(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036409
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】健康管理方法、健康管理プログラム及び健康管理装置
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20230307BHJP
G16H 50/20 20180101ALI20230307BHJP
【FI】
G16H20/00
G16H50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143445
(22)【出願日】2021-09-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載日 :令和 3年 3月10日 掲載アドレス:https://www.toppan.co.jp/news/2021/03/newsrelease210310_2.html
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519422566
【氏名又は名称】根来 秀行
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】荒牧 東一
(72)【発明者】
【氏名】谷澤 誠一
(72)【発明者】
【氏名】根来 秀行
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】労働者のメンタルヘルス不調をより高精度で確認することが可能な健康管理方法、健康管理プログラム及び健康管理装置を提供する。
【解決手段】利用者のストレス状態に関する情報、生活習慣に関する情報及び環境変化に関する情報に基づいて、利用者の健康状態を判定する。このとき、利用者のストレスを定量化したストレス評価値又はストレス評価値に基づいて分類されたストレスレベルをストレス状態に関する情報とし、利用者の生活習慣の状態を定量化したコンディション評価値又は生活習慣評価値に基づいて分類されたコンディションレベルを生活習慣に関する情報とし、利用者の環境変化の実感の有無を環境変化に関する情報とする。また、ストレス状態に関する質問事項及び生活習慣に関する質問事項に対する利用者の回答に基づいて、ストレス評価値とコンディション評価値とをそれぞれ算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者のストレス状態に関する情報、生活習慣に関する情報及び環境変化に関する情報に基づいて、前記利用者の健康状態を判定する
健康管理方法。
【請求項2】
利用者のストレスを定量化したストレス評価値又は前記ストレス評価値に基づいて分類されたストレスレベルを前記ストレス状態に関する情報とし、
利用者の生活習慣の状態を定量化したコンディション評価値又は前記コンディション評価値に基づいて分類されたコンディションレベルを前記生活習慣に関する情報とし、
利用者の環境変化の実感の有無を前記環境変化に関する情報とする
請求項1に記載の健康管理方法。
【請求項3】
ストレス状態に関する質問事項及び生活習慣に関する質問事項に対する利用者の回答に基づいて、前記ストレス評価値と前記コンディション評価値とをそれぞれ算出する
請求項2に記載の健康管理方法。
【請求項4】
複数の質問事項に対する回答のそれぞれに対する部分評価値の合計又は前記部分評価値と質問事項のそれぞれに対する回答に対して予め設定された係数とから算出された重み付けされた前記部分評価値の合計から、前記コンディション評価値を算出する
請求項3に記載の健康管理方法。
【請求項5】
利用者の睡眠に関する質問事項、運動に関する質問事項及び食事に関する質問事項に対する回答に基づいて、回答それぞれの前記部分評価値を決定する
請求項4に記載の健康管理方法。
【請求項6】
利用者の前記睡眠に関する質問事項、前記運動に関する質問事項及び前記食事に関する質問事項に対する回答と、労働環境に関する質問事項、心理面に関する質問事項及び身体面に関する質問事項に対する回答とに基づいて、回答それぞれの前記部分評価値を決定し、前記部分評価値を合計して前記コンディション評価値を算出する
請求項5に記載の健康管理方法。
【請求項7】
前記ストレス状態に関する質問事項に対する利用者の回答に対する前記部分評価値の合計又は前記部分評価値と質問事項のそれぞれに対する回答に対して予め設定された係数とから算出された重み付けされた前記部分評価値の合計から前記ストレス評価値を算出する
請求項4から6のいずれか1項に記載の健康管理方法。
【請求項8】
利用者の前記ストレス状態に関する情報が高ストレスを示す評価結果であり、前記生活習慣に関する情報がコンディション危険を示す評価結果であり、かつ前記環境変化に関する情報が環境変化有を示す評価結果である場合に、前記利用者の健康状態が高リスクであると判定する
請求項1から7のいずれか1項に記載の健康管理方法。
【請求項9】
利用者の前記健康状態の判定結果に基づいて、健康状態の改善に関する情報を前記利用者に提示する
請求項1から8のいずれか1項に記載の健康管理方法。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の健康管理方法をコンピュータに実行させる健康管理プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の健康管理プログラムを記憶する記憶部と、
