(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036515
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】センスアンプ及び記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 7/06 20060101AFI20230307BHJP
G11C 16/26 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
G11C7/06 130
G11C16/26 120
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022085349
(22)【出願日】2022-05-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】202111027660.5
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520377428
【氏名又は名称】中天弘宇集成電路有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】聶 虹
(72)【発明者】
【氏名】朱 澤宇
(72)【発明者】
【氏名】孫 英
(72)【発明者】
【氏名】沈 一鶴
【テーマコード(参考)】
5B225
【Fターム(参考)】
5B225CA04
5B225EE02
5B225EE06
5B225EE12
5B225EE15
5B225EE18
(57)【要約】
【課題】電源スイッチ回路によってセンスアンプの静的消費電力を低減させ、プリチャージ回路によってセンスアンプのクランプ電圧のプリチャージ速度を向上させ、放電回路によってセンスアンプ内部が不安定状態になるとの事態を防止することができるセンスアンプ及び記憶装置を提供する。
【解決手段】メモリセルに安定した読取電圧を印加する電圧クランプ回路11と、電圧クランプ回路11の非動作時に電圧クランプ回路11の給電経路を切断する電源スイッチ回路12と、電圧クランプ回路11が動作する前に電圧クランプ回路11を放電する放電回路13と、電圧クランプ回路11が動作を開始する際に電圧クランプ回路11をプリチャージするプリチャージ回路14と、電圧クランプ回路11の出力ポートに接続されており、読出電流を参照電流と比較して比較結果を出力する電流比較回路15、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センスアンプであって、
メモリセルに接続されており、前記メモリセルに安定した読取電圧を印加する電圧クランプ回路と、
電源電圧と前記電圧クランプ回路の間に接続されており、前記電圧クランプ回路の非動作時に前記電圧クランプ回路と前記電源電圧の間の経路を切断する電源スイッチ回路と、
前記電圧クランプ回路に接続されており、前記電圧クランプ回路が動作する前に前記電圧クランプ回路を放電する放電回路と、
前記電圧クランプ回路に接続されており、前記電圧クランプ回路が動作を開始する際に前記電圧クランプ回路をプリチャージするプリチャージ回路と、
前記電圧クランプ回路の出力ポートに接続されており、読出電流を参照電流と比較して比較結果を出力する電流比較回路とを少なくとも含むことを特徴とするセンスアンプ。
【請求項2】
前記センスアンプはラッチ回路を更に含み、前記ラッチ回路は、前記電流比較回路の出力ポートに接続されており、前記比較結果をラッチするために用いられることを特徴とする請求項1に記載のセンスアンプ。
【請求項3】
前記センスアンプはバッファ回路を更に含み、前記バッファ回路は前記電流比較回路と前記ラッチ回路の間に接続されることを特徴とする請求項2に記載のセンスアンプ。
【請求項4】
前記読取電圧は0.8~1.1Vの間にクランプされることを特徴とする請求項1に記載のセンスアンプ。
【請求項5】
前記電圧クランプ回路は、位相反転モジュール及びクランプトランジスタを含み、前記クランプトランジスタは、第1ポートが前記メモリセルに接続され、第2ポートが前記読出電流を出力し、制御ポートが前記位相反転モジュールの出力ポートに接続され、前記位相反転モジュールの入力ポートは前記クランプトランジスタの第1ポートに接続されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のセンスアンプ。
