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特開2023-36490再生可能エネルギーを活用した固体炭素および可燃ガスの回収方法とその装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036490
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】再生可能エネルギーを活用した固体炭素および可燃ガスの回収方法とその装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/50 20170101AFI20230307BHJP
   C25B 1/23 20210101ALI20230307BHJP
   C25B 1/135 20210101ALI20230307BHJP
   C25B 9/09 20210101ALI20230307BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20230307BHJP
   B01F 23/2326 20220101ALI20230307BHJP
   B01F 25/30 20220101ALI20230307BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20230307BHJP
   C01B 3/48 20060101ALI20230307BHJP
   C01B 3/02 20060101ALI20230307BHJP
   C01B 32/05 20170101ALI20230307BHJP
   C01B 3/56 20060101ALI20230307BHJP
   C12M 1/00 20060101ALN20230307BHJP
【FI】
C01B32/50
C25B1/23
C25B1/135
C25B9/09
B01D53/22
B01F3/04 F
B01F5/04
C01B3/38
C01B3/48
C01B3/02 Z
C01B32/05
C01B3/56 Z
C12M1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021163728
(22)【出願日】2021-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】519006506
【氏名又は名称】Solution Creators株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川端 康晴
【テーマコード(参考)】
4B029
4D006
4G035
4G140
4G146
4K021
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA27
4B029BB01
4B029CC01
4B029DF10
4B029DG10
4D006GA41
4D006KA01
4D006KB30
4D006KE16P
4D006KE16Q
4D006KE30P
4D006KE30Q
4D006PA02
4D006PB17
4D006PB18
4D006PB19
4D006PB64
4G035AB20
4G035AC22
4G140BA03
4G140BB03
4G140EA03
4G140EA06
4G140EB12
4G140EB32
4G140EB42
4G140FA02
4G140FB02
4G140FB04
4G140FC01
4G140FE01
4G146AA01
4G146AD40
4G146BA09
4G146BA36
4G146BA48
4G146BC15
4G146BC18
4G146BC42
4G146JA02
4G146JB09
4G146JB10
4G146JC11
4G146JC17
4G146JC18
4G146JC39
4G146JD06
4K021AA09
4K021AB25
4K021BB05
4K021BC04
4K021CA09
4K021DC11
(57)【要約】
【課題】 再生可能エネルギーを活用して、大気や燃焼排ガスおよびバイオガス中の二酸化炭素ガスを効率よく分離し、固定化や商工業利用に適した固体炭素や可燃ガスとして回収する方法と、前記の方法を適用した、再生可能エネルギー活用型の固体炭素および可燃ガスの生成回収システムを提供する。
【解決手段】 二酸化炭素分離膜の二酸化炭素ガス透過側流路に具備させたガス吸引ポンプを、地熱流体か流水のエネルギーによる回転駆動力で直接回転駆動させることで、空気かバイオガス、または燃焼排ガスの何れかから二酸化炭素ガスを分離吸引して回収するとともに、分離回収した二酸化炭素ガスを、地熱流体か流水のエネルギーから得られる電力または冷温熱を利用して電解還元または水蒸気改質を行い、固体炭素や可燃ガスを生成させて回収する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地熱流体か水流のいずれかのエネルギーによる回転駆動力により、二酸化炭素ガス分離膜を透過した二酸化炭素ガスの流路に具備された真空ポンプまたは吸引ブロワを直接駆動させることによって、空気かバイオガス、または燃焼排ガスの何れかから二酸化炭素ガスを分離して吸引回収することを特徴とする、再生可能エネルギー活用型の二酸化炭素ガス分離回収方法