健康管理プログラムを実行することにより、利用者の前記ストレス状態に関する情報、前記生活習慣に関する情報及び前記環境変化に関する情報に基づいて、前記利用者の健康状態を判定する制御を行う制御部と、
を備える健康管理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記制御部において実行した前記健康管理プログラムに基づいて判定した利用者の前記健康状態の判定結果及び前記判定結果に応じた健康状態の改善に関する情報の少なくとも一方を、前記判定結果判明後の任意のタイミングで前記利用者に自動で通知する
請求項11に記載の健康管理装置。
【請求項13】
表示部を備え、
前記制御部は、前記制御部において実行した前記健康管理プログラムに基づいて判定した利用者の前記健康状態の判定結果及び判定結果に応じた健康状態の改善に関する情報の少なくとも一方を表示部に表示させる
請求項11又は12に記載の健康管理装置。
【請求項14】
利用者の前記ストレス状態に関する情報、前記生活習慣に関する情報及び前記環境変化に関する情報を取得する情報取得部を備える
請求項11から13のいずれか1項に記載の健康管理装置。
【請求項15】
操作者の操作によって、前記ストレス状態に関する質問事項、前記生活習慣に関する質問事項及び前記環境変化に関する質問事項に対する回答が入力される入力部を備える
請求項11から14のいずれか1項に記載の健康管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、健康管理方法、健康管理プログラム及び健康管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、労働者がメンタルヘルス不調になることを未然に防止するために、ストレスチェック制度に関する法令の制定や、ストレスチェック制度の実施マニュアルが導入され、事業者において広く用いられている(非特許文献1)。事業者は、1年以内ごとに1回、労働者のストレスの状況について所定の検査を行い、労働者本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させたり、検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげたりすることを行っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健支援室,“労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル”,[online],平成27年5月,厚生労働省,[令和3年7月19日検索],インターネット <URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000533925.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した実施マニュアルに記載された職業性ストレス簡易調査票(57項目)等を用いた労働者のメンタルヘルス状態の検査において、高ストレスと判定されなかったにも関わらずその後メンタルヘルス不調を発症する労働者が少なくなかった。
本開示は、このような点に着目してなされたものであり、労働者のメンタルヘルス不調をより高精度で確認することが可能な健康管理方法、健康管理プログラム及び健康管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題解決のために、本開示の一態様にかかる健康管理方法は、利用者のストレス状態に関する情報、生活習慣に関する情報及び環境変化に関する情報に基づいて、利用者の健康状態を判定する。
また、本開示の一態様にかかる健康管理プログラムは、上述した健康管理方法をコンピュータに実行させる。
さらに、本開示の一態様にかかる健康管理装置は、上述した健康管理プログラムを記憶する記憶部と、健康管理プログラムを実行することにより、利用者のストレス状態に関する情報、生活習慣に関する情報及び環境変化に関する情報に基づいて、利用者の健康状態を判定する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示の態様によれば、労働者のメンタルヘルス不調をより高精度で確認することが可能な健康管理方法、健康管理プログラム及び健康管理装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示に基づく実施形態に係る健康管理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図2】本開示に基づく実施形態に係る健康管理方法で用いられる生活習慣に関する質問事項の一例を示す模式図である。
【
図3】本開示に基づく実施形態に係る健康管理方法における健康状態の判定結果の一例を示す模式図である。
【
図4】本開示に基づく実施形態に係る健康管理方法で判断された、環境変化が「無」の場合(
図4(A))及び環境変化が「有」の場合(
図4(B))の新規発症による休業者の発生状態を示す図である。
【
図5】本開示に基づく実施形態に係る健康管理方法で判断された、環境変化が「無」の場合(
図5(A))及び環境変化が「有」の場合(
図5(B))の再発による休業者の発生状態を示す図である。
【
図6】本開示に基づく実施形態に係る健康管理方法を実行する健康管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図7】本開示に基づく実施形態に係る健康管理装置において、コンピュータ上でストレスチェックを行う際に表示部に表示される回答画面フォーマットの一例を示す模式図である。
