(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036385
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】車灯制御装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/00 20060101AFI20230307BHJP
B60Q 1/04 20060101ALI20230307BHJP
B60Q 1/20 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
B60Q1/00 C
B60Q1/04 E
B60Q1/20
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143406
(22)【出願日】2021-09-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】715000027
【氏名又は名称】井尻 正裕
(72)【発明者】
【氏名】井尻 正裕
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA03
3K339BA22
3K339CA01
3K339CA02
3K339CA11
3K339GB01
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3K339LA26
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3K339MC03
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3K339MC17
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3K339MC36
3K339MC41
3K339MC48
3K339MC59
3K339MC71
3K339MC77
3K339MC90
(57)【要約】
【課題】従来の車灯制御装置は、各種センサにより視程障害の要因である霧等の発生を予測/検知して点灯制御しているが、実際の視程を比較していないので、確実に視程が改善する車灯制御ができていない問題点がある。
【解決手段】外部環境センサである車載カメラにより撮像される連続(あるいは近接)する判定画像において、外部環境センサである車載カメラと車灯ECUを連動して、点灯制御の選択対象となるヘッドライトとフォグランプの点灯画像を判定画像として撮像し、前記判定画像の視程の画像認識を判定し、視程が最も良好な画像と同じ車灯の点灯状態に車灯を点灯制御する車灯制御装置である。本発明は、運転者等に車灯の点滅の弊害が少なく、運転者に確実に最良の視程を提供でき、自動運転等の車載カメラとオートライト機能の制御部等を流用し、プログラム変更等にて対応することも可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段である外部環境センサ、運転状況センサと、出力手段である車灯と、車灯ECUで構成される車灯制御装置であって、
前記外部環境センサである車載カメラと前記車灯ECUを連動して、
点灯制御の選択対象となる、無灯火画像、前記車灯であるヘッドライトおよび/またはフォグランプの点灯画像を判定画像として撮像し、
前記フォグランプおよび前記ヘッドライトをLEDとし、
前記車載カメラから前記車灯ECUへのタイミング信号、および/または、前記車灯ECUから前記車載カメラへのタイミング信号により、前記判定画像の撮像と前記車灯の点灯を同期し、
前記判定画像の視程の画像認識を判定し、視程が最も良好な前記判定画像と同じ車灯点灯状態に、前記車灯を点灯制御することを特徴とする車灯制御装置。
【請求項2】
前記車灯であるフォグランプの波長を、ヘッドライトの波長より長くしたことを特徴とする請求項1に記載の車灯制御装置。
【請求項3】
前記判定画像の前記車灯の照射範囲を基準にして視程の画像認識を判定する画像判定エリアを設定し、
前記車載カメラの撮像素子がCCDの場合は、前記判定画像のフレームピッチの最初から、データ伝送部または前記画像判定エリアのデータ伝送部まで、
前記車載カメラの撮像素子がCMOSの場合は、データ伝送時または前記画像判定エリアのデータ伝送時に、前記ヘッドライトおよび/または前記フォグランプを点灯制御し、点灯制御の選択対象となる前記判定画像を撮像することを特徴とする請求項1または2に記載の車灯制御装置。
【請求項4】
前記外部環境センサと前記運転状況センサからの入力情報により、視程障害モードと運転状況を予想し、変化する運転状況に対応した車灯選択と車灯選択頻度の設定を行うことを特徴とする請求項1~3に記載の車灯制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧等の視程障害発生時に、車灯制御により車載カメラで選択車灯の点灯画像を撮像し、各画像認識を比較して最長視程となる車灯を点灯する車灯制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周囲の明るさに合わせて車灯の点灯/消灯を自動的に行うオートライト機能があり、暗くなり始めて街灯がつくのとほぼ同じタイミングの明るさ(1,000ルクス未満)になれば自動点灯して、早めに点灯することで事故を防ぐ効果がある。
【0003】
周囲の明るさとは別に、霧、雨、雪等による視程障害が発生する場合がある。例えば、積もった雪が強い風で巻き上げられて起こるホワイトアウトは晴天でも発生するので、温度、湿度等の外部環境により事前に予測するのが困難なこともある。
車両の運転中に、霧、ホワイトアウト等により突然視程障害が発生し、運転が難しい状況になると、運転者は視程の改善のために、ヘッドライト(前照灯)のロービーム(すれ違い用前照灯)への切換え、あるいはフォグランプ(前部霧灯)の点灯操作を行う。
安全運転のため、運転者は車速の減速により前後の車両との追突を防止し、ガードレール、走行軌跡や車線表示等に沿って車線からの逸脱を防止し、場合によっては、車を目立つ状態にして安全な場所に退避する等の安全運転を行う必要がある。
このような一連の運転操作を適時適切に行う必要があるが、突然発生した視程障害の場合は、咄嗟に車灯の切換え操作ができない場合がある。
また、突然ではなく徐々に視程障害になる場合は、運転者の目が徐々に慣れて車灯の切換え操作タイミングが遅れる場合がある。
【0004】
