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特開2023-36254電気設備遠隔総合点検システム、電気設備遠隔総合点検方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036254
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】電気設備遠隔総合点検システム、電気設備遠隔総合点検方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230307BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
G05B23/02 T
G05B23/02 301Y
G05B23/02 302R
H04Q9/00 301C
H04Q9/00 311J
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143201
(22)【出願日】2021-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】藤原 伸行
(72)【発明者】
【氏名】脇本 聖
(72)【発明者】
【氏名】秋元 孝仁
【テーマコード(参考)】
3C223
5K048
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223AA23
3C223BB08
3C223BB09
3C223CC02
3C223DD03
3C223EA06
3C223EB01
3C223EB02
3C223EB03
3C223EB07
3C223FF35
3C223FF42
3C223FF44
3C223FF52
3C223FF53
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH03
3C223HH07
3C223HH08
3C223HH22
3C223HH29
5K048AA05
5K048BA22
5K048DA02
5K048EB07
5K048EB10
5K048EB15
5K048FB05
5K048FB09
5K048HA01
5K048HA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気設備の各点検項目を自動計測し、保守点検員が現地に赴くことなく日常点検を可能とする。
【解決手段】情報通信装置4は電気室内の制御盤に設置され、制御盤に集まる電気設備の内蔵センサによる計測値・状態値を取得する。メータ読取装置5は、電気設備のメータの指針値を撮影画像から読み取って取得する。カメラ装置7は、電気設備制御盤の可視光画像および赤外線画像を撮影して取得する。音響収集装置8は、点検対象設備周囲の異音の有無・異音レベルを求めて異音データを取得する。臭覚センサ装置9は、点検対象設備周囲の異臭の有無を診断した異臭情報を取得する。環境計測装置10,11は、点検対象設備の設置環境の情報を取得する。現地点検サーバ12は、各装置4~11の取得情報を点検データとしてネットワーク経由で遠隔監視端末13に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気施設の屋外に設置された電気設備と、
前記電気施設の電気室内に設置された制御盤と、
を点検対象として遠隔から自動的に保守点検を行うシステムであって、
前記制御盤に設置され、前記制御盤に集まってくる前記電気設備の内蔵センサによる計測値を取得する情報通信装置と、
前記電気設備に設置されたメータを撮影し、前記メータの指針値を撮影された画像に基づき読み取って取得するメータ読取装置と、
前記点検対象の外観を撮影し、撮影画像を取得する監視カメラ装置と、
前記点検対象の周囲の音響信号をマイクにより収集し、収集された音響信号に基づき異音の有無および異音レベルを求めて異音情報を取得する音響収集装置と、
前記点検対象の周囲のガスを吸気し、該吸気されたガスから得られた臭覚センサ信号に基づき異臭の有無を診断した異臭情報を取得する臭覚センサ装置と、
前記点検対象の設置された環境情報を計測して取得する環境計測装置と、
前記電気室内に設置され、前記各装置の取得した情報を点検データとして整理・保存する現地点検サーバと、
前記現地点検サーバにより整理・保存された点検データをネットワーク経由で提供される遠隔監視装置と、
を備えることを特徴とする電気設備遠隔総合点検システム。
【請求項2】
前記監視カメラ装置は、
前記電気設備の列を挟んで配置された一対の移動式監視カメラ装置と、
前記制御盤または前記移動式監視カメラ装置の周囲を囲繞する位置に配置された複数の固定式監視カメラと、
を備え、
前記両監視カメラ装置は、
前記外観の可視光画像を撮影して取得する可視光カメラと、
前記外観の赤外線画像を撮影して取得する赤外線カメラと
を備え、
前記各移動式カメラ装置は、レール設置範囲を移動自在な移動カメラ台車を備えることを特徴とする請求項1記載の電気設備総合点検システム。
【請求項3】
前記嗅覚センサ装置は、活性炭フィルタを通したガスと前記活性炭フィルタを通さないガスとを交互に吸気することで得られた臭覚センサ信号を、
事前に異臭成分の臭覚センサ信号を学習したサポートベクタ―マシンに供することで異臭の有無を診断することを特徴とする請求項2記載の電気設備遠隔総合点検システム。
【請求項4】
前記環境計測装置は、
前記電気室内の環境情報を取得する屋内環境計測装置と、
前記電気設備の設置された屋外の環境情報を取得する屋外環境計測装置と、
を備え、
前記屋内環境計測装置は、温度情報・湿度情報・一酸化炭素ガスの濃度情報を前記環境情報として取得する一方、
前記屋外環境計測装置は、温度情報・湿度情報・一酸化炭素ガスの濃度情報・風速および風向の情報を前記環境情報として取得する
ことを特徴とする請求項3記載の電気設備遠隔総合点検システム。
【請求項5】
前記現地点検サーバは、
前記各装置の点検設定画面を提供する各種設定機能部と、
前記各装置の点検スケジュールを監視する点検スケジュール管理機能部と、
前記各装置の前記点検データをデータ列としてデータベースに記録するデータ収集・記録機能部と、
前記データベースに記録された前記データ列に基づき前記各点検データ状態の正常または異常を判定する総合解析機能部と、
前記判定後の前記データ列に基づき指定された日時の前記点検データを読み出して出力する点検レポート作成機能部と、
を備えることを特徴とする請求項4記載の電気設備遠隔点点検システム。
【請求項6】
前記総合解析機能部は、前記データ列中の前記計測値について事前設定の上限値~下限値の間の許容値範囲内か否かを確認し、
確認の結果、前記許容範囲内であれば前記計測値の点検データ状態を正常と判定する一方、
前記許容範囲内でなければ前記計測値の点検データ状態を異常と判定することを特徴とする請求項5記載の電気設備遠隔総合点検システム。
【請求項7】
前記総合解析機能部は、前記データ列中の前記指針値について事前設定の上限値~下限値の間の許容値範囲内か否かを確認し、
確認の結果、前記許容範囲内であれば前記指針値の点検データ状態を正常と判定する一方、
前記許容範囲内でなければ前記指針値の点検データ状態を異常と判定することを特徴とする請求項5または6記載の電気設備遠隔総合点検システム。
【請求項8】
前記総合解析機能部は、前記データ列中の前記赤外線画像について事前設定の最大温度以上の箇所があるか否かを確認し、
確認の結果、前記最大温度以上の箇所があれば前記赤外線画像の点検データ状態を異常と判定する一方、
前記最大温度以上の箇所がなければ前記赤外線画像の点検データ状態を正常と判定することを特徴とする請求項5~7のいずれか記載の電気設備遠隔総合点検システム。
【請求項9】
前記総合解析機能部は、前記データ列中の前記異音データを確認し、
確認の結果、異音が無ければ点検データ状態を正常と判定する一方、異音があれば点検データ状態を異常と判定する
ことを特徴とする請求項5~8のいずれか記載の電気設備遠隔総合点検システム。
【請求項10】
前記総合解析機能部は、前記電気設備の配置図または前記電気室内の配置図に前記音響収集装置の設置個所をプロットし、
前記設置個所を中心に前記異音データの異音レベルに応じたサイズの異音推定円を描写することで異音部分布推定図を作成し、
前記異音推定円の近傍に位置する前記電気設備または前記制御盤のリストを作成し、
前記推定図および前記リストを前記データベースに保存することを特徴とする請求項5~9のいずれか記載の電気設備遠隔総合点検システム。
【請求項11】
前記総合解析機能部は、前記データ列中の前記診断データを確認し、
確認の結果、異臭が無ければ点検データ状態を正常と判定する一方、異臭があれば点検データ状態を異常と判定する
ことを特徴とする請求項5~10のいずれか記載の電気設備遠隔総合点検システム。
【請求項12】
前記総合解析機能部は、前記電気室内の配置図に前記嗅覚センサ装置の設置個所をプロットし、
前記設置個所を中心に事前に定められたサイズの異臭推定円を描写することで異臭分布推定図を作成し、
前記異臭推定円の近傍に位置する前記配電盤のリストを作成し、
前記推定図および前記リストを前記データベースに保存することを特徴とする請求項5~11のいずれか記載の電気設備遠隔総合点検システム。
【請求項13】
前記総合解析機能部は、前記電気設備の配置図に前記嗅覚センサ装置の設置個所をプロットし、
前記設置個所の前記屋外環境計測装置による風速および風向に応じて推定中心を求め、該推定中心から事前に定められたサイズの異臭推定円を描写した異臭分布推定図を作成し、
前記推定図および前記リストを前記データベースに保存することを特徴とする請求項5~12のいずれか記載の電気設備遠隔総合点検システム。
【請求項14】
前記総合解析機能部は、前記異臭推定円を異臭の種類または前記環境情報の一酸化炭素濃度に応じて別々に描写する
ことを特徴とする請求項12または13記載の電気設備遠隔総合点検システム。
【請求項15】
前記情報通信装置は、前記設備のONまたはOFFの状態値を取得する一方、
前記総合解析機能部は、前記データ列中の前記状態値が前記設備の運用中として正しい状態値であるか否かを確認し、
正しければ前記状態値を正常と判定する一方、正しくなければ前記状態値を異常と判定する
