(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036311
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】回転機械装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20230307BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20230307BHJP
H02K 5/24 20060101ALI20230307BHJP
H02K 5/18 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02K11/33
H02K5/24 A
H02K5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143297
(22)【出願日】2021-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】玉川 充
(72)【発明者】
【氏名】小島 研太
(72)【発明者】
【氏名】濱田 憲
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
5H770
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605AA04
5H605BB05
5H605BB17
5H605CC01
5H605CC08
5H605DD05
5H605DD09
5H605DD12
5H611AA09
5H611BB01
5H611TT01
5H611UA04
5H770AA07
5H770AA21
5H770BA01
5H770CA02
5H770GA19
5H770PA02
5H770PA22
5H770PA42
5H770QA02
5H770QA28
5H770QA31
5H770QA36
(57)【要約】 (修正有)
【課題】騒音及び振動を抑制できる回転機械装置を提供する。
【解決手段】回転機械装置であるポンプ装置は、ポンプに連結され、モータケーシング21cを有するモータ21と、モータ21を駆動させるインバータと、モータケーシング21cの外面の一部に設けられ、モータケーシング21cと対向する底部に放熱フィン51cを有するインバータを収容するケース51、71と、モータケーシング21c及びケース51、71の間に設けられる第3弾性体と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械に連結され、モータケーシングを有するモータと、
前記モータを駆動させるインバータと、
前記モータケーシングの外面の一部に設けられ、前記モータケーシングと対向する底部に放熱フィンを有する、前記インバータを収容するケースと、
前記モータケーシング及び前記ケースの間に設けられるケーシング用弾性体と、
を備える回転機械装置。
【請求項2】
前記ケースは、前記底部に、前記インバータを構成する制御基板の発熱体が接触する、請求項1に記載の回転機械装置。
【請求項3】
前記モータケーシング及び前記ケースは、電力線が通る開口を有する開口部をそれぞれ有し、
前記モータケーシングの前記開口部及び前記ケースの前記開口部の間に設けられ、前記電力線が配置される開口を有する電力線用弾性体と、
を備える、請求項1又は請求項2に記載の回転機械装置。
【請求項4】
前記電力線用弾性体は、前記開口を通る前記電力線の周囲を前記モータケーシングの前記開口部又は前記ケースの前記開口部の少なくとも一方と線タッチで接触することで、前記モータケーシングの前記開口部又は前記ケースの前記開口部の間を密封する、請求項3に記載の回転機械装置。
【請求項5】
前記電力線用弾性体の前記開口は、前記電力線の外周形状に沿った形状である、請求項3又は請求項4に記載の回転機械装置。
【請求項6】
前記放熱フィンは、前記モータケーシングの外周形状に沿って配置される複数のフィンを備え、
前記ケースの前記底部は、前記複数のフィンの配置に沿って湾曲し、
前記ケースは、前記底部及び側部に這わせた、前記モータのモータ軸の軸方向に沿った方向に直交する方向で少なくとも前記ケースの中央側に設けられたリブを有する、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の回転機械装置。
【請求項7】
前記回転機械が接続される端部と反対側の端部に設けられたファンと、
前記ファンを覆う、前記モータケーシング及び前記ケースの少なくとも一方に固定されるファンカバーと、
前記ファンカバーを前記モータケーシング及び前記ケースの少なくとも一方に固定する締結部材と、
前記モータケーシング及び前記ケースの少なくとも一方と前記締結部材との間に設けられる締結部材用弾性体と、
を備える、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の回転機械装置。
【請求項8】
前記ケースは、前記放熱フィンを有する第1ケース、及び、前記第1ケースを覆う第2ケースを有し、
前記第1ケース及び前記第2ケースの間に配置されるケース用弾性体を備える、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の回転機械装置。
【請求項9】
前記ケース用弾性体は、前記第1ケース及び前記第2ケースの間を密封する、請求項8に記載の回転機械装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御部を有する回転機械装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ等の回転機械と、回転機械を駆動するモータを有する回転機械装置が知られている。このような回転機械装置は、モータを駆動制御する制御部を有する。制御部は、制御箱内に制御基板等が収容され、モータに取り付けられる。
【0003】
