合分散することにより、化粧料用ベンガラ分散液を調製することができる。
【0029】
本発明で用いる(B)化粧料用ベンガラ分散液は、分散された状態のベンガラの散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径が100nm以下であることが好ましく、更に好ましくは、10~50nmであることが望ましい。
このベンガラの平均粒子径が100nm以下とすることにより、更に分散安定性、鮮やかな発色を発揮することができる。また、上記平均粒子径の下限値は、低ければ低い程良好であるが、製造性、コスト面等から、10nm以上であることが好ましい。
【0030】
〈緑色または暗青色液体化粧料〉
本発明の緑色液体化粧料は、上述の(A)化粧料用紺青分散液と、(B)化粧料用ベンガラ分散液とを含むことを特徴とするものであり、緑色液体化粧料の用途としては、例えば、スキンケア化粧料、メイクアップ化粧料、ネイル化粧品等が好ましいものとして挙げられ、例えば、ファンデーション、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、マスカラ、チーク、ネイルカラー、トリートメントネイル、各種ジェルネイル、口紅などのメイクアップ化粧料、ヘアカラー、ボディマーカー用組成物の用途としては、例えば、ボディペイントなどが挙げられる。また、製品の形態についても特に限定は無いが、分散液(水系)であるので、液状、乳液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ムース状、スプレー状等の水系のものに適用が可能である。
特に、本発明の緑色液体化粧料の分散特性などから、水系液体化粧料である、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、マスカラなどのアイメイクアップ化粧料、水性ネイルカラーなどへの使用が好ましい。
本発明の緑色液体化粧料は、上述の(A)化粧料用紺青分散液と、(B)化粧料用ベンガラ分散液とを含むと共に、上記各分散液の他、アイメイクアップ化粧料では分散剤、皮膜形成樹脂、分散媒となる水(精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等を含む)などを含有せしめることができる。なお、水の含有量は、上記各成分、後述する任意成分を含有した残部となる。
【0031】
用いる分散剤としては、色材となる紺青、ベンガラの分散性を更に向上させるものであり、例えば、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体の中か選ばれる一種以上、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのアルキルエステルのうちから選択される1種又は2種以上の化合物を原料モノマーとする単独重合体もしくは共重合体、もしくはこれらの塩のうち一種以上のいずれかを少なくとも含んでいればよい。これらの塩の種類としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ塩、アンモニウム塩や、モノ、ジ-、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン塩などのアニオン系高分子分散剤が挙げられる。
これらの分散剤の中で、特に、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体、tert-ブチルアクリレート、エチルアクリレートおよびメタクリル酸からなる混合物の共重合体、並びに、これらの塩のうち少なくとも1種以上を用いるのが、更なる分散安定性に優れており、特に好ましくは、ポリアスパラギン酸ナトリウムが望ましい。
これらの分散剤の含有量は、色材となる紺青、ベンガラの分散性、好適な粘度範囲で分散安定性を高度に両立する点から、緑色液体化粧料全量に対して、0.1~10.0%が好ましく、更に好ましくは、0.2~5.0%である。
【0032】
用いることができる皮膜形成樹脂としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのアルキルエステル又は誘導体、スチレン、酢酸ビニルの中の1種又は2種以上のモノマーから選択されてなる共重合体の水性エマルジョン樹脂が挙げられる。
この皮膜形成樹脂(水性エマルジョン樹脂)の含有量は、耐水性能、塗布性能などの点から、固形分(樹脂分)換算で緑色液体化粧料全量に対して、2~15%が好ましく、更に好ましくは、2~10%とすることが望ましい。
【0033】
更に、本発明の緑色液体化粧料には、前記各成分の他に、通常の液体化粧料に用いられる任意成分などを含有せしめることができる。具体的には、防腐剤、酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、キレート剤、1,3-ブチレングリコールなどの保湿剤、美容成分、香料、粘度・粘性調整剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテルなどの他の分散剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で適宜量含有せしめることができる。
【0034】