ことを特徴とする請求項5~14のいずれか記載の電気設備遠隔総合点検システム。
【請求項16】
嗅覚センサ装置は、前記臭覚センサ信号に基づき異臭ガスの濃度量に応じた異臭レベルを検出する一方、
前記総合解析機能部は、前記異臭推定円に前記異臭レベルを付与することを特徴とする請求項12または13記載の電気設備遠隔総合点検システム。
【請求項17】
前記臭覚センサ装置は、事前に前記濃度量が異なる複数のサンプルを用意し、それぞれの濃度量に対してサポートベクタマシンを学習し、
前記各濃度量に応じたサポートベクタマシンによる検出器の出力結果に応じて前記異臭レベルを検出し、
前記異臭レベルに応じて異臭の有無を診断することを特徴とする請求項16記載の電気設備遠隔総合点検システム。
【請求項18】
前記現地点検サーバは、前記各点検データを時系列にプロットした点検データ時系列グラフを作成する点検データ時系列解析機能部を備える一方、
前記点検設定画面には、前記点検データ時系列グラフを閲覧可能な点検データ閲覧確認画面が含まれ、
前記閲覧確認画面は、選択された任意の点検データのみを表示する詳細点検データ閲覧確認画面を有し、
前記詳細点検データ閲覧確認画面には、指定期間分の前記点検データ時系列グラフが表示されることを特徴とする請求項5~17のいずれか記載の電気設備遠隔総合点検システム。
【請求項19】
電気施設の屋外に設置された電気設備と、
前記電気施設の電気室内に設置された制御盤と、
を点検対象として遠隔から自動的に保守点検するシステムの実行する方法であって、
前記制御盤に設置された情報通信装置が、前記制御盤に集まってくる前記電気設備の内蔵センサによる計測値を取得するステップと、
メータ読取装置により前記電気設備に設置されたメータを撮影し、前記メータの指針値を撮影された画像に基づき読み取って取得するステップと、
監視カメラ装置により前記点検対象の外観を撮影し、撮影画像を取得するステップと、
音響収集装置が、前記点検対象の周囲の音響信号をマイクにより収集し、収集された音響信号に基づき異音の有無および異音レベルを求めて異音情報を取得するステップと、
臭覚センサ装置が、前記点検対象の周囲のガスを吸気し、該吸気されたガスから得られた臭覚センサ信号に基づき異臭の有無を診断した異臭情報を取得するステップと、
環境計測装置により前記点検対象の設置された環境情報を計測して取得するステップと、
前記電気室内に設置された現地点検サーバが、前記各装置の取得した情報を点検データとして整理・保存するステップと、
前記現地点検サーバにより整理・保存された点検データをネットワーク経由で遠隔監視装置に提供するステップと、
を有することを特徴とする電気設備遠隔総合点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変電所などの電気施設に設置された電気設備などの日常的な保守点検の全般を遠隔で自動的に行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
変電所などの電気設備の保守点検については、従来から保守点検員が電気設備の設置された現地に赴き、点検項目に従って設備の状態を観察する方法が採られている。
【0003】
点検項目としては、(1)電気設備に設置されているメータの読取/モニタに表示されている数値・状態値の確認、(2)設備の汚れや損傷などの外観の観察、(3)設備から発せられる異音の観察、(4)設備における異臭の有無の確認などが用いられている。
【0004】
メータの読取については、特許文献1に示すように、カメラで撮影した画像を処理することでアナログメータのメモリを読み取る方法が提案されている。また、モニタに表示されている数値や状態値の確認については、非特許文献1,2に示すように、電気設備の状態をネットワーク経由で読み取るシステムが提案されている。
【0005】
外観の観察については、非特許文献3に示すように、監視カメラを用いて設備の外観を監視する試みが提案されている。すなわち、省力化によるコストダウンに加え少子化による労働力不足から変電所の巡視省力化が従来以上に要請されているため、目視による巡視代替の手段として、ドローン,パトロールロボット,多数のカメラの利用が考えられている。
【0006】
もっとも、ドローンは狭隘な箇所や電磁界影響による墜落の懸念があり、また変電所パトロールロボットは高コストなことから非特許文献3では、目視による巡視の代替の可能性を調査するために複数のカメラを使った変電所見守りシステムを構築している。
【0007】
異音の観察については、非特許文献4に示すように、マイクで収取した音を解析することで機器の異常を検知する方法が提案されている。また、異臭の確認については、非特許文献5,6に示すように、サンプルを実験室に持ち帰って、におい分析を行う装置が提案されている。さらに非特許文献7の火災警報器に示すように、各種ガスセンサが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4910194号公報
【特許文献2】特許第6849791号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】“汎用データ収集・伝送端末装置 MEIDEN Quality connecting the next テレモット/TELEMOT MT”2021年7月26日検索 [online] インターネット<URL: https://www.meidensha.co.jp/catalog/mb/MB637-3275.pdf>
【非特許文献2】“多機能形デジタル継電器 MEIDEN Quality connecting the next アイピーマットツー/IPMAT II/シリーズ” 2021年7月26日検索 [online] インターネット<URL: https://www.meidensha.co.jp/catalog/jd/JD30-2874.pdf>
【非特許文献3】石野隆一(電力中央研究所),杉本敏文(中部電力),遊佐博幸,白井正樹(電力中央研究所) “複数カメラを使った変電所巡視代替システムの構築” 2019年電気学会C部門大会 OS1-5
【非特許文献4】“変動音解析とは” 2021年7月26日検索 [online] インターネット<URL:https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/c_support/newreport/fluct_sound/index.htm>
【非特許文献5】“KunKun body” 2021年7月26日検索[online] インターネット<URL: https://kunkunbody.konicaminolta.jp/>
【非特許文献6】“におい識別装置” 2021年7月26日検索 [online] インターネット<URL:https://www.an.shimadzu.co.jp/prt/ff/ff2020.htm>
【非特許文献7】“安全と快適をプラスした火災警報器” 2021年7月26日検索 [online] インターネット<URL: https://www.new-cosmos.co.jp/>
【非特許文献8】≡Odor Sensor System using Chemosensitive Resistor Array and Machine Learning≡: Rui Yatabe, Atsushi Shunori, Bartosz Wyszynski, Yosuke Hanai, Atsuo Nakao, Masaya Nakatani, Akio Oki, Hiroaki Oka, Takashi Washio, and Kiyoshi Toko: IEEE Sensors Journal: 21,2,DOI:10.1109/JSEN.2020.3016678(令和2年))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1および非特許文献1~7の方法は、保守点検員が実施する個々の点検項目については補助となり有益である。しかしながら、それぞれの提案で一つの点検項目が自動化されるだけなので、他の点検項目は人手で観察・確認しなければならない。
【0011】
その結果、結局は保守点検員が現地に赴くこととなり、保守点検の省略とならないおそれがある。特に異臭確認については、変電所などの電気設備において油臭・焦げ臭を確認するためのセンシングシステムができておらず、保守点検員の感覚に頼らざるをえない。
【0012】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされ、電気設備の各点検項目を自動計測し、保守点検員が現地に赴くことなく日常点検を可能とすることを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明の一態様は、
電気施設の屋外に設置された電気設備と、
前記電気施設の電気室内に設置された制御盤と、
を点検対象として遠隔から自動的に保守点検を行うシステムであって、
前記制御盤に設置され、前記制御盤に集まってくる前記電気設備の内蔵センサによる計測値を取得する情報通信装置と、
前記電気設備に設置されたメータを撮影し、前記メータの指針値を撮影された画像に基づき読み取って取得するメータ読取装置と、
前記点検対象の外観を撮影し、撮影画像を取得する監視カメラ装置と、
前記点検対象の周囲の音響信号をマイクにより収集し、収集された音響信号に基づき異音の有無および異音レベルを求めて異音情報を取得する音響収集装置と、
前記点検対象の周囲のガスを吸気し、該吸気されたガスから得られた臭覚センサ信号に基づき異臭の有無を診断した異臭情報を取得する臭覚センサ装置と、
前記点検対象の設置された環境情報を計測して取得する環境計測装置と、
前記電気室内に設置され、前記各装置の取得した情報を点検データとして整理・保存する現地点検サーバと、
前記現地点検サーバにより整理・保存された点検データをネットワーク経由で提供される遠隔監視装置と、
を備えることを特徴としている。
【0014】
(2)本発明の他の態様は、
電気施設の屋外に設置された電気設備と、
前記電気施設の電気室内に設置された制御盤と、
を点検対象として遠隔から自動的に保守点検するシステムの実行する方法であって、
前記制御盤に設置された情報通信装置が、前記制御盤に集まってくる前記電気設備の内蔵センサによる計測値を取得するステップと、
