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特開2023-36262通報装置、通報方法及び通報プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036262
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】通報装置、通報方法及び通報プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230307BHJP
【FI】
G08G1/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143218
(22)【出願日】2021-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】391008559
【氏名又は名称】株式会社トランストロン
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】大川 僚太
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC04
5H181CC11
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF35
5H181LL07
5H181LL20
5H181MB07
5H181MB08
5H181MC19
(57)【要約】
【課題】既存の音声通信システムを用いて車室内の画像情報を送信することができる。
【解決手段】車両に搭載される通報装置である。車両に設けられており、車両の車室内の平面画像を取得する撮像部と、平面画像を音声信号に変換して第1音声信号を生成する変換部と、車両に設けられており、変換部により前記第1音声信号が生成されたら当該第1音声信号を送信する通信部と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される通報装置であって、
前記車両に設けられており、前記車両の車室内の平面画像を取得する撮像部と、
前記平面画像を音声信号に変換して第1音声信号を生成する変換部と、
前記車両に設けられており、前記第1音声信号を送信する通信部と、
を備えたことを特徴とする通報装置。
【請求項2】
前記平面画像の送信を要求する画像送信トリガを検出する画像送信トリガ検出部を備え、
前記変換部は、前記画像送信トリガが検出されたら前記第1音声信号を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の通報装置。
【請求項3】
前記画像送信トリガは、音であり、
前記通信部は、前記音を受信して前記画像送信トリガ検出部に出力し、
前記画像送信トリガ検出部は、前記音が検出されたときに前記画像送信トリガを検出したとする
ことを特徴とする請求項2に記載の通報装置。
【請求項4】
前記車室内に設けられたマイクロホンを備え、
前記画像送信トリガ検出部は、前記マイクロホンにより取得された音声から発話を検知し、所定時間発話が検知されなかった場合に前記画像送信トリガが検出されたとする
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の通報装置。
【請求項5】
前記変換部は、実数が2次元配列された前記平面画像をスペクトログラムとし、当該スペクトログラムに位相情報を付加して複素数が2次元配列された複素数データを生成し、当該複素数データを逆フーリエ変換することにより前記第1音声信号を生成する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の通報装置。
【請求項6】
前記変換部は、前記位相情報を乱数を用いてランダムに生成する
ことを特徴とする請求項5に記載の通報装置。
【請求項7】
時系列データを取得する時系列データ取得部を備え、
前記変換部は、前記時系列データを音声信号に変換して第2音声信号を生成し、
前記通信部は、前記第2音声信号を送信する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の通報装置。
【請求項8】
前記変換部は、周波数範囲が音声帯域に収まるように前記時系列データをアナログ変調して前記第2音声信号を生成する
ことを特徴とする請求項7に記載の通報装置。
【請求項9】
前記時系列データ取得部は、心拍数、呼吸回数、血圧、血糖値、体温、動脈血酸素飽和度の少なくとも1つを含む生体情報を取得する生体情報取得部であり、
前記変換部は、前記生体情報を音声信号に変換して前記第2音声信号を生成する
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の通報装置。
【請求項10】
心拍数、呼吸回数、血圧、血糖値、体温、動脈血酸素飽和度の少なくとも1つを含む生体情報を取得する生体情報取得部を備え、
前記画像送信トリガ検出部は、前記生体情報が第1閾値より小さい又は前記第1閾値より大きい第2閾値より大きいときに前記画像送信トリガが検出されたとする
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の通報装置。
【請求項11】
前記撮像部は、前記平面画像を連続して撮像し、
前記変換部は、前記第1音声信号を連続して生成する
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の通報装置。
【請求項12】
車両の車室内の平面画像を撮像するステップと、
前記平面画像を音声信号に変換して第1音声信号を生成するステップと、
前記第1音声信号を送信するステップと、
を含むことを特徴とする通報方法。
【請求項13】
コンピュータを、
車両に設けられた撮像部により撮像された車室内の平面画像を音声信号に変換して第1音声信号を生成する変換部、
前記第1音声信号を送信する通信部、
