(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036477
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】亀裂監視センサ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/20 20060101AFI20230307BHJP
【FI】
G01N27/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143548
(22)【出願日】2021-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】501091006
【氏名又は名称】株式会社東設土木コンサルタント
(71)【出願人】
【識別番号】503209526
【氏名又は名称】株式会社セロリ
(71)【出願人】
【識別番号】517320048
【氏名又は名称】株式会社ケーウェイズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】山内 優
(72)【発明者】
【氏名】恩知 憲正
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】諸田 健一
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA14
2G060AE04
2G060AF07
2G060AG09
2G060EA06
2G060EB05
2G060JA05
2G060KA11
(57)【要約】
【課題】構造物の表面の亀裂を挟んだ2つの観測点の少なくとも2方向の変位を検出することができる亀裂監視センサを提供する。
【解決手段】本発明にかかる亀裂監視センサ100は、所定の構造物102の表面104の亀裂106を挟んだ2つの観測点の位置の変位を検出する亀裂監視センサであって、亀裂の一方の観測点Dに固定される計測用ネジ116と、亀裂の他方の観測点E、Fに固定されていて、計測用ネジまで延びるアーム108と、アームに固定された複数の隙間調整ネジ122、124、126、128、130と、計測用ネジ116および複数の隙間調整ネジに電気的に接続されたICタグ110と、を備え、複数の隙間調整ネジは、計測用ネジに対して異なる方向に所定の間隔をおいて配置されていて、ICタグは、計測用ネジといずれかの隙間調整ネジとが導通していることを示す応答を所定のリーダー114に送信することを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の構造物の表面の亀裂を挟んだ2つの観測点の位置の変位を検出する亀裂監視センサであって、
亀裂の一方の観測点に固定される固定端子と、
亀裂の他方の観測点に固定されていて、前記固定端子まで延びるアームと、
前記アームに固定された複数の検出用端子と、
前記固定端子および前記複数の検出用端子に電気的に接続されたICタグと、を備え、
前記複数の検出用端子は、前記固定端子に対して異なる方向に所定の間隔をおいて配置されていて、
前記ICタグは、前記固定端子といずれかの前記検出用端子とが導通していることを示す応答を所定のリーダーに送信することを特徴とする亀裂監視センサ。
【請求項2】
前記検出用端子はネジであって、所定の間隔を調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の亀裂監視センサ。
【請求項3】
前記異なる方向とは、2つの観測点が離接する方向、2つの観測点が構造物の表面と平行な方向にずれる方向、2つの観測点が構造物の表面の法線方向にずれる方向の少なくとも2つを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の亀裂監視センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の構造物の表面の亀裂を挟んだ2つの観測点の位置の変位を検出する亀裂監視センサに関する。
【背景技術】
【0002】
一例として道路や鉄道トンネルなどのコンクリートの構造物は、コンクリートの劣化や周辺地盤の偏圧などにより表面に亀裂が発生する場合がある。このような亀裂を放置すると、コンクリート構造物の変形・破壊が進行し、構造物の一部が浮き上がって剥落し通行車両や人身に損傷を与えるなどの事態が生じるため、亀裂周辺コンクリートの動きの変化を監視する必要がある。
【0003】
特許文献1には、コンクリートなどの構造物の亀裂測定を行うための構造物亀裂検知センサが記載されている。この構造物亀裂検知センサは、分岐電極と、共通電極と、スライド手段とを備える。
【0004】
分岐電極と共通電極は、構造物に少なくとも2点で固着し、この固着された点にそれぞれ固定されている。分岐電極は、複数の導電体を有する。複数の導電体は、電気絶縁体上に一定の間隔で電気的に独立した状態で平行配列されている。共通電極は、分岐電極の導電体と順次重なり合う電気的接触構造を有する。スライド手段は、分岐電極と共通電極とを相対的に移動させる。さらに構造物亀裂検知センサは、分岐電極と共通電極との接触位置が分岐電極と共通電極との相対移動距離に従って順次変化するように構成されている。