【請求項2】
請求項1に記載された二酸化炭素ガスの分離回収方法において、二酸化炭素分離膜の上流側の供給ガスの温度が、二酸化炭素膜の分離回収に最も適した条件となるよう、地熱流体か水力による発電電力を用いた電気ヒータの熱か、地熱流体によって駆動する吸収式または吸着式冷凍機から得られる冷熱か、水力発電に用いる水から得られる冷熱の何れか1つ以上を利用することによって制御されることを特徴とする、再生可能エネルギー活用型の二酸化炭素ガス分離回収方法
【請求項3】
請求項1に記載された二酸化炭素ガスの分離回収方法において、二酸化炭素分離膜の上流側の供給ガスの湿度が、二酸化炭素膜の分離回収に最も適した条件となるよう、地熱流体か水力による発電電力を用いた電気ヒータの熱によって水を蒸発させて得られる水蒸気で供給ガスを加湿するか、地熱流体によって駆動する吸収式または吸着式冷凍機から得られる冷熱か、水力発電に用いる水から得られる冷熱によって供給ガスを冷却し、水分を凝縮させて除湿することで、二酸化炭素分離膜に供給するガスの湿度を制御することを特徴とする、再生可能エネルギー活用型の二酸化炭素ガス分離回収方法
【請求項4】
地熱流体によって得られる高温高圧蒸気を作動流体とし、ガス吸気口に二酸化炭素分離膜を具備させたエゼクタによって、空気かバイオガス、または燃焼排ガスの何れかから二酸化炭素ガスを分離吸引させて、二酸化炭素と水蒸気の混合気を回収した後に、前記混合気を冷却して水分を凝縮分離することで、二酸化炭素ガスを分離回収することを特徴とする、再生可能エネルギー活用型の二酸化炭素ガス分離回収方法
【請求項5】
請求項4に記載の混合気からの水分凝縮において、冷却水を循環供給する凝縮器を利用するとともに、その凝縮器に供給される冷却水が、地熱流体によって得られる蒸気か凝縮回収された温水で駆動する、吸収式または吸着式の冷凍機によって得られる冷熱によって冷却されることを特徴とする、再生可能エネルギー活用型の二酸化炭素ガス分離回収方法
【請求項6】
地熱発電か水力発電で得られる再生可能エネルギー電力を用いて加熱保持された高温溶融塩を含む容器内に、前記の電力を供給する電極を具備させるとともに、前記の高温溶融塩内に、請求項1または請求項4の方法によって分離回収した二酸化炭素ガスを供給しながら、電極に前記の再生可能エネルギー電力を供給することで、二酸化炭素ガスを固体炭素と一酸化炭素に電解還元し、分離回収した二酸化炭素ガスから固体炭素と一酸化炭素ガスを回収することを特徴とする、再生可能エネルギー活用型の固体炭素および一酸化炭素ガスの分離回収方法
【請求項7】
地熱発電か水力発電で得られる再生可能エネルギー電力と、地熱発電後の熱水を浄化させた水か水力発電前後の流水を浄化して得られる水と、請求項1または請求項4の方法によって分離回収した二酸化炭素ガスを電解セルに供給することで、二酸化炭素ガスを一酸化炭素ガスに電解還元し、分離回収した二酸化炭素ガスから一酸化炭素ガスを回収することを特徴とする、再生可能エネルギー活用型の一酸化炭素ガス回収方法
【請求項8】
地熱発電か水力発電で得られる再生可能エネルギー電力によって加熱され、炭素析出を促進する触媒を含有する炭素析出板を具備したガス反応器に、請求項6または請求項7に記載された一酸化炭素ガスを供給し、一酸化炭素ガスから固体炭素を析出させることで、分離回収した二酸化炭素ガスから固体炭素を回収することを特徴とする、再生可能エネルギー活用型の固体炭素回収方法
【請求項9】
請求項8に記載の炭素析出板に、地熱発電か水力発電で得られる再生可能エネルギー電力によって駆動される超音波振動子を具備させ、炭素析出板を高周波振動をさせながら炭素析出させることで、炭素析出板上に析出した炭素を剥離除去しながら連続的に炭素の析出と回収を行うことを特徴とする、再生可能エネルギー活用型の固体炭素回収方法
【請求項10】
請求項6に記載の溶融塩電解装置か、請求項8に記載のガス反応器に、析出した固体炭素を、地熱発電か水力発電で得られる再生可能エネルギー電力によって駆動される、固体炭素搬出機構によって連続的に排出させ、溶融塩電解装置とガス反応器内の炭素析出による閉塞を防止し、安定的に反応を維持させながら連続的に固体炭素を回収する機構を備えたことを特徴とする、再生可能エネルギー活用型の固体炭素回収方法
【請求項11】
バイオガスから請求項1または請求項4に記載の方法によって二酸化炭素を分離回収した際に得られるバイオメタンと、地熱蒸気か、地熱発電または水力発電の電力を用いた電気ヒータの加熱によって水を蒸発させて得られる水蒸気とを混合したうえで、地熱発電または水力発電の電力を用いた電気ヒータで加熱される水蒸気改質触媒に供給することで水蒸気改質を行い、さらに一酸化炭素ガスを変成反応をさせることで水素と二酸化炭素および水蒸気の混合気を生成させた後に、前記の混合気を冷却除湿したうえで二酸化炭素分離膜に供給して二酸化炭素を分離回収することにより、バイオガス起源の水素ガスを回収することを特徴とする、再生可能エネルギー活用型の水素ガス回収方法