可視光は約380~800nmの間で、日中は赤色光等の長波長(約700nm)の光は光源である太陽の見た目の大きさの範囲に収まり、短波長(約470nm)の青色光は大気中で散乱するため空は青く見える。
夕方になると光線の入射角が浅くなり、大気層を通過する距離が伸びるので、レイリ散乱により青色光は障害物に衝突する頻度が増し、吸収されるなどの要因から地表に到達しにくくなる。代わって黄(約580nm)、橙(約610nm)、赤などの長波長光線が散乱され、太陽が沈む(または昇る)方向の空が、夕焼け(朝焼け)として赤く見える。
霧やホワイトアウト等の悪天候時には、波長の短い青色光は水の粒に散乱して遮られ、波長の長い赤色光等はそれを通りぬけてより遠くまで届くので霧中透過性が高い。
従って、悪天候時に光の散乱による視界不良が発生する場合は、黄色等の長波長光のフォグランプは視認性を向上させる。しかし、単色光は運転者に錯覚を起こさせ、距離感がつかみにくい、あるいは特定の色が認識しにくい等の現象が発生する問題がある。
対向車、前走車に対して、フォグランプの点灯は迷惑となる場合がある。
ヘッドライトのロービーム(すれ違い用前照灯)は、ハイビーム(走行用前照灯)より照射距離が短いので、対向車や前走車のない場合は、ハイビーム走行が望ましい。
このように、外部環境や運転状況により、車灯を随時適切に制御する必要がある。
【0005】
車灯であるヘッドライトやフォグランプ等に使用されるLEDライトは、フィラメントを使用しておらず、高い発光効率や熱をあまり発生させないという特徴があり、供給電源が断続すれば、高速度で明滅することができる高応答性であり、消費電力が少なく、安全性も高い。
LED素子単体での応答速度は50~100ns(ナノ秒)であり、これは1億分の5秒~1千万分の1秒である。
人が光を見たとき、残像効果としてその光が消えた後も、それまで見ていた光や映像が残って見える時間残像現象がある。人の目の時間分解能は約50msから100ms程度であり、この時間よりも短い光の点滅は、連続点灯しているように知覚される。
例えば、地デジ放送は、単位時間(秒)あたりに処理させるフレームレートは30fps であるが、人にはスムーズな動画として見え、LED式信号機は電源周波数(50Hzまたは60Hz)に同期して点滅しているが、連続点灯しているように見える。
LEDの高い応答性と残像効果を利用したダイナミック点灯方式があり、点灯しているLEDを一定周波数で高速に点滅させて消費電力を抑制し、LEDの寿命が長くなる効果がある。
一般的な車載カメラのフレームレートは25~60fpsであり、前記LED素子単体の応答速度が50~100nsであるので、前記車載カメラの画像(60fps)の撮像時間の単純計算で16600分の1の時間でLEDを点灯制御できる。
本発明では、車灯の点灯制御と車載カメラ画像の撮像をリンクし、各車灯の点灯画像を撮像し、画像認識の視程を比較する。この各車灯の単独点灯画像を撮像するための車灯がLEDの場合は、点灯制御は前記残像効果により、運転者、歩行者等に知覚されにくい。
【0006】
ミリ波レーダは、電波であるミリ波を照射して対象物の距離や位置情報を測定するので、天候による環境変化や逆光に強いが、形やサイズなどの詳細を識別するのは困難で、電波の反射率の低いものや近距離検知に対応しづらい。
レーザ光を利用するLiDAR(ライダ)は、先行車、歩行者、建物等の距離や形状、位置関係を正確に把握することが可能であるが、測定可能距離が短く、悪天候に弱い。
運転者の目の役割をする車載カメラは、霧等の悪天候時に光の散乱による視程障害が発生し、逆光等の強い光を受けた場合や、自然光が不足する夜間やトンネル内では、正常に撮像できない問題点がある。しかし、画像認識や障害物の色を認識できるので、歩行者、道路標識、信号などを識別する重要な可視光による受光センサである。対象物の距離の測定はできないが、ステレオカメラのように、2台のカメラにより人間の目と同様に視差画像を生成して距離の簡易測定ができる。
前記各センサは、それぞれ長所短所があり、使用目的や機能等により取捨選択されるが、画像認識や障害物の色を認識できる可視光線の受光センサである車載カメラは、自動車の外部環境センサとして重要なセンサである。
【0007】
霧等の悪天候時の光の散乱による視程障害が発生する場合に、目的に合った車灯を点灯制御する下記先行技術(特許文献1~4)がある。
車載カメラによって撮像された画像の輝度の変化量を示すエッジ強度の二次元分布図を作成し、その分布図において基準エッジ強度を超えた割合を意味する強エッジ量を算出する。この強エッジ量は画像のぼけ度合いを表しており、その強エッジ量が所定の画像ぼけ判定範囲内の値である場合には、霧または雨であると考えられる。そこで、さらに、ワイパーが駆動しているかどうかを判断し、ワイパーが駆動している場合には天候は霧であると判定する車載霧状態判定装置、及びオートフォグランプシステム(特許文献1)がある。
レーザレーダ装置によって前方にレーザビームを放射し、先行車に反射して戻ってくる反射光を受光して車間距離を計測し、接近しすぎの場合には警報を発する接近警報装置を援用し、有効検知エリアからその境界付近を除外した核検知エリア内の距離データが得られた直後の計測で、有効検知エリア内の距離データが得られなくなった場合には、レーザレーダ装置の検出範囲を上側に変更させて距離計測を行い、それでもレーザレーダ装置の有効検知エリア内の距離データが計測できず、かつ有効検知エリア内の距離データが得られなくなってから一定時間が経過した時には、霧中突入と判断してフォグランプ点灯指令を出力してフォグランプを点灯させる、オートフォグランプ装置(特許文献2)がある。
フォグランプと、自動的に視界不良状態を検知する手段と、湿度検知回路と、光学的可視度検知回路を備え、それらの出力を、加算回路により結合し、この結合信号を処理して、フォグランプの点灯又は消灯を制御する霧の中で使用される照明灯・表示灯制御装置(特許文献3)がある。
電源と、電源を照明・表示ユニットに接続する制御回路とを含み、制御回路は、霧検知回路からの作動信号に応答し、照明・表示ユニットが出した光線の通路において視程が減少している場合に、霧検知回路は作動信号を発生させる霧中で使用するための照明・表示装置(特許文献4)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006-349637号公報
【特許文献2】特開平11-115623号公報
【特許文献3】特開平6-99772号公報