メータ読取装置により前記電気設備に設置されたメータを撮影し、前記メータの指針値を撮影された画像に基づき読み取って取得するステップと、
監視カメラ装置により前記点検対象の外観を撮影し、撮影画像を取得するステップと、
音響収集装置が、前記点検対象の周囲の音響信号をマイクにより収集し、収集された音響信号に基づき異音の有無および異音レベルを求めて異音情報を取得するステップと、
臭覚センサ装置が、前記点検対象の周囲のガスを吸気し、該吸気されたガスから得られた臭覚センサ信号に基づき異臭の有無を診断した異臭情報を取得するステップと、
環境計測装置により前記点検対象の設置された環境情報を計測して取得するステップと、
前記電気室内に設置された現地点検サーバが、前記各装置の取得した情報を点検データとして整理・保存するステップと、
前記現地点検サーバにより整理・保存された点検データをネットワーク経由で遠隔監視装置に提供するステップと、
を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電気設備の各点検項目が自動計測されるため、保守点検員が現地に赴くことなく日常点検を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1に係る電気設備遠隔総合点検システムの構成図。
図2】同 メータ読取装置の構成図。
図3】同 固定式監視カメラの構成図。
図4】同 移動式監視カメラの構成図。
図5】同 音響収集装置の構成図。
図6】同 臭覚センサ装置の構成図。
図7】同 臭覚センサにより得られた特徴量データの作成例。
図8】同 高次元ベクトルに整理された特徴量データの構成例。
図9】同 屋内環境計測装置の構成図。
図10】同 屋外環境計測装置の構成図。
図11】同 現地点検サーバの構成図。
図12】同 遠隔監視端末の構成図。
図13】同 電気室の各点検装置の配置図。
図14】同 屋外電気施設への各点検装置の配置図。
図15】同 制御パラメータの構成図。
図16】同 解析パラメータの構成図。
図17】同 情報通信端末の動作処理を示すフローチャート。
図18】同 メータ読取装置の動作処理を示すフローチャート。
図19】同 固定式監視カメラ装置の動作処理を示すフローチャート。
図20】同 移動式監視カメラ装置の動作処理を示すフローチャート。
図21】同 音響収集装置の動作処理を示すフローチャート。
図22】同 嗅覚センサ装置の動作処理を示すフローチャート。
図23】同 屋内環境計測装置の動作処理を示すフローチャート。
図24】同 屋外環境計測装置の動作処理を示すフローチャート。
図25】同 現地点検サーバの動作処理を示すフローチャート。
図26】同 各種設定機能部の動作処理を示すフローチャート。
図27】同 点検スケジュール管理機能部の動作処理を示すフローチャート。
図28】同 データ処理・記録機能部の動作処理を示すフローチャート。
図29】同 点検データベースのデータ構成図。
図30】同 総合解析機能部の動作処理を示すフローチャート。
図31】同 異音分布推定機能部の動作処理を示すフローチャート。
図32】同 異音分布推定図。
図33】同 異臭分布推定機能部の動作処理を示すフローチャート。
図34】同 異臭分布推定図。
図35】同 点検レポート作成機能部の動作処理を示すフローチャート。
図36】(a)は、同 点検スケジュールの月毎スケジュール図、(b)は、同 日毎スケジュール図。
図37】同 点検データ閲覧確認画面図。
図38】同 詳細点検データ確認画面図。
図39】実施例2の臭覚センサ装置の動作処理を示すフローチャート。
図40】同 油臭レベル検出と油臭判断の動作処理とを示すフローチャート。
図41】同 焦げ臭レベル検出と焦げ臭判断の動作処理とを示すフローチャート。
図42】同 異臭分布推定の動作処理を示すフローチャート。
図43】同 異臭分布推定図。
図44】実施例3の現地点検サーバの動作処理を示すフローチャート。
図45】同 点検データ時系列解析機能部の動作処理を示すフローチャート。
図46】同 時系列グラフを表示した詳細点検データ閲覧確認画面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る電気設備遠隔総合点検システム(電気設備遠隔総合点検方法)を説明する。このシステムによれば、変電所などの電気施設に設置された電気設備などの日常的な保守点検の全般を遠隔にて自動的に行うことができる。
【0018】
すなわち、点検項目のメータやモニタの数値・状態値の確認・外観観察・異音観察・異臭確認のすべての項目を自動的に計測し、保守点検員が現地に赴くことなく日常点検全般を行うことを可能とする。特に従来方法では実現できていない異臭確認について、複合的なセンシングシステムを構築して信頼度の高い異臭確認が実現されている。
【実施例0019】
図1図38に基づき前記システムの実施例1を説明する。図1中の1は、前記システムを示している。
【0020】
前記システム1は、情報通信端末4群・メータ読取装置5群・固定式監視カメラ装置6群・移動式監視カメラ装置7群・音響収集装置8群・嗅覚センサ装置9群・屋内環境計測装置10群・屋外環境計測装置11群・現地点検サーバ12・遠隔監視端末13を備えている。
【0021】
ここでは前記各装置4~11は、変電所の電気設備を遠隔点検するために用いられているため、点検装置と呼ぶことができる。また、前記各装置4~11は、点検対象となる電気設備10・制御盤20(以下、点検対象設備とする。)の個数に応じて用意され、それぞれ点検対象設備毎に設置される。
【0022】
≪配置状況≫
変電所などの電気施設では、図13および図14に示すように、変圧器や遮断器などの電気設備30を並べて設置し、それらの電気設備30を制御する制御盤20を電気室に並べて設置している。従来の保守点検員の行う保守点検作は、徒歩にて電気施設内を周回し、電気設備30や制御盤20などを点検する。
【0023】
これに対して本実施例では、前記各装置4~12を電気施設内の各所に配置し、点検対象設備の状態を遠隔監視する。なお、遠隔監視端末は遠隔地の保守管理室に配置される。
【0024】
(1)電気室内
図13に基づき電気室における前記各装置4,6,8~10,12の配置例を説明する(前記装置5,7,11は電気室内には配置されていない。)。
【0025】
図13中の20-1,20-2,20-3...20-Nは、電気室内に配置された制御盤20を示している。この各制御盤20内に情報通信端末4が配置される。また、各制御盤20-1,20-2,20-3...20-Nの周囲を囲繞するように音響収集装置8,臭覚センサ装置9,屋内環境装置10が配置される。
【0026】
この各装置8~10を囲繞するように固定式監視カメラ6が配置される(電気室内には前記装置5,7,11は配置されない。)。なお、電気室内の所定箇所に現地点検サーバ12が配置される。
【0027】
(2)屋外
図14に基づき電気施設の屋外における前記各装置4~11の配置例を説明する。図14中の30-1,30-2,30-3...30-Nは、屋外に設置された電気設備30を示している。また、30-2は、機械式メータなどの通信手段を持たないメータの設置された電気設備30を示し、メータ読取装置5が配置されている。
【0028】
この各電気設備30-1,30-2,30-3...30-Nを囲繞するように音響収集装置8,臭覚センサ装置9,屋外環境装置11が配置されている。この各装置8,9,11を囲繞するように移動式監視カメラ11が配置され、前記装置11を囲繞するように固定式監視カメラ装置6が配置されている。
【0029】
≪各装置4~13の構成≫
(1)情報通信装置4
各情報通信装置4には、非特許文献1の汎用データ収集・伝送端末/非特許文献2の多機能形デジタル継電器を用いることができ、同文献1,2と同様に変電所の電気室内の各種制御盤20に設置される。
【0030】
ここでは各情報通信装置4には、現地点検サーバ12から制御パラメータが入力され、入力された制御パラメータに応じて制御盤20に集まってくる電気設備30の内蔵センサによる計測値・電気設備30の「ON」/「OFF」などの状態値を収集して取得する。
【0031】
また、電気設備30に設置されたメータのうちメータ指針値を通信手段によって収集可能なスマートメータなどについては、情報通信端末4により前記メータ指針値が計測値として収集される。なお、各情報通信装置4は、入力された制御パラメータに従って取得した計測値・状態値を現地点検サーバ12に送信する。
【0032】
(2)メータ読取装置5
電気設備30に設置されたメータのうち変圧器の油面計のように機械式メータであって通信手段を持たないものについては、情報通信装置4ではメータ指針値を収集することができない。そこで、前述のように電気設備30-2にメータ読取装置5を設置し、メータ指針値を収集する。
【0033】
具体的には各メータ読取装置5は、図2に示すように、カメラ5a・照明5b・メータ読取端末5cを有している。メータ読取端末5cには、現地点検サーバ12から解析パラメータおよび制御パラメータが入力される。この制御パラメータに応じて照明制御信号を出力することで証明5bを点灯/消灯させる。ここでは照明5bの点灯時にカメラ5aによりメータが撮影され、撮影画像がメータ読取端末5cに入力される。
【0034】
また、メータ読取端末5cは、入力された解析パラメータに従って特許文献1と同様な手法により撮影画像を解析し、メータ指針値を読み取る。ここで読み取られたメータ指針値および撮影画像は、入力された制御パラメータに従って現地点検サーバ12に送信される。
【0035】
このときカメラ5aから入力させた撮影画像は、メータ読取端末5cに用意された図示省略の記憶領域に一時的に保存(保管)される。ただし、前記領域の記憶容量に達すれば古い撮影画像を順次に削除し、新しい撮影画像を保存していくものとする。
【0036】
(3)固定式監視カメラ6
各固定式監視カメラ装置6は、図3に示すように、可視光カメラ6a・赤外線カメラ6b・照明6c・カメラ雲台6d・固定式画像撮影端末6eを有している。この固定式画像撮影端末6eは、現地点検サーバ12から入力された制御パラメータに従って点検対象設備20,30の外観を撮影させ、撮影画像を現地点検サーバ12に送信する。
【0037】
すなわち、固定式画像撮影端末6eは、雲台動作信号を出力して前記雲台6dの動作を制御することで前記両カメラ6a,6bの撮影方向を調整し、さらに照明制御信号を出力して照明6cを点灯/消灯させる。