【請求項6】
前記電源スイッチ回路はスイッチングトランジスタを含み、前記スイッチングトランジスタは、第1ポートが前記電源電圧に接続され、第2ポートが前記位相反転モジュールの動作電圧入力ポートに接続され、制御ポートが第1制御信号を受け付けることを特徴とする請求項5に記載のセンスアンプ。
【請求項7】
前記放電回路は第1プルダウントランジスタ及び第2プルダウントランジスタを含み、前記第1プルダウントランジスタは、第1ポートが接地し、第2ポートが前記クランプトランジスタの制御ポートに接続され、制御ポートが第2制御信号を受け付け、前記第2プルダウントランジスタは、第1ポートが接地し、第2ポートが前記位相反転モジュールの入力ポートに接続され、制御ポートが前記第2制御信号を受け付けることを特徴とする請求項5に記載のセンスアンプ。
【請求項8】
前記プリチャージ回路はプリチャージトランジスタを含み、前記プリチャージトランジスタは、第1ポートが前記電源電圧に接続され、第2ポートが前記クランプトランジスタの第2ポートに接続され、制御ポートが第3制御信号を受け付けることを特徴とする請求項5に記載のセンスアンプ。
【請求項9】
前記電流比較回路はカレントミラー及び電流源を含み、前記カレントミラーは、一端が前記電圧クランプ回路の読出電流出力ポートに接続され、他端が前記電流源に接続されて前記比較結果を出力することを特徴とする請求項5に記載のセンスアンプ。
【請求項10】
コントローラ、メモリ及び請求項1~4のいずれか1項に記載のセンスアンプを少なくとも含み、
前記コントローラは、前記メモリ及び前記センスアンプに接続されており、前記メモリ及び前記センスアンプに制御信号を印加し、
前記メモリはデータを記憶するために用いられ、
前記センスアンプは、前記メモリに接続されており、前記メモリに記憶されたデータを読み出すために用いられることを特徴とする記憶装置。
【請求項11】
前記メモリは不揮発性メモリであることを特徴とする請求項10に記載の記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリ分野に関し、特に、センスアンプ及び記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今は、現代電子機器や埋め込み型構造の飛躍的発展及び広範な応用に伴って、高集積回路チップに対するニーズが日増しに高まっており、それ故に、集積回路チップの消費電力に対する制限要求が生じている。記憶装置について言えば、フラッシュメモリのチップ消費電力の低減化は、大容量フラッシュメモリ、ひいては超大容量フラッシュメモリのチップが追求し続けてきた目標である。
【0003】
不揮発性メモリは、読取動作時にセンスアンプを必要とする。しかし、従来設計の場合には、静的消費電力が大きく、クランプ電圧の構築に時間を要するほか、センスアンプの初期状態が不安定である。これらはいずれも従来設計に存在する一連の課題となっている。そこで、如何に効果的にセンスアンプの静的消費電力を低減させ、センスアンプにおけるクランプ電圧のプリチャージ速度を向上させ、センスアンプ内部が不安定状態となるのを防止するかが、当業者にとって早急に解決を要する課題の一つとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術の欠点に鑑みて、本発明の目的は、静的消費電力が大きく、クランプ電圧の構築に時間を要するほか、センスアンプの初期状態が不安定である等の従来技術における課題を解決するために、センスアンプ及び記憶装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的及び関連するその他の目的を実現するために、本発明は、センスアンプを提供する。前記センスアンプは、少なくとも、メモリセルに接続されており、前記メモリセルに安定した読取電圧を印加する電圧クランプ回路と、電源電圧と前記電圧クランプ回路の間に接続されており、前記電圧クランプ回路の非動作時に前記電圧クランプ回路と前記電源電圧の間の経路を切断する電源スイッチ回路と、前記電圧クランプ回路に接続されており、前記電圧クランプ回路が動作する前に前記電圧クランプ回路を放電する放電回路と、前記電圧クランプ回路に接続されており、前記電圧クランプ回路が動作を開始する際に前記電圧クランプ回路をプリチャージするプリチャージ回路と、前記電圧クランプ回路の出力ポートに接続されており、読出電流を参照電流と比較して比較結果を出力する電流比較回路とを含む。