【0005】
特許文献1では、亀裂幅の増減に応じて、分岐電極と共通電極との重なり位置が変わり、その結果、分岐電極を構成する複数の導電体のうち共通電極と導通する導電体の数または位置が変化し、その数または位置を電圧計等の表示器に表示させることにより、亀裂幅を測定することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構造物亀裂検知センサは、構造物の表面の亀裂を挟んだ2つの観測点に電極(端子)を固定し、さらに分岐電極を櫛歯状の端子とすることにより、2つの観測点の変位量を段階的に測定できる。しかし特許文献1のセンサでは、2つの観測点の一方向の変位すなわち亀裂方向の変位しか検知することができない。なお亀裂方向とは、2つの観測点が構造物の表面と平行な方向にずれる方向である。
【0008】
しかも、構造物の亀裂周辺を補修すべきか否かおよびどのように補修すべきかは、2つの観測点が浮き上がりや横ずれを含みどの方向に変位しているかを検知することが重要であり、特許文献1のセンサのように2つの観測点の一方向のみの細かな変位量を検知するだけでは不十分である。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑み、構造物の表面の亀裂を挟んだ2つの観測点の少なくとも2方向の変位を検出することができる亀裂監視センサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明にかかる亀裂監視センサの代表的な構成は、所定の構造物の表面の亀裂を挟んだ2つの観測点の位置の変位を検出する亀裂監視センサであって、亀裂の一方の観測点に固定される固定端子と、亀裂の他方の観測点に固定されていて、固定端子まで延びるアームと、アームに固定された複数の検出用端子と、固定端子および複数の検出用端子に電気的に接続されたICタグと、を備え、複数の検出用端子は、固定端子に対して異なる方向に所定の間隔をおいて配置されていて、ICタグは、固定端子といずれかの検出用端子とが導通していることを示す応答を所定のリーダーに送信することを特徴とする。
【0011】
上記構成では、アームは、亀裂の他方の観測点に固定され、さらに亀裂の一方の観測点に固定された固定端子まで延びて、所定の構造物の表面の亀裂を挟んだ2つの観測点を跨いでいる。またアームには、固定端子に対して異なる方向すなわち少なくとも2方向に所定の間隔をおいて配置された複数の検出用端子が固定されている。このため、複数の検出用端子のうちいずれかの検出用端子と固定端子とが接触した場合、2つの観測点の位置は、固定端子と接触した検出用端子が配置された方向に沿って所定の間隔以上に変位したことになる。さらに、固定端子および複数の検出用端子は、ICタグに電気的に接続されている。なおICタグは、所定のリーダーからの電磁波を受けて発電するパッシブICタグである。
【0012】
したがって上記構成によれば、固定端子といずれかの検出用端子とが接触すると、この検出用端子と固定端子とが導通していることを示す応答を、ICタグが所定のリーダーに送信するため、構造物の表面の亀裂を挟んだ2つの観測点の少なくとも2方向の変位を検出することができる。
【0013】
上記の検出用端子はネジであって、所定の間隔を調整可能であるとよい。
【0014】
このように、検出用端子と固定端子との間隔を検出用端子によって調整できるため、2つの観測点の位置がどの程度変位したら、検出用端子と固定端子が接触するかを適宜設定することができる。そして、調整した所定の間隔を、亀裂を補修すべきか否かを判定する閾値として設定することで、適切なタイミングで補修作業を行うことができる。
【0015】
上記の異なる方向とは、2つの観測点が離接する方向、2つの観測点が構造物の表面と平行な方向にずれる方向、2つの観測点が構造物の表面の法線方向にずれる方向の少なくとも2つを含むとよい。
【0016】
これにより、構造物の表面の亀裂を挟んだ2つの観測点について、2つの観測点が離接する方向の変位、2つの観測点が構造物の表面と平行な方向にずれる方向の変位、2つの観測点が構造物の表面の法線方向にずれる方向の変位を検出することができる。このため、亀裂周辺のコンクリートを補修すべきか否かを、より適切に判定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、構造物の表面の亀裂を挟んだ2つの観測点の少なくとも2方向の変位を検出することができる亀裂監視センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態における亀裂監視センサを所定の構造物に適用した状態を概略的に示す図である。
【
図2】
図1(b)の亀裂監視センサの全体構成図である。
【
図3】ICタグおよび隙間ゲージを説明する図である。
【
図4】本発明の他の実施形態における亀裂監視センサを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態における亀裂監視センサ100を所定の構造物102に適用した状態を概略的に示す図である。所定の構造物102としては、
図1(a)に示すコンクリートの構造物である地下鉄のトンネルなどが挙げられる。
【0021】