例えば、モータフレームと制御箱とを、ばねで形成された弾性支持部材で取り付けるインバータ搭載モータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、モータとインバータとを一体に設けた機電一体型モータ装置において、モータフレームとインバータケースとの間、及び、インバータケースとインバータカバーとの間に断熱材をそれぞれ、又は、いずれかに設ける技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、ポンプに連結されるモータの側面にインバータを設け、ポンプ側とは反対側の端部に冷却ファンを設け、冷却ファンで発生した風をインバータへ導くファンカバーを設ける技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-271730号公報
【特許文献2】特許第6477241号公報
【特許文献3】特許第5677010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した回転機械装置は、モータの回転によって生じた騒音や振動が、制御部の制御箱に伝わる。制御部に伝わったモータの騒音や振動によって、さらに、制御部においても振動等が生じ、これによって回転機械装置で生じる騒音が大きくなる虞がある。このため、モータで発生した振動が制御部に伝わることを防止する事が求められている。
【0008】
そこで本発明は、騒音及び振動を抑制できる回転機械装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、回転機械装置は、回転機械に連結され、モータケーシングを有するモータと、前記モータを駆動させるインバータと、前記モータケーシングの外面の一部に設けられ、前記モータケーシングと対向する底部に放熱フィンを有する、前記インバータを収容するケースと、前記モータケーシング及び前記ケースの間に設けられるケーシング用弾性体と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、騒音及び振動を抑制できる回転機械装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るポンプ装置の構成を示す上面図。
【
図3】同ポンプ装置のモータ及び制御部の構成を示す斜視図。
【
図8】同制御部の第1ケース及び制御基板の構成を示す斜視図。
【
図11】同モータ及び弾性体の構成を拡大して示す上面図。
【
図13】同制御部の第2ケースの構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る回転機械装置の例を、
図1乃至
図13を用いて説明する。なお、本実施形態に係る回転機械装置は、
図1及び
図2に示すように、ポンプ装置1である。以下、回転機械装置をポンプ装置1として説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るポンプ装置1の構成を示す上面図、
図2は、ポンプ装置1の構成を示す側面図である。なお、本実施形態において、ポンプ装置1の制御部23がモータ21の上方に位置する姿勢において、制御部23を上方、モータ21を下方とし、上下を規定して以下説明する。
【0014】
図3及び
図4は、ポンプ装置1のモータ21及び制御部23の構成を示す斜視図である。
図5は、モータ21の構成を示す斜視図である。
図6及び
図7は、制御部23の構成を示す斜視図である。
図8は、制御部23の第1ケース71及び制御基板52の構成を示す斜視図である。
図9は、第1ケース71の構成を示す斜視図、
図10は、第1ケース71の構成を示す上面図である。
【0015】
図11は、モータ21及び第2弾性体92の構成を拡大して示す上面図、
図12は、モータ21の構成を拡大して示す上面図である。
図13は、制御部23の第2ケース72の構成を示す斜視図である。
【0016】
ポンプ装置1は、例えば、貯水槽や、建造物に設けられた蛇口やシャワーヘッド等の供給先に給水する自動給水装置である。例えば、ポンプ装置1は、給水装置に用いられる。給水装置は、例えば、水道本管に設けられた水道分管に接続され、水道分管から供給される水を増圧する、所謂直結式給水装置である。また、給水装置は、受水槽等に接続され、受水槽の水を増圧給水する構成であってもよい。また、給水装置は、工業用水の増圧給水や、井戸水の増圧給水に用いられても良い。
【0017】
このような、給水装置は、例えば、架台上に横置きで複数のポンプ装置1を配置し、配管ユニットでポンプ装置を接続する。また、給水装置は、複数のポンプ装置1の二次側に、アキュムレータと、圧力センサや流量センサ等の各種センサ類と、を備える。なお、センサ類の一例としては、圧力センサ及び流量センサ以外として、例えば、温度センサ、液面センサ、騒音センサ、振動センサ等のポンプ装置1の駆動制御に用いられるセンサが用いられていても良い。このようなセンサ類は、ポンプ装置1が用いられる給水装置の仕様や設置場所等によって適宜設定される。
【0018】
図1及び
図2に示すように、ポンプ装置1は、モータ21と、ポンプ22と、モータ21を駆動制御するインバータを含む制御部23と、弾性体と、を備える。ポンプ装置1は、回転機械装置である。ポンプ装置1は、モータ21にポンプ22が連結され、制御部23がモータ21に固定される。また、ポンプ装置1は、モータ21及びポンプ22が、ボルト等の締結部材99により固定されるとともに、制御部23がモータ21に、弾性体を介してビスやボルト等の締結部材99により固定される。
【0019】
モータ21は、回転電機(回転機械)である。モータ21は、例えば、永久磁石を用いるPMモータである。
【0020】
モータ21は、制御部23によって駆動制御される。
図3乃至
図5に示すように、モータ21は、モータ軸21aと、外周面に放熱部材としてのモータ放熱フィン21bを複数有するモータケーシング21cを備える。また、モータ21は、軸方向の一端部に外扇ファン21dと、後述する第1弾性体91を介してモータケーシング21cに固定され、外扇ファン21dを覆うファンカバー21eと、を有する。モータ21は、内部配線である電力線21fを介して制御部23に接続される。
【0021】
モータ放熱フィン21bはモータ21の外周面から外周方向に立設されるとともにそれぞれモータ軸21aの軸方向に延びる板状部材である。複数のモータ放熱フィン21bは、モータケーシング21cの外周面において周方向に所定のピッチで配置される。