【請求項12】
請求項1~請求項5に記載の再生可能エネルギー活用型の二酸化炭素分離回収方法のいずれか1つ以上の方法と、請求項6~請求項10に記載の固体炭素回収方法のいずれか1つ以上の方法を適用した、再生可能エネルギー活用型の固体炭素回収システム
【請求項13】
請求項1~請求項5に記載の再生可能エネルギー活用型の二酸化炭素分離回収方法のいずれか1つ以上の方法と、請求項6または請求項7に記載の方法によって、分離回収した二酸化炭素ガスから一酸化炭素ガスを回収する、再生可能エネルギー活用型の一酸化炭素ガス回収システム
【請求項14】
請求項1~請求項5に記載の再生可能エネルギー活用型の二酸化炭素分離回収方法のいずれか1つ以上の方法と、請求項11に記載の水素ガス回収方法を適用することによって、バイオガスから二酸化炭素を分離回収したうえで水素ガスとして回収する、再生可能エネルギー活用型の水素ガス回収システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天候や昼夜を問わず、安定的に利用できる地熱や水力といった再生可能エネルギーを活用して、大気やバイオガスおよび燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素から固体炭素または一酸化炭素ガスを回収する方法と、バイオガスから固体炭素を回収しながら、バイオメタンやバイオ水素といったバイオ燃料ガスを回収する方法と、これらの方法を適用した装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の防止にむけて、主要な原因物質となっている二酸化炭素の排出削減や、大気中に蓄積された二酸化炭素の分離回収と地下圧入による固定化が実施されつつある。特に、バイオマス資源を燃焼利用した際に発生する排気ガス中の二酸化炭素や、大気中の二酸化炭素を分離回収して固定化する技術は、大気中に蓄積された二酸化炭素の積極的な削減に資するネガティブエミッション技術として、社会実装と普及拡大が期待されている。
【0003】
一方、二酸化炭素ガスは化学的な安定性が高く分解が困難なため、地下深部に固定化させる際には、圧縮液化して地下貯留サイトまで輸送し、地下深部に貯留させるために、多大なエネルギーを消費して圧入する必要があり、これらのエネルギー消費に伴ってコストが嵩み、正味の二酸化炭素固定化量も減少するという課題がある。
【0004】
また、二酸化炭素を長期安定的に地下貯留できる場所や、各貯留場所によって圧入固定できる量が限定されるため、貯留量が限度に達すれば、二酸化炭素を輸送できても、地下圧入による固定化そのものが不可能となるという課題もある。
【0005】
そこで、これらの課題を解決する手段として、二酸化炭素を再生可能エネルギーを用いた電力により電解還元して固体炭素や一酸化炭素ガスとして回収し、回収した一酸化炭素と再生可能エネルギー起源の水素を利用してカーボンニュートラル燃料を製造したり、回収した固体炭素を、炭素繊維やシリコンカーバイド等の炭素固定型材料製造時の原料として利用する技術が開発され、実用化が期待されている。
【0006】
このうち、二酸化炭素を分離回収し、再生可能エネルギーを用いて二酸化炭素を電解する資源化技術としては、固体高分子形の二酸化炭素電解セルの陽極側に水を供給し、陰極側に二酸化炭素ガスを供給して常温常圧で電解を行い、二酸化炭素を一酸化炭素ガスに変換する技術(非特許文献1)や、酸化ジルコニウムの固体電解質を陽極電極とし、塩化カルシウムの溶融塩中に二酸化炭素を吹き込むステンレス管を陰極電極として、二酸化炭素ガスを吹き込みながら電極に通電して溶融塩中で二酸化炭素ガスを電解することで、二酸化炭素ガスから固体炭素と一酸化炭素ガスを回収する技術(非特許文献2)が開示されている。
【0007】
また、二酸化炭素の分離回収や固定化に係わるエネルギー消費に伴うコストの増大や、二酸化炭素の排出による正味の二酸化炭素削減効果の向上にむけて、二酸化炭素の排出を伴わない地熱蒸気や温泉熱、河川や潮流の流水といった再生可能エネルギーを利用して、大気中やバイオガス、または燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素ガスを分離回収し、輸送や商工業利用に適した液化二酸化炭素やドライアイスとして回収する方法が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】
【非特許文献2】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特願2021-132079号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記の通り、非特許文献1に示された従来技術によれば、再生可能エネルギー電力を用いて二酸化炭素ガスから一酸化炭素ガスを製造して回収することが可能であり、非特許文献2に示された従来技術によれば、二酸化炭素ガスから固体炭素と一酸化炭素ガスの回収が可能となる。また、特許文献1に示された従来技術によれば、再生可能エネルギーを活用して効率よく、空気やバイオガス、または燃焼排気ガス中の二酸化炭素を分離回収し、輸送や利用が容易な液化二酸化炭素やドライアイスとして回収することが可能となるが、これらの技術には以下に示す3つの課題がある。
