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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000365
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   B61D 27/00 20060101AFI20221222BHJP
   B61L 25/04 20060101ALI20221222BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20221222BHJP
   B60L 15/40 20060101ALI20221222BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20221222BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20221222BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20221222BHJP
【FI】
B61D27/00 F
B61L25/04
B60L1/00 A
B60L15/40 Z
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101133
(22)【出願日】2021-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100125151
【弁理士】
【氏名又は名称】新畠 弘之
(72)【発明者】
【氏名】久保田 和人
(72)【発明者】
【氏名】阿邊 優一
(72)【発明者】
【氏名】小熊 信
(72)【発明者】
【氏名】小澤 優太
(72)【発明者】
【氏名】弓削 晶郎
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA05
5H125BA09
5H125BE01
5H125CC04
5H125EE51
5H125EE70
(57)【要約】
【課題】空調機外の物理量の測定により冷房能力に関連する指標を生成可能な情報処理装置、及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】本実施形態の情報処理装置は、データ生成部と、指標生成部と、を備える。データ生成部は、複数の時間区分における鉄道車両の車内の温度差と、空調機の圧縮機の稼働又は非稼働と、を関連付けたデータセットを生成する。指標生成部はデータ生成部が生成したデータを用いて、車内の温度差を生じさせる空調機の冷房能力に関連する指標を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の時間区分における鉄道車両の車内の温度差と、空調機の圧縮機の稼働又は非稼働と、を関連付けたデータセットを生成するデータ生成部と、
前記データ生成部が生成したデータを用いて、前記車内の温度差を生じさせる前記空調機の冷房能力に関連する指標を生成する指標生成部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の時間区分は、鉄道車両のドアが閉じてから所定の時間が経過した期間である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数の時間区分は、前記空調機の圧縮機が始動又は停止してから所定の時間が経過した期間である、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記データセットには、前記鉄道車両の車内外の温度差に関連する数値が少なくとも含まれ、
前記指標生成部は、前記複数の時間区分毎の前記車内の温度差から、前記車内外の温度差に関連する数値に第1比例係数を乗算した値を減算した値が、前記指標に前記稼働を示す値を乗算した値と等しくなるように、前記指標を定める、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記データセットには、更に前記鉄道車両の乗車率に関連する数値が含まれ、
前記指標生成部は、前記複数の時間区分毎の前記車内の温度差から、前記車内外の温度差に関連する数値に第1比例係数を乗算した値、及び前記乗車率に関連する数値に第2比例係数を乗算した値を減算した値が、前記指標に前記稼働を示す値を乗算した値と等しくなるように、前記指標を定める、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記データ生成部は、前記時間区分における前記空調機の稼働又は非稼働に対して、前記車内の温度差の測定時間に所定の遅れ時間を加える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記所定の遅れ時間は、空調機器の駆動開時間から車内温度計の反応の遅れ時間に対応する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記データセットには、更に前記鉄道車両の車内湿度の変化に基づくエンタルピー変化量に関連する数値が含まれ、
前記指標生成部は、前記複数の時間区分毎の前記車内の温度差から、前記車内外の温度差に関連する数値に第1比例係数を乗算した値、前記乗車率に関連する数値に第2比例係数を乗算した値、及び前記エンタルピー変化量に関連する数値に第3比例係数を乗算した値を減算した値が、前記指標に前記稼働を示す値を乗算した値と等しくなるように、前記指標を定める、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記データセットには、更に前記鉄道車両の車内温度と、前記鉄道車両の車外温度が含まれ、
