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  • 特開-価値評価システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036429
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】価値評価システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/105 20230101AFI20230307BHJP
【FI】
G06Q10/10 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143482
(22)【出願日】2021-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】521388944
【氏名又は名称】杉野 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】杉野 太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】その価値を直接評価する上司や管理者がいないか、あるいは限定されるような人材に対して、さらには、そのような家庭、店舗、会社、団体、組織、機関、行政体などに対しても、適切に評価できる価値評価システムを提供する。
【解決手段】アンケートを格納するアンケート格納部42を有し、かつ、価値評価を求めるユーザのユーザ情報に基づいてユーザの価値評価に適したアンケートをユーザに送信するアンケート管理ユニット4と、ユーザから受け取ったアンケートの回答から回答を特徴付ける回答特徴データを生成する回答特徴データ生成部51と、回答特徴データとユーザ情報とに基づいて、ユーザの価値評価値を算出するとともに、価値評価値をユーザに提示可能に管理する価値評価値管理ユニット6を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンケートを格納するアンケート格納部を有し、かつ、価値評価を求めるユーザのユーザ情報に基づいて前記ユーザの前記価値評価に適した前記アンケートを前記ユーザに送信するアンケート管理ユニットと、
前記ユーザから受け取った前記アンケートの回答から前記回答を特徴付ける回答特徴データを生成する回答特徴データ生成部と、
前記回答特徴データと前記ユーザ情報とに基づいて、前記ユーザの価値評価値を算出するとともに、前記価値評価値を前記ユーザに提示可能に管理する価値評価値管理ユニットと、
を備える価値評価システム。
【請求項2】
前記ユーザは前記ユーザ情報に基づいて複数のユーザカテゴリに区分けされており、同一の前記ユーザカテゴリに含まれる前記ユーザの価値評価値に基づいて、前記ユーザカテゴリ毎の評価ランキングを示すランキング情報を生成するランキング情報生成部が備えられ、前記ランキング情報は前記ユーザに与えられる請求項1に記載の価値評価システム。
【請求項3】
前記ユーザカテゴリは、労働環境によって分類されている請求項2に記載の価値評価システム。
【請求項4】
前記労働環境には、家事以外の職業を持たない専業主婦、家事以外の職業も持つ兼業主婦、家事以外の職業も持つ一人暮らし女性などにおける家事労働の環境、及びそのような家事労働者が属する家庭の環境が含まれている請求項3に記載の価値評価システム。
【請求項5】
前記ランキング情報は、前記ユーザ以外の人材斡旋業者や人材募集している企業に与えられる請求項2から4のいずれか一項に記載の価値評価システム。
【請求項6】
前記アンケートには、少なくとも1つの特定作業を示すキーワードが含まれており、前記回答には、前記キーワードに基づく前記価値評価値を増減するファクタとしての強度が含まれており、前記回答特徴データは、前記キーワードと前記強度とを組み合わせたデータである請求項1から5のいずれか一項に記載の価値評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家事労働等を含む種々の労働形態で働く人物及びそのような人物が従事する家庭、会社、団体、組織、機関、行政体などの価値評価を行う価値評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、評価対象である従業員による職場に関する第1アンケートの回答結果からの第1評価結果と、この従業員に関する上司による第2アンケートの回答結果からの第2評価結果とに基づいて、従業員の職場における意識調査を行うシステムが開示されている。