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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036317
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】ロッカーシャフト連結構造
(51)【国際特許分類】
   F01L 1/18 20060101AFI20230307BHJP
   F01L 1/12 20060101ALI20230307BHJP
   F01M 1/06 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
F01L1/18 D
F01L1/18 E
F01L1/12 C
F01M1/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143303
(22)【出願日】2021-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 隆彦
【テーマコード(参考)】
3G016
3G313
【Fターム(参考)】
3G016AA07
3G016BB26
3G016CA06
3G016CA36
3G016FA12
3G016FA16
3G016FA27
3G313AA07
3G313BC22
3G313BD15
3G313BD35
3G313FA02
3G313FA03
(57)【要約】
【課題】ロッカーシャフトの周方向の位置精度を高め、かつ、ロッカーシャフトが軸方向にずれることを抑制することができる。
【解決手段】ロッカーシャフト連結構造は、第1ロッカーシャフトと、前記第1ロッカーシャフトの軸線上に設けられる第2ロッカーシャフトと、を備え、前記第1ロッカーシャフトは、前記軸線と交差する方向から見て前記第2ロッカーシャフトと重なる第1重なり部を有し、前記第2ロッカーシャフトは、前記軸線と交差する方向から見て前記第1重なり部と重なる第2重なり部を有し、前記第1重なり部及び前記第2重なり部は、ボルトにより互いに連結されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ロッカーシャフトと、
前記第1ロッカーシャフトの軸線上に設けられる第2ロッカーシャフトと、を備え、
前記第1ロッカーシャフトは、前記軸線と交差する方向から見て前記第2ロッカーシャフトと重なる第1重なり部を有し、
前記第2ロッカーシャフトは、前記軸線と交差する方向から見て前記第1重なり部と重なる第2重なり部を有し、
前記第1重なり部及び前記第2重なり部は、ボルトにより互いに連結されている
ロッカーシャフト連結構造。
【請求項2】
前記第1重なり部及び前記第2重なり部は、複数の前記ボルトにより互いに連結されている
請求項1に記載のロッカーシャフト連結構造。
【請求項3】
前記第1重なり部及び前記第2重なり部は、互いに平面で当接している
請求項1又は2に記載のロッカーシャフト連結構造。
【請求項4】
前記第2重なり部は、前記第1重なり部よりも排気側ロッカーアームの近くに配置され、かつ、前記第1重なり部よりも鉛直方向上側に配置されている
請求項1から3の何れか一項に記載のロッカーシャフト連結構造。
【請求項5】
前記第1ロッカーシャフトは、前記軸線と平行に延びるとともに第1油路が形成された第1シャフト本体を有し、
前記第2ロッカーシャフトは、前記軸線と平行に延びるとともに第2油路が形成された第2シャフト本体を有し、
前記第1油路は、前記第1重なり部の手前で止まるように形成され、
前記第2油路は、前記第2重なり部の手前で止まるように形成されている
請求項1から4の何れか一項に記載のロッカーシャフト連結構造。
【請求項6】
前記第1重なり部は、前記ボルトを挿通可能に開口するリングが嵌まる第1嵌合部を有し、
前記第2重なり部は、前記リングが嵌まる第2嵌合部を有する
請求項1から5の何れか一項に記載のロッカーシャフト連結構造。
【請求項7】
前記第2重なり部は、前記第1重なり部よりも鉛直方向上側に配置され、
前記リングは、前記第1嵌合部に対しては固定され、かつ、前記第2嵌合部に対しては着脱可能とされている
請求項6に記載のロッカーシャフト連結構造。
【請求項8】
前記第1ロッカーシャフト及び前記第2ロッカーシャフトの軸方向の全長は、1m以上である
請求項1から7の何れか一項に記載のロッカーシャフト連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッカーシャフト連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジンのロッカーブラケットに形成される取付坐に、ロッカーシャフトの外周を載置した構造が開示されている。特許文献1では、取付坐には、分割された一対のロッカーシャフトの端部が対向して載置されている。一対のロッカーシャフトの端部は、キャップによりロッカーブラケット側に押圧されている。一対のロッカーシャフトの端面には、半円状の切欠溝が形成されている。キャップ及び一対のロッカーシャフトの切欠溝には、アイボルトが挿通されている。アイボルトの先端は、ロッカーブラケットの螺子穴に螺合されている。螺子穴には、ロッカーブラケットの潤滑油通路が開口されている。
特許文献2には、軸方向複数に分割したロッカーシャフトと、該ロッカーシャフトの分割部間を嵌合保持するロッカーホルダーと、を備えた構造が開示されている。特許文献2では、ロッカーホルダー内のオイル通路を、ロッカーシャフト内のオイル通路よりも下位となるように下方に屈曲させて形成している。ロッカーシャフトの端部は、ロッカーホルダーの凹部内に嵌合保持されている。