前記指標生成部は、前記車内温度と、前記鉄道車両の車外温度との関数として冷房能力指標を生成する、請求項4又は5に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記指標生成部は、所定の時点の前記指標と、前記所定の時点から時間が経過した時点の前記指標との比に関する数値を冷房能力劣化度として算出する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記指標及び冷房能力劣化度の少なくともいずれかの経年変化又は稼働時間変化を表示部に表示させる表示制御部を更に備える、請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記指標生成部は、前記指標及び冷房能力劣化度の少なくともいずれかは、編成の車両ごと、または型番ごとに生成し、
前記表示制御部は、編成の車両ごと、または型番ごとの前記指標及び冷房能力劣化度の少なくともいずれかの経年変化又は稼働時間変化を前記表示部に表示させる、請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記指標生成部は、前記指標の誤差を前記鉄道車両の停車駅ごとに生成し、
前記表示制御部は、前記指標の誤差に関する値を前記停車駅ごとに前記表示部に表示させる、請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
複数の時間区分における鉄道車両の車内の温度差と、空調機の圧縮機の稼働又は非稼働と、を関連付けたデータセットを生成するデータ生成工程と、
前記データ生成工程において生成したデータを用いて、前記車内の温度差を生じさせる空調機の冷房能力に関連する指標を生成する指標生成工程と、
を備える、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空調機が単位時間あたりに鉄道車両の客室から取り除く熱エネルギーは一般に冷房能力と称される。この冷房能力は、空調装置の劣化を判断する指標として用いられる。空調機の劣化が進むと冷房能力が低下し、空調の点検や清掃、部品交換の必要性を判断することが可能となる。このため、冷房能力に関連する指標を用いることにより、空調保守サービスを効率よく実現することが可能となる。
【0003】
また、空調機の冷媒管にセンサを付与して室内熱交換器で熱交換した熱量から冷房能力を推定する手法が知られている。ところが、空調機の冷媒管にセンサを付与して室内熱交換器で熱交換した熱量から冷房能力を推定する方法では、冷媒管にセンサを付与する必要が生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6297817号公報
【特許文献2】特開2018-185696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明が解決しようとする課題は、空調機外の物理量の測定により冷房能力に関連する指標を生成可能な情報処理装置、及び情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の情報処理装置は、データ生成部と、指標生成部と、を備える。データ生成部は、複数の時間区分における鉄道車両の車内の温度差と、空調機の圧縮機の稼働又は非稼働と、を関連付けたデータセットを生成する。指標生成部はデータ生成部が生成したデータを用いて、車内の温度差を生じさせる空調機の冷房能力に関連する指標を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図。
図2】編成車両中における車両の例を示す図。
図3】鉄道車両に発生する熱の出入り(熱収支)を示す図。
図4A】特徴量データ算出部の抽出条件の一例を示す図。
図4B図4Aで示す抽出条件を満たす時間幅のデータをN区間抽出する例を示す図。
図5】車両の空調機と車内温度計と測定値の関係を示している図。
図6】特徴量データ算出部が演算したコンプレッサの状態と温度変化量の相互相関例を示す図。
図7】計算された冷房能力指標関数の例を示す図。
図8】第5実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図。
図9】編成の号車間の冷房能力指標の比較例を示す図。
図10】編成の号車間の劣化指標の比較例を示す図。
図11】編成の号車間の冷房能力指標の経時変化例を示す図。
図12】編成の号車間の冷房能力指標の空調稼働を示す図。
図13】冷房能力指標の編成平均値の経時変化例を示す図。
図14】冷房能力指標の型番別の経時変化例を示す図。
図15】空調機の冷房能力指標の経時変化と清掃タイミングの関係を示す図。
図16】空調機の冷房能力指標の誤差と各駅との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る情報処理装置、及び情報処理方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
(第1実施形態)
【0009】
図1は、第1実施形態に係る情報処理装置1の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る情報処理装置1は、例えば鉄道車両における空調機の冷房能力指標の生成が可能な装置である。
【0010】
図2は、編成車両中における鉄道車両500の例を示す図である。鉄道車両500には、空調機502が備えられ、空調された空気が、天井部などから吹き出すように構成される。この鉄道車両500には、例えば車内温度計504、車外温度計506、及び湿度計508が備えられる。なお、本実施形態では、鉄道車両500を例に説明するがこれに限定されない。例えば、本実施形態に係る情報処理装置1は、編成車両中の他の車両の空調機の冷房能力指標も生成可能である。
【0011】
再び、図1に示すように、情報処理装置1は、処理本体部100と、記憶部200と、表示部300と、操作部400と、を備える。処理本体部100は、鉄道車両500から取得した情報を処理し、鉄道車両500における空調機502の冷房能力指標の生成を行うことが可能である。
【0012】