【0038】
ここでは照明6cは消費電力の小さな可視光のLED照明などが好ましく、該照明6cの点灯時に両カメラ6a,6bが電気設備30・制御盤20の外観を撮影する。このとき可視光カメラ6aにより撮影された可視光および赤外線カメラ6bにより撮影された赤外線画像は、それぞれ固定式画像撮影端末6eに入力されて現地点検サーバ12に送信される。
【0039】
(4)移動式監視カメラ7
各移動式監視カメラ7は、図4に示すように、可視光カメラ7a・赤外線カメラ7b・照明7c・カメラ雲台7d・移動カメラ台車7e・移動式画像撮影端末7fを有している。この台車7eには移動カメラ台車コントローラ7hが内蔵されている。
【0040】
移動式画像撮影端末7fは、現地点検サーバ12から入力された制御パラメータに従って電気設備30の外観を撮影し、撮影画像を現地点検サーバ12に送信する。すなわち、移動式画像撮影端末7fは、台車動作信号を前記コントローラ7hに出力して前記台車7eの動作を制御する。ここでは前記台車7eはモノレール式の移動台車に構成され、前記各種機器7a~7dを搭載してレール7gの設置範囲を移動自在となっている。
【0041】
また、移動式画像撮影端末7fは、雲台動作信号を出力して前記雲台7dの動作を制御することで前記両カメラ7a,7bの撮影方向を調整し、照明制御信号を出力して照明7cを点灯/消灯させる。ここでは照明7cは、照明6cと同様に消費電力の小さな可視光のLED照明などが好ましく、該照明7cの点灯時に両カメラ7a,7bが電気設備30の外観を撮影する。
【0042】
このとき可視光カメラ7aにより撮影された可視光画像および赤外線カメラ6bにより撮影された赤外線画像は、それぞれ移動式画像撮影端末7fに入力されて現地点検サーバ12に送信される。
【0043】
(5)音響収集装置8
各音響収集装置8は、図5に示すように、マイク8a・音響収集端末8bを有している。この音響収集端末8bには、現地管理サーバ3から制御パラメータおよび解析パラメータが入力される。
【0044】
音響収集端末8bには、マイク8aにより収集された点検対象設備20,30の周囲の音響信号が入力される。このとき音響収集端末8bは、入力された解析パラメータに従って非特許文献4の手法で入力された音響信号を解析し、異音の有無・異音レベルを異音データとして取得する。
【0045】
また、音響収集端末8bは、入力された制御パラメータに従って異音データおよび音響信号を現地管理サーバ3に送信する。なお、マイク8aから入力された音響信号は音響収集端末8bに用意された図示省略の記憶領域に一時的に保存され、該領域の記憶容量に達すれば古い音響信号が順次に削除され、新しい音響信号を保存していくものとする。
【0046】
(6)臭覚センサ装置9
臭覚センサ装置9は、図6に示すように、一対の「NaOH」フィルタ9a・活性炭フィルタ9b・電磁弁9A,9B・嗅覚センサ9c・ポンプ9d・装置制御部9e・データ解析部9fを有している。「NaOH」フィルタ9aは空気中に含まれる腐食性がガスを除去するフィルタであり、活性炭フィルタ9bは空気中に含まれる異臭成分を除去するフィルタである。
【0047】
電磁弁9A,9Bは、それぞれ装置制御部9eからの弁調整指令(弁開閉度合A,B)の入力により弁開閉度合を調整する。臭覚センサ9cは、吸気したガスに応じたセンサ信号を出力し、特許文献2・非特許文献8のような複数のセンサを搭載したセンサアレイにより構成した人工臭覚システムが用いられている。
【0048】
ポンプ9dは、ガスを吸引して臭覚センサ装置9内にガスを循環させる。本実施例で使用するポンプ9dは流量計が付属しており、ガス流量の装置制御指令に基づき臭覚センサ装置9内を循環させるガスの流量を制御することができる。
【0049】
装置制御部9eは、現地管理サーバ3から制御パラメータが入力され、事前に設定された制御情報に基づき電磁弁9A,9B・ポンプ9d・データ解析部9fを制御する。
【0050】
データ解析部9fは、現地管理サーバ12から入力された解析パラメータを記録し、装置制御部9eから入力された制御パラメータ・センサ信号記録指令・データ解析指令を記録する。ここでは嗅覚センサ9cから入力された嗅覚信号をセンサ記録指令に従って時系列のセンサ信号データとして記録する。また、データ解析指令に応じてデータ解析を行って点検対象設備20,30の周囲における異臭の有無を診断する。
【0051】
臭覚センサ装置9の動作の詳細を説明すれば、ポンプ9dを制御することで内部にガスを吸気する。このとき電磁弁9A,9Bの開閉度を制御することで両フィルタ9a,9bを通したガスと、活性炭フィルタ9bを通さずに「NaOH」フィルタ9aのみを通したガスとを交互に吸気する。
【0052】
ここで吸気されたガスの異臭成分を嗅覚センサ9cにより検出し、検出された異臭成分がデータ解析部9fに出力される。データ解析部9fは、センサ信号記録指令およびデータ解析指令に応じて、以下のように解析制御状態値を設定する(ただし、前記記録指令が優先設定されている。)。
(A)両指令の値「0」=「待機状態値」に設定される。
(B)センサ信号記録指令の値「1」=センサ信号データの「記録状態値」に設定される。なお、センサ信号記録指令が優先設定されているため、両指令の値「1」の場合には「記録状態値」に設定される。
(C)センサ信号記録指令の値「0」 AND データ解析指令の値「1」=「データ解析状態値」に設定される。
【0053】
設定された解析制御状態値が「記録状態値」の場合には、前述のように嗅覚センサ6cから入力されたセンサ信号を時系列に整理したセンサ信号データを記録する。一方、「解析状態値」の場合には、制御パラメータとセンサ信号データとを抽出し、当該センサ信号データの特徴量データを作成する。
【0054】
すなわち、まずサンプルOFF時間(弁開閉度合A,B=「0」)のセンサ信号の平均値が算出され、算出された平均値からセンサ信号データの差分値を離散的に算出して並べることによりセンサ毎の特徴量データを作成する。この特徴量データの作成例を図7に示す。
【0055】
つぎに算出された特徴量データからなる高次元ベクトルデータに整理する。この高次元ベクトルデータが特徴量データとなる。高次元ベクトルに整理して特徴量データとする一例を図8に示す。
【0056】
その後、データ解析部9fは、解析パラメータおよび特徴量データを図示省略のサポートベクタマシン(SVM)に供して異臭の有無を診断する。この診断により得られた「異臭有り」・「異臭無し」の診断結果が異臭データとして現地点検サーバ12に送信される。本実施例では異臭として油臭・焦げ臭の有無が診断される。
【0057】
前記サポートベクタ―マシンは、2クラス分類器であって、解析パラメータが適用される。すなわち、解析パラメータは、事前に採取された「異臭あり」・「異臭なし」の異臭成分のセンサ信号データに基づく特徴量を教師データとするオフラインに学習により得られた2クラス分類器の線形入力素子のパラメータを含む。例えば教師データからの閾値判定により異臭の有無の診断することができる。
【0058】
(7)屋内環境装置10
屋内環境計測装置10は、図9に示すように、温度計10a・湿度計10b・COガスセンサ(一酸化炭素ガスセンサ)10c・屋内環境計測端末10dを有している。この屋内環境計測端末10dは、現地点検サーバ12から制御パラメータが入力される。
【0059】
また、屋内環境計測端末10dには、温度計10aから温度情報・湿度計10bから湿度情報・前記センサ10cからCOガスセンサ強度(一酸化ガスの濃度)の情報がそれぞれ入力される。ここで入力された情報群を制御パラメータに従って電気室内の制御盤20周囲の屋内環境情報として整理し、現地点検サーバ12に送信する。
【0060】
(8)屋外環境計測装置11
屋外環境計測装置11は、図10に示すように、温度計11a・湿度計11b・COガスセンサ11c・風速計11d・屋外環境計測端11eを有している。この屋外環境計測端末11eは、現地点検サーバ12から制御パラメータが入力される。
【0061】
また、屋外環境計測端末11eには、温度計11aから温度情報・湿度計11bから湿度情報・前記センサ11cからCOガスセンサ強度の情報・風速計11dから風向や風速の情報がそれぞれ入力される。ここで入力された情報群を制御パラメータに従って電気設備30周囲の屋外環境情報として整理し、現地点検サーバ12に送信する。
【0062】
(9)現地点検サーバ12
現地点検サーバ11は、電気室内に配置されたサーバにより構成され、図11に示すように、オフラインで作成された制御パラメータおよび解析パラメータをダウンロードし、内蔵の記憶装置(図示省略)に保存する。
【0063】
ここで保存された制御パラメータおよび解析パラメータを前記各装置4~11に送信する一方、前記各装置4~11の送信情報を受信してデータ整理および保存を行う。また、遠隔監視端末12に対して点検画面を提供し、該点検画面に対する遠隔監視端末12の点検画面入力データを受け付けて、該受け付けた前記データの入力値を整理して保存する。
【0064】
(10)遠隔監視端末13
遠隔監視端末は、図12に示すように、現地点検サーバ12の提供する点検画面をネットワーク経由で表示する。この点検画面を閲覧中の保守点検員は、該点検画面上で各種入力を行うことができ、その点検画面入力データをネットワーク経由で現地点検サーバ12へ送信する。なお、点検画面上で整理した点検レポートをファイルやプリンタなどへ出力することもできる。
【0065】
≪制御パラメータ・解析パラメータ≫
(1)制御パラメータ
図15に基づき制御パラメータを説明する。ここでは制御パラメータとして、以下のパラメータが用いられている。
【0066】
・情報通信端末4に入力される制御パラメータ(図15中の情報端末制御パラメータ)
・メータ読取装置5のメータ読取端末5cに入力される制御パラメータ(同メータ読取制御パラメータ)
・固定式監視カメラ装置6の固定式画像撮影端末6eに入力される制御パラメータ(同固定式監視カメラ制御パラメータ)
・移動式監視カメラ装置7の移動式画像撮影端末7fに入力される制御パラメータ(同移動式監視カメラ制御パラメータ)
・音響収集装置8の音響収集端末8bに入力される制御パラメータ(同音響収集制御パラメータ)
・臭覚センサ装置9の装置制御部9eに入力される制御パラメータ(同臭覚センサ制御パラメータ)