【0006】
選択的に、前記センスアンプはラッチ回路を更に含む。前記ラッチ回路は、前記電流比較回路の出力ポートに接続されており、前記比較結果をラッチするために用いられる。
【0007】
より選択的に、前記センスアンプはバッファ回路を更に含む。前記バッファ回路は前記電流比較回路と前記ラッチ回路の間に接続される。
【0008】
選択的に、前記読取電圧は0.8~1.1Vの間にクランプされる。
【0009】
より選択的に、前記電圧クランプ回路は、位相反転モジュール及びクランプトランジスタを含む。前記クランプトランジスタは、第1ポートが前記メモリセルに接続され、第2ポートが前記読出電流を出力し、制御ポートが前記位相反転モジュールの出力ポートに接続される。前記位相反転モジュールの入力ポートは前記クランプトランジスタの第1ポートに接続される。
【0010】
より選択的に、前記電源スイッチ回路はスイッチングトランジスタを含む。前記スイッチングトランジスタは、第1ポートが前記電源電圧に接続され、第2ポートが前記位相反転モジュールの動作電圧入力ポートに接続され、制御ポートが第1制御信号を受け付ける。
【0011】
より選択的に、前記放電回路は第1プルダウントランジスタ及び第2プルダウントランジスタを含む。前記第1プルダウントランジスタは、第1ポートが接地し、第2ポートが前記クランプトランジスタの制御ポートに接続され、制御ポートが第2制御信号を受け付ける。前記第2プルダウントランジスタは、第1ポートが接地し、第2ポートが前記位相反転モジュールの入力ポートに接続され、制御ポートが前記第2制御信号を受け付ける。
【0012】
より選択的に、前記プリチャージ回路はプリチャージトランジスタを含む。前記プリチャージトランジスタは、第1ポートが前記電源電圧に接続され、第2ポートが前記クランプトランジスタの第2ポートに接続され、制御ポートが第3制御信号を受け付ける。
【0013】
より選択的に、前記電流比較回路はカレントミラー及び電流源を含む。前記カレントミラーは、一端が前記電圧クランプ回路の読出電流出力ポートに接続され、他端が前記電流源に接続されて前記比較結果を出力する。
【0014】
上記の目的及び関連するその他の目的を実現するために、本発明は、更に記憶装置を提供する。前記記憶装置は、少なくとも、コントローラ、メモリ及び上記センスアンプを含む。
【0015】
前記コントローラは、前記メモリ及び前記センスアンプに接続されており、前記メモリ及び前記センスアンプに制御信号を印加する。
【0016】
前記メモリはデータを記憶するために用いられる。
【0017】
前記センスアンプは、前記メモリに接続されており、前記メモリに記憶されたデータを読み出すために用いられる。
【0018】
選択的に、前記メモリは不揮発性メモリである。
【発明の効果】
【0019】
上述したように、本発明のセンスアンプ及び記憶装置は、以下の有益な効果を有する。
【0020】
1.本発明のセンスアンプ及び記憶装置では、読取動作を行わない場合、電源スイッチ回路によって電圧クランプ回路と電源電圧の間の経路を切断するため、センスアンプの静的消費電力を効果的に低減させられる。
【0021】
2.本発明のセンスアンプ及び記憶装置では、読取動作の前にプリチャージ回路によって電圧クランプ回路をプリチャージするため、センスアンプのクランプ電圧のプリチャージ速度を効果的に向上させられる。
【0022】
3.本発明のセンスアンプ及び記憶装置では、読取動作の前に、放電回路によって電圧クランプ回路の各点の電位をゼロ復帰させるため、センスアンプ内部が不安定状態になるとの事態を効果的に防止可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明のセンスアンプの概略原理図を示している。
【
図2】
図2は、本発明におけるセンスアンプの回路構造の概略図を示している。
【
図3】