【特許文献4】特開平5-185873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の車灯制御装置は、各種センサにより視程障害の要因である霧等の発生を予測/検知して車灯を点灯制御しているが、実際の視程を比較していないので、最も視程が改善する車灯を選定していない場合があり、更に突然発生する視程障害に即応できない場合がある等の問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1は、入力手段である外部環境センサ、運転状況センサと、出力手段である車灯と、車灯ECUで構成される車灯制御装置であって、前記外部環境センサである車載カメラと前記車灯ECUを連動して、点灯制御の選択対象となる、無灯火画像、前記車灯であるヘッドライトおよび/またはフォグランプの点灯画像を判定画像として撮像し、前記フォグランプおよび前記ヘッドライトをLEDとし、前記車載カメラから前記車灯ECUへのタイミング信号、および/または、前記車灯ECUから前記車載カメラへのタイミング信号により、前記判定画像の撮像と前記車灯の点灯を同期し、前記判定画像の視程の画像認識を判定し、視程が最も良好な前記判定画像と同じ車灯点灯状態に、前記車灯を点灯制御することを特徴とする車灯制御装置である。
【0011】
請求項2は、前記車灯であるフォグランプの波長を、ヘッドライトの波長より長くした請求項1に記載の車灯制御装置である。
【0012】
請求項3は、前記判定画像の前記車灯の照射範囲を基準にして視程の画像認識を判定する画像判定エリアを設定し、前記車載カメラの撮像素子がCCDの場合は、前記判定画像のフレームピッチの最初から、データ伝送部または前記画像判定エリアのデータ伝送部まで、前記車載カメラの撮像素子がCMOSの場合は、データ伝送時または前記画像判定エリアのデータ伝送時に、前記ヘッドライトおよび/または前記フォグランプを点灯制御し、点灯制御の選択対象となる前記判定画像を撮像することを特徴とする請求項1または2に記載の車灯制御装置である。
【0013】
請求項4は、前記外部環境センサと前記運転状況センサからの入力情報により、視程障害モードと運転状況を予想し、変化する運転状況に対応した車灯選択と車灯選択頻度の設定を行う請求項1~3に記載の車灯制御装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1は、入力手段である外部環境センサ、運転状況センサと、出力手段である車灯と、車灯ECUで構成される車灯制御装置であって、前記外部環境センサである車載カメラと前記車灯ECUを連動して、点灯制御の選択対象となる、無灯火画像、前記車灯であるヘッドライトおよび/またはフォグランプの点灯画像を判定画像として撮像し、
前記フォグランプおよび前記ヘッドライトをLEDとし、前記車載カメラから前記車灯ECUへのタイミング信号、および/または、前記車灯ECUから前記車載カメラへのタイミング信号により、前記判定画像の撮像と前記車灯の点灯を同期し、前記判定画像の視程の画像認識を判定し、視程が最も良好な前記判定画像と同じ車灯点灯状態に、前記車灯を点灯制御することを特徴とする車灯制御装置である。
本発明の車灯制御装置は、自動車に備えられた車載カメラの画像認により、視程障害発生時の実際の視程を比較判定するので、運転者に適時、実際に最良の視程を提供できる効果がある。
本発明の車灯制御装置は、自動運転等の自動車に組み込まれている車載カメラを流用することができ、更にオートライト機能の車灯制御を活用できるので、車灯ECUは、関連するECUのプログラムの追加変更程度で対応できる場合もある。本発明の車灯制御装置は、車灯制御装置のハード面の追加費用が抑制できるので、費用対効果が大きいメリットがある。
【0015】
本発明の請求項2は、前記車灯であるフォグランプの波長を前記ヘッドライトの波長より長くした請求項1に記載の車灯制御装置とすることにより、レイリ散乱によりフォグランプ照明の霧中透過性が高く、フォグランプ照明での視程が前記ヘッドライトより長くなる(霧中視認性が向上する)効果がある。
法規により赤色の灯火を車体前方に設置できないため、赤色光に次ぐ霧中透過性を持つ中間の波長の黄色光が良い。
【0016】
本発明の請求項3は、前記判定画像の前記車灯の照射範囲を基準にして視程の画像認識を判定する画像判定エリアを設定し、前記車載カメラの撮像素子がCCDの場合は、前記判定画像のフレームピッチの最初から、データ伝送部または前記画像判定エリアのデータ伝送部まで、前記車載カメラの撮像素子がCMOSの場合は、データ伝送時または前記画像判定エリアのデータ伝送時に、前記ヘッドライトおよび/または前記フォグランプを点灯制御し、点灯制御の選択対象となる前記判定画像を撮像することを特徴とする請求項1または2に記載の車灯制御装置である。
前記車載カメラの撮像素子により車灯の点灯時間の圧縮量の違いはあるが、判定画像の撮像フレームタイミングよりも、車灯判定画像の点灯時間を圧縮できる。
従って、前記車灯の点灯時間と人の目の残像効果により、自車および対向車等に車灯の点滅が知覚されにくいので、自車、対向車等への調査点滅の影響を更に小さくできる効果がある。
【0017】
本発明の請求項4は、前記外部環境センサと前記運転状況センサからの入力情報により、視程障害モードと運転状況を予想し、変化する運転状況に対応した車灯選択と車灯選択頻度の設定を行う請求項1~3に記載の車灯制御装置で、タイミングよく、運転状況の変化に対応した点灯制御ができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の車灯制御装置の実施例1の、昼間の情報処理ルーチンを示すフローチャートである。
【
図2】前記実施例1の夜間の情報処理ルーチンを示すフローチャートである。
【
図3】前記実施例1の車灯制御装置の、構成概念を示すブロック図である。
【
図4】前記実施例1の車灯制御装置の、夜間霧中発進時の作動タイムチャートである。
【
図5】前記実施例1の車灯制御装置の、夜間霧遭遇時の作動タイムチャートである。
【
図6】
図5の判定域f(D1f、D2f)の、請求項2対応のヘッドライトとフォグランプの車灯照射域の説明図である。
【
図7】
図5の判定域f(D1f、D2f)の、画像認識比較方法の一例を示す説明図である。
【
図8】請求項3対応の、車載カメラの撮像素子(CCD、CMOS)による車灯点灯時間短縮の説明図(タイミングチャート)である。請求項3対応の車載カメラの撮像素子(CCD、CMOS)による車灯の点灯短縮制御の説明図である。
【
図9】請求項4対応の本発明の車灯制御装置の、運転関連要素と視程障害による作動モードの一例を示す表である。
【