【0011】
まず従来技術は、二酸化炭素ガスの分離回収から、固体炭素やバイオメタン、水素や一酸化炭素といった可燃ガスを製造して回収するまでの一貫したプロセスになっておらず、特に、この一貫したプロセスを、二酸化炭素の排出を伴わない、地熱や水力といった再生可能エネルギーによって、昼夜や天候を問わず安定的に連続稼働させることで、固体炭素や可燃ガスの製造回収を常時連続的に実現できる方法となっていない。
【0012】
また、大気や燃焼排ガスおよびバイオガスに含まれる二酸化炭素ガスを、二酸化炭素分離膜によって回収する際、分離膜の材質や性質によっては、分離膜を透過した二酸化炭素ガスの回収流路に真空ポンプまたは吸引ブロワを設置し、分離膜の二酸化炭素ガス透過側を負圧に保つことや、吸引力を高めることが望ましいが、従来技術では分離膜の上流側ガスを圧縮加圧して分離膜に供給する構成となっているため、前記のような二酸化炭素ガス側を負圧に保つ運用方法に適した分離膜を適用することが困難となるという課題がある。
【0013】
さらに、前記の二酸化炭素ガスの回収流路に真空ポンプまたは吸引ブロワを設置して分離回収を行う際に、多大なエネルギー消費を伴う真空ポンプや吸引ブロワは、電動式のモーターによって駆動されることが多いが、このモーター駆動電力が再生可能エネルギー電力でない場合には、二酸化炭素の分離回収時に二酸化炭素ガスが発生して正味の二酸化炭素削減効果が低減するほか、モーター駆動電力を再生可能エネルギー電力で賄う場合であっても、地熱や水力によって得られる回転駆動力を直接、ポンプやブロワの駆動力として用いない場合には、回転駆動力の電力変換や送電に伴う損失が発生するため、エネルギー利用効率が低下するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、昼夜や天候を問わず、安定的なエネルギー利用が可能な地熱や水力といった再生可能エネルギーから得られる回転駆動力と電力および冷温熱を利用して、大気中や燃焼排ガス中またはバイオガス中の二酸化炭素ガスを効率よく分離回収し、さらに回収した二酸化炭素ガスから固体炭素や可燃ガスを生成させて回収することで、昼夜や天候を問わず連続的に固体炭素や可燃ガスを製造できる一貫プロセスと、本技術を適用した再生可能エネルギー活用型の固体炭素回収システムおよび可燃ガスの製造回収システムを提供することである。
【0015】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
地熱流体か水流のいずれかのエネルギーによる回転駆動力により、二酸化炭素ガス分離膜を透過した二酸化炭素ガスの流路に具備された真空ポンプまたは吸引ブロワを直接駆動させることによって、空気かバイオガス、または燃焼排ガスの何れかから二酸化炭素ガスを分離して吸引回収することを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載された二酸化炭素ガスの分離回収方法において、二酸化炭素分離膜の上流側の供給ガスの温度が、二酸化炭素膜の分離回収に最も適した条件となるよう、地熱流体か水力による発電電力を用いた電気ヒータの熱か、地熱流体によって駆動する吸収式または吸着式冷凍機から得られる冷熱か、水力発電に用いる水から得られる冷熱の何れか1つ以上を利用することによって制御されることを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の発明は、
請求項1に記載された二酸化炭素ガスの分離回収方法において、二酸化炭素分離膜の上流側の供給ガスの湿度が、二酸化炭素膜の分離回収に最も適した条件となるよう、地熱流体か水力による発電電力を用いた電気ヒータの熱によって水を蒸発させて得られる水蒸気で供給ガスを加湿するか、地熱流体によって駆動する吸収式または吸着式冷凍機から得られる冷熱か、水力発電に用いる水から得られる冷熱によって供給ガスを冷却し、水分を凝縮させて除湿することで、二酸化炭素分離膜に供給するガスの湿度を制御することを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の発明は、
地熱流体によって得られる高温高圧蒸気を作動流体とし、ガス吸気口に二酸化炭素分離膜を具備させたエゼクタによって、空気かバイオガス、または燃焼排ガスの何れかから二酸化炭素ガスを分離吸引させて、二酸化炭素と水蒸気の混合気を回収した後に、前記混合気を冷却して水分を凝縮分離することで、二酸化炭素ガスを分離回収することを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載の混合気からの水分凝縮において、冷却水を循環供給する凝縮器を利用するとともに、その凝縮器に供給される冷却水が、地熱流体によって得られる蒸気か凝縮回収された温水で駆動する、吸収式または吸着式の冷凍機によって得られる冷熱によって冷却されることを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の発明は、
