(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036345
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20230307BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143342
(22)【出願日】2021-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】511006247
【氏名又は名称】株式会社シスラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100211719
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 和真
(72)【発明者】
【氏名】平本 真一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 悠一郎
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA11
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】介護サービス業務において効率化と品質向上とを図ることができ、以て、適正で効率的な介護サービス業務を実現するための技術を提供する。
【解決手段】本開示の情報処理装置は、介護サービス業務に用いられる情報処理装置である。この情報処理装置は、介護サービス業務を提供するユーザのうち被介護者を介護するユーザを含んだ第1介護ユーザに対して、所定のインタフェースを介して所定の第1情報を提供することと、第1介護ユーザからインタフェースを介して介護記録又は介護計画に関する第2情報を取得することと、第2情報に基づいて、所定の第3情報を生成することと、介護サービス業務を提供するユーザのうち第1介護ユーザを管理するユーザを含んだ第2介護ユーザに対して、第3情報を提供することと、を実行する制御部を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
介護サービス業務に用いられる情報処理装置であって、
前記介護サービス業務を提供するユーザのうち被介護者を介護するユーザを含んだ第1介護ユーザに対して、所定のインタフェースを介して所定の第1情報を提供することと、
前記第1介護ユーザから前記インタフェースを介して介護記録又は介護計画に関する第2情報を取得することと、
前記第2情報に基づいて、所定の第3情報を生成することと、
前記介護サービス業務を提供するユーザのうち前記第1介護ユーザを管理するユーザを含んだ第2介護ユーザに対して、前記第3情報を提供することと、
を実行する制御部を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記第3情報は、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章情報であって、
前記制御部は、
前記第1情報として、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章に含まれる単語情報を提供し、
前記第2情報として、前記第1介護ユーザによる前記単語情報の選択を取得し、
前記第3情報として、前記第1介護ユーザによって選択された前記単語情報に基づいて、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章情報を生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第3情報は、前記単語情報を含んだノードの組合せによって構成され、
前記制御部は、
所定のデータベースを用いて、前記第2情報として取得した前記第1介護ユーザによって選択された前記単語情報について、直後に続く単語の候補である単語候補を検索し且つ該単語候補に文として接続するための品詞を含んだ句構造データを検索するとともに、前記単語候補に関する前記単語情報を前記第1情報として前記第1介護ユーザに更に提供し且つ該第1介護ユーザによる該単語情報の選択を前記第2情報として更に取得することを繰り返し、
繰り返し取得した複数の前記単語情報の夫々について、前記句構造データを付加することで前記ノードを生成するとともに、生成された該ノードの組合せによって構成される文構造について、前記データベースに記憶された所定の文構造データと比較し該文構造データにマッチする文構造を用いて前記第3情報を生成する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第3情報は、前記介護計画に記載される文章情報であって、
前記制御部は、
前記被介護者又はその家族からのヒアリングに基づいて該被介護者の状況を記載したモニタリング文章、及び/又は前記被介護者に対する前記介護記録に記載された文章から抽出された該被介護者の介護に関する情報を表す語彙を、特徴量としてベクトル化した介護語彙情報を生成するとともに、
前記介護計画に記載される文章の雛形として予め登録された複数の計画書パターンから抽出された介護に関する情報を表す語彙を、特徴量としてベクトル化した計画書語彙情報を生成し、
特徴量空間における前記介護語彙情報と前記計画書語彙情報との距離に基づいて、前記複数の計画書パターンの中から、該介護語彙情報との距離が最も近い前記計画書語彙情報が含まれる計画書パターンを選択し、
前記第1情報として、選択された前記計画書パターンに基づいて定義される前記単語情報を提供する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記介護サービス業務において前記被介護者に対して提供されるサービス項目について、該被介護者毎のサービス利用頻度に関する情報であって、前記介護計画に記載されたサービス項目は毎回実施として、該被介護者又はその家族から要望されたサービス項目は時々実施として、定義される頻度情報を更に取得し、
前記第1情報として前記サービス項目を提供するときに、
該サービス項目の前記頻度情報が前記毎回実施である場合には、該サービス項目を前記インタフェースにおいて所定の第1状態で強調表示して前記第1情報として提供し、
該サービス項目の前記頻度情報が前記時々実施である場合には、該サービス項目を前記インタフェースにおいて所定の第2状態で強調表示して前記第1情報として提供する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2情報は、前記第1介護ユーザのユーザ端末に前記介護記録として入力された前記介護サービス業務の開始報告又は終了報告であって、
前記制御部は、
前記開始報告又は前記終了報告がなされたときの前記ユーザ端末の位置情報に基づいて前記第1介護ユーザの現在地を取得するとともに、予め登録された前記被介護者の住所に基づいて前記介護サービス業務の提供予定地を取得し、
前記第3情報として、前記現在地と前記提供予定地との間の距離情報と、該距離情報に基づく所定の判定情報と、を生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
介護サービス業務に用いられる情報処理方法であって、
コンピュータが、
前記介護サービス業務を提供するユーザのうち被介護者を介護するユーザを含んだ第1介護ユーザに対して、所定のインタフェースを介して所定の第1情報を提供することと、
前記第1介護ユーザから前記インタフェースを介して介護記録又は介護計画に関する第2情報を取得することと、
前記第2情報に基づいて、所定の第3情報を生成することと、
前記介護サービス業務を提供するユーザのうち前記第1介護ユーザを管理するユーザを含んだ第2介護ユーザに対して、前記第3情報を提供することと、
を実行する情報処理方法。
【請求項8】
前記第3情報は、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章情報であって、
前記コンピュータは、
前記第1情報として、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章に含まれる単語情報を提供し、
前記第2情報として、前記第1介護ユーザによる前記単語情報の選択を取得し、
前記第3情報として、前記第1介護ユーザによって選択された前記単語情報に基づいて、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章情報を生成する、