図3は、本発明における記憶装置の回路構造の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、特定の具体的な実施例によって本発明の実施形態について説明する。当業者であれば、本明細書に開示した内容から本発明のその他の利点及び効果を容易に理解可能である。更に、本発明は、その他の異なる具体的な実施形態によっても実施又は応用可能である。また、本明細書の各詳細事項については、視点及び応用の違いに応じて、本発明の精神を逸脱しないことを前提に各種の補足又は変更が可能である。
【0025】
図1~
図3を参照する。説明すべき点として、本実施例で提示する図面は概略的に本発明の基本思想を説明するものにすぎない。図面には、本発明に関連するアセンブリのみを示しており、実際に実施する際のアセンブリの数、形状及びサイズで記載しているわけではない。実際に実施する際の各アセンブリの形態、数及び比率は任意に変更可能であり、且つ、アセンブリの配置形態がより複雑となる場合もある。
【0026】
[実施例1]
図1及び
図2に示すように、本実施例はセンスアンプ1を提供する。センスアンプ1は、電圧クランプ回路11、電源スイッチ回路12、放電回路13、プリチャージ回路14及び電流比較回路15を含む。
【0027】
図1に示すように、電圧クランプ回路11はメモリセルに接続されており、メモリセルに安定した読取電圧を印加する。
【0028】
具体的には、
図2に示すように、本実施例において、電圧クランプ回路11は、位相反転モジュール111及びクランプトランジスタを含む。クランプトランジスタは、第1ポートがメモリセルに接続され、第2ポートが読出電流を出力し、制御ポートが位相反転モジュール111の出力ポートに接続される。位相反転モジュール111の入力ポートはクランプトランジスタの第1ポートに接続される。一例として、クランプトランジスタはN型MOSFETにより実現され、第1のNMOSトランジスタNM1と表記される。第1のNMOSトランジスタNM1は、ソースがメモリセルに接続され、ドレインが読出電流を出力し、ゲートが位相反転モジュール111の出力ポートに接続される。一例として、位相反転モジュール111は、第2のNMOSトランジスタNM2及び第1のPMOSトランジスタPM1を含む。第2のNMOSトランジスタNM2は、ソースが接地し、ドレインが第1のPMOSトランジスタPM1のドレインと接続されて位相反転モジュール111の出力ポートとなる。第1のPMOSトランジスタPM1のソースは動作電圧を受け付ける。第2のNMOSトランジスタNM2及び第1のPMOSトランジスタPM1の各ゲートは、接続されて位相反転モジュール111の入力ポートとなる。
【0029】
説明すべき点として、実際の使用にあたっては、必要に応じて相応のデバイスタイプを選択して本実施例の電圧クランプ回路11を構成可能であり、各ポートの対応関係を適切に調整すればよいが、ここでは逐一詳述しない。更に、本実施例に限らず、メモリセルに安定した読取電圧を印加可能な任意の回路構造がいずれも本発明に適用される。
【0030】
説明すべき点として、一例として、読取電圧は0.8~1.1Vの間にクランプされる。ただし、実際の使用にあたっては、必要に応じて読取電圧の具体的な数値を設定可能であり、本実施例に限定しない。
【0031】
図1に示すように、電源スイッチ回路12は、電源電圧VDDと電圧クランプ回路11の間に接続されており、電圧クランプ回路11の非動作時に、電圧クランプ回路11と電源電圧VDDの間の経路を切断する。
【0032】
具体的には、
図2に示すように、本実施例において、電源スイッチ回路12はスイッチングトランジスタを含む。スイッチングトランジスタは、第1ポートが電源電圧VDDに接続され、第2ポートが位相反転モジュール111の動作電圧入力ポートに接続され、制御ポートが第1制御信号PR_SAを受け付ける。一例として、スイッチングトランジスタはPMOSトランジスタにより実現され、第2のPMOSトランジスタPM2と表記される。第2のPMOSトランジスタPM2は、ソースが電源電圧VDDに接続され、ドレインが第1のPMOSトランジスタPM1のソースに接続され、ゲートが第1制御信号PR_SAを受け付ける。
【0033】