この処理本体部100は、例えばCPU(CentralProcessingUnit)やMPU(MicroProcessor)を含んで構成され、記憶部200に記憶されるプログラムを実行することにより各処理部を構成する。すなわち、この処理本体部100は、取得部102と、特徴量データ算出部104と、モデルパラメータ算出部106とを、有する。また、図1には、更にネットワークN100が図示されており、処理本体部100は、ネットワークN100を介して、鉄道車両500に関する各種のデータ、気象データなどを取得可能である。このネットワークN100は、有線でもよく、或いは無線でもよい。また、処理本体部100の各処理部を電子回路で構成してもよい。なお、処理本体部100の詳細は後述する。
【0013】
記憶部200は、例えばHDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)等で構成される。この記憶部200は、処理本体部100のプログラムの他に、処理本体部100が情報処理を実行する過程で使用する情報を記憶する。例えば、記憶部200には、空調制御履歴データ、列車運行履歴データ、空調諸元データ、気象データなどが記憶される。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
ここで、処理本体部100の詳細を説明する。
取得部102は、ネットワークN100を介して、鉄道車両500から空調制御履歴データ、列車運行履歴データ、及び空調諸元データを時系列に取得し、記憶部200に記憶する。また、取得部102は、ネットワークN100を介して、気象庁などから、鉄道車両500の位置に対応する気象データを時系列に取得し、記憶部200に記憶することも可能である。
【0019】
特徴量データ算出部104は、記憶部200に記憶される空調制御履歴データ、列車運行履歴データ、及び空調諸元データのなかから所定の条件を満たす特徴量データを抽出し、統計処理用のデータを生成する。より具体的には、所定の条件下における、車両内の温度変化ΔTに相関するデータを抽出し、統計処理用のデータを生成する。例えば所定の条件は、操作部400を介して操作者により設定可能である。なお、本実施形態では、所定の条件下における、車両内の温度変化ΔTに相関するデータを特徴量データと称する。また、所定の条件は、鉄道車両500の空調機502に対する外乱を抑制した状態に対応した条件である。この所定の条件の詳細例は図4を用いて後述する。なお、本実施形態に係る特徴量データ算出部104がデータ生成部に対応する。
【0020】
【0021】
【数1】
【0022】
【0023】
これにより、式(1)は式(2)のように簡略化可能となる。
【数2】
【0024】
図4Aは、特徴量データ算出部104の抽出条件の一例を示す図である。A図は、ドア状態を示す図である。横軸は時間を示し、縦軸はドアの開閉状態を示す。B図は、コンプレッサ502aの状態を示す図である。横軸は時間を示し、縦軸はコンプレッサ502aのオン、オフ状態を示す。図4の左側の図に示すように、コンプレッサ502aが稼働しているときの抽出条件、すなわち上述の所定条件は、ドアが閉じて30秒経過し、且つコンプレッサ502aが稼働して60秒経過していることである。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【数3】
【0029】
【数4】
【0030】
【0031】
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【0032】
【0033】
【数9】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
また、特徴量データ算出部104は、N区間の選択条件として、列車運行データの走行位置データを用いて、地下駅のような熱だまりの発生する領域を除いてもよい。これにより、外乱の影響をより抑制できる。
【0038】
また、特徴量データ算出部104は、N区間の選択条件として、鉄道車両500の位置に対応する、気温、湿度、日照量、天気情報、などの気象庁が公開しているデータを用いて、気象条件の制約を含めてもよい。これにより、気象による外乱の影響をより抑制できる。
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【数10】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【数11】
【数12】
【0051】
【数13】
【数14】
【0052】
【0053】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る情報処理装置1は、冷房能力指標を外気温と室内温度との関数として推定可能とする点で、第3実施形態に係る情報処理装置1と相違する。以下では、第1実施形態に係る情報処理装置1と相違する点に関して説明する。
【0054】
第4実施形態に係る情報処理装置1は、上述の式(4)を式(15)として扱うことが可能である。すなわち、冷房能力指標γを冷房能力指標関数f(a,b)として扱うことが可能である。
【数15】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る情報処理装置1は、冷房能力指標に関する情報を図面化することが可能である点で、第4実施形態に係る情報処理装置1と相違する。以下では、第1実施形態に係る情報処理装置1と相違する点に関して説明する。
【0059】
図8は、第5実施形態に係る情報処理装置1の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る情報処理装置1は、空調機の冷房能力指標に関する情報を図面化することが可能である。すなわち、画像生成部108と、表示制御部110とを更に有する。
【0060】
画像生成部108は、モデルパラメータ算出部106の処理結果に基づき、後述する図9乃至図16の画像を生成することが可能である。表示制御部110は、画像生成部108が生成した画像を表示部300に表示させることが可能である。
【0061】