本発明の緑色液体化粧料は、粘度を10mPa・s以下とすることが好ましく、更に好ましくは、2~8mPa・sとすることが望ましい。この粘度が10mPa・sを超えると、塗布具からの流出性が著しく低下することがあり、好ましくない。
また、本発明の緑色液体化粧料における平均粒子径は、塗布性、経時安定性を更に良好とする点などから、80~250nmとなることが好ましく、更に好ましくは、100~230nmとなることが望ましい。
上記粘度範囲、平均粒子径の調整は、用いる上記(A)紺青分散液の各配合成分、(B)ベンガラ分散液の各配合成分、分散剤などの各原料を好適に組み合せると共に、各含有量を好適な範囲に組み合わせること、好適な分散方法などにより行うことができる。
例えば、ホモミキサー、サンドミル、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーなどの分散機などを用いて好適な分散条件で調整することにより、緑色液体化粧料が得られるものである。
好ましくは、分散機として(多連式)超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーを用いる場合、分散条件として、例えば、超音波ホモジナイザーの場合は、周波数20~30KHzとし、高圧ホモジナイザーの場合は、圧力150~245MPaとすることにより調製することができる。
【0035】
このように構成される本発明の緑色液体化粧料を使用に供するにあたっては、アイメイクアップ化粧料などに用いる汎用の塗布具を用いることができ、用いる塗布具の形状、構造等は特に限定されるものでなく、例えば、ノック式のバルブ装置を備えた塗布具、中綿式の多孔質で毛細管力を持つ流路および塗布部を備えた塗布具、穂筆の塗布部を備えた塗布具、コレクター機能を搭載した直液タイプの塗布具、チューブタイプの塗布具、ピストン押圧機構を備えた塗布具などが挙げられる。
【0036】
このように構成される本発明の緑色液体化粧料は、上記(A)少なくとも、紺青と、該紺青の含有量を質量比で1をしたときに水溶性塩基性物質を0.05~0.13と、水とを含む化粧料用紺青分散液と、(B)ベンガラと、分子量300以下の有機酸と、水とを含み、ベンガラの散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径が100nm以下である化粧料用ベンガラ分散液とを含むことにより、紺青の分散性安定性、発色性(高彩度)及び耐候性に優れるので、ベンガラ分散液との混色により、緑色の発色性(高彩度)、分散安定性、耐候性及び塗布性に優れる、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、マスカラなどのメイクアップ化粧料などに好適な緑色液体化粧料が得られることとなる。
【実施例0037】
次に、製造例、実施例及び比較例により、本発明を更に詳述するが、本発明は下記実施例等により制限されるものではない。
【0038】
〔製造例1~7〕
下記製造例1~4でコンジョウ分散液A~Dを製造(調製)し、下記製造例5~7でベンガラ分散液A~Cを製造(調製)した。得られた製造例1~7のコンジョウ分散液A~D、ベンガラ分散液A~Cの各pH、粘度、平均粒子径を下記方法にて測定した。
(pHの測定方法)
得られた各分散液をガラス電極pH計にて、25℃におけるpHを測定した。
(粘度の測定方法)
得られた各分散液について、25℃でのコーンプレート型粘度計(TVE-25、東機産業社製)による粘度測定において、ずり速度383s-1の条件で粘度を測定した。
(平均粒子径の測定方法)
FPAR-1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法により各分散液(25℃)の粒子の平均粒子径を測定した。
【0039】
(製造例1:コンジョウ分散液Aの調製:全量100%)
コンジョウ(IRON BLUE SC、大東化成工業製社製) 20.000%
分散剤:ノニオン系界面活性剤(セテス-20、日光ケミカルズ社製) 0.075%
水溶性塩基物質:2-アミノ2-メチル-1-プロパノール 1.000%
水(精製水) 残 部
上記各成分をビーズミル分散機を用いて、充分な分散性・流動性がでるように操作して調製した。
pH:6.5、粘度:2.2mP・s、平均粒子径:80~120nm
【0040】
(製造例2:コンジョウ分散液Bの調製:全量100%)
コンジョウ(IRON BLUE SC、大東化成工業製社製) 20.000%
分散剤:ノニオン系界面活性剤(セテス-20、日光ケミカルズ社製) 0.075%
水溶性塩基物質:2-アミノ2-メチル-1-プロパノール 2.000%
水(精製水) 残 部
上記各成分をビーズミル分散機を用いて、充分な分散性・流動性がでるように操作して調製した。
pH:6.7、粘度:8.1mP・s、平均粒子径:80~120nm
【0041】
(製造例3:コンジョウ分散液Cの調製:)
コンジョウ(IRON BLUE SC、大東化成工業製社製) 20.000%
水溶性塩基物質:2-アミノ2-メチル-1-プロパノール 1.000%
水(精製水) 残 部
上記各成分をビーズミル分散機を用いて、充分な分散性・流動性がでるように操作して調製した。
pH:6.2、粘度:2.2mP・s、平均粒子径:80~120nm
【0042】
(製造例4:コンジョウ分散液Dの調製:)
コンジョウ(IRON BLUE SC、大東化成工業製社製) 20.000%
分散剤: ノニオン系界面活性剤(セテス-20、日光ケミカルズ社製) 0.075%
水(精製水) 残 部