説明すべき点として、実際の使用にあたっては、必要に応じて相応のデバイスタイプを選択して本実施例の電源スイッチ回路12を構成可能であり、各ポートの対応関係を適切に調整すればよいが、ここでは逐一詳述しない。更に、本実施例に限らず、読取動作を行わない場合に電圧クランプ回路と電源電圧VDDの間の経路を切断可能な任意の回路構造がいずれも本発明に適用される。
【0034】
図1に示すように、放電回路13は、電圧クランプ回路11に接続されており、電圧クランプ回路11が動作する前に電圧クランプ回路11を放電する。
【0035】
具体的には、
図2に示すように、本実施例において、放電回路13は第1プルダウントランジスタ及び第2プルダウントランジスタを含む。第1プルダウントランジスタは、第1ポートが接地し、第2ポートがクランプトランジスタの制御ポートに接続され、制御ポートが第2制御信号DISCHを受け付ける。また、第2プルダウントランジスタは、第1ポートが接地し、第2ポートが位相反転モジュール111の入力ポートに接続され、制御ポートが第2制御信号DISCHを受け付ける。一例として、第1プルダウントランジスタ及び第2プルダウントランジスタはいずれもNMOSトランジスタで実現され、それぞれ、第3のNMOSトランジスタNM3及び第4のNMOSトランジスタNM4と表記される。第3のNMOSトランジスタNM3は、ソースが接地し、ドレインが第1のNMOSトランジスタNM1のゲートに接続され、ゲートが第2制御信号DISCHを受け付ける。第4のNMOSトランジスタNM4は、ソースが接地し、ドレインが第1のNMOSトランジスタNM1のソース(即ち、位相反転モジュール111の入力ポート)に接続され、ゲートが第2制御信号DISCHを受け付ける。
【0036】
説明すべき点として、実際の使用にあたっては、必要に応じて相応のデバイスタイプを選択して本実施例の放電回路13を構成可能であり、各ポートの対応関係を適切に調整すればよいが、ここでは逐一詳述しない。更に、本実施例に限らず、読取動作の前に電圧クランプ回路を放電可能な任意の回路構造がいずれも本発明に適用される。
【0037】
図1に示すように、プリチャージ回路14は電圧クランプ回路11に接続されており、電圧クランプ回路11が動作を開始する際に電圧クランプ回路11をプリチャージする。
【0038】
具体的には、
図2に示すように、本実施例において、プリチャージ回路14はプリチャージトランジスタを含む。プリチャージトランジスタは、第1ポートが電源電圧VDDに接続され、第2ポートがクランプトランジスタの第2ポートに接続され、制御ポートが第3制御信号PRCHを受け付ける。一例として、プリチャージトランジスタはP型MOSFETにより実現され、第3のPMOSトランジスタPM3と表記される。第3のPMOSトランジスタPM3は、ソースが電源電圧VDDに接続され、ドレインが第1のNMOSトランジスタNM1のドレインに接続され、ゲートが第3制御信号PRCHを受け付ける。プリチャージ回路14は、迅速に第1のNMOSトランジスタNM1のソース電圧を目標の範囲(0.8~1.1V)にチャージ可能である。
【0039】
説明すべき点として、実際の使用にあたっては、必要に応じて相応のデバイスタイプを選択して本実施例のプリチャージ回路14を構成可能であり、各ポートの対応関係を適切に調整すればよいが、ここでは逐一詳述しない。更に、本実施例に限らず、読取動作時に電圧クランプ回路11をプリチャージ可能な任意の回路構造がいずれも本発明に適用される。
【0040】
図1に示すように、電流比較回路15は、電圧クランプ回路11の出力ポートに接続されており、読出電流を参照電流と比較して比較結果を出力する。
【0041】
具体的には、
図2に示すように、本実施例において、電流比較回路15はカレントミラー151及び電流源152を含む。カレントミラー151は、一端が電圧クランプ回路11の読出電流出力ポートに接続され、他端が電流源152に接続されて比較結果を出力する。一例として、カレントミラー151はP型MOSFETにより実現され、第4のPMOSトランジスタPM4及び第5のPMOSトランジスタPM5を含む。第4のPMOSトランジスタPM4は、ドレイン及びゲートが第1のNMOSトランジスタNM1のドレインに接続され、ソースが電源電圧VDDに接続される。第5のPMOSトランジスタPM5は、ソースが電源電圧VDDに接続され、ゲートが第4のPMOSトランジスタPM4のゲートに接続され、ドレインが電流源152に接続される。第5のPMOSトランジスタPM5のドレインは比較結果を出力する。