として機能させることを特徴とする通報プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通報装置、通報方法及び通報プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の少なくとも1人の乗員を監視するための方法及び装置が開示されている。特許文献1に記載の発明は、少なくとも1つの画像取込装置を使用して車両乗員の画像を取り込み、取り込まれた画像の解析により車両乗員の少なくとも1つの生命徴候を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-101967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、画像解析の結果を非常事態の診療の際に提供すると記載されているが、結果をどのような形態で提供するのか不明である。例えば、乗員が生存はしているが会話が不可能である場合に画像を送信することは有効であるといえるが、緊急通報に使用している音声通信システムに対して仕様変更を行わなければ画像の送信が行えず、容易ではない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、既存の音声通信システムを用いて車室内の画像情報を送信することができる通報装置、通報方法及び通報プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る通報装置は、例えば、車両に搭載される通報装置であって、前記車両に設けられており、前記車両の車室内の平面画像を取得する撮像部と、前記平面画像を音声信号に変換して第1音声信号を生成する変換部と、前記車両に設けられており、前記第1音声信号を送信する通信部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る通報方法は、例えば、車両の車室内の平面画像を撮像するステップと、前記平面画像を音声信号に変換して第1音声信号を生成するステップと、前記第1音声信号を送信するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る通報プログラムは、例えば、コンピュータを、車両に設けられた撮像部により撮像された車室内の平面画像を音声信号に変換して第1音声信号を生成する変換部、前記第1音声信号を送信する通信部、として機能させることを特徴とする。
なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【0009】
本発明の上記いずれかの態様では、車両に設けられた撮像部で車室内の平面画像を取得し、平面画像を音声信号に変換して第1音声信号を生成して送信する。これにより、既存の音声通信システムを用いて車室内の画像情報を送信することができる。したがって、TCUを含む通信設備や通信インフラ側の仕様変更は不要である。また、乗員が音声通話できない場合にも、車室内の情報を把握することができる。
【0010】
前記平面画像の送信を要求する画像送信トリガを検出する画像送信トリガ検出部を備え、前記変換部は、前記画像送信トリガが検出されたら前記第1音声信号を生成してもよい。これにより、平面画像を変換して生成された音声信号を必要なときにだけ送信することができる。平面画像を変換して生成された第1音声信号はノイズのように聴こえるため、通話の妨げになるおそれがあるが、必要な時にだけ第1音声信号を送信することで通話の妨げにならない。
【0011】
前記画像送信トリガは、音であり、前記通信部は、前記音を受信して前記画像送信トリガ検出部に出力し、前記画像送信トリガ検出部は、前記音が検出されたときに前記画像送信トリガを検出したとしてもよい。このように、外部の装置(例えば、センタ側装置)からの指示に応じて第1音声信号を外部の装置に送信することで、音声信号を受信した外部の装置で第1音声信号が送信されたタイミングが分かりやすく、第1音声信号に基づいてスペクトログラムを作成しやすい。
【0012】
前記車室内に設けられたマイクロホンを備え、前記画像送信トリガ検出部は、前記マイクロホンにより取得された音声から発話を検知し、所定時間発話が検知されなかった場合に前記画像送信トリガが検出されたとしてもよい。これにより、乗員が音声通話ができない状況(気絶等)で、通報装置が自動的に第1音声信号を生成及び送信することができる。
【0013】
前記変換部は、実数が2次元配列された前記平面画像をスペクトログラムとし、当該スペクトログラムに位相情報を付加して複素数が2次元配列された複素数データを生成し、当該複素数データを逆フーリエ変換することにより前記第1音声信号を生成してもよい。また、前記変換部は、前記位相情報を乱数を用いてランダムに生成してもよい。これにより、平面画像から第1音声信号を生成することができる。また、乱数を用いることで、位相情報を適宜付加することができる。
【0014】
時系列データを取得する時系列データ取得部を備え、前記変換部は、前記時系列データを音声信号に変換して第2音声信号を生成し、前記通信部は、前記第2音声信号を送信してもよい。また、前記変換部は、周波数範囲が音声帯域に収まるように前記時系列データをアナログ変調して前記第2音声信号を生成してもよい。これにより、既存の音声通信システムを使用して、平面画像(二次元データ)のみでなく、時系列データ(1次元データ)をも送信することができる。
【0015】
前記時系列データ取得部は、心拍数、呼吸回数、血圧、血糖値、体温、動脈血酸素飽和度の少なくとも1つを含む生体情報を取得する生体情報取得部であり、前記変換部は、前記生体情報を音声信号に変換して第2音声信号を生成してもよい。これにより、既存の音声通信システムを使用して、平面画像のみならず生体情報をも送信することができる。
【0016】
心拍数、呼吸回数、血圧、血糖値、体温、動脈血酸素飽和度の少なくとも1つを含む生体情報を取得する生体情報取得部を備え、前記画像送信トリガ検出部は、前記生体情報が第1閾値より小さい又は前記第1閾値より大きい第2閾値より大きいときに前記画像送信トリガが検出されたとしてもよい。これにより、乗員が音声通話ができない状況(気絶等)で、通報装置が自動的に第1音声信号を生成及び送信することができる。
【0017】