請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記第2情報は、前記第1介護ユーザのユーザ端末に前記介護記録として入力された前記介護サービス業務の開始報告又は終了報告であって、
前記コンピュータは、
前記開始報告又は前記終了報告がなされたときの前記ユーザ端末の位置情報に基づいて前記第1介護ユーザの現在地を取得するとともに、予め登録された前記被介護者の住所に基づいて前記介護サービス業務の提供予定地を取得し、
前記第3情報として、前記現在地と前記提供予定地との間の距離情報と、該距離情報に基づく所定の判定情報と、を生成する、
請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項10】
介護サービス業務に用いられる情報処理プログラムであって、
コンピュータに、
前記介護サービス業務を提供するユーザのうち被介護者を介護するユーザを含んだ第1介護ユーザに対して、所定のインタフェースを介して所定の第1情報を提供することと、
前記第1介護ユーザから前記インタフェースを介して介護記録又は介護計画に関する第2情報を取得することと、
前記第2情報に基づいて、所定の第3情報を生成することと、
前記介護サービス業務を提供するユーザのうち前記第1介護ユーザを管理するユーザを含んだ第2介護ユーザに対して、前記第3情報を提供することと、
を実行させる情報処理プログラム。
【請求項11】
前記第3情報は、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章情報であって、
前記コンピュータに、
前記第1情報として、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章に含まれる単語情報を提供させ、
前記第2情報として、前記第1介護ユーザによる前記単語情報の選択を取得させ、
前記第3情報として、前記第1介護ユーザによって選択された前記単語情報に基づいて、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章情報を生成させる、
請求項10に記載の情報処理プログラム。
【請求項12】
前記第2情報は、前記第1介護ユーザのユーザ端末に前記介護記録として入力された前記介護サービス業務の開始報告又は終了報告であって、
前記コンピュータに、
前記開始報告又は前記終了報告がなされたときの前記ユーザ端末の位置情報に基づいて前記第1介護ユーザの現在地を取得させるとともに、予め登録された前記被介護者の住所に基づいて前記介護サービス業務の提供予定地を取得させ、
前記第3情報として、前記現在地と前記提供予定地との間の距離情報と、該距離情報に基づく所定の判定情報と、を生成させる、
請求項10に記載の情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適正で効率的な介護サービス業務を提供するための情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会が進む我が国(日本)では、医療分野や介護サービスの一層の充実が求められている。そして、在宅や特別養護老人ホーム等の介護施設で提供される介護サービスにおいては、介護スタッフは、被介護者の状況の推移を把握すること、ケアプランに活用すること、情報を共有して統一した介護サービスを提供すること、被介護者の家族との情報交換に活用すること、または法的な証拠書類として介護行為を証明することなどを目的に、被介護者の介護状況を介護記録として記録している。
【0003】
ここで、介護記録の作成においては、介護スタッフが介護現場で手書きにより介護記録シートに記入する場合がある。この場合、その後に電子化するために、介護記録を所定の端末にキー入力することで、その介護記録データをサーバに保管することが考えられるが、介護スタッフ等にとっては大きな負担になっていた。そこで、介護サービス業務に対して、業務効率化を目的にICT(information communication technology)を適用することが提案されている。例えば、特許文献1には、介護情報が記入された記録票をスキャナ等で読み取ることで記録票画像を取得し、該記録票画像から介護情報が記入された領域を抽出するとともに、その中から介護情報を共有するユーザと共有すべき共有範囲情報を抽出する技術が開示されている。
【0004】
また、ケアプランの作成については、被介護者の代弁者となって必要なサービスをコーディネイトする介護分野の専門家であるケアマネージャーが、被介護者のニーズをヒアリング・評価し適切なサービスを選択してケアプランを作成している。そして、そのようなケアプランに基づいて迅速な介護サービスを提供する技術として、特許文献2には、データベース化されたケアプランに基づいて最適な介護指示項目を生成し、実施された介護指示項目に対応する介護結果をコード化してデータベース化し、介護結果に基づいて介護指示項目を更新する介護情報処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5760031号公報
【特許文献2】特開2001-350843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
益々重要性が増大している介護サービスにおいて、業務効率化を目的にICTの適用が進められている一方で、介護の現場においては、使い慣れた従来の手書き介護記録シートをそのまま使いたいという要望もある。ここで、特許文献1に記載の技術によれば、介護情報が記入された記録票をスキャナ等で読み取ることで記録票画像が取得され更に共有範囲情報が抽出されることで、その後の介護記録のデータ化と介護記録の情報共有の負担が軽減されるようにも思われるが、介護の現場における記録作業の負担は依然として大きい。特に、例えば、業務に不慣れな介護スタッフが介護サービスを提供するような場合には、介護サービスを提供しながら合間を見計らって記録作業を行うことが大きな負担となっていた。また、この場合、所定の品質を担保した介護記録の作成が困難となる虞もある。したがって、介護の現場における情報の入力の負担を軽減する技術や、介護記録における報告文章の品質のバラつきを抑制する技術が必要とされている。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術によれば、ケアマネージャーが作成したケアプランに基づいて迅速な介護サービスが提供されることで、介護サービス業務の効率化が図られるようにも思われるが、実際には、例えば、事業者が、ケアプランに基づいて、被介護者の目標を達成するために、在宅や介護施設等で提供可能な介護サービスと比較しながら、どのような介護サービスを提供すべきかを判断して介護計画書を作成している。そして、このようにして作成された介護計画書に基づいて介護サービス業務が提供されるため、介護計画書は正しい文章で記載されている必要がある。そうすると、このような介護計画書の作成業務が或る特定の人物(例えば、サービス管理者)に集中してしまう傾向にあり、業務の効率化の障害となっていた。一方で、例えば、一般のスタッフが介護計画書を作成する場合には、所定の品質を担保した介護計画書の作成が困難となり得る。
【0008】
そして、介護サービス業務を提供する介護サービス事業者は、実際に実施した介護内容に基づいて正しく保険請求書(レセプト)を発行し保険請求する必要がある。
【0009】
本開示の目的は、介護サービス業務において効率化と品質向上とを図ることができ、以て、適正で効率的な介護サービス業務を実現するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の情報処理装置は、介護サービス業務に用いられる情報処理装置である。そして、この情報処理装置は、前記介護サービス業務を提供するユーザのうち被介護者を介護するユーザを含んだ第1介護ユーザに対して、所定のインタフェースを介して所定の第1情報を提供することと、前記第1介護ユーザから前記インタフェースを介して介護記録又は介護計画に関する第2情報を取得することと、前記第2情報に基づいて、所定の第3情報を生成することと、前記介護サービス業務を提供するユーザのうち前記第1介護ユーザを管理するユーザを含んだ第2介護ユーザに対して、前記第3情報を提供することと、を実行する制御部を備える。
【0011】