その際、第1評価結果は従業員のモチベーションの度合いを示しており、第2評価結果は仕事に対する期待値への到達度を示している。この2つの評価結果により、上司の評価と従業員の気持ちとのギャップを明確化することができ、各従業員の心理を的確に把握して、従業員のモチベーション向上のための取り組みを行うことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6438614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1による評価方法は、会社の従業員を評価対象としているので、従業員やその上司に対して行われるアンケートの評価項目である労働内容は明白であり、その評価は比較的簡単に行うことができる。しかしながら、労働内容が他者からは分かりにくく、その労働に対する評価が困難な労働が少なくない。例えば、家内工業の従業員、小規模介護施設やボランティア介護施設での介護従事者、使命感を優先する医療従事者、さらには、家事や育児に追われている主婦や主夫、などは、その労働内容を適切に評価する上司や管理者が限定されている。このため、適切な評価が受けられず、精神的、肉体的に苦しくなった際に、仕事に対する目的意識が低下する可能性がある。
【0005】
このような実情に鑑み、その価値を直接評価する上司や管理者がいないか、あるいは限定されるような人材に対して、さらには、そのような家庭、店舗、会社、団体、組織、機関、行政体などに対しても、適切に評価できる価値評価システムが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による価値評価システムは、アンケートを格納するアンケート格納部を有し、かつ、価値評価を求めるユーザのユーザ情報に基づいて前記ユーザの前記価値評価に適した前記アンケートを前記ユーザに送信するアンケート管理ユニットと、前記ユーザから受け取った前記アンケートの回答から前記回答を特徴付ける回答特徴データを生成する回答特徴データ生成部と、前記回答特徴データと前記ユーザ情報とに基づいて、前記ユーザの価値評価値を算出するとともに、前記価値評価値を前記ユーザに提示可能に管理する価値評価値管理ユニットと、を備える。
なお、本願明細書における「ユーザ」という語句には、人物のみならず、家庭、店舗、会社、団体、組織、機関、行政体なども含まれている。
【0007】
ユーザの労働や実績などに対する価値評価を受けたいユーザは、ユーザに関する情報であるユーザ情報に基づいてユーザに適したアンケートを価値評価システムから受け取る。ユーザがこのアンケートに回答すると、この回答を特徴付ける回答特徴データが生成される。生成された回答特徴データと、ユーザ情報とに基づいて、ユーザの価値評価値が算出される。算出された価値評価値は、ユーザに提示されるので、ユーザは自らの価値を確認することができる。アンケートは、種々の労働環境における種々の労働を評価できるように作成されているので、ユーザが価値評価の要求と同時に、あるいは前もってユーザ情報を登録しておけば、ユーザに適したアンケートが選択され、ユーザに送られる。このため、従来、評価対象になることが難しかった職種での労働や家庭内の労働に関しても、そのような労働に適したアンケートの回答を分析することで、正しく評価される。
【0008】
表面的には隠れた地味な労働を行っているユーザの目的意識を向上させるためには、そのような労働に関して従来行われていなかったランク付けが有効である。但し、ランク付けを公平に行うためには、できる限り共通した条件下でのユーザ群の中で、ランク付けが行われることが好ましい。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記ユーザは前記ユーザ情報に基づいて複数のユーザカテゴリに区分けされており、同一の前記ユーザカテゴリに含まれる前記ユーザの価値評価値に基づいて、前記ユーザカテゴリ毎の評価ランキングを示すランキング情報を生成するランキング情報生成部が備えられ、前記ランキング情報は前記ユーザに与えられる。ランキング情報はユーザにメール送信されてもよいし、ユーザのランキング情報がwebページ等を通じて閲覧可能にしてもよいし、ダウンロード可能に構成してもよい。
【0009】
