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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003630
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】解凍庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/12 20060101AFI20230110BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
F25D23/12 U
F25D17/08 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104821
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嘉戸 修治
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 泰光
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA14
3L345BB04
3L345CC01
3L345DD12
3L345DD17
3L345DD22
3L345DD24
3L345DD54
3L345DD62
3L345KK04
3L345KK05
(57)【要約】
【課題】解凍時の庫内の温度をより均一にすることができる解凍庫の提供
【解決手段】解凍庫1は、解凍室3と、解凍室3の空気を取り込んだのち解凍室3に戻すための送気装置24Aと、中空の柱状をなし、解凍室3の側壁11B,11Cの内側に対し上下方向に沿うように設けられる柱状ダクト30と、を備え、柱状ダクト30は、解凍室3の内側に向けて開口する吹出し孔33を上下方向に沿って複数備えており、送気装置24Aは、解凍室3から取り込んだ空気を柱状ダクト30内に送ることによって、複数の吹出し孔33を通じて解凍室3に吹き出す構成を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍物が収容される解凍室内に空気を送ることで前記冷凍物を解凍する解凍庫であって、
前記冷凍物を収容するための解凍室と、
前記解凍室の空気を取り込んだのち前記解凍室に戻すための送気装置と、
中空の柱状をなし、前記解凍室の側壁の内側に対し上下方向に沿うように設けられる柱状ダクトと、
を備え、
前記柱状ダクトは、前記解凍室の内側に向けて開口する吹出し孔を上下方向に沿って複数備えており、
前記送気装置は、前記解凍室から取り込んだ前記空気を前記柱状ダクト内に送ることによって、複数の前記吹出し孔を通じて前記解凍室に吹き出す構成を備えている、
解凍庫。
【請求項2】
前記解凍室には、複数の前記柱状ダクトが、対向する一対の前記側壁のそれぞれに対して備えられており、
複数の前記柱状ダクトは、前記側壁に沿う複数の前記柱状ダクトの並び方向において、互いに重ならない位置に配されている、請求項1に記載の解凍庫。
【請求項3】
前記解凍室は、前方に向けて開口する箱形をなすとともに、前記柱状ダクトは左右の側壁に設けられており、
前記送気装置は、前記解凍室より上方に当該解凍室から空気を取り込む構成を備えるとともに、前記解凍室から取り込んだ空気を背壁および底壁に沿って一対の前記柱状ダクトの下端に送る流路を備えている、請求項1または2に記載の解凍庫。
【請求項4】
前記解凍室の前記背壁には、前記解凍室から吸い出された前記空気を前記解凍室の下方に送るための背面ダクトが備えられており、
前記背面ダクトは、上下方向に延びる流路を構成するとともに、前記背面ダクトの内側には、前記解凍室から取り込まれた前記空気を加熱するための加熱手段が備えられている、請求項3に記載の解凍庫。
【請求項5】
前記解凍室には複数の棚網を上下方向に離間して支持することができる棚受構造が設けられており、
複数の前記吹出し孔は、前記棚受構造によって支持される前記棚網の下側に配されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の解凍庫。
【請求項6】
前記柱状ダクトの一方の端部には、前記解凍室から吸い出された空気を前記柱状ダクトの内部に向けて送気する第2の送気装置が備えられている、請求項1~5のいずれか1項に記載の解凍庫。
【請求項7】
前記解凍室は、前方に向けて開口する箱形の断熱筐体の内部に構成されているとともに、前方に向けて開口する箱形をなしており、
前記解凍室の上方には前記解凍室の内部の空気を取り込むための第1空間が設けられ、
前記解凍室の下方には、前記柱状ダクトの下端と、当該下端に接続された前記第2の送気装置とが配される第2空間が設けられており、
前記第1空間と前記第2空間とは、前記解凍室の背壁に沿って上下方向に延びる背面ダクトによって連通されている、請求項6に記載の解凍庫。
【請求項8】
前記第2の送気装置は、略円盤状をなし、軸方向に空気を取入れる吸気口と、円周方向に空気を送出す送気口と、を備えるブロアファンであって、
前記ブロアファンは、前記柱状ダクトの側方に配されるとともに、前記送気口は、前記柱状ダクトの前記下端において前記側方に向けて延設された接続部を介して前記柱状ダクトの側面に接続されており、
前記接続部の底面には、水抜き孔が設けられている、請求項7に記載の解凍庫。
【請求項9】
前記解凍室から取り込んだ空気を冷却する冷却器を備え、
前記冷却器によって前記解凍室から取り込んだ空気を冷却する構成を備えている、請求項1~8のいずれか1項に記載の解凍庫。
【請求項10】
前記冷却器に着霜したときに前記冷却器を加熱するための除霜用ヒータを備え、