【0022】
モータケーシング21cは、金属材料で形成され、モータ放熱フィン21bが形成されたモータフレームである。
図5、
図11、
図12に示すように、モータケーシング21cは、制御部23と対向する外周面の一部に、電力線21fを配置する開口21gが形成された開口部21hと、制御部23と対向する外周面の一部に形成され、開口部21hと異なる、制御部23の一部を支持する座部21iと、を有する。
【0023】
開口部21hの制御部23と対向する外面は、モータ軸21aの軸方向に沿った平面状に形成される。
図12に示すように、開口部21hに形成される開口21gは、電力線21fよりも大きな形状、例えば、長孔形状に形成される。この開口部21hには、後述する第2弾性体92が設けられる。
【0024】
座部21iは、例えば、モータ軸21aの軸方向に沿った平面状に形成されるとともに、モータ軸21aの軸方向に直交する方向に一対設けられる。即ち、二つの座部21iは、モータ軸21aの軸方向に沿って形成され、上面が平面状に形成される。また、座部21iの上面は、開口部21hの上面と平行(面方向が同一)に形成される。二つの座部21iには、後述する第3弾性体93が設けられる。
【0025】
外扇ファン21dは、モータ軸21aに接続され、回転することで、複数のモータ放熱フィン21bに送風する。ファンカバー21eは、例えば、モータケーシング21c及び制御部23に固定される。ファンカバー21eは、例えば、外扇ファン21dと対向する部位に、複数の通風孔が形成される。ファンカバー21eは、例えば、モータケーシング21c及び制御部23の少なくとも一方に、本実施形態においては、モータケーシング21c及び制御部23の後述する筐体51の第1ケース71に、第1弾性体91を介して、ビス等の締結部材99により締結される。
【0026】
このようなモータ21は、外扇ファン21dの送風方向二次側であって、複数のモータ放熱フィン21bの間に、軸方向に沿う通風路が形成される。
【0027】
ポンプ22は、回転機械である。ポンプ22は、モータ21に接続される。ポンプ22は、インペラを単数又は複数有する、単段または複数段のポンプである。ポンプ22のインペラは、モータ21のモータ軸21aに直接的に接続されるか、又はモータ軸21aに継手等を介して接続された主軸に接続される。例えば、本実施形態においては、インペラが直接モータ軸21aに固定される。ポンプ22は、モータ軸21aの回転に伴ってインペラが回転することで、流体を増圧して二次側に圧送する。
【0028】
制御部23は、モータ21を可変速駆動制御する。
図6乃至
図8に示すように、制御部23は、筐体51と、筐体51内に収容される単数又は複数の制御基板52と、を備える。制御部23は、モータ21の側面外周部に固定され、モータ21と一体化される。
【0029】
筐体51は、インバータを含む制御基板52を収容するケースである。筐体51は、モータを制御する制御ボックスを構成する。筐体51は、モータケーシング21cの外面の一部に固定される。具体例として、筐体51は、モータケーシング21cの外周面の上部に、弾性体を介して固定される。
【0030】
筐体51は、例えば、周壁部51aと、蓋壁部51bと、放熱フィン51cと、を備える。筐体51は、内部に制御基板52を収容できる、例えば略直方体状の空間を形成する。周壁部51aは、例えば、対向する2組の側壁を有する矩形筒状に形成される。周壁部51aは、モータ21等と接続されるケーブルを挿通させるケーブル孔51eを有する。ケーブル孔51eは、例えば、ケーブルを保護可能に、コンジットやケーブルグランドを有する。例えば、ケーブル孔51eは、ケーブルを配置した後に、開口に防塵性や防水性を持たせることができる。
【0031】
蓋壁部51bは、周壁部51aの一端の開口を閉塞する蓋やカバーである。蓋壁部51bは、例えば、非金属材料で形成される。蓋壁部51bを構成する非金属材料は、好適な耐候性を有するとともに、電波に対するシールド性が低い樹脂材料である。また、好適には、非金属材料は、高い剛性を有することが好ましい。高い剛性及び好適な耐候性を有する非金属材料は、樹脂材料としてテフロン(登録商標)、アクリル、ポリカーボネート、塩化ビニル等が挙げられるが、他の非金属材料であってもよい。なお、非金属材料の他の例としては、エラストマーの例としてのオレフィン系エラストマーや、ゴムの例としての、シリコンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムが挙げられる。
【0032】
放熱フィン51cは、金属材料により形成される。例えば、放熱フィン51cは、熱伝導率の高い金属材料、例えば、アルミニウム等により形成される。放熱フィン51cは、複数のフィン51dを有し、筐体51内の電装品の放熱部材として構成される。放熱フィン51cは、例えば、周壁部51aの他方の端部(モータ21側の端部)に設けられる。放熱フィン51cは、筐体51がモータケーシング21cに固定されたときに、モータケーシング21cと対向する。放熱フィン51cの複数のフィン51dは、例えば、モータケーシング21cの外周形状に沿って配置される。
【0033】
フィン51dは、板状に形成される。複数のフィン51dは、ポンプ装置1の軸方向及び該軸方向に直交する方向に沿って延びるとともに、該軸方向と直交する方向に所定の間隔を開けて配置される。また、複数のフィン51dは、該軸方向と直交する方向で、モータ21の中心側に向かう方向の先端が、モータケーシング21cの外周面と沿うように配置される。例えば、複数のフィン51dは、モータ21に向かって延びる長さが同じか、又は、略同じ長さに形成され、モータケーシング21cの外側から中央側に向かって先端が所定の曲率の仮想曲面上に配置されるように配置される。なお、複数のフィン51dは、モータケーシング21cの外側から中央側に向かって、モータケーシング21cに延びる長さが短くなることで、先端がモータケーシング21cの外周面と沿う形状としてもよい。また、例えば、
図7に示すように、筐体51の形状に応じて、複数のフィン51dのうち一部のフィン51dが、軸方向で一端側等の一部のみ形成される構成であってもよい。
【0034】