前記撮像部は、前記平面画像を連続して撮像し、前記変換部は、前記第1音声信号を連続して生成してもよい。これにより、外部装置等で車室内の状況の変化をより確実に把握することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、既存の音声通信システムを用いて車室内の画像情報を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施の形態に係る通報装置1が設けられた車両10及びコールセンターに設けられたセンタ側装置20を模式的に示す図である。
図2】スペクトログラムの一例である。
図3】スペクトログラムを生成する処理の流れを模式的に示す図である。
図4】通報装置1のハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図5】通報装置1の機能構成の概略を示すブロック図である。
図6】第1変換部102aが行う処理を模式的に示す図である。
図7】第1変換部102aが行う処理を模式的に示す図である。
図8】(A)は、平面画像P1の一例であり、(B)は音声信号A1及びスペクトログラム|X(m, k)|の一例である。
図9】通報装置1が行う処理の流れを示すフローチャートである。
図10】通報装置1の変形例における処理の流れを示すフローチャートである。
図11】通報装置2の機能構成の概略を示すブロック図である。
図12】通報装置2が行う処理の流れを示すフローチャートである。
図13】通報装置3の機能構成の概略を示すブロック図である。
図14】通報装置3が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る通報装置の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の通報装置は、車両に搭載されるものであり、車両からコールセンターに通報して音声会話を開始する装置である。以下、本発明について、エアバックが展開するような事故が発生した場合や、緊急通報ボタンが押下された場合等に自動的にコールセンターに通報する緊急通報装置を例に説明するが、本発明の通報装置は緊急通報装置に限られない。
【0021】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る通報装置1が設けられた車両10及びコールセンターに設けられたセンタ側装置20を模式的に示す図である。通報装置1は、センタ側装置20と無線又はネットワーク(本実施の形態では、携帯電話用の通信ネットワーク)により接続されている。通報装置1は、主として、撮像部11と、マイクロホン12と、スピーカ13と、生体情報取得部14と、画像を音声化する処理等を行う処理部15と、TCU(テレマティクス制御ユニット)16と、アンテナ18、19とを備える。
【0022】
撮像部11、マイクロホン12及びスピーカ13は、車両10の車室10a内に設けられている。撮像部11は、例えば、カラー画像を撮像するRGBカメラ、白黒カメラ等の可視光カメラ、赤外波長領域の電磁波を検出して画像にする赤外線カメラやサーモグラフィであり、車室10a内の平面画像P1を取得する。
【0023】
生体情報取得部14は、例えばハンドルに設けられた心拍計であり、運転者の心拍数を取得する。なお、生体情報取得部14は、心拍計に限られず、心拍数、呼吸回数、血圧、血糖値、体温、動脈血酸素飽和度の少なくとも1つを含む生体情報を取得すればよい。
【0024】
処理部15は、平面画像P1(2次元データ)を音声信号に変換して、音声信号A1を生成する。また、処理部15は、生体情報取得部14で取得された生体情報(1次元データ)を音声信号に変換して、音声信号A2を生成する。平面画像P1や生体情報を音声信号に変換する処理等については後に詳述する。
【0025】
TCU16は、通話やETC(Electronic Toll Collection System)等において双方向の通信を制御する。また、TCU16は、音声信号A1、A2やマイクロホン12から入力された音声信号を、アンテナ18を介してセンタ側装置20へ送信する。
【0026】
なお、処理部15及びTCU16は、例えば、車両10に設けられた車載装置に搭載される専用ボードとして構築されてもよい。
【0027】
アンテナ18は、携帯電話用のネットワークを介してセンタ側装置20から送信された電波を受信し、また、センタ側装置20へ電波を送信する。アンテナ19は、GNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)から発信された電波を受信する。
【0028】
センタ側装置20は、主として、マイクロホン21と、スピーカ22と、通信装置23と、音声を画像化する処理等を行う処理部24と、表示部25と、アンテナ26とを備える。
【0029】
通信装置23は、アンテナ26及び携帯電話用のネットワークを介して通報装置1から送信された電波を受信し、また、通報装置1へ電波を送信する。通信装置23は、マイクロホン21、スピーカ22及び処理部24と接続されており、マイクロホン21から音声信号が入力され、スピーカ22及び処理部24に音声信号を出力する。スピーカ22には、マイクロホン12から入力された音声信号が出力され、処理部24には、音声信号A1、A2が出力される。
【0030】
処理部24は、入力された音声信号A1に基づいてスペクトログラムP2を生成し、入力された音声信号A2に基づいて生体情報を取得する。スペクトログラムP2は、処理部24から表示部25に出力され、表示部25に表示される。スペクトログラムとは、周波数分析を時間的に連続して行った結果を2次元のグラフ(時間軸、周波数軸)で表したものである。
【0031】
図2は、スペクトログラムの一例である。図2の上段は音声信号x(t)であり、横軸が時間を表し、縦軸が振幅を表す。なお、(t)は時間の関数であることを表す。図2の下段はスペクトログラム|X(m, k)|であり、横軸が時間を表し、縦軸が周波数を表し、各点の色の濃さがある時点のある周波数での大きさ(振幅)を表す。なお、mはフレーム番号であり、kは離散周波数番号である。なお、スペクトログラムの表示方法は、2次元のグラフに限られず、3次元のグラフ(ウォーターフォールプロット)としてもよい。