コンクリートの構造物102は、コンクリートの劣化などにより表面に亀裂が発生する場合がある。このような亀裂を放置すると、主に内部の鉄筋が腐蝕して膨張することによって亀裂が進行し、構造物102の一部が剥落するなどの事態が生じる可能性がある。そのため、構造物102の表面に発生した亀裂の変化を監視する必要がある。
【0022】
亀裂監視センサ100は、
図1(a)に示す構造物102の領域Aなど複数の箇所に設置されている。
図1(b)は、構造物102の領域Aを詳細に示す図であり、構造物102の表面104に発生した亀裂106と、亀裂監視センサ100とを示している。
【0023】
亀裂監視センサ100は、構造物102の表面104の亀裂106を挟んだ2つの観測点(後述)の位置の変位を検出するセンサであり、
図1(b)に示すように亀裂106を跨いだアーム108と、ICタグ110とを備える。ICタグ110は、パッシブICタグであって、
図1(a)に示す電車などの移動体112に搭載されたリーダー114からの電磁波を受けて応答する。
【0024】
図2は、
図1(b)の亀裂監視センサ100の全体構成図である。亀裂監視センサ100は、上記のアーム108およびICタグ110に加え、計測用ネジ116と、固定ネジ118、120と、
図2(a)に示す複数(ここでは5つ)の隙間調整ネジ122、124、126、128、130とを備える。
【0025】
計測用ネジ116は、構造物102の表面104に発生した亀裂106の一方の観測点D(
図2(b)参照)に固定される固定端子(電極)である。固定ネジ118、120は、亀裂106の他方の観測点E、Fに位置していて、アーム108を観測点E、Fに固定する。
【0026】
アーム108は、亀裂106の他方の観測点E、Fに固定され、その先端部132が亀裂106の一方の観測点Dに固定された計測用ネジ116まで延びて、亀裂106を跨ぐように配置されている。なお構造物102の表面104の亀裂106を挟んだ2つの観測点とは、観測点D、Eまたは観測点D、Fのいずれであってもよい。
【0027】
アーム108の先端部132は、
図2(b)に示すように下方が開放された箱状になっている。箱状の先端部132の各壁面には、計測用ネジ116に対して異なる方向から所定の間隔をおいて検出用端子(電極)である隙間調整ネジ122、124、126、128、130が取り付けられている。
【0028】
隙間調整ネジ122、124は、その長手方向が2つの観測点D、Eが離接する方向になるように配置されている。2つの観測点D、Eが離接する方向とは、
図2(a)に示すように2つの観測点D、Eが離れる方向すなわち亀裂106が開く方向(矢印G参照)と、2つの観測点D、Eが接近する方向すなわち亀裂106が閉じる方向(矢印H、I参照)とを含む。
【0029】
また、隙間調整ネジ126、128は、その長手方向が亀裂方向になるように配置されている。亀裂方向とは、2つの観測点D、Eが構造物102の表面104と平行な方向にずれる方向(矢印J、K参照)である。さらに隙間調整ネジ130は、その長手方向が2つの観測点D、Eが構造物102の表面104の法線方向にずれる方向(矢印L参照)になるように配置されている。
【0030】
このため、複数の隙間調整ネジ122、124、126、128、130のうちいずれかの隙間調整ネジと計測用ネジ116とが接触した場合、2つの観測点D、Eの位置は、計測用ネジ116と接触した1つの隙間調整ネジが配置された方向に沿って所定の間隔以上に変位したことになる。
【0031】
またICタグ110は、計測用ネジ116および複数の隙間調整ネジ122、124、126、128、130に電気的に接続されている。具体的には、ICタグ110のグランド(共通)が、
図2(b)に示すように配線134を介して計測用ネジ116に電気的に接続されている。またICタグ110は、配線136、138を介して隙間調整ネジ122、124にそれぞれ電気的に接続されている。さらにICタグは、配線140、142(
図3(a)参照)を介して隙間調整ネジ126、128にそれぞれ電気的に接続されている。
図2(b)に示すようにICタグ110は、配線144を介して隙間調整ネジ130に電気的に接続されている。
【0032】
図3は、ICタグ110および隙間ゲージ146を説明する図である。ICタグ110は、
図3(a)に示すように基材148と、基材148に積層されたアンテナ150と、アンテナ150に接続されたICチップ152を有する。ICチップ152には、複数の隙間調整ネジ122、124、126、128、130に接続された5つの配線136、138、140、142、144がそれぞれ接続されている。
【0033】
これにより、ICタグ110は、
図1(a)に示す移動体112に搭載されたリーダー114が接近すると、リーダー114からの電磁波を受けて発電し、さらに複数の隙間調整ネジ122、124、126、128、130のうちいずれかの隙間調整ネジと計測用ネジ116とが導通していることを示す応答を、ICチップ152からアンテナ150を介してリーダー114に送信することができる。
【0034】
したがって亀裂監視センサ100では、構造物102の表面104の亀裂106を挟んだ2つの観測点D、Eについて3つの方向の変位、すなわち2つの観測点D、Eが離接する方向の変位、2つの観測点D、Eが構造物102の表面104と平行な方向にずれる方向の変位、2つの観測点D、Eが構造物102の表面104の法線方向にずれる方向の変位をそれぞれ検出することができる。