・屋内環境計測装置10に入力される制御パラメータ(同屋内環境計測制御パラメータ)
・屋外環境計測装置11に入力される制御パラメータ(同屋外環境計測制御パラメー
情報通信端末制御パラメータは、情報通信端末4の収集した計測値・状態値を現地点検サーバへ送信する情報端末送信指令により構成されている。メータ読取制御パラメータは、メータ読取端末5cに指令するメータ読取指令と、メータ読取端末5cに照明制御信号を出力させて照明5bの点灯/消灯を制御する照明操作指令とにより構成されている。
【0067】
固定式監視カメラ制御パラメータは、前記カメラ6a,6bによる撮影を固定式画像撮影端末6eに指令する固定式カメラ撮影指令と、固定式画像撮影端末6eに照明制御信号を出力させて照明6cを操作させる照明操作指令と、固定式カメラ動作リストとにより構成されている。
【0068】
固定式カメラ動作リストは、事前に作成された複数の固定式カメラ動作パラメータの一覧であって、固定式カメラ動作パラメータには観測箇所ラベル・カメラパン角・カメラチルト角・可視カメラズーム値などの各種データが含まれる。また、固定式カメラ動作リストは、前記システム1が保守点検動作を行う前に予め現地点検サーバ12から固定式画像撮影端末6eに送信され、該端末6e内に保存しておくものとする。
【0069】
移動式監視カメラ制御パラメータは、前記カメラ7a,7bによる撮影を移動式画像撮影端末7fに指令する移動式カメラ撮影指令と、移動式画像撮影端7feに照明制御信号を出力させて照明7cを操作させる照明操作指令と、移動式カメラ動作リストとにより構成されている。
【0070】
移動式カメラ動作リストは、事前に作成された複数の移動式カメラ動作パラメータの一覧であって、移動式カメラ動作パラメータには観測箇所ラベル・カメラパン角・カメラチルト角・可視カメラズーム値などの各種データが含まれる。また、移動式カメラ動作リストは、前記システム1が保守点検動作を行う前に予め現地点検サーバ12から移動式画像撮影端末7fに送信され、該端末7f内に保存しておくものとする。
【0071】
音響収集制御パラメータは、音響収集端末8bによる音響信号の収集を制御する音響収集指令と、音響信号を収集する時間を示す音響収集時間とにより構成されている。この音響収集時間は、前前システム1が保守点検動作を行う前に予め現地点検サーバ12から音響収集端末8bに送信され、該端末8b内に保存しておくものとする。
【0072】
嗅覚センサ制御パラメータは、装置制御部9eへの異臭検査指令と嗅覚センサ6cの動作パラメータとにより構成されている。この動作パラメータは、電磁弁9A,9Bおよびポンプ9dの操作を行う際に使用される。また、前記動作パラメータは、前記システムが保守点検動作を行う前に予め現地点検サーバ12から装置制御部9eに送信され、該制御部9e内に保存しておくものとする。
【0073】
屋内環境計測制御パラメータは、屋内環境情報を収集・整理して現地点検サーバ12に送信させる屋内環境計測指令により構成されている。また、屋外環境計測装置11用の制御パラメータは、屋外環境情報を収集・整理して現地点検サーバ12に送信させる屋外環境計測指令により構成されている。
【0074】
(2)解析パラメータ
図16に基づき解析パラメータを説明する。ここでは解析パラメータとして、以下のパラメータが用いられている。
【0075】
・メータ読取装置5のメータ読取端末5cに入力される解析パラメータ(図16中のメータ読取解析パラメータ)
・音響収集装置8の音響収集端末8bに入力される解析パラメータ(同音響解析パラメータ)
・臭覚センサ装置9のデータ解析部9fに入力される解析パラメータ(同臭覚センサ解析パラメータ。)
メータ読取解析パラメータは、例えば特許文献1のような方法により画像を解析し、メータ指針値を読み取るためのデータ解析用パラメータにより構成されている。また、メータ読取解析パラメータは、前記システム1が保守点検動作を行う前に予め現地点検サーバ12からメータ読取端末5cに送信され、該端末5c内に保存しておくものとする。
【0076】
音響解析パラメータは、例えば非特許文献4のような方法により音響信号を解析し、異音有無・異音レベルを求めるためのデータ解析用パラメータにより構成されている。また、音響解析パラメータは、前記システム1が保守点検動作を行う前に予め現地点検サーバ12から音響収集端末8bに送信され、該端末8bに保存しておくものとする。
【0077】
嗅覚センサ解析パラメータは、嗅覚センサの嗅覚センサ信号を解析して、異臭の有無をサポートベクタマシンにより判断する際に使用する。異臭の有無としては、主に油臭の有無・焦げ臭の有無を扱い、それぞれの判断に必要なサポートベクタマシンの学習パラメータを嗅覚センサ解析パラメータ内に個別に保存する。
【0078】
また、嗅覚センサ解析パラメータは、前記システムが保守点検動作を行う前に予め現地点検サーバ12から嗅覚センサ装置9に送信され、該装置9のデータ解析部9f内に保存しておくものとする。
【0079】
≪動作例≫
以下、各点検装置4~12の動作例を説明する。
【0080】
(1)情報通信端末4
図17に基づき情報通信端末4の動作例を説明する。
【0081】
S01,S02:情報通信端末4は、動作開始時に現地点検サーバ12から制御パラメータ(情報端末送信指令)を受信したか否かを確認する(S01)この確認の結果、情報端末送信指令を受信していなければ装置を停止し(S02)、処理を終了する。
【0082】
S03~S05:S01の確認の結果、情報端末送信指令を受信していれば、各電気設備30の内蔵センサから制御盤20に集まった計測値・状態値を収集し(S03)、収集した計測値・状態値を現地点検サーバ12に送信する(S04)。その後、次の制御パラメータを受信しなければ(S05)、S02に進んで装置を停止して処理を終了する。
【0083】
(2)メータ読取装置5
図18に基づきメータ読取装置5の動作例を説明する。
【0084】
S11:メータ読取端末5cは、動作開始時に現地点検サーバ12からメータ読取指示を受信したか否かを確認する。
【0085】
S12,S13:S11の確認の結果、メータ読取指示を受信していなければ装置を停止し(S12)、処理を終了する。一方、メータ読取指示を受信していれば照明操作指令の受信を確認する(S13)。
【0086】
S14:S13の確認の結果、照明操作指令を受信していなければ、照明5bを点灯させることなくカメラ5aでメータを撮影し、S20に進む。
【0087】
S15~S19:S13の確認の結果、照明操作指令を受信していれば照明制御信号ONを出力し(S15)、照明5bを点灯させる(S16)。その後、カメラ5aでメータを撮影し(S17)、撮影終了後に照明制御信号OFFを出力して(S18)、照明5bを消灯させて(S19)、S20に進む。
【0088】
S20~S23:S14,S17の撮影画像をメータ読取端末5cに保存し、メータ読取解析パラメータに従って該撮影画像を解析してメータ読取を実施する。ここで読み取ったメータ指針値と前記保存された撮影画像とを現地点検サーバ12に送信する(S21,S22)。その後、次のメータ読取指令を受信していなければ(S23)、S12に進んで装置を停止して処理を終了する。
【0089】
(3)固定式カメラ装置6
図19に基づき固定式カメラ装置6の動作例を説明する。
【0090】
S31,S32:固定式画像撮影端末6eは、動作開始時に固定式カメラ撮影指令を受信した否かを確認する(S31)。確認の結果、固定式カメラ撮影指令を受信していなければ装置を停止し(S32)、処理を終了する。
【0091】
S33~S35:S31の確認の結果、固定式カメラ撮影指令を受信していれば、固定式カメラ動作リストから固定式カメラ動作パラメータを順次に読み出す(S33)。
【0092】
ここで読み出された固定式カメラ動作パラメタータに従って、雲台制御信号を出力して雲台6dの角度を調整することで各カメラ6a,6bの撮影方向を制御し(S34)、その後に照明操作指令を受信したか否かを確認する(S35)。
【0093】
S36,S37:S35の確認の結果、照明操作指令を受信していなければ、照明6cを点灯させることなく、各カメラ6a,6bにより点検対象設備20,30の可視光画像および赤外線画像を撮影し、撮影された前記各画像を固定式画像撮影端末6e内のメモリ(RAM)に一時保存する。
【0094】
S38~S43:S35の確認の結果、照明操作指令を受信していれば、照明制御信号ONを出力し(S38)、照明6cを点灯させる(S39)。その後、各カメラ6a,6bにより点検対象設備20,30の可視光画像および赤外線画像を撮影し(S40,S41)、撮影された前記各画像を固定式画像撮影端末6e内のメモリ(RAM)に一時保存する。この撮影後に照明制御信号OFFを出力し(S42)、照明6cを消灯させる(S43)。
【0095】
S44~S47:S36,S37,S40,S41で撮影された画像を前記メモリからすべて読み出し(S44)、現地点検サーバ12に送信する(S45,S46)。その後、次の固定式カメラ撮影指令を受信していなければ(S47)、S32に進んで装置を停止して処理を終了する。
【0096】
(4)移動式カメラ装置7
図20に基づき移動式カメラ装置7の動作例を説明する。
【0097】
S51,S52:移動式画像撮影端末7fは、動作開始時に移動式カメラ撮影指令を受信した否かを確認する(S51)。確認の結果、移動式カメラ撮影指令を受信していなければ装置を停止し(S52)、処理を終了する。
【0098】
S53~S55:S51の確認の結果、移動式カメラ撮影指令を受信していれば、移動式カメラ動作リストから移動式カメラ動作パラメータを順次に読み出す(S53)。
【0099】
ここで読み出された移動式カメラ動作パラメタータに従って、まず移動カメラ台車コントローラ7hに台車動作信号を出力し、移動カメラ台車7eをレール7gに沿って移動させ、各カメラ7a,7bの撮影位置を制御する(S54)。
【0100】
つぎに雲台制御信号を出力して雲台7dの角度を調整することで各カメラ6a,6bの撮影方向を制御し(S55)、その後に照明操作指令を受信したか否かを確認する(S56)。
【0101】
S57,S58:S56の確認の結果、照明操作指令を受信していなければ、照明7cを点灯させることなく、各カメラ7a,7bにより電気設備30の可視光画像および赤外線画像を撮影し、撮影された前記各画像を移動式画像撮影端末7f内のメモリ(RAM)に一時保存する。