【0032】
図3は、スペクトログラムを生成する処理の流れを模式的に示す図である。まず、音声信号x(t)に窓関数(図3点線参照)を積算して音声信号x(t)の一部分を切り出す。以下、切り出した区間をフレームという。このとき、オーバラップ処理を適用して、直前フレームの一部と現在のフレームの一部を重ね合わせる。
【0033】
次に、各フレームに対して高速フーリエ変換(FFT)を行い、その計算結果を時間軸に沿って並べる。その結果、複素数の二次元配列が得られる。以下、ここで得られた二次元配列をSTFTデータX(m, k)という。
【0034】
STFTデータX(m, k)は複素数であるため、STFTデータの絶対値|X(m, k)|又はSTFTデータのパワー|X(m, k)|2を求めることにより実数化する。本実施の形態では、STFTデータの絶対値|X(m, k)|の二次元配列を取得することで、スペクトログラム|X(m, k)|が求められる。
【0035】
なお、図2、3では、スペクトログラムを白黒画像として描画しているが、スペクトログラムをカラー画像として表示してもよい。また、スペクトログラムの色の濃さを対数変換(dB変換)して表示してもよい。
【0036】
図4は、通報装置1のハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。通報装置1は、制御装置50と、通信装置52と、記憶装置54と、を備える。
【0037】
制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)56及びメモリ58を主に備えて構成される。制御装置50では、記憶装置54又はメモリ58等に格納された所定のプログラムをCPU56が実行することにより、各種の機能部として機能する。なお、プログラムは、半導体メモリ、メモリカード、光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスク等のリムーバブル記憶媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記憶)してもよい。
【0038】
通信装置52は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置52は、例えばセンタ側装置20等との間で各種の情報を送受信する。記憶装置54は、ハードディスク等で構成される。この記憶装置54は、制御装置50における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。
【0039】
図5は、通報装置1の機能構成の概略を示すブロック図である。通報装置1は、機能的には制御部100を備える。制御部100は、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)56等の演算装置や記憶装置54により、ソフトウェア資源として少なくとも、画像送信トリガ検出部101と、変換部102と、通信部103と、スピーカアンプ104と、位置情報取得部105と、緊急通報開始部106とを有する。
【0040】
画像送信トリガ検出部101は、画像の送信を要求する画像送信トリガを検出する機能部である。本実施の形態では、画像送信トリガは音であり、例えば、440Hzと880Hzが順に0.5秒ずつ続く音を画像送信トリガとする。なお、画像送信トリガの形態はこれに限られず、例えば「画像を送ってください」等の音声でもよい。
【0041】
画像送信トリガは、センタ側装置20から送信されて通信部103で受信され、通信部103から画像送信トリガ検出部101に出力される。画像送信トリガ検出部101は、画像送信トリガを示す音を予め取得しておき、当該予め取得された音と、通信部103から出力された音声とを比較することにより、画像送信トリガを検出する。
【0042】
変換部102は、主として、撮像部11により撮像された平面画像P1を音声信号に変換して音声信号A1を生成する第1変換部102aと、生体情報取得部14で取得された生体情報を音声信号に変換して音声信号A2を生成する第2変換部102bとを有する。
【0043】
第1変換部102aは、実数が2次元配列された(2次元データである)平面画像P1をスペクトログラムとし、当該スペクトログラムに位相情報を付加して複素数が2次元配列された複素数データ(STFTデータX(m, k))を生成し、当該複素数データを逆フーリエ変換することにより音声信号A1を生成する機能部である。
【0044】
図6、7は、第1変換部102aが行う処理を模式的に示す図である。具体的には、図6に示すように、第1変換部102aは、まず、平面画像P1に位相情報を付加して複素数化してSTFTデータX(m, k)を生成し、逆短時間フーリエ変換(iSTFT、inverse STFT)を行い、これらを繋ぎ合わせることで音声信号x(t)を生成する。
【0045】
図7に示すように、逆短時間フーリエ変換は、短時間フーリエ変換の逆変換であり、短時間フーリエ変換及び逆短時間フーリエ変換を行うことにより音声信号x(t)とSTFTデータX(m, k)とを相互に変換可能である。
【0046】
STFTデータX(m, k)からスペクトログラム|X(m, k)|への変換は、絶対値を求めているため、位相情報を捨てればよい。それに対し、スペクトログラム|X(m, k)|からSTFTデータX(m, k)への変換は、位相情報を付加して複素数化するする必要がある。本実施の形態では、以下の数式1に示すように、乱数を用いて位相情報をランダムに生成する。
【0047】
【数1】
【0048】
図8(A)は、平面画像P1の一例であり、図8(B)は音声信号A1及びスペクトログラム|X(m, k)|の一例である。図8(B)の上段が音声信号A1であり、図8(B)の下段がスペクトログラム|X(m, k)|である。スペクトログラム|X(m, k)|では平面画像P1の輪郭線が明確に図示されており、スペクトログラム|X(m, k)|を見ることで平面画像P1を見ることと同等の効果が得られる。
【0049】