特許文献3には、各気筒のロッカーシャフトを一対のロッカーシャフトに分割形成した構造が開示されている。特許文献3では、一対のロッカーシャフトは、ロッカーサポートの軸受部にそれぞれ挿通支持されている。各気筒のロッカーシャフトのうちエンジンの内側で互いに隣接する気筒間のロッカーシャフトは、一体に連結されている。エンジンの外側に配設されたロッカーシャフトの外側端部は、ロッカーサポートをシリンダヘッドに固定するボルトの頭部に当接されている。
特許文献4には、ロッカーシャフトを複数のシャフト部に少なくとも2分割した構造が開示されている。特許文献4では、各シャフト部は、油圧供給路に対応した形状のシール部材を相互間に介在させて同軸に接合されている。シール部材は、該シール部材を挟む両シャフト部のうち少なくとも一方側の端部に設けられる係止凹部に係合する形状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-226310号公報
【特許文献2】実公平6-40889号公報
【特許文献3】特開2002-276459号公報
【特許文献4】特公平7-113321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、分割された一対のロッカーシャフトの端部が軸方向で対向するため、ロッカーシャフトの周方向の位置精度を高める上で改善の余地がある。加えて、アイボルトのガタにより一対のロッカーシャフトが軸方向にずれる可能性もある。
特許文献2の場合、ロッカーシャフトの端部がロッカーホルダーの凹部内に嵌合保持されているため、ロッカーシャフトの周方向の位置精度を高める上で改善の余地がある。
特許文献3の場合、エンジンの外側に配設されたロッカーシャフトの外側端部がボルトの頭部に当接されているため、ボルトのガタによりロッカーシャフトが軸方向にずれる可能性がある。
特許文献4の場合、各シャフト部がシール部材を相互間に介在させて同軸に接合されているため、ロッカーシャフトの周方向の位置精度を高める上で改善の余地がある。
【0005】
そこで本発明は、ロッカーシャフトの周方向の位置精度を高め、かつ、ロッカーシャフトが軸方向にずれることを抑制することができるロッカーシャフト連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るロッカーシャフト連結構造は、第1ロッカーシャフトと、前記第1ロッカーシャフトの軸線上に設けられる第2ロッカーシャフトと、を備え、前記第1ロッカーシャフトは、前記軸線と交差する方向から見て前記第2ロッカーシャフトと重なる第1重なり部を有し、前記第2ロッカーシャフトは、前記軸線と交差する方向から見て前記第1重なり部と重なる第2重なり部を有し、前記第1重なり部及び前記第2重なり部は、ボルトにより互いに連結されている。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、ロッカーシャフトの周方向の位置精度を高め、かつ、ロッカーシャフトが軸方向にずれることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るロッカーシャフト連結構造の断面図。
図2】実施形態に係る第1ロッカーシャフトの斜視図。
図3】実施形態に係る第2ロッカーシャフトの斜視図。
図4】実施形態に係るロッカーシャフト連結構造の前後方向中央部の斜視図。
図5】実施形態に係る第1重なり部及び第2重なり部の斜視図。
図6】実施形態に係る第1ロッカーシャフトの前部の連結構造の断面図。
図7】実施形態に係る第2ロッカーシャフトの後部の連結構造の断面図。
図8】実施形態に係る第1重なり部及び第2重なり部の連結構造の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態においては、ロッカーシャフト連結構造の一例として、OHC(Over Head Camshaft)構造を有するディーゼルエンジンに設けられたロッカーシャフト連結構造を挙げて説明する。例えば、ディーゼルエンジンは、ダンプトラック、ブルドーザ、油圧ショベル、ホイールローダ等の各種建設機械や、大型発電機の駆動装置に用いられる。
【0010】
<ロッカーシャフト連結構造>
図1に示すように、ロッカーシャフト連結構造10は、第1ロッカーシャフト11と、第1ロッカーシャフト11の軸線C上に設けられる第2ロッカーシャフト12と、を備える。例えば、第1ロッカーシャフト11及び第2ロッカーシャフト12の軸方向の全長L10(ロッカーシャフト連結構造10の全長)は、1m以上である。例えば、第1ロッカーシャフト11及び第2ロッカーシャフト12の軸方向の全長L10は、1000mm以上1070mm以下の長さに設定されている。
【0011】
以下、第1ロッカーシャフト11の軸線Cを単に「軸線C」ともいう。図1は、軸線Cを含む鉛直面でロッカーシャフト連結構造10を切断した断面図に相当する。軸線Cは、ディーゼルエンジン1(以下単に「エンジン1」ともいう。)の前後方向に沿って延びている。なお、「エンジン1の前側」はエンジン1においてフライホイール(不図示)が設けられた側とは反対側、「エンジン1の後側」はエンジン1においてフライホイールが設けられた側にそれぞれ相当する。
【0012】
エンジン1は、シリンダブロック2に連結されたシリンダヘッド3を備える。シリンダヘッド3は、シリンダブロック2に対して鉛直方向上側に起立している。各ロッカーシャフト11,12は、シリンダヘッド3の上部にキャップ4を介して連結されている。