【0102】
S59~S64:S56の確認の結果、照明操作指令を受信していれば、照明制御信号ONを出力し(S59)、照明7cを点灯させる(S60)。その後、各カメラ7a,7bにより電気設備30の可視光画像および赤外線画像を撮影し(S61,S62)、撮影された前記各画像を移動式画像撮影端末7f内のメモリ(RAM)に一時保存する。この撮影後に照明制御信号OFFを出力し(S63)、照明7cを消灯させる(S64)。
【0103】
S65~S67:S57,S58,S61,S62で撮影された画像を前記メモリからすべて読み出し(S65)、現地点検サーバ12に送信する(S66,S67)。その後、次の固定式カメラ撮影指令を受信していなければ(S68)、S52に進んで装置を停止して処理を終了する。
【0104】
(5)音響収集装置8
図19に基づき音響収集装置8の動作例を説明する。
【0105】
S71,S72:音響収集端末8bは、動作開始時に音響収集指令を受信したか否かを確認する(S71)。この確認の結果、音響収集指令を受信していなければ、装置を停止し(S72)、処理を終了する。
【0106】
S73~S79:S71の確認の結果、音響収集指令を受信していれば音響収集時間に設定した時間分の音響信号をマイク8aから取得して録音し、音響収集端末8bに保存する。その後、音響解析パラメータに従って保存された音響信号の音響解析を実施し(S75)、点検対象設備20,30の周囲における異音の有無・異音レベルを求めて異音データとして整理する(S76)。
【0107】
ここで整理された異音データおよび保存された音響信号を現地点検サーバ12にそれぞれ送信する(S77,S78)。その後、次の音響収集指令を受信していなければ(S79)、S72に進んで装置を停止して処理を終了する。
【0108】
(6)臭覚センサ装置9
図22に基づき臭覚センサ装置9の動作例を説明する。
【0109】
S81,S82:装置制御部9cは、動作開始時に臭覚検査指令を受信したか否かを確認する(S81)。この確認の結果、臭覚検査指令を受信していなければ、装置を停止し(S82)、処理を終了する。
【0110】
S83~S87:S81の確認の結果、臭覚検査指令を受信していれば装置制御部9eは、臭覚センサ動作パラメータに従って電磁弁9A,9Bに弁開閉度合A,Bを出力し、ポンプ9dに制御パラメータを出力し、内部にガスを吸気して臭覚センサ9cにより臭覚センサ信号を計測させる(S83)。
【0111】
ここで計測された臭覚センサ信号はデータ解析部9fに出力され、データ解析部9fは臭覚センサパラメータに従って臭覚センサ信号を解析する(S84)。このときデータ解析部9fは、油臭の有無・焦げ臭の有無をそれぞれ並列に判断するものとする(S84a,S84b)。
【0112】
解析結果は点検対象設備20,30周囲の異臭データとして整理され(S85)、整理された異臭データを現地点検サーバ12に送信する(S86)。その後、次の異臭検査指令を受信していなければ(S87)、S82に進んで装置を停止して処理を終了する。
【0113】
(7)屋内環境計測装置10
図23に基づき屋内環境装置10の動作例を説明する。
【0114】
S91,S92:屋内環境装置10は、動作開始時に屋内環境計測指令を受信したか否かを確認する(S91)。この確認の結果、屋内環境計測指令を受信していなければ、装置を停止し(S92)、処理を終了する。
【0115】
S93~S96:S91の確認の結果、屋内環境計測指令を受信していれば、温度計10a,湿度計10b,COガスセンサ10cにより、制御盤20周囲の温度・湿度・COガス強度を計測する(S93)。
【0116】
ここで計測された各情報を屋内環境データとして整理し(S94)、整理された屋内環境データを現地点検サーバ12に送信する(S95)。その後、次の屋内環境計測指令を受信していなければ(S96)、S92に進んで装置を停止して処理を終了する。
【0117】
(8)屋外環境計測装置11
図24に基づき屋外環境計測装置11の動作例を説明する。
【0118】
S101,S102:屋外環境装置11は、動作開始時に屋外環境計測指令を受信したか否かを確認する(S101)。この確認の結果、屋外環境計測指令を受信していなければ、装置を停止し(S102)、処理を終了する。
【0119】
S103~S106:S101の確認の結果、屋外環境計測指令を受信していれば、温度計11a,湿度計11b,COガスセンサ11c,風速計11dにより、電気設備30周囲の温度・湿度・COガス強度・風速・および風向を計測する(S103)。
【0120】
ここで計測された各情報を屋外環境データとして整理し(S104)、整理された屋外環境データを現地点検サーバ12に送信する(S105)。その後、次の屋外環境計測指令を受信していなければ(S106)、S102に進んで装置を停止して処理を終了する。
【0121】
(9)現地点検サーバ12
図25に基づき現地点検サーバ12の動作例を説明する。
【0122】
現地点検サーバ12は、動作開始後に点検用機能部(各種設定機能部40,点検スケジュール管理機能部50,データ収集・記録機能部60,総合解機能部70,点検レポート作成機能部80)の処理を並列に動作させる(S111)。
【0123】
この各機能部40~80の動作処理がすべて終了すれば、装置を停止して動作を停止する(S112)。一方、すべて終了していなければ、各機能部40~80の処理を継続する。
【0124】
なお、遠隔監視端末13は、ネットワーク経由で現地点検サーバ12にアクセスし、現地点検サーバ12の各種設定機能部40を遠隔から利用することが可能となっている。
【0125】
≪点検用機能部40~80の詳細≫
(1)各種設定機能部40
図26に基づき各種設定機能部40の詳細を説明する。ここでは各種設定機能部40は、現地点検サーバ12/遠隔監視端末13からアクセスして操作可能な点検設定画面90をWebブラウザに表示させる。すなわち、保守点検員がWebブラウザで点検設定画面90を選択することで(S120)、該当する点検設定画面90が呼び出される(S121)。
【0126】
本実施例では点検設定画面90として、制御パラメータ設定画面90a・解析パラメータ設定画面90b・点検スケジュール管理画面90c・点検データ閲覧画面90d・点検レポート作成画面90eの各種画面が用意されている。
【0127】
そして、保守点検などのユーザは、各点検画面90a~90e上で閲覧および設定入力などの操作を行う(S122)。この閲覧・操作の終了後に点検設定画面90の画面を閉じれば(S123)、各種設定機能部40の動作処理が終了する。
【0128】
(2)点検スケジュール管理機能部50
点検スケジュール管理機能部50は、各点検装置4~11の点検スケジュールを常時監視する。図27に基づき動作処理を説明すれば、動作開始時に現地点検サーバ12の時計91の時刻が点検時刻となっているか否かを確認し(S131)、点検時刻になっていなければ、そのままS132に進む。
【0129】
一方、点検時刻になっていれば、制御パラメータの情報端末送信指令・メータ読取指令・固定式カメラ撮影指令・移動式カメラ撮影指令・音響収集指令・異臭検査指令・屋内環境計測指令・屋外環境計測指令の各指令値を「Yes」に設定してアクティブ化し、それぞれの制御パラメータを各点検装置4~11に送信し、S132に進む。
【0130】
S132では、点検停止が遠隔監視端末13から指令されているか否かを確認し、指令されていなければ次の点検時刻となるまで待機する。一方、指令されていれば動作処理を終了する。
【0131】
(3)データ収集・記録機能部60
データ収集・記録機能部60は、各点検装置4~11から受信した各点検データを整理して点検記録データベースに保存する。すなわち、データ収集・記録機能部60は、図28に示すように、動作開始時に点検データの受信を確認し(S141)、点検データを受信していなければ、そのままS142に進む。
【0132】
一方、点検データを受信していれば受信した点検データを整理し(S143)、整理した点検データを前記点検記録データベースに保存し(S144)、S142に進む。S142では、点検停止が遠隔監視端末13から指令されているか否かを確認し、指令されていなければS141に戻って動作処理を継続する。一方、指令されていれば動作処理を終了する。
【0133】
以下、図29に基づき点検データベースの構成を説明する。この点検データベースは、点検日時ごとの各点検データを記録し、点検装置4~11・点検対象設備20,30・観測箇所ラベル・点検データ・点検データ状態・確認状態の情報を1つのまとまりとしたデータ列で構成する。
【0134】
点検装置の欄は、点検データの計測や解析を行う情報通信端末4・メータ読取装置5・固定式監視カメラ装置6・移動式監視カメラ装置7・音響収集装置8・嗅覚センサ装置9・屋内環境計測装置10・屋外環境計測装置11・現地点検サーバ12の分類を記録する。図29中では、それぞれの点検装置4~11群の一つを4-1~11-1と例示している。
【0135】
点検対象設備の欄は、電気設備30や制御盤20の分類を記録し、図29中では制御盤20-1,電気設備30-1が例示されている。このとき音響収集装置8・嗅覚センサ装置9・屋内環境計測装置10・屋外環境計測装置11については、屋内/屋外の分類を記録する。なお、現地点検サーバについては空欄とする。
【0136】
観測箇所ラベルの欄は、情報通信端末について電流値・電圧値などの計測値名を記録する。また、メータ読取装置5・固定式監視カメラ装置6・移動式監視カメラ装置7については油面計・変圧器上部・遮断機左部などの観測箇所を記録する。さらに音響収集装置8・嗅覚センサ装置9・屋内環境計測装置10・屋外環境計測装置11については、屋内1地点や屋外1地点など各点検装置8~10の設置個所を記録する。なお、現地点検サーバ12については、後述する異音分布推定・異臭分布推定などの総合解析の種類を記録する。
【0137】
点検データの欄は、各点検装置4~11から受信した点検データ(計測値・メータ指針値など)を記録する。点検データ状態の欄は、点検データの状態について未定・正常・異常の点検データ状態値を記録する。ただし、現地点検サーバ12がデータ収集・記録機能部60を動作させた時点では、点検データ状態値に未定を設定しておくものとする。
【0138】