例えば、ユーザが労働する地域や場所、ユーザが行う労働内容の難易度、協働労働者の有無など、労働環境(労働条件)の項目が異なると、ユーザのランク付けを平等に行うことは困難である。このため、できるだけ同等な労働環境に属するユーザ群の中で労働評価のランク付けを行うことが好ましい。本発明の好適な実施形態の1つでは、前記ユーザカテゴリは、労働環境によって分類されている。
【0010】
本発明の価値評価システムは、ユーザ情報に基づいたアンケートを実施するので、従来、評価対象となることが難しかった職種(手仕事職人やボランティアなど)に従事するユーザや家庭内の労働(家事や内職)に従事するユーザの価値評価に特に適している。このため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記労働環境には、家事以外の職業を持たない専業主婦、家事以外の職業も持つ兼業主婦、家事以外の職業も持つ一人暮らし女性などにおける家庭内労働の環境、及びそのような家事労働者が属する家庭の環境が含まれている。
【0011】
家事労働も含め種々な労働環境で働いているユーザ(人物)のランキング情報は、人材斡旋業者や人材募集企業などの有力な情報となる。さらに、ユーザ(店舗等)のランキング情報は、人材斡旋業者等を介して特定のユーザ(店舗等)のもとで働こうとしている人の有力な情報にもなる。例えば、家事労働に卓越した能力を示す人は、家政婦派遣業者だけではなく、接客業や一般的な会社の事務員としても才能を発揮する可能性がある。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記ランキング情報は、前記ユーザ以外の人材斡旋業者や人材募集している企業に与えられる。人材斡旋業者や人材募集している企業にランキング情報を与える形態としては、webページの閲覧や、ダウンロード、メールなどが採用される。また、この価値評価システムのスムーズな運営のために、そのランキング情報の提供を有料にすることも好適である。
【0012】
本発明では、アンケートの回答から生成される回答特徴データとユーザ情報とに基づいて、ユーザの価値評価値が算出される。したがって、アンケートにはユーザの価値評価に適したキーワードが含まれ、回答にはそのキーワードに対する個々のユーザの他のユーザとの相違要素(ファクタ)が含まれることが好ましい。例えば、キーワードがある1つの特定作業とすれば、回答には、この特定作業に従事した時間(時間量だけでなくその時間帯)が含まれるとよい。時間が多いと、この特定作業に対する価値評価値は高くなり、またその時間帯が夜間や早朝であれば、さらにその価値評価値は高くなる。その際、その特定作業での作業量もキーワードまたは回答に含めると、単位作業量当たりの作業時間が算出されるので、より正確な価値評価が可能となる。ここでは、キーワードで示される特定作業での価値評価値を増減するような数値や語句を総称するファクタとして、「強度」なる語句を用いる。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記アンケートには、少なくとも1つの特定作業(特定労働)を示すキーワードが含まれており、前記回答には、前記キーワードに基づく前記価値評価値を増減するファクタとしての強度が含まれており、前記回答特徴データは、前記キーワードと前記強度とを組み合わせたデータである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態の1つに係る価値評価システムの全体構成図である。
図2】ユーザ管理ユニットの構成と関連データの流れを示す模式図である。
図3】アンケート管理ユニットと回答処理ユニットと価値評価値管理ユニットとの構成と関連データの流れを示す模式図である。
図4】ランキング管理ユニットの構成と関連データの流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による価値評価システムの一例を説明する。自己の労働、サービス、役割などに対する評価を受けたいユーザは、インターネットなどを介してこの価値評価システムにアクセスして、ユーザ登録を行う。この価値評価システムで取り扱われる労働には、報酬を受けない労働が含まれており、むしろ、無報酬労働における価値評価にこの評価システムは適している。ユーザ登録時に入力された、ユーザに関する各種情報は、ユーザ情報として価値評価システムで管理される。価値評価システムは、評価すべきユーザにアンケートを送信し、ユーザから送り返されたアンケート回答を分析することで、このユーザの価値評価を行う。アンケートは、種々の労働環境における種々の労働(作業の組み合わせ)を評価できるように作成されているので、ユーザ情報に基づいてユーザに適した種々のアンケートがユーザに送られる。したがって、種々の職種での労働や家庭内の労働に関しても、その労働に適合したアンケートに対する回答を分析することで、ユーザは正しく評価される。もちろん、同一ユーザの特定職場での労働の評価と家事労働の評価とを組み合わせた結果を用いて、このユーザの総合的な労働環境での価値評価を行うことも可能である。
