(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036498
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】気流発生装置
(51)【国際特許分類】
F03D 9/30 20160101AFI20230307BHJP
E04H 5/02 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
F03D9/30
E04H5/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021165094
(22)【出願日】2021-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】519080023
【氏名又は名称】平岡 茂忠
(72)【発明者】
【氏名】平岡 茂忠
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA12
3H178AA22
3H178BB31
3H178BB71
3H178BB73
3H178CC01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】風力を上げるために、本構造体を縦に繋げ、少ない面積でも風力を得られ、外側螺旋フィン部で受け取られた気流はフィン部の形状により気圧変化を利用して気流の流れを加速する方法や3種類の螺旋を組み合わせる事で、本構造体の隙間で発生する慣性モーメントの低下を利用することにより発生した気流の回転数を増加させ、上昇した気流は加圧室にて圧縮され勢いを増して上昇する。これを繰り返す事で強い気流の流れを作り出す仕組みを提供する。
【解決手段】自然の風力を利用する気流発生装置において、円筒形であって、内外に螺旋フィンを有する第一螺旋部と前記第一螺旋部の内側螺旋フィンは第一螺旋部の内側の一方まで施されず、台地螺旋部の内側螺旋フィンが施されていない方の端面に連続して接続されている外側螺旋状フィン部と、前記外側螺旋状フィン部を収納可能な円筒状で、円筒の側面及び底面に上面に開口部を有する土台部とを有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然の風力を利用する気流発生装置において、円筒形であって、内外に螺旋フィンを有する第一螺旋部と前記第一螺旋部の内側螺旋フィンは第一螺旋部の内側の一方まで施されず、台地螺旋部の内側螺旋フィンが施されていない方の端面に連続して接続されている外側螺旋状フィン部と、前記外側螺旋状フィン部を収納可能な円筒状で、円筒の側面及び底面に上面に開口部を有する土台部とを有する事を特徴とする気流発生装置。
【請求項2】
外側螺旋状フィン部は円筒状の気流発生装置の中心軸に対し直交より10°~25°だけ、前記外側螺旋状フィン部の内側が外側螺旋状フィン部の内側より上がっていることを特徴とする請求項1記載の気流発生装置。
【請求項3】
外側螺旋状フィン部の断面形状は、外側を横向き半円筒形状で形成し、内側に向かって全体を絞り込んで滑らかな曲線で結んだ水滴型形状としたことを特徴とする請求項1および請求項2記載の気流発生装置。
【請求項4】
請求項1および請求項3記載の気流発生装置を2個以上縦に接続したことを特徴とする気流発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2個以上の螺旋構造体を縦に繋げる事で、自然界で発生する風を効果的に集め、三つの螺旋部を通過する際に風速や風力を、モーターなどを使わずに増強させて強い上昇気流を発生させることが出来る構造を持った気流発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の気流発生装置は風力発電装置として使われることが多かった。従来の気流発生装置では、風導部・風車やタービンなどの発電部・それを収める収納部が一体となっていた。
【0003】
このような気流発生装置では、受け入れる風速は限られてしまうだけでなく、周囲の地形や建物などに影響されて更に風速の変動が大きくなる。そのため、(1)外気の気流が低風速でも一定の風にできる事。(2)装置が限られた面積内に収まる事。(3)強風などによる風車の翼や支柱などが破損した際の飛散対策が容易である事。(4)発生騒音対策が容易である事。などの要請があった。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1、2には低風速化に対する対策が提案されており、特許文献1では、風向きの方向に開いた専用の集風口を設ける構造が提案され、特許文献2・3では、気圧差を利用し上昇気流を発生させ、新たな自然風を取り込み総合的な風を作り出す構造が提案されている。
【0005】
また、特許文献4では、風向き変動に対する追随対策として案内風向版を設け常に風上を集風向が向くような構造が提案されている。特許文献5では、円筒形構造物の内部に回転羽を付けた軸を設置し、その中を地上接地面より頂上に向けて発生する上昇気流を通す構造で、この円筒形構造物の数を増やす事や、補助的な集風口を新たに設置して対応する構造が提案されている。しかし、このような従来の気流発生装置には、以下に説明する課題があった。
【特許文献1】特開2016-079966号公報
【特許文献2】特開2016-125430号公報
【特許文献3】第3029953号特許
【特許文献4】特開2005-54642号公報
【特許文献5】実開平6-22573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