図9は、編成の号車間の冷房能力指標の比較例を示す図である。横軸は号車番号を示す、縦軸は冷房能力指標γを示す。ラインL90は、同一機種の空調機502における冷房能力指標γの平均値を示し、ラインL92は、運用開始時の号車間の冷房能力指標γを示し、ラインL94は、現在の号車間の冷房能力指標γを示す。ラインL92とラインL94とを比較することにより、空調機の劣化の状態がより簡易に把握可能となる。また、ラインL90との比較も含め、2号車の空調機が他の号車の空調機よりも劣化していることが示される。
【0062】
図10は、編成の号車間の劣化指標の比較例を示す図である。横軸は号車番号を示す、縦軸は劣化指標を示す。冷房能力の劣化指標は、運用開始時の冷房能力指標γと、現在の冷房能力指標γとの比を示す。ラインL100は、運用開始時の号車間の冷房能力指標γを100パーセントで示し、ラインL102は、現在の号車間の劣化指標を示す。2号車の空調機が他の号車の空調機よりも劣化の進度が速いことを示している。
【0063】
図11は、編成の号車間の冷房能力指標の経時変化例を示す図である。横軸は年数を示す、縦軸は冷房能力指標γを示す。ラインL110は、1号車の空調機502における冷房能力指標γの経時変化を示し、ラインL112は、2号車の空調機502における冷房能力指標γの経時変化を示す。ラインL110とラインL112とを比較することにより、号車間の冷房能力指標の経時変化を定量的に比較可能となる。このように、時間的な劣化の経緯が把握可能となる。
【0064】
図12は、編成の号車間の冷房能力指標の空調稼働を示す図である。横軸は年数を示す、縦軸は冷房能力指標γを示す。ラインL120は、1号車の空調機502における冷房能力指標γの稼働時間に対する変化を示し、ラインL122は、2号車の空調機502における冷房能力指標γの稼働時間に対する変化を示す。ラインL120とラインL122とを比較することにより、号車間の冷房能力指標の稼働時間に対する変化を定量的に比較可能となる。このように、稼働時間と劣化の関係が把握可能となる。
【0065】
図13は、冷房能力指標の編成平均値の経時変化例を示す図である。横軸は年数を示す、縦軸は冷房能力指標γを示す。ラインL130は、A編成の各号車における冷房能力指標γの平均値の経時変化を示し、ラインL132は、B編成の各号車における冷房能力指標γの平均値の経時変化を示す。ラインL130とラインL132とを比較することにより、編成間の冷房能力指標の経時変化を定量的に比較可能となる。この例では、B編成の空調機の劣化が速く進んだことがわかる。
【0066】
図14は、冷房能力指標の型番別の経時変化例を示す図である。横軸は年数を示す、縦軸は冷房能力指標γを示す。ラインL140は、空調機型番T1の冷房能力指標γの平均値の経時変化を示し、ラインL142は、空調機型番T2の冷房能力指標γの平均値の経時変化を示す。ラインL140とラインL142とを比較することにより、型番別の冷房能力指標の経時変化を定量的に比較可能となる。この例では、型番T2の空調の劣化の進行が速いことがわかる。
【0067】
図15は、空調機502の冷房能力指標の経時変化と清掃タイミングの関係を示す図である。横軸は号車番号を示す、縦軸は冷房能力指標γを示す。ラインL150は、空調機502の冷房能力指標γの経時変化を示す。ラインL152、ラインL154は、清掃タイミングを示す。ラインL152、ラインL154と冷房能力指標γの経時変化を比較することにより、清掃の空調機502に対する効果を経時的に示すことが可能となる。
【0068】
なお、図11乃至図15において、冷房能力の劣化指標を表示させてもよい。すなわち、図11において、冷房能力の劣化指標の経時変化例を図示してもよい。同様に、図12において、冷房能力の劣化指標の空調稼働に対する変化例を図示してもよい。同様に、図13において、冷房能力の劣化指標における編成平均値の経時変化例を図示してもよい。同様に、図14において、冷房能力の劣化指標の型番別の経時変化例を図示してもよい。同様に、図15において、空調機502の冷房能力における劣化指標の経時変化と清掃タイミングの関係を図示してもよい。
【0069】
図16は、冷房能力指標の誤差と各駅との関係を示す図である。横軸は駅を示し、縦軸は冷房能力指標γを示す。例えばA駅で誤差が大きいことから、誤差が生じる要因がA駅にあることが把握可能となる。このA駅は地下駅であり、例えば車両上部に熱だまりが発生し、冷房能力が低下していることが示唆される。このように、冷房能力指標の誤差と各駅との関係を図面化することにより、各駅での鉄道車両500に対する熱の授受の状況が推定可能となる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態によれば、画像生成部108が、冷房能力指標に関する情報を図面化し、表示制御部110が、画像生成部108が生成した画像を表示部300に表示させることとした。これにより、冷房能力指標に関する情報を客観的に把握可能となる。
【0071】
上述した実施形態で説明した情報処理装置1の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理装置1の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0072】
また、車両用空調装置の診断装置の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線( 無線通信も含む) を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0073】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1:情報処理装置、102:取得部、104:特徴量データ算出部、106:モデルパラメータ算出部、110:表示制御部、300:表示部、500:鉄道車両500:空調機、502a:コンプレッサ(圧縮機)。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16