【0015】
図1は、本発明の人材管理システムの全体構成例を示す図である。この例では、人材管理システムは、人材管理センタに設置されたサーバーコンピュータ100に構築されている。ユーザは、ユーザ端末10を操作し、公衆電話回線網や携帯電話回線網などの通信ネットワーク(以下、単にインターネットと称する)1を介して、人材管理システムとの間でデータ交換を行う。ユーザ端末10は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータなどの通信機能と表示機能とを有するコンピュータである。
【0016】
サーバーコンピュータ100は、外部とのデータ(情報)の入出力のために受信部21と送信部22とを、webサービスインターフェースとして有する。さらに、データ処理を行うアプリケーションユニットとして、ユーザ管理ユニット3、アンケート管理ユニット4、回答処理ユニット5、価値評価値管理ユニット6、ランキング管理ユニット7を備えている。
【0017】
図2に示すように、ユーザ管理ユニット3は、ユーザ情報格納部31とユーザカテゴリ設定部32とを有する。ユーザ管理ユニット3は、ユーザ登録を行うためにアクセスしてきたユーザに対して、基本情報、労働従事形態、雇用形態、職種などを入力してもらい、ユーザ識別コードに関係付けられたユーザ情報として、ユーザ情報格納部31に格納する。基本情報には、氏名、性別、生年月日、年齢、同居家族構成などが含まれる。労働従事形態には、兼業従事者、専業従事者、労働時間、労働時間帯などが含まれる。雇用形態には、正規社員、非正規社員、パートタイマー、契約社員、アルバイト、派遣社員、家事労働者などが含まれている。職種には、事務職、生産労働職、運輸職、技術職、医療職、介護職、接客職、家事従事職などが含まれる。なお、職種には、管理職や一般職などの役職も含まれる。
【0018】
ユーザカテゴリ設定部32は、ユーザ情報格納部31と連係し、ユーザ情報に基づいて、ユーザを複数のユーザカテゴリに区分けする。ユーザカテゴリとして、例えば女性であれば、幼児を育児している育児専業主婦カテゴリ、幼児を育児している育児兼業主婦カテゴリ、幼児を持たない非育児専業主婦カテゴリ、家事以外の職業を持つ一人暮らし女性カテゴリ、ボランティアで介護職などに従事しているボランティア女性カテゴリなどが挙げられる。
【0019】
図3に示すように、アンケート管理ユニット4は、価値評価を求めるユーザに対して、当該ユーザのユーザ情報に基づいて、当該ユーザの価値評価に適したアンケートをユーザに送信する。アンケート管理ユニット4は、アンケート選択部41とアンケート格納部42とを有する。価値評価を求めるユーザが種々の労働環境や職種を持つことを考慮して、そのようなユーザの価値評価に適した多数のアンケートが作成され、アンケート格納部42に格納されている。アンケート選択部41は、価値評価を求めるユーザのユーザ情報をユーザ情報格納部31から抽出し、抽出したユーザ情報に基づいて、当該ユーザの価値評価に適したアンケートをアンケート格納部42から抽出する。抽出されたアンケートは、順次、ユーザ端末10に送信部22を介して送られる。アンケートには、少なくとも1つの特定作業(特定労働)を示すキーワードが含まれている。ここでの特定労働とは、勤務先での仕事、家庭での仕事(家事)、私的な活動(奉仕活動や鍛錬活動だけでなく睡眠や散歩も含まれる)などである。
【0020】
育児専業主婦(家事労働者の一種)に対するアンケートの例を以下に列挙する。
・就寝時間?
・起床時間?
・就寝準備(布団またはベッドメイキング)?
・幼児の夜泣き回数?
・掃除対象(キッチン、トイレ、浴室、居間などから選択)と各掃除方法と各掃除時間?
・洗濯量?
・食材の準備(食材購入に要する時間、食材種類、料理種類、調理時間、調理量)?