【0013】
各ロッカーシャフト11,12には、複数のロッカーアーム5,6(吸気側ロッカーアーム5及び排気側ロッカーアーム6)が回動自在に支持されている。各ロッカーアーム5,6は、ベアリング7を介して各ロッカーシャフト11,12に支持されている。例えば、複数のロッカーアーム5,6は、6本の吸気側ロッカーアーム5及び6本の排気側ロッカーアーム6により構成されている。例えば、エンジン1の前側から後側に向けて、排気側ロッカーアーム6、吸気側ロッカーアーム5の順に交互に配置されている。
【0014】
<第1ロッカーシャフト>
第1ロッカーシャフト11は、エンジン1の前部に設けられている。第1ロッカーシャフト11は、軸線Cと平行に延びるとともに第1油路22が形成された第1シャフト本体20と、軸線Cと交差する方向から見て第2ロッカーシャフト12と重なる第1重なり部21と、を備える。例えば、第1ロッカーシャフト11の軸方向の全長L11(第1シャフト本体20及び第1重なり部21を含む軸方向の長さ)は、510mm以上570mm以下の長さに設定されている。
【0015】
図2に示すように、第1シャフト本体20は、エンジン1の前後方向に沿って延びる円筒状に形成されている。例えば、第1シャフト本体20の軸方向の長さL20は、480mm以上520mm以下の長さに設定されている。例えば、第1シャフト本体20の直径D20(最大外径)は、30mm以上50mm以下の大きさに設定されている。
【0016】
図1に示すように、第1油路22は、第1重なり部21の手前で止まるように形成されている。第1油路22は、第1シャフト本体20の軸方向に沿って延びる第1軸方向通路23と、第1軸方向通路23に繋がり且つ第1シャフト本体20の径方向に沿って延びる第1径方向通路24(図2参照)と、を有する。
【0017】
第1軸方向通路23が延びる方向の長さは、第1シャフト本体20の軸方向の長さL20よりも短い。例えば、第1軸方向通路23の直径D23(開口径)は、14mm以上20mm以下の大きさに設定されている。
図2に示すように、第1径方向通路24は、各ロッカーアーム5,6(図1参照)に対応する位置において第1シャフト本体20の径方向外側に開口している。
【0018】
図1に示すように、第1シャフト本体20は、シリンダヘッド3の上部にキャップ4を介してボルト13により連結されている。図2に示すように、第1シャフト本体20には、ボルト13を挿通可能に鉛直方向に開口する貫通孔25が形成されている。第1シャフト本体20は、ボルト13の頭部が着座する複数(例えば本実施形態では3つ)の上側座面26を有する。複数の上側座面26は、第1シャフト本体20の軸方向に互いに間隔をあけて配置されている。複数の上側座面26は、第1シャフト本体20の上部に形成されている。上側座面26は、第1シャフト本体20の軸方向に長手を有し且つ水平面と平行な矩形形状である。1つの上側座面26には、2つの貫通孔25が開口している。
【0019】
第1シャフト本体20は、キャップ4(図1参照)に当接する複数(例えば本実施形態では3つ)の下側座面27を有する。下側座面27は、第1シャフト本体20の下部に形成されている。下側座面27は、鉛直方向から見て上側座面26と重なる位置に配置されている。下側座面27は、第1シャフト本体20の軸方向に長手を有し且つ水平面と平行な矩形形状である。
【0020】
第1シャフト本体20には、シリンダヘッド3の上部にキャップ4を連結するためのボルト15(図4参照)を逃げる逃げ溝28が形成されている。逃げ溝28は、各座面26,27の一側方に対応する位置において第1シャフト本体20の径方向内側に窪んでいる。なお、第1シャフト本体20には、逃げ溝28が形成されていなくてもよい。例えば、逃げ溝28の形成態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0021】
図2に示すように、第1重なり部21は、第1シャフト本体20の後端下部に一体に連結されている。第1重なり部21は、第1シャフト本体20の後面下部からエンジン1の後側に向けて突出している。例えば、第1重なり部21が突出する方向の長さL21は、30mm以上50mm以下の長さに設定されている。
【0022】
第1重なり部21の上面29(平面)は、水平面と平行に形成されている。第1重なり部21の上面は、第1重なり部21において第2重なり部41の下面50(図3参照)と当接する部分である。第1重なり部21の上面29は、鉛直方向から見て矩形形状である。第1重なり部21の下面30は、第1重なり部21においてキャップ4の上面と当接する部分である。
【0023】
第1重なり部21には、シリンダヘッド3の上部にキャップ4を連結するためのボルト15(図4参照)を逃げる逃げ溝31が形成されている。逃げ溝31は、第1重なり部21の上面29の一側方に対応する位置において第1重なり部21の内側に窪んでいる。なお、第1重なり部21には、逃げ溝31が形成されていなくてもよい。例えば、逃げ溝31の形成態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0024】
第1重なり部21には、ボルト13を挿通可能に鉛直方向に開口する貫通孔32が形成されている。第1重なり部21の上面には、2つの貫通孔32が開口している。第1重なり部21は、ボルト13を挿通可能に開口するリング14(図4参照)が嵌まる第1嵌合部33を有する。
【0025】
第1嵌合部33は、2つの貫通孔32のうち一方(第1シャフト本体20側の貫通孔)に設けられている。第1嵌合部33は、第1重なり部21において上面29から下側に窪む凹部である。鉛直方向から見て、第1嵌合部33の開口は、一方の貫通孔32よりも大きい円形状である。リング14は、第1嵌合部33に対しては圧入して固定されている。