確認状態の欄は、点検データを保守員が確認済か未確認かの確認状態値を記録する。ただし、現地点検サーバ12がデータ収集・記録機能部60を動作させた時点では、確認状態値に未確認を設定しておくものとする。
【0139】
(4)総合解析機能部70
総合解析機能部70は、現地点検サーバ12がデータ収集・記録機能部60を動作させて後に動作が実行される。図30に基づき説明すれば、総合解析機能部70の動作処理が開始されると、点検データ閾値判断(S151)・点検データ状態判断(S152)・異音分布推定(S153)・異臭分布推定(S154)の動作処理を順に実行する。
【0140】
その後、点検停止が遠隔監視端末13から指令されているか否かを確認し、指令されていなければS151~S154の動作処理を繰り返す。一方、指令されていれば動作処理を終了する。以下、S151~S154の動作処理の詳細を説明する。
【0141】
S151:点検データ閾値判断においては、情報通信端末4で収集した計測値(点検データ)が事前設定の上限値~下限値の間の許容範囲に入っているかを確認する。確認の結果、許容範囲に入っていれば該点検データの点検データ状態を正常に設定する一方、そうでなければ点検データ状態を異常に設定する。
【0142】
また、メータ読取装置5で収集したメータ指針値(点検データ)が事前設定の上限値~下限値の間の許容範囲に入っているかを確認する。確認結果、許容範囲に入っていれば該点検データの点検データ状態値を正常に設定する一方、そうでなければ点検データ状態を異常に設定する。このときメータ指針値に付随するメータの撮影画像の点検データ状態値についても、メータ指針値と同様に点検データ状態値を設定する。
【0143】
さらに固定式監視カメラ装置6で収集した赤外画像(点検データ)を確認し、事前に設定した最大温度以上の箇所が存在すれば、異常加熱と判断して該点検データの点検データ状態値を異常に設定する。一方、そうでなければ点検データ状態値を正常に設定する。
【0144】
同様に移動式監視カメラ装置7で収集した赤外画像(点検データ)を確認し、事前に設定した最大温度以上の箇所が存在すれば、異常加熱と判断して該点検データの点検データ状態値を異常に設定する。一方、そうでなければ点検データ状態値を正常に設定する。
【0145】
S152:点検データ状態判断においては、まず情報通信端末4で収集した「ON」/「OFF」などの状態値(点検データ)を、電気設備30の運用中として正しい状態値での運用状態値と比較する。比較の結果、正しければ該点検データを正常に設定する一方、そうでなければ点検データ状態値を異常に設定する。
【0146】
つぎに音響収集装置8の異音データ(点検データ)が異音有りの場合には該点検データの点検データ状態値を異常に設定する一方、そうでなれば点検データ状態値を正常に設定する。
【0147】
ただし、異常に設定された異音データについては、異音レベルが事前設定の上限値~下限値の間の許容範囲に入っているかを確認する。確認結果、許容範囲に入っていれば該点検データの点検データ状態値を正常に更新する。一方、そうでなければ点検データ状態を異常に設定されたままとする。
【0148】
また、臭覚センサ装置9の異臭データ(点検データ)中に「油臭あり」とあれば該点検データの点検データ状態を異常に設定する一方、そうでなければ点検データ状態を正常に設定する。同様に異臭データ(点検データ)に「焦げ臭あり」とあれば該点検データを異常に設定する一方、そうでなければ点検データ状態を正常に設定する。
【0149】
S153:図31に基づき異音分布推定(S153)の処理内容を説明する。まず、動作処理の開始後に電気設備30の配置図上に音響収集装置8の設置個所をプロットする(S161)。つぎにプロットされた設置個所を中心として異音データの異音レベルに応じたサイズの円を描画し(S162)、異音分布推定図を作成する。この異音分布推定図中の円を異音推定円と呼ぶ。
【0150】
その後、異音推定円の近傍にある電気設備を異音発生注意設備としてリスト化する(S163)。ここでリスト化された異音発生注意設備リストと異音分布推定図とを異音分布推定結果として整理し、点検記録データベースへ保存する(S164)。
【0151】
図32は異音分布推定図の一例を示し、電気設備30-1と電気設備30-2とが異音発生注意設備リストに記述される。このように点検対象設備20,30の周囲の何処かに異音がある場合は、これら点検データの点検データ状態値を異常に設定し、そうでなければ点検状態値を正常に設定して(S165)、動作処理を終了する。
【0152】
S154:図33に基づき異臭分布推定(S154)を説明する。まず、動作処理の開始後に電気設備30の配置図上に嗅覚センサ装置9の設置個所をプロットする(S171)。つぎに屋内(電気室内)では、前記設置個所を中心として予め決められた屋内異臭サイズの円を描画し(S172)、異臭分布推定図を作成する。
【0153】
一方、屋外では、プロットされた嗅覚センサ装置9と同じ設置位置(図14参照)の屋外環境計測装置11で計測した風速・風向に応じて屋外異臭推定中心を求める(S173)。この屋外異臭推定中心に基づき予め決められた屋外異臭サイズの円を描写し(S174)、異臭分布推定図を作成する。
【0154】
ここで作成された異臭分布推定図(S172,S174)中の円を異臭推定円と呼ぶ。異臭分布推定図の作成にあたっては、異臭データに基づき油臭による異音推定円と焦げ臭による異音推定円とは別の色で表現する。
【0155】
また、プロットされた嗅覚センサ装置9と同じ設置個所にある屋外環境計測装置11/屋内環境計測装置10(図13図14参照)のCOガスセンサ強度が、予め設定した許容COガスセンサ強度よりも大きい場合には異臭推定円を別の色で表現する。さらに焦げ臭とCOガスセンサ強度との両方に異常が見られた場合は、異臭推定円をさらに別の色で表現する。
【0156】
このとき電気設備30や制御盤20の構造物に何らかの加熱があった場合は、嗅覚センサ装置9が反応し、構造物がさらに高温となり燃焼に近づくとCOガスが発生する。そこで、嗅覚センサ装置9とCOガスセンサ10cの出力を協調することにより電気設備30や制御盤20で発生する異常加熱の検出精度を高める効果が期待できる。
【0157】
その後、異臭推定円の近傍にある電気設備を異臭発生注意設備としてリスト化する(S175)。図34は、異臭分布推定図の一例を示し、屋外では電気設備30-1,30-2が異臭発生注意設備リストに記述される一方、屋内(電気室内)では制御盤20-1,20-2が同リストに記述される。
【0158】
ここでリスト化された異臭発生注意設備リストと異臭分布推定図とを異臭分布推定結果として整理し、点検記録データベースへ保存する(S176)。このように点検対象設備20,30の周囲の何処かに異臭がある場合は、これら点検データの点検データ状態値を異常に設定し、そうでなければ点検状態値を正常に設定して(S177)、動作処理を終了する。
【0159】
(5)点検結果レポート作成機能部80
図35に基づき点検レポート作成機能部80の動作処理を説明する。動作処理が開始されると点検レポート作成機能部80は、指定した点検日時の各点検データを点検記録データベースから読み出し(S181)、点検レポートに整理してファイル出力する(S182,S183)。例えば点検レポートの出力先がプリンタに設定すれば点検レポートをプリンタに出力して用紙に印刷し、処理を終了する。
【0160】
≪日常点検例≫
本実施例による点検対象設備20,30の日常点検例を説明する。遠隔監視端末13の点検スケジュール管理画面90cにおいて、点検時間の間隔を2時間などに予め設定し、設定された点検時間の間隔で点検スケジュールに点検時刻を自動的に登録する。ここでは一例として1か月先までの点検スケジュールを自動的に登録しておくものとする。
【0161】
点検スケジュールは、前述の自動登録に限らず、点検時刻の手動による追加・変更・削除も可能である。点検対象設備20,30についての各点検データの収集は、点検スケジュールに従って各点検装置4~11が自動的に動作することで実施される。
【0162】
(1)日常点検の際に保守点検員は、遠隔監視端末13によりネットワーク経由で現地点検サーバ12にアクセスし、現地点検サーバ12の各種設定機能部40を遠隔から利用して点検スケジュール管理画面90cを閲覧する。
【0163】
点検スケジュール管理画面90cには、図36(a)に示すように、月毎スケジュールが表示される。この月毎スケジュールの各日付には、「点検済」・「確認済」・「点検予約」・「異常」の各点検作業状態が表示される。この表示中、「点検済」は日付の全ての点検時刻における各点検データを収集した状態を示し、「確認済」は点検済でこの日の点検時刻のどこかの点検データを保守点検員が確認した状態を示し、「点検予約」は点検時刻が登録されているが各点検データを収集していない状態を示し、「異常」は点検装置4~11の故障などの理由により日付の点検時刻の何処かで各点検データを収集できなかった状態を示している。
【0164】
月毎スケジュールの日付を指定すると、図36(b)に示すように、日毎スケジュールが表示される。この日毎スケジュールは、各点検時刻毎に「点検済」・「確認済」・「点検予約」・「異常」の各点検作業状態が表示される。
【0165】
(2)日常の点検作業は、日毎スケジュールの点検済の時刻を保守点検員が指定し、点検データ閲覧確認画面90dを保守点検員が操作して各点検装置4~11の点検データを確認することで行われる。このとき点検データ閲覧確認画面90dには、図37に示すように、指定した点検日時の各点検データを点検記録データベースから読み出して整理し表示される。
【0166】
点検記録データベースには、点検装置4~11毎に(a)点検対象設備20,30、(b)観測箇所ラベル、(c)参考情報、(d)点検データ、(e)点検データ状態、(f)確認状態の各項目が表示される。ここで点検対象設備は制御盤20・電気設備30を示し、観測箇所ラベルは事前設定された点検対象設備20,30の観測箇所(電流値・電圧値・油面計・観測箇所・屋外地点・屋内地点)を示している。
【0167】
参考情報としては、例えば点検データの計測値に対する上限値と下限値,点検データ状態値に対する運用状態値,可視光画像および赤外画像の過去情報(1ヶ月前の撮影結果など),温度湿度・COガスセンサ強度・風速・風向などの環境計測値の過去情報(1ヶ月前の計測結果など)などを表示する。
【0168】