【
図8】本開示に基づく実施形態に係る健康管理装置の記憶部に記憶されるコンディション判定結果のフィードバック用表示画面の表示フォーマットの一例を示す模式図である。
【
図9】本開示に基づく実施形態に係る健康管理装置の記憶部に記憶されるコンディション状態の評価結果に応じた生活習慣改善のアドバイスの一例を示す模式図である。
【
図10】本開示に基づく実施形態に係る健康管理装置の表示部に表示されるフィードバック用表示画面の一例を示す模式図である。
【
図11】本開示に基づく実施形態に係る健康管理装置で実現される健康管理部の機能ブロックの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態を通じて本開示を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面は特許請求の範囲にかかる発明を模式的に示すものであり、各部の構成及び機能は現実のものとは異なる。
【0009】
1.第一実施形態
以下、本開示の第一実施形態に係る健康管理方法について説明する。
【0010】
(1.1)健康管理方法
本実施形態に係る健康管理方法は、少なくとも、健康管理方法の利用者である労働者のストレス状態に関する情報と、生活習慣に関する情報及び労働者の環境変化に関する情報との3つの評価を総合して、労働者の健康状態を判定する。
従来の健康管理方法では、高ストレス状態と判定されなかったにもかかわらず心理面の不調を発症する労働者が少なくなかった。そこで、本開示の発明者らが心理面の不調を発症した労働者の健康状態について更に検討したところ、心理面の不調を発症した労働者は、ストレス状態、コンディション状態及び環境変化の実感の少なくともひとつの状態が良好ではないことを見出した。
【0011】
そこで、本実施形態に係る健康管理方法では、
図1に示すように、少なくとも上述した3つの評価結果である労働者のストレス状態の評価(ステップS11)、生活習慣に基づくコンディション状態の評価(ステップS12)及び労働者の環境変化の実感の評価(ステップS13)を行う。また、本実施形態に係る健康管理方法では、労働者のストレス状態、生活習慣に基づくコンディション状態及び労働者の環境変化の実感を評価結果に基づいて、労働者の健康状態を評価する(ステップS14)。なお、ステップS11~ステップS13は、互いに順序が異なってもよく、評価が同時に行なわれても良い。
以下、ストレス状態、コンディション状態及び環境変化の実感の各評価の方法について説明する。
【0012】
<ストレス状態判定方法>
ステップS11では、労働者のストレス状態を評価する。ステップS11においては、労働者のストレスを定量化したストレス評価値又はストレス評価値に基づいて分類されたストレスレベルに基づいて、ストレス状態に関する情報である労働者のストレス状態を判定する。
【0013】
「ストレス評価値」とは、労働者に対して行ったストレス状態に関する質問事項に対する労働者の回答に基づいて定量的に示されたストレス状態判定結果である。「ストレス評価値」を決定するための質問事項は、ストレスの程度を評価可能であれば特に限定されない。例えば、ストレス状態の判定には、厚生労働省によって提案されている「職業性ストレス簡易調査票」(57項目又は簡略版23項目)、もしくは「新職業性ストレス簡易調査票」(80項目)の質問事項であることが好ましいが、「職業性ストレス簡易調査票」(57項目)又は「新職業性ストレス簡易調査票」(80項目)を用いることがより好ましい。
【0014】
「新職業性ストレス簡易調査票」(80項目)には、「職業性ストレス簡易調査票」(57項目)に含まれるストレス要因、心身のストレス反応及び周囲のサポートに関する質問事項に加えて、職場のストレス状況をより詳細に把握するための質問事項が含まれている。このため、「新職業性ストレス簡易調査票」(80項目)を用いることにより、より詳細な集団分析が可能となり、より細かく職場環境の実態把握ができ、ストレス状態の評価精度がより向上する。
【0015】
本実施形態では、例えば、「新職業性ストレス簡易調査票」(80項目)の各質問事項における回答に対応する点数(部分評価値の一例)の合計を算出する。また、本実施形態では、例えば、「新職業性ストレス簡易調査票」(80項目)のうちのストレス要因に関する質問事項(領域A)、心身のストレス反応に関する質問事項(領域B)及び周囲のサポートに関する質問事項(領域C)のそれぞれの回答に対応する点数の合計(領域A、B、Cの夫々における合計点数)を算出し、それぞれストレス評価値とする。本実施形態では、このようにして算出した各ストレス評価値と所定の基準値とを比較して、回答者のストレス状態を例えば「高ストレス」「非高ストレス」に分類する。
【0016】
また、本実施形態では、ストレス状態に関する質問事項のそれぞれに対する回答に対して予め係数を定めておき、各回答に対応する点数と係数とから乗算して得た重み付けされた点数の合計からストレス評価値を算出し、ストレス状態の判定を行っても良い。係数は、例えば、よりメンタルヘルスへの影響が大きい質問事項に対して高い値が設定されればよいが、この限りではなく、重視する指標に対応してより感度の高い評価が可能となるように設定されれば良い。
【0017】
<コンディション状態判定方法>
ステップS12では、労働者のコンディション状態を評価する。ステップS12においては、利用者の生活習慣の状態を定量化したコンディション評価値又は生活習慣評価値に基づいて分類されたコンディションレベルに基づいて、生活習慣に関する情報である労働者のコンディション状態を判定する。