図5の説明に戻る。第2変換部102bは、実数が時系列に並んだ時系列信号(1次元データ)である生体情報を音声信号に変換して音声信号A2を生成する機能部である。音声信号A2の生成は、例えば、FM変調、AM変調、PM変調等のアナログ変調により行うことができる。ただし、変調後の周波数が緊急通報の音声帯域に収まるようにする必要がある。例えば、通信においてナローバンドの音声コーデックを使用する場合には、FM搬送波の周波数を2kHzとし、最大周波数偏移を1kHzとしてFM変調すれば、周波数範囲が1kHz~3kHzとなり、0.3kHz~3.4kHzの音声帯域に収まる。
【0050】
なお、音声信号A2の生成は、アナログ変調に限られない。例えば、生体情報をデジタル化してバイナリデータとし、QAM(直角位相振幅変調)等のデジタル変調により音声信号A2を生成してもよい。
【0051】
通信部103は、アンテナ18、19を介して信号の送信、受信を行う機能部である。通信部103は、変換部102により音声信号A1、A2が生成されたら、音声信号A1、A2を送信する。また、通信部103は、マイクロホン12から入力された音声信号を送信する。
【0052】
また、通信部103は、センタ側装置20から送信された音声を受信する。通信部103は、受信した音声を画像送信トリガ検出部101及びスピーカアンプ104に出力する。
【0053】
また、通信部103は、アンテナ19を介してGNSS30から発信された電波を受信して、位置情報取得部105に出力する。
【0054】
スピーカアンプ104は、通信部103から出力された信号を増幅してスピーカ13に出力する機能部である。位置情報取得部105は、GNSS30から発信された電波を通信部103を介して取得し、当該取得した電波に基づいて位置情報を取得する機能部である。スピーカアンプ104、位置情報取得部105は既に公知であるため、説明を省略する。
【0055】
緊急通報開始部106は、緊急通報開始トリガが入力されたら、緊急通報を開始する機能部である。緊急通報開始トリガは、図示しない車載装置等から入力される。緊急通報開始部106は、画像送信トリガ検出部101、通信部103、スピーカアンプ104及び位置情報取得部105に接続されており、緊急通報開始トリガが入力されたらこれらの機能部に緊急通報開始の指示を出力する。
【0056】
なお、図4は、通報装置1が有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、通報装置1は、サーバ装置が一般的に備える他の構成を備えることができる。通報装置1は、専用又は汎用のサーバ・コンピュータ等の情報処理装置を用いて実現することができる。また、通報装置1は、単一の情報処理装置により構成されるものであってもよく、通信ネットワーク上に分散した複数の情報処理装置により構成されるものであってもよい。また、図5に示す通報装置1の機能構成要素は、処理内容に応じてさらに多くの構成要素に分類されてもよいし、1つの構成要素が複数の構成要素の処理を実行してもよい。
【0057】
図9は、通報装置1が行う処理の流れを示すフローチャートである。まず、緊急通報開始部106は、車載装置等から緊急通報開始トリガが入力されたら、緊急通報の開始指示を画像送信トリガ検出部101、通信部103、スピーカアンプ104及び位置情報取得部105に出力して、緊急通報を開始する(ステップSP11)。
【0058】
具体的には、通信部103は、緊急通報の開始指示に基づいて、アンテナ18を介してセンタ側装置20からの音声等を受信し、スピーカアンプ104に出力する。これにより、センタ側装置20から出力された音声がスピーカ13から出力される。また、通信部103は、緊急通報の開始指示に基づいて、マイクロホン12から入力された音声(緊急通報音声)をアンテナ18を介してセンタ側装置20に出力する。これにより、緊急通報音声がセンタ側装置20で聞き取り可能になる。また、画像送信トリガ検出部101は、緊急通報の開始指示が入力されたら、画像送信トリガの入力を待機する。これらの処理は、緊急通報が行われている間、継続して行われる。
【0059】
また、位置情報取得部105は、緊急通報の開始指示に基づいて、アンテナ19を介してGNSS30からの電波を受信し、位置情報取得部105に出力する。位置情報取得部105は、位置情報を求めて通信部103に出力する。通信部103は、位置情報をアンテナ18を介してセンタ側装置20に出力する。なお、位置情報取得部105及び位置情報の送信は必須ではない。
【0060】
次に、画像送信トリガ検出部101は、通信部103を介して、画像送信トリガが入力されたか否かを判定する(ステップSP13)。
【0061】
画像送信トリガが入力されていない場合(ステップSP13でNO)には、画像送信トリガ検出部101はステップSP13の処理を繰り返す。画像送信トリガが入力された場合(ステップSP13でYES)には、画像送信トリガ検出部101は変換部102に画像送信トリガが入力されたことを出力し、第1変換部102aは撮像部11から平面画像P1を取得する(ステップSP15)。
【0062】
次に、第1変換部102aは、ステップSP13で取得した平面画像P1を音声化し、音声信号A1を生成する(ステップSP17)。第1変換部102aは、生成した音声信号A1を通信部103に出力する。そして、通信部103は、音声信号A1を緊急通報音声に重畳して送信する(ステップSP19)。
【0063】
その後、緊急通報開始部106は、一連の処理を終了する。また、緊急通報開始部106は、図9に示す処理を行っている間に車載装置等から緊急通報開始トリガが入力されたら、図9に示す処理を終了する。
【0064】
センタ側装置20は、このようにしてから通報装置1から送信された音声信号A1を受信する。図1に示すように、処理部24は、入力された音声信号A1に基づいてスペクトログラムP2を生成する。これにより、センタ側装置20の表示部25にスペクトログラムP2が表示され、車室10a内の様子をコールセンターで確認することができる。
【0065】