【0026】
<第2ロッカーシャフト>
図1に示すように、第2ロッカーシャフト12は、エンジン1の後部に設けられている。第2ロッカーシャフト12は、軸線Cと平行に延びるとともに第2油路42が形成された第2シャフト本体40と、軸線Cと交差する方向から見て第1重なり部21と重なる第2重なり部41と、を備える。例えば、第2ロッカーシャフト12の軸方向の全長L12(第2シャフト本体40及び第2重なり部41を含む軸方向の長さ)は、510mm以上570mm以下の長さに設定されている。例えば、第2ロッカーシャフト12の軸方向の全長L12は、第1ロッカーシャフト11の軸方向の全長L11と同じ長さである(L12=L11)。
【0027】
図3に示すように、第2シャフト本体40は、エンジン1の前後方向に沿って延びる円筒状に形成されている。例えば、第2シャフト本体40の軸方向の長さL40は、480mm以上520mm以下の長さに設定されている。例えば、第2シャフト本体40の軸方向の長さL40は、第1シャフト本体20の軸方向の長さL20と同じ長さである(L40=L20、図1参照)。例えば、第2シャフト本体40の直径D40(最大外径)は、30mm以上50mm以下の大きさに設定されている。例えば、第2シャフト本体40の直径D40は、第1シャフト本体20の直径D20と同じ大きさである(D40=D20、図1参照)。
【0028】
図1に示すように、第2油路42は、第2重なり部41の手前で止まるように形成されている。第2油路42は、第2シャフト本体40の軸方向に沿って延びる第2軸方向通路43と、第2軸方向通路43に繋がり且つ第2シャフト本体40の径方向に沿って延びる第2径方向通路44(図3参照)と、を有する。
【0029】
第2軸方向通路43が延びる方向の長さは、第2シャフト本体40の軸方向の長さL40よりも短い。例えば、第2軸方向通路43の直径D43(開口径)は、14mm以上20mm以下の大きさに設定されている。例えば、第2軸方向通路43の直径D43は、第1軸方向通路23の直径D23と同じ大きさである(D43=D23)。
図3に示すように、第2径方向通路44は、各ロッカーアーム5,6(図1参照)に対応する位置において第2シャフト本体40の径方向外側に開口している。
【0030】
図1に示すように、第2シャフト本体40は、シリンダヘッド3の上部にキャップ4を介してボルト13により連結されている。図3に示すように、第2シャフト本体40には、ボルト13を挿通可能に鉛直方向に開口する貫通孔45が形成されている。第2シャフト本体40は、ボルト13の頭部が着座する複数(例えば本実施形態では3つ)の上側座面46を有する。複数の上側座面46は、第2シャフト本体40の軸方向に互いに間隔をあけて配置されている。複数の上側座面46は、第2シャフト本体40の上部に形成されている。上側座面46は、第2シャフト本体40の軸方向に長手を有し且つ水平面と平行な矩形形状である。1つの上側座面46には、2つの貫通孔45が開口している。
【0031】
第2シャフト本体40は、キャップ4(図1参照)に当接する複数(例えば本実施形態では3つ)の下側座面47を有する。下側座面47は、第2シャフト本体40の下部に形成されている。下側座面47は、鉛直方向から見て上側座面46と重なる位置に配置されている。下側座面47は、第2シャフト本体40の軸方向に長手を有し且つ水平面と平行な矩形形状である。
【0032】
第2シャフト本体40には、シリンダヘッド3の上部にキャップ4を連結するためのボルト15(図4参照)を逃げる逃げ溝48が形成されている。逃げ溝48は、各座面46,47の一側方に対応する位置において第2シャフト本体40の径方向内側に窪んでいる。なお、第2シャフト本体40には、逃げ溝48が形成されていなくてもよい。例えば、逃げ溝48の形成態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0033】
図3に示すように、第2重なり部41は、第2シャフト本体40の前端上部に一体に連結されている。第2重なり部41は、第2シャフト本体40の前面上部からエンジン1の前側に向けて突出している。例えば、第2重なり部41が突出する方向の長さL41は、30mm以上50mm以下の長さに設定されている。例えば、第2重なり部41が突出する方向の長さL41は、第1重なり部21が突出する方向の長さL21と同じ長さである(L41=L21、図1参照)。
【0034】
第2重なり部41の下面50(平面)は、水平面と平行に形成されている。第2重なり部41の下面50は、第2重なり部41において第1重なり部21の上面29(図2参照)と当接する部分である。第2重なり部41の下面50は、鉛直方向から見て矩形形状である。第2重なり部41の上面49は、第2重なり部41においてボルト13の頭部が着座する部分である。
【0035】
第2重なり部41には、シリンダヘッド3の上部にキャップ4を連結するためのボルト15(図4参照)を逃げる逃げ溝51が形成されている。逃げ溝51は、第2重なり部41の上面49の一側方に対応する位置において第2重なり部41の内側に窪んでいる。図5に示すように、第2重なり部41の逃げ溝51は、鉛直方向から見て第1重なり部21の逃げ溝31と重なる位置に配置されている。なお、第2重なり部41には、逃げ溝51が形成されていなくてもよい。例えば、逃げ溝51の形成態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0036】