【0018】
「コンディション評価値」とは、労働者に対して行った生活習慣に関する質問事項に対する回答結果により定量的に示されたコンディション状態判定結果である。「コンディション評価値」を決定するための質問事項は、回答者の生活習慣を評価可能であれば特に限定されないが、発明者らは、例えば、生活習慣(特に、睡眠に影響を及ぼしやすい生活習慣)に関する質問事項により回答者のコンディション状態を評価することを見出した。
生活習慣に関する質問事項は、例えば、睡眠に関する質問事項、運動に関する質問事項及び食事に関する質問事項を含んでいる。また、生活習慣に関する質問事項は、さらに労働環境に関する質問事項、心理面に関する質問事項及び身体面に関する質問事項を含んでいる。
【0019】
生活習慣に関する質問事項のうち、睡眠習慣に関する質問事項は、例えば平均睡眠時間、眠る時の部屋の暗さ、就寝前のアルコール類やカフェイン入り飲料の摂取、就寝直前の入浴、就寝時のテレビの視聴や液晶機器の利用等が挙げられる。
生活習慣に関する質問事項のうち、食事習慣に関する質問事項は、例えば食事の栄養バランス、食事の摂取時間の規則正しさ、朝食の摂取、夕食の摂取時間(夜遅い時間になるかどうか)、飲酒の頻度及び1回あたりの飲酒量等が挙げられる。
生活習慣に関する質問事項のうち、運動習慣に関する質問事項は、例えば体を動かすことが好きか、定期的な運動の有無、一日の平均歩数、休日の平均歩数等が挙げられる。
【0020】
生活習慣に関する質問事項のうち、労働環境に関する質問事項は、例えば重労働があるかどうか、通勤時間等が挙げられる。
生活習慣に関する質問事項のうち、心理面に関する質問事項は、例えばなかなか気持ちが切り替えられずいつまでも引きずってしまうかどうかや、人間関係への疲れ等が挙げられる。
生活習慣に関する質問事項のうち、身体面に関する質問事項は、例えば眠りにつきにくいかどうか、就寝中に目が覚めるかどうか、朝予定よりも早く目が覚めてその後眠れないかどうか、熟睡できているかどうか、日中眠いかどうか等が挙げられる。
【0021】
なお、生活習慣に関する質問事項には、回答内容に応じてコンディション状態の程度が一義的に決まらない質問事項(例えば就寝時間や起床時間)や、自由記述で回答可能な質問事項(例えば気になる体調の変化や職場の物理的環境)等の点数化できない質問事項が含まれていても良い。このような点数化できない質問事項を医師や職場の管理者が確認することにより、コンディション状態の評価を修正したり、職場環境の改善を図ったりすることができる。
【0022】
図2に示すように、生活習慣に関する質問事項のそれぞれの回答にはそれぞれ点数(部分評価値の一例)が付されている。例えば、各回答には、コンディション状態が悪化する傾向にある回答ほど高い点数(例えば4点)が付されており、コンディション状態が良好な傾向にある回答ほど低い点数(例えば1点)が付されている。本実施形態では、労働者の回答に基づき、生活習慣に関する質問事項のそれぞれに対する回答に対応する点数を合計してコンディション評価値を算出し、コンディション評価値が高いほどコンディション状態が悪いと判定することにより、コンディション状態の判定を行う。
【0023】
また、本実施形態では、生活習慣に関する質問事項のそれぞれに対する回答に対して予め係数を定めておき、各回答に対応する点数と係数とから乗算して得た重み付けされた点数の合計からコンディション評価値を算出し、コンディション状態の判定を行っても良い。係数は、例えば、より健康状態への影響が大きい質問事項に対して高い値が設定されればよいが、この限りではなく、重視する指標に対応してより感度の高い評価が可能となるように設定されれば良い。
さらに、本実施形態では、上述のようにして算出したコンディション評価値と所定の基準値とを比較して、回答者のストレス状態を例えば「良好」「要注意」「危険」等のコンディションレベルに分類し、コンディションレベルに基づいてコンディション状態の判定を行っても良い。
【0024】
<環境変化判定方法>
ステップS13では、労働者の環境変化を評価する。ステップS13においては、本実施形態では、利用者の環境変化の実感の有無に基づいて、環境変化に関する情報を判定する。
「環境変化の実感」とは、労働者に対して行った環境変化に関する質問事項に対する回答結果により示された環境変化の実感の判定結果である。「環境変化の実感」を決定するための質問事項は、回答者の環境変化の実感を評価可能であれば特に限定されないが、発明者らは、例えば、環境変化の有無と、環境変化に対する労働者の感情変化の有無との双方を含む環境変化に関する質問事項により回答者の環境変化の実感を評価することを見出した。
環境変化に関する質問事項は、例えば、環境変化の事実に関する質問事項と、環境変化に対する回答者の主観に関する質問事項を含んでいる。
【0025】
生活習慣に関する質問事項のうち、環境変化の事実に関する質問事項は、例えば環境変化の有無が挙げられる。
生活習慣に関する質問事項のうち、環境変化に対する回答者の主観に関する質問事項は、例えば回答者の感情変化の有無、すなわち悲しい、ショックと感じた事があったかどうか等が挙げられる。
【0026】
本実施形態では、環境変化の事実に関する質問事項及び環境変化に対する回答者の主観に関する質問事項の少なくとも一方において「有」と回答があった場合(環境変化「有」又は感情変化「有」と回答があった場合)に、「環境変化の実感有り」と判定し、環境変化の事実に関する質問事項及び環境変化に対する回答者の主観に関する質問事項の双方において「無」と回答があった場合に「環境変化の実感無し」と判定して、環境変化の実感の判定を行う。