なお、画像送信トリガ検出部101から変換部102に画像送信トリガが入力されたら、ステップSP13と同時に第2変換部102bが生体情報取得部14から生体情報を取得し、ステップSP17と同時に第2変換部102bが生体情報を音声化して音声信号A2を生成し、ステップSP19と同時に通信部103が音声信号A2を緊急通報音声に重畳して送信してもよい。
【0066】
本実施の形態によれば、撮像部11により撮像された平面画像P1を音声信号に変換して音声信号A1を生成し、音声信号A1が生成されたら音声信号A1を送信することにより、既存の音声通信システムを用いて車室内の画像情報を送信することができる。したがって、TCU16を含む通信設備や通信インフラ側の仕様変更は不要である。TCU16は通報音声を中継するものであり、画像送信機能を有していないため、TCU16を介して画像を送信するためには、撮像部11とのインターフェース及び画像送信のためのファームウェアを設けなければならず、手間やコストがかかる。それに対し、本実施の形態のように平面画像を変換した音声信号A1を送信する場合には、TCU16の変更は不要であり、手間やコストがかからないうえ、画像送信機能を有しないTCU16が搭載された車両に事後的に画像通信機能を追加することができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、平面画像P1を音声化した音声信号A1を送信することで、乗員が音声通話できない場合にも車室10a内の情報を把握することができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、センタ側装置20から送信された画像送信トリガが画像送信トリガ検出部101で検出されたら、第1変換部102aで平面画像P1を音声化して音声信号A1を生成するため、必要なときにだけ音声信号A1を送信することができる。常に音声信号A1を送信する場合には、音声信号A1がノイズのように聴こえることで、通話の妨げになるおそれがある。それに対し、本実施の形態のように画像送信トリガをトリガとして音声信号A1を送信することで、通話の妨げになることなく必要に応じて音声信号A1を送信することができる。特に、本実施の形態では、センタ側装置20から送信された画像送信トリガを音声信号A1の送信のトリガとすることで、センタ側装置20で音声信号A1が送信されたタイミングが分かりやすく、音声信号A1に基づいてスペクトログラムを作成しやすい。
【0069】
また、本実施の形態によれば、センタ側装置20からの画像送信トリガを音とすることで、画像送信トリガを通話音声に乗せることができる。したがって、TCU16の仕様変更を行うことなく、センタ側装置20から画像送信トリガを送ることができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、生体情報取得部14で取得された生体情報を音声信号に変換して音声信号A2を生成することにより、既存の音声通信システムを使用して、平面画像P1のみならず生体情報をも送信することができる。
【0071】
なお、本実施の形態では、通報装置1は、センタ側装置20との間で双方向で通話を行うため、マイクロホン12、スピーカ13及びスピーカアンプ104を備えたが、マイクロホン12、スピーカ13及びスピーカアンプ104は必須ではない。音声信号A1を送信するためには、通報装置1が少なくとも画像送信トリガ検出部101、変換部102及び通信部103を備えていればよい。
【0072】
また、画像送信トリガ検出部101、すなわち画像送信トリガに基づいて音声信号A1を生成及び送信することも必須ではない。例えば、通報装置1が通報を開始するときに音声信号A1を生成して送信するようにしてもよい。ただし、通話の妨げにならないように、画像送信トリガに基づいて必要な時だけ音声信号A1を送信することが望ましい。
【0073】
また、本実施の形態では、生体情報取得部14で取得された生体情報を第2変換部102bで音声信号A2に変換して通信部103から送信したが、生体情報取得部14及び第2変換部102bは必須ではない。例えば、通報装置1は、生体情報取得部14以外の装置、例えばウェアラブルデバイスから通信部103を介して生体情報を取得してもよい。
【0074】
また、本実施の形態では、通報装置1は、生体情報取得部14で取得された生体情報を音声信号A2に変換して通信部103から送信したが、通報装置が生体情報以外の様々な形態の時系列データを音声信号として送信してもよい。例えば、通信装置が温度センサ、湿度センサ、気圧センサの少なくとも1つを備え、温度センサ、湿度センサ、気圧センサから時系列データである温度データ、湿度データ、気圧データをそれぞれ取得し、これを第2変換部102bで音声信号に変換し、当該音声信号を通信部103から送信してもよい。また、例えば、通信装置がガスセンサ(例えばCO2センサ)を備え、ガスセンサから時系列データである物質濃度データ(例えば二酸化炭素濃度データ)を取得し、これを第2変換部102bで音声信号に変換し、当該音声信号を通信部103から送信してもよい。温度データ、湿度データ、気圧データ、物質濃度データ等の時系列データについても、生体情報と同様の方法で音声信号に変換することができる。
【0075】
また、本実施の形態では、ステップSP15において、通信部103が音声信号A1を緊急通報音声に重畳して送信したが、通信部103が音声信号A1のみを送信してもよい。
【0076】
また、本実施の形態では、音声信号A1を1回だけ送信して処理を終了しているが、音声信号A1を複数送信してもよい。図10は、通報装置1の変形例における処理の流れを示すフローチャートである。ステップSP11~SP19は同一であるため、説明を省略する。
【0077】