前記解凍室から取り込んだ空気を前記除霜用ヒータによって加温する構成を備えている、請求項9に記載の解凍庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、解凍庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、予め冷凍して保存されている食材等の冷凍物を、調理に適した温度にまで品質を保ちながら解凍するための解凍庫が知られている。解凍品質を損ねないためには、解凍庫内の温度制御と併せて、解凍庫内の温度を均一に保つことが肝要となる。例えば特許文献1には、解凍室内の空気を上部に吸い上げて温度調整したのち、背面と側面とに連続して設けられたダクトを通じ、側面のファンによって庫内に戻す構成が開示されている。特許文献2には、解凍室内の空気を背面に設けられた処理ユニットにより吸い出して温度調整したのち、処理ユニットと側面の棚柱とを繋げてなる側面ダクトを通じて、庫内前方に向けて吹き出す構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-130011号公報
【特許文献2】特開2020-148388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構成によると、解凍対象である冷凍物の大きさや庫内の配置によっては解凍不足や解凍ムラの発生が生じやすく、解凍庫の庫内温度の均一性に改善の余地があった。
【0005】
本技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、解凍時の庫内の温度をより均一にすることができる解凍庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示される解凍庫は、冷凍物が収容される解凍室内に空気を送ることで前記冷凍物を解凍する解凍庫であって、前記冷凍物を収容するための解凍室と、前記解凍室の空気を取り込んだのち前記解凍室に戻すための送気装置と、中空の柱状をなし、前記解凍室の側壁の内側に対し上下方向に沿うように設けられる柱状ダクトと、を備え、前記柱状ダクトは、前記解凍室の内側に向けて開口する吹出し孔を上下方向に沿って複数備えており、前記送気装置は、前記解凍室から取り込んだ前記空気を前記柱状ダクト内に送ることによって、複数の前記吹出し孔を通じて前記解凍室に吹き出す構成を備えている。
【0007】
上記構成によると、柱状ダクトの複数の吹出し孔は上下方向に沿って異なる位置に配されているため、解凍室内の空気を上下方向について分配して庫内に送ることができる。また、吹出し孔から吹出される空気は、指向性を持ったものとなりうる。これにより、例えば冷凍物によって庫内に送られた空気の流れの一部が遮られても、この冷凍物の上方および下方に空気の流れが形成されているため、冷凍物に遮られることによって解凍室内の空気の流れが大きく乱れることが抑制される。その結果、解凍時の解凍室内の空気をより均一に循環させることができ、解凍室内の温度を高いレベルで均一化することができる。
【0008】
好適な一態様において、前記解凍室には、複数の前記柱状ダクトが、対向する一対の前記側壁のそれぞれに対して備えられており、複数の前記柱状ダクトは、前記側壁に沿う複数の前記柱状ダクトの並び方向において、互いに重ならない位置に配されている。上記構成によると、それぞれの柱状ダクトの吹出し孔から吹出される空気は互いにぶつかり合うことがなく、解凍室内を水平方向について循環する。これにより、高さ方向に加えて水平方向についても解凍室内の空気を循環させることができ、解凍室内の温度をより一層高いレベルで均一化することができる。
【0009】
好適な一態様において、前記解凍室は、前方に向けて開口する箱形をなすとともに、前記柱状ダクトは左右の側壁に設けられており、前記送気装置は、前記解凍室より上方に当該解凍室から空気を取り込む構成を備えるとともに、前記解凍室から取り込んだ空気を背壁および底壁に沿って一対の前記柱状ダクトの下端に送る流路を備えている。上記構成によると、柱状ダクトには、空気を取り込んだ方向とは反対側から空気を送るため、解凍室内の空気を大きく循環させることができる。
【0010】
好適な一態様において、前記解凍室の前記背壁には、前記解凍室から吸い出された前記空気を前記解凍室の下方に送るための背面ダクトが備えられており、前記背面ダクトは、上下方向に延びる流路を構成するとともに、前記背面ダクトの内側には、前記解凍室から取り込まれた前記空気を加熱するための加熱手段が備えられている。解凍室内に送る空気を加熱手段を利用して適切に温めておくことで、解凍時間の短縮を図ることができる点において好ましい。ここで、加熱手段によって加温された空気は、冷たい空気と比較して相対的に上昇しやすい。したがって、解凍室から取り込んだ空気を加温してから解凍室に送るとき、柱状ダクト30の吹出し孔を通じて上下方に分配して送ることで、加温された空気の上方への偏りを抑制できるために望ましい。
【0011】
好適な一態様において、前記解凍室には複数の棚網を上下方向に離間して支持することができる棚受構造が設けられており、複数の前記吹出し孔は、前記棚受構造によって支持される前記棚網の下側に配されている。上記構成によると、多数の冷凍物を棚網に並べて配置することができ、冷凍物が多数の場合であっても温度ムラの生じ難い状態で解凍室内に収容することができる。また、吹出し孔が棚網の下側に配されていることから、棚網に冷凍物が載置されているときであっても、吹出し孔から解凍室に送られる空気が冷凍物に遮蔽されたり、空気の流れが乱されたりして、解凍室内の空気の循環が滞る事態を低減させることができる。
【0012】
好適な一態様において、前記柱状ダクトの一方の端部には、前記解凍室から吸い出された空気を前記柱状ダクトの内部に向けて送気する第2の送気装置が備えられている。上記構成においては、空気を取り込むための送気装置とは別に、柱状ダクトに空気を送る第2の送気装置が備えられている。これにより、解凍室から空気を取り込む位置と、柱状ダクトへ空気を送る位置とが離れている場合であっても、吹出し孔から勢いよく空気を解凍室に吹出すことができ、解凍室内の温度をより均一なものとすることができる。また、冷凍物と空気との熱交換を促すことができ、解凍時間の短縮化を図ることもできる。
【0013】
好適な一態様において、前記解凍室は、前方に向けて開口する箱形の断熱筐体の内部に構成されているとともに、前方に向けて開口する箱形をなしており、前記解凍室の上方には前記解凍室の内部の空気を取り込むための第1空間が設けられ、前記解凍室の下方には、前記柱状ダクトの下端と、当該下端に接続された前記第2の送気装置とが配される第2空間が設けられており、前記第1空間と前記第2空間とは、前記解凍室の背壁に沿って上下方向に延びる背面ダクトによって連通されている。上記構成によると、解凍室の周囲に、解凍室内の空気を吸い出して庫内に戻す空気流路を効率よく構築することができる。