上記の情報処理装置では、制御部が、第1介護ユーザから所定のインタフェースを介して介護記録又は介護計画に関する第2情報を取得することで、これら記録や計画の一部が第2情報として電子化される。そして、制御部が、第2情報に基づいて所定の第3情報を生成することで、介護記録又は介護計画の作成におけるユーザ負担が軽減される。更に、生成された第3情報が第2介護ユーザに提供されることによれば、例えば、第1介護ユーザが被介護者に提供した介護サービスの記録が第2介護ユーザに提供される場合において、仮に、被介護者の状況に懸念がみられる場合には、第2介護ユーザが可及的速やかに第1介護ユーザに対して追加の介護や確認等を指示することが可能になり、以て、業務の効率化とサービス品質の向上とを図ることができる。
【0012】
そして、本開示の情報処理装置において、前記第3情報は、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章情報であってもよい。そして、前記制御部は、前記第1情報として、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章に含まれる単語情報を提供し、前記第2情報として、前記第1介護ユーザによる前記単語情報の選択を取得し、前記第3情報として、前記第1介護ユーザによって選択された前記単語情報に基づいて、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章情報を生成してもよい。このような情報処理装置では、第1介護ユーザは、単語を選択するのみで介護記録や介護計画に記載される程度に正確に記載された文章情報を作成することができる。そのため、介護記録や介護計画における文章の品質のバラつきを抑制することが可能となる。
【0013】
更に、このような情報処理装置において、前記第3情報は、前記単語情報を含んだノードの組合せによって構成されてもよい。そして、前記制御部は、所定のデータベースを用いて、前記第2情報として取得した前記第1介護ユーザによって選択された前記単語情報について、直後に続く単語の候補である単語候補を検索し且つ該単語候補に文として接続するための品詞を含んだ句構造データを検索するとともに、前記単語候補に関する前記単語情報を前記第1情報として前記第1介護ユーザに更に提供し且つ該第1介護ユーザによる該単語情報の選択を前記第2情報として更に取得することを繰り返し、繰り返し取得した複数の前記単語情報の夫々について、前記句構造データを付加することで前記ノードを生成するとともに、生成された該ノードの組合せによって構成される文構造について、前記データベースに記憶された所定の文構造データと比較し該文構造データにマッチする文構造を用いて前記第3情報を生成してもよい。これによれば、介護記録や介護計画に記載されるのに適した文構造を用いて好適に文章情報を作成することができる。
【0014】
更に、この場合、前記第3情報は、前記介護計画に記載される文章情報であってもよい。そして、前記制御部は、前記被介護者又はその家族からのヒアリングに基づいて該被介護者の状況を記載したモニタリング文章、及び/又は前記被介護者に対する前記介護記録に記載された文章から抽出された該被介護者の介護に関する情報を表す語彙を、特徴量としてベクトル化した介護語彙情報を生成するとともに、前記介護計画に記載される文章の雛形として予め登録された複数の計画書パターンから抽出された介護に関する情報を表す語彙を、特徴量としてベクトル化した計画書語彙情報を生成し、特徴量空間における前記介護語彙情報と前記計画書語彙情報との距離に基づいて、前記複数の計画書パターンの中から、該介護語彙情報との距離が最も近い前記計画書語彙情報が含まれる計画書パターンを選択し、前記第1情報として、選択された前記計画書パターンに基づいて定義される前記単語情報を提供してもよい。これによれば、被介護者に関する介護語彙情報との距離が最も近い計画書語彙情報が含まれる計画書パターンが選択されることで、該被介護者の状況に適した文章の雛形が用いられることと、それに基づいて定義される単語の選択により文章が自動生成されることと、により、介護計画における文章の品質のバラつきを抑制することが可能となる。
【0015】
ここで、以上に述べた情報処理装置では、前記制御部は、前記介護サービス業務において前記被介護者に対して提供されるサービス項目について、該被介護者毎のサービス利用頻度に関する情報であって、前記介護計画に記載されたサービス項目は毎回実施として、該被介護者又はその家族から要望されたサービス項目は時々実施として、定義される頻度情報を更に取得してもよい。そして、前記第1情報として前記サービス項目を提供するときに、該サービス項目の前記頻度情報が前記毎回実施である場合には、該サービス項目を前記インタフェースにおいて所定の第1状態で強調表示して前記第1情報として提供し、該サービス項目の前記頻度情報が前記時々実施である場合には、該サービス項目を前記インタフェースにおいて所定の第2状態で強調表示して前記第1情報として提供してもよい。これによれば、第1介護ユーザは、どの被介護者に対してどのサービス項目を提供すべきかを一目瞭然で確認することができ、以て、提供すべきサービス項目が実施されないといった業務ミスを可及的に抑制することができる。
【0016】
また、本開示の情報処理装置において、前記第2情報は、前記第1介護ユーザのユーザ端末に前記介護記録として入力された前記介護サービス業務の開始報告又は終了報告であってもよい。そして、前記制御部は、前記開始報告又は前記終了報告がなされたときの前記ユーザ端末の位置情報に基づいて前記第1介護ユーザの現在地を取得するとともに、予め登録された前記被介護者の住所に基づいて前記介護サービス業務の提供予定地を取得し、前記第3情報として、前記現在地と前記提供予定地との間の距離情報と、該距離情報に基づく所定の判定情報と、を生成してもよい。これによれば、第2介護ユーザは、仮に、第1介護ユーザが、被介護者に対する介護サービス業務を行っていないにもかかわらず不正の虚偽報告を行ったような場合に、それを容易に把握することができる。その結果、介護サービス事業者が、実際に実施した介護内容に基づいて正しく保険請求することが可能になり、以て、適正な介護サービス業務を実現することができる。
【0017】
また、本開示は、コンピュータによる情報処理方法の側面から捉えることができる。すなわち、本開示の情報処理方法は、介護サービス業務に用いられる情報処理方法であって、コンピュータが、前記介護サービス業務を提供するユーザのうち被介護者を介護するユーザを含んだ第1介護ユーザに対して、所定のインタフェースを介して所定の第1情報を提供することと、前記第1介護ユーザから前記インタフェースを介して介護記録又は介護計画に関する第2情報を取得することと、前記第2情報に基づいて、所定の第3情報を生成することと、前記介護サービス業務を提供するユーザのうち前記第1介護ユーザを管理するユーザを含んだ第2介護ユーザに対して、前記第3情報を提供することと、を実行する。ここで、前記第3情報は、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章情報であって、前記コンピュータは、前記第1情報として、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章に含まれる単語情報を提供し、前記第2情報として、前記第1介護ユーザによる前記単語情報の選択を取得し、前記第3情報として、前記第1介護ユーザによって選択された前記単語情報に基づいて、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章情報を生成してもよい。また、前記第2情報は、前記第1介護ユーザのユーザ端末に前記介護記録として入力された前記介護サービス業務の開始報告又は終了報告であって、前記コンピュータは、前記開始報告又は前記終了報告がなされたときの前記ユーザ端末の位置情報に基づいて前記第1介護ユーザの現在地を取得するとともに、予め登録された前記被介護者の住所に基づいて前記介護サービス業務の提供予定地を取得し、前記第3情報として、前記現在地と前記提供予定地との間の距離情報と、該距離情報に基づく所定の判定情報と、を生成してもよい。
【0018】