放熱フィン51cは、モータ21の外周面に形成されたモータ放熱フィン21bと対向配置され、モータ21との間に、軸方向に延びる通風路を形成する。したがって、放熱フィン51cは、モータ21の軸方向における一端側に設けられた外扇ファン21dの送風によって強制空冷される。
【0035】
このような筐体51は、例えば、制御部23とモータ21の外周面との間に複数枚のフィン51dがモータ21に向けて下方に突出するとともに、モータ21の軸方向に沿って延出する姿勢で、弾性体を介してモータ21に固定される。
【0036】
次に、このような筐体51の具体例を
図5乃至
図10及び
図13を用いて説明する。筐体51は、例えば、第1ケース71と、第2ケース72と、を備える。そして、この第1ケース71及び第2ケース72が一体に組み立てられることで、周壁部51a、蓋壁部51b、複数の放熱フィン51cを有し、ケーブル孔51eが形成された筐体51を構成する。
【0037】
第1ケース71は、筐体51のモータ21側の一部を形成する。第1ケース71は、周壁部51aのモータ21側の一部を構成するとともに、放熱フィン51cを有する。また、第1ケース71は、ケーブル孔51eが形成される。例えば、第1ケース71は、熱伝導率の高い金属材料、例えば、アルミニウム等により形成される。
【0038】
例えば、第1ケース71は、一端が開口する箱状に形成される。第1ケース71の底部には、放熱フィン51cが一体に形成される。第1ケース71の底部は、所定の曲率で一方向に湾曲する曲面状に形成される。換言すると、第1ケース71の底部は、モータ軸21aの軸方向に直交する方向である一方の幅方向の中央が頂点となり、且つ、モータ軸21aの軸方向に沿った方向である他方の幅方向に沿って延びる、湾曲する曲面状に形成される。換言すると、第1ケース71は、複数のフィン51dの配置に沿って湾曲する。具体例として、湾曲する第1ケース71の底部は、放熱フィン51cの複数のフィン51dの基部又は先端部を連続する仮想曲面に沿った形状である。
【0039】
第1ケース71は、開口する端部に形成された矩形枠状の第1フランジ部71aと、第1フランジ部71aに設けられた溝部71bと、第1フランジ部71aに形成された複数の孔71cと、を有する。また、第1ケース71は、内部に複数のリブ71d及び座面71eを有する。また、第1ケース71は、電力線21fを配置する開口71fが形成された開口部71gと、制御部23と対向する外周面の一部に形成され、開口部71gと異なる、制御部23の一部を支持する座部71hと、ファンカバー21eを固定する締結部材99が螺合する螺子孔71iと、を有する。
【0040】
第1フランジ部71aは、第2ケース72と当接する。第1フランジ部71aは、例えば、一方の幅方向が他方の幅方向よりも大きい矩形枠状に形成される。
【0041】
溝部71bは、第1フランジ部71aに設けられ、弾性体が設けられる。具体例として、溝部71bには、弾性体の後述する第4弾性体94が配置される。溝部71bは、第4弾性体94を配置するシール溝である。溝部71bは、第1フランジ部71aに形成された複数の孔71cよりも内側に形成される。
【0042】
孔71cは、第1フランジ部71a及び第2ケース72を固定するボルトやビス等の締結部材99を挿入できる孔である。孔71cは、例えば、第1フランジ部71aの四隅(四角)に設けられる。
【0043】
リブ71dは、第1ケース71の底部及び側部に這わせられる。リブ71dは、モータ軸21aの軸方向に沿った方向に直交する方向に延びる。リブ71dは、モータ軸21aの軸方向で、少なくとも第1ケース71の中央側に設けられる。具体例として、リブ71dは、第1ケース71の底部であって、モータ軸21aの軸方向に沿った方向に直交する方向の端部のそれぞれに複数設けられる。
図10に示す例では、リブ71dは、第1ケース71の底部の6箇所に設けられる。
【0044】
座面71eは、第1ケース71の放熱フィン51cが設けられる底部に形成される。座面71eは、制御基板52の一部や制御基板52に実装される電装品を支持する。座面71eは、例えば、第1ケース71の底部に、制御基板52の形状や支持する電装品の形状や数に応じて、複数設けられる。複数の座面71eのうち、少なくとも1つは、インバータを構成する制御基板52の電装品のうち、発熱する電装品(発熱体)が接触する座部を構成する。
【0045】
開口部71gは、第1ケース71の、モータ21の開口部21hと対向する部位に設けられる。開口部71gのモータ21と対向する外面は、平面状に形成される。開口部71gに形成される開口71fは、電力線21fよりも大きな形状、例えば、モータ21の開口部21hに形成される開口21gと同形状、例えば、長孔形状に形成される。この開口部71gには、後述する第2弾性体92が設けられる。
【0046】
座部71hは、例えば、第1ケース71の、モータ21の二つの座部21iと対向する部位の二箇所に設けられる。具体例として、座部71hは、モータ21の二つの座部21iに沿った平面状に形成されるとともに、二つの座部21iと対向して一対設けられる。例えば、一対の座部71hは、複数のフィン51dの並び方向で、外側の各フィン51dに隣接して設けられる。二つの座部71hは、第1ケース71の底部から隣り合う各フィン51dよりもモータ21側に延び、下面が平面状に形成される。二つの座部71hには、後述する第3弾性体93が設けられる。即ち、二つの座部71hは、第3弾性体93を介して、モータ21の二つの座部21iに支持される。
【0047】
螺子孔71iは、第1ケース71の外面の一部に形成される。螺子孔71iは、ファンカバー21eを締結する締結部材99が螺合する。
【0048】
第2ケース72は、第1ケース71を覆う。第2ケース72は、蓋壁部51bと、周壁部51aの蓋壁部51b側の一部を構成する。第2ケース72は、例えば、樹脂材料又は金属材料により形成される。第2ケース72を樹脂材料で形成する場合には、樹脂材料は、耐候性を有する材料で形成されることが好ましい。第2ケース72は、例えば、開口する端部に形成された矩形枠状の第2フランジ部72aと、第2フランジ部72aに形成された複数の孔72bと、を有する。
【0049】