【0014】
好適な一態様において、前記第2の送気装置は、略円盤状をなし、軸方向に空気を取入れる吸気口と、円周方向に空気を送出す送気口と、を備えるブロアファンであって、前記ブロアファンは、前記柱状ダクトの側方に配されるとともに、前記送気口は、前記柱状ダクトの前記下端において前記側方に向けて延設された接続部を介して前記柱状ダクトの側面に接続されており、前記接続部の底面には、水抜き孔が設けられている。上記構成によると、柱状ダクトの内部に水が浸入した場合であっても、その水がブロアファンに至ることが抑制される。これにより、例えば、ブロアファンとして防水性に優れたものを採用する負担が軽減される。
【0015】
好適な一態様において、前記解凍室から取り込んだ空気を冷却する冷却器を備え、前記冷却器によって前記解凍室から取り込んだ空気を冷却する構成を備えている。上記構成によると、解凍された解凍品の品質の劣化を抑制することができる。また、送気装置として、冷凍サイクルを構成する冷却ユニットの蒸発器ファンを好適に利用することができる点においても望ましい。
【0016】
好適な一態様において、前記冷却器に着霜したときに前記冷却器を加熱するための除霜用ヒータを備え、前記解凍室から取り込んだ空気を前記除霜用ヒータによって加温する構成を備えている。上記構成によると、解凍室の空気を加温するために、冷凍サイクルを構成する冷却ユニットの除霜用ヒータを好適に利用することができる点において望ましい。
【発明の効果】
【0017】
ここに開示される技術によれば、解凍時の庫内の温度をより均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態に係る解凍庫の斜視図
図2図1の解凍庫の正断面図(A-A線断面図)
図3図1の解凍庫の右側断面図(B-B線断面図)
図4図1の解凍庫の左側断面図(C-C線断面図)
図5図1の解凍庫の背断面図(D-D線断面図)
図6図1の解凍庫の上断面図(E-E線断面図)
図7】第1柱状ダクトの要部斜視図
図8図7の第1柱状ダクトの底面図
図9】第2柱状ダクトの横断面図
図10】扉を除いた解凍庫の要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本技術の一実施形態に係る解凍庫について、図1から図10を適宜参照しつつ説明する。なお、各図に示した符号F,Rr,L,R,U,Dはそれぞれ、解凍庫1の前後方向における前,後,正面から見たときの幅方向における左,右,鉛直方向の上,下を示している。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。また、複数の同一部材については、一の部材に符号を付して、他の部材の符号は省略することがある。
【0020】
解凍庫1は、例えば冷凍して保存している食材等の冷凍物を、例えば調理に適した温度にまで品質を保ちながら解凍し、解凍後は引き続き品質を保ちながら保管することができる保管庫である。一例では、-15℃以下(例えば-20℃~―25℃)で冷凍されていた冷凍物を、例えば、パーシャルフリージング温度である-3℃付近や、チルド温度である0℃付近まで解凍し、この温度で保冷する温度制御機構を備えている。この解凍庫1は、図1等に示すように、概して略直方体形状の解凍庫本体10を主体として構成されており、この解凍庫本体10の上方に機械室5が配され、これらを脚部9によって下方から支持している。以下、各構成要素について説明する。
【0021】
解凍庫本体10は、前方の一面が開口された断熱筐体11と、断熱筐体11の開口を開閉する扉15と、を備えている。断熱筐体11は、ステンレス鋼板製の外箱12の内側に、同じくステンレス鋼板製の内箱13が嵌め込まれ、外箱12と内箱13との間に、発泡ウレタン等の発泡樹脂からなる断熱材14が充填されることで構成されている。断熱筐体11は、上壁11Aと、左側壁11Bと、右側壁11Cと、背壁11Dと、底壁11Eと、を有している。上壁11Aには、機械室5と連通する開口11Fが設けられている。
【0022】
断熱筐体11の上方には、冷却室ダクト7Aが取り付けられることによって冷却室7が画成され、断熱筐体11の下方には、ドレンパン41等が取り付けられることによって底部ダクト40が画成されている。冷却室7は、本技術における第1空間の一例であり、底部ダクト40は、本技術における第2空間の一例である。そして断熱筐体11の内部の残りの領域であって、断熱筐体11、冷却室ダクト7A、およびドレンパン41で取り囲まれる部分が、解凍対象である冷凍物等を収容するための解凍室3となっている。解凍庫本体10には、後述する柱状ダクト30を通じて、この解凍室3から取り込んだ空気を再び解凍室に吹き出す構成が備えられている。
【0023】
扉15は、ステンレス鋼板製の外形材16の内部に、発泡ウレタン等の発泡樹脂からなる断熱材17が充填されることで構成されている。扉15は、解凍室3の開口を開閉する要素であり、解凍室3の開口を扉15で覆うことによって解凍空間が構築されるとともに、解凍空間(以下、単に庫内という場合がある。)を外部から断熱できるようになっている。扉15には、正面から見て右側に取手18が設けられており、扉15は、その右側端部を揺動軸として、揺動開閉できるように取り付けられている。扉15を閉じたときに庫内側を向く背面15Aの周縁部には、パッキン19が装着されている。パッキン19は、弾性体からなるシール部材であり、扉15を閉じたときに扉15と断熱筐体11の開口縁部との間に介在して、扉15と開口縁部とを気密に封止する。
【0024】
機械室5は、図1から図4に示すように、断熱筐体11の上方に配されており、解凍室3の内部(庫内)の空気を冷却するための冷却ユニット20(冷却装置の一例)の一部と、解凍庫1の各部を制御する制御装置100と、を収容している。機械室5と冷却室7とは、断熱筐体11の上壁11Aに設けられた開口11Fによって連通可能とされているものの、この開口11Fには、断熱仕切板29が機械室5の側から嵌め込まれることで断熱的に封止できるようになっている。制御装置100は、図示しない外部電源に電気的に接続可能とされており、例えば解凍庫1の各部には、制御装置100を介して電力が供給されるようになっている。