また、本開示は、情報処理プログラムの側面から捉えることができる。すなわち、本開示の情報処理プログラムは、介護サービス業務に用いられる情報処理プログラムであって、コンピュータに、前記介護サービス業務を提供するユーザのうち被介護者を介護するユーザを含んだ第1介護ユーザに対して、所定のインタフェースを介して所定の第1情報を提供することと、前記第1介護ユーザから前記インタフェースを介して介護記録又は介護計画に関する第2情報を取得することと、前記第2情報に基づいて、所定の第3情報を生成することと、前記介護サービス業務を提供するユーザのうち前記第1介護ユーザを管理するユーザを含んだ第2介護ユーザに対して、前記第3情報を提供することと、を実行させる。ここで、前記第3情報は、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章情報であって、前記コンピュータに、前記第1情報として、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章に含まれる単語情報を提供させ、前記第2情報として、前記第1介護ユーザによる前記単語情報の選択を取得させ、前記第3情報として、前記第1介護ユーザによって選択された前記単語情報に基づいて、前記介護記録又は前記介護計画に記載される文章情報を生成させてもよい。また、前記第2情報は、前記第1介護ユーザのユーザ端末に前記介護記録として入力された前記介護サービス業務の開始報告又は終了報告であって、前記コンピュータに、前記開始報告又は前記終了報告がなされたときの前記ユーザ端末の位置情報に基づいて前記第1介護ユーザの現在地を取得させるとともに、予め登録された前記被介護者の住所に基づいて前記介護サービス業務の提供予定地を取得させ、前記第3情報として、前記現在地と前記提供予定地との間の距離情報と、該距離情報に基づく所定の判定情報と、を生成させてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、介護サービス業務において効率化と品質向上とを図ることができ、以て、適正で効率的な介護サービス業務を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態における情報処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態における、情報処理システムに含まれるサーバの構成要素をより詳細に示すとともに、サーバと通信を行うユーザ端末の構成要素を示した図である。
【
図3】第1実施形態における情報処理システムの動作の流れを例示する図である。
【
図4】第1介護ユーザが被介護者に提供した介護サービス業務を記録するためのインタフェースで表示される画面を例示する図である。
【
図5】サーバから第1介護ユーザのユーザ端末に送信された単語情報に基づく単語の選択肢の提示画面を例示する図である。
【
図6】単語の選択肢の提示画面において「食事」が選択された状態を表す図である。
【
図7】介護記録に記載される文章情報を生成するためにサーバの制御部が行う処理フローを示すフローチャートである。
【
図8】サーバから第1介護ユーザのユーザ端末に送信された単語候補に関する単語情報に基づく単語の選択肢の提示画面を例示する図である。
【
図9】生成された文章情報の表示画面を例示する図である。
【
図10】第1実施形態の変形例における情報処理システムの動作の流れを例示する図である。
【
図11】第2実施形態における情報処理システムの動作の流れを例示する図である。
【
図12】第2介護ユーザが、第1介護ユーザによる業務報告に対する判定情報を確認するためのインタフェースで表示される画面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0022】
<第1実施形態>
第1実施形態における情報処理システムの概要について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態における情報処理システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る情報処理システム100は、ネットワーク200と、サーバ300と、ユーザ端末400と、を含んで構成される。なお、本開示の情報処理システムは、介護サービス業務に用いられるシステムであって、本実施形態では、特に、介護記録の作成に用いられる。
【0023】
ネットワーク200は、例えば、IPネットワークである。ネットワーク200は、IPネットワークであれば、無線であっても有線であっても無線と有線の組み合わせであってもよく、例えば、無線による通信であれば、ユーザ端末400は、無線LANアクセスポイント(不図示)にアクセスし、LANやWANを介してサーバ300と通信してもよい。また、ネットワーク200は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網や、光回線、ADSL回線、衛星通信網などであってもよい。
【0024】
サーバ300は、ネットワーク200を介して、ユーザ端末400と接続される。なお、
図1において、説明を簡単にするために、サーバ300は1台、ユーザ端末400は4台示してあるが、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0025】
サーバ300は、データの取得、生成、更新等の演算処理及び加工処理のための処理能力のあるコンピュータ機器であればどの様な電子機器でもよく、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、メインフレーム、その他電子機器であってもよい。すなわち、サーバ300は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、あるいは、CDやDVDのようなディスク記録媒体であってもよい。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納されている。
【0026】
また、サーバ300は、本実施形態に係る情報処理システム100専用のソフトウェアやハードウェア、OS等を設けずに、クラウドサーバによるSaaS(Software as a Service)、Paas(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)を適宜用いてもよい。
【0027】
ユーザ端末400は、情報処理システム100を利用するユーザが保有する携帯端末等の電子機器であればよく、例えば、携帯端末、タブレット端末、スマートフォン、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ等、その他端末機器であってもよい。
【0028】
次に、
図2に基づいて、主にサーバ300の構成要素の詳細な説明を行う。
図2は、第1実施形態における、情報処理システム100に含まれるサーバ300の構成要素をより詳細に示すとともに、サーバ300と通信を行うユーザ端末400の構成要素を示した図である。
【0029】
サーバ300は、機能部として通信部301、記憶部302、制御部303を有しており、補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各機能部等が制御されることによって、各機能部における所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0030】
ここで、通信部301は、サーバ300をネットワーク200に接続するための通信インタフェースである。通信部301は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。サーバ300は、通信部301を介して、ユーザ端末400やその他の外部装置と通信可能に接続される。
【0031】
記憶部302は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部303によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部303において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。また、記憶部302は、ユーザ端末400等から送信されたデータを記憶する。なお、サーバ300は、通信部301を介してユーザ端末400等から送信されたデータを取得する。更に、記憶部302には、後述する単語情報、句構造データ、文構造データが記憶される。
【0032】
制御部303は、サーバ300が行う制御を司る機能部である。制御部303は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。制御部303は、更に、第1提供部3031と、取得部3032と、生成部3033と、第2提供部3034と、の4つの機能部を有して構成される。各機能部は、記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0033】