第2フランジ部72aは、第1ケース71の第1フランジ部71aと当接する。第2フランジ部72aは、例えば、一方の幅方向が他方の幅方向よりも大きい矩形枠状に形成される。第2フランジ部72aの第1フランジ部71aと対向する面(下面)は、例えば、平面状に形成される。第2フランジ部72aの下面は、後述する第4弾性体94と線タッチする。なお、第4弾性体94と線タッチするために、第2フランジ部72aの下面は、第4弾性体94の延設方向に沿った突起を有していても良い。
【0050】
孔72bは、第1フランジ部71a及び第2フランジ部72aを固定する締結部材99を挿入できる孔である。孔72bは、例えば、第2フランジ部72aの四隅(四角)に設けられ、第1フランジ部71aに形成された孔71cと対向する。
【0051】
弾性体は、例えば、複数設けられる。弾性体は、モータ21の騒音や振動が制御部23に伝わることを抑制する。例えば、弾性体は、ゴム部材や樹脂材料により形成される。弾性体は、モータ21及び制御部23の間、締結部材99とモータ21及び/又は制御部23の間、第1ケース71及び第2ケース72の間等の、モータ21とモータ21に固定される部材との間、及び、モータ21に固定される部材同士の間に設けられる。このような弾性体は、モータ21や制御部23の形状等に基づいて、複数の異なる種類が用いられる。
【0052】
具体例として、複数の弾性体は、第1弾性体91と、第2弾性体92と、第3弾性体93と、第4弾性体94と、含む。
【0053】
第1弾性体91は、締結部材99の頭部、又は、締結部材99に用いられる座金とファンカバー21eの外面との間に設けられる。第1弾性体91は、例えば、円環状に形成され、ファンカバー21eに形成された締結部材99が挿入される穴に嵌合可能に形成される。第1弾性体91は、弾性変形可能なゴム材料や樹脂材料により形成される。
【0054】
第2弾性体92は、モータケーシング21cの開口部21h及び第1ケース71の開口部71gの間に設けられ、電力線21fが配置される開口92aを有する電力線用弾性体である。
【0055】
第2弾性体92は、モータケーシング21cの開口部21h及び第1ケース71の開口部71gの間を密封する。第2弾性体92は、例えば、開口92aを通る電力線21fの周囲をモータケーシング21cの開口部21h又は第1ケース71の開口部71gの少なくとも一方と線タッチで接触する。具体例として、第2弾性体92は、一方の主面に、開口92aの周囲を囲う環状の第1突起部92bを有する。また、第2弾性体92は、他方の主面に、モータケーシング21cの開口部21h又は第1ケース71の開口部71gに挿入される、開口部21h、71gと同形状の第2突起部92cを有する。
【0056】
第2弾性体92の開口92aは、電力線21fの外周形状に沿った形状に形成される。例えば、電力線21fの外周形状が円形状の場合には、開口92aは円形状に形成される。また、例えば、電力線21fが三線であり、電力線21fの外周形状が3つの円が一体になった形状等である場合には、該電力線21fの外周形状に沿った形状に形成される。例えば、開口92aは、電力線21fの外周形状よりも若干大きい形状に形成されていてもよく、また、第2弾性体92が弾性変形可能であることから、電力線21fの外周形状と同一形状か、又は、電力線21fの外周形状よりも若干小さい形状に形成されていてもよい。
【0057】
第1突起部92bは、例えば、第1ケース71の開口部71gと線タッチする。第2突起部92cは、例えば、モータケーシング21cの開口部21hに挿入される。第2突起部92cの外周面は、開口部21hの開口21gの内周面と当接する。
【0058】
なお、第2弾性体92は、第1突起部92bを両主面に第1突起部92bを設けて、モータケーシング21cの開口部21h又は第1ケース71の開口部71gと当接(線タッチ)させるとともに、第2突起部92cを有さない構成としてもよい。
【0059】
第3弾性体93は、モータケーシング21c及び筐体51の第1ケース71の間に設けられるケーシング用弾性体である。第3弾性体93は、例えば、一方向に長い板状に形成され、弾性変形可能なゴム材料や樹脂材料により形成される。第3弾性体93は、二つ設けられ、モータ21の二つの座部21i及び第1ケース71の二つの座部71hの間に設けられる。なお、第3弾性体93は、モータケーシング21cから筐体51へ振動が伝達されることを抑制できれば、例えば、材料や硬度を自由に選択できる。このため、第3弾性体93は、発泡ゴムであってもよい。
【0060】
第4弾性体94は、第1ケース71の第1フランジ部71a及び第2ケース72の第2フランジ部72aの間に設けられるケース用弾性体である。第4弾性体94は、例えば、第1フランジ部71aに形成された溝部71bに一部が配置され、第1フランジ部71aの溝部71bから第2フランジ部72a側に突出する環状に形成され、弾性変形可能なゴム材料や樹脂材料により形成される。
【0061】
第4弾性体94は、第1フランジ部71a及び第2フランジ部72a間を密封し、第1ケース71及び第2ケース72の間を密封する。例えば、第4弾性体94は、第1フランジ部71a側及び第2フランジ部72a側の少なくとも一方の断面形状がOリング形状のように、突出する形状、換言すると、潰れることが可能な形状に形成される。具体例として、第4弾性体94は、第1フランジ部71aに形成された溝部71bの延設方向に沿った環状のOリングシールである。
【0062】
制御基板52は、例えば、二枚設けられる。二枚の制御基板52は、例えば、複数のスペーサ52aを介して、所定の距離だけ離間して、筐体51内にビスや螺子等の締結部材により固定される。二枚の制御基板52のうち一方の制御基板52は、第1ケース71の底部、具体例として、第1ケース71に設けられた複数の座面71eのうち、いくつかの座面71eに当接して、第1ケース71に支持される。
【0063】
制御基板52は、電装品として実装された、パワー素子と、コンデンサと、リアクトルと、ノイズフィルタと、を含む。例えば、リアクトルは、筐体51に固定され、制御基板52に接続される。また、制御基板52は、制御操作を行うための各種電装品や、無線通信を行う無線通信モジュール等が実装される。なお、制御基板52は、パワー素子と、コンデンサ、リアクトル、ノイズフィルタ、制御操作制御基板、無線通信部は、2以上の制御基板に実装されていてもよい。即ち、制御基板52は、パワー素子制御基板、コンデンサ制御基板、ノイズフィルタ制御基板、制御操作制御基板及び無線通信制御基板を構成する。