地熱発電か水力発電で得られる再生可能エネルギー電力を用いて加熱保持された高温溶融塩を含む容器内に、前記の電力を供給する電極を具備させるとともに、前記の高温溶融塩内に、請求項1または請求項4の方法によって分離回収した二酸化炭素ガスを供給しながら、電極に前記の再生可能エネルギー電力を供給することで、二酸化炭素ガスを固体炭素と一酸化炭素に電解還元し、分離回収した二酸化炭素ガスから固体炭素と一酸化炭素ガスを回収することを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の発明は、
地熱発電か水力発電で得られる再生可能エネルギー電力と、地熱発電後の熱水を浄化させた水か水力発電前後の流水を浄化して得られる水と、請求項1または請求項4の方法によって分離回収した二酸化炭素ガスを電解セルに供給することで、二酸化炭素ガスを一酸化炭素ガスに電解還元し、分離回収した二酸化炭素ガスから一酸化炭素ガスを回収することを特徴とする。
【0022】
請求項8に記載の発明は、
地熱発電か水力発電で得られる再生可能エネルギー電力によって加熱され、炭素析出を促進する触媒を含有する炭素析出板を具備したガス反応器に、請求項6または請求項7に記載された一酸化炭素ガスを供給し、一酸化炭素ガスから固体炭素を析出させることで、分離回収した二酸化炭素ガスから固体炭素を回収することを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の発明は、
請求項8に記載の炭素析出板に、地熱発電か水力発電で得られる再生可能エネルギー電力によって駆動される超音波振動子を具備させ、炭素析出板を高周波振動をさせながら炭素析出させることで、炭素析出板上に析出した炭素を剥離除去しながら連続的に炭素の析出と回収を行うことを特徴とする。
【0024】
請求項10に記載の発明は、
請求項6に記載の溶融塩電解装置か、請求項8に記載のガス反応器に、析出した固体炭素を、地熱発電か水力発電で得られる再生可能エネルギー電力によって駆動される、固体炭素搬出機構によって連続的に排出させ、溶融塩電解装置とガス反応器内の炭素析出による閉塞を防止し、安定的に反応を維持させながら連続的に固体炭素を回収する機構を備えたことを特徴とする。
【0025】
請求項11に記載の発明は、
バイオガスから請求項1または請求項4に記載の方法によって二酸化炭素を分離回収した際に得られるバイオメタンと、地熱蒸気か、地熱発電または水力発電の電力を用いた電気ヒータの加熱によって水を蒸発させて得られる水蒸気とを混合したうえで、地熱発電または水力発電の電力を用いた電気ヒータで加熱される水蒸気改質触媒に供給することで水蒸気改質を行い、さらに一酸化炭素ガスを変成反応をさせることで水素と二酸化炭素および水蒸気の混合気を生成させた後に、前記の混合気を冷却除湿したうえで二酸化炭素分離膜に供給して二酸化炭素を分離回収することにより、バイオガス起源の水素ガスを回収することを特徴とする。
【0026】
請求項12に記載の発明は、
請求項1~請求項5に記載の再生可能エネルギー活用型の二酸化炭素分離回収方法のいずれか1つ以上の方法と、請求項6~請求項10に記載の固体炭素回収方法のいずれか1つ以上の方法を適用させた、再生可能エネルギー活用型の固体炭素回収システムで構成させていることを特徴とする。
【0027】
請求項13に記載の発明は、
請求項1~請求項5に記載の再生可能エネルギー活用型の二酸化炭素分離回収方法のいずれか1つ以上の方法と、請求項6または請求項7に記載の方法によって、分離回収した二酸化炭素ガスから一酸化炭素ガスを回収する、再生可能エネルギー活用型の一酸化炭素ガス回収システムが構成されることを特徴とする。
【0028】
請求項14に記載の発明は、
請求項1~請求項5に記載の再生可能エネルギー活用型の二酸化炭素分離回収方法のいずれか1つ以上の方法と、請求項11に記載の水素ガス回収方法を適用することによって、バイオガスから二酸化炭素を分離回収したうえで水素ガスを回収する、再生可能エネルギー活用型の水素ガス回収システムが構成されていることを特徴とする。
【0029】
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、地熱蒸気や水力といった再生可能エネルギーから得られる回転駆動力や電力と冷温熱を、直接的に大気や燃焼排ガスまたはバイオガスに含まれる二酸化炭素の分離回収に利用するとともに、固体炭素または一酸化炭素ガスやメタンガス、水素ガスとして回収することで、二酸化炭素の分離回収に係わる化石燃料の消費を削減して、正味の二酸化炭素回収効果を増加させ、輸送や固定化および原料利用が容易な固体炭素のほか、工業原料となる一酸化炭素ガスやメタンガスおよび水素ガスを回収して利用することが可能となる。
【0031】