図10】ヘッドライトとフォグランプを点灯した場合の、一般的な霧による照射範囲の変化の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
前記図面(
図1~10)に従って、本発明の車灯制御装置1の内容と実施例を、以下に説明する。
本発明の車灯制御装置1は、車灯の点灯制御を外部環境センサである車載カメラ41により撮像される連続(あるいは近接)する2画像において、車灯ECU3により、車灯を前記連続する一方の画像で点灯し、他方の画像で消灯(あるいは異なる車灯を単独点灯)し、前記2画像の視程の画像認識を比較し、視程が良好な画像と同じ車灯の点灯状態に、前記車灯を点灯制御する。前記2画像の画像認識の比較方法の一例は、
図7で説明する。
本発明の車灯制御装置1の実施例1は、周囲の明るさに合わせてライトの点灯/消灯を自動的に行う従来技術であるオートライト機能を備えているものとして説明する。
前記オートライト機能により分離された、一方のモードである昼間モードの情報処理ルーチンが
図1であり、他方のモードである夜間モードの情報処理ルーチンが
図2である。
図1に示すように昼間モードの情報処理ルーチンでは、霧等の視程障害に対するフォグランプ22の点灯制御を視程障害による作動モードに従って行い、前記視程障害による作動モードの一例は、
図9で説明する。
実施例1の車灯制御装置1の構成概念は、
図3に示すように、出力手段である車灯、入力手段である外部環境センサ4と運転状況センサ5、制御装置である車灯ECU3で構成される。
前記実施例1の車灯制御装置1の、夜間霧中発進時の作動タイムチャートを
図4で、夜間霧遭遇時の作動タイムチャートを
図5で説明する。
図5の作動タイムチャートに示す、判定域f(D1f、D2f)のヘッドライトとフォグランプ22の車灯照射域を
図6で説明し、前記判定域f(D1f、D2f)の画像認識比較方法の一例を
図7で説明する。
前記
図4のヘッドライト21点灯時の各判定域(D1a、D1b)の、一般的な霧の有無による照射範囲の変化は、フォグランプ22を追加点灯した事例である
図10で説明する。
以下の説明において、ヘッドライト21は、走行状況や道路の形状などに応じて自動で前照灯の照度分布を制御する曲線道路用配光可変型前照灯でもよく、フォグランプ22はフォグランプ22に連動するバックフォグ(後部霧灯)を備えていてもよい。
【実施例0020】
図1は本発明の車灯制御装置1の実施例1の昼間の情報処理ルーチンで、車灯ECU3により車灯(フォグランプ22)を点灯制御する。
具体的には、車載カメラ41でフォグランプ22の点灯状態と消灯状態の2画像を撮像し、前記2画像の画像認識にて視程を判定し、視程が改善する画像の点灯状態に車灯であるフォグランプ22を点灯制御する本発明の車灯制御装置1の情報処理ルーチンを、フローチャート(
図1)に従って説明する。
まず、車灯ECU3は、外部環境センサ4である照度センサ44にて周囲の明るさを測定し、昼間(H)または夜間(L)の制御モードを判断する(ステップS010)。
ここで、照度センサ44の出力信号がLの場合は夜間モードと判断し、
図2に示す夜間の制御モードの情報処理ルーチンを実行する(ステップS400)。
一方、照度センサ44の出力信号がHの場合は昼間モードと判断し、車灯ECU3はフォグランプ22が点灯しているかを判断する(ステップS020)。
ここで、フォグランプ22が点灯していないと判断した場合は、(ステップS080)を実行する。
一方、車灯ECU3はフォグランプ22が点灯していると判断した場合は、
図9に示す視程障害等の外部環境や走行状態により、適時、車載カメラ41での撮像のための所定時間、フォグランプ22を消灯する(ステップS030)。
次に、フォグランプ22の点灯時と消灯時の車載カメラ41画像の視程の画像認識を判定する(ステップS040)。
具体的には、
図3に示すように車灯ECU3の駆動部37がフォグランプ22の切換素子H25を制御し、車載カメラ41でフォグランプ22の点灯時と消灯時の画像を撮像する。
この場合、フォグランプ22がLEDのように応答性が高い車灯の場合は、車灯ECU3が車載カメラ41をソフトトリガやハードトリガや電源信号で同期させる、または車載カメラ41のフレームタイミング信号により、撮像タイミングと車灯点灯タイミングを同期して点灯画像と消灯画像を連続する2画像にて撮像できる。
このフローチャート(
図1)は昼間モードであるので、フォグランプ22の点灯と消灯の2画像であるが、夜間モードのフローチャート(
図2)の場合は、
図4、
図5の作動タイムチャートに示すように、ヘッドライト21とフォグランプ22を交互に点灯する2画像を前記同期により、連続する判定域画像として撮像できる。
【0021】
次に、車灯ECU3は前記フォグランプ22の点灯時と消灯時の車載カメラ41画像の視程の画像認識を比較する(ステップS050)。
具体的には、車載カメラ41画像の画像認識にて、点灯時と消灯時のどちらの視程が長いかを判定する。この判定方法は、夜間モードの一例ではあるが、ヘッドライト21とフォグランプ22の比較事例(
図6、
図7)で説明する。
ここで、フォグランプ22の点灯画像の像認識が消灯画像より視程が改善していれば、フォグランプ22の点灯を継続してRETURNにて本処理ルーチンのSTARTに戻る。
一方、フォグランプ22の点灯画像の像認識が消灯画像より改善していなければ、この判定ステップの処理が連続何回であるかをカウントし、連続処理回数が設定値に達しているかを判定する(ステップS060)。
これは、安全のためにフォグランプ22の点灯は早く、消灯は複数回の画像認識により確実に消灯状態になっているのを確認し、不安定な状況ではフェイルセーフ側の点灯を優先する。
具体的には、外部環境センサ4である車載カメラ41、照度センサ44、温湿度計47と、前記運転状況センサ5である運転モード51、車速センサ53、ワイパーモード55、により視程障害モード等を想定し、前記車灯を変化する外部環境や運転状況に対応して、タイミングよく点灯制御するために、前記連続処理回数を車灯ECU3が設定する。
ここで、処理回数が 設定値に達していない場合は、(ステップS030)に戻る。
一方、処理回数が 設定値に達した場合は、フォグランプ22を消灯し、RETURNにて、本処理ルーチンのSTARTに戻る(ステップS070)。
次に、前記走行状態等により、適時、所定時間、フォグランプ22を点灯する(ステップS080)。
次に、フォグランプ22の消灯時と点灯時の車載カメラ41画像の視程の画像認識の判定を行う(ステップS090)。