【0064】
制御基板52は、パワー素子、コンデンサ、リアクトル及びノイズフィルタを含む各回路や素子等の実装品によって、インバータを構成する。例えば、二枚の制御基板52のうち発熱体を有する一方は、放熱フィン51cに隣接して設けられる。
【0065】
パワー素子は、発熱する素子(発熱体)であり、パワー素子が実装された制御基板52は、筐体51内の放熱フィン51c上に接触して配置される。パワー素子は、例えば、電力線21fによってポンプ装置1のモータ21に電気的に接続される。
【0066】
パワー素子が実装されることにより、制御基板52は、パワー素子制御基板を構成する。制御基板52は、例えば、プロセッサと、コンバータ回路を含むコンバータ部と、インバータ回路を含むインバータ部(インバータ)と、を備える。また、制御基板52は、プロセッサのメモリとは別に、記憶媒体としてのメモリを有していてもよい。また、なお、パワー素子制御基板としての制御基板52は、一枚の制御基板52にプロセッサ、コンバータ部及びインバータ部等の複数の実装品(電装品)を実装する構成であってもよく、複数の制御基板52に単数又は複数の実装品が実装される構成であってもよい。
【0067】
プロセッサは、モータを駆動するための制御回路である。プロセッサは、典型的にはマイコンであるが、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、DSC(Digital Signal Controller)またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサは、例えば、通信制御、周波数制御などの任意の処理を行う。
図5に示すように、プロセッサは、例えば、インバータ、制御操作制御基板及び無線通信部に接続される。
【0068】
プロセッサは、例えば、処理回路と、メモリと、を含む。プロセッサは、例えば、不揮発性のEEPROM(登録商標)領域と、揮発性のDRAM領域等のメモリと、を含む。プロセッサは、メモリ又はEEPROM領域に保存されたプログラムを実行することで、処理部としての通信制御部及び周波数制御部等として機能し得る。なお、プロセッサ内の構成や各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。
【0069】
プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、主にパラメータの処理に関する処理プログラム、ポンプ制御プログラム(例、自動運転プログラム)、周波数制御プログラムなどが適宜、記憶される。なお、プログラムは、例えば、無線通信部を介して外部端末から取得し、メモリやEEPROM領域に格納される構成であってもよく、電源投入時に、予め格納されたメモリからプロセッサに取得されてEEPROM領域に格納される構成であってもよい。また、プログラムは、メモリに記憶され、EEPROM領域に記憶されず、プロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行する構成であってもよい。
【0070】
また、例えば、電源投入時に、制御操作制御基板の接続状態に基づいて、ポンプ台数、給水方式種別等といった読み出しパラメータがメモリからプロセッサに取得されてEEPROM領域に格納される構成としてもよい。なお、読み出しパラメータがEEPROM領域に記憶されず、プロセッサがメモリに記憶された読み出しパラメータを取得する構成であってもよい。
【0071】
例えば、ポンプ台数の読み出しパラメータとは、給水装置に用いられるポンプ装置1の台数であり、給水方式種別の読み出しパラメータとは、例えば、直結給水方式や受水槽方式等である。これら読み出しパラメータは、ポンプ装置1の出荷時や設置時に設定される。また、読み出しパラメータはこれらに限定されず、種々設定可能である。なお、制御操作制御基板を設けず、または、制御操作制御基板で設定後に、無線通信により読み出しパラメータを他の制御装置や外部端末から取得する構成としてもよい。
【0072】
DRAM領域は、プロセッサに設けられ、運転データが記憶される。なお、運転データは、DRAM領域内に設けた専用レジスタに格納してもよい。運転データとしては、例えば、吐出し圧力、瞬時流量、出力電流、運転周波数、出力電圧、消費電力等が挙げられる。
【0073】
通信制御部は、無線通信部を制御して、他の制御装置及び外部端末との無線通信を行う。例えば、通信制御部は、アドバタイズパケットを送信した他の制御装置及び外部端末に接続要求を送信する。
【0074】
例えば、自動運転モードのとき、他の制御装置及び外部端末との間で通信を接続した場合に、通信制御部は、無線通信部を介して、他の制御装置から、各種センサの検出信号、制御パラメータ及びプログラム等を受信し、また、周波数等の各種運転パラメータを他の制御装置に送信する。そして、通信制御部は、無線通信部を介して、外部端末との間で通信を接続した場合、各種運転データ等を外部端末へ送信する。
【0075】
周波数制御部は、例えば、統括制御部から無線通信部を介して受信したインバータ制御信号をインバータへ出力し、モータ21を制御する。これにより、周波数制御部は、目標圧力一定運転等により、ポンプ22を制御する。
【0076】
なお、周波数制御部は、例えば、メモリ又はプロセッサのEEPROM領域に保存されたポンプ制御のためのプログラムと、他の制御装置から無線通信部を介して受信した各パラメータ及び各センサからの最新の検出信号等と、に応じてインバータ制御信号を生成し、インバータ制御信号を、インバータへ出力し、モータ21を制御する構成としてもよい。
【0077】
コンバータ部は、例えば、ダイオードや制御回路等を含むコンバータ回路により構成される整流装置である。インバータ部は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やIPM(Intelligent Power Module)等のパワー半導体素子や制御回路等を含むインバータ回路により構成される周波数発生装置である。
【0078】