なお、生活習慣に関する質問と環境変化に関する質問とは、それぞれ別に実施されてもよく、一度に実施、すなわち一連の質問として実施されてもよい。
【0027】
(健康状態判定方法)
ステップS14では、労働者の健康状態を評価する。ステップS14においては、本実施形態では、上述したストレス状態の判定結果(ストレス状態に関する情報)、コンディション状態の判定結果(生活習慣に関する情報)及び環境変化の実感(環境変化に関する情報)の判定結果に基づいて、回答者の健康状態を判定する。例えば、ストレス状態の判定結果が「高ストレス」及び「非高ストレス」の2段階、コンディション状態の判定結果が「良好」「要注意」「危険」の3段階、環境変化の実感の判定結果が「有」「無」の2段階の場合、回答者の健康状態が12の状態に分類される。
【0028】
図3に示すように、ストレス状態の判定結果が「高ストレス」、コンディション状態の判定結果が「危険」、環境変化の実感の判定結果が「有」の場合、回答者の健康状態が高リスクであると判定する。
また、ストレス状態の判定結果が「非高ストレス」、コンディション状態の判定結果が「良好」、環境変化の実感の判定結果が「無」の場合、回答者の健康状態を低リスクと判定する。
さらに、その他の判定結果の組み合わせの場合は、例えばストレス状態の判定結果が「高ストレス」、コンディション状態の判定結果が「危険」及び環境変化の実感の判定結果が「有」のうちの少なくとも1つを満たす場合、ストレス状態、コンディション状態及び環境変化の実感のうちの少なくともひとつの状態が良好ではないため、回答者の健康状態を高リスク又は準高リスクと判定してもよい。また、リスクの段階をより詳細(例えば4段階)に設定し、ストレス状態、コンディション状態及び環境変化の実感のうちの2つが良好でない場合と1つが良好でない場合を異なるリスク段階として評価しても良い。
【0029】
さらに、ストレス状態、コンディション状態及び環境変化の実感の指標に対して、より重要な順に順位を設定し、健康状態の12の状態を高リスクから低リスクの12段階に分類しても良い。例えば、環境変化の実感が最も回答者の健康状態に重要な情報であると設定した場合、ストレス状態及びコンディション状態の2つが良好でない場合よりも、ストレス状態及び環境変化の実感の2つが良好でない場合の方がリスクの度合いが高くなると判定するようにしても良い。
【0030】
以上説明した健康状態の判定は、例えば質問事項が記載された印刷物(アンケート用紙)を用いて実施されても良く、当該健康状態の判定を行う健康状態判定方法をコンピュータに実行させて実施されても良い。
【0031】
(健康管理方法)
ステップS15では、労働者の健康状態の評価結果に基づいた健康管理を行う。ステップS15においては、上述した労働者の健康状態の判定結果に基づいて、健康状態の改善に関する情報を労働者に提示する。
「健康状態の改善に関する情報」とは、例えば、高ストレス判定者への医師面談の提案や相談窓口の情報、生活習慣を改善するための動画教材又は動画教材のリンク先を示す情報、環境変化有との判定者への環境変化への向き合い方のアドバイス等が含まれる。リンク先を示す情報としては、動画のURLや、視聴先へ誘導する文言が挙げられる。
【0032】
生活習慣を改善するための動画教材としては、例えば睡眠による健康状態の改善効果についての説明や、睡眠の質を向上させる食事内容や食事の仕方、入浴、運動等の説明が含まれる。
環境変化への向き合い方のアドバイスとしては、環境変化のリスク、不安や焦りへの対処方法、高ストレス状況を乗り切るためのSOC(Sense Of Coherence:首尾一貫感覚)、生活習慣を改善するための動画教材の視聴の推奨、相談窓口の情報等が含まれる。
【0033】
なお、上述した健康状態の改善に関する情報の提示は、少なくとも高リスクと判断された労働者に対して行なわれればよく、全てのリスクレベルの労働者に対して行なわれても良い。また、リスクレベルに応じて異なる情報が提示されてもよい。例えば、総合的な評価が「高リスク」に該当しなくても、3つの指標のいずれかについて好ましくない評価がなされた労働者には、各指標の評価結果に応じた情報が提示されてもよい。例えば、ストレス状態が「非高ストレス」であったものの、生活習慣に基づくコンディション状態が「要注意」又は「危険」であり、環境変化の実感が「環境変化有」と判断された労働者には、生活習慣を改善するための動画教材と環境変化への向き合い方のアドバイスが提示されても良い。
また、「提示」には、意思やカウンセラー等の人が労働者に情報を提示することや、インターネット等を介して労働者に自動提示することを含む。
【0034】
以上説明した健康管理方法で評価した場合、
図4(A)及び
図4(B)に示すように、3つの指標全てのリスクレベルが低い「低リスク」領域に分類された労働者の中から、新規発症(過去5年以内で初めて発病すること)による休業者が発生しなかった(
図4(A))。一方、ストレス状態が「非高ストレス」であり、コンディション状態が「良好」であっても、環境変化が「有」に分類された労働者の中からは新規発症による休業者が発生した(
図4(B))。
【0035】
また、以上説明した健康管理方法で評価した場合、
図5に示すように、「低リスク」領域に分類された労働者の中から発生した再発による休業者の割合は、ストレス状態が「非高ストレス」であり、コンディション状態が「良好」であっても、環境変化が「有」に分類された労働者の中から発生した再発による休業者の割合よりも低かった。