具体的には、前記(ステップS080)と(ステップS090)は、フォグランプ22の(点灯)と(消灯)の状態が入れ換わっているが、作用は、前記(ステップS030)と(ステップS040)と同じであるので、説明を省略する。
次に、車灯ECU3は前記フォグランプ22の点灯時と消灯時の車載カメラ41画像の画像認識を比較する(ステップS100)。
具体的には、車載カメラ41画像の画像認識にて、前記(ステップS050)と同様に、点灯時と消灯時のどちらの視程が長く改善しているかを判定する。
ここで、フォグランプ22の点灯画像の像認識が消灯画像より改善していなければ、RETURNにて本処理ルーチンのSTARTに戻る。
一方、フォグランプ22の点灯画像の像認識が消灯画像より改善していれば、フォグランプ22を点灯(ステップS110)した後、RETURNにて本処理ルーチンのSTARTに戻る。
図1に示すフローチャートは、自動車の運転中に車灯制御装置1にて繰り返し実行される。
【0022】
図2は、前記実施例1の夜間の情報処理ルーチンを示すフローチャートで、車灯ECU3により対向車、前走車の有無を判断してヘッドライト21のハイビームとロービームを切換え、車載カメラ41で前記ヘッドライト21とフォグランプ22を点灯制御して交互に単独点灯した2画像を撮像し、前記2画像の画像認識にて視程を判定し、視程が改善する画像の点灯状態に車灯の点灯制御を行う。前記情報処理ルーチンを、フローチャート(
図2)に従って説明する。
まず、車灯ECU3は、車載カメラ41の画像認識により、自車10に対する対向車、前走車の有無を判断する(ステップS410)。
ここで、対向車または前走車があると判断した場合は、フォグランプ22を消灯し、ヘッドライト21のロービームを点灯する(ステップS470)。
一方、対向車と前走車がないと判断した場合は、フォグランプ22を消灯し、ヘッドライト21のハイビームを点灯する(ステップS420)。
次に、
図9に示す視程障害等の外部環境や走行状態により、適時、車載カメラ41での撮像のための所定時間、フォグランプ22の点灯とヘッドライト21消灯を行う(ステップS430)。
具体的には、
図3に示すように車灯ECU3の駆動部37が、フォグランプ22の切換素子H25とヘッドライト21の切換素子H24を制御し、車載カメラ41で単独点灯するハイビームの点灯画像とフォグランプ22の点灯画像を撮像する。
この場合、車灯であるヘッドライト21とフォグランプ22がLEDのように応答性が高い車灯では、車灯ECU3と車載カメラ41を、ソフトトリガやハードトリガで同期させる、または車載カメラ41のフレームタイミング信号により、撮像タイミングと点灯タイミングを同期して連続する2画像に撮像できる。
従って、
図4、
図5の作動タイムチャートに示すように、ヘッドライト21とフォグランプ22を交互に独立点灯する2画像を、車載カメラ41によって連続する判定域画像として撮像できる。
次に、車灯ECU3はヘッドライト21とフォグランプ22を交互に独立点灯する前記車載カメラ41画像(2画像)の視程の画像認識を判定する(ステップS440)。
具体的には、ヘッドライト21とフォグランプ22がLEDで応答性が高い車灯で、車灯ECU3と車載カメラ41をソフトトリガやハードトリガで同期させる、または車載カメラ41のフレームタイミング信号により、撮像タイミングと車灯点灯タイミングを同期してハイビームとフォグランプ22の各々の単独点灯画像を連続する2画像にて撮像できる。
例えば、
図4、
図5の夜間モードの作動タイムチャートに示すように、車載カメラ41にてヘッドライト21とフォグランプ22を交互に単独点灯し、連続する2画像を各判定域画像として撮像できる。
前記車載カメラ41画像(2画像)の視程の画像認識は、具体的には、ハイビーム点灯時とフォグランプ22点灯時のどちらの視程が長いかを判定する。この判定方法の一例は、夜間モードでの、ヘッドライト21とフォグランプ22の比較事例(
図6、
図7)で説明する。
【0023】
次に、車灯ECU3は前記車載カメラ41画像の単独点灯するハイビーム点灯画像とフォグランプ22点灯画像の視程の画像認識を比較する(ステップS450)。
ここで、フォグランプ22点灯画像の視程がハイビーム点灯画像より改善していなければ、ハイビームを点灯してフォグランプ22を消灯し、
図1の2に進み、RETURNを経てSTARTに戻る(ステップS460)。
一方、フォグランプ22の点灯画像の像認識の視程がハイビームの点灯画像より改善していれば、フォグランプ22を消灯し、ロービームを点灯する(ステップS470)。
次に、
図9に示す視程障害等の外部環境や走行状態により、適時、所定時間、フォグランプ22の点灯、ヘッドライト21の消灯を行う(ステップS480)。
具体的には、
図3に示すように車灯ECU3の駆動部37がフォグランプ22の切換素子H25とヘッドライト21の切換素子H24を制御し、車載カメラ41で単独点灯するロービームの点灯画像とフォグランプ22の点灯画像を撮像する。
車灯ECU3と車載カメラ41を同期させる等の説明は、(ステップS430)と同じであるので省略する。
次に、前記車載カメラ41画像の単独点灯するロービーム点灯画像とフォグランプ22点灯画像の視程の画像認識の判定を行う(ステップS490)。
この視程の画像認識の判定方法等の説明は、(ステップS440)と同じなので説明を省略する。
次に、車灯ECU3は車載カメラ41画像の単独点灯するロービーム点灯画像とフォグランプ22点灯画像の視程の画像認識を比較する(ステップS500)。
ここで、フォグランプ22点灯画像の視程の画像認識がロービーム点灯画像の視程の画像認識より改善していれば、ロービームを点灯し、フォグランプ22を消灯し、
図1の2に進み、RETURNを経てSTARTに戻る(ステップS510)。
一方、フォグランプ22点灯画像の視程の画像認識がロービーム点灯画像の視程の画像認識より改善していなければ、フォグランプ22を点灯し、ヘッドライト21を消灯し、
図1の2に進み、RETURNを経てSTARTに戻る(ステップS520)。
図2に示すフローチャートは、自動車の運転中に車灯制御装置1にて
図1に示す情報処理ルーチンの夜間用のサブルーチンとして繰り返し実行される。
【0024】
図3は、前記実施例1の本発明の車灯制御装置1の、構成概念を示す説明図である。
図3に示す車灯制御装置1は、出力手段である車灯2、入力手段である外部環境センサ4と運転状況センサ5、制御装置である車灯ECU3で構成される。
出力手段である車灯2は、車灯であるヘッドライト21をON/OFF制御し、更にハイビームとロービームに切換える切換素子H24と、フォグランプ22をON/OFF制御する切換素子F25と、手動切換用のスイッチH27とスイッチF28で構成されている。