第2重なり部41には、ボルト13を挿通可能に鉛直方向に開口する貫通孔52が形成されている。第2重なり部41の上面49には、2つの貫通孔52が開口している。第2重なり部41は、ボルト13を挿通可能に開口するリング14(図4参照)が嵌まる第2嵌合部53を有する。
【0037】
第2嵌合部53は、2つの貫通孔52のうち一方(第1シャフト本体20側の貫通孔)に設けられている。第2嵌合部53は、第2重なり部41において下面50から上側に窪む凹部である。鉛直方向から見て、第2嵌合部53の開口は、一方の貫通孔52よりも大きい円形状である。リング14は、第2嵌合部53に対しては着脱可能とされている。
【0038】
<第1ロッカーシャフトの前部の連結構造>
図1に示すように、第1ロッカーシャフト11の前部は、エンジン1の前端側において、複数(例えば本実施形態では2本)のボルト13により、キャップ4を介してシリンダヘッド3の上部に連結されている。例えば、ボルト13のサイズ(太さ)は、M8(呼び径)である。2本のボルト13は、エンジン1の前後方向に間隔をあけて配置されている。
図6に示すように、シリンダヘッド3の上部には、ボルト13を螺合可能に上方に開口する2つの雌ねじ部60が形成されている。
【0039】
キャップ4には、ボルト13を挿通可能に鉛直方向に開口する2つの貫通孔61が形成されている。キャップ4は、ボルト13を挿通可能に開口するリング14が嵌まる前下側嵌合部62を有する。前下側嵌合部62は、2つの貫通孔61のうち一方(エンジン1前側の貫通孔)に設けられている。前下側嵌合部62は、キャップ4において上面から下側に窪む凹部である。鉛直方向から見て、前下側嵌合部62の開口は、一方の貫通孔61よりも大きい円形状である。リング14は、前下側嵌合部62に対しては圧入して固定されている。
【0040】
第1ロッカーシャフト11の前部には、ボルト13を挿通可能に鉛直方向に開口する2つの貫通孔25が形成されている。第1ロッカーシャフト11の前部は、ボルト13を挿通可能に開口するリング14が嵌まる前上側嵌合部34を有する。前上側嵌合部34は、2つの貫通孔25のうち一方(エンジン1前側の貫通孔)に設けられている。前上側嵌合部34は、第1ロッカーシャフト11の前部において下側座面27から上側に窪む凹部である。鉛直方向から見て、前上側嵌合部34の開口は、一方の貫通孔25よりも大きい円形状である。リング14は、前上側嵌合部34に対しては着脱可能とされている。なお、図中符号63は、第1ロッカーシャフト11の前部とキャップ4とに形成された油穴を示す。
【0041】
例えば、先ず、シリンダヘッド3の上面にキャップ4を載置する。次に、キャップ4の上面に第1ロッカーシャフト11の前部を載置する。例えば、キャップ4の前下側嵌合部62から突出するリング14を第1ロッカーシャフト11の前上側嵌合部34に嵌め込み、キャップ4の上面に第1ロッカーシャフト11の前部の下側座面27を当接させる。次に、第1ロッカーシャフト11の各貫通孔25及びキャップ4の各貫通孔61を通じて各ボルト13を挿通し、シリンダヘッド3の上部の各雌ねじ部60に螺合する。これにより、第1ロッカーシャフト11の前部を、キャップ4を介してシリンダヘッド3の上部に連結することができる。
【0042】
<第2ロッカーシャフトの後部の連結構造>
図1に示すように、第2ロッカーシャフト12の後部は、エンジン1の後端側において、複数(例えば本実施形態では2本)のボルト13により、キャップ4を介してシリンダヘッド3の上部に連結されている。例えば、ボルト13のサイズ(太さ)は、M8(呼び径)である。2本のボルト13は、エンジン1の前後方向に間隔をあけて配置されている。
図7に示すように、シリンダヘッド3の上部には、ボルト13を螺合可能に上方に開口する2つの雌ねじ部60が形成されている。
【0043】
キャップ4には、ボルト13を挿通可能に鉛直方向に開口する2つの貫通孔61が形成されている。キャップ4は、ボルト13を挿通可能に開口するリング14が嵌まる後下側嵌合部64を有する。後下側嵌合部64は、2つの貫通孔61のうち一方(エンジン1前側の貫通孔)に設けられている。後下側嵌合部64は、キャップ4において上面から下側に窪む凹部である。鉛直方向から見て、後下側嵌合部64の開口は、一方の貫通孔61よりも大きい円形状である。リング14は、後下側嵌合部64に対しては圧入して固定されている。
【0044】
第2ロッカーシャフト12の後部には、ボルト13を挿通可能に鉛直方向に開口する2つの貫通孔45が形成されている。第2ロッカーシャフト12の後部は、ボルト13を挿通可能に開口するリング14が嵌まる後上側嵌合部54を有する。後上側嵌合部54は、2つの貫通孔45のうち一方(エンジン1前側の貫通孔)に設けられている。後上側嵌合部54は、第2ロッカーシャフト12の後部において下側座面47から上側に窪む凹部である。鉛直方向から見て、後上側嵌合部54の開口は、一方の貫通孔45よりも大きい円形状である。リング14は、後上側嵌合部54に対しては着脱可能とされている。なお、図中符号65は、第2ロッカーシャフト12の後部とキャップ4とに形成された油穴を示す。
【0045】
例えば、先ず、シリンダヘッド3の上面にキャップ4を載置する。次に、キャップ4の上面に第2ロッカーシャフト12の後部を載置する。例えば、キャップ4の後下側嵌合部64から突出するリング14を第2ロッカーシャフト12の後上側嵌合部54に嵌め込み、キャップ4の上面に第2ロッカーシャフト12の後部の下側座面47を当接させる。次に、第2ロッカーシャフト12の各貫通孔13及びキャップ4の各貫通孔61を通じて各ボルト13を挿通し、シリンダヘッド3の上部の各雌ねじ部60に螺合する。これにより、第2ロッカーシャフト12の後部を、キャップ4を介してシリンダヘッド3の上部に連結することができる。