【0025】
冷却ユニット20は、主として解凍室3の空気を外気よりも低い温度に冷却するとともに、解凍室3の温度が低すぎる場合は解凍室3の空気を温めるための要素である。冷却ユニット20は、おおまかには、圧縮機21、凝縮器22、凝縮器ファン22A、膨張弁(図示せず)、蒸発器24(冷却器の一例)、蒸発器ファン24A(第1送気装置の一例)、冷媒を流通させる冷媒管25、庫内温度センサ26(室内温度センサの一例)、および除霜用ヒータ27(加熱手段の一例)を含む。冷却ユニット20においては、圧縮機21、凝縮器22、膨張弁、蒸発器24の間をこの順に冷媒管25で繋いで冷媒を循環させることで、既知の冷凍サイクルを構成している。冷却ユニット20のうち、圧縮機21、凝縮器22、および凝縮器ファン22Aは、断熱仕切板29の上に載置されて、機械室5に配されている(換言すれば、外気に晒されている)。冷却ユニット20のうち、蒸発器24、蒸発器ファン24A、庫内温度センサ26、除霜用ヒータ27、および膨張弁は、断熱仕切板29の下方に設置されて、冷却室7に配されている。蒸発器24は、蒸発器ファン24Aの後方側に配されている。圧縮機21、凝縮器ファン22A、蒸発器ファン24A、庫内温度センサ26、および除霜用ヒータ27は、制御装置100に電気的に接続されている。
【0026】
冷却室ダクト7Aは、より詳細には、図3等に示すように、後方に向けて下方に傾斜しており、前方に吸込口7Bが、後方に吹出口7Cが設けられている。吸込口7Bの上方には、蒸発器ファン24Aが設けられ、蒸発器ファン24Aの上方には、庫内温度センサ26が設けられている。本例の蒸発器ファン24Aは、二つの送気装置を備えており、冷却室ダクト7Aには二つの吸込口7Bが備えられている。庫内温度センサ26は、例えばサーミスタによって構成されている。
【0027】
解凍室3の背壁11Dには、図2から図6に示すように、上下方向に沿って背面ダクト50が設けられている。背面ダクト50は、冷却室7と底部ダクト40とに連通し、例えば、冷却室7において冷却された空気を底部ダクト40に送ることができるように構成されている。背面ダクト50は、概して、ダクト本体51と、背面ヒータ52(加熱手段の一例)と、温度センサ53と、を備えている。背面ヒータ52および温度センサ53は、制御装置100に電気的に接続されている。また本例の背面ダクト50には、棚受構造54が備えられている。
【0028】
ダクト本体51は、例えばアルミニウム合金等の金属材料からなる平板状の板材を、断面略凸状に曲げ加工することにより形成されており、幅方向の中央に配される本体部51Aと、本体部51Aの両端に連続する一対の壁部51Bと、壁部51Bの両端に連続する一対の固定部51Cと、を含む。本体部51Aは、板面が前後方向に沿うように、背壁11Dから室内側に離間して配される部分である。一対の壁部51Bは、この本体部51Aの幅方向の両端から背壁11Dに向けて後退される部分であり、その板面が前後方向に沿うように配される。一対の固定部51Cは、壁部51Bの両端から幅方向の外側に向けて延設された部分であり、ダクト本体51は固定部51Cにおいて背壁11Dに固定されている。また、ダクト本体51の上端は、冷却室ダクト7Aの後方の端部に接続されており、ダクト本体51の下端は、ドレンパン41の後方の端部に接続されている。これにより、背面ダクト50の内側には、上方から下方に向かう空気の流路が形成される。なお、ダクト本体51の本体部51Aの下端の幅方向の中央には、この流路を流れる空気の温度を計測する温度センサ53が備えられている。温度センサ53は、例えばサーミスタによって構成されている。
【0029】
ダクト本体51の本体部51Aの裏面(背壁11Dに対向する面)には、図5に示すように、背面ヒータ52が備えられている。本例の背面ヒータ52は、リード線(銅線)をシリコーンゴムによって被覆した所謂シリコーンコードヒータであり、ダクト本体51の上方部分と下方部分とに分けて1つずつ配されている。背面ヒータ52は、ダクト本体51の上方部分と下方部分のそれぞれにおいて、上下方向に沿って蛇行しながら複数列に亘って配策されており、アルミ箔テープによってダクト本体51の裏面に固定されている。
【0030】
ダクト本体51の本体部51Aの表面(前方を向く面)には、図2に示すように、冷凍物を載置することができる棚網55を上下方向に並ぶ形で載置可能な棚受構造54が備えられている。棚受構造54は、棚柱56と棚受部材57とを備えている。ダクト本体51には、長尺の棚柱56が左右の端部に沿って一つずつ配されている。棚柱56には、上下方向に所定の間隔で複数の係止孔56Aが設けられており、この係止孔56Aに棚受部材57の係止爪57Aを係止することで、棚柱56に棚受部材57を固定できるようになっている。この棚受構造54は、左側壁11Bの前端と、後述する第2柱状ダクト30Bと、に設けられている。左側壁11Bの前端の棚受構造54は、位置合わせをするために、角筒状の柱部材58の室内側を向く面に取り付けられている。これら4つの棚受構造54によって、棚網55を略水平な姿勢で、解凍室3の所望の高さに、着脱可能に支持できるようになっている。本例の棚受構造54では、9つの棚網55を、基本の取付位置で支持する様子を示している。
【0031】
解凍室3には、図3および図4に示すように、左右の側壁11B,11Cにそれぞれ、中空の柱状ダクト30が上下方向に沿う姿勢で備えられている。より具体的には、左側壁11Bには、前端よりもやや後方と、後方とに、柱状ダクト30が1つずつ設けられ、右側壁11Cには、前端と、前後方向の中央よりやや後方とに、柱状ダクト30が設けられている。各柱状ダクト30は、図6に示すように、前後方向についての配置が重ならないように、互い違いに配されている。なお、一つの柱状ダクト30が解凍室3の前端に配されていることで、この柱状ダクト30から吹出される空気がエアカーテンとして機能し、例えば冷凍物を遅れて解凍室3に入れるために扉15を開けたときなどに、解凍室3への空気の出入りにより庫内の温度が不安定となる事態を抑制することができる。以上の4つの柱状ダクト30のうち、左側壁11Bに設けられた2つの柱状ダクト30と、右側壁11Cの中央よりやや後方に設けられた1つの柱状ダクト30(以下、区別する必要がある場合には、第1柱状ダクト30Aという。)は同一の構造を有している。一方、右側壁11Cの前方に設けられた1つの柱状ダクト30(以下、区別する必要がある場合には、第2柱状ダクト30Bという。)は、棚受構造54が取り付けられており、第1柱状ダクト30Aとは構造が少し異なっている。以下、左側壁11Bに設けられた第1柱状ダクト30Aを基にして柱状ダクト30について説明し、その他の柱状ダクト30については相違点のみを説明することで適宜説明を省略する。