ヘッドライト21は、カーブ走行で進行方向を照らす曲線道路用配光可変型前照灯であってもよく、フォグランプ22は、バックフォグ(後部霧灯)を備えることもできる。
車灯制御装置1の入力手段である外部環境センサ4は、車載カメラ41、照度センサ44、温湿度計47で構成されている。
画像認識のできる車載カメラ41は本発明には必須のセンサであり、実施例1は、従来技術であるオートライト機能を前提とするので、照度センサ44がある。
温湿度計47は、
図9に示す作動モードの設定に利用でき、運転関連要素と外部環境により視程障害モードの設定に有効である。
外部環境センサ4としては、送波器から超音波を対象物に向け発信し、その反射波を受波器で受信する超音波センサ、ミリ波を利用するミリ波レーダ、レーザ光を利用するLiDAR(ライダ)等もあるが、運転者の視程改善を行う本発明の車灯制御装置1には、可視光の受光センサである車載カメラ41が重要な働きを行う。
車灯制御装置1の入力手段である運転状況センサ5は、運転モード51、車速センサ53、ワイパーモード55により運転状況の概要を把握でき、
図3には記載していないがサイドブレーキ等の運転状況の情報も有用である。
前記入力センサである外部環境センサ4と運転状況センサ5により、視程障害モード等を想定し、
図1の(ステップS060)のように、車灯2を変化する外部環境や運転状況に対応して、タイミングよく点灯制御する。
制御装置である車灯ECU3は、車灯2の手動切換用のスイッチH27とスイッチF28からの入力を検知する車灯判定部34、入力手段の外部環境センサ4からの入力を検知する外部環境判定部32、運転状況センサ5からの入力を検知する走行状態判定部33からの入力等により、車灯制御装置1の情報処理ルーチン(実施例1では、
図1、
図2)に従い情報処理を行い、出力手段である車灯2に点灯制御の出力を実施する。
【0025】
図4は、前記実施例1の車灯制御装置1の、夜間霧中発進時の作動タイムチャートである。
図4の横軸は時間軸で、最上段に示すように二点鎖線の左側の霧遭遇時に発進し、二点鎖線の右側では霧が消滅している。
縦軸は
図3で説明した車灯制御装置1の各構成ブロックの、出力手段である車灯2、制御装置である車灯ECU3、入力手段である外部環境センサ4と運転状況センサ5、の情報処理ルーチンに関連する各構成要素である。
外部環境センサ4の構成要素である車載カメラ41の、フレームピッチ(St)の区切り(長線)は、画面(以下、「フレーム」という。)の区切りであり、各フレームの区切り毎にフレームタイミング信号が出力される。フレームタイミング信号の出力間隔(St)は、フレームレートの逆数(秒)である。
各フレーム内の等ピッチの短線は、画像データ伝送の走査線であり、すべての走査線を一本ずつ順番に伝送するプログレッシブ方式とし、本図は、本発明の説明図であるので、走査線は実際の本数より少なく描いている。
前記車載カメラ41以外の各関連要素は、ON/OFF、または入出力信号であるH/L切換えを図示している。
ヘッドライト21は、ハイビームとロービームの切換えは説明を容易にするため省略し、制御部31(フォグ)は、各フレームでのフォグランプ22への出力信号のみを図示し、理解が容易なように判定域での出力信号を太線で記している。
図4の作動タイムチャートを、実施例1の情報処理サブルーチン(
図1、
図2)の各ステップに従って説明する。
【0026】
まず、制御の起動で情報処理サブルーチン(
図1)が起動し、(S010)で照度センサ44が、夜間発進であるので出力をHからLに切換え、(S400)の夜間の情報処理サブルーチン(
図2)を実行する。
説明を容易にするため、夜間の情報処理サブルーチン(
図2)のハイビームとロービームの切換え(S410)以降は、ハイビームとロービームが違うだけで作動原理が同じなので、ハイビーム(S420)を選択したものとして説明する。
発進操作により
図4の運転モード(P)51Pの駐車モードの出力がLに切換わると、外部環境判定部32Dの出力がHに切換わり、図示しない運転モードがLからHになる。
運転モードがHになると、車載カメラ41が作動し、制御部31の出力信号(ON)により判定域aの(D1a)のフレームでヘッドライト21が点灯する。
車載カメラ41のフレームタイミング信号により制御部31は、走行状態等により、適時、所定時間である判定域aの(D2a)のフレームで、ヘッドライト21を消灯し、フォグランプ22を点灯する(S430)。なお、夜間走行中であるので、無灯火画像は判定の対象にはならない。
各車灯の単独点灯時の車載カメラ41画像(D1a、D2a)の視程の画像認識の判定を行い(S440)、霧遭遇中なのでフォグランプ22点灯画像(D2a)の視程が改善していると判断し、制御部31の(ON)信号により、フォグランプ22を点灯(S450)する。
フォグランプ22の点灯走行中は、適時、走行状態等により決められた(N1st)の間隔で設けた判定域にて、ヘッドライト21とフォグランプ22の切換えを判断する。
判定域の前記間隔(N1st)は、入力手段である外部環境センサ4、運転状況センサ5からの入力と出力である車灯の点灯制御状態や、
図9に示す作動モードにより車灯ECU3が設定する。
図4には示されていないが、霧遭遇時は、ハイビームよりロービームの視程の方が改善する場合があるので、ロービームとフォグランプ22の視程の画像認識の比較判定を行う(S470~S520)が、前記ハイビームとロービームが置き換わるだけで、比較判定方法は同じである。
前記視程改善の判断処理が遅れる場合は、タイムラグによりフォグランプ22の点灯遅れが発生する場合がある。
霧に遭遇中のフォグランプ22点灯走行から、霧が解消した複数回の判定域b(D1b、D2b)~判定域c(D1c、D2c)で視程の画像認識の判定を行い、フォグランプ22点灯画像の視程がいずれも改善していないと判断した場合、制御部31の(OFF)信号により、フォグランプ22を消灯する(S460)または(S510)。
図4の作動タイムチャートでは、判定域の各フレーム(St)全域を車灯点灯による露光フレームとデータ伝送フレームとして説明したが、
図7で説明するように、車載カメラ41の撮像素子がCCDの場合は、フレームの画像判定エリアのデータ伝送時にローリングシャッタの作動により露光し、車灯の点灯時間を更に短くすることができる。