音声信号A1を緊急通報音声に重畳して送信(ステップSP19)したら、画像送信トリガ検出部101は、通信部103を介して、緊急通報が終了されたか又は送信終了トリガが入力されたか否かを判定する(ステップSP21)。例えば、画像送信トリガ検出部101は、緊急通報の終了を指示する信号が車載装置等から出力されて緊急通報開始部106に入力され、緊急通報開始部106から画像送信トリガ検出部101に入力されたときに、緊急通報が終了されたとする。また、例えば、画像送信トリガ検出部101は、送信終了トリガがセンタ側装置20から送信されて、通信部103を介して画像送信トリガ検出部101に入力されたときに、送信終了トリガが入力されたとする。画像送信トリガ検出部101は、送信終了トリガを示す音を予め取得しておき、当該予め取得された音と、通信部103から出力された音声とを比較することにより、送信終了トリガを検出する。なお、例えば、440Hzと880Hzが順に1秒ずつ続く音を送信終了トリガとすることができるが、送信終了トリガの形態はこれに限られない。
【0078】
緊急通報が終了されなかった又は送信終了トリガが入力されなかった場合(ステップSP21でNO)には、画像送信トリガ検出部101は、処理をステップSP15に戻す。すなわち、第1変換部102aは、送信終了トリガが入力されるまで、平面画像P1を取得し(ステップSP15)、平面画像P1を音声化して音声信号A1を生成し(ステップSP17)、通信部103は、音声信号A1を緊急通報音声に重畳して送信する(ステップSP19)処理を連続して行う。
【0079】
緊急通報が終了された又は送信終了トリガが入力された場合(ステップSP21でYES)には、緊急通報開始部106は、一連の処理を終了する。また、緊急通報開始部106は、図10に示す処理を行っている間に車載装置等から緊急通報開始トリガが入力されたら、図10に示す処理を終了する。
【0080】
本変形例によれば、連続して音声信号A1を送ることができるため、センタ側装置20で車室10a内の状況の変化をより確実に把握することができる。
【0081】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、センタ側装置20から送信された画像送信トリガが通信部103を介して画像送信トリガ検出部101に入力されたら、第1変換部102aが平面画像P1を音声化して音声信号A1を生成し、通信部103が音声信号A1を緊急通報音声に重畳して送信したが、平面画像P1から音声信号A1を生成するためのトリガはこれに限られない。
【0082】
本発明の第2の実施の形態は、車室10a内で人による発話が検知されないことをトリガとして平面画像P1から音声信号A1を生成する形態である。以下、本発明の第2の実施の形態に係る通報装置2について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0083】
図11は、通報装置2の機能構成の概略を示すブロック図である。通報装置2は、通報装置1と同様に、ハードウェア構成として、制御装置50と、通信装置52と、記憶装置54と、を備える。また、通報装置2は、機能的には制御部100Aを備える。
【0084】
制御部100Aは、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)56等の演算装置や記憶装置54により、ソフトウェア資源として少なくとも、画像送信トリガ検出部101Aと、変換部102と、通信部103と、スピーカアンプ104と、位置情報取得部105と、緊急通報開始部106とを有する。
【0085】
画像送信トリガ検出部101Aは、画像の送信を要求する画像送信トリガを検出する機能部である。画像送信トリガ検出部101Aには、マイクロホン12により取得された音声が入力される。例えば、画像送信トリガ検出部101Aは、マイクロホン12により取得された音声から発話を検知し、所定時間発話が検知されなかった場合に画像送信トリガが検出されたとする。所定時間は、例えば10秒であり、任意の時間を設定することができる。
【0086】
このように、通報装置2では、所定時間発話が検知できない場合には、乗員が音声通話ができない状況(気絶、死亡等)であり、車室10a内の画像を送信すべきタイミングであることを通報装置2側で自動的に判定することができる。
【0087】
なお、マイクロホン12により取得された音声から発話を検知する手法は、既に公知の様々な手法を用いることができる。本実施の形態では、画像送信トリガ検出部101Aは、マイクロホン12で取得された音圧レベルが閾値を超えた場合には発話ありと判定し、閾値を越えなければ発話なしと判定する。
【0088】
図12は、通報装置2が行う処理の流れを示すフローチャートである。まず、緊急通報開始部106は、緊急通報開始トリガが入力されたら、緊急通報の開始指示を画像送信トリガ検出部101A、通信部103、スピーカアンプ104及び位置情報取得部105に出力して、緊急通報を開始する(ステップSP11)。
【0089】
次に、画像送信トリガ検出部101Aは、マイクロホン12により取得された音声から発話を検知し、所定時間発話が検知されたか否かを判定する(ステップSP12)。
【0090】
発話が検知された場合(ステップSP12でYES)には、画像送信トリガ検出部101AはステップSP12の処理を繰り返す。所定時間発話が検知されなかった場合(ステップSP12でNO)には、画像送信トリガ検出部101Aは変換部102に画像送信トリガが入力されたことを出力し、第1変換部102aは撮像部11から平面画像P1を取得する(ステップSP15)。
【0091】
次に、第1変換部102aは、ステップSP13で取得した平面画像P1を音声化し、音声信号A1を生成する(ステップSP17)。第1変換部102aは、生成した音声信号A1を通信部103に出力する。そして、通信部103は、音声信号A1を緊急通報音声に重畳して送信する(ステップSP19)。そして、緊急通報開始部106は、一連の処理を終了する。また、緊急通報開始部106は、図12に示す処理を行っている間に車載装置等から緊急通報開始トリガが入力されたら、図12に示す処理を終了する。
【0092】
本実施の形態によれば、マイクロホン12により取得された音声から発話を検知し、所定時間発話が検知されなかった場合に音声信号A1を生成するため、乗員が音声通話ができない状況(気絶等)で、通報装置2が自動的に音声信号A1を生成及び送信することができる。
【0093】