【0032】
第1柱状ダクト30Aは、概して長尺の柱状をなしており、ステンレス鋼,アルミニウム合金等の金属材料によって構成されている。第1柱状ダクト30Aは、例えば図7に示すように、基材31と、凸状部材32と、蓋部材34と、底部材35と、風向板36と、ブロアファン38(送気装置の一例)と、を備えている。第1柱状ダクト30Aの上端は解凍室3に配されているものの、第1柱状ダクト30Aの下端は、底部ダクト40に配されている。
【0033】
まず、凸状部材32は、上下方向に延びる空気の流路を構成する要素であり、解凍室3の側壁11B,11Cに対して室内側に膨出するように構成されている。より具体的には、凸状部材32は、長尺の平板状の板材を曲げ加工して形成されており、長手方向に交わる幅方向の中央に配される凸面部32Aと、凸面部32Aの両端に連続する一対の壁部32Bと、壁部32Bの両端に連続する一対の基部32Cと、を有している。凸面部32Aは、最も室内側に突出される部分であり、板面が前後方向に沿うように配される。一対の壁部32Bは、この凸面部32Aの前後方向の両端から側壁11B,11Cに向けて後退される部分であり、その板面が解凍室3の幅方向に沿うように配されている。一対の基部32Cは、凸面部32Aを側壁11B,11Cに対して離間した状態で支持する部分である。
【0034】
基材31は、凸状部材32の剛性を高めるための付加的な要素である。基材31は、平板状をなしており、凸状部材32に対して側壁11B,11Cの側に配されるとともに、凸状部材32に対して接合されている。より具体的には、基材31は、凸状部材32の幅方向の寸法よりも折曲げ代の分だけ幅広であって、幅方向の両端において中心側に180度折曲げられることで、凸状部材32を両端部(一対の基部32C)において包むようになっている。このことにより、基材31と凸状部材32とは、側壁11B,11Cに沿う面の外形が略同一となるように構成されている。本例の基材31は、凸状部材32の一対の基部32Cに対して、上記折曲げ代を折返して圧接加工を施すことで気密性を高めたのち、スポット溶接によって接合されている。ただし、基材31は必ずしも上記の折曲げ代を含んでいる必要はなく、基材31と凸状部材32とを重ね合わせたときに、互いの輪郭が一致するように形成されていてもよい。
【0035】
凸面部32Aには、上下方向に所定の間隔で、複数の吹出し孔33が貫通形成されている。吹出し孔33は、柱状ダクト30を流通する空気が解凍室3に吹出されるときの出口である。各吹出し孔33は、水平方向(前後方向)に延びる長角孔として形成されている。この吹出し孔33は、棚受構造54において基本の取付位置に取り付けられた棚網55のすぐ下側に配されるように、上下方向の位置が調整されている。
【0036】
風向板36は付加的に備えられる要素であり、吹出し孔33から吹出される空気の吹出す向きを制御する要素である。本例の風向板36は一枚の板片が断面略L字状に曲げ加工されてなり、折り曲げ部の一方の板片部が吹出し孔33の上縁部に固定されるとともに、他方の板片部が、吹出し孔33の上部から室内側に延び出すようになっている。本例の風向板36は、全ての吹出し孔33に対し、その板面が水平方向に延びるように設置されている。これにより、吹出し孔33から水平方向に空気を吹出すことができ、解凍室3において空気の流れが冷凍物に遮られることを抑制することができる。しかしながら、風向板36は、任意の吹出し孔33に設けるようにしてもよいし、また風向板36の延出方向も水平方向に限定されない。例えば各風向板36の延出方向は、独立して、水平方向±30度程度の範囲としてもよい。
【0037】
蓋部材34は、第1柱状ダクト30Aの上端を閉じるための部材であり、第1柱状ダクト30Aの上端は蓋部材34によって閉塞されている。第1柱状ダクト30Aの上端を閉じることによって、解凍室3の内側に向けてより大量の空気を勢いよく送ることができる。底部材35は、第1柱状ダクト30Aの下端を閉じるための部材であり、第1柱状ダクト30Aの下端は底部材35によって閉塞されている。より具体的には、第1柱状ダクト30Aには、底部ダクト40内に配される下端においてブロアファン38が接続されており、第1柱状ダクト30Aは、ブロアファン38と接続するために、下端の前方または後方に向けて流路が曲げられた接続部37を備えている。例えば、左側壁11Bに取り付けられる第1柱状ダクト30Aについては、接続部37の流路は前方に向けて90度曲げられている。これに伴い、第1柱状ダクト30Aの下端において、基材31および凸面部32Aは、前方に向けて延びるとともに、後方の角部が面取り(C面取り)されている。また、前方の壁部32Bは前方に向けて延びるとともに、後方の壁部32Bは面取り部から下方が取り除かれている。底部材35は、下方に向かうに連れて前方に向けて傾斜する傾斜面部35Aと、この傾斜面部から前方に向けて延びる底面部35Bとを備えている。そして上記の基材31および凸面部32Aの面取り部分を傾斜面部35Aによって閉塞し、延設部分を底面部35Bによって閉塞するように構成されている。底部材35の底面部35Bには、ややブロアファン38に近い側に、水抜き用の貫通穴35Cが設けられている。右側壁11Cの後方には、上記と同じ構成の第1柱状ダクト30Aが、接続部37における流路が後方に向けて90度曲げられる姿勢で取り付けられている。
【0038】