第1提供部3031は、第1介護ユーザに対して、所定のインタフェースを介して第1情報を提供する。詳しくは、第1提供部3031は、サーバ300の通信部301を介して第1情報を第1介護ユーザのユーザ端末400に送信する。ここで、本実施形態における第1介護ユーザは、情報処理システム100を用いて介護サービス業務を提供するユーザであって、被介護者を実際に介護する介護スタッフである。また、本実施形態における第1情報は、介護記録に記載される文章に含まれる単語情報である。そして、このような単語情報は、サーバ300から送信され、第1介護ユーザのユーザ端末400に予めインストールされた所定のアプリによって提供されるインタフェースを用いて表示される。なお、単語情報は、予め設定されてサーバ300の記憶部302に記憶される。
【0034】
ここで、本実施形態におけるユーザ端末400は、機能部として通信部401、入出力部402、記憶部403を有している。通信部401は、ユーザ端末400をネットワーク200に接続するための通信インタフェースであり、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。入出力部402は、通信部401を介して外部から送信されてきた情報等を表示させたり、通信部401を介して外部に情報を送信する際に当該情報を入力したりするための機能部である。記憶部403は、サーバ300の記憶部302と同様に主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。
【0035】
入出力部402は、更に、表示部4021、操作入力部4022、画像・音声入出力部4023を有している。表示部4021は、各種情報を表示する機能を有し、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等により実現される。操作入力部4022は、ユーザからの操作入力を受け付ける機能を有し、具体的には、タッチパネル等のソフトキーあるいはハードキーにより実現される。画像・音声入出力部4023は、静止画や動画等の画像の入力を受け付ける機能を有し、具体的には、Charged-Coupled Devices(CCD)、Metal-oxide-semiconductor(MOS)あるいはComplementary Metal-Oxide-Semiconductor(CMOS)等のイメージセンサを用いたカメラにより実現される。また、画像・音声入出力部4023は、音声の入出力を受け付ける機能を有し、具体的には、マイクやスピーカーにより実現される。
【0036】
第1介護ユーザは、このように構成されたユーザ端末400を用いて、第1提供部3031によって提供された単語情報を確認することができる。
【0037】
そして、取得部3032は、第1介護ユーザから上記のインタフェースを介して介護記録に関する第2情報を取得する。詳しくは、取得部3032は、第1介護ユーザのユーザ端末400から送信された第2情報を取得する。ここで、本実施形態における第2情報は、第1介護ユーザによる単語情報の選択である。第1介護ユーザが、上記のインタフェースを介してユーザ端末400の表示部4021に表示された単語情報から所定の単語を選択すると、その情報がユーザ端末400からサーバ300に送信されることで、取得部3032が第1介護ユーザによる単語情報の選択を取得する。なお、取得部3032が取得した第1介護ユーザによる単語情報の選択(後述する、選択された単語情報を含んだノードを含む。)は、サーバ300の記憶部302に記憶される。
【0038】
そして、生成部3033は、第2情報に基づいて第3情報を生成する。詳しくは、生成部3033は、取得部3032によって取得されサーバ300の記憶部302に記憶された第1介護ユーザによる単語情報の選択に基づいて、第3情報である介護記録に記載される文章情報を生成する。ここで、生成部3033によって生成される文章情報は、単語情報を含んだノードの組合せによって構成されるが、その詳細については後述する。
【0039】
そして、第2提供部3034は、第2介護ユーザに対して、第3情報を提供する。詳しくは、第2提供部3034は、サーバ300の通信部301を介して第3情報を第2介護ユーザのユーザ端末400に送信する。ここで、本実施形態における第2介護ユーザは、情報処理システム100を用いて介護サービス業務を提供するユーザであって、第1介護ユーザを管理するサービス管理者である。そして、第3情報である介護記録に記載される文章情報は、サーバ300から送信され、第2介護ユーザのユーザ端末400に表示される。
【0040】
なお、制御部303が、第1提供部3031、取得部3032、生成部3033、および第2提供部3034の処理を実行することで、本開示に係る制御部として機能する。
【0041】
ここで、本実施形態における情報処理システム100の動作の流れについて説明する。
図3は、本実施形態における情報処理システム100の動作の流れを例示する図である。
図3では、本実施形態における情報処理システム100におけるサーバ300とユーザ端末400との間の動作の流れ、およびサーバ300とユーザ端末400とが実行する処理を説明する。
【0042】
本実施形態では、先ず、サーバ300によって、介護記録に記載される文章に含まれる単語情報が提供される(S101)。そして、この単語情報は、サーバ300から第1介護ユーザのユーザ端末400に送信される。
【0043】
第1介護ユーザのユーザ端末400は、サーバ300から送信された単語情報を取得する(S102)。
【0044】
ここで、上述したように、第1介護ユーザのユーザ端末400には、所定のアプリが予めインストールされていて、該アプリによって提供されるインタフェースを用いて、サーバ300から送信された種々の情報が表示される。
図4は、第1介護ユーザが被介護者に提供した介護サービス業務を記録するためのインタフェースで表示される画面を例示する図である。
図4に例示する画面SC1は第1介護ユーザのユーザ端末400の表示部4021に表示され、画面SC1には、実施項目の選択フィールドSC110、健康状態の入力フィールドSC120、その他の入力フィールドSC130、および業務終了ボタンSC140が示される。
【0045】
そして、本実施形態では、サーバ300は、介護サービス業務において被介護者に対して提供されるサービス項目について、被介護者毎のサービス利用頻度に関する頻度情報を更に取得する。ここで、上記の頻度情報は、被介護者毎のサービス利用頻度に関する情報であって、介護計画に記載されたサービス項目は毎回実施として、被介護者又はその家族から要望されたサービス項目は時々実施として、定義される。なお、サーバ300は、例えば、第2介護ユーザのユーザ端末400を介して直接入力された頻度情報を取得してもよいし、第2介護ユーザのユーザ端末400を介して入力された介護計画等の情報から自動で抽出することで頻度情報を取得してもよい。そして、サーバ300は、上記のサービス項目を第1介護ユーザのユーザ端末400に提供するときに、該サービス項目の頻度情報が毎回実施である場合には、該サービス項目を上記のインタフェースにおいて所定の第1状態で強調表示して提供し、該サービス項目の頻度情報が時々実施である場合には、該サービス項目を上記のインタフェースにおいて所定の第2状態で強調表示して提供する。
【0046】
そうすると、
図4に示すように、例えば、実施項目の選択フィールドSC110では、頻度情報が毎回実施である「環境整備」の選択ボタンSC111が、所定の第1状態で強調表示され、頻度情報が時々実施である「相談援助」の選択ボタンSC112が、所定の第2状態で強調表示される。ここで、上記の第1状態は、例えば、ボタンの色付け且つ太枠表示であって、上記の第2状態は、例えば、ボタンの色付けである。ただし、これに限定する意図はなく、第1状態が赤色表示、第2状態が黄色表示などであってもよい。なお、頻度情報が定義されていない「情報収集・提供」の選択ボタンSC113は、強調表示されない。そして、健康状態の入力フィールドSC120でも同様に、頻度情報に基づいて強調表示される。例えば、頻度情報が毎回実施である「顔色」の入力では、「顔色」が上記の第1状態で強調表示され、これに対応する入力項目SC121(「良」または「不良」)の入力が促される。また、頻度情報が毎回実施である「体温」の入力では、「体温」が上記の第1状態で強調表示され、これに対応する入力項目SC122の入力が促される。
【0047】
そして、このようなインタフェースでは、第1介護ユーザは、被介護者に提供した介護サービスの記録を入力し終えると業務終了ボタンSC140を押下することで、その記録をサーバ300に送信することができる。このとき、頻度情報が毎回実施であるサービス項目の記録がない場合には、上記のインタフェースに所定の警告が表示されることで、該サービス項目の記録を促すことができる。