また、点検データ状態値は、現地点検サーバ12の総合解析機能部70による各点検データの総合解析の結果として出力された状態値を示している。さらに確認状態は、保守点検員による点検データ等の確認状態を示している。
【0169】
このような各項目のうち可視光画像・赤外線画像・音響信号(グラフ)・異音分布推定図・異音発生注意設備リスト・異臭分布推定図・異臭発生注意設備リストなどのデータ列で構成される点検データについては、点検データ閲覧確認画面90dに縮小画像を表示する。また、前記各項目を点検データ閲覧確認画面90dから選択すれば、図38に示すように、選択された項目のみによる詳細点検データ閲覧確認画面90fが表示される。
【0170】
(3)保守点検員は、点検データ閲覧確認画面90d・詳細点検データ閲覧確認画面90fを閲覧して前記各項目の点検データ状態値の妥当性を確認し、確認が済めば該当項目の確認状態を確認済に設定する。
【0171】
このとき画像(可視光画像・赤外線画像)・温度・湿度・COガスセンサ強度・風速・風向など現地点検サーバ12の総合解析機能部70で点検データ状態値が設定されないものについては、保守点検員が各点検データを見て点検データ状態を判断し、点検データ状態値を設定する。
【0172】
また、現地点検サーバ12の総合解析機能部70で設定済の点検データ状態値であっても保守点検員の判断で変更することが可能であり、さらに保守点検員は点検データの確認作業を行って得た所感を備考欄に記入するものとする。
【0173】
そして、保守点検員が全ての項目について確認状態を設定し、点検データ閲覧確認画面90dを閉じれば、日毎スケジュールの該当時刻の点検作業状態が「確認済」に設定される。これにより月毎スケジュールの該当日付の点検作業状態も「確認済」に設定される。
【0174】
「確認済」となった点検日時の点検データ閲覧確認画面90dの表示項目については、点検結果レポート作成機能部80により点検レポートとして出力することができる。保守点検員は、必要に応じて出力したい点検日時を指定し、点検レポートをファイルやプリンタに出力する。
【0175】
したがって、本実施例によれば、従来から人間の感覚に頼っていた異臭確認などを含めた日常点検作業の全般が自動計測され、保守点検員が現地に赴くことなく、遠隔で保守点検作業を行うことが可能となる。
【0176】
このとき臭覚センサ装置9の異臭データと可視光カメラ6a,7aの撮影画像(油漏れの確認)とを保守点検員が考慮することで信頼度の高い油臭確認を実現することができる。また、臭覚センサ装置9の異臭データ・COガスセンサ強度・赤外線カメラ6b,7bの赤外線画像(異常加熱の確認)を保守点検員が考慮することで信頼度の高い焦げ臭確認を実現することもできる。
【実施例0177】
図39図43に基づき前記システム1の実施例2を説明する。ここでは前記システム1に臭覚レベル検出が加えられている。
【0178】
実施例1では嗅覚センサ装置9のデータ解析部9fは、臭覚センサ信号解析時に油臭の有無・焦げ臭の有無をそれぞれ並列して判断している。この点につき本実施例のデータ解析部9fは、臭覚センサ信号解析時にさらに油臭レベル検出・焦げ臭レベル検出を並列して行う。
【0179】
具体的には図39に示すように、データ解析部9fの臭覚センサ信号解析(S84)に油臭レベル検出(S200a)・焦げ臭レベル検出(200b)が追加されている。
【0180】
(2)油臭レベル検出
図40に基づき油臭レベル検出(S200a)を説明する。この油臭レベル検出では油臭のガスの濃度量に応じて油臭レベルを求める。ここでは事前に油臭の学習サンプルとして濃度量が異なる3段階の学習サンプル(油臭レベル1~3)を用意し、それぞれの濃度量に対してサポートベクタマシンを学習し嗅覚センサ解析パラメータを予め作成しておくものとする。
【0181】
そして、油臭レベル検出が開始されると、S83で計測された臭覚センサ信号を油臭レベル1~3のそれぞれのサポートベクタマシンによる検出器500に供することで各検出器500を並列に動作させて、すべての検出器500が「油臭無し」を出力した否かを確認する(S201)。
【0182】
確認の結果、すべての検出器500が「油臭無し」を出力していれば、油臭レベル「0」とする(S202)。一方、いずれかの検出器500が「油臭有り」を出力した場合には検出器500の出力である確率値が最も高い検出器500のレベルを油臭レベルとして設定する(S203)。このとき「油臭有り」を出力した検出器500のうち、最も濃度量の高い検出器500の油臭レベルに設定してもよい。
【0183】
その後、S84aの油臭有無の判断に進む。S84aでは、S202の「油臭レベル」が「0」であれば「油臭無し」と判断する一方、それ以外は「油臭有り」と判断する。
【0184】
(3)焦げ臭レベル検出
図41に基づき焦げ臭レベル検出(S200b)の詳細を説明する。この焦げ臭レベル検出では焦げ臭のガスの濃度量に応じて焦げ臭レベルを求める。ここでは焦げ臭の学習サンプルとして濃度量が異なる3段階の学習サンプル(焦げ臭レベル1~3)を用意し、それぞれの濃度量に対してサポートベクタマシンを学習し嗅覚センサ解析パラメータを予め作成しておくものとする。
【0185】
そして、焦げ臭レベル検出が開始されると、S83で計測された臭覚センサ信号を焦げ臭レベル1~3のそれぞれのサポートベクタマシンによる検出器600に供することで各検出器600を並列に動作させて、すべての検出器600が「焦げ臭無し」を出力した否かを確認する(S301)。
【0186】
確認の結果、すべての検出器600が「焦げ臭無し」を出力していれば、焦げ臭レベル「0」とする(S302)。一方、いずれかの検出器600が「焦げ臭有り」を出力した場合には検出器600の出力である確率値が最も高い検出器600のレベルを異臭レベルとして設定する(S303)。このとき「焦げ臭有り」を出力した検出器600のうち、最も濃度量の高い検出器600の焦げ臭レベルに設定してもよい。
【0187】
その後、S84bの焦げ臭有無の判断に進む。S84bでは、S302の焦げ臭レベルが「0」であれば「焦げ臭無し」と判断する一方、それ以外は「焦げ臭有り」と判断する。
【0188】
(3)異音分布推定
本実施例の現地点検サーバ12で実施する異臭分布推定は、図42に示すように、実施例1の異臭分布推定に加えて、油臭レベル/焦げ臭レベルを異臭推定円の中に文字で表示する(S400)。図43は、本実施例による異臭分布推定図を示し、屋外の異臭推定円に「レベル2」が表示されている一方、屋内(電気室)の異臭推定円に「レベル1」が表示されている。
【0189】
このように本実施例によれば、実施例1の効果に加えて油臭レベル・焦げ臭レベルの情報が追加されるため、現地での異臭発生の状態について保守点検員の理解度を向上させることができる。また、異臭について定量的な記録を残すことができるため、蓄積された点検記録を有効に利用することができる。
【実施例0190】
図44図46に基づき前記システム1の実施例2を説明する。ここでは前記システム1の現地点検サーバ12には、図44に示すように、点検データ時系列解析機能部95の処理が追加されている。
【0191】
すなわち、点検データ時系列解析機能部95は、情報通信端末4で収集した計測値および状態値・メータ読取装置5で収集したメータ指針値・屋内環境計測装置10で収集した屋内環境データ・屋外環境計測装置11で収集した屋外環境データの各点検データを時系列にプロットした点検データ時系列グラフを作成し、表示する。
【0192】
図45に基づき説明すれば、点検データ閲覧確認画面90dにて点検データ(計測値および状態値・メータ指針値・屋内環境データ・屋外環境データ)を選択することで点検データ時系列解析機能部95の処理が開始される。
【0193】
処理の開始時には、点検データ時系列グラフのグラフ表示期間の指定があるか否かを確認する(S501)。確認の結果、指定があればグラフ表示期間を指定された期間に設定する(S502)一方、指定がなければグラフ表示期間を過去1ヵ月に設定する(S503)。
【0194】
その後、S502,S503のグラフ表示期間分の点検データ(計測値および状態値・メータ指針値・屋内環境データ・屋外環境データ)を点検記録データベースから読み出し(S503)、時系列データグラフを作成して(S504)、図46に示す詳細点検データ閲覧画面105に表示し(S505)、処理を終了する。
【0195】
このとき時系列グラフに表示したい期間については詳細点検データ閲覧画面105で設定して変更することができるものとする。このような本実施例によれば、実施例1,2の効果に加えて、保守点検員が時系列データグラフを閲覧することにより電気設備30の状態の時系列変化を容易に確認することができる。
【符号の説明】
【0196】
1…電気設備遠隔総合点検システム
4…情報通信端末
5…メータ読取装置
5a…カメラ
5b,6c,7c…照明
5c…メータ読取装置
6…固定式監視カメラ装置
6a,7a…可視光カメラ
6b,7b…赤外線カメラ
6d,7d…雲台
6e…固定式画像撮影端末
7…移動式監視カメラ装置
7e…移動カメラ台車
7f…移動式画像撮影端末
7g…レール
7h…移動カメラ台車コントローラ
8…音響取集装置
8a…マイク
8b…音響収集端末
9…嗅覚センサ装置
9A,9B…電磁弁
9a…NaOHフィルタ
9b…活性炭フィルタ
9c…嗅覚センサ
9d…ポンプ
9e…装置制御部
9f…データ解析部
10…屋内環境計測装置
10a,11a…温度計
10b,11b…湿度計
10c,11c…COガスセンサ
10d…屋内環境計測端末
11…屋外環境計測装置
11d…風速計
11e…屋外環境計測端末
12…現地点検サーバ
13…遠隔監視端末
20…制御盤(点検対象設備)
30…電気設備(点検対象設備)
40…各種設定機能部
50…点検スケジュール管理機能部
60…データ収集・記録機能部
70…総合解析機能部
80…点検レポート作成機能部
90…点検設定画面
90a…制御パラメータ設定画面
90b…解析パラメータ設定画面
90c…点検スケジュール管理画面
90d…点検データ閲覧確認画面
90e…点検レポート作成画面
90f…詳細点検データ閲覧確認画面
91…時計
95…点検データ時系列解析機能部
105…詳細点検データ閲覧画面105
500,600…検出器
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