<第3の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態は、車室10a内で人による発話が検知されないことをトリガとして平面画像P1から音声信号A1を生成したが、平面画像P1から音声信号A1を生成するためのトリガはこれに限られない。
【0094】
本発明の第3の実施の形態は、生体情報に異常が発生したことをトリガとして平面画像P1から音声信号A1を生成する形態である。以下、本発明の第3の実施の形態に係る通報装置3について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0095】
図13は、通報装置3の機能構成の概略を示すブロック図である。通報装置3は、通報装置1と同様に、ハードウェア構成として、制御装置50と、通信装置52と、記憶装置54と、を備える。また、通報装置3は、機能的には制御部100Bを備える。
【0096】
制御部100Bは、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)56等の演算装置や記憶装置54により、ソフトウェア資源として少なくとも、画像送信トリガ検出部101Bと、変換部102と、通信部103と、スピーカアンプ104と、位置情報取得部105と、緊急通報開始部106とを有する。
【0097】
画像送信トリガ検出部101Bは、画像の送信を要求する画像送信トリガを検出する機能部である。画像送信トリガ検出部101Bには、生体情報取得部14により取得された生体情報が入力される。本実施の形態では、生体情報取得部14は心拍計であり、画像送信トリガ検出部101Bは心拍数を連続して取得する。
【0098】
そして、画像送信トリガ検出部101Bは、生体情報を第1閾値、第2閾値と比較し、生体情報が第1閾値より小さいときに又は第2閾値より大きいときに画像送信トリガが検出されたとする。なお、第2閾値は第1閾値より大きい。例えば、画像送信トリガ検出部101Bは、心拍数が50(第1閾値)より小さいとき、又は、心拍数が120(第2閾値)より大きいときに、画像送信トリガが検出されたとする。
【0099】
このように、通報装置3では、心拍数が第1閾値より小さいときに又は第2閾値より大きいときには、乗員が音声通話ができない状況(気絶、死亡等)であり、車室10a内の画像を送信すべきタイミングであることを通報装置3側で自動的に判定することができる。
【0100】
図14は、通報装置3が行う処理の流れを示すフローチャートである。まず、緊急通報開始部106は、緊急通報開始トリガが入力されたら、緊急通報の開始指示を画像送信トリガ検出部101B、通信部103、スピーカアンプ104及び位置情報取得部105に出力して、緊急通報を開始する(ステップSP11)。
【0101】
次に、画像送信トリガ検出部101Bは、生体情報取得部14から生体情報を取得し、生体情報に異常があるか否か、すなわち生体情報が第1閾値より小さい又は第2閾値より大きいか否かを判定する(ステップSP14)。
【0102】
生体情報が第1閾値より小さくない又は第2閾値より大きくない場合(ステップSP14でNO)には、画像送信トリガ検出部101BはステップSP14の処理を繰り返す。生体情報が第1閾値より小さい又は第2閾値より大きい場合(ステップSP14でYES)には、画像送信トリガ検出部101Bは変換部102に画像送信トリガが入力されたことを出力し、第1変換部102aは撮像部11から平面画像P1を取得する(ステップSP15)。
【0103】
次に、第1変換部102aは、ステップSP13で取得した平面画像P1を音声化し、音声信号A1を生成する(ステップSP17)。第1変換部102aは、生成した音声信号A1を通信部103に出力する。そして、通信部103は、音声信号A1を緊急通報音声に重畳して送信する(ステップSP19)。そして、緊急通報開始部106は、一連の処理を終了する。また、緊急通報開始部106は、図14に示す処理を行っている間に車載装置等から緊急通報開始トリガが入力されたら、図14に示す処理を終了する。
【0104】
本実施の形態によれば、生体情報が第1閾値より小さい又は第2閾値より大きい場合に音声信号A1を生成するため、乗員が音声通話ができない状況(気絶等)で、通報装置2が自動的に音声信号A1を生成及び送信することができる。
【0105】
なお、本実施の形態では、生体情報取得部14が心拍計であり、生体情報が閾値を下回ったときに画像送信トリガが検出されたとしたが、生体情報取得部14は心拍計に限られない。例えば、生体情報取得部14は、呼吸回数や脈拍を測定する非接触バイタルセンサでもよいし、心拍数、動脈血酸素飽和度(SpO2)、体温等を測定するウェアラブルデバイスでもよいし、血圧を測定する血圧計(例えば、時計型のウェアラブル血圧計)でもよい。また、画像送信トリガ検出部101Bは、取得された生体情報に応じて、例えば、呼吸回数、動脈血酸素飽和度、体温、血圧等が第1閾値より小さい又は第2閾値より大きいときに画像送信トリガが検出されたとしてもよい。
【0106】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、本明細書で説明した各実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を追加、削除、置換等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0107】
1、2、3:通報装置
10 :車両
10a :車室
11 :撮像部
12 :マイクロホン
13 :スピーカ
14 :生体情報取得部
15 :処理部
18、19:アンテナ
20 :センタ側装置
21 :マイクロホン
22 :スピーカ
23 :通信装置
24 :処理部
25 :表示部
26 :アンテナ
50 :制御装置
52 :通信装置
54 :記憶装置
56 :CPU
58 :メモリ
100、100A、100B:制御部
101、101A、101B:画像送信トリガ検出部
102 :変換部
102a :第1変換部
102b :第2変換部
103 :通信部
104 :スピーカアンプ
105 :位置情報取得部
106 :緊急通報開始部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14