また、再生可能エネルギー資源が豊富であっても、送配電網の容量不足や熱の貯蔵輸送効率といった制約から、再生可能エネルギーの有効利用が困難な場所であっても、電力系統の停電による影響を受けることなく、大気中やバイオマス起源の二酸化炭素を常時連続的に分離回収して固定化または資源化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に係る第1実施形態である、地熱エネルギーを活用して大気中の二酸化炭素から固体炭素を回収するシステムを示す模式図である。
図2】本発明に係る第2実施形態である、地熱エネルギーを活用し、エゼクタ利用によって、大気中の二酸化炭素から固体炭素を回収するシステムを示す模式図である。
図3】本発明に係る第3実施形態である、水力エネルギーを活用して、大気中の二酸化炭素から圧縮一酸化炭素ガスを回収するシステムを示す模式図である。
図4】本発明に係る第4実施形態である、地熱エネルギーを活用して、バイオガスから固体炭素と圧縮水素ガスを回収するシステムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、本実施形態に限定されるものではない。
【0034】
(第1実施形態)
【0035】
まず本発明の第1実施形態に係る、地熱エネルギーを活用して大気中の二酸化炭素から固体炭素を回収するシステムについて、図1に基づいて説明する。
【0036】
図1に示すように、このシステムには、地熱流体1を100℃以上の地熱蒸気と100℃未満の熱水に分離する汽水分離器2と、前記汽水分離器から排出された地熱蒸気で駆動される蒸気タービン3と、この蒸気タービンの回転軸に変速機4を介して接続され、吸気フィルタ付吸気口5から吸気した空気中の二酸化炭素を分離回収する分離膜モジュール6の二酸化炭素ガス透過側を負圧にして、分離回収した二酸化炭素ガスを吸引回収するための真空ポンプ7が接続され、地熱エネルギーから得られる蒸気タービンの回転力を直接利用して、大気中の二酸化炭素ガスを分離膜を介して効率よく分離回収できるようになっている。
【0037】
さらに本システムには、分離回収した二酸化炭素ガスを溶融塩中に微細気泡として噴出させて電解還元し、固体炭素8と一酸化炭素ガスを一酸化炭素ガス回収管9から回収する、溶融塩活用型の二酸化炭素ガス電解装置10と、前記装置から回収された一酸化炭素ガスを加熱触媒を利用して炭素析出させることで固体炭素として回収する、加熱触媒活用型の固体炭素析出回収装置11とで構成されている。
【0038】
ここで、溶融塩活用型の二酸化炭素電解装置10は、断熱材に覆われた容器の中で、塩化カルシウムが、地熱蒸気タービンに接続された発電機12から得られる再生可能エネルギー電力が供給される電熱ヒータ13の加熱によって溶融保持されるとともに、酸化ジルコニウム等で構成される固体電解質の陽極14と、分離回収した二酸化炭素ガスを微細気泡として噴出させながら陰極電極として通電される、二酸化炭素ガス還元陰極15が挿入され、溶融塩の中に二酸化炭素ガスが微細気泡として噴出されながら、再生可能エネルギー電力が供給されることで溶融塩中で電解され、固体炭素が析出して溶融塩の液面上に浮遊堆積するとともに、一部の二酸化炭素ガスが一酸化炭素ガスとなって、一酸化炭素ガス回収管9から回収され、前記の加熱触媒活用型の固体炭素析出回収装置11に供給される。
【0039】
また、加熱触媒活用型の固体炭素析出回収装置11は、ニッケルや鉄など一酸化炭素ガスから炭素析出を行う際の触媒成分を含み、電熱ヒータが付設された炭素析出加熱板16で装置内壁が構成されるとともに、装置の外壁には超音波振動子17が付設され、電気ヒータの加熱電力と超音波振動子の駆動電力が、前記の地熱発電機12から得られる再生可能エネルギー電力で賄われることにより、炭素析出加熱板が一酸化炭素ガスからの炭素析出に最適な300~600℃の高温に加熱されることで、炭素析出加熱板の表面で連続的に固体炭素が析出されるとともに、炭素析出板が超音波振動子によって振動することで、析出した固体炭素が剥離して回収装置の下部に堆積し、この堆積した固体炭素が、固体炭素搬出スクリュー板18がモータ駆動によって回転されて固体炭素を装置外に搬出させることで、一酸化炭素ガスからも連続的に固体炭素を析出させて回収することが可能となっている。
【0040】
さらに本システムでは、二酸化炭素ガスの分離回収において、分離回収膜の性能が最も発揮できるよう、吸気ガスの温湿度調整装置19が設置され、二酸化炭素ガスを分離回収する際の供給ガスの温湿度を最適化する機構が具備されている。
【0041】
すなわち、二酸化炭素分離膜の性能が、高温で加湿されたガスの場合に性能向上する場合には、地熱蒸気タービン3を駆動した後の高温地熱蒸気の一部を流量調整バルブ20で調量して供給することで供給ガスを加湿するとともに、流量調整バルブ21で調量して加熱器22に供給することで加温させることが可能であり、低温除湿する方が好ましい場合には、供給ガスを冷却して除湿するガス冷却除湿器23に冷却水を冷却水調量バルブ24で調量して供給し、供給ガスに含まれる余剰水分を凝縮させてドレン排水させながら冷却することで、供給ガスを冷却除湿することも可能である。
【0042】