【0035】
さらに亀裂監視センサ100では、リーダー114に送信された2つの観測点D、Eの位置の変位の検出結果に基づいて、亀裂106を補修すべきか否かを、より適切に判定することができる。例えば、移動体112を始発列車とし、これにリーダー114を搭載した場合、亀裂106の状態を日々確認することができる。
【0036】
また複数の隙間調整ネジ122、124、126、128、130は、ネジを回転させるだけで、計測用ネジ116に対する所定の間隔を調整可能である。この所定の間隔を調整する際、計測用ネジ116と隙間調整ネジ122、124、126、128、130との間に
図3(b)に示す隙間ゲージ146を挟んだ状態でネジを閉めることにより、所望の隙間を得ることができる。なお各隙間ゲージ146は、すべて厚さが異なっていて、一例として、厚さ0.04mm、0.05mm、0.06mm、0.07mm、0.08mm、0.10mm、0.15mm、0.20mm、0.30mmにそれぞれ設定されている。
【0037】
このように亀裂監視センサ100では、隙間調整ネジ122、124、126、128、130と計測用ネジ116との間隔を、隙間ゲージ146と隙間調整ネジ122、124、126、128、130によって調整できる。このため、2つの観測点D、Eの位置がどの程度変位したら、隙間調整ネジ122、124、126、128、130と計測用ネジ116が接触するかを適宜設定することができる。そして、調整した所定の間隔を、亀裂106を補修すべきか否かを判定する閾値として設定することで、適切なタイミングで補修作業を行うことができる。
【0038】
図4は、本発明の他の実施形態における亀裂監視センサ100Aを説明する図である。亀裂監視センサ100Aは、アーム108Aと、計測用ネジ116Aと、2つの隙間調整ネジ122A、124Aと、
図2に示すICタグ110を備える。
【0039】
アーム108Aは、
図4(a)に示すように構造物102の表面104に発生した亀裂106の他方の観測点E、Fに固定ネジ118、120で固定されている。さらにアーム108Aは、亀裂106の一方の観測点Dに固定された計測用ネジ116Aまで延びて、亀裂106を跨ぐように配置されている。
【0040】
計測用ネジ116Aは、アーム108Aの貫通孔154を貫通して、亀裂106の一方の観測点Dに固定されている。また、計測用ネジ116Aと貫通孔154の間には間隙が設定されていて、計測用ネジ116Aは、アーム108Aには固定されていない。
【0041】
隙間調整ネジ122A、124Aは、アーム108Aに取り付けられた台座156、158にそれぞれ固定されている。また隙間調整ネジ122A、124Aは、その長手方向が2つの観測点D、Eが離接する方向すなわち亀裂106が開いたり閉じたりする方向(矢印G、H、I参照)になるように配置されている。さらに隙間調整ネジ122A、124Aは、計測用ネジ116に対して2つの観測点D、Eが離接する方向から所定の間隔をおいて台座156、158に固定されている。
【0042】
このため、隙間調整ネジ122A、124Aのうちいずれかの隙間調整ネジと計測用ネジ116Aとが接触した場合、2つの観測点D、Eの位置は、計測用ネジ116Aと接触した1つの隙間調整ネジが配置された方向に沿って所定の間隔以上に変位したことになる。
【0043】
またICタグ110は、計測用ネジ116Aおよび隙間調整ネジ122A、124Aに電気的に接続されている。このため、ICタグ110は、
図1(a)に示す移動体112に搭載されたリーダー114が接近すると、リーダー114からの電磁波を受けて発電し、さらに隙間調整ネジ122A、124Aのうちいずれかの隙間調整ネジと計測用ネジ116Aとが導通していることを示す応答を、ICチップ152からアンテナ150を介してリーダー114に送信することができる。
【0044】
したがって亀裂監視センサ100Aでは、構造物102の表面104の亀裂106を挟んだ2つの観測点D、Eについて、2つの観測点D、Eが離接する方向の変位を検出することができる。さらに、リーダー114に送信された2つの観測点D、Eの位置の変位の検出結果に基づいて、亀裂106を補修すべきか否かを判定することができる。
【0045】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、所定の構造物の表面の亀裂を挟んだ2つの観測点の位置の変位を検出する亀裂監視センサとして利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
100、100A…亀裂監視センサ、102…構造物、104…構造物の表面、106…亀裂、108、108A…アーム、110…ICタグ、112…移動体、114…リーダー、116、116A…計測用ネジ、118、120…固定ネジ、122、122A、124、124A、126、128、130…隙間調整ネジ、132…アームの先端部、134、136、138、140、142、144…配線、146…隙間ゲージ、148…基材、150…アンテナ、152…ICチップ、154…貫通孔、156、158…台座