【0042】
図1及び
図2に示すように、一例として、センスアンプ1はバッファ回路16を更に含む。バッファ回路16は、電流比較回路15の出力ポートに接続される。一例として、バッファ回路16は偶数段直列のインバータを含む。ただし、実際に使用する際には、実際の必要に応じてバッファ回路16の回路構造を設定可能であり、本実施例に限定しない。
【0043】
図1及び
図2に示すように、一例として、センスアンプ1はラッチ回路17を更に含む。ラッチ回路17は、電流比較回路15の出力ポートに接続されており、比較結果をラッチするとともに、センスアンプ1の出力信号SA_OUTを出力する。読取動作の完了後にデータはラッチされ、次の読取動作の開始後にデータが出力されるまで変更されない。別の例として、ラッチ回路17はバッファ回路16の出力ポートに接続される。
【0044】
センスアンプ1の動作原理は次の通りである。
【0045】
センスアンプ1の非動作時には、第1制御信号PR_SAが電源電圧VDDとなり、第2制御信号DISCHが接地し、第3制御信号PRCHが電源電圧VDDとなり、ラッチ回路17が閉状態となる。このとき、第2のPMOSトランジスタPM2、第3のPMOSトランジスタPM3、第3のNMOSトランジスタNM3及び第4のNMOSトランジスタNM4はいずれも閉状態となる。
【0046】
読取動作を開始する場合、読取動作の第1段階は放電段階である。第1制御信号PR_SA、第2制御信号DISCH及び第3制御信号PRCHはいずれも電源電圧VDDとなる。このとき、第3のNMOSトランジスタNM3及び第4のNMOSトランジスタNM4は開となり、第1のNMOSトランジスタNM1のソース及びゲートはいずれも接地する。また、第2のPMOSトランジスタPM2及び第3のPMOSトランジスタPM3はいずれも閉状態となる。この動作は、電圧クランプ回路11の各点の電圧に初期値(例えば0V)を付与するためのものである。これにより、電圧クランプ回路11の各点の電圧の初期値が読取動作の開始前に高い値にフローティングする結果、1回目の読取動作時にクランプすべき電圧が影響を受けるとの事態を防止する。
【0047】
読取動作の第2段階はプリチャージ段階である(電圧クランプ回路11が動作を開始する)。第1制御信号PR_SA、第2制御信号DISCH及び第3制御信号PRCHはいずれも接地する。このとき、第2のPMOSトランジスタPM2及び第3のPMOSトランジスタPM3は開となり、第1のPMOSトランジスタPM1のソース及び第1のNMOSトランジスタNM1のドレインは電源電圧VDDとなる。また、第3のNMOSトランジスタNM3及び第4のNMOSトランジスタNM4は閉となる。このとき、電圧クランプ回路11は動作を開始し、第1のNMOSトランジスタNM1のソースが0.8~1.1Vにクランプされて安定を維持する。
【0048】
読取動作の第3段階は検知段階である。第1制御信号PR_SAは接地し、第2制御信号DISCHは接地し、第3制御信号PRCHは電源電圧VDDとなる。このとき、第3のPMOSトランジスタPM3、第3のNMOSトランジスタNM3及び第4のNMOSトランジスタNM4はいずれも閉となり、第2のPMOSトランジスタPM2は開となる。また、メモリセルのドレイン電流Icellが、第1のNMOSトランジスタNM1と、第4のPMOSトランジスタPM4及び第5のPMOSトランジスタPM5からなるカレントミラーによって基準電流Irefと比較される。読取動作時にメモリセルから出力される安定した電流値(即ち、Icell)が、外部回路で生成される基準電流値(即ち、Iref)よりも大きい場合、第5のPMOSトランジスタPM5のドレイン電圧は電源電圧値(VDD)となるようチャージされる。一方、読取動作時にメモリセルから出力される安定した電流値が、外部回路で生成される基準電流値よりも小さい場合、第5のPMOSトランジスタPM5のドレイン電圧はグランド(即ち、0V)まで低下する。検知段階では、ラッチ回路17が開状態となる。このとき、センスアンプ1は検知したロジック0又はロジック1を出力する。
【0049】