なお、右側壁11Cの相対的に前方に設けられた第2柱状ダクト30Bは、大まかには第1柱状ダクト30Aと同様の構成を有し、接続部37における流路が後方に向けて90度曲げられる姿勢で右側壁11Cに取り付けられている。第2柱状ダクト30Bは、図4に示すように、凸面部32Aに設けられる複数の吹出し孔33の位置が、ブロアファン38の接続方向(ここでは後方)とは反対側(ここでは前方)に変位されている。第2柱状ダクト30Bには、このようにして凸面部32Aに形成されたスペースに、棚受構造54における棚柱56および棚受部材57が取り付けられている。
【0039】
ブロアファン38は、底部ダクト40内に配されて、柱状ダクト30の下端の側面(壁部32B)に接続されている。ブロアファン38は、解凍室3から吸い出された空気を柱状ダクト30内に送るための送気装置であり、空気を吸い込む吸気口38Aと、空気を送り出す送気口38Bとを有している。本例のブロアファン38は略円盤状をなしており、円盤の中心部分に吸気口38Aが設けられ、軸方向に空気を吸い込むとともに、円周部分に送気口38Bが設けられ、接線方向に空気を送り出す構成を備えている。このブロアファン38は、吸い込み方向とは異なる方向に、指向性の高い空気を送り出すことができるため、底部ダクト40内の空気を効率よく柱状ダクト30に送り込むことができる。ブロアファン38は、制御装置100に電気的に接続されて、その駆動が制御される。なお、ブロアファン38としては、これに限定されるものではないが、ブラシレスDCモータを用いることができる。ブラシレスDCモータによると、制御装置100によって電気的に電流量および回転数を変化させることができるため、送風量を容易に調整できる。これにより、例えば後述する解凍運転時には送風量が多くなるように駆動し、冷却運転の保冷時には送風量が少なくなるように駆動させることが可能となる。
【0040】
底部ダクト40は、図10に示すように、断熱筐体11の下方を、ドレンパン41、カバー部材42、および前面カバー43で覆うことによって構成されている。ドレンパン41、カバー部材42、および前面カバー43はそれぞれ、断熱筐体11、背面ダクト50、柱状ダクト30、および柱部材58に対して、水密に接続されている。ドレンパン41の前方の幅方向の中央には、排水口44が設けられており、ドレンパン41の上面は、この排水口44に向かって下傾するテーパ面となっている。断熱筐体11の底壁11Eには、排水口44と対応する位置に一回り大きい排水孔45が設けられている。そしてドレンパン41の排水口44には、底部ダクト40の側にドレンホース46(図3参照)が接続されており、ドレンホース46の下端が排水孔45に挿通されていることで、解凍室3内に発生した水分を解凍庫1の外部に排水できるようになっている。
【0041】
上記構成の解凍庫1の駆動について説明する。解凍庫1は、解凍室3に収容された冷凍物を解凍するとき、冷却ユニット20と、必要に応じて背面ヒータ52とを利用し、制御装置100によって制御することで、解凍運転を実行させる。解凍運転においては、例えば、圧縮機21、および凝縮器ファン22Aの駆動は停止した状態で、蒸発器ファン24Aと除霜用ヒータ27とを駆動させる。蒸発器ファン24Aが駆動すると、解凍室3の空気が吸込口7Bを通じて冷却室7に取り込まれる。庫内温度センサ26は、この取り込まれた解凍室3の空気の温度を検知することができる。冷却室7に取り込まれた空気は、除霜用ヒータ27と熱交換して加温される。加温された空気は、吹出口7Cを通じて、背面ダクト50、底部ダクト40、および柱状ダクト30の順に送られる。柱状ダクト30に送られた空気は、上下方向に配された吹出し孔33を通じ、解凍室3の内部に上下方向に亘って均等に吹出される。このように加温された空気が解凍室3に戻されることによって、庫内の空気が均一に温められ、冷凍物が解凍される。
【0042】
制御装置100は、冷却室7に吸い上げられた解凍室3の空気の温度を庫内温度センサ26によって検知することができる。また、制御装置100は、温度センサ53によって、背面ダクト50を流下する空気の温度を検知することができる。そして制御装置100は、庫内温度センサ26によって計測される解凍室3の空気が、予め設定された解凍温度に到達するように、あるいは、解凍室3の空気が予め設定された解凍温度を維持するように、蒸発器ファン24A、ブロアファン38、および除霜用ヒータ27の駆動を制御する。また、制御装置100は、必要に応じて背面ヒータ52を駆動させ、背面ダクト50を流下する空気を加温して庫内温度をより短時間で予め設定された解凍温度に到達するように制御する。これにより、庫内をより均一な温度に保ちながら冷凍物を解凍することできる。
【0043】
解凍庫1は、例えば、冷凍物を解凍したのち、解凍室3を所定の冷却温度に保持するとき、制御装置100の制御によって冷却ユニット20に冷却運転をさせる。冷却運転では、圧縮機21において気体状の冷媒を圧縮することで高温高圧の気体状冷媒とし、次の凝縮器22において凝縮器ファン22Aにより冷却させることで中温高圧の液化冷媒とする。そしてこの液化冷媒を、膨張弁で急激に膨張させることにより低温低圧の液化冷媒へと変化させ、蒸発器24において周囲の空気から熱を奪うことで蒸発して低温低圧の気体状冷媒となる。このとき、図3等に示すように、蒸発器ファン24Aによって解凍室3の空気を冷却室7に吸い上げるとともに、蒸発器24に送る。すると、送られた空気は、蒸発器24を通過する間に蒸発器24との間で熱交換することにより冷却される。このように冷却された空気が解凍室3に戻されることによって、庫内の空気が冷却される。制御装置100は、冷却室7に吸い上げられた解凍室3の空気の温度を庫内温度センサ26によって計測しながら、解凍室3の空気が予め設定された冷却温度に到達するように、あるいは、解凍室3の空気が予め設定された冷却温度を維持するように、圧縮機21、凝縮器ファン22A、および蒸発器ファン24Aの駆動を制御する。
【0044】