【0048】
そして、被介護者毎に、サービス項目の頻度情報に基づいて提供すべきサービス項目が強調表示されることによれば、第1介護ユーザは、どの被介護者に対してどのサービス項目を提供すべきかを一目瞭然で確認することができ、以て、提供すべきサービス項目が実施されないといった業務ミスを可及的に抑制することができる。また、上記によれば、仮に、急なシフト変更等により普段その被介護者を対応していない第1介護ユーザが介護サービス業務を提供するような場合や、業務に不慣れな第1介護ユーザが介護サービス業務を提供するような場合に、該第1介護ユーザが該被介護者に対してどのようなサービス項目を提供すべきかを把握し易くなるため、業務の効率化が図られる。
【0049】
そして、
図3に戻って、第1介護ユーザのユーザ端末400において、第1介護ユーザによって単語が選択される(S103)。これについて、
図4および
図5に基づいて説明する。第1介護ユーザのユーザ端末400の表示部4021に上記の
図4に示した画面SC1が表示されると、第1介護ユーザは、例えば、「環境整備」の選択ボタンSC111を押下することで、環境整備に関する実施項目を入力することができる。
【0050】
ここで、
図5は、サーバ300から第1介護ユーザのユーザ端末400に送信された単語情報に基づく単語の選択肢の提示画面を例示する図である。
図5に例示する画面SC2は第1介護ユーザのユーザ端末400の表示部4021に表示され、画面SC2には、単語の選択フィールドSC21、および「次に進む」ボタンSC22が示される。ここで、単語の選択フィールドSC21に表示される単語は、介護記録に記載される文章に含まれる単語であって、第1介護ユーザは、単語の選択フィールドSC21に表示される単語を選択していくことで、介護記録に記載される文章を簡単に作成することができる。例えば、第1介護ユーザが食事に関するサービスを実施した場合には、第1介護ユーザは、
図6に示すように、「食事」の選択肢を選択して「次に進む」ボタンSC22を押下することで、選択した単語情報をサーバ300に送信することができる。なお、
図6は、単語の選択肢の提示画面において「食事」が選択された状態を表す図である。
【0051】
そして、
図3に戻って、サーバ300は、第1介護ユーザのユーザ端末400から送信された情報を取得する(S104)。なお、取得した情報は、記憶部302に記憶される。そして、サーバ300は、第1介護ユーザによる単語情報の選択に基づいて、介護記録に記載される文章情報を生成する(S105)。これについて、
図7から
図9に基づいて説明する。
【0052】
図7は、介護記録に記載される文章情報を生成するためにサーバ300の制御部303が行う処理フローを示すフローチャートである。本実施形態では、S104の処理の後に本フローの実行が開始される。
【0053】
本フローでは、先ず、S1051において、第1介護ユーザによって選択された単語情報について、直後に続く単語の候補である単語候補が検索される。なお、接続される単語の組がデータベース化されてサーバ300の記憶部302に記憶されていて、サーバ300の制御部303は、これを用いて、単語候補を検索することができる。
【0054】
次に、S1052において、単語候補が有るか否かが判別される。そして、S1052において肯定判定された場合、制御部303はS1053の処理へ進み、S1052において否定判定された場合、制御部303はS1054の処理へ進む。
【0055】
S1052において肯定判定された場合、次に、S1053において、句構造データが検索される。ここで、句構造データは、単語候補に文として接続するための品詞を含んだデータであって、サーバ300の記憶部302には、接続される単語の組に対応した句構造データが記憶されている。そして、制御部303は、第1介護ユーザによって選択された単語情報について、その単語の直後に続く単語との接続に基づいて検索された句構造データを付加することで、単語情報と句構造データとを含んだノードを生成する。
【0056】
そして、S1053の処理の後、本フローの実行は終了され、上記の
図3に示したS101の処理へ戻る。そうすると、サーバ300は、S101の処理において、上記の単語候補に関する単語情報を第1介護ユーザのユーザ端末400に提供する。そして、サーバ300は、S104の処理において、第1介護ユーザによって選択された単語の情報を取得する。このようにして、サーバ300は、単語候補に関する単語情報の提供と、選択された単語の情報の取得と、を繰り返す。
【0057】
ここで、上記の
図6に示した第1介護ユーザが食事に関するサービスを実施した場合の例について、
図8に基づいて詳しく説明する。
図8は、サーバ300から第1介護ユーザのユーザ端末400に送信された単語候補に関する単語情報に基づく単語の選択肢の提示画面を例示する図である。
図8(a)、(b)に例示する画面SC2には、単語の選択フィールドSC21、および「次に進む」ボタンSC22が示され、
図8(c)に例示する画面SC2には、単語の選択フィールドSC21、および完了ボタンSC23が示される。
図8に示す例では、「食事」に続く単語候補として検索された「準備」、「提供」等が単語情報として提供され、第1介護ユーザが「提供」を選択して「次に進む」ボタンSC22を押下すると(
図8(a))、この「提供」に続く単語候補として検索された「食べ残し」等が次の単語情報として提供される。そして、「食べ残し」に続く単語候補として、「あり」、「なし」が検索されることになるが、これら単語候補は文の終端として定義されている。この場合、
図8(c)に示すように、第1介護ユーザは、例えば、「なし」を選択して完了ボタンSC23を押下することで、上記の
図3および
図7における所定の処理が繰り返し実行される中での単語の選択を完了させることができる。
【0058】
そして、
図7に戻って、文の終端として定義されている単語候補が第1介護ユーザによって選択された場合には、S1051の処理において次の単語候補が見つからないことになるため、S1052において否定判定されることになる。そして、このように、S1052において否定判定された場合、次に、S1054において、ノードを組合せて文構造が生成される。例えば、上記の
図6および
図8に示した例を参照して説明すると、「食事」および「提供」が選択されているため、「食事」に句構造データとして「を」が付加され、「食事を提供」という文構造が生成される。また、「提供」、「食べ残し」、および「なし」が選択されているため、「提供」に句構造データとして「しました。」が、「食べ残し」に句構造データとして「は、」が付加され、「提供しました。食べ残しは、ありませんでした。」という文構造が生成される。
【0059】
次に、S1055において、S1054の処理で生成した文構造について、文構造データと照合される。ここで、サーバ300の記憶部302には、介護記録に記載される文章に含めるのに適した文構造データが記憶されていて、サーバ300の制御部303は、ノードの組合せによって構成される文構造について、この文構造データと比較し該文構造データにマッチする文構造を照合する。これにより、介護記録に記載されるのに適した文構造を用いることが可能となる。
【0060】
そして、S1056において、S1055の処理において照合された文構造データにマッチする文構造を用いて、介護記録に記載される文章情報が生成される。ここで、
図9は、生成された文章情報の表示画面を例示する図である。S1056の処理において生成された文章情報は、サーバ300から第1介護ユーザのユーザ端末400に送信されることで、該ユーザ端末400の表示部4021に表示されてもよい。
図9に例示する画面SC3には、文章情報の表示フィールドSC31、「やり直す」ボタンSC32、および確認ボタンSC33が示される。そして、文章情報の表示フィールドSC31には、「食事を提供しました。食べ残しは、ありませんでした。」との文章情報が表示される。第1介護ユーザは、このような文章情報を確認し確認ボタンSC33を押下することで、その確認結果をサーバ300に送信してもよい。そして、S1056の処理の後、本フローの実行は終了され、上記の
図3に示したS106の処理へ進む。
【0061】
そして、
図3に戻って、サーバ300によって、介護記録に記載される文章情報が提供される(S106)。そして、この文章情報は、サーバ300から第2介護ユーザのユーザ端末400に送信される。
【0062】