【0046】
<第1重なり部及び第2重なり部の連結構造>
図1に示すように、第1重なり部21及び第2重なり部41は、エンジン1の前後方向中央部において、複数(例えば本実施形態では2本)のボルト13により、キャップ4を介してシリンダヘッド3の上部に連結されている。例えば、ボルト13のサイズ(太さ)は、M8(呼び径)である。2本のボルト13は、エンジン1の前後方向に間隔をあけて配置されている。第1重なり部21及び第2重なり部41は、鉛直方向から見て互いに重なる位置に配置されている。
図8に示すように、シリンダヘッド3の上部には、ボルト13を螺合可能に上方に開口する2つの雌ねじ部60が形成されている。
【0047】
キャップ4には、ボルト13を挿通可能に鉛直方向に開口する2つの貫通孔61が形成されている。キャップ4は、ボルト13を挿通可能に開口するリング14が嵌まる中央下側嵌合部66を有する。中央下側嵌合部66は、2つの貫通孔61のうち一方(エンジン1前側の貫通孔)に設けられている。中央下側嵌合部66は、キャップ4において上面から下側に窪む凹部である。鉛直方向から見て、中央下側嵌合部66の開口は、一方の貫通孔61よりも大きい円形状である。リング14は、中央下側嵌合部66に対しては圧入して固定されている。
【0048】
第1重なり部21には、ボルト13を挿通可能に鉛直方向に開口する2つの貫通孔32が形成されている。第1重なり部21は、ボルト13を挿通可能に開口するリング14が嵌まる中央上側嵌合部35を有する。中央上側嵌合部35は、2つの貫通孔32のうち一方(エンジン1前側の貫通孔)に設けられている。中央上側嵌合部35は、第1重なり部21において下面30から上側に窪む凹部である。鉛直方向から見て、中央上側嵌合部35の開口は、一方の貫通孔32よりも大きい円形状である。リング14は、中央上側嵌合部35に対しては着脱可能とされている。
【0049】
例えば、先ず、シリンダヘッド3の上面にキャップ4を載置する。次に、キャップ4の上面に第1重なり部21を載置する。例えば、キャップ4の中央下側嵌合部66から突出するリング14を第1重なり部21の中央上側嵌合部35に嵌め込み、キャップ4の上面に第1重なり部21の下面30を当接させる。
【0050】
次に、第1重なり部21の上面29に第2重なり部41を載置する。例えば、第1重なり部21の第1嵌合部33から突出するリング14を第2重なり部41の第2嵌合部53に嵌め込み、第1重なり部21の上面29に第2重なり部41の下面50を当接させる。これにより、第1重なり部21及び第2重なり部41は、互いに平面で当接した状態となる。また、第1重なり部21の後面は第2シャフト本体40の前面に当接し、かつ、第2重なり部41の前面は第1シャフト本体20の後面に当接した状態となる。
【0051】
次に、第2重なり部41の各貫通孔52、第1重なり部21の各貫通孔32及びキャップ4の各貫通孔61を通じて各ボルト13を挿通し、シリンダヘッド3の上部の各雌ねじ部60に螺合する。これにより、第1重なり部21及び第2重なり部41を、キャップ4を介してシリンダヘッド3の上部に連結することができる。第1ロッカーシャフト11及び第2ロッカーシャフト12は、第1重なり部21及び第2重なり部41において2本のボルト13により共締めすることで結合される。
【0052】
<排気側ロッカーアームに対する各重なり部の配置>
図8に示すように、第2重なり部41は、第1重なり部21よりも排気側ロッカーアーム6の近くに配置されている。排気側ロッカーアーム6は、第2シャフト本体40において第2重なり部41と隣り合う部分(第2シャフト本体40の前端側の部分)に、ベアリング7を介して支持されている。
【0053】
なお、第2径方向通路44は、排気側ロッカーアーム6に対応する位置において第2軸方向通路43から鉛直方向下側(第2シャフト本体40の径方向外側)に開口し、ベアリング7に通じている。
【0054】
<オイルの流れの一例>
例えば、不図示のオイルポンプによりオイルパンから圧送されるオイルは、フィルタを通った後、図1に示すシリンダブロック2の内部通路を通り、エンジン1の前後方向外端側に形成された油路を通ってシリンダヘッド3上端側に向けて流れる(図1の矢印W1,W2参照)。その後、オイルは、各ロッカーシャフト11,12の油路22,42に入り、各軸方向通路23,43に沿ってエンジン1の前後方向内側に向けて流れる(図1の矢印W3,W4参照)。その後、オイルは、各径方向通路24,44(図8参照)を通じて各ロッカーアーム5,6のベアリング7に向けて流れる。これにより、ベアリング7を潤滑することができる。
【0055】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態のロッカーシャフト連結構造10は、第1ロッカーシャフト11と、第1ロッカーシャフト11の軸線C上に設けられる第2ロッカーシャフト12と、を備える。第1ロッカーシャフト11は、軸線Cと交差する方向から見て第2ロッカーシャフト12と重なる第1重なり部21を有する。第2ロッカーシャフト12は、軸線Cと交差する方向から見て第1重なり部21と重なる第2重なり部41を有する。第1重なり部21及び第2重なり部41は、ボルト13により互いに連結されている。