検知段階の終了後、センスアンプ1は再び非動作状態に入る。このとき、第1制御信号PR_SAが電源電圧VDDとなり、第2制御信号DISCHが接地し、第3制御信号PRCHが電源電圧VDDとなり、ラッチ回路17が閉状態となる。
【0050】
説明すべき点として、センスアンプ1の非動作時には、それ以前に読取動作を実行したことで、第1N型MOSFETのソース電圧が0.8~1.1Vにクランプされている。よって、第1のPMOSトランジスタPM1及び第2のNMOSトランジスタNM2が同時に導通した状態となっており、不要な静的消費電力が発生する。しかし、本発明では、センスアンプ1の非動作時及び放電段階において、電源スイッチ回路12が、電源電圧VDDから第2のPMOSトランジスタPM2、第1のPMOSトランジスタPM1、第2のNMOSトランジスタNM2を経由して接地する電流経路を切断する。これにより、不要な電流ロスが回避されるため、消費電力を節約するとの目的が達成される。
【0051】
[実施例2]
図3に示すように、本実施例は記憶装置を提供する。記憶装置は、センスアンプ1、コントローラ2及びメモリ3を含む。
【0052】
図3に示すように、コントローラ2は、メモリ3及びセンスアンプ1に接続されており、メモリ3及びセンスアンプ1に制御信号を印加する。
【0053】
具体的に、コントローラ2はCPU、MCUを含むがこれに限られず、メモリ及びセンスアンプの制御を実現可能な任意の装置がいずれも適用される。ただし、ここでは逐一詳述しない。
【0054】
図3に示すように、メモリ3はデータを記憶するために用いられる。
【0055】
具体的に、メモリ3は不揮発性メモリを含むがこれに限らず、データを記憶可能な任意の記憶媒体がいずれも本発明に適用される。ただし、ここでは逐一詳述しない。
【0056】
図3に示すように、センスアンプ1は、メモリ3に接続されており、メモリ3に記憶されたデータを読み出すために用いられる。
【0057】
具体的に、センスアンプ1の構造及び動作原理については実施例1を参照するものとし、ここでは逐一詳述しない。
【0058】
以上述べたように、本発明は、センスアンプ及び記憶装置を提供する。これらは、メモリセルに接続されており、メモリセルに安定した読取電圧を印加する電圧クランプ回路と、電源電圧と電圧クランプ回路の間に接続されており、電圧クランプ回路の非動作時に電圧クランプ回路と電源電圧の間の経路を切断する電源スイッチ回路と、電圧クランプ回路に接続されており、電圧クランプ回路が動作する前に電圧クランプ回路を放電する放電回路と、電圧クランプ回路に接続されており、電圧クランプ回路が動作を開始する際に電圧クランプ回路をプリチャージするプリチャージ回路と、電圧クランプ回路の出力ポートに接続されており、読出電流を参照電流と比較して比較結果を出力する電流比較回路、を含む。本発明のセンスアンプ及び記憶装置では、読取動作を行わない場合、電源スイッチ回路によって電圧クランプ回路と電源電圧の間の経路を切断するため、センスアンプの静的消費電力を効果的に低減させられる。また、本発明のセンスアンプ及び記憶装置では、読取動作の前に、プリチャージ回路によって電圧クランプ回路をプリチャージするため、センスアンプのクランプ電圧のプリチャージ速度を効果的に向上させられる。また、本発明のセンスアンプ及び記憶装置では、読取動作の前に、放電回路によって電圧クランプ回路の各点の電位をゼロ復帰させるため、センスアンプ内部が不安定状態になるとの事態を効果的に防止可能である。つまり、本発明は、従来技術における各種の欠点を効果的に解消しているため、高度な産業上の利用価値を有する。
【0059】
上記の実施例は、本発明の原理と効果を例示的に説明するものにすぎず、本発明を制限するものではない。本技術を熟知する者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、上記の実施例を補足又は変更可能である。従って、当業者が本発明で開示した精神及び技術思想を逸脱することなく完了するあらゆる等価の補足又は変更は、本発明の請求項によってカバーされる。
【符号の説明】
【0060】
1 センスアンプ
2 コントローラ
3 メモリ
11 電圧クランプ回路
12 電源スイッチ回路
13 放電回路
14 プリチャージ回路
15 電流比較回路
16 バッファ回路
17 ラッチ回路
111 位相反転モジュール
151 カレントミラー
152 電流源
【外国語明細書】