なお、ここで供給される冷却水は、地熱蒸気の汽液分離器2で汽液分離された高温水で駆動される吸収式冷凍機25で得られる再生可能エネルギー冷熱によって冷却されるようになっており、前記の供給ガスの温湿度調整にあたっては、二酸化炭素分離膜モジュール6の上流に設置された、供給ガスの温湿度測定器26で測定された温湿度データに基づいて、供給ガスの温湿度調整を含むシステム全体の運転状態を監視し、制御指令を発信する運転制御装置27から前記の流量調整バルブ20,21および24が制御され、供給ガスの温度と湿度が最適化されるようになっている。
【0043】
また、前記供給ガスを二酸化炭素ガスの分離膜モジュール6に送出するための供給ガスブロワ28や、前記の冷却水冷熱を得るための吸収式冷凍機の附帯設備である冷却塔29と、冷却水の循環ポンプ30など、本システムを構成するポンプやバルブなどの電動機器とその制御装置、センサ類などの附帯機器は、全て前記の地熱蒸気タービン発電機12から得られる再生可能エネルギー電力で賄われることにより、本システムを稼働させる際のエネルギー消費に伴う二酸化炭素の排出がなく、エネルギー調達に係わるコストが低減されるとともに、正味の二酸化炭素削減効果を最大化できる構成となっている。
【0044】
このような構成とすることで、昼夜や天候を問わず安定的に利用できる地熱エネルギーから得られる回転駆動力や電力および冷温熱を活用して、常時安定的に大気中の二酸化炭素を分離回収し、さらに回収した二酸化炭素ガスから輸送や固定化および原料利用が容易な固体炭素を回収することが可能となる。
(第2実施形態)
【0045】
次に、本発明の第2実施形態に係る、地熱エネルギーを活用し、エゼクタ利用によって大気中の二酸化炭素から固体炭素を回収するシステムについて、図2に基づいて説明する。
【0046】
図2に示すように、第2実施形態のシステムでは、地熱蒸気と汽水分離後の高温温水を用いて二酸化炭素ガスの分離回収を行い、さらに分離回収した二酸化炭素ガスから固体炭素を回収する構成は同じであるが、二酸化炭素の分離回収を行う機構として、高圧で地中から噴出する地熱蒸気のエネルギーを利用し、二酸化炭素分離膜を介して大気中から二酸化炭素ガスを吸引する、二酸化炭素ガス分離膜搭載エゼクタ31を用いて、地熱蒸気の噴出エネルギーで空気から二酸化炭素ガスを吸引し、地熱蒸気と二酸化炭素ガスの混合気で蒸気タービン3を駆動して発電した後に、吸収式冷凍機の駆動により得られる冷却水を冷却水調量バルブ24によって供給調整して水蒸気を凝縮除去することにより、二酸化炭素ガスを分離回収する点が異なっている。
(第3実施形態)
【0047】
次に、本発明の第3実施形態に係る、水力エネルギーを活用して、大気中の二酸化炭素から圧縮一酸化炭素ガスを回収するシステムについて、図3に基づいて説明する。
【0048】
図3に示すように、第3実施形態のシステムでは、河川流水の水力を再生可能エネルギー源として水車装置32の回転駆動力によって、変速機4を介して真空ポンプ7と一酸化炭素ガス圧縮機33が駆動されるとともに、水力発電システム34から得られる電力によって、固体高分子膜を介して回収された二酸化炭素ガスを一酸化炭素ガスに電解還元する二酸化炭素電解装置35が駆動され、回収された二酸化炭素ガスが一酸化炭素ガスに電解されたうえで圧縮され、一酸化炭素ボンベ36に充填されている点が異なる。
【0049】
また、供給ガスを加湿する際の水蒸気は、河川から河川水汲み上げポンプ37を稼働して汲み上げた河川水を浄化し、電熱式蒸発装置38で蒸発させた水蒸気を供給する一方、供給ガスを冷却する冷却水には汲み上げポンプ37からの水が直接利用され、二酸化炭素電解装置35に供給する純水についても、ポンプで汲み上げられた水がイオン交換樹脂膜等を通じて浄化された純水として供給されるように構成されている点が異なっている。
【0050】
このように構成することで、水力のエネルギーを利用して大気中の二酸化炭素を分離回収し、さらに分離回収した二酸化炭素を、水力発電により得られる電力と水力発電時の水を利用して電解還元を行い、一酸化炭素ガスに変換して圧縮ガスとして回収することが可能となる。
(第4実施形態)
【0051】
次に、本発明の第4実施形態に係る、地熱エネルギーを活用して、バイオガスから固体炭素と圧縮水素ガスを回収するシステムについて、図4に基づいて説明する。
【0052】
図4に示すように、第4実施形態のシステムの基本構成は第1実施形態に類似しているが、二酸化炭素を分離回収する際の供給ガスが、バイオマスのメタン発酵槽39から生成されて脱硫浄化装置40を通過した、二酸化炭素20~40vol%とバイオメタンから構成される脱硫バイオガスとなっている点が異なっており、このように二酸化炭素を分離回収するための供給ガスを空気からバイオガスとすることで、大気中の二酸化炭素が起源となるバイオガス中の二酸化炭素を効率よく分離回収することが可能となる。
【0053】
また本システムでは、バイオガスから二酸化炭素ガスを分離回収した後のバイオメタンを、地熱蒸気タービン発電機12から得られる再生可能エネルギー電力と、吸収冷凍機駆動後の温水を浄化して得られる純水から得られる水蒸気によって水蒸気改質を行い、圧縮水素ガスとして分離回収する点が異なっている。