すなわち、特許文献1,2,3,4に開示されている気流発生装置は集風口、風車が一つにまとめられている構造なので、風速を上げたいからと言って単体の重量や使用面積、構造などの問題から何個も組み合わせて使うことが困難となる。このため風速を上げるためには単体を大きく作らなければならないが、その大きさにも限界があるという問題があった。
【0007】
また、特許文献5に開示されている気流発生用タワーでは、もともと上昇気流が発生している場所でしか使えない構造であり、横風に対しての対応が出ていない為、設置場所に限界があるという問題があった。
【0008】
多くの気流発生装置で使われる横風を利用した気流の利用では外気流の風の力をそのままの力で利用する為、風速を発電効率に限界があるという問題があった。更に、上昇気流を使うタイプのものでは、新たに集風口を設けて補助的に風量を増やし、風速を増加させる構造が提案されていたが、この構造では加速室などが付いていない為、風自体の力はそのままであり、発電効率に限界があるという問題があった。
【0009】
又、一般的に知られる気流の利用方法は単一な気流を使うものであり、積極的に色々な気流に対応できないという問題があった。
【0010】
本発明の目的とする所は、単一な気流の利用だけではなく、横風、山やビルで発生する上昇気流、バイオマス・地熱、その他人工的に造られた気流等を利用する事が可能である。また、風力を上げるためには、本構造体を縦に繋げる為、少ない面積でも風力を得ることが出来る。
【0011】
更に、外側螺旋フィン部で受け取られた気流はフィン部の形状により気圧変化を利用して気流の流れを加速する事や、3種類の螺旋を組み合わせる事で螺旋構造体の隙間で発生する慣性モーメントの低下を利用することにより発生した気流の回転数を増加させ、上昇した気流は加圧室にて圧縮され勢いを増して上昇する。これを繰り返す事で強い気流の流れを作り出す仕組みとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の請求項1記載の気流発生装置は、自然の風力を利用する気流発生装置において、円筒形であって、内外に螺旋フィンを有する第一螺旋部と前記第一螺旋部の内側螺旋フィンは第一螺旋部の内側の一方まで施されず、台地螺旋部の内側螺旋フィンが施されていない方の端面に連続して接続されている外側螺旋状フィン部と、前記外側螺旋状フィン部を収納可能な円筒状で、円筒の側面及び底面に上面に開口部を有する土台部とを有する事を特徴とする気流発生装置になっている。
【0013】
次に本発明の請求項2記載の気流発生装置は、外側螺旋状フィン部は円筒状の気流発生装置の中心軸に対し直交より10°~25°だけ、前記外側螺旋状フィン部の内側が外側螺旋状フィン部の内側より上がっていることを特徴とする請求項1記載の気流発生装置になっている。
【0014】
また、本発明の請求項3記載の気流発生装置は、外側螺旋状フィン部の断面形状は、外側を横向き半円筒形状で形成し、内側に向かって全体を絞り込んで滑らかな曲線で結んだ水滴型形状としたことを特徴とする請求項1および請求項2記載の気流発生装置になっている。
【0015】
更に本発明の請求項4記載の気流発生装置は、請求項1および請求項3記載の気流発生装置を2個以上縦に接続したことを特徴とする気流発生装置になっている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1記載の気流発生装置は、自然の風力を利用する気流発生装置において、円筒形であって、内外に螺旋フィンを有する第一螺旋部と前記第一螺旋部の内側螺旋フィンは第一螺旋部の内側の一方まで施されず、台地螺旋部の内側螺旋フィンが施されていない方の端面に連続して接続されている外側螺旋状フィン部と、前記外側螺旋状フィン部を収納可能な円筒状で、円筒の側面及び底面に上面に開口部を有する土台部とを有する事を特徴とする気流発生装置になっているので、下からの気流や、横からの気流に対して無駄なく効果的に利用できる。
【0017】
次に本発明の請求項2記載の気流発生装置は、外側螺旋状フィン部は円筒状の気流発生装置の中心軸に対し直交より10°~25°だけ、前記外側螺旋状フィン部の内側が外側螺旋状フィン部の内側より上がっていることを特徴とする請求項1記載の気流発生装置になっているので、外側螺旋状フィン部の角度により、横風や下からの上昇気流に対しても安定した気流を効果的に発生させる事が出来る。
【0018】
また、本発明の請求項3記載の気流発生装置は、外側螺旋状フィン部の断面形状は、外側を横向き半円筒形状で形成し、内側に向かって全体を絞り込んで滑らかな曲線で結んだ水滴型形状としたことを特徴とする請求項1および請求項2記載の気流発生装置になっているので、外側螺旋状フィン部で発生した気流は気圧の変化を作り出し、内側部で発生した気流を加速させることが出来る。
【0019】
更に本発明の請求項4記載の気流発生装置は、請求項1および請求項3記載の気流発生装置を2個以上縦に接続したことを特徴とする気流発生装置になっているので、横風を利用する際は、 装置に侵入した自然風が、外側螺旋状フィン部から円柱の中心部にある内側螺旋部に誘導され、内側螺旋部の螺旋に沿って上部へ誘導される。自然風が次の装置に移動する際、下部の内側螺旋部を上昇してきた気流の渦は、装置同士の間にある隙間部分で慣性モーメントが低下し、段の隙間では慣性モーメントの低下により回転が増し、気流は収束する。内側内螺旋部を通過した風に上記で収束された気流は厚みを増して加圧室にて圧縮され、勢いを増して上昇する。これを繰り返す事で強い気流を作り出す仕組みで渦の回転数は増加、回転の増加した渦は内側螺旋部の更に中心部にある空間(圧縮部)で圧縮され、厚みを増した気流は内側螺旋部の中心部にある螺旋部(内側螺旋部内螺旋部)を上昇し、中心部を上昇してきた気流は、2段目以降の内側螺旋部を上昇し、隙間で回転数の増した気流と合流し、更に風力が増加し気流を上昇させる仕組みとなっている。