車載カメラ41の撮像素子がCMOSの場合は、フレームレートより高速に読み取る、あるいは、判定域のフレームの視程の画像認識の画像判定エリアのデータの読み取り時に車灯を点灯し、点灯時間を短くすることができる。これらの対応により、自車10および対向車の運転者等に車灯の点灯/消灯が知覚されず、車灯の点滅の弊害を少なくできる。
【0027】
図5は、前記実施例1の車灯制御装置1の、夜間霧遭遇時の作動タイムチャートである。
図の縦軸、横軸および表記等は前記夜間霧中発進時の
図4と同じであるので説明を省略する。
図5は夜間発進して霧に遭遇する場合の作動タイムチャートであり、夜間発進の起動から最初の判定域d(D1d、D2d)までの情報処理サブルーチンは
図4と同じであるので説明を省略する。
図5は霧中ではないので、前記判定域d(D1d、D2d)の判定結果は、フォグランプ22を消灯し、ヘッドライト21を点灯し、以降のヘッドライト21の点灯走行中は、適時、走行状態等により決められた(N2st)の間隔で判定域にてヘッドライト21とフォグランプ22の切換えを判断する。
判定域の前記間隔(N2st)は、入力手段である外部環境センサ4、運転状況センサ5からの入力と出力である車灯の点灯制御状態や、
図9に示す作動モードにより車灯ECU3が設定する。
霧に遭遇して最初の判定域f(D1f、D2f)にて、ヘッドライト21(D1f)とフォグランプ22(D2f)の各車灯単独点灯時の画像の視程の画像認識の判定を行い、制御部31はフォグランプ22の点灯信号を出す。
前記判定域f(D1f、D2f)の拡大図に示すように、画像データの時間軸方向の(Dh)、走査線方向の(Dw)で囲まれたデータの視程の画像認識を判定して比較し、詳細は、
図6、
図7にて説明する。
【0028】
図6は、前記
図5の判定域f(D1f、D2f)の、請求項2対応のヘッドライト21とフォグランプ22の車灯照射域の説明図である。
前記
図5における、霧に遭遇して最初の判定域f(D1f、D2f)の、ヘッドライト21が単独点灯する判定域(D1f)では、
図6上図(1)の側面図と平面図に示すように、悪天候時でなければ照射域が長いヘッドライト21も、霧の水の粒に散乱して遮られ照射距離が短くなる。
一方、フォグランプ22が単独点灯する判定域(D2f)では、
図6下図(2)の側面図と平面図に示すように、ヘッドライト21より照射幅が広いが照射位置が低いが、請求項2対応により、フォグランプ22の波長がヘッドライト21の波長より長いので、霧の水の粒に散乱しにくいので、それを通りぬけてより遠くまで届いて霧中透過性が高く、ヘッドライト21より照射距離の短縮が小さい。
従って、
図6に示すように、霧に遭遇した場合は、通常照射距離が長いヘッドライト21より、霧中透過性が高いフォグランプ22の照射距離の方が長くなる場合が多いが、霧の濃度等により、どちらの車灯の視認性が良いかは悪天候の状況等により異なる。
従って、本発明の車灯制御装置1により、霧に遭遇して最初の判定域f(D1f、D2f)の視程を画像認識により比較し、最良の車灯を点灯することにより、遭遇する悪天候の状況に対応し、最良の視程を提供できる。
【0029】
図7は、前記
図5の判定域f(D1f、D2f)の、画像認識比較方法の一例を示す説明図である。
図7は、前記
図5の、霧に遭遇して最初の判定域f(D1f、D2f)の、車載カメラ41の画像データである。
図7上図(H)は、ヘッドライト21が単独点灯する前記判定域(D1f)、
図7下図(F)は、フォグランプ22が単独点灯する前記判定域(D2f)の車載カメラ41の画像データである。
前記
図6の上図(1)の側面図と平面図に示すように、ヘッドライト21が単独点灯する判定域(D1f)の
図7の上図(H)の画像データより、前記
図6の下図(2)の側面図と平面図に示すように、フォグランプ22が単独点灯する判定域(D2f)の
図7の下図(F)の画像データの視程が長いのが分かる。
前記視程を車灯ECU3で判断するために、
図7の上図(H)と、下図(F)に、同じ座標位置で、幅(Dw)、高さ(Dh)の二点鎖線(太線)で囲まれた画像判定エリアを設定する。
前記画像判定エリアは、各車灯の照射範囲を重点に設定するため、フレーム上部から(B)、フレーム側面から(A)離れた位置に設定し、車速等の運転状況や、道路の形状等により画像判定エリアを拡大/縮小、あるいは上下左右に位置修正をすることもできる。
前記
図5の判定域f(D1f、D2f)の車載カメラ41のデータ伝送は、
図7の上図(H)と、下図(F)の左端より、長さ(Hs)の走査線をデータ伝送し、走査線はフレーム上端から下端まで一本ずつ順番に伝送するプログレッシブ方式とする。
車灯制御装置1の車灯ECU3が視程を判断するには、
図7の前記画像判定エリアの、道路、人、車、道路標識等の画像認識は、道路が設けられている地形の二次元データに近い道路の画像認識を優先して判定する。
図7の上図と下図の前記画像判定エリアに存在する二つの認識率を設定し、高い方の認識率の画像(一点鎖線)の画像判定エリア下端からの高さ(R1H)(R2H)と、低い方の認識率の画像(破線)の画像判定エリア下端からの高さ(R1L)(R2L)を算出する。
図7上図(H)と
図7下図(F)で、高い方の認識率の画像(一点鎖線)の前記画像判定エリア上の高さ(R1H)(R2H)を比較し、次に、低い方の認識率の画像(一点鎖線)の前記画像判定エリア上の高さ(R1L)(R2L)を比較し、前記画像判定エリア上の高さが高い,
図7下図(F)の画像データの視程が良好であると判定する。
仮に、高い方の認識率と低い方の認識率の視程の判定が一致しない場合は、優先する認識率の視程が良好であると判定する、車灯を変更せず今回は判定を留保する、または、運転関連要素と視程障害による作動モード等を考慮して判定する。
前記画像認識による視程の判定方法とは異なる方法として、2台(1台は車載カメラ41)のカメラにより人間の目と同様に視差画像を生成して距離の簡易測定ができるステレオカメラの距離機能により、設定した認識率(閾値)の画像の視程を簡易測定して比較判断する。道路の画像認識が困難な場合等に、有効である。
【0030】
図8は、請求項3対応の、車載カメラ41の撮像素子(CCD、CMOS)による車灯点灯時間短縮の説明図(タイミングチャート)である。
図8は、夕方の霧遭遇時等の判定域gの2フレームで、一方のフレームはヘッドライト21、他方のフレームはフォグランプ22を単独点灯する作動タイムチャートで、上図(D)は車載カメラ41dの撮像素子がCCD、下図(M)は車載カメラ41mの撮像素子がCMOSである。
外部環境センサ4の構成要素である車載カメラ41d(m)は、フレームピッチ(St)の区切り(長線)毎に、車灯ECU3にフレームタイミング信号が出力され、車灯ECU3はそれらの入出力情報と各フレームの画像データ伝送タイミングおよび、その中の画像判定エリアの画像データ伝送タイミング(Dh1)等を基に、車灯2であるヘッドライト21とフォグランプ22にON/OFFの出力信号を出力する。