また、冷却ユニット20が冷却運転されると、解凍室3の空気に含まれる水蒸気が蒸発器24によって冷却されて、蒸発器24の表面に霜となって付着する。したがって、解凍庫1は、蒸発器24に付着した霜を取り除くとき、制御装置100の制御によって冷却ユニット20に除霜運転をさせる。除霜運転においては、例えば、圧縮機21、凝縮器ファン22A、および蒸発器ファン24Aの駆動を停止し、除霜用ヒータ27に通電することにより霜を加熱融解させたり(ヒータ加熱方式)、除霜用ヒータ27に通電することなく蒸発器ファン24Aのみを駆動させ、庫内空気を熱源として霜を融解させたり(オフサイクル方式)する。除霜運転により融解された霜は、冷却室ダクト7Aによって受けられ、背壁11Dの内部に設けられた排出管7Dに送られることで、解凍庫本体10の外部に排出される。
【0045】
なお、冷却室ダクト7Aには二つの吸込口7Bの間には、赤外線温度センサ60が備えられている。赤外線温度センサ60は、物体から放射される赤外線をレンズによってサーモパイルからなる検出素子に集光し、局所的な温度差に比例して当該検出素子から出力される電圧に基づいて当該物体の温度情報を得ることができる構成を有している。赤外線温度センサ60によると、解凍室3に収容された冷凍物の温度を、非接触で、かつ、直接的に、高速で測定できる点において好ましい。上記の解凍運転、冷却運転、および除霜運転において、制御装置100は独立して、庫内温度センサ26によって測定される解凍室3の空気の温度に代えて、赤外線温度センサ60によって測定される冷凍物の温度に基づいて、各部を制御するようにしてもよい。
【0046】
上記構成の解凍庫1は、冷凍物を収容するための解凍室3と、解凍室3の空気を取り込んだのち解凍室3に送るための蒸発器ファン24A(送気装置の一例)と、中空の柱状をなし、解凍室3の左側壁11B,右側壁11Cの内側に対し上下方向に沿うように設けられる柱状ダクト30と、を備え、柱状ダクト30は、解凍室3の内側に向けて開口する吹出し孔33を上下方向に沿って複数備えている。そして蒸発器ファン24Aは、解凍室3から取り込んだ空気を、当該柱状ダクト30内に送ることによって、複数の吹出し孔33を通じて解凍室3に吹出す構成を備えている。このような構成において、柱状ダクト30の複数の吹出し孔33は上下方向に沿って異なる位置に配されているため、解凍室3内の空気を上下方向について分配して庫内に送ることができる。また、吹出し孔33から吹出される空気は、指向性を持ったものとなり得る。これにより、例えば冷凍物によって庫内に送られた空気の流れの一部が遮られても、この冷凍物の上方および下方に空気の流れが形成されているため、冷凍物に遮られることによって解凍室内の空気の流れが大きく乱れることが抑制される。その結果、解凍運転時の解凍室3内の空気をより均一に循環させることができ、解凍室3内の温度をより高いレベルで均一化することができる。延いては、解凍物の解凍不足や解凍ムラ、過解凍等による品質の低下を抑制することができる。
【0047】
上記構成の解凍庫1において、解凍室3には、複数の柱状ダクト30が、対向する一対の左側壁11Bおよび右側壁11Cのそれぞれに対して備えられている。また複数の柱状ダクト30は、左側壁11Bおよび右側壁11Cに沿う複数の柱状ダクト30の並び方向である前後方向において、互いに重ならない位置に配されている。このような構成によると、それぞれの柱状ダクト30の吹出し孔33から吹出される空気は、水平方向について互いにぶつかり合うことがなく、例えば図6に示すように、解凍室3内を好適に循環する。これにより、高さ方向に加えて水平方向についても解凍室内の空気を循環させることができ、解凍室内の温度をより一層高いレベルで均一化することができる。
【0048】
上記構成の解凍庫1において、解凍室3は、前方に向けて開口する箱形をなすとともに、柱状ダクト30は左側壁11Bおよび右側壁11Cにそれぞれ設けられている。また、蒸発器ファン24A、冷却室7、背面ダクト50、および底部ダクト40(送気装置の一例)は、解凍室3より上方に当該解凍室3から空気を取り込む構成を備えるとともに、解凍室3から取り込んだ空気を背壁11Dおよび底壁11Eに沿って一対の柱状ダクト30の下端に送る流路を備えている。上記構成によると、柱状ダクト30には、空気を取り込んだ方向である上方とは反対側の下方から空気を送るため、解凍室3内の空気を大きく循環させることができる。
【0049】
上記構成の解凍庫1において、解凍室3の背壁11Dには、解凍室3から吸い出された空気を解凍室3の下方に送るための背面ダクト50が備えられており、背面ダクト50は、上下方向に延びる流路を構成するとともに、背面ダクト50の内側には、解凍室3から取り込まれた空気を加温するための背面ヒータ52(加熱手段の一例)が備えられている。解凍室内に送る空気を加熱手段を利用して適切に温めておくことで、解凍時間の短縮を図ることができる点において好ましい。ここで、加温された空気は、冷たい空気と比較して相対的に上昇しやすい。したがって、解凍室3から取り込んだ空気を加温してから解凍室3に戻すとき、柱状ダクト30の吹出し孔33を通じて上下方向に分配して送ることで、加温された空気の上方への偏りを抑制できるために望ましい。
【0050】
上記構成の解凍庫1において、解凍室3には複数の棚網55を上下方向に離間して支持することができる棚受構造54が設けられている。また複数の吹出し孔33は、棚受構造54によって支持される棚網55の下側に配される攻勢を備えている。このような構成によると、多数の冷凍物を棚網55に並べて配置することができ、冷凍物が多数の場合であっても温度ムラの生じ難い状態で解凍室3内に収容することができる。また、吹出し孔33が棚網55の下側に配されていることから、棚網55に冷凍物が載置されているときであっても、吹出し孔33から解凍室3に送られる空気が冷凍物に遮蔽されたり、空気の流れが乱されたりして、解凍室3内の空気の循環が滞る事態を低減させることができる。
【0051】
上記構成の解凍庫1において、柱状ダクト30の一方の端部には、解凍室3から吸い出された空気を柱状ダクト30の内部に向けて送気するブロアファン38(第2の送気装置の一例)が備えられている。このような構成では、空気を取り込むための送気装置(蒸発器ファン24A)とは別に、柱状ダクト30に空気を送る第2の送気装置(ブロアファン38)が備えられている。これにより、解凍室3から空気を取り込む位置と、柱状ダクトへ空気を送る位置とが離れている場合であっても、吹出し孔33から勢いよく空気を解凍室3に吹出すことができ、解凍室3内の温度をより均一なものとすることができる。また、冷凍物と空気との熱交換を促すことができ、解凍時間の短縮化を図ることもできる。