このため、本実施形態に係る健康管理方法にて利用者のストレス状態、コンディション状態及び環境変化の3つの指標に基づいて健康状態の評価を行うことで、不調を発症しやすい労働者を的確に判断できる為好ましい。
【0036】
(1.2)本実施形態の効果
本実施形態に係る健康管理方法では、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態に係る健康管理方法では、利用者のストレス状態に関する情報、生活習慣に関する情報及び環境変化に関する情報に基づいて、利用者の健康状態を判定する。
これにより、不調を発症しやすい労働者を的確に判断できる為好ましい。
【0037】
(2)本実施形態に係る健康管理方法では、利用者のストレスを定量化したストレス評価値又はストレス評価値に基づいて分類されたストレスレベルをストレス状態に関する情報とし、利用者の生活習慣の状態を定量化したコンディション評価値又は生活習慣評価値に基づいて分類されたコンディションレベルを生活習慣に関する情報としている。
これにより、健康状態の評価が直感的に理解しやすくなる。
【0038】
(3)本実施形態に係る健康管理方法では、ストレス状態に関する質問事項及び生活習慣に関する質問事項に対する利用者の回答に基づいて、ストレス評価値とコンディション評価値とを算出する。
これにより、回答者のストレス状態およびコンディション状態を的確に評価することができる。
【0039】
(4)本実施形態に係る健康管理方法では、複数の質問事項に対する回答のそれぞれに対する部分評価値の合計又は部分評価値と質問事項のそれぞれに対する回答に対して予め設定された係数とから算出された重み付けされた部分評価値の合計から、コンディション評価値を算出する。
これにより、健康状態の評価が直感的に理解しやすくなるとともに、重み付けを行った場合にはさらに回答に対する評価結果の精度が向上する。
【0040】
(5)本実施形態に係る健康管理方法では、利用者の睡眠に関する質問事項、運動に関する質問事項及び食事に関する質問事項に関する質問事項に対する回答に基づいて回答それぞれの部分評価値を決定する。
これにより、コンディション状態の評価精度がより向上する。
【0041】
(6)本実施形態に係る健康管理方法では、利用者の睡眠に関する質問事項、運動に関する質問事項及び食事に関する質問事項に対する回答と、労働環境に関する質問事項、心理面に関する質問事項及び身体面に関する質問事項に対する回答とに基づいて、回答それぞれの部分評価値を決定し、部分評価値を合計してコンディション評価値を算出する。
これにより、コンディション状態の評価精度がさらに向上する。
【0042】
(7)本実施形態に係る健康管理方法では、ストレス状態に関する質問事項に対する利用者の回答に対する部分評価値の合計からストレス評価値を算出する。
これにより、ストレス状態の評価精度がさらに向上する。
【0043】
(8)本実施形態に係る健康管理方法では、利用者のストレス状態に関する情報が高ストレスを示す評価結果であり、生活習慣に関する情報がコンディション危険を示す評価結果であり、かつ環境変化に関する情報が環境変化有を示す評価結果である場合に、利用者の健康状態が高リスクであると判定する。
これにより、健康状態の評価精度が向上する。
【0044】
(9)本実施形態に係る健康管理方法では、利用者の健康状態の判定結果に基づいて、健康状態の改善に関する情報を利用者に提示する。
これにより、健康状態に応じたケアを行うことが可能となる。
【0045】
2.第二実施形態
以下、
図6から
図11を参照して、本開示の第二実施形態に係る健康管理装置1及び健康管理プログラムについて説明する。第二実施形態に係る健康管理装置1は、健康管理方法をコンピュータに実行させる健康管理プログラムを記憶している。
【0046】
(2.1)健康管理装置
図6に、健康管理装置1のハードウェア構成を示す。健康管理装置1は、例えばコンピュータで実現され、健康管理プログラムを記憶する記憶部11と、健康管理プログラムを実行して利用者の健康状態を判定する制御を行う制御部12と、制御部12の制御により健康管理部20(詳細は後述する)の各機能部を実現する情報処理部13とを備えている。また、健康管理装置1は、健康状態の判定結果等を表示する表示部14と、利用者のストレス状態に関する情報、生活習慣に関する情報及び環境変化に関する情報を取得する情報取得部15と、質問事項に対する回答が入力される入力部16とを備えている。
【0047】
<記憶部>
記憶部11は、第一実施形態で説明した健康管理方法を実行するための健康管理プログラムを記憶している。記憶部11に記憶される健康管理プログラムは、利用者のストレス状態に関する情報、生活習慣に関する情報及び環境変化に関する情報に基づいて、利用者の健康状態を判定する健康管理方法をコンピュータに実行させる。
【0048】
また、記憶部11は、その他の各種のプログラム、表示部14に表示する各種の表示フォーマット及び利用者に提示する健康状態の改善に関する情報を記憶している。
例えば、記憶部11は、
図7に示すように、コンピュータ上でストレスチェックを行う際に表示部14に表示される回答画面フォーマット111を記憶している。回答画面フォーマット111は、例えば、ストレス状態に関する質問事項、生活習慣に関する質問事項又は環境変化に関する質問事項と、各質問事項に対する回答ボタンが表示されている。
なお、
図4では、回答画面フォーマット111として生活習慣に関する質問事項が表示された場合を示しているが、ストレス状態に関する質問事項及び環境変化に関する質問事項も同様に示される。
【0049】
また、例えば、記憶部11は、