上記各成分をビーズミル分散機を用いたが、充分な分散性・流動性は得られなかった。
pH:6.8(分散前)、粘度:増粘し測定不能、平均粒子径:150~250nm
【0043】
(製造例5:ベンガラ分散液Aの調製)
ベンガラ(No.216P、大東化成工業社製) 20.000%
分散剤:ポリアスパラギン酸ナトリウム 3.000%
クエン酸 1.500%
水(精製水) 残 部
上記各成分をビーズミル分散機を用いて、調製した。
pH:7.5、粘度:2.5mP・s、平均粒子径:20~70nm
【0044】
(製造例6:ベンガラ分散液Bの調製)
ベンガラ(No.216P、大東化成工業社製) 20.000%
分散剤:ポリアスパラギン酸ナトリウム 8.667%
クエン酸 0.667%
水(精製水) 残 部
上記各成分をビーズミル分散機を用いて、調製した。
pH:7.5、粘度:3.0mP・s、平均粒子径:20~70nm
【0045】
(製造例7:ベンガラ分散液Cの調製)
ベンガラ(No.216P、大東化成工業社製) 20.000%
分散剤:ポリアスパラギン酸ナトリウム 3.000%
水(精製水) 残 部
上記各成分をビーズミル分散機を用いて、調製した。
pH:8.6、粘度:7.5mP・s、平均粒子径:150~300nm
【0046】
〔実施例1~5及び比較例1~4〕
上記製造例1~4のコンジョウ分散液A~D、製造例5~7のベンガラ分散液A~Cを用いて、下記表1に示す配合組成、下記方法による分散により、緑色液体化粧料を調製した。
得られた緑色液体化粧料の平均粒子径(調製後、25℃での3ヵ月(3M)経過後)、pH(調製後、25℃での3ヵ月(3M)経過後)、25℃での3ヵ月(3M)経過後の上下濃度差、塗布性、発色性の評価を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
【0047】
(分散方法)
使用ビーズとしてジルコニア0.3mmを用いてビーズミル分散機で分散した。
【0048】
(pHの測定方法)
得られた各緑色液体化粧料をガラス電極pH計にて、25℃におけるpH(調製後、25℃での3ヵ月(3M)経過後)を測定した。
(粘度の測定方法)
得られた各緑色液体化粧料について、25℃でのコーンプレート型粘度計(TVE-25、東機産業社製)による粘度測定において、ずり速度383s-1の条件で粘度(調製後、25℃での3ヵ月(3M)経過後)を測定した。
(平均粒子径の測定方法)
FPAR-1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法により得られた各緑色液体化粧料の平均粒子径(調製後、25℃での3ヵ月(3M)経過後)を測定した。
【0049】
(上下濃度差の評価方法)
三菱鉛筆社製の直液式アイライナー(塗布体:UC-76B、穂首タイプ)に、各緑色液体化粧料を充填し、塗布体を上向きと下向きの姿勢で、室温(25℃)、3ヶ月経過後の筆記描線状態の観察により下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
○:上下の濃度差が少ない
△:上下の濃度差はあるが、色相は変化無し
×:上下の濃度差も、色相差もはっきり見られる
【0050】
(塗布性の評価方法)
得られた各緑色液体化粧料において、経時後(25℃ 3M後)の塗布性について、三菱鉛筆社製UC-76B容器に充填して目元に塗布して、下記評価基準で塗布性について評価した。
評価基準:
○:かすれることなく塗布できる。
△:わずかにかすれるが、塗布できる。
×:かすれて塗布できない。
【0051】
(発色性の評価方法)
得られた各緑色液体化粧料において、経時後(25℃ 3M後)の液体化粧料について、バーコータにて、キャサリン紙(特種東海製紙社製)に塗膜を引き、分光測色計(スガ試験機社製、SC-P)で色相(a*,b*)を評価した。
【0052】
【0053】
上記表1の結果をみると、本発明範囲となる実施例1~5は、本発明の範囲外となる比較例1~4に較べ、25℃で3ヶ月経時後の上下濃度差、塗布性、発色性、粘度の安定性について優れていることが判明した。
本発明範囲内にある実施例1~5は、見かけの平均粒子径210~220nmと安定し室温(25℃)3M後も200~220nmを保っており、pHも安定している。3M経時後の色相も緑色(a*=-15、b*=20)を保っている。
これに対し、比較例1、2では、水溶性塩基物質の含有量が本発明の範囲外となるものでは、恐らくベンガラの分散状態が不安定となったためである。紺青の平均粒子径が大きい比較例3では、紺青が沈降する結果となっている。逆に、平均粒子径が150~300nmのベンガラ分散液を用いた比較例4ではベンガラが沈降している。
驚くべきことに、本発明(実施例1~5)では、pHを塩基性として平均粒子径130nm以下と微粒子化した紺青分散液を用い、分子量300以下の有機酸を含むベンガラ分散液と組み合わせて緑色の発色の液体化粧料(アイライナー)を組成することができた。更に、赤色であるベンガラの微分散液(30~100nm)と混合して、経時後も色相が緑色に見えるアイライナーとすることができた。
緑色の発色性(高彩度)、分散安定性及び耐候性に優れる、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、マスカラなどのメイクアップ化粧料などに好適な緑色液体化粧料、並びに、ボディペイントなどに好適なボディマーカー用組成物が得られる。