【0054】
すなわち、バイオガスから二酸化炭素ガスを分離した際に得られるバイオメタンに、温水汲み上げポンプ41を利用して汲み上げられ、イオン交換樹脂等を搭載した純水製造装置42を通過させて得られる純水を、電熱ヒータ式気化装置43によって気化させて得られる水蒸気を混合させたうえで、水蒸気改質触媒44と一酸化炭素のシフト反応触媒45を内蔵し、地熱蒸気タービン発電機12の発電電力の一部が供給される電熱ヒータ46によって加熱される、水蒸気改質装置47を利用してバイオメタンを改質し、水素と二酸化炭素および水蒸気の混合気としている点が異なる。
【0055】
さらに、前記の混合気から水素ガスを分離回収するため、吸収式冷凍機を利用して得られる冷熱によって混合気を除湿冷却する、混合気除湿冷却装置48を介して二酸化炭素分離膜の分離性能を最適化できる混合気の温湿度に除湿冷却したうえで、二酸化炭素分離膜を通過させて二酸化炭素ガスの分離回収を行い、回収した二酸化炭素ガスは前記のバイオガスから分離回収した二酸化炭素ガスと混合させて、二酸化炭素ガスの溶融塩電解装置10に供給して固体炭素回収を行う一方で、分離回収した水素ガスは、地熱蒸気タービンの回転駆動力によってガス圧縮を行う水素ガス圧縮機49によって圧縮され、水素ガス充填ボンベ50に圧縮充填されることで、輸送利用が容易な形態で分離回収される点が異なる。
【0056】
以上のように、昼夜天候を問わず安定して得られる地熱や水力の再生可能エネルギーを利用して、大気中やバイオガス、燃焼排ガス中の二酸化炭素の分離回収を行い、さらに回収した二酸化炭素ガスを、再生可能エネルギー利用によって固体炭素や一酸化炭素として回収することで、炭素の輸送や固定化のほか、炭素系原料としての有効利用も容易な固体炭素として回収できるようになるほか、化学原料として有用性の高い、一酸化炭素ガスやバイオメタンガス、さらにはバイオメタンガスを起源とする水素ガスの製造供給を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
なお本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、例えば図1図2および図4の実施形態は、高温の地熱蒸気利用に限らず、高温の温泉熱を利用したバイナリータービンの回転駆動力とバイナリー発電機の電力を利用する構成とし、バイナリー発電後の温泉熱を利用して駆動する吸着式冷凍機によって、供給ガスの冷却除湿を行う構成としても良い。また、図3の実施形態における水力利用においては、落差と安定的な流量を有する河川に限らず、安定的な潮流が得られる海峡地域において適用することも可能である。
【0058】
さらに、本発明で図示されている二酸化炭素分離膜モジュールは一層となっているが、当該分離膜モジュールだけで充分な濃度の二酸化炭素ガスが得られない場合には、二酸化炭素分離膜モジュールの透過ガス側の二酸化炭素ガス回収流路に、さらに二層目の二酸化炭素分離膜モジュールを具備させて、回収される二酸化炭素ガスの濃度を高めるなど、多段階の二酸化炭素分離膜モジュールで構成して、高濃度の二酸化炭素ガスを分離回収することも可能である。
【0059】
このように前記の実施形態は例示であり、本発明の特許請求範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0060】
1・・・・地熱流体
2・・・・汽水分離器
3・・・・蒸気タービン
4・・・・変速機
5・・・・吸気フィルタ付吸気口
6・・・・二酸化炭素ガス分離膜
7・・・・ガス吸引用真空ポンプ
8・・・・固体炭素
9・・・・一酸化炭素ガス回収管
10・・・溶融塩活用型二酸化炭素電解装置
11・・・固体炭素析出回収装置
12・・・地熱蒸気タービン発電機
13・・・電熱ヒータ
14・・・二酸化炭素ガス還元陽極電極
15・・・二酸化炭素ガス還元陰極電極
16・・・炭素析出加熱板
17・・・超音波振動子
18・・・固体炭素搬出スクリュー板
19・・・吸気ガス温湿度調整装置
20・・・吸気加湿用蒸気量調量バルブ
21・・・吸気加熱用蒸気量調量バルブ
23・・・吸気ガス冷却除湿器
24・・・吸気ガス冷却除湿用冷却水調量バルブ
25・・・吸収式冷凍機
26・・・供給ガス温湿度測定器
27・・・運転制御装置
28・・・供給ガスブロワ
29・・・冷却塔
30・・・冷却水循環ポンプ
31・・・二酸化炭素ガス分離膜搭載エゼクタ
32・・・水車装置
33・・・一酸化炭素ガス圧縮機
34・・・水力発電システム
35・・・二酸化炭素電解還元装置
36・・・一酸化炭素ガスボンベ
37・・・河川水汲み上げポンプ
38・・・電熱式蒸発装置
39・・・メタン発酵槽
40・・・バイオガス脱硫浄化装置
41・・・温水汲み上げポンプ
42・・・純水製造装置
43・・・電熱ヒータ式気化装置
44・・・水蒸気改質触媒
45・・・シフト反応触媒
46・・・電熱ヒータ
47・・・水蒸気改質装置
48・・・混合気除湿冷却装置
49・・・水素ガス圧縮機
50・・・水素ガス充填ボンベ
図1
図2
図3
図4