図8に示すコンディション判定結果のフィードバック用表示画面の表示フォーマットを記憶している。フィードバック用表示画面の表示フォーマット112は、コンディション状態を示す点数を視覚的に表記したり、コンディションレベル(「良好」「要注意」「危険」)を表示するバーグラフ等の表示エリア112Aを含んでいる。
【0050】
また、フィードバック用表示画面の表示フォーマット112は、コンディション状態の判定結果(例えば「良好」「要注意」「危険」等のリスクレベル)とともに、生活習慣改善のアドバイスを表示可能な表示エリア112Bを含んでいる。
また、例えば、記憶部11は、
図9(A)~
図9(C)に示すコンディション状態の評価結果に応じた生活習慣改善のアドバイスを記憶している。
図9(A)は、例えばコンディション状態の評価が「良好」(
図8参照)であった場合に、表示エリア112Bに表示される生活習慣改善のアドバイスである。
図9(B)は、例えばコンディション状態の評価が「要注意」(
図8参照)であった場合に、表示エリア112Bに表示される生活習慣改善のアドバイスである。
図9(C)は、例えばコンディション状態の評価が「危険」(
図8参照)であった場合に、表示エリア112Bに表示される生活習慣改善のアドバイスである。また、生活習慣改善のアドバイスは、質問事項に対する労働者の回答に応じて、労働者それぞれにより細かいアドバイスを行う文言であっても良い、例えば、コンディション状態の評価が「危険」であった労働者のそれぞれに対して、労働者の回答に応じて異なる文言を表示させても良い。
【0051】
例えば制御部12の制御により、表示エリア112Aに労働者ごとの健康状態の評価結果が合成される。また、制御部12の制御により、表示エリア112Bに、コンディション状態の評価結果(「良好」「要注意」「危険」等を示す文言)と、コンディション状態の評価結果に対応する生活習慣改善のアドバイス等が合成されることにより、労働者ごとのフィードバック用表示画面が生成される。例えば
図10は、コンディション評価値が「58点」であり、コンディション状態の評価結果(リスクレベル)が「要注意」であった労働者に示されるフィードバック用表示画面である。表示エリア112Aには、コンディション評価値とリスクレベルが表示されており、表示エリア112Bには、リスクレベルが「要注意」であった場合の生活習慣改善のアドバイス(生活習慣を改善するための動画教材に関する情報)が表示されている。
なお、フィードバック用表示画面には動画が表示されており、フィードバック用表示画面内で動画が再生可能とされていても良い。
【0052】
さらに、フィードバック用表示画面の表示フォーマット112は、例えば回答者全員に共通のコメントを表示する表示エリア112Cを含んでいても良い。回答者全員に共通のコメントは、予め表示フォーマット112中に含まれていても良い。
【0053】
記憶部11は、表示フォーマット112に合成するための健康状態の改善に関する情報を記憶している。健康状態の改善に関する情報としては、例えば高ストレス判定者への医師面談の提案や相談窓口の情報、生活習慣を改善するための動画教材のリンク先を示す情報、環境変化有との判定者への環境変化への向き合い方のアドバイス等の健康状態の改善に関する情報等が挙げられる。また、記憶部11は、生活習慣を改善するための動画教材を記憶していてもよいが、動画教材は図示しない外部のサーバ等に記憶されている方が好ましい。
【0054】
<制御部>
制御部12は、健康管理装置1内の動作を制御する機能を有しており、健康管理プログラムを実行することにより、利用者のストレス状態に関する情報、生活習慣に関する情報及び環境変化に関する情報に基づいて、利用者の健康状態を判定する制御を行う。制御部12の制御により、後述するストレス状態判定部21、コンディション状態判定部22、環境変化判定部23及び健康状態管理部24を含む健康管理部20を情報処理部13上に実現する。
【0055】
また、制御部12は、例えば後述する健康管理部20における労働者の健康状態の判定結果が記憶部11に記憶されたこと等に応じて、健康状態の判定結果や健康状態の改善に関する情報を各労働者に自動で通知する制御を行う。健康状態の改善に関する情報は社用メール等により各労働者へ通知される。これにより、例えばメンタルヘルスの不調や不調のリスク等の個人情報を他者に知られることなく、健康状態の判定結果等を回答者本人へフィードバックすることができる。
また、制御部12は、後述する入力部16又はインターネットを介して受け付けた管理者等からの操作指示に応じて、健康状態の判定結果や健康状態の改善に関する情報を各労働者に通知する制御を行ってもよい。
【0056】
<情報処理部>
情報処理部13は、制御部12の制御により健康管理部20の各機能部を実現される機能部である。情報処理部13内で実現される健康管理部20については後述する。
【0057】
<表示部>
表示部14は、制御部12によって、健康管理プログラムに基づいて判定した利用者の健康状態の判定結果及び判定結果に応じた健康状態の改善に関する情報の少なくとも一方を表示する。表示部14は、ディスプレイであってもよく、インターネットを介して制御部12と通信可能なスマートフォンやノート型又はタブレット型パーソナルコンピュータ等の表示部付き通信端末であっても良い。
【0058】
<情報取得部>
情報取得部15は、後述する入力部16又は健康管理装置1の外部から、利用者のストレス状態に関する情報、生活習慣に関する情報及び環境変化に関する情報の取得や操作指示の受け付けを行うインタフェースである。
【0059】
<入力部>