この構成によれば、軸線Cと交差する方向から見て第1重なり部21及び第2重なり部41が互いに重なることで、分割された一対のロッカーシャフトの端部が軸方向で対向する場合と比較して、ロッカーシャフト11,12の周方向の位置精度を高めることができる。加えて、第1重なり部21及び第2重なり部41がボルト13により互いに連結されていることで、ボルト13により、ロッカーシャフト11,12が軸方向にずれることを抑制することができる。したがって、ロッカーシャフト11,12の周方向の位置精度を高め、かつ、ロッカーシャフト11,12が軸方向にずれることを抑制することができる。
【0056】
本実施形態では、第1重なり部21及び第2重なり部41は、2本のボルト13により互いに連結されている。
この構成によれば、第1重なり部21及び第2重なり部41が単一のボルト13により互いに連結されている場合と比較して、各重なり部21,41の支持剛性及び連結強度を高めることができる。加えて、ボルト13の破断を防止する上で好適である。
【0057】
本実施形態では、第1重なり部21及び第2重なり部41は、互いに平面29,50で当接している。
この構成によれば、第1重なり部21及び第2重なり部41が互いに曲面で当接している場合と比較して、ロッカーシャフト11,12の周方向の位置精度を高めることができる。
【0058】
本実施形態では、第2重なり部41は、第1重なり部21よりも排気側ロッカーアーム6の近くに配置され、かつ、第1重なり部21よりも鉛直方向上側に配置されている。
この構成によれば、第2重なり部41が第1重なり部21よりも排気側ロッカーアーム6の近くに配置され、かつ、第1重なり部21よりも鉛直方向下側に配置されている場合と比較して、第2重なり部41にかかる応力を緩和することができる。
一般に、排気側ロッカーアーム6による荷重は吸気側ロッカーアーム5による荷重よりも大きい。例えば仮に、第2重なり部41が第1重なり部21よりも排気側ロッカーアーム6の近くに配置され、かつ、第1重なり部21よりも鉛直方向下側に配置されている場合は、第2重なり部41が排気側ロッカーアーム6から鉛直方向上側に持ち上がる荷重を受けると、第2重なり部41には引張応力が作用する。これにより、第2重なり部41の隅角部に対して引張応力の応力集中が作用し、隅角部が破損する可能性が高い。これに対し本構成によれば、第2重なり部41は、第1重なり部21よりも排気側ロッカーアーム6の近くに配置され、かつ、第1重なり部21よりも鉛直方向上側に配置されていることで、第2重なり部41が排気側ロッカーアーム6から鉛直方向上側(例えば、図8の矢印F方向)に持ち上がる荷重を受けた場合でも、第2重なり部41には圧縮応力が作用する。これにより、第2重なり部41の隅角部に対して引張応力の応力集中が作用することを抑制し、隅角部が破損する可能性を低くすることができる。
【0059】
本実施形態では、第1ロッカーシャフト11は、軸線Cと平行に延びるとともに第1油路22が形成された第1シャフト本体20を有する。第2ロッカーシャフト12は、軸線Cと平行に延びるとともに第2油路が形成された第2シャフト本体40を有する。第1油路22は、第1重なり部21の手前で止まるように形成されている。第2油路42は、第2重なり部41の手前で止まるように形成されている。
この構成によれば、第1重なり部21及び第2重なり部41には油路が形成されないため、第1重なり部21及び第2重なり部41の剛性を確保することができる。
【0060】
本実施形態では、第1重なり部21は、ボルト13を挿通可能に開口するリング14が嵌まる第1嵌合部33を有する。第2重なり部41は、リング14が嵌まる第2嵌合部53を有する。
この構成によれば、リング14が第1嵌合部33及び第2嵌合部53に嵌まることにより、第1重なり部21及び第2重なり部41の位置決めを行うことができる。
【0061】
本実施形態では、第2重なり部41は、第1重なり部21よりも鉛直方向上側に配置されている。リング14は、第1嵌合部33に対しては固定され、かつ、第2嵌合部53に対しては着脱可能とされている。
この構成によれば、第2重なり部41を第1重なり部21に対して鉛直方向上側から載置する際に、第1嵌合部33に固定されたリング14を視認することができるため、組立性に優れる。
【0062】
本実施形態では、第1ロッカーシャフト11及び第2ロッカーシャフト12の軸方向の全長L10は、1m以上である。
この構成によれば、第1ロッカーシャフト11及び第2ロッカーシャフト12の軸方向の全長L10が1m未満である場合と比較して、第1ロッカーシャフト11及び第2ロッカーシャフト12に分割する実益が大きい。
ところで、全長1m以上のロッカーシャフトには、以下の課題がある。(1)オイル給油用の長穴、ボルトのための切欠き、部分的な高周波焼き入れ、所定の面精度(例えば、1.6S表面粗さ)等が要求される。(2)真直度を満足することは非常に難しく、高コストとなっている。(3)ロッカーアームが回転するので、組立てに人数がかかる。
これに対し本構成によれば、第1ロッカーシャフト11及び第2ロッカーシャフト12の軸方向の全長L10が1m以上である場合において、第1ロッカーシャフト11及び第2ロッカーシャフト12に分割し、シャフト自体を短くすることにより、上記の課題(1)から(3)をすべて改善することができる。
【0063】
<その他の実施形態>
上述した実施形態では、第1重なり部及び第2重なり部が2本のボルトにより互いに連結されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1重なり部及び第2重なり部は、単一のボルトにより互いに連結されていてもよい。例えば、第1重なり部及び第2重なり部は、3本以上のボルトにより互いに連結されていてもよい。例えば、ボルトの設置本数は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0064】