上記のようなアンケートにおける「就寝」、「起床」、「夜泣き」、「掃除」、「洗濯」、「調理」がアンケートに含まれるキーワードであり、その回答としての「時間」、「回数」、「量」、「種類数」などがそれぞれのキーワードに基づく価値評価値を増減するファクタとしての強度である。
【0021】
アンケートは、マークシートのような形態で、アンケート管理ユニット4からユーザ端末10に送られる。ユーザは、モニタ画面に表示された各アンケートに対する回答をクリック操作等で行い、サーバーコンピュータ100に送り返す。ユーザから送られてきたアンケート回答は、回答処理ユニット5に与えられる。回答処理ユニット5は、回答特徴データ生成部51を有する。回答特徴データ生成部51は、ユーザから受け取ったアンケートの回答から、キーワードと強度とを抽出し、その抽出結果から、この回答を特徴付ける回答特徴データを生成する。
【0022】
例えば、アンケートが、「掃除対象(キッチン、トイレ、浴室、居間など)」と「各掃除方法(カビ落とし、洗剤洗い、こすり洗い、流し洗い、拭き、など)」と「掃除時間」であり、その回答の1つが、掃除対象が「浴室」、掃除方法が「こすり洗い」、掃除時間が「15分」、であれば、回答特徴データは、(「浴室掃除」、「負担度D」、「15分」)となる。浴室掃除でのこすり洗いは「負担度:D」と設定されている。この例では、負担度はA:弱~F:強まで設定されており、掃除対象と掃除方法との組み合わせで決定される。この実施形態では、回答特徴データは、キーワードとしての「負担度Dの浴室掃除」と、キーワードの強度としての従事時間(従事回数などを用いてもよい)とを組み合わせたベクトルデータである。
【0023】
生成された回答特徴データは、価値評価値管理ユニット6に与えられる。価値評価値管理ユニット6は、価値評価値算出部61と価値評価値格納部62とを有する。価値評価値算出部61は、回答特徴データと、この回答を行ったユーザのユーザ情報から得られるユーザ特性(年齢、性別、地域、家族構成など)とに基づいて、ユーザの価値評価値を算出する。ユーザ端末10には多数のアンケートが送られるので、アンケート回答も多数となり、その結果、多数の回答特徴データが生成される。価値評価値算出部61による価値評価値の算出には、例えば、多次元ルックアップテーブルや決定木アルゴリズムなどが用いられる。算出された価値評価値は、当該ユーザのユーザ識別コードに関係付けて価値評価値格納部62に格納される。価値評価値算出部61が、各回答特徴データに基づいて価値評価値を算出する場合は、算出された価値評価値から、算術積算、重み積算、平均演算、中間値演算などの統計的演算を用いて1つの価値評価代表値(以下のこの代表値も単に価値評価値と称する)を算出するとよい。価値評価値算出部61によって算出された価値評価値は、ユーザ端末10に送られる。ユーザは、ユーザ端末10のモニタ画面を通じて自身の価値評価値を確認することができる。
【0024】
サーバーコンピュータ100に備えられているランキング管理ユニット7は、図4に示すように、ランキング情報生成部71を有する。ランキング情報生成部71は、ユーザからのランキング要求に応答して、ユーザの評価ランキングを示すランキング情報を生成して、ユーザ端末10に送信する。その際、評価ランキングは、労働環境等が類似するユーザの間で行われる。このため、ランキング情報生成部71は、ランキング要求をするユーザのユーザ情報(ユーザ識別コード)を用いて、ユーザカテゴリ設定部32から、当該ユーザのユーザカテゴリを取得する。さらに、取得したユーザカテゴリに属するユーザ(ランキング要求をしたユーザを含む)の価値評価値を価値評価値格納部62から抽出する。ランキング情報生成部71は、抽出した価値評価値に基づいて、ランキング要求をしたユーザのランキングを算出し、必要に応じて、グラフ化や一覧表化を行い、ランキング情報を生成する。生成したランキング情報は、ランキング要求をしたユーザのユーザ端末10に送られ、当該ユーザによって確認される。
【0025】
ランキング管理ユニット7は、ユーザからのランキング要求の有無に関わらず、各種ユーザカテゴリにおけるカテゴリ別ランキング情報を作成する。作成されたカテゴリ別ランキング情報は、各ユーザに送信、またはユーザによって閲覧可能、またはユーザによってダウンロード可能である。カテゴリ別ランキング情報を作成するカテゴリは任意に選択可能であり、例えば、年齢や子供の有無を問わない専業主婦だけのランキング情報、兼業主婦だけのランキング情報、専業主婦または専業兼業を問わない主婦のランキング情報、などの生成が可能である。さらには、地域別、年齢別、性別、子供の有無別のランキング情報の生成も可能である。もちろん、人物のランキングだけでなく、保育所、育児所、医療機関、行政体などのランキング情報の生成も可能である。