【0052】
上記構成の解凍庫1において、解凍室3は、前方に向けて開口する箱形の断熱筐体11の内部に構成されているとともに、前方に向けて開口する箱形をなしている。また解凍室3の上方には、解凍室3の内部の空気を取り込むための冷却室7(第1空間の一例)が設けられ、解凍室3の下方には、柱状ダクト30の下端と、当該下端に接続されたブロアファン38(第2の送気装置の一例)とが配される底部ダクト40(第2空間の一例)が設けられている。そして冷却室7と底部ダクト40とは、解凍室3の背壁11Dに沿って上下方向に延びる背面ダクト50によって連通されている。上記構成によると、解凍室3の周囲に、解凍室3内の空気を吸い出して庫内に戻す空気流路を効率よく構築することができる。
【0053】
上記構成の解凍庫1において、前記第2の送気装置は、略円盤状をなし、軸方向に空気を取入れる吸気口38Aと、円周方向に空気を送出す送気口38Bと、を備えるブロアファン38である。このブロアファン38は、柱状ダクト30の側方に配されるとともに、送気口38Bは、柱状ダクト30の下端において側方に向けて延設された接続部37を介して柱状ダクト30の側面に接続されており、接続部37の底面部35B(底面)には、貫通穴35C(水抜き孔の一例)が設けられている。上記構成によると、柱状ダクト30の内部に水が浸入した場合であっても、その水が貫通穴35Cから排出されるため、ブロアファン38に至ることが抑制される。これにより、例えば、ブロアファンとして防水性に優れたものを採用する負担が軽減される。
【0054】
上記構成の解凍庫1において、解凍室3から取り込んだ空気を冷却する蒸発器24(冷却器の一例)を備え、蒸発器24によって解凍室3から取り込んだ空気を冷却する構成を備えている。解凍する温度が所定の解凍温度よりも高くなったり、解凍後の保管温度が所定の保冷温度よりも高くなると、解凍物に細菌が増殖するなどして解凍物の品質が著しく劣化し得る。上記構成によると、例えば蒸発器ファン24Aの運転熱によって解凍室3の温度が上昇しすぎた場合や、冷凍物の解凍を終えた後などに、解凍室3の温度を予め定められた解凍温度や保冷温度に維持することができる。これにより、解凍される解凍品の品質の劣化を抑制することができる。また、送気装置として、冷凍サイクルを構成する冷却ユニット20の蒸発器ファン24Aを好適に利用することができる点においても望ましい。
【0055】
上記構成の解凍庫1は、蒸発器24(冷却器の一例)に着霜したときに蒸発器24を加熱するための除霜用ヒータ27を備えており、解凍室3から取り込んだ空気をこの除霜用ヒータ27によって加温する構成を備えている。上記構成によると、解凍室3の空気を加温するために、冷凍サイクルを構成する冷却ユニット20の除霜用ヒータ27を好適に利用することができる点において望ましい。
【0056】
<他の実施形態>
本技術は、上記の実施形態に開示された例に限定されるものではなく、例えば、以下の態様も本技術範囲に含まれる。また、本技術は、その本質から逸脱しない範囲において種々変更された態様で実施することができる。
【0057】
(1)上記実施形態における断熱筐体11は、前方の一面が開口されており、背壁11Dに背面ダクト50が、左右の側壁11B,11Cに柱状ダクト30が備えられていた。しかしながら、背面ダクト50は、必ずしも設置する必要はなく、また、柱状ダクト30が設置される位置も左右の側壁11B,11Cに限定されない。例えば、柱状ダクト30は、その上端が冷却室7に接続されており、冷却室7において冷却された空気が柱状ダクト30に直接導入される構成とされていてもよい。また例えば、柱状ダクト30は、扉15の背面15A、左側壁11B、右側壁11C、および背壁11Dのいずれに設置されていてもよい。
【0058】
(2)上記実施形態では、複数の柱状ダクト30の全ての下端に送気装置を備えていた。しかしながら、柱状ダクト30の下端に必ずしも送気装置を取りつける必要はなく、柱状ダクト30から解凍室3に空気を送ることができる範囲において、柱状ダクト30への送気装置の設置を省略することができる。
【0059】
(3)また上記実施形態では、一つの解凍室3に4つの柱状ダクト30が備えられていた。しかしながら、柱状ダクト30の数はこの例に限定されず、例えば解凍室3の広さや、柱状ダクト30の太さなどによって適宜調整することができる。
【0060】
(4)柱状ダクト30に接続する送気装置としてブロアファン(シロッコファンともいう。)を採用したが、送気装置はこれに限定されない。送気装置としては、例えば、ブロアファン以外のターボファン等の遠心式送気装置、プロペラファン等の軸流式送気装置、横流ファン等の横流式送気装置、クロスフローファン等の斜流式送気装置等の各種の送気装置などであってよい。
【0061】
(5)上記実施形態では、9つの棚網55を吹出し孔33の直ぐ上方の基本の取付位置で支持する様子を示していた。しかしながら、棚受構造54の構成はこれに限定されず、例えば、棚柱56には所定の間隔で任意の数の係止孔56Aを設けることができ、棚受部材57の取付位置および棚網55の支持位置は可変とされている。
【0062】
(6)上記実施形態において、解凍庫の解凍運転、冷却運転、および除霜運転の内容は例示にすぎず、その他の様々な運転方法を採用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1…解凍庫、3…解凍室、7…冷却室、10…解凍庫本体、11…断熱筐体、11A…上壁、11B…左側壁、11C…右側壁、11D…背壁、11E…底壁、20…冷却ユニット、24…蒸発器(冷却器)、24A…蒸発器ファン(送気装置)、26…庫内温度センサ、27…除霜用ヒータ、30…柱状ダクト、30A…第1柱状ダクト、30B…第2柱状ダクト、33…吹出し孔、35C…貫通穴、36…風向板、37…接続部、38…ブロアファン、38A…吸気口、38B…送気口、40…底部ダクト、50…背面ダクト、52…背面ヒータ、53…温度センサ、54…棚受構造、55…棚網、56…棚柱、57…棚受部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10