上述した実施形態では、第1重なり部及び第2重なり部は、互いに平面で当接している例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1重なり部及び第2重なり部は、互いに曲面で当接していてもよい。例えば、第1重なり部及び第2重なり部の当接態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0065】
上述した実施形態では、第2重なり部は、第1重なり部よりも排気側ロッカーアームの近くに配置され、かつ、第1重なり部よりも鉛直方向上側に配置されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第2重なり部は、第1重なり部よりも排気側ロッカーアームの近くに配置され、かつ、第1重なり部よりも鉛直方向下側に配置されていてもよい。例えば、排気側ロッカーアームに対する各重なり部の配置態様、及び鉛直方向における各重なり部の配置態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0066】
上述した実施形態では、第1油路は、第1重なり部の手前で止まるように形成され、第2油路は、第2重なり部の手前で止まるように形成されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1油路は、第1重なり部まで延びるように形成され、第2油路は、第2重なり部まで延びるように形成されていてもよい。例えば、第1重なり部及び第2重なり部には油路が形成されていてもよい。例えば、油路の形成態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0067】
上述した実施形態では、第1重なり部は、ボルトを挿通可能に開口するリングが嵌まる第1嵌合部を有し、第2重なり部は、リングが嵌まる第2嵌合部を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、各重なり部は、リングが嵌まる嵌合部を有しなくてもよい。例えば、嵌合部の設置態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0068】
上述した実施形態では、第2重なり部は、第1重なり部よりも鉛直方向上側に配置され、リングは、第1嵌合部に対しては固定され、かつ、第2嵌合部に対しては着脱可能とされている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第2重なり部は、第1重なり部よりも鉛直方向下側に配置されていてもよい。例えば、リングは、第1嵌合部に対しては着脱可能とされ、かつ、第2嵌合部に対しては固定されていてもよい。例えば、鉛直方向における各重なり部の配置態様、及び各嵌合部に対するリングの嵌合態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0069】
上述した実施形態では、第1ロッカーシャフト及び第2ロッカーシャフトの軸方向の全長は、1m以上である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1ロッカーシャフト及び第2ロッカーシャフトの軸方向の全長が1m未満であってもよい。例えば、第1ロッカーシャフト及び第2ロッカーシャフトの軸方向の全長は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0070】
上述した実施形態では、第1重なり部及び第2重なり部は、鉛直方向から見て互いに重なる位置に配置されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1重なり部及び第2重なり部は、水平方向から見て互いに重なる位置に配置されていてもよい。例えば、第1重なり部及び第2重なり部は、鉛直方向と交差する方向から見て互いに重なる位置に配置されていてもよい。例えば、第1重なり部及び第2重なり部は、軸線と交差する方向から見て互いに重なる位置に配置されていればよい。例えば、例えば、第1重なり部及び第2重なり部が重なる態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0071】
上述した実施形態では、ディーゼルエンジンに設けられたロッカーシャフト連結構造を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ロッカーシャフト連結構造は、ガソリンエンジンに設けられていてもよい。例えば、ロッカーシャフト連結構造が設けられるエンジンの態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であり、上述した実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0073】
6…排気側ロッカーアーム、10…ロッカーシャフト連結構造、11…第1ロッカーシャフト、12…第2ロッカーシャフト、13…ボルト、14…リング、20…第1シャフト本体、21…第1重なり部、22…第1油路、29…第1重なり部の上面(平面)、33…第1嵌合部、40…第2シャフト本体、41…第2重なり部、42…第2油路、50…第2重なり部の下面(平面)、53…第2嵌合部、C…軸線、L10…第1ロッカーシャフト及び第2ロッカーシャフトの軸方向の全長
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8