コンデンサは、例えば、非電解型の平滑コンデンサである。平滑コンデンサは、例えば誘電体にプラスチックフィルムを用いたフィルムコンデンサである。
【0079】
リアクトルは、コンバータ部の二次側に設けられる直流リアクトルである。なお、リアクトルは、高調波抑制対策用として、直流リアクトルに加えて、又は、直流リアクトルに変えて、コンバータ部の一次側に設けられる交流リアクトルであってもよい。
【0080】
ノイズフィルタは、制御部23の電気回路上のノイズを除去する。例えば、ノイズフィルタは、パワー素子制御基板の一次側(入力側)のノイズを除去する入力側ノイズフィルタや、パワー素子制御基板の二次側(出力側)のノイズを除去する出力側ノイズフィルタ等を含む。
【0081】
具体例として、ノイズフィルタは、電源ラインへ流れるノイズ、モータ21とインバータ部との間のケーブルやプリント配線等から放射されるノイズ、モータ21からの漏れ電流によるグランドノイズ、雷サージ等をフィルタリングするノイズフィルタを構成する。なお、ノイズフィルタは、これらのいずれか、または選択した複数のノイズを除去する構成であってもよく、上述以外のノイズを除去する構成であってもよい。
【0082】
制御操作制御基板は、例えば、運転状況、故障状況、設定状況等、各種情報を表示する表示部と、各種設定を変更する押しボタンスイッチ等の操作部と、各種入出力信号を接続する端子と、を備える。例えば、制御操作制御基板の操作部は、制御に関するパラメータのうち、読み出しパラメータを取得するための電気的な接続状態を物理的に設定する入力部である。具体例として、制御操作制御基板は、ディップスイッチ又はジャンパーピン等が適宜用いられる。制御操作制御基板は、例えば、ポンプ台数、給水方式種別等といった読み出しパラメータが割り付けられている。また、制御操作制御基板は、無線通信が不能の場合に、ポンプ装置1の動作指令を入力可能な入力部を有する構成としてもよい。
【0083】
無線通信部は、無線電波によって情報の送受信が可能なアンテナを含む。無線通信部は、例えば、接地型のモノポールアンテナである。無線通信部は、例えば、通信制御基板を含む無線通信モジュールとして実装されている。例えば、無線通信部は、制御基板にチップアンテナ又はパターンアンテナが実装されることで構成される。
【0084】
このような無線通信部は、プロセッサにより制御され、無線通信技術を用いて、複数のポンプ装置1を統括で制御する他の制御装置や、外部端末等と通信可能な任意の通信インターフェースである。無線通信部は、例えば、Bluetooth(登録商標)(例えば、Bluetooth Low Energyの規格(以下、BLE規格ともいう))、Wi-Fi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信技術、及び、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)等の携帯電話回線を含めた汎用無線通信技術やsigfox(登録商標)等の専用無線通信技術等を含む遠距離無線通信技術等の無線通信技術を用いて、他の制御装置及び外部端末等の無線通信を行う装置に接続できる。なお、無線通信部は、他の無線通信技術であってもよい。
【0085】
例えば、無線通信部は、異なる無線通信技術を複数用いる構成、例えば、BLE規格及びNFCを用いる構成といったように、通信距離が異なる技術を用いてもよい。また、このように、通信距離が異なる技術を用いる場合には、無線通信部を複数設ける構成としてもよい。
【0086】
また、無線通信部は、他の制御装置及び外部端末との接続を確立するための何らかのデータ、例えば、スキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、スキャナとしての他の制御装置及び外部端末からのそれぞれのリクエストを受信することもあり得る。例えば、無線通信部は、制御部の識別情報を含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信してもよい。また、例えば、無線通信部は、当該アドバタイズパケットを受信する他の制御装置及び外部端末から接続要求を受けると、他の制御装置及び外部端末との間の通信を接続してもよい。無線通信部は、プロセッサに電気的に接続され、他の制御装置及び外部端末との間の通信を接続可能な通信手段の一例である。
【0087】
端子台は、筐体51内に設けられる。端子台は、複数の端子を有する。端子台は、例えば、コンバータ部の二次側の直流部に接続される。一例として、端子台は、水の力でポンプ22が回転することによるモータ21の回生エネルギーを直流電源として取り出す際に用いられる。
【0088】
このように構成された回転機械装置であるポンプ装置1は、制御部23にインバータ(可変速制御部)を含む。また、制御部23は、インバータを構成する制御基板52の実装品が発熱体を有するため、第1ケース71を熱伝導性のよい金属材料で形成し、そして、第1ケース71の底部に放熱フィン51cを設けるとともに、制御基板52の少なくとも発熱体が接触する第1ケース71の底部を放熱フィン51cの上部によって構成したことから、制御部23の冷却を効果的に行うことができる。
【0089】
また、モータ21に制御部23を搭載して一体化させる構成とし、そして、モータ21及び制御部23を固定する部位に、複数の弾性体91、92、94を設ける構成とした。
【0090】
具体的には、ポンプ装置1は、モータケーシング21c及び筐体51とファンカバー21eとを取り付ける締結部材99に第1弾性体91を設け、そして、モータケーシング21c及び筐体51の第1ケース71の間に、一対の第3弾性体93を設ける構成とした。これにより、モータ21やポンプ22である回転機械の回転時に発生した振動が、第1ケース71(制御部23)やファンカバー21eに伝わることを抑制できることから、ポンプ装置1は、低騒音化が可能となる。
【0091】
これは、回転機械の回転時にモータ21から制御部23に振動が伝わると、筐体51に設けられた放熱フィン51c、第1ケース71、第2ケース72及びファンカバー21e等が振動するため、回転速度や負荷の大きさにより、共振が発生した場合、モータ21単体徳倉部手、騒音値が大きくなる場合がある。
【0092】