【0026】
このサーバーコンピュータ100には、カテゴリ別ランキングや価値評価値に基づいて、上位のユーザを表彰する機能やカテゴリ別ランキングや価値評価値に応じてクーポン券(買い物券など)をユーザに付与する機能が備えられている。クーポン券が得られることで、ユーザの労働へのモチベーションが向上する。
【0027】
さらに、ランキング情報生成部71によって生成されたランキング情報は、人材斡旋業者や人材募集している企業などにとっての有力な情報となる。このため、図4で示すように、価値評価に参加していないユーザ(非ユーザ)であっても、ランキング情報を有効利用できる個人または団体(図4では、非ユーザ端末11として示されている)に、ランキング情報が送られる。もちろん、個人情報や企業情報などの流出問題を避けるため、送られるランキング情報は暗号化され、その暗号解読キーは、ランキング情報を受ける人材斡旋業者や人材募集企業に対して予め行われた審査の合格と引き換えに与えられる。これにより、例えば、専業主婦であっても、優れた労働遂行能力や管理能力が見いだされ、種々の労働環境で活躍する道が開かれる。もちろん、暗号システムに代えてパスワードシステムを用いてもよい。
【0028】
図1に示されているように、サーバーコンピュータ100には、広告管理部23が備えられている。この広告管理部23は、ユーザにアンケートを提示する際、あるいはユーザや非ユーザにランキング情報を提示する際に、広告を付与する。この広告による収入は、価値評価システムの運営の経済的な基盤となる。
【0029】
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、サーバーコンピュータ100に備えられたアプリケーションユニットである、ユーザ管理ユニット3、アンケート管理ユニット4、回答処理ユニット5、価値評価値管理ユニット6、ランキング管理ユニット7のうちの少なくとも1つは、データ通信回線網でデータ交換可能につながっている別のコンピュータに備えられてもよい。サーバーコンピュータ100が分散システムとして構築されてもよい。
【0030】
(2)上述した実施形態では、回答特徴データ(キーワードとそのキーワードの強度)とユーザ特性とから、多次元ルックアップテーブルや決定木アルゴリズムなどを用いて、価値評価値が導出された。これに代えて、回答特徴データとユーザ特性とを入力データとして、価値評価値を出力する機械学習モデルを採用してもよい。機械学習モデルを採用する場合には、アンケート回答に、ユーザの労働を撮影した動画や静止画を含ませ、動画や静止画を機械学習モデルの入力データとして用いてもよい。
【0031】
(3)上述した実施形態では、価値評価システムは、サーバー・クライアントシステムのような形態で構築されていたが、これに代えて、クラウドサービスシステムで構築されてもよい。さらには、この価値評価システムは、パーソナルコンピュータやタブレットコンピュータやスマートフォンなどに、スタンドアローンとして構築することも可能である。その場合、図1におけるユーザ端末10はタッチパネルなどで置き換えられ、サーバーコンピュータ100に構築されていた各機能部は、パーソナルコンピュータやタブレットコンピュータやスマートフォンなどにインストールされるか、あるいは必要時にダウンロードされるアプリケーションとして構築される。
【0032】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、家事労働等を含む種々の労働形態で働く人物、及びそのような人物が従事する家庭、会社、団体、組織、機関、行政体などの価値評価を行う価値評価技術に利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 :ユーザ端末
21 :受信部
22 :送信部
23 :広告管理部
3 :ユーザ管理ユニット
31 :ユーザ情報格納部
32 :ユーザカテゴリ設定部
4 :アンケート管理ユニット
41 :アンケート選択部
42 :アンケート格納部
5 :回答処理ユニット
51 :回答特徴データ生成部
6 :価値評価値管理ユニット
61 :価値評価値算出部
62 :価値評価値格納部
7 :ランキング管理ユニット
71 :ランキング情報生成部
100 :サーバーコンピュータ
図1
図2
図3
図4