各フレーム内の等ピッチの短線は、画像データ伝送の走査線であり、すべての走査線を一本ずつ順番に伝送するプログレッシブ方式とし、本図は、本発明の請求項3対応の説明図であるので、走査線は実際の本数より少なく描いている。
車載カメラ41(d、m)は、説明のために仮にフレームピッチ(St)の70%の時間で画像データを伝送するものとし、撮像素子が(CCD)の車載カメラ41dは、フレームピッチ(St)の後半に、撮像素子が(CMOS)の車載カメラ41mは、フレームピッチ(St)の前半に前記画像データの伝送を行う。
画像データの画像判定エリアは、前記
図7と同じ比率であり、走査線の時間軸が70%圧縮されているので、(B1)(Dh1)(C1)は、時間軸が
図7より圧縮されている。
上図(D)は車載カメラ41dの撮像素子がCCDで、判定域gの各フレーム(D1g、D2g)の最初から画像判定エリアの画像データの伝送開始(Dh1)までにシャッタにより露光が停止されるので、各車灯の点灯時間(Td)を、それ以上長くしても撮像素子のCCDには露光されないので、前記
図4、5のように、フレームピッチ(St)の間、点灯中でも問題はない。画像判定エリアの画像データの伝送開始(Dh1)が制御上できない、場合は、画像データの伝送開始(B1)までの点灯としてもよい。
シャッタは、ラインごとに画像を順次スキャンするローリングシャッタでも、画像の全領域を同時にスキャンするグローバルシャッタでもよい。
下図(M)は車載カメラ41mの撮像素子がCMOSで、受光素子で露光による光を電気信号に変えアンプで増幅するので、判定域gの各フレーム(D1g、D2g)の最初から画像データの伝送を開始し、各フレームの最初から(B1)経過後に開始する画像判定エリアの画像データの伝送(Dh1)時に、各車灯を点灯する。
従って、点灯時間(Tm)は、画像判定エリアの画像データの伝送(Dh1)と同じであるが、画像判定エリアの画像データの伝送(Dh1)に各車灯の点灯タイミングを合わすのが制御上困難な場合は、画像データの伝送中(B1、Dh1、C1)を点灯時間(Tm)としてもよい。
本説明では、仮にフレームピッチ(St)の70%の時間で画像データを伝送するものとして説明しているが、フレームレート、撮像素子の伝送方法や速度により、伝送時間(Dh1)の圧縮率は変化し、撮像素子がCMOSの場合は、CCDのように走査線単位ではなく、データ伝送範囲の選択をエリア指定が可能(AOI)であれば、幅(Dw1)、高さ(Dh1)の画像判定エリアの画像データのみを伝送することで伝送時間(Dh1)を更に時間短縮することもできる。
【0031】
図9は、本発明の車灯制御装置1の、運転関連要素と視程障害による作動モードの一例を示す表である。
本発明は、点灯制御の選択対象となる車灯2であるヘッドライト21とフォグランプ22の点灯画像を判定画像として撮像し、前記判定画像の視程の画像認識を判定し、前記判定画像の視程が最も良好な判定画像と同じ車灯点灯状態に、前記車灯2を点灯制御する車灯制御装置1である。従って、適切な車灯制御を行うために、走行状態等により、選択対象とする車灯を選定し、その判定頻度等を決定する必要がある。
図9に示すように、車灯2であるヘッドライト21とフォグランプ22の選択は、視程障害モードにより優先度があるが、この優先度は判定の頻度等に利用し、この目安としての可能性にとらわれることなく、実際に点灯画像を判定画像として撮像して判定し、前記判定画像の視程が最も良好な点灯状態に、前記車灯2を点灯制御する。
表9に示す各視程障害モードは、外部環境センサ4である車載カメラ41、照度センサ44、温湿度計47と、運転状況センサ5である運転モード51、車速センサ53、ワイパーモード55からの入力情報により、視程障害モードの種類、発生確率、視程障害の度合い等を推測する。
特に、車速センサ53、ワイパーモード55等による重要な変動要素に対しては、選択対象とする車灯の判定タイミングとリンクし、情報処理ルーチンや作動タイムチャートで示した確認間隔、確認回数等に反映して、臨機応変に点灯制御する。
表9の実施例は、作動モードの視程障害の一例であり、各入力センサは取捨選択が可能である。
【0032】
図10は、ヘッドライト21とフォグランプ22を点灯した場合の、一般的な霧による照射範囲の変化の説明図である。
上図(N)は、夜間に、ヘッドライト21、フォグランプ22と、バックフォグ(後部霧灯)を点灯して走行行中の自車10の側面図と平面図であり、フォグランプ22の波長はヘッドライト21の波長より長いものとする。
下図(F)は、夜間の霧発生時に、ヘッドライト21、フォグランプ22と、バックフォグ(後部霧灯)を点灯して走行行中の自車10の側面図と平面図である。
夜間走行中の上図(N)から分かるように、ヘッドライト21は前方の遠くに照射域があり、フォグランプ22はヘッドライト21より、水平方向に広く、垂直方向には低い位置を照射範囲としている。
夜間の霧発生時に走行中の下図(F)から分かるように、ヘッドライト21はレイリ散乱により霧中透過性が低いので照射域が短くなり、フォグランプ22はヘッドライト21より波長が長いので、霧中透過性が高いので、水平方向に広く、垂直方向には低い位置には変わりないが、照射域の長さはヘッドライト21ほど短くならない。
従って、夜間の霧発生時に走行中の下図(F)では、フォグランプ22の方がヘッドライト21より照射域が長くなる。
【0033】
前記実施例1では、ヘッドライト21とフォグランプ22が同時に点灯しない実施例としたが、車灯の単独点灯を前提としない場合は、
図10に示すように、ヘッドライト21のハイビームまたはロービームと、フォグランプ22の組み合わせ点灯と車灯の単独点灯を判定対象画像としてもよく、更に、判定域を2フレームではなく3フレーム以上の連続あるいは近接する判定画像としても良い。
前記実施例1は、本発明の一例を示すもので本発明を制約するものではなく、当業者により変更および改良ができる。
本発明の車灯制御装置は、一般の多くの貨物自動車と乗用車に利用でき、外部環境センサである車載カメラを搭載し、オートライト機能を備えた自動車では、制御プログラムの変更(追加)等により容易に組み込むことができる場合がある。
前記外部環境センサと前記運転状況センサからの入力情報により、視程障害モードと運転状況を予想し、変化する運転状況に対応した車灯選択と車灯選択頻度の設定を行うことを特徴とする請求項1~3に記載の車灯制御装置。