入力部16は、操作者の操作によってストレス状態に関する質問事項、生活習慣に関する質問事項及び環境変化に関する質問事項に対する回答等を入力する。入力部16は、例えばキーボード、タッチパネル、マウス、音声入力部等のいずれであっても良い。入力部16の操作者は、質問事項に回答する労働者本人であってもよく、労働者本人から質問事項に対する回答を取得して入力他の操作者であっても良い。
【0060】
図11に、健康管理プログラムによって健康管理方法をコンピュータに実行させることにより実現される健康管理部20の機能ブロックを示す。健康管理部20は、少なくともストレス状態判定部21、コンディション状態判定部22、環境変化判定部23及び健康状態管理部24を含んでいる。
【0061】
<ストレス状態判定部>
ストレス状態判定部21は、第一実施形態で説明したストレス状態判定方法を実行する機能部である。ストレス状態判定部21は、例えば入力部16を介して入力されたストレス状態に関する質問事項に対する回答に基づいて労働者のストレス状態を判定し、判定結果を健康状態管理部24に送信する。
【0062】
<コンディション状態判定部>
コンディション状態判定部22は、第一実施形態で説明したコンディション状態判定方法を実行する機能部である。コンディション状態判定部22は、例えば入力部16を介して入力されたコンディション状態に関する質問事項に対する回答に基づいて労働者のコンディション状態を判定し、判定結果を健康状態管理部24に送信する。
【0063】
<環境変化判定部>
環境変化判定部23は、第一実施形態で説明した環境変化判定方法を実行する機能部である。環境変化判定部23は、例えば入力部16を介して入力された環境変化に関する質問事項に対する回答に基づいて労働者の環境変化の実感を判定し、判定結果を健康状態管理部24に送信する。
【0064】
<健康状態管理部>
健康状態管理部24は、第一実施形態で説明した健康状態管理方法を実行する機能部である。健康状態管理部24は、ストレス状態判定部21、コンディション状態判定部22及び環境変化判定部23から入力された3つの指標の判定結果に基づいて、労働者の健康状態を判定する。健康状態管理部24は、労働者ごとの健康状態の判定結果を記憶部11に記憶する。
【0065】
(2.2)動作等
このような健康管理装置1では、ストレスチェック時に、例えば労働者によって入力部16から指示・回答が入力され、制御部12が健康管理プログラムを実行させることにより、入力された回答に応じた健康状態の評価が行われる。
制御部12は、表示部14に労働者の健康状態の判定結果や健康状態の改善に関する情報を表示させることができる。また、制御部12は、管理者の操作に応じて複数の労働者の健康状態の判定結果を出力したり、選択された労働者にメッセージを配信することもできる。
【0066】
(2.3)本実施形態の効果
本実施形態に係る健康管理プログラム及び健康管理装置では、以下の効果を奏する。
(10)本実施形態に係る健康管理プログラムでは、利用者のストレス状態に関する情報、生活習慣に関する情報及び環境変化に関する情報に基づいて、利用者の健康状態を判定する健康管理方法をコンピュータに実行させる。
これにより、不調を発症しやすい労働者を的確に判断できる。
【0067】
(11)本実施形態に係る健康管理装置では、上述した健康管理プログラムを記憶する記憶部と、健康管理プログラムを実行することにより、利用者のストレス状態に関する情報、生活習慣に関する情報及び環境変化に関する情報に基づいて、利用者の健康状態を判定する制御を行う制御部と、を備えている。
これにより、不調を発症しやすい労働者を的確に判断できる。
【0068】
(12)本実施形態に係る健康管理装置では、制御部が、制御部において実行した健康管理プログラムに基づいて判定した利用者の健康状態の判定結果及び判定結果に応じた健康状態の改善に関する情報の少なくとも一方を、判定結果判明後の任意のタイミングで利用者に自動で通知する。
これにより、メンタルヘルスの不調や不調のリスク等の個人情報を他者に知られることなく、健康状態の判定結果等を回答者本人へフィードバックを行うことができる。
【0069】
(13)本実施形態に係る健康管理装置では、表示部を備え、制御部が、制御部において実行した健康管理プログラムに基づいて判定した利用者の健康状態の判定結果及び判定結果に応じた健康状態の改善に関する情報の少なくとも一方を表示部に表示させる。
これにより、健康状態の評価が直感的に理解しやすくなる。
【0070】
(14)本実施形態に係る健康管理装置では、利用者のストレス状態に関する情報、生活習慣に関する情報及び環境変化に関する情報を取得する情報取得部を備える。
これにより、各質問事項に関する回答を示すデータを外部から入力することができ、汎用性の高い健康管理装置を実現することができる。
【0071】
(15)本実施形態に係る健康管理装置では、操作者の操作によって、ストレス状態に関する質問事項、生活習慣に関する質問事項及び環境変化に関する質問事項に対する回答が入力される入力部を備える。
これにより、労働者等の操作者によって入力された回答に基づいて即時に健康状態の判定を行うことが可能となる。
【0072】
以上、本開示を実施の形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0073】
1 健康管理装置
11 記憶部
12 制御部
13 情報処理部
14 表示部
15 情報取得部
16 入力部
20 健康管理部
21 ストレス状態判定部
22 コンディション状態判定部
23 環境変化判定部
24 健康状態管理部
111 回答画面フォーマット
112 表示フォーマット
112A~112C 表示エリア