【0020】
更に、本発明の請求項4記載の気流発生装置は、請求項1および請求項3記載の気流発生装置を2個以上縦に接続したことを特徴とする気流発生装置になっているので、下から上に抜ける上昇気流に対して、最下部にある装置の底から繋がる中心部の加圧室と螺旋部を使い、その中を上昇気流が移動する事で、それが呼び水となり外側螺旋状フィン部から空気を吸い込むことで、その上昇気流に厚みを付け、上記[00019]で説明した内容により、気流を増強させる仕組みとなっている。
【0021】
次に、本発明の請求項4記載の上昇気流発生装置は、請求項1および請求項3記載の気流発生装置を2個以上縦に接続したことを特徴とする気流発生装置になっているので、人工的に作られたファンなどの気流に対しても対応できる仕組みとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第一実施形態における気流発生装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第一実施形態の気流発生装置の断面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態の気流発生装置内にある螺旋構造体の斜視図である。
【
図4】本発明の第一実施形態の気流発生装置の螺旋構造体の断面図である。
【
図5】本発明の第一実施形態の気流発生装置の外側螺旋フィン部の断面図である。
【
図6】本発明の第一実施形態の気流発生装置を3つ重ねたときの斜視図である。
【
図7】本発明の第一実施形態の気流発生装置を3つ重ねたときの断面図である。
【
図8】本発明の第一実施形態の気流発生装置の流路モデルを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を適用した実施形態を、図面に基づいて詳述する。尚、各図面において、同じ符号を付した部材などは、同一又は類似の構成の物であり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材などは適宜、図示を省略している。
【0024】
図1~
図8を用いて本発明を適用した気流発生装置の第一実施形態について説明する。
図1は本発明の第一実施形態における気流発生装置を示す斜視図、
図2は
図1の気流発生装置の断面図、
図3は
図2の気流発生装置内にある螺旋構造体の斜視図、
図4は
図3の螺旋構造体の断面図、
図5は
図4の外側螺旋フィン部の断面図、
図6は
図1の気流発生装置を3つ重ねたときの斜視図、
図7は
図6の3つ重ねたときの気流発生装置の断面図、
図8は本発明の第一実施形態の気流発生装置の流路モデルを示す説明図である。
【0025】
図1に示すように、自然の風力を利用する気流発生装置において、円筒形であって、内外に螺旋フィンを有する第一螺旋部と前記第一螺旋部の内側螺旋フィンは第一螺旋部の内側の一方まで施されず、台地螺旋部の内側螺旋フィンが施されていない方の端面に連続して接続されている外側螺旋状フィン部と、前記外側螺旋状フィン部を収納可能な円筒状で、円筒の側面及び底面に上面に開口部を有する土台部とを有する事を特徴とする。
【0026】
図4に示すように、外側螺旋状フィン部は円筒状の気流発生装置の中心軸に対し直交より10°~25°だけ、前記外側螺旋状フィン部の内側が外側螺旋状フィン部の内側より上がっていることを特徴とする。
【0027】
図5に示すように、外側螺旋状フィン部の断面形状は、外側を横向き半円筒形状で形成し、内側に向かって全体を絞り込んで滑らかな曲線で結んだ水滴型形状としたことを特徴とする。
【0028】
図6に示すように、気流発生装置を2個以上縦に接続したことを特徴とする。
【0029】
図8に示すように、〔0028〕で説明した気流発生装置になっているので、横風を利用する際は、装置に侵入した自然風が、外側螺旋状フィン部から円柱の中心部にある内側螺旋部に誘導され、内側螺旋部の螺旋に沿って上部へ誘導される。自然風が次の装置に移動する際、下部の内側螺旋部を上昇してきた気流の渦は、装置同士の間にある、各段の隙間部分で慣性モーメントが低下する事で渦の回転数が増加し、誘導された気流が横の広がりから縦の広がりに変化して収束する。又、下方から上昇してきた内側内螺旋部を通過した風に上記の収束された気流が合流する事で気流は更に厚みを増して加圧室に移動して圧縮され、更に勢いを増して上昇する。2個以上縦に接続する事で、これを繰り返し強い気流を作り出す仕組みを持つことを特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、気流を効果的に利用する事を目的とした機器に用いられる気流発生装置として有用である。
【符号の説明】
【0031】
1 気流発生装置
1-a 気流発生装置:3段目
1-b 気流発生装置:2段目
1-c 気流発生装置:1段目
2 集風口
3 螺旋構造体本体
4-a 内側螺旋部
4-b 内側内螺旋部
4-c 加圧室
5 貫通孔
6 外側螺旋フィン部
6-a 外側螺旋フィン部断面形状
6-b 角度(10°~25°)
7 0°床との水平ライン
8-a 隙間1:下段内側螺旋部と上段外側螺旋フィン部の間
8-b 隙間2:下段内側螺旋部上部と上段内側螺旋部下部の間