第2介護ユーザのユーザ端末400は、サーバ300から送信された文章情報を取得する(S107)。そうすると、第2介護ユーザは、自身のユーザ端末400を介して、第1介護ユーザが介護サービス業務として提供したサービス項目について介護記録に記載される文章情報を確認することができる。なお、サーバ300から第2介護ユーザのユーザ端末400への文章情報の送信は、第1介護ユーザが、被介護者に提供した介護サービスの記録を入力し終え、上記の
図4に示した業務終了ボタンSC140を押下したタイミングで行われてもよい。これによれば、第2介護ユーザは、第1介護ユーザが被介護者に対して介護サービスを提供し終えたタイミングにおいて、介護記録に記載される程度に正確に記載された文章情報やその他の介護内容に基づいて、即座に被介護者の状況を確認することができる。そのため、仮に、被介護者の状況に懸念がみられる場合には、可及的速やかに第1介護ユーザに対して追加の介護や確認等を指示することが可能になり、以て、業務の効率化とサービス品質の向上とを図ることができる。
【0063】
そして、以上に述べた処理によれば、第1介護ユーザは、単語を選択していくのみで介護記録に記載される程度に正確に記載された文章情報を作成することができるため、介護記録における報告文章の品質のバラつきを抑制することが可能となる。特に、第1介護ユーザが、業務に不慣れな介護スタッフや日本語の文章の作成に不慣れな外国人スタッフであるような場合であっても、一定の品質を担保した介護記録を作成することが可能となる。また、従来技術では、介護サービスを提供しながら合間を見計らって記録作業を行うことが大きな負担となっていたが、上記の処理によれば、介護記録に記載される文章を簡単に作成することができ記録作業を短縮することができるため業務の効率化が図られるとともに、第1介護ユーザが介護サービスの提供に集中することができるためサービス品質の向上が図られる。更に、第2介護ユーザにとっては、第1介護ユーザからの報告文章の品質のバラつきが抑制されることで、その確認作業の負担が軽減され、以て、業務の効率化が図られる。
【0064】
なお、本実施形態では、サーバ300の制御部303が、上記に説明した、第1提供部3031、取得部3032、生成部3033、および第2提供部3034の処理を実行する例について説明したが、これに限定する意図はない。例えば、第1介護ユーザのユーザ端末400が制御部を備え、該制御部が、上記に説明した、第1提供部3031、取得部3032、生成部3033、および第2提供部3034の処理を実行してもよい。
【0065】
以上に述べた情報処理システム100によれば、介護サービス業務において効率化と品質向上とを図ることができ、以て、適正で効率的な介護サービス業務を実現することができる。
【0066】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態の変形例における情報処理システムについて、
図10に基づいて説明する。上記の第1実施形態では、情報処理システム100によって介護記録の文章情報が生成される例を説明したが、本変形例では、情報処理システム100によって介護計画の文章情報が生成される例について説明する。なお、本変形例では、第1介護ユーザは、情報処理システム100を用いて介護サービス業務を提供するユーザであって、介護施設等で業務に従事する一般のスタッフである。
【0067】
ここで、従来技術によれば、介護サービス業務の事業者は、ケアマネージャーが作成したケアプランに基づいて、被介護者の目標を達成するために、在宅や介護施設等で提供可能な介護サービスと比較しながら、どのような介護サービスを提供すべきかを判断して介護計画書を作成している。そして、このようにして作成された介護計画書に基づいて介護サービス業務が提供されるため、介護計画書は正しい文章で記載されている必要がある。そうすると、従来技術によれば、このような介護計画書の作成業務が、例えば、サービス管理者である第2介護ユーザに集中してしまう傾向にあり、業務の効率化の障害となっていた。一方で、例えば、一般のスタッフである第1介護ユーザが介護計画書を作成する場合には、従来技術によれば、所定の品質を担保した介護計画書の作成が困難となり得る。そのため、作成者が一般のスタッフである第1介護ユーザであっても、一定の品質を担保した介護計画書を効率的に作成することができる技術が望まれていた。
【0068】
そこで、本変形例に係るサーバ300の制御部303は、被介護者又はその家族からのヒアリングに基づいて該被介護者の状況を記載したモニタリング文章、及び/又は被介護者に対する介護記録に記載された文章から抽出された該被介護者の介護に関する情報を表す語彙を、特徴量としてベクトル化した介護語彙情報を生成する。また、制御部303は、介護計画に記載される文章の雛形として予め登録された複数の計画書パターンから抽出された介護に関する情報を表す語彙を、特徴量としてベクトル化した計画書語彙情報を生成する。なお、上記のベクトル化は、周知の自然言語処理技術に基づいて実行され得る。
【0069】
そして、制御部303は、特徴量空間における介護語彙情報と計画書語彙情報との距離に基づいて、複数の計画書パターンの中から、該介護語彙情報との距離が最も近い計画書語彙情報が含まれる計画書パターンを選択し、選択された計画書パターンに基づいて定義される単語情報を第1介護ユーザに提供する。
【0070】
ここで、本変形例における情報処理システム100の動作の流れについて説明する。
図10は、本変形例における情報処理システム100の動作の流れを例示する図である。
図10では、本変形例における情報処理システム100におけるサーバ300とユーザ端末400との間の動作の流れ、およびサーバ300とユーザ端末400とが実行する処理を説明する。なお、
図10に示す各処理において、上記の
図3に示した処理と実質的に同一の処理については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0071】
図10に示す例では、サーバ300は、介護計画に記載される文章に含まれる単語情報を提供する前に、計画書パターンを選択するための各処理を実行する。
【0072】
詳しくは、サーバ300によって、介護語彙情報が生成される(S201)。ここで、サーバ300の記憶部302には、上記のモニタリング文章や介護記録が予め記憶されていて、サーバ300の制御部303は、これら文章から、その被介護者の介護に関する情報を表す語彙を抽出する。このとき、制御部303は、上記の文章を周知の形態素解析技術で単語に分割したうえで、上記の語彙を抽出することができる。そして、制御部303は、抽出された語彙を周知の自然言語処理技術に基づいてベクトル化することで、上記の介護語彙情報を生成することができる。
【0073】
次に、サーバ300によって、計画書語彙情報が生成される(S202)。ここで、サーバ300の記憶部302には、介護計画に記載される文章の雛形として複数の計画書パターンが予め記憶されていて、サーバ300の制御部303は、これら文章から介護に関する情報を表す語彙を抽出する。このとき、制御部303は、上記の文章を周知の形態素解析技術で単語に分割したうえで、上記の語彙を抽出することができる。そして、制御部303は、抽出された語彙を周知の自然言語処理技術に基づいてベクトル化することで、上記の計画書語彙情報を生成することができる。
【0074】
そうすると、サーバ300は、特徴量空間における介護語彙情報と計画書語彙情報との距離に基づいて、計画書パターンを選択することができる(S203)。ここで、上記の介護語彙情報や計画書語彙情報は、特徴量としてベクトル化されているので、その特徴量空間において、例えば、ディープラーニングにより生成されるニューラルネットワークモデルを用いて、介護語彙情報と計画書語彙情報との類似度を算出するための事前学習モデルが構築されてもよい。この場合、事前学習モデルがサーバ300の記憶部302に予め記憶され、サーバ300の制御部303は、この事前学習モデルを用いて、複数の計画書パターンの中から、介護語彙情報との距離が最も近い計画書語彙情報が含まれる計画書パターンを選択することができる。
【0075】
そして、このようにして計画書パターンが選択されると、次に、S101の処理において、サーバ300によって、選択された計画書パターンに基づいて定義される単語情報が第1介護ユーザに提供される。そうすると、第1介護ユーザに単語の選択によって(S103)、被介護者の状況に適した介護計画の文章が一定の品質を担保したうえで自動生成され(S105)、第2介護ユーザがその文章情報を取得することができる(S107)。
【0076】