しかしながら、本実施形態のポンプ装置1は、モータ21とモータ21に固定される第1ケース71との間に第1弾性体91を介在させ、そして、ファンカバー21eとモータ21及び第1ケース71にファンカバー21eを固定する締結部材99との間に第3弾性体93を介在させることで、第1弾性体91及び第3弾性体93が振動絶縁対策となり、モータ21の振動が筐体51及びファンカバー21eに伝達することを防止できる。
【0093】
また、ポンプ装置1は、第1ケース71の底部に放熱フィン51cを設け、第1ケース71の底部の上面を湾曲する形状(凹形状)としても、リブ71dを設けることから、モータ21から伝わった振動により、筐体51が太鼓と同じ作用によって共振することを抑制できる。特に凹形状とした第1ケース71の底部にリブ71dを立てることでより効果的に共振を押さえることができる。また、このようなリブ71dは、解析技術や実機確認試験などによって、共振を押さえることに効果的な位置を求めることが比較的容易であることから、リブ71dの数を減らすこともできる。
【0094】
また、ポンプ装置1は、モータ21と制御部23とを結線するための電力線21fを通す貫通穴として、モータケーシング21cに開口21gが形成された開口部21h及び第1ケース71に開口71fが形成された開口部71gを有する。そして、モータケーシング21cの開口部21h及び第1ケース71の開口部71gの間に、第2弾性体92を設ける構成とした。このため、第2弾性体92は、対向する開口部21h及び開口部71gの間で振動が伝わることを防止できるとともに、第2弾性体92により開口部21h及び開口部71gの間を密封することができる。
【0095】
また、第2弾性体92は、開口92aを電力線21fの外周形状と同様の形状とすることで、開口92aと電力線21fとの間の隙間を極力小さくするか、又は、無くすことができる。このため、モータ21で発生した騒音を、モータケーシング21c内から筐体51内へ空気伝搬で伝わることを抑制するか、又は、無くすことができる。また、電力線21fは、第2弾性体92によって径方向への移動が規制されることから、電力線21fが移動して、モータケーシング21cや第1ケース71へ接触することによる騒音の発生も防止できる。
【0096】
また、第2弾性体92は、第1突起部92bや第2突起部92cを設けることで、モータケーシング21cの開口部21h及び第1ケース71の開口71fとの密着性を向上できる。特に、少なくともモータケーシング21cの開口部21h及び第1ケース71の開口部71gの一方と当接する第1突起部92bは、第2弾性体92がモータケーシング21cの開口部21h及び/又は第1ケース71の開口部71gと接触したときの潰れ代となり、密封性を向上することができる。
【0097】
また、筐体51を2部品である第1ケース71及び第2ケース72により形成することで、放熱フィン51cが形成される第1ケース71を金属材料で形成し、第2ケース72を耐候性が高い材料、安価な材料及び/又は軽量な材料で形成することができる。
【0098】
また、第1ケース71及び第2ケース72を接続する第1フランジ部71a及び第2フランジ部72aの間に第4弾性体94を設ける構成としたことで、第1ケース71及び第2ケース72を密封することが可能であるとともに、第1ケース71の振動が第2ケース72に伝達することを抑制できる。
【0099】
また、第4弾性体94は、第1フランジ部71a側及び第2フランジ部72a側の少なくとも一方の断面形状がOリング形状のように、突出する形状とすることで、第1フランジ部71a及び第2フランジ部72aが接触したときの潰れ代となり、密封性を向上することができる。
【0100】
特に、筐体51は、制御基板52等の電装品を収容することから、水の浸入を防ぐ構造とすることができるため、ポンプ装置1を屋外で使用することもできる。
【0101】
また、振動絶縁対策として用いる各弾性体91、92、93、94は、ゴム部材等で形成できることから、ポンプ装置1の振動絶縁対策を安価に行うことができる。
【0102】
上述したように、実施形態に係るポンプ装置1によれば、弾性体91、92、93、94により、モータ21の振動が制御部23に伝わることを防止できることから、騒音及び振動を抑制できる。
【0103】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、ポンプ装置1は、振動伝達対策として、モータ21とモータ21に固定される部材である制御部23とに、複数の弾性体91、92、93、94を設ける構成を説明したが、弾性体91、92、93、94は上述した例に限定されない。即ち、モータ21の形状や構成、モータ21に接続される部材(制御部23)の形状や構成に応じて、弾性体の数、形状、振動伝達性、密封性は適宜設定可能である。
【0104】
また、上述したリブ71dや71eの数や形状、配置は、第1ケース71の形状や、筐体51内に配置される制御基板52の形状や実装品の形状等に応じて、適宜設定可能である。
【0105】
また、上述した例では、回転機械装置の例として、ポンプ装置1を説明したがこれに限定されない。即ち、回転機械で生じる振動が伝達される部材との間に弾性体を設ける回転機械装置であれば、ポンプ装置1に限定されない。
【0106】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0107】
1…ポンプ装置(回転機械装置)、21…モータ(回転機械)、22…ポンプ(回転機械)、21a…モータ軸、21b…モータ放熱フィン、21c…モータケーシング(モータフレーム)、21d…外扇ファン、21e…ファンカバー、21f…電力線、21g…開口、21h…開口部、21i…座部、22…ポンプ(回転機械)、23…制御部、51…筐体(ケース)、51a…周壁部、51b…蓋壁部、51c…放熱フィン、51d…フィン、51e…ケーブル孔、52…制御基板、52a…スペーサ、71…第1ケース、71a…第1フランジ部、71b…溝部、71c…孔、71d…リブ、71e…座面、71f…開口、71g…開口部、71h…座部、71i…螺子孔、72…第2ケース、72a…第2フランジ部、72b…孔、91…第1弾性体、92…第2弾性体、92a…開口、92b…第1突起部、92c…第2突起部、93…第3弾性体、94…第4弾性体、99…締結部材