これによれば、被介護者に関する介護語彙情報との距離が最も近い計画書語彙情報が含まれる計画書パターンが選択されることで、該被介護者の状況に適した文章の雛形が用いられることと、それに基づいて定義される単語の選択により文章が自動生成されることと、により、介護計画における文章の品質のバラつきを抑制することが可能となる。そうすると、作成者が一般のスタッフである第1介護ユーザであっても、一定の品質を担保した介護計画書を効率的に作成することができる。一方、第2介護ユーザの作業は、サーバ300から送信された文章情報を確認することが主となるため、第2介護ユーザの負担が軽減され業務の効率化が図られる。また、仮に、介護計画の内容に懸念がみられる場合には、第2介護ユーザが可及的速やかに第1介護ユーザに対して確認や修正等を指示することが可能になり、以て、業務の効率化が図られる。
【0077】
そして、以上に述べた情報処理システム100によっても、介護サービス業務において効率化と品質向上とを図ることができ、以て、適正で効率的な介護サービス業務を実現することができる。
【0078】
<第2実施形態>
第2実施形態における情報処理システムについて、
図11および
図12に基づいて説明する。上記の第1実施形態では、情報処理システム100によって介護記録の文章情報が生成される例を説明したが、本実施形態では、この介護記録の入力において介護サービス業務の開始報告又は終了報告がなされたときの処理について説明する。
【0079】
ここで、介護サービス業務を提供する介護サービス事業者は、実際に実施した介護内容に基づいて正しく保険請求書(レセプト)を発行し保険請求する必要がある。仮に、不正の意思をもった第1介護ユーザが、被介護者に対する介護サービス業務を行っていないにもかかわらず介護記録の業務報告をしたとすると、虚偽の報告に基づいて保険請求してしまう事態が生じ得る。そして、第1介護ユーザが被介護者に対して在宅介護サービスを提供する場合には、第2介護ユーザが上記のような不正を見抜くのが困難となり得る。
【0080】
そこで、本実施形態に係るサーバ300の制御部303は、第1介護ユーザのユーザ端末400において介護サービス業務の開始報告又は終了報告がなされたときの該ユーザ端末400の位置情報に基づいて該第1介護ユーザの現在地を取得するとともに、予め登録された被介護者の住所に基づいて該介護サービス業務の提供予定地を取得する。そして、制御部303は、上記の現在地と提供予定地との間の距離情報と、該距離情報に基づく所定の判定情報と、を生成する。
【0081】
ここで、本実施形態における情報処理システム100の動作の流れについて説明する。
図11は、本実施形態における情報処理システム100の動作の流れを例示する図である。
図11では、本実施形態における情報処理システム100におけるサーバ300とユーザ端末400との間の動作の流れ、およびサーバ300とユーザ端末400とが実行する処理を説明する。
【0082】
図11に示す例では、先ず、第1介護ユーザのユーザ端末400に、介護記録として介護サービス業務の開始報告が入力される(S301)。ここで、第1介護ユーザは、例えば、上記の
図4に示したようなインタフェースを用いて上記の開始報告を入力することができる。なお、この場合、上記のインタフェースには、業務開始ボタンが設けられる。そして、第1介護ユーザのユーザ端末400に介護記録として入力された介護サービス業務の開始報告に関する情報は、第1介護ユーザのユーザ端末400からサーバ300に送信される。
【0083】
サーバ300は、第1介護ユーザのユーザ端末400から送信された情報を取得する(S302)。このとき、サーバ300は、上記の開始報告が入力されたときの第1介護ユーザのユーザ端末400の位置情報を取得する。そして、サーバ300は、この位置情報に基づいて第1介護ユーザの現在地を取得する(S303)。なお、本実施形態では、第1介護ユーザのユーザ端末400は、機能部としての位置情報取得部を有している。この位置情報取得部は、ユーザ端末400の現在位置を取得する手段であり、典型的には、GPS衛星信号を受信して位置情報を求めるGPS(Global Positioning System)装置である。
【0084】
また、サーバ300の記憶部302には、介護サービス業務の提供を受ける被介護者の住所情報が予め記憶されている。そして、サーバ300は、この住所情報に基づいて介護サービス業務の提供予定地を取得する(S304)。ここで、サーバ300は、S302の処理において第1介護ユーザを識別するための識別情報を取得し、上記の住所情報の中から該第1介護ユーザと対応付けられた被介護者の住所情報を検索することで、上記の提供予定地を取得することができる。
【0085】
次に、サーバ300は、S303の処理で取得した現在地と、S304の処理で取得した提供予定地と、に基づいて、これらの間の距離情報を算出する(S305)。そして、この距離情報に基づく所定の判定情報を生成する(S306)。ここで、上記の判定情報とは、第1介護ユーザが被介護者に対して介護サービス業務を行うことができるか否かを判定するための情報であって、例えば、上記の現在地と提供予定地とが500mを超えて離れている場合には、第1介護ユーザが被介護者に対して介護サービス業務を行うことができないと判別される。
【0086】
そして、サーバ300によって、上記の距離情報および判定情報が提供される(S307)。そして、これら情報は、サーバ300から第2介護ユーザのユーザ端末400に送信される。
【0087】
第2介護ユーザのユーザ端末400は、サーバ300から送信された上記の情報を取得する(S308)。そうすると、第2介護ユーザは、自身のユーザ端末400を介して、第1介護ユーザからの介護サービス業務の開始報告又は終了報告に不正がないかを確認することができる。
【0088】
図12は、第2介護ユーザが、第1介護ユーザによる業務報告に対する判定情報を確認するためのインタフェースで表示される画面を例示する図である。
図12に例示する画面は第2介護ユーザのユーザ端末400の表示部4021に表示される。
図12に示す例では、電子地図上に第1介護ユーザの現在地と提供予定地とが表示される。このとき、
図12に示すように、第1介護ユーザの現在地がアイコン表示されてもよい。ここで、半径500mという範囲が、第1介護ユーザが被介護者に対して介護サービス業務を行うことができると判別される閾値である場合、
図12に示す例では、現在地がこの範囲外である第1介護ユーザBのアイコンが警告表示される。このとき、第1介護ユーザBのアイコンに警告等の所定のメッセージが付加されてもよいし、第1介護ユーザBのアイコンが赤色で警告表示されてもよい。一方、この場合、現在地が上記の範囲内である第1介護ユーザAのアイコンは緑色で通常表示されてもよい。
【0089】
そうすると、第2介護ユーザは、上記のインタフェースを介して、第1介護ユーザによる業務報告に対する判定情報を一目瞭然で確認することができる。また、エラーリストを画面・帳票出力で確認することも可能である。これによれば、第2介護ユーザは、仮に、第1介護ユーザが、被介護者に対する介護サービス業務を行っていないにもかかわらず不正の虚偽報告を行ったような場合に、それを容易に把握することができる。また、仮に、上記のような虚偽報告がなされた場合には、第2介護ユーザが可及的速やかに第1介護ユーザに対して注意や指導等を行うことが可能となる。その結果、介護サービス事業者が、実際に実施した介護内容に基づいて正しく保険請求することが可能になり、以て、適正な介護サービス業務を実現することができる。
【0090】
そして、以上に述べた情報処理システム100によっても、介護サービス業務において効率化と品質向上とを図ることができ、以て、適正で効率的な介護サービス業務を実現することができる。
【0091】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0092】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。例えば、第1提供部3031および取得部3032をサーバ300とは別の演算処理装置に形成してもよい。このとき当該別の演算処理装置はサーバ300と好適に協働可能に構成される。また、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0093】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0094】
100・・・情報処理システム
200・・・ネットワーク
300・・・サーバ
301・・・通信部
302・・・記憶部
303・・・制